説明

繊維処理剤組成物

【課題】 繊維製品などの対象表面への疎水性化合物の吸着性を向上させた繊維処理剤組成物の提供。
【解決手段】 (a)疎水性化合物、(b)多糖類のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全てが、ヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていても良い直鎖若しくは分岐鎖の炭素数4〜30の炭化水素基(炭化水素基はエーテル結合又はエステル結合で分断されていても良い)で置換されている多糖誘導体及び(c)水を含有し、(a)成分と(b)成分の質量比((a)成分/(b)成分)が30/100〜150/1である、繊維処理剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型乳化物を含有する繊維処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の機能性材料を繊維に吸着させるための繊維処理剤が知られている。例えば、特許文献1にはセラミド等の物質を含有する繊維処理剤が開示されている。特許文献2にはセリシンを含有する柔軟剤組成物が開示されている。特許文献3にはアスコルビン酸誘導体を含有する機能化繊維材料が開示されている。一方、多糖類をアルキルポリオキシアルキレン基や陽イオン基で変成した化合物はすでに知られている。特許文献4にはアルキルグリセリルエーテル基を有する多糖類が開示されている。特許文献5、特許文献6及び特許文献7にはアルキルポリオキシアルキレン基や陽イオン基若しくはスルホアルキル基で変成した化合物が増粘剤として有効であることが開示されている。特許文献8には(A)炭素数10〜43のアルキル基等、(B)カルボキシメチル基、及び(C)炭素数1〜6のアルキレンアンモニウム基が置換した多糖誘導体が衣料用糊剤として有効であることが記載されている。さらに、特許文献9にはアルキルポリオキシアルキレン基で変成された多糖誘導体がトイレタリー製品の増粘剤として有効であることが開示されている。
【特許文献1】特開2001−146680号公報
【特許文献2】特開2001−192970号公報
【特許文献3】特開2002−61073号公報
【特許文献4】特開平9−110901号公報
【特許文献5】特開平10−292001号公報
【特許文献6】特開平10−330401号公報
【特許文献7】特開平11−106401号公報
【特許文献8】特開2000−178303号公報
【特許文献9】国際公開第00/73351号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
種々の機能性材料を繊維に吸着させるための繊維処理剤が知られているが(特許文献1〜3記載)、未だ十分な吸着量を得ることができず、満足できる効果を得ることができない。一方、多糖類をアルキルポリオキシアルキレン基や陽イオン基で変成した化合物はすでに知られている(特許文献4〜9)が、これらは化粧品用途や、増粘剤もしくは分散剤として用いる技術であり、機能性材料の繊維への吸着を促進させる点について何ら示唆するものではない。
【0004】
従って本発明の課題は、繊維製品などの対象表面への疎水性化合物の吸着性を向上させた繊維処理剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)疎水性化合物、(b)多糖類のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全てが、ヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていても良い直鎖若しくは分岐鎖の炭素数4〜30の炭化水素基(炭化水素基はエーテル結合又はエステル結合で分断されていても良い)で置換されている多糖誘導体及び(c)水を含有し、(a)成分と(b)成分の質量比((a)成分/(b)成分)が30/100〜150/1である、繊維処理剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の繊維処理剤組成物は、繊維製品などの対象物に吸着することで疎水性化合物を効率的に対象物に付与することができ、繊維の風合いを改善したり、繊維製品の付加価値を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[(a)成分]
本発明の(a)成分としては、下記(a1)及び(a2)から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
(a1):20℃でのイオン交換水100gに溶解しうる溶質の最大質量が1%以下、融点が70℃以下であり、20℃での飽和蒸気圧が1.45kPa(11mmHg)以下の化合物
(a2):水不溶性のシリコーン化合物
(a1)成分は、20℃での水100gに溶解しうる溶質の最大質量が1%以下、融点が70℃以下であり、20℃での飽和蒸気圧が1.45kPa(11mmHg)以下の化合物であるが、2種以上の化合物を混合して前述の物性を実現しても良い。本発明の(a1)成分の20℃での水100gに溶解しうる溶質の質量は、0.5%以下が更に好ましく、0.1%以下が特に好ましい。また融点(液体状態を保っている温度)は60℃以下が更に好ましく、50℃以下が特に好ましい。20℃での飽和蒸気圧は0.67kPa(5mmHg)以下が更に好ましく、0.13kPa(1mmHg)以下が特に好ましい。
【0008】
(a1)成分の具体的に好ましい化合物としては、風合い改善や付加価値を高めるために配合される高級アルコール類、ステロール類、フッ素系油剤、油性成分等が挙げられる。具体的には、
(i)炭素数10〜18、好ましくは12〜18、より好ましくは14〜18の飽和又は不飽和の脂肪アルコール;具体的にはデシルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノールアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、フェニルエチルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、2−オクチルドデカノール、バチルアルコール、2−ヘキシルデカノールを挙げることができ、繊維処理剤として用いる場合にはオレイルアルコール、セタノール、ステアリルアルコールが好適である。
(ii)ステロール類としては、例えばコレステロール、イソステアリン酸コレステリル、プロビタミンD3、カンベステロール、ステグマスタノール、ステグマステロール、5−ジヒドロコレステロール、α−スピナステロール、パリステロール、クリオナステロール、γ−シチステロール、ステグマステノール、サルガステロール、アペナステロール、エルゴスタノール、シトステロール、コルビステロール、コンドリラステロール、ポリフェラステロール、ハリクロナステロール、ネオスボンゴステロール、フコステロール、アプトスタノール、エルゴスタジエノール、エルゴステロール、22−ジヒドロエルゴステロール、ブラシカステロール、24−メチレンコレステロール、5−ジヒドロエルゴステロール、デヒドロエルゴステロール、フンギステロール、コレスタノール、コプロスタノール、ジモステロール、7−ヘトコレステロール、ラトステロール、22−デヒドロコレステロール、β−シトステロール、コレスタトリエン−3β−オール、コプロスタノール、コレスタノール、エルゴステロール、7−デヒドロコレステロール、24−デヒドロコレスタジオン−3β−オール、エキレニン、エキリン、エストロン、17β−エストラジオール、アンドロスト−4−エン−3β、17β−ジオール、デヒドロエビアンドロステロン、アルケニルコハク酸コレステリル(特開平5−294989号公報)等が挙げられる。これらのうち、特にコレステロール、イソステアリン酸コレステリル、アルケニルコハク酸コレステリルが好ましい。
(iii)フッ素系油剤としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロポリエーテル等が挙げられ、常温で液体のパーフルオロ有機化合物が好ましい。具体的には、例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロアダマンタン、パーフルオロブチルテトラハイドロフラン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロペンタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
【0009】
油性成分としては、以下の(iv)〜(xi)等が挙げられる。
(iv)炭化水素類;例えば固体状又は液体状パラフィン、ワセリン、クリスタルオイル、セレシン、オゾケライト、モンタンロウ、スクアラン、スクアレン等の炭化水素類
(v)植物性、又は動物性油脂又はそれらの水素化物;オリーブ油、アボガド油、月見草油、ホホバ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ハッカ油、ヒマワリ油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂、豚脂、魚油、馬脂、卵黄油、カルナウバロウ、ラノリンを挙げることができる。また、これらの油脂をさらにラネーニッケルなどの触媒を用いて部分水素化あるいは完全水素化した半硬化油、あるいは完全硬化油などを用いることができ、繊維処理剤に用いる場合にはオリ−ブ油、ひまわり油が好適である。
(vi)分子量300〜3000の脂肪酸エステル類(但し(v)を除く);具体的には炭素数10〜18の脂肪酸と炭素数1〜6の1〜6価のアルコールとのエステル化合物が好適である。アルコールの具体的好ましい例としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノールから選ばれる1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコール、グリセリン(グリセリンの場合はモノ又はジエステルとする)、ペンタエリスリトール、グルコース、ソルビトール、ソルビタンなどの3価以上のアルコールを挙げることができる。本発明では特にイソプロピルラウレート、イソプロピルミリステート、ペンタエリスリトールモノステアレートが好適である。
(vii)炭素数10〜18、好ましくは12〜18、より好ましくは14〜18の飽和又は不飽和の脂肪酸;具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸を挙げることができ、繊維処理剤として用いる場合にはオレイン酸又はパルミトレイン酸が好適である。
(viii)ローズマリー、ルイボス、ローヤルゼリー、ハマメリス、リグナン等の天然精油、
(ix)ビタミンE、油溶性ビタミンC、ビタミンA、ビオチン、パンテノール等のビタミン及びその誘導体
(x)セラミドまたは擬似セラミド類;具体的には下記13種類の化合物を挙げることができる。
【0010】
セラミド1:C17H31COOC29H58CONHCH(CH2OH)CH(OH)C15H29
セラミド2:C23H47CONHCH(CH2OH)CH(OH)C15H29
セラミド3:C23H47CONHCH(CH2OH)CH(OH)CH(OH)C14H29
セラミド4:C24H49CH(OH)CONHCH(CH2OH)CH(OH)C15H29
セラミド5:C22H45CH(OH)CONHCH(CH2OH)CH(OH)C15H29
セラミド6:C22H45CH(OH)CONHCH(CH2OH)CH(OH)CH(OH)C14H29
セラミド7:HOC2H4OCH2NHCO(CH2)6CH(CH3)C3H6CH(CH3)(CH2)6CONHCH2OC2H4OH
セラミド8:HOC2H4OCH2NHCO(CH2)18CONHCH2OC2H4OH
セラミド9:CH3OC3H6NHCO(CH2)6CH(CH3)C3H6CH(CH3)(CH2)6CONHC3H6OCH3
セラミド10:CH3OC3H6NHCO(CH2)18CONHC3H6OCH3
セラミド11:CH3OC3H6NHCO(CH2)8CONHC3H6OCH3
セラミド12:CH3(CH2)11OC3H6NHCO(CH2)8CONHC3H6O(CH2)11CH3
セラミド13:CH3CH2CH2CH2CH(C2H5)CH2NHCO(CH2)8CONHCH2CH(C2H5)CH2CH2CH2CH3
(xi)油溶性紫外線吸収剤
また上記物質で40℃において流動性のないものは、流動パラフィン、流動イソパラフィン、低粘度シリコーン油、低級アルコール、低級脂肪酸、低分子量エステル化合物と混合して用いることができる。
【0011】
本発明の(a1)成分の中では、(i)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(ix)、(x)が好ましく、(iv)、(v)、(vii)、(ix)、(x)が特に好ましい。
【0012】
本発明の(a2)成分の水不溶性のシリコーン化合物とは、20℃のイオン交換水1Lに溶解する量が1g以下の化合物である。具体的にはジメチルポリシロキサン、4級アンモニウム変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシ変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、フッ素変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン化合物が挙げられる。
【0013】
本発明では特に分子量千〜100万、好ましくは3千〜100万、特に好ましくは5千〜100万、25℃における粘度が2〜100万mm2/s、好ましくは500〜100万mm2/s、特に好ましくは1千〜100万mm2/sのジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン、好ましくはポリオキシエチレン)変性ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種以上が好ましい。アミノ変性ジメチルポリシロキサンとしては、アミノ当量(アミノ当量とは窒素原子1個当たりの分子量)は、1,500〜40,000g/mol、好ましくは2,500〜20,000g/mol、更に好ましくは、3,000〜10,000g/molである。ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンとしては、界面活性剤便覧(産業図書(株)発行 昭和35年7月5日発行)、324頁〜325頁に記載の曇数Aが、0〜18、好ましくは0〜10、更に好ましくは0〜5のものである。
【0014】
本発明では特に25℃における粘度が1万〜100万mm2/sのジメチルポリシロキサンが、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンとしては、曇数Aが0〜5であるものが好ましい。
【0015】
また上記物質で40℃において流動性の低いものは、流動パラフィン、流動イソパラフィン、低級アルコール、低級脂肪酸、低分子量エステル化合物と混合して用いることができる。
【0016】
[(b)成分]
本発明の(b)成分は、多糖類のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全てが、ヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていても良い直鎖若しくは分岐鎖の炭素数4〜30の炭化水素基(炭化水素基はエーテル結合又はエステル結合で分断されていても良い)で置換されている多糖誘導体である。
【0017】
多糖類としては、セルロース、グァーガム、デンプン、ブルラン、デキストラン、フルクタン、マンナン、寒天、カラギーナン、キチン、キトサン、ペクチン、アルギン酸、ヒアルロン酸等の多糖:これらにメチル基、エチル基等のアルキル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基、カルボキシメチル基等が置換した誘導体が挙げられる。これらの置換基は、構成単糖残基中に単独で又は複数の組合せで置換することができ、これら多糖の誘導体の例としては、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)セルロース、アルキル(炭素数1〜3)セルロース、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)デンプン、アルキル(炭素数1〜3)デンプン、カルボキシメチル化デンプン、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)グァーガム、アルキル(炭素数1〜3)グァーガム等が挙げられる。本発明の多糖類としては、セルロース、デンプン、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)セルロース、アルキル(炭素数1〜3)セルロースが好ましく、特にヒドロキシエチルセルロースが好ましい。また、多糖の誘導体において、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシメチル基の置換度は、構成単糖残基当たり0.01〜3.5が好ましく、0.1〜3が更に好ましく、1〜3が特に好ましく、1.5〜2.8が最も好ましい。また、上記多糖の誘導体の置換基は、ヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシ基に更に置換して、例えばポリオキシエチレン鎖等を形成することで、構成単糖残基当たり3.0を超える置換度も可能であり、その構成単糖残基当たりの置換度は0.1〜10.0、特に0.5〜5.0が好ましい。また、これら多糖類の重量平均分子量は、好ましくは1000〜1000万、更に好ましくは2000〜500万、特に好ましくは3000〜200万、最も好ましくは4000〜100万である。
【0018】
ヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていても良い直鎖若しくは分岐鎖の炭素数4〜30の炭化水素基(炭化水素基はエーテル結合又はエステル結合で分断されていても良い)としては、式(1)で表される基が挙げられる。
【0019】
1−(A)p−(R2q−(B)r−(R3s− (1)
(式中、R1はヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていても良い炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、R2及びR3はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていても良い炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、R1とR2とR3の炭素数の合計は4〜30である。A及びBはそれぞれ独立に、−O−、−COO−、又は−OCO−から選ばれる基、p,q,r及びsはそれぞれ独立に0又は1を示す。)
式(1)において、R1は、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数8〜18、特に好ましくは10〜18の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基で、直鎖アルキル基が更に好ましい。具体的には、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イソステアリル基、ヘキシルデシル基、オクチルデシル基等が好ましい。R2及びR3は、それぞれ好ましくはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキレン基、より好ましくはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数2又は3のアルキレン基である。
【0020】
式(1)で表される基としては、以下の式(1−1)〜(1−7)で表される基が好ましい。
【0021】
1a−O−CH2CH(OH)CH2− (1−1)
1b−CH(OH)CH2− (1−2)
1c− (1−3)
1d−CO− (1−4)
1e−OCO−CH2−O−CH2CH(OH)CH2− (1−5)
1d−OCO−CH2− (1−6)
1b−OCO−CH2−O−R3a− (1−7)
(上記一連の式中、R1aは炭素数1〜27の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R1bは炭素数2〜28の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R1cはヒドロキシ基で置換されていても良い炭素数4〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R1dはヒドロキシ基で置換されていても良い炭素数3〜29の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R1eは炭素数1〜26の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R3aは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。)
本発明の(b)成分の多糖誘導体における炭化水素基による置換度は、その構成単糖残基当たり、0.0001〜1.0が好ましく、0.0005〜0.5が更に好ましく、0.001〜0.1が特に好ましく、0.001〜0.05が最も好ましい。
【0022】
本発明の(b)成分は、多糖類又はこれら多糖類のヒドロキシアルキル化物、カルボキシアルキル化物又はカチオン化物と、炭素数4〜30の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有するグリシジルエーテル、エポキシド、ハライド及びハロヒドリン、並びに炭素数4〜30の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアシル基を有するエステル、酸ハライド及びカルボン酸無水物から選ばれる疎水化剤とを反応させることにより得られる。
【0023】
ここで用いられる疎水化剤としては、以下の式(2)〜(8)で表される化合物が挙げられる。
【0024】
【化1】

【0025】
(上記一連の式中、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e及びR3aは前記の意味を示し、R3bはCl、OR3c(R3cは炭素数1〜4のアルキル基)又はOHを示す。)
また、多糖類がカルボキシアルキル化糖である場合には
1c−OH
1d−OCOCH2OH
(式中、R1c及びR1dは前記の意味を示す。)
などを利用することも可能である。
【0026】
これらの疎水化剤のうち、グリシジルエーテル、エポキシド、ハライド及びアシルハライドが特に好ましく、これら疎水化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。疎水化剤の使用量は、多糖類への疎水性置換基の所望する導入量によって適宜調整することができるが、通常、多糖類の構成単糖残基当たり、0.0001〜1当量、特に0.0005〜0.1当量の範囲が好ましい。
【0027】
多糖類の疎水化反応は、多糖類を適当な溶媒に溶解又は分散させて行うことができ、必要に応じてアルカリ存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては特に限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。アルカリの使用量は、用いる疎水化剤に対して1〜1000モル倍量、特に2〜500モル倍量が良好な結果を与え、好ましい。
【0028】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール等が挙げられる。多糖類を膨潤させて疎水化剤との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、1〜50重量%、更に好ましくは2〜30重量%の水を加えた混合溶媒を用いて反応を行ってもよい。
【0029】
反応温度は0〜200℃、特に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、必要に応じて、酸を用いてアルカリを中和することができる。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を用いることができる。また、途中で中和することなく次の反応を行ってもよい。
【0030】
[(c)成分]
本発明の(c)成分は水であり、微量に存在する重金属などを取り除いたイオン交換水や蒸留水を用いることができる。また、塩素などで滅菌した滅菌水を用いることも可能である。
【0031】
[その他成分]
本発明の水中油型乳化物は、(a)成分〜(c)成分を必須成分とするが、乳化物の安定性を向上させる目的、及び疎水性化合物の対象表面への吸着を促進させる目的から(d)成分として界面活性剤を用いることができる。用いることができる界面活性剤としては非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤を挙げることができ、乳化物の安定性の点から非イオン界面活性剤(d1)が好適であり、対象表面への吸着促進の観点から陽イオン界面活性剤(d2)を併用することが好適である。
【0032】
非イオン界面活性剤(d1)としては一般式(10)で表される化合物が乳化物の安定性の点から好適である。
【0033】
10a−J−[(R10b−O)f−R10c]g (10)
[式中、R10aは炭素数8〜32、好ましくは10〜28、より好ましくは10〜24、特に好ましくは10〜18のアルキル基又はアルケニル基、R10bは炭素数2又は3のアルキレン基である。R10cは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Jは−O−、−COO−、−CON<又は−N<から選ばれる連結基であり、Jが−O−又は−COO−の場合にはgは1であり、Jが−CON<又は−N<の場合にはgは2である。fは数平均で1〜150、好ましくは2〜80、特に好ましくは4〜50の値である。ここで、複数個のR10b及びR10cは同一でも異なっていても良い。]
一般式(10)において、R10aは炭素数10〜18のアルキル基が最も好ましく、R10bはエチレン基が最も好ましく、R10cは水素原子が最も好ましい。また、Jは−O−又は−COO−、特に−O−が好ましい。
【0034】
非イオン界面活性剤(d1)としては特に一般式(11)で表される化合物が最も好ましい。
【0035】
10a−O−(C24O)f−H (11)
[式中、R10a及びfは前記の意味を示す。]
陽イオン界面活性剤(d2)としては一般式(12)で表される化合物が対象表面への疎水性化合物の吸着促進の点から好適である。
【0036】
【化2】

【0037】
[式中;R12aは炭素数11〜24の炭化水素基、Wは−COO−又は−CONH−から選ばれる基であり、R12bは炭素数2又は3のアルキレン基である。hは0又は1の数である。R12cは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基、もしくはR12a−[W−R12b]h−である。R12dは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基であり、R12eは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基、もしくは水素原子である。T-は、有機又は無機の陰イオンである。]
一般式(12)で表される化合物において、R12aは好ましくは炭素数14〜18のアルキル基、又はアルケニル基が好適であり、hは1の数が好ましい。陽イオン界面活性剤(d2)としては、R12cがR12a−[W−R12b]h−である化合物(d2−2)、及びR12cがメチル基またはヒドロキシエチル基である化合物(d2−1)の混合物が好ましく、(d2−2)/(d2−1)の質量比が、100/1〜100/10、好ましくは100/2〜100/6の混合物が疎水性化合物の吸着性を促進させる目的から好適である。R12dはメチル基またはヒドロキシエチル基が好ましく、R12eは水素原子、又はメチル基が好適である。T-はハロゲンイオン(好ましくはクロルイオン)、炭素数1から3のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1〜12の脂肪酸イオン、炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよいベンゼンスルホン酸イオンが好適である。
【0038】
本発明では、組成物のレオロジーを制御する目的、及び乳化物の安定性の点から水溶性溶剤(e)を併用することが好ましい。具体的に好ましい水溶性溶剤の例としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオールが好適であり、特にグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオールが好ましい。
【0039】
本発明では、繊維処理剤に用いられる通常の添加剤、例えば香料、防腐剤、染料、顔料、粘度調節剤、無機塩、ハイドロトロープ剤などの成分を必要に応じて用いることができる。
【0040】
[繊維処理剤組成物]
本発明の繊維処理剤組成物中の、(a)成分の含有量は、0.1〜60質量%が好ましく、1.0〜50質量%がより好ましく、3.0〜45質量%が特に好ましい。(b)成分の含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8.0質量%がより好ましく、0.1〜5.0質量%が特に好ましい。また(a)成分と(b)成分の配合比率は、(a)成分/(b)成分(質量比)=30/100〜150/1であり、1/1〜100/1がより好ましく、5/1〜80/1が特に好ましい。本発明の繊維処理剤組成物中の(c)成分である水の含有量は、40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、60〜90質量%が特に好ましい。
【0041】
本発明の繊維処理剤組成物の使用方法は、対象の繊維衣料に対して処理する量としては、(a)成分の疎水性化合物が衣料に対して、0.05〜5.0質量%となる量が好ましく、0.07〜4.0質量%となる量が更に好ましく、0.1〜3.0質量%となる量が特に好ましい。具体的には、本発明の繊維処理剤組成物を、繊維製品を含む洗濯水や濯ぎ水に上記の質量%の範囲になるように添加、処理することで、効率的に(a)成分を繊維に吸着させることができる。また、処理する繊維製品と水の質量比率(浴比=水の質量/繊維製品の質量)が5〜30、好ましくは8〜20の条件下で、上記記載の質量%になるように、本発明の繊維処理剤組成物を添加することが好ましい。
【0042】
任意成分ではあるが本発明の繊維処理剤組成物中には、その安定性を向上させる目的から(d1)成分を用いることが好ましいが、多量配合は逆に本発明の効果を損なうおそれがあるため、注意を要する。本発明の組成物中の(d1)成分の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。また、[(a)成分+(b)成分]/(d1)成分(質量比)は、1/1〜50/1が好ましく、3/1〜30/1がより好ましく、7/1〜20/1が特に好ましい。(d2)成分は(a)成分の対象表面への吸着を向上させる目的から併用することが好ましいが、(d1)成分と同様多量配合は本発明の効果を損なうおそれがある。本発明の繊維処理剤組成物中の(d2)成分の含有量は、0〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。また、[(a)成分+(b)成分]/(d2)成分(質量比)は、1/5〜80/1が好ましく、1/1〜60/1がより好ましく、5/1〜40/1が特に好ましい。本発明の繊維処理剤組成物中の(e)成分の含有量は、貯蔵安定性の点から0.5〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、4〜15質量%が特に好ましい。
【0043】
本発明の繊維処理剤組成物は20℃におけるpHを2〜8、好ましくは4〜7.5に調整することが安定性の点から好適である。pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸と、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0044】
本発明の繊維処理剤組成物の20℃における粘度は、取り扱いやすさ、および乳化物の安定性の観点から、2〜300mPa・sが好ましく、5〜200mPa・sがより好ましく、10〜150mPa・sが特に好ましい。このような粘度調整には(e)成分や通常の粘度調整剤等を用いて行う。
【0045】
[繊維処理剤組成物の製造法]
本発明の組成物はO/W型の乳化形態が対象表面への(a)成分の吸着を促進できる点で好ましい。又(b)成分を外殻として(a)成分を内包するカプセル状の粒子が分散したO/W型乳化組成物がより好適である。これは(b)成分中炭化水素基が(a)成分と相互作用し効率よく乳化するためであると考えられる。
【0046】
本発明の組成物の製造方法としては、特に限定されないが、下記(1)〜(3)の方法が挙げられる。
【0047】
(1)順相乳化法
常温にて(b)成分、必要に応じて(d1)成分、(d2)成分、(e)成分、適量の(c)成分を混合し、次に昇温後80℃にて攪拌し、(b)成分を(c)成分に分散させた後、室温まで冷却する(この溶液を(F)とする)。次に、必要に応じて(d1)成分、(d2)成分、(e)成分を添加し、攪拌混合する。その後、ホモミキサーで攪拌しながら、(a)成分をゆっくり滴下する。(a)成分が常温で固体、若しくは流動しない状態の場合には融点、若しくは流動点以上に加温して添加することが望ましい。またその場合には、溶液(F)も(a)成分の融点、又は流動点以上の温度に加温することが望ましい。添加後、さらホモミキサーで攪拌した後、残りの(c)成分を添加し、攪拌する。また必要に応じてpH調整をして、本発明の水中油型乳化物を得る。
【0048】
(2)転相乳化法
常温にて(b)成分、必要に応じて(d1)成分、(d2)成分、(e)成分、(a)成分を混合し、次に昇温後70℃にて攪拌し、(b)成分を(a)成分に分散させる。(a)成分が常温で固体、若しくは流動しない状態の場合には融点、若しくは流動点以上に加温して攪拌することが望ましい。攪拌後、50℃まで冷却し、必要に応じて(d1)成分、(d2)成分、(e)成分を添加し、攪拌混合した後、ホモミキサーまたはプロペラで攪拌しながら、(c)成分をゆっくり滴下する。この場合も、(a)成分が常温で固体、若しくは流動しない状態の場合には融点、若しくは流動点以上に加温して(c)成分をゆっくり滴下することが望ましい。滴下後さらに攪拌した後、常温まで冷却し、必要に応じてpH調整をして、本発明の水中油型乳化物を得る。
【0049】
(3)ゲル乳化法
常温にて(b)成分、必要に応じて(d1)成分、(d2)成分、(e)成分を、必要量の15%相当量の(c)成分に添加し、次に昇温後80℃にて攪拌した後、25℃まで冷却する(この溶液を(G)とする)。次に、必要に応じて(d1)成分及び(d2)成分を攪拌しながら添加し、攪拌放置する。その後、(a)成分をゆっくり添加する。(a)成分が常温で固体、若しくは流動しない状態の場合には融点、若しくは流動点以上に加温して添加することが望ましい。また、その場合には溶液(G)も(a)成分の融点、又は流動点以上の温度に加温することが望ましい。添加後さらに攪拌した後、配合物の温度を60℃、若しくは(a)成分の融点、若しくは流動点以上に上昇させ、さらに攪拌し、混合物を得る。そのままの温度か必要に応じて40℃程度まで冷却し、上記の方法で得られた混合物に残りの(c)成分をゆっくり添加し、攪拌する。また、必要に応じてpHを調整した後、ゆっくり常温まで配合物の温度を下げて、本発明の水中油型乳化物を得る。この製造方法において(a)成分の一部を(b)成分と一緒に添加してもよい。また、(G)の溶液を20〜75℃、好ましくは30〜60℃に調整し、(c)の水を20〜90℃、好ましくは30〜70℃で混合することが好適である。(d1)成分及び(d2)成分は溶液(G)に予め添加していてもよく、(e)成分に予め溶解していてもよく、さらに溶液(G)と(c)成分を混合した後に添加しても差し支えない。
【0050】
上記のような方法によると、(b)成分を外殻とし(a)成分を内包した粒径0.1〜50μmのカプセル状粒子を含む水中油型乳化物が得られる。
【0051】
本発明では、疎水性化合物を内包した水中油型乳化物を含む繊維処理剤組成物を提供することができ、本発明によれば希釈により乳化が壊れず、かつ対象表面に疎水性化合物を効率的に吸着させることができる。
【実施例】
【0052】
実施例に用いる配合成分を以下にまとめて示す。また、例中の「%」は、特記しない限り「質量%」である。
【0053】
<配合成分>
・(a)成分
(a−1):スクアラン
(a−2):流動イソパラフィン
(a−3):ワセリン
(a−4):上記セラミド4
(a−5):シリコーン化合物(信越化学工業(株)製 KF−96A、25℃における粘度:1万mm2/s)
(a−6):シリコーン化合物(信越化学工業(株)製 KF−96A、25℃における粘度:20万mm2/s)
(a−7):シリコーン化合物(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 SH−200、25℃における粘度:100万mm2/s)
(a−8):シリコーン化合物(日本ユニカー(株)製 FZ−2203、25℃における粘度:5000mm2/s)
(a−9):シリコーン化合物(日本ユニカー(株)製 FZ−2109、25℃における粘度:1200mm2/s)
(a−10):シリコーン化合物(信越化学工業(株)製 KF−6016、25℃における粘度:150mm2/s)
・(b)成分
(b−1):ハーキュレス社 HERCULES PLUS 330 CS(重量平均分子量 20万、セチル置換度6.6/糖1000ユニット当たり)
(b−2):ハーキュレス社 HERCULES POLYSURF 67(重量平均分子量 100万、セチル置換度6.0/糖1000ユニット当たり)
・比較の化合物
(b’−1):ポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒(株)製、アクアリックDL−384、重量平均分子量:8000)
(b’−2):ラウリルアルコールにエチレンオキサイドをアルコール1モル当たり平均12モル付加させた非イオン性界面活性剤
・(c)成分:水
・(d)成分
(d1−1):ポリオキシエチレン(EO=21)ラウリルエーテル
(d2−2−1):N−ステアロイルアミノプロピル−N−ステアロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド
(d2−1−1):N−ステアロイルアミノプロピル−N−2−ヒドロキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド
・(e)成分
(e−1):グリセリン
実施例1〜3
表1に示す(a)〜(e)成分を用い、下記に記す方法で、表1に示す組成の繊維処理剤組成物を調製した。
【0054】
<繊維処理剤組成物の調製方法>
表1の(b)成分、(c)成分及び必要により(d)成分、(e)成分を混合し、80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却する。次に、ホモミキサー(TOKUSHUKIKA T.K.ROBOMIX)を用い回転数8000rpmで攪拌しながら、(a)成分を滴下する。滴下終了後15分攪拌し、pHを調整して、水中油型乳化物を含む繊維処理剤組成物を得た。
【0055】
実施例4〜5
表1に示す(a)〜(e)成分を用い、下記に記す方法で、表1に示す組成の繊維処理剤組成物を調製した。
【0056】
<繊維処理剤組成物の調製方法>
表1の(a)成分、(b)成分及び必要により(d)成分、(e)成分を混合し、65℃で1時間攪拌した後、50℃まで冷却する。次に、攪拌しながら(c)成分を滴下する。滴下終了後1時間攪拌し、pHを調整した後、室温まで冷却し水中油型乳化物を含む繊維処理剤組成物を得た。
【0057】
実施例6〜7
表1に示す(a)〜(e)成分を用い、下記に記す方法で、表1に示す組成の繊維処理剤組成物を調製した。
【0058】
<繊維処理剤組成物の調製方法>
表1の(b)成分、(a)成分の1/5(質量比)及び(e)成分を表1の組成にするのに必要な(c)成分の15%(25℃)に添加し、25℃にて1時間攪拌した後、(d1)成分を添加し、更に20分攪拌した後、残りの(a)成分を添加する。次に、25℃で1時間攪拌した後、配合物の温度を60℃に上昇させ、1時間攪拌し、組成物を得る。上記の方法で得られた組成物を30分かけて40℃まで冷却した後、残りの(c)成分から(d2)成分を30%含有する組成物を調製するのに必要な分を除いた量(40℃)を上記組成物に添加し、30分攪拌する。更に、この組成物に別に調製しておいた(d2)成分を30%含有する組成物(40℃)を添加し、30分攪拌し、pHを調整した後、1時間掛けて、25℃にまで配合物の温度を下げて、水中油型乳化物を含む繊維処理剤組成物を得た。尚、攪拌速度は全ての工程で400rpmである。
【0059】
比較例1〜2
表1に示す(a)成分、(b’)成分、(c)〜(e)成分を用い、下記に記す方法で、表1に示す組成の繊維処理剤組成物を調製した。
【0060】
<繊維処理剤組成物の調製方法>
表1の(b’)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分を混合し、80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却する。次に、ホモミキサー(TOKUSHUKIKA T.K.ROBOMIX)を用い回転数8000rpmで攪拌しながら、(a)成分を滴下する。滴下終了後15分攪拌し、pHを調整して、水中油型乳化物を含む繊維処理剤組成物を得た。
【0061】
実施例1〜7及び比較例1〜2で得られた組成物を下記方法で衣料に処理し、その吸着量を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
<吸着量測定方法>
20℃,4度硬水2250ml中に各組成物を3g添加し、1分間攪拌する(ミニ洗濯機使用)。その後、木綿メリヤス約16g×8枚(トータルで約150g)を加え5分間処理する。処理終了後脱水(3分)を行い一晩乾燥(風乾)させる。乾燥後、処理布から1gづつ切り取りヘキサン5mLおよび内部標準を添加した後、バス式ソニケーターにて15分処理を行う。抽出液(ヘキサン)を用いキャピラリーGCにて定量を行う。
【0063】
カラム:DB−1HT 15m
条件:100℃→10℃/min→340℃→340℃保持36min
【0064】
【表1】

【0065】
*:20℃におけるpH、1/10規定硫酸水溶液及び1/10規定水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)疎水性化合物、(b)多糖類のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全てが、ヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていても良い直鎖若しくは分岐鎖の炭素数4〜30の炭化水素基(炭化水素基はエーテル結合又はエステル結合で分断されていても良い)で置換されている多糖誘導体及び(c)水を含有し、(a)成分と(b)成分の質量比((a)成分/(b)成分)が30/100〜150/1である、繊維処理剤組成物。
【請求項2】
水中油型乳化物である請求項1記載の繊維処理剤組成物。
【請求項3】
(a)成分が、下記(a1)及び(a2)から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の繊維処理剤組成物。
(a1):20℃でのイオン交換水100gに溶解しうる溶質の最大質量が1%以下、融点が70℃以下であり、20℃での飽和蒸気圧が1.45kPa(11mmHg)以下の化合物
(a2):水不溶性のシリコーン化合物
【請求項4】
(b)成分中の、ヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていても良い直鎖若しくは分岐鎖の炭素数4〜30の炭化水素基(炭化水素基はエーテル結合又はエステル結合で分断されていても良い)が、式(1)で表される基である請求項1〜3いずれかに記載の繊維処理剤組成物。
1−(A)p−(R2q−(B)r−(R3s− (1)
(式中、R1はヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていても良い炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、R2及びR3はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基又はオキソ基で置換されていても良い炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、R1とR2とR3の炭素数の合計は4〜30である。A及びBはそれぞれ独立に、−O−、−COO−、又は−OCO−から選ばれる基、p,q,r及びsはそれぞれ独立に0又は1を示す。)
【請求項5】
さらに、(e)水溶性溶剤を含有する、請求項1〜4いずれかに記載の繊維処理剤組成物。
【請求項6】
(b)成分を外殻とし(a)成分を内包した粒径0.1〜50μmのカプセル状粒子を含むものである、請求項1〜5いずれかに記載の繊維処理剤組成物。

【公開番号】特開2006−45714(P2006−45714A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227494(P2004−227494)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】