説明

繊維及び繊維製品

【課題】 特定の香気成分を含有させることでストレス応答を抑制し或いは低減させる効果のある繊維及び繊維製品を提供する。
【解決手段】植物の葉、特に青葉から採取するか又はそれと同等の香気成分を繊維或いは繊維製品に含有させるものであり、より具体的な香気成分として、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールから選択される1種また2種以上の組み合わせからなるものが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衣料、寝具、カーテン等に用いられる繊維及び繊維製品であって、特に香気成分を含有させてなるものである。
【背景技術】
【0002】
従来一般に、香気成分を含ませるようにした繊維及び繊維製品は公知である。例えば、特許文献1には、繊維製品において、合成繊維層に芳香性物質を包含させることにより、芳香療法に使用し得ることが記載されている。
【0003】
また、脂肪分解作用を持つラズベリーの香気成分をインナー衣料に包含させて、体脂肪を低減させるようにしたものが既に販売されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−342879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、芳香療法として使用できるような芳香性物質を用いることは記載されているとしても、具体的な香気成分が不明であり、具体的にどのような療法に役立つのかも明確ではない。
【0006】
また、ラズベリーの香気成分を包含させたものは、人体に着用することで脂肪を分解させることを目的とするものであり、人間の精神的ストレスを和らげるものではない。
【0007】
ところで、あらゆる疾病はストレスから生じるとする説もあるぐらいストレスは人の健康にとって有害であり、如何にストレスを低減し或いは解消するかが重要とされている。
【0008】
一方、最近の研究によれば、青葉と呼ばれる植物の葉に含まれる特定の香気成分(green odor)が、ストレスによって引き起こされる副腎皮質刺激ホルモンレベルと体温の上昇を抑制し、或いは、上昇したそれらの副腎皮質刺激ホルモンのレベル等を下げる効果のあることが確かめられている。
【0009】
この青葉の中に含まれる香気成分は、C6の不揮発性成分であり、具体的には、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールであり、これらの成分の一種または複数種を吸収することにより、人体をストレスから守り、ストレスによって引き起こされる様々な精神的・肉体的疾病から守ることが可能になる。
【0010】
そこで、この発明は、かかる特定の香気成分を繊維或いは繊維製品の中に含ませることにより、特にストレス社会といわれる現代において、ストレス応答を抑制し或いは解消させるような働きを、それらの繊維製品等に持たせるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明の繊維及び繊維製品は、植物の葉から採取するか又はそれと同等の香気成分を含んでなることを特徴とするものであり、特に、青葉から採取されたものが好適に用いられる。
【0012】
上記において、それと同等の香気成分とは、植物の葉から直接に採取されたもののみならず、化学合成等によって人工的に得られるもので植物から得られるものと同等のものを含む趣旨である。
【0013】
この明細書において、植物の香気成分とは、そのような合成等によって得られたものを含む意味に用いている。
【0014】
この発明に用いられる植物の香気成分としては、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールから選択される1種また2種以上の組み合わせからなるものが考えられ、ストレッサーによるストレス応答を抑制し、また、ストレス応答を低下させるものとして、優れた効果を発揮する。
【0015】
この明細書において、繊維及び繊維製品とは、繊維のみの場合と、繊維を使用して得られた医療その他の製品の場合と何れの場合でもよいという意味である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、この発明の繊維もしく繊維製品を使用することによって、それに含まれる植物の香気成分を受容することで、ストレッサーによって引き起こされるストレス応答の上昇を抑制し、また、上昇したストレスを低下させる効果がある。
【0017】
特に、この発明の植物の香気成分として、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールから選択される1種また2種以上の組み合わせからなるものが用いられ、ストレスに対する優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の香気成分は植物の葉から得られるものである。本発明に使用される具体的な香気成分は、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールであり、これらの一種又は2種以上を組み合わせて用いる。
【0019】
これらの香気成分は、植物の葉から採取されるものが特に好適に用いられ、なかでも青葉が最適である。採取方法は、抽出、蒸留その他どのようなものでも構わない。
【0020】
勿論、それと同等のものが得られれば、合成等によっても構わない。
【0021】
繊維へ含有させる手段としては、例えば、前記採取された香気成分をコロイド状にして単独に又はバインダーと共に繊維へ練り込むことが考えられる。或いは、香気成分をマイクロカプセルに封入し、使用時の摩擦によりそのカプセルが破壊されることで、香気が空気中に放散されるようにしても良い。
【0022】
使用される繊維としては、天然繊維、合成繊維どちらでも構わない。また、繊維製品としては、直接人体に着用されるか接して使用されるものが、その効果を良く発揮でき、衣料、寝具、ハンカチなどの身の回り品、タオル、カーテンなどの類が適している。香気成分は、繊維製品の全般に亘って一様に含有させる場合と、一部にのみ含有させる場合とがあるが、一部の場合は、香気が呼吸器官によって吸飲されやすい箇所を選んで設けることが望ましい。
【0023】
このようにして、上記のような香気成分を含有する繊維を用いた繊維製品、或いは、香気成分を含有させた繊維製品を使用することにより、その香気成分による香気療法を期待でき、特に、前記各ヘキサノール、ヘキサナール類を用いることにより、ストレス応答を抑制し或いはストレスを低減させる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、上述したように各種の繊維及び繊維製品に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の葉から採取するか又はそれと同等の香気成分を含有させてあることを特徴とする繊維及び繊維製品。
【請求項2】
前記植物の葉が青葉である請求項1記載の繊維及び繊維製品。
【請求項3】
香気成分が、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールから選択される1種また2種以上の組み合わせからなるものである請求項1または2記載の繊維及び繊維製品。

【公開番号】特開2006−2271(P2006−2271A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178062(P2004−178062)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(504232284)
【出願人】(504232343)
【出願人】(592247724)株式会社サンアロマ (6)
【出願人】(592159656)
【出願人】(504232446)
【Fターム(参考)】