繊維束配列装置及び繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法
【課題】繊維束をプレスするプレス装置を備えた繊維束配列装置の小型化を図る。
【解決手段】リニアスライダ14にはプレス装置39が装着されている。リニアスライダ14には基板40が止着されており、基板40にはモータ41が装着されている。モータ41のネジ軸411が回転されると、基枠43がZ軸方向に平行移動する。基枠43にはエアシリンダ46が装着されており、エアシリンダ46の駆動ロッド461には軸支持金具50が止着されており、軸支持金具50には平板形状のプレスローラ52が支軸521を介して回転可能に支持されている。平板形状のプレスローラ52は、X軸方向とZ軸方向とに平行である。プレスローラ52は、ピン38の列に沿ってピン38の内側を転動可能である。
【解決手段】リニアスライダ14にはプレス装置39が装着されている。リニアスライダ14には基板40が止着されており、基板40にはモータ41が装着されている。モータ41のネジ軸411が回転されると、基枠43がZ軸方向に平行移動する。基枠43にはエアシリンダ46が装着されており、エアシリンダ46の駆動ロッド461には軸支持金具50が止着されており、軸支持金具50には平板形状のプレスローラ52が支軸521を介して回転可能に支持されている。平板形状のプレスローラ52は、X軸方向とZ軸方向とに平行である。プレスローラ52は、ピン38の列に沿ってピン38の内側を転動可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列設されたピンに繊維束を掛け止めた状態でガイドパイプを移動させることによって前記ガイドパイプのガイド孔内から前記繊維束を引き出しながら配列する繊維束配列装置及び繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量の構造材料として広く使用されている繊維強化複合材のうち、三次元織物(三次元繊維構造体)を強化材として使用したものは、強度が非常に高く、航空機等の構造材として一部使用されている。このような繊維強化複合材の強化材に使用する三次元繊維構造体の製法としては、繊維束を折り返し状に配列した繊維束層を複数積層して少なくとも2軸配向となる繊維束積層群を形成し、その繊維束積層群を各繊維束層と直交する方向に配列される厚さ方向糸で結合する三次元繊維構造体の製造方法がある。特許文献1,2には、配列面に沿って移動されるガイドパイプから繊維束を繰り出しながら、所定ピッチで配置したピン間に繊維束を偏平な状態で、かつ繊維束の偏平な面が配列面に沿った状態で折り返し状に配列して繊維束層を形成する繊維束配列装置が開示されている。
【0003】
三次元繊維構造体の物性の観点からすると、繊維束の繊維密度が高いことが望ましい。繊維束の繊維密度を高めるには、ピンに掛け止められた繊維束列を該ピンの近傍で該ピンの根元に向けて押し込めば良い。そのための押し込み機構としては、例えば、特許文献1に開示されるプレスプレートと一対のプレスブロックとを用いた押圧手段の採用が可能である。プレスプレート及び一対のプレスブロックは、列設されたピンの列長さ程度の長さに形成されており、列設されたピンの列長さ全体にわたって一度に繊維束を押し込む(プレスする)ことができる。
【特許文献1】特開平8−218249号公報
【特許文献2】特開2007−16347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示される押圧手段では、列設されたピンの列長さ程度の長さに形成されているプレスプレート及び一対のプレスブロックが大型になり、繊維束配列装置が大型化するという欠点がある。
【0005】
又、繊維束を配列している最中に押圧手段を動作させる位置に配置することができない。そのため、繊維束層1層分の繊維束の配列を終えた後に押圧手段のプレス動作を行わせる位置に押圧手段を配置して動作させざるを得ないが、このような順序では、プレス動作を含む繊維束層の形成に時間が掛かる。
【0006】
本発明は、繊維束配列装置の小型化を図ることを目的とする。本発明の別の目的は、繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束を配列しながら繊維束をプレスする動作を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1乃至請求項8の発明は、列設されたピンに繊維束を掛け止めることで形成される繊維束層を積層形成する繊維束配列装置を対象とし、請求項1の発明は、プレス部を有するプレス部材と、前記プレス部材を前記ピンの列設された方向に移動させるプレス部材移動手段とを備え、前記プレス部が前記プレス部材の進行方向前側に位置し、且つ前記進行方向に向かうにつれて前記繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した状態で、前記プレス部を、前記ピンに掛け止められた繊維束の直列部と該ピンの近傍で順次交差させ、前記繊維束の直列部を該ピンの根元に向けて押し込むことを特徴とする。
【0008】
繊維束を掛け止められたピンの近傍の繊維束の直列部は、プレス部材を移動させて該ピンの根元に向けて押し込められる。ピンの列に沿って移動されるプレス部材は、プレス時に移動しない従来のプレス部材に比べて、小型になる。
【0009】
繊維束が掛け止められてゆくピンを追うようにピンの列方向にプレス部材移動手段によってプレス部材を移動してゆけば、繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束を配列しながらプレス部材によるプレス動作を遂行することができる。
【0010】
好適な例では、前記ピンの列は、平行な2列を含み、前記プレス部材は、該2列に対応して2つ設けられている。
ピンの列に沿って移動される2つのプレス部材は、移動しない従来のプレス部材を2つ用いた場合に比べて、小型になる。又、移動可能な2つのプレス部材を用いる構成では、プレス部材を1つのみ用いる場合に比べてプレス動作を含む繊維束層の形成の時間が短縮される。
【0011】
好適な例では、前記繊維束をガイドするガイド部材と前記ガイド部材を移動させるガイド部材移動手段とを備え、前記ガイド部材移動手段は、X軸方向に直線移動される第1移動体を備えたX軸方向移動手段と、前記X軸方向と直交するY軸方向に直線移動される第2移動体を備えると共に、前記第1移動体に支持されたY軸方向移動手段とを備え、前記ガイド部材は、前記第1移動体の直線移動と前記第2移動体の直線移動との組み合わせに連動して移動され、前記ピンの列設方向は、X軸方向であり、前記プレス部材移動手段は、前記X軸方向移動手段である。
【0012】
プレス部材移動手段とX軸方向移動手段とを共通とした構成は、繊維束配列装置の構成の簡素化に寄与する。
好適な例では、前記ピンの列は、互いに直交する2列を含み、前記プレス部材は、該2列の一方に対応して設けられており、前記2列の他方の列を構成するピンに掛け止められた繊維束を該ピンの近傍で該ピンの根元に向けて押し込み可能にプレスバーが設けられており、前記プレスバーを退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスバー切り換え手段が備えられている。
【0013】
プレスバーと移動可能なプレス部材とを合わせて採用した構成は、互いに直交する2列のピンに掛け止められた繊維束の直列部を移動可能なプレス部材のみでプレス(押し込み)する場合に比べて、プレス動作を含む繊維束層の形成の時間の短縮に有利である。
【0014】
好適な例では、前記プレス部材のプレス位置を調整可能なプレス部材用プレス位置調整手段が備えられている。
プレス部材のプレス動作によって押し込められる繊維束の直列部が大きな力で横方向に押されると、繊維束を掛け止められたピンが曲げられるおそれがある。繊維束層が積層されてゆく毎にプレス部材用プレス位置調整手段によってプレス部材のプレス位置を調整してゆけば、プレス部材のプレス動作によって押し込められる繊維束の直列部を横方向に押す力が過大になることはない。
【0015】
好適な例では、前記ピンの列は、互いに直交する2列を含み、前記プレス部材は、該2列の一方に対応して設けられており、前記2列の他方の列を構成するピンに掛け止められた繊維束を該ピンの近傍で該ピンの根元に向けて押し込み可能にプレスバーが設けられており、前記プレスバーを退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスバー切り換え手段が備えられており、前記プレスバーのプレス位置を調整可能なプレスバー用プレス位置調整手段が備えられている。
【0016】
繊維束層が積層されてゆく毎にプレスバーのプレス位置を調整してゆけば、全ての繊維束層の繊維密度の均一化が可能である。
好適な例では、前記プレスバー用プレス位置調整手段は、前記プレス部材用プレス位置調整手段を兼用する。
【0017】
プレス部材用プレス位置調整手段とプレスバー用プレス位置調整手段とを共通とした構成は、繊維束配列装置の構成の簡素化に寄与する。
好適な例では、前記プレス部材はプレスローラである。
【0018】
プレスローラは、移動しながらピンの近傍で繊維束の直列部を該ピンの根元に向けて押し込む上で好適なプレス部材である。
請求項9の発明は、列設されたピンに繊維束を掛け止めることで形成される繊維束層を積層形成する繊維束配列装置であって、プレス部を有するプレス部材と、前記プレス部材を前記ピンの列設された方向に移動させるプレス部材移動手段とを備え、前記プレス部が前記プレス部材の進行方向前側に位置し、且つ前記進行方向に向かうにつれて前記繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した状態で、前記プレス部を、前記ピンに掛け止められた繊維束の直列部と該ピンの近傍で順次交差させ、前記繊維束の直列部を該ピンの根元に向けて押し込む繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法において、第1繊維束層を形成する繊維束に対する前記プレス部材の第1プレス位置を特定してプレス動作を行わせ、前記第1繊維束層の上に第2繊維束層を形成する場合には、前記ピンの根元から前記ピンの先端側に遠ざかる方向へ前記第1プレス位置から離れた位置に、第2繊維束層を形成する繊維束に対する前記プレス部材の第2プレス位置を設定することを特徴とする。
【0019】
繊維束が掛け止められてゆくピンを追うようにピンの列方向にプレス部材を移動してゆけば、繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束を配列しながらプレス部材によるプレス動作を遂行することができる。繊維束層が積層されてゆく毎にプレス部材のプレス位置が調整されるため、傾斜したプレス部によって押し込められる繊維束を横方向に押し出す力が過大になることはない。
【0020】
請求項10の発明は、請求項3の繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法において、前記ガイド部材により前記繊維束をガイドしながら同時に前記プレス部材によるプレスを行うことを特徴とする。
【0021】
繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束を配列しながらプレス部材によるプレス動作が遂行されるため、プレス動作を含む繊維束層の形成時間が従来よりも短縮する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、繊維束配列装置の小型化できるという優れた効果を奏する。又、本発明は、繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束を配列しながら繊維束をプレスする動作を行えるようにすることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1(a)は、3次元織物を製造するための繊維束配列装置10の全体を示す。
図2に示すように、長方形状のベース11上には一対のリニアスライダ12,13がベース11の長手方向(以下においてはX軸方向という)に延びるように設けられている。リニアスライダ12は、図示しないモータを含むボールネジ機構と、ボールネジ機構の作動によってX軸方向に移動される第1移動体121とを備え、リニアスライダ13は、図示しないモータを含むボールネジ機構と、ボールネジ機構の作動によってX軸方向に移動される第1移動体131とを備えている。リニアスライダ12,13の各ボールネジ機構は、同期して作動され、第1移動体121,131は、同期してX軸方向へ移動する。
【0024】
第1移動体121,131上にはリニアスライダ14がX軸方向と直交する方向(以下においてはY軸方向という)に延びるように架設されている。リニアスライダ12,13が作動すると、リニアスライダ14は、X軸方向へ平行移動する。リニアスライダ14は、図示しないモータを含むボールネジ機構と、ボールネジ機構の作動によってY軸方向に移動される第2移動体141とを備えている。
【0025】
リニアスライダ12,13,14は、制御コンピュータCの作動制御を受ける。
図1(a)に示すように、第2移動体141には支持プレート15が止着されており、支持プレート15には支持フレーム16が止着されている。支持フレーム16には支軸17が上下方向(以下においてはZ軸方向という)に貫通するように、且つ回転可能に支持されており、支軸17の上部には載置板18が止着されている。載置板18上にはモータ19及びボビンホルダ20が支持されている。ボビンホルダ20には繊維束Fからなるボビン21が装着されており、ボビン21は、モータ19の作動によって繊維束Fを繰り出す方向〔図1(a)に矢印Rで示す方向〕に回転される。繊維束Fは、多数本の単繊維(本実施形態では炭素繊維)を撚らないで偏平形状に束ねて形成されている。モータ19は、制御コンピュータCの作動制御を受ける。
【0026】
載置板18には支柱22が立設されており、支柱22の上部には一対のガイドローラ23,24が取り付けられている。ガイドローラ23,24の下方にはテンションローラ25が上下動可能に配設されている。又、支柱22の下部にはガイドロ−ラ26が取り付けられている。ボビン21から繰り出される繊維束Fは、ガイドローラ23,24、テンションローラ25及びガイドロ−ラ26によって載置板18の下方へと案内される。繊維束Fは、テンションローラ25を含む張力付与機構によって適正な張力を付与されるようになっている。
【0027】
支持フレーム16の側部にはモータ34が装着されている。支軸17には歯車35が止着されており、モータ34の出力軸341には歯車36が止着されている。歯車36は、歯車35に噛合されており、モータ34が作動されると、支軸17が回転する。
【0028】
支持フレーム16から下方に突出する支軸17の突出端部にはモータ27が固定されている。モータ27の出力軸であるネジ軸271は、Z軸方向へ延びており、ネジ軸271には支持枠28がナット部29を介して連結されている。ネジ軸271は、ナット部29に螺合されており、モータ27が作動すると、支持枠28がZ軸方向に平行移動する。モータ27は、制御コンピュータCの作動制御を受ける。
【0029】
支持枠28の下部には配列ヘッド30が取り付けられている。配列ヘッド30は、繊維束Fを繰り出す直線形状のガイドパイプ31を備えている。図5(b)に示すように、ガイドパイプ31内のガイド孔311は、偏平形状にしてあり、ガイドパイプ31は、繊維束Fを偏平な状態でガイド孔311から繰り出す。
【0030】
図1(a)に示すように、支持枠28にはガイドローラ32,33が取り付けられている。ガイドロ−ラ26を経由して案内された繊維束Fは、ガイドローラ32,33を介してガイドパイプ31内へ導かれる。
【0031】
図2に示すように、ベース11上には枠体37が設置されている。枠体37は、長方形状に形成されており、枠体37の上面にはピン38が枠体37の周辺に沿って所定ピッチ(例えば、数mmピッチ)で列設されている。ピン38は、平行な列X1,X2上と平行な列Y1,Y2上にあり、列X1,X2と列Y1,Y2とは、直交している。
【0032】
ガイドパイプ31は、モータ27の作動によって適宜の高さ位置に配置されると共に、リニアスライダ12,13の作動とリニアスライダ14の作動との組み合わせによって、X軸方向、Y軸方向又はバイアス方向に移動される。ガイドパイプ31がX軸方向、Y軸方向又はバイアス方向に移動されることにより、ガイドパイプ31内を導かれている繊維束Fがピン38に掛け止められながらガイドパイプ31から引き出されてゆく。図5(a)は、繊維束Fをピン38に掛け止めながら繊維束Fを配列してゆく一例を示す。
【0033】
リニアスライダ12,13,14は、X軸方向、Y軸方向又はバイアス方向にガイドパイプ31を平行移動させるガイド部材移動手段を構成する。リニアスライダ12,13は、X軸方向に直線移動される第1移動体121,131を備えたX軸方向移動手段を構成する。リニアスライダ14は、Y軸方向に直線移動される第2移動体141を備えたY軸方向移動手段を構成する。
【0034】
なお、ピン38の周りでガイドパイプ31を反転させるように移動してピン38に繊維束Fを掛け止めるとき以外には、ガイドパイプ31は、ガイドパイプ31の偏平な面がガイドパイプ31の直線移動方向を向くように、モータ34の作動によって向きを調整される。図2に実線で示す載置板18の配置状態は、ガイドパイプ31の偏平な面がX軸方向を向いた状態であり、図2に鎖線で示す載置板18の配置状態は、ガイドパイプ31の偏平な面がY軸方向を向いた状態である。図5(a)に示す状態では、ガイドパイプ31の偏平な面がY軸方向を向いている。
【0035】
図1(b)に示すように、リニアスライダ14にはプレス装置39が装着されている。次に、プレス装置39の構成を説明する。
図1(b)に示すように、リニアスライダ14には基板40が止着されており、基板40にはモータ41が装着されている。モータ41の出力軸であるネジ軸411は、下方に向けられている。図3(a),(b)に示すように、ネジ軸411にはナット42が螺合されており、ナット42には基枠43が止着されている。モータ41が作動されると、ナット42及び基枠43がZ軸方向に平行移動する。モータ41は、制御コンピュータC〔図1(a)に図示〕の作動制御を受ける。
【0036】
基枠43にはエアシリンダ44,45,46が装着されており、エアシリンダ44,45,46の駆動ロッド441,451,461は、下方を向いている。駆動ロッド441には支持板47が止着されており、支持板47には板形状のプレスバー48が止着されている。板形状のプレスバー48は、Y軸方向とZ軸方向とに平行であり、プレスバー48の下部には直線形状のプレス縁481が形成されている。プレス縁481は、Y軸方向と平行である。
【0037】
エアシリンダ45,46の駆動ロッド451,461には軸支持金具49,50が止着されており、軸支持金具49,50には平板形状のプレスローラ51,52が支軸511,521を介して回転可能に支持されている。平板形状のプレスローラ51,52は、X軸方向とZ軸方向とに平行である。プレス部材としてのプレスローラ51,52間の間隔は、X軸方向の列X1,X2〔図2参照〕に沿ったピン38の2つの列の間の間隔よりも小さくしてあり、プレス縁481の長さは、列X1,X2に沿ったピン38の2つの列の間の間隔よりも大きくしてある。Z軸方向に見た場合、プレスローラ51は、列X1に平行であって列X1に沿ったピン38の内側の近傍にある。又、Z軸方向に見た場合、プレスローラ52は、列X2に平行であって列X2に沿ったピン38の内側の近傍にある。
【0038】
基板40には電磁三方弁53,54,55が装着されている。エアシリンダ44は、電磁三方弁53を介して図示しない圧力エア供給源に接続されている。エアシリンダ45は、電磁三方弁54を介して図示しない前記圧力エア供給源に接続されており、エアシリンダ46は、電磁三方弁55を介して図示しない圧力エア供給源に接続されている。電磁三方弁53,54,55は、制御コンピュータCの励消磁制御を受ける。
【0039】
電磁三方弁53が励磁されると、エアシリンダ44に圧力エアが供給され、駆動ロッド441が延び出してプレスバー48が下方へ平行移動する。駆動ロッド441の延出量は、一定である。電磁三方弁53が励磁状態から消磁状態に切り換えられると、エアシリンダ44内の圧力エアが排出され、駆動ロッド441が退避してプレスバー48が上方へ平行移動する。電磁三方弁54が励磁されると、エアシリンダ45に圧力エアが供給され、駆動ロッド451が延び出してプレスローラ51が下方へ平行移動する。電磁三方弁54が励磁状態から消磁状態に切り換えられると、エアシリンダ45内の圧力エアが排出され、駆動ロッド451が退避してプレスローラ51が上方へ平行移動する。電磁三方弁55が励磁されると、エアシリンダ46に圧力エアが供給され、駆動ロッド461が延び出してプレスローラ52が下方へ平行移動する。電磁三方弁55が励磁状態から消磁状態に切り換えられると、エアシリンダ46内の圧力エアが排出され、駆動ロッド461が退避してプレスローラ52が上方へ平行移動する。駆動ロッド451,461の延出量は、同等、且つ一定である。
【0040】
次に、プレス装置39におけるプレス遂行の制御の一例を説明する。
図6(a)は、X軸方向にガイドパイプ31を移動した後に列Y1,Y2上のピン38に繊維束Fを掛け止めるようにガイドパイプ31の移動を反転させて繊維束Fを配列する配列パターンを示す。Y軸方向の列Y1,Y2に沿ったピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、図6(a)の配列パターンの繊維束層G1の形成が完了する。
【0041】
列Y1上のピン38のうち所定のピン38全てに対する繊維束Fの掛け止めが列Y2上のピン38よりも先に完了したとすると、プレスバー48のプレス縁481が列Y1上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図7(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図7(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y1上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fx〔図6(a)に図示〕をピン38の根元に向けてプレスする。図7(a)に鎖線で示す状態及び図7(b)に鎖線で示す状態は、列Y1に沿ったプレスバー48によるプレスの状態を示す。図7(a)に鎖線で示すプレスバー48の位置は、繊維束Fに対してプレスが行われているプレス位置であり、図7(a)に実線で示すプレスバー48の位置は、プレスバー48の退避位置である。その後、電磁三方弁53が消磁され、プレスバー48が退避位置まで上動される。
【0042】
列Y1に沿ったプレスバー48によるプレスが終了した後、ガイドパイプ31の移動によって列Y2上のピン38のうち所定のピン38の残りに対する繊維束Fの掛け止めが行われる。列Y2上のピン38のうち所定のピン38全てに対する繊維束Fの掛け止めが完了すると、プレスバー48のプレス縁481が列Y2上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図8(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図8(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y2上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fxをピン38の根元に向けてプレスする。図8(a)に鎖線で示す状態及び図8(b)に実線で示す状態は、列Y2に沿ったプレスバー48によるプレスの状態を示す。図8(a)に実線で示すプレスバー48の位置は、繊維束Fに対してプレスが行われているプレス位置であり、図8(a)に実線で示すプレスバー48の位置は、プレスバー48の退避位置である。その後、電磁三方弁53が消磁され、プレスバー48が退避位置まで上動される。
【0043】
図6(b)は、Y軸方向にガイドパイプ31を移動した後に列X1,X2上のピン38に繊維束Fを掛け止めるようにガイドパイプ31の移動を反転させて繊維束Fを配列する配列パターンを示す。X軸方向の列X1,X2に沿ったピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、図6(b)の配列パターンの繊維束層G2の形成が完了する。
【0044】
図6(b)の配列パターンの繊維束層G2の形成が列Y2側から列Y1側へと進行するように行われる場合、先ず基枠43がモータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁54,55が励磁され、プレスローラ51,52が下動される。第1移動体121,131及びリニアスライダ14が列Y2側から列Y1側へ移動するに伴い、プレスローラ51,52は、繊維束Fを掛け止められている列X1,X2上のピン38の内側を列X1,X2上のピン38の列設方向(X軸方向)に通過してゆく。つまり、プレスローラ51の円周縁の下側凸部512〔(図3(a)に図示〕及びプレスローラ52の円周縁の下側凸部522〔図8(b)に図示〕は、列設されたピン38に掛け止められた繊維束Fの直列部Fy〔図6(b)に図示〕と順次交差してゆく。プレスローラ51の円周縁の下側凸部512及びプレスローラ52の円周縁の下側凸部522は、プレスローラ51,52の進行方向前側に位置し、且つ前記進行方向に向かうにつれて繊維束層の積層方向(Z軸方向)におけるピン38の根元から遠ざかるように傾斜したプレス部である。
【0045】
列X1のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fyは、プレスローラ51の転動によって順次ピン38の根元に向けてプレスされ、列X2のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fyは、プレスローラ52の転動によって順次ピン38の根元に向けてプレスされる。リニアスライダ14は、プレスローラ51,52が繊維束Fを掛け止められている列X1,X2上のピン38全ての内側を通過するまで、列Y2側から列Y1側へ移動される。
【0046】
リニアスライダ14をX軸方向へ移動させるリニアスライダ12,13は、プレスローラ51,52をピン38の列設方向(X軸方向)に移動させてプレス動作を行わせるプレス部材移動手段を構成する。
【0047】
図9(a)に鎖線で示す状態及び図9(b)に鎖線で示す状態は、列X1,X2に沿ったプレスローラ51,52(プレスローラ51)によるプレスの状態を示す。図9(a)に鎖線で示すプレスローラ51,52の位置は、繊維束Fに対してプレスが行われているプレス位置であり、図9(a)に実線で示すプレスローラ51,52の位置は、プレスローラ51,52の退避位置である。その後、電磁三方弁54,55が消磁され、プレスローラ51,52が退避位置まで上動される。
【0048】
図6(b)の配列パターンの繊維束層G2の形成が列Y1側から列Y2側へと進行するように行われる場合には、先ず基枠43がモータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後の電磁三方弁54,55の励消磁は、繊維束層G2の形成が列Y2側から列Y1側へと進行する場合と同様に行われ、リニアスライダ14の作動は、列Y1側から列Y2側へ移動される。
【0049】
図6(c)は、バイアス方向にガイドパイプ31を移動した後にピン38に繊維束Fを掛け止めるようにガイドパイプ31の移動を反転させて繊維束Fを配列する配列パターンを示す。X軸方向の列X1,X2に沿ったピン38のうち所定のピン38全て、及びY軸方向の列Y1,Y2上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、図6(c)の配列パターンの繊維束層G3の形成が完了する。
【0050】
図6(c)の配列パターンの繊維束層G3の形成が列Y2側から列Y1側へ進行するように行われてゆく場合、先ず基枠43がモータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁54,55が励磁され、プレスローラ51,52が下動される。列Y2上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、プレスバー48のプレス縁481が列Y2上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図8(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図8(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y2上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fbをピン38の根元に向けてプレスする。その後、電磁三方弁53が消磁され、プレスバー48が上動される。
【0051】
列Y1上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、プレスバー48のプレス縁481が列Y1上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図7(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図7(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y1上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fbをピン38の根元に向けてプレスする。その後、電磁三方弁53,54,55が消磁され、プレスバー48及びプレスローラ51,52が上動される。
【0052】
図6(c)の配列パターンの繊維束層G3の形成が列Y1側から列Y2側へ進行するように行われてゆく場合、先ず基枠43がモータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁54,55が励磁され、プレスローラ51,52が下動される。列Y1上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、プレスバー48のプレス縁481が列Y1上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図7(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図7(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y1上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fbをピン38の根元に向けてプレスする。その後、電磁三方弁53が消磁され、プレスバー48が上動される。
【0053】
列Y2上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、プレスバー48のプレス縁481が列Y2上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図8(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図8(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y2上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fbをピン38の根元に向けてプレスする。その後、電磁三方弁53が消磁され、プレスバー48が上動される。そして、リニアスライダ14は、プレスローラ51,52が繊維束Fを掛け止められている列X1,X2上のピン38全ての内側を通過するまで、列Y1側から列Y2側へ移動される。その後、電磁三方弁54,55が消磁され、プレスローラ51,52が上動される。
【0054】
図6(d)は、図6(c)におけるバイアス方向に対して直交するバイアス方向にガイドパイプ31を移動した後にピン38に繊維束Fを掛け止めるようにガイドパイプ31の移動を反転させて繊維束Fを配列する配列パターンを示す。X軸方向の列X1,X2上のピン38のうち所定のピン38全て、及びY軸方向の列Y1,Y2上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、図6(d)の配列パターンの繊維束層G4の形成が完了する。図6(d)の繊維束層G4の形成に伴うプレス装置39によるプレス遂行も図6(c)の場合と同様に行われる。
【0055】
エアシリンダ44及び電磁三方弁53は、プレスバー48を退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスバー切り換え手段を構成する。エアシリンダ45及び電磁三方弁54は、プレスローラ51を退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスローラ切り換え手段を構成する。エアシリンダ46及び電磁三方弁55は、プレスローラ52を退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスローラ切り換え手段を構成する。
【0056】
繊維束層の形成の際には、制御コンピュータCは、図12のフローチャートで示すプレス位置制御プログラムに基づいて、プレスローラ51,52のプレス位置を制御する。以下、図12のフローチャートに従ってプレスローラ51,52のプレス位置制御を説明する。
【0057】
N番目のN繊維束層(Nは1以上の整数)〔図6(a),(b),(c),(d)に示す繊維束層G1,G2,G3,G4のいずれか1つ〕を形成する場合、制御コンピュータCは、先ずモータ27を作動させてガイドパイプ31の高さ位置を設定する(ステップS1)。次いで、制御コンピュータCは、モータ41を作動させてプレスバー48及びプレスローラ51,52の退避位置を設定する(ステップS2)。図10(a)は、プレスバー48及びプレスローラ51,52(プレスローラ52のみ図示)が初期退避位置(N=1の場合)にある状態を示す。ステップS2の処理後、制御コンピュータCは、N繊維束層の形成を開始する(ステップS3)。図10(b)は、プレスバー48及びプレスローラ51,52(プレスローラ52のみ図示)が初期プレス位置(N=1の場合)にある状態を示す。
【0058】
制御コンピュータCは、N繊維束層の形成が終了したか否かを判断しており(ステップS4)、N繊維束層の形成が終了する(ステップS4においてYES)と、制御コンピュータCは、NがNo(2以上の特定された整数であって繊維束層の最終の積層数)であるか否かを判断する(ステップS5)。NがNoでない場合(ステップS5においてNO)、制御コンピュータCは、(N+1)をNとして(ステップS6)、ステップS1へ移行する。NがNoである場合(ステップS4においてYES)、制御コンピュータCは、繊維束層の形成を停止する。
【0059】
ステップS6からステップS1へ移行した場合、制御コンピュータCは、ガイドパイプ31の次の(N+1)番目の(N+1)繊維束層用の高さ位置を設定し、次いで(N+1)番目の(N+1)繊維束層用のプレスバー48及びプレスローラ51,52の退避位置を設定する。つまり、モータ27が作動されてガイドパイプ31が所定量上動され、モータ41が作動されてプレスバー48及びプレスローラ51,52が所定量上動される。そして、制御コンピュータCは、(N+1)繊維束層の形成を開始する。
【0060】
図11(a)に示すように、プレスローラ51,52(プレスローラ52のみ図示)が実線で示す定位置のプレス位置に配置された状態で矢印Qの方向に進行するものとし、列設されたピン38の端にあるピン38Aに掛け止められた繊維束Fnがピン38Aの近傍で最初にプレスされるものとする。プレスローラ51,52によって押し込められる第1繊維束層としてのN繊維束層用の繊維束Fnは、プレスローラ51,52の周面の最下位以外に接触している場合には横方向(X軸方向)への押し出し力〔矢印Pで示す〕を受ける。整数Nが大きくなってゆくと、押し出し力Pが大きくなってゆくが、この押し出し力Pが過大であると、ピン38Aに横方向の大きな荷重が掛かり、ピン38Aが曲げられてしまう。図11(b)に示すように、プレスローラ51,52がプレスされた繊維束Fn上に乗ってしまえば、以後にプレスされる繊維束Fnに対応した押し出し力Pは小さく、ピン38A以外のピン38が曲げられることはない。
【0061】
エアシリンダ44の駆動ロッド441の延出量は、一定であり、エアシリンダ45,46の駆動ロッド451,461の延出量は、一定、且つ同等である。本実施形態では、繊維束層の形成終了毎におけるプレスバー48及びプレスローラ51,52の退避位置の変更量は、一定である。従って、繊維束層の形成終了毎におけるプレスバー48及びプレスローラ51,52のプレス位置の変更量は、一定、且つ同等である。又、ガイドパイプ31の高さ位置の変更量も一定である。
【0062】
プレスバー48及びプレスローラ51,52の初期プレス位置、及びプレス位置の変更量は、プレスローラ51,52によってプレスされている繊維束Fの列を掛け止めているピン38に横方向の大きな荷重が掛からないように、適宜選択される。これにより、プレスローラ51,52のプレス動作によってピン38が曲がるようなことはない。図11(a)に示すプレスローラ52の下側の鎖線位置は、第1繊維束層としてのN繊維束層用の第1プレス位置の一例を示し、プレスローラ52の上側の鎖線位置は、第2繊維束層としての(N+1)繊維束層用の第2プレス位置の一例を示す。
【0063】
モータ41、ネジ軸411及びナット42は、プレス部材用プレス位置調整手段及びプレスバー用プレス位置調整手段を構成する。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
【0064】
(1)列X1,X2上のピン38に掛け止められた繊維束Fの直列部Fy,Fbは、列X1,X2に沿って転動されるプレスローラ51,52によってピン38の根元に向けて押し込められる。ピン38の列に沿って移動されるプレスローラ51,52は、プレス時に移動しない従来のプレス部材に比べて、小型になり、プレス装置39が小型になる。繊維束層上を転動するプレスローラ51,52は、プレス時に繊維束を擦ることなく移動させるプレス部材として好適である。
【0065】
(2)プレスローラ51,52は、繊維束Fが掛け止められてゆくピン38を追うようにピン38の列方向(X軸方向)に転動されるため、繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束Fを配列しながらプレスローラ51,52によるプレス動作が遂行される。その結果、プレス動作を含めた繊維束層の形成の時間がプレスローラ51,52を用いない従来の繊維束配列装置の場合よりも短縮する。
【0066】
(3)繊維束層が増えて行く毎にガイドパイプ31の高さ位置が高くされてゆくため、ピン38に対する繊維束Fの掛け止め位置が高くなってゆく。しかし、繊維束層が積層されてゆく毎にプレスローラ51,52のプレス位置がモータ41の作動によって調整されるため、プレスローラ51,52によって押し込められる繊維束Fを横方向(X軸方向)に押し出す力が過大になることはない。その結果、ピン38に掛け止められた繊維束FのFy,Fbをプレスローラ51,52によってプレスしても、このピン38が曲げられるおそれはない。
【0067】
(4)プレスローラ51,52のプレス位置を調整しないとすると、プレス動作によって押し込められる繊維束Fに横方向に掛かる力を低減するためにプレスローラ51,52の径を大きくする必要がある。繊維束層が積層されてゆく毎にプレスローラ51,52のプレス位置を調整する構成では、プレスローラ51,52の径を小さくすることができる。これは、プレス装置39の軽量化に寄与する。
【0068】
(5)2つのプレスローラ51,52が平行な列X1,X2に沿って転動されるため、プレス動作を含む繊維束層の形成の時間は、プレスローラを1つのみ用いる場合に比べて短くなる。
【0069】
(6)プレスローラ51,52の代わりにプレスバー48のようなプレス時に移動しないプレス部材を用いると、リニアスライダ12,13,14によって移動される部材の重量が増え、繊維束層の形成に必要な動力が増大する。プレスローラ51,52の採用は、リニアスライダ12,13,14によって移動される部材の重量減に寄与する。
【0070】
(7)プレスローラ51,52及びガイドパイプ31は、リニアスライダ12,13の作動によってX軸方向へ移動し、ガイドパイプ31をX軸方向へ移動させるリニアスライダ12,13は、プレスローラ51,52を移動させる手段を兼ねる。プレス部材移動手段とX軸方向移動手段とを共通とした構成は、繊維束配列装置10の構成の簡素化に寄与する。
【0071】
(8)プレスバー48の代わりにプレスローラによって繊維束をプレスしようとすると、列Y1,Y2に沿ってY軸方向にプレスローラを転動させねばならず、プレス動作を含む繊維束層の形成の時間が列Y1,Y2に沿ってY軸方向にプレスローラを転動させる分だけ余分に掛かる。プレスバー48とプレスローラ51,52とを合わせて採用した構成は、互いに直交する2列(列X1,X2と列Y1,Y2)のピン38に掛け止められた繊維束Fの直列部Fx,Fy,Fbをプレスローラのみでプレス(押し込み)する場合に比べて、プレス動作を含む繊維束層の形成の時間の短縮に有利である。
【0072】
(9)三次元繊維構造体の物性の観点からすると、全ての繊維束層の繊維密度が均一であることが望ましい。繊維束層が積層されてゆく毎にプレスバー48及びプレスローラ51,52のプレス位置がモータ41の作動によって調整されるため、全ての繊維束層の繊維密度が略均一になる。又、モータ41のみによってプレスバー48及びプレスローラ51,52のプレス位置を調整する構成は、繊維束配列装置10の構成の簡素化に寄与する。
【0073】
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○プレス装置39のうちの一方のプレスローラ(例えばプレスローラ52)を省略し、図1(a)の状態からプレス装置39全体をZ軸の周りに180°回転できるようにしてもよい。残ったプレスローラ(例えばプレスローラ51)は、図1(a)の状態において列X1に沿って転動され、図1(a)の状態からプレス装置39全体をZ軸の周りに180°回転させた状態では、残ったプレスローラ(例えばプレスローラ51)は、列X2に沿って転動されることになる。
【0074】
○2つのプレスローラ51,52を単一のエアシリンダによってZ軸方向に移動させるようにしてもよい。
○モータによって駆動されるボールネジ機構を用いてプレスローラ51,52を上下動させるようにしてもよい。
【0075】
○プレスバー48が列X1,X2に沿って繊維束をプレスし、プレスローラ51,52が列Y1,Y2に沿って転動するようにしてもよい。
○上述した実施形態においては、プレスローラを下げてから繊維束を張ることで繊維束を張ると同時にローラによりプレスをしていたが、繊維束を張って繊維束層を1層形成し終えた後にプレスローラによってプレスするようにしてもよい。
○プレスローラの代わりに、図13,14に示すようなプレス部材56,57を使用してもよい。図13に示すプレス部材56は、進行方向に向かうにつれて繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した直線的なプレス部561を有している。図14に示すプレス部材57は、進行方向に向かうにつれて繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した湾曲状のプレス部571を有している。
○プレスローラ51,52は、回転しなくても良い。
○ピンの配列は、直線的なものに限定されず、カーブするように配置されていてもよい。その場合には、プレスローラもピンの配列のカーブに沿ってカーブするように移動するようにするのが好ましい。
○ガイドパイプ31の代わりに、例えば棒状部材の先端部に二又状の部材を取り付けたものを使用し、二又状の部材により繊維束をガイドするようにしてもよい。
○プレス部材は、少なくとも進行方向に向かうにつれて繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜しているプレス部を有していれば、そのプレス部以外にもそれ以外の方向に向って形成された傾斜部を有していても良い。例えば、円錐形状の部材を逆さまにしたような形状の部材をプレス部材として用いても良い。
○プレス部は、常に傾斜していなくてもよく、例えば、プレスする時以外は垂直な面から成るプレス部を、プレスする時だけ傾けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施形態を示し、(a)は、繊維束配列装置10の側面図。(b)は、部分拡大側面図。
【図2】繊維束配列装置10の平断面図。
【図3】(a)は部分斜視図。(b)は部分正面図。
【図4】図3(b)のA−A線断面図。
【図5】(a)は、繊維束Fの配列を示す斜視図。(b)は、ガイドパイプの部分拡大斜視図。
【図6】(a),(b),(c),(d)は、配列パターンを示す簡略平面図。
【図7】(a)は部分正面図。(b)は部分側面図。
【図8】(a)は部分正面図。(b)は部分側面図。
【図9】(a)は部分正面図。(b)は部分側面図。
【図10】(a),(b)は部分拡大側面図。
【図11】(a),(b)は部分拡大側面図。
【図12】プレス位置制御プログラムを示すフローチャート。
【図13】別の実施形態を示す部分拡大側面図。
【図14】別の実施形態を示す部分拡大側面図。
【符号の説明】
【0077】
10…繊維束配列装置。12…ガイド部材移動手段及びプレス部材移動手段を構成するX軸方向移動手段としてのリニアスライダ。121…第1移動体。13…ガイド部材移動手段及びプレス部材移動手段を構成するX軸方向移動手段としてのリニアスライダ。131…第1移動体。14…ガイド部材移動手段を構成するY軸方向移動手段としてのリニアスライダ。141…第2移動体。31…ガイド部材としてのガイドパイプ。311…ガイド孔。38…ピン。41…プレス部材用プレス位置調整手段及びプレスバー用プレス位置調整手段を構成するモータ。44…プレスバー切り換え手段を構成するエアシリンダ。48…プレスバー。51,52…プレス部材としてのプレスローラ。512,522…プレス部としての下側凸部。56,57…プレス部材。561,571…プレス部。F,Fn…繊維束。X1,X2,Y1,Y2…列。Fx,Fy,Fb…直列部。G1,G2,G3,G4…繊維束層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、列設されたピンに繊維束を掛け止めた状態でガイドパイプを移動させることによって前記ガイドパイプのガイド孔内から前記繊維束を引き出しながら配列する繊維束配列装置及び繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量の構造材料として広く使用されている繊維強化複合材のうち、三次元織物(三次元繊維構造体)を強化材として使用したものは、強度が非常に高く、航空機等の構造材として一部使用されている。このような繊維強化複合材の強化材に使用する三次元繊維構造体の製法としては、繊維束を折り返し状に配列した繊維束層を複数積層して少なくとも2軸配向となる繊維束積層群を形成し、その繊維束積層群を各繊維束層と直交する方向に配列される厚さ方向糸で結合する三次元繊維構造体の製造方法がある。特許文献1,2には、配列面に沿って移動されるガイドパイプから繊維束を繰り出しながら、所定ピッチで配置したピン間に繊維束を偏平な状態で、かつ繊維束の偏平な面が配列面に沿った状態で折り返し状に配列して繊維束層を形成する繊維束配列装置が開示されている。
【0003】
三次元繊維構造体の物性の観点からすると、繊維束の繊維密度が高いことが望ましい。繊維束の繊維密度を高めるには、ピンに掛け止められた繊維束列を該ピンの近傍で該ピンの根元に向けて押し込めば良い。そのための押し込み機構としては、例えば、特許文献1に開示されるプレスプレートと一対のプレスブロックとを用いた押圧手段の採用が可能である。プレスプレート及び一対のプレスブロックは、列設されたピンの列長さ程度の長さに形成されており、列設されたピンの列長さ全体にわたって一度に繊維束を押し込む(プレスする)ことができる。
【特許文献1】特開平8−218249号公報
【特許文献2】特開2007−16347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示される押圧手段では、列設されたピンの列長さ程度の長さに形成されているプレスプレート及び一対のプレスブロックが大型になり、繊維束配列装置が大型化するという欠点がある。
【0005】
又、繊維束を配列している最中に押圧手段を動作させる位置に配置することができない。そのため、繊維束層1層分の繊維束の配列を終えた後に押圧手段のプレス動作を行わせる位置に押圧手段を配置して動作させざるを得ないが、このような順序では、プレス動作を含む繊維束層の形成に時間が掛かる。
【0006】
本発明は、繊維束配列装置の小型化を図ることを目的とする。本発明の別の目的は、繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束を配列しながら繊維束をプレスする動作を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1乃至請求項8の発明は、列設されたピンに繊維束を掛け止めることで形成される繊維束層を積層形成する繊維束配列装置を対象とし、請求項1の発明は、プレス部を有するプレス部材と、前記プレス部材を前記ピンの列設された方向に移動させるプレス部材移動手段とを備え、前記プレス部が前記プレス部材の進行方向前側に位置し、且つ前記進行方向に向かうにつれて前記繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した状態で、前記プレス部を、前記ピンに掛け止められた繊維束の直列部と該ピンの近傍で順次交差させ、前記繊維束の直列部を該ピンの根元に向けて押し込むことを特徴とする。
【0008】
繊維束を掛け止められたピンの近傍の繊維束の直列部は、プレス部材を移動させて該ピンの根元に向けて押し込められる。ピンの列に沿って移動されるプレス部材は、プレス時に移動しない従来のプレス部材に比べて、小型になる。
【0009】
繊維束が掛け止められてゆくピンを追うようにピンの列方向にプレス部材移動手段によってプレス部材を移動してゆけば、繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束を配列しながらプレス部材によるプレス動作を遂行することができる。
【0010】
好適な例では、前記ピンの列は、平行な2列を含み、前記プレス部材は、該2列に対応して2つ設けられている。
ピンの列に沿って移動される2つのプレス部材は、移動しない従来のプレス部材を2つ用いた場合に比べて、小型になる。又、移動可能な2つのプレス部材を用いる構成では、プレス部材を1つのみ用いる場合に比べてプレス動作を含む繊維束層の形成の時間が短縮される。
【0011】
好適な例では、前記繊維束をガイドするガイド部材と前記ガイド部材を移動させるガイド部材移動手段とを備え、前記ガイド部材移動手段は、X軸方向に直線移動される第1移動体を備えたX軸方向移動手段と、前記X軸方向と直交するY軸方向に直線移動される第2移動体を備えると共に、前記第1移動体に支持されたY軸方向移動手段とを備え、前記ガイド部材は、前記第1移動体の直線移動と前記第2移動体の直線移動との組み合わせに連動して移動され、前記ピンの列設方向は、X軸方向であり、前記プレス部材移動手段は、前記X軸方向移動手段である。
【0012】
プレス部材移動手段とX軸方向移動手段とを共通とした構成は、繊維束配列装置の構成の簡素化に寄与する。
好適な例では、前記ピンの列は、互いに直交する2列を含み、前記プレス部材は、該2列の一方に対応して設けられており、前記2列の他方の列を構成するピンに掛け止められた繊維束を該ピンの近傍で該ピンの根元に向けて押し込み可能にプレスバーが設けられており、前記プレスバーを退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスバー切り換え手段が備えられている。
【0013】
プレスバーと移動可能なプレス部材とを合わせて採用した構成は、互いに直交する2列のピンに掛け止められた繊維束の直列部を移動可能なプレス部材のみでプレス(押し込み)する場合に比べて、プレス動作を含む繊維束層の形成の時間の短縮に有利である。
【0014】
好適な例では、前記プレス部材のプレス位置を調整可能なプレス部材用プレス位置調整手段が備えられている。
プレス部材のプレス動作によって押し込められる繊維束の直列部が大きな力で横方向に押されると、繊維束を掛け止められたピンが曲げられるおそれがある。繊維束層が積層されてゆく毎にプレス部材用プレス位置調整手段によってプレス部材のプレス位置を調整してゆけば、プレス部材のプレス動作によって押し込められる繊維束の直列部を横方向に押す力が過大になることはない。
【0015】
好適な例では、前記ピンの列は、互いに直交する2列を含み、前記プレス部材は、該2列の一方に対応して設けられており、前記2列の他方の列を構成するピンに掛け止められた繊維束を該ピンの近傍で該ピンの根元に向けて押し込み可能にプレスバーが設けられており、前記プレスバーを退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスバー切り換え手段が備えられており、前記プレスバーのプレス位置を調整可能なプレスバー用プレス位置調整手段が備えられている。
【0016】
繊維束層が積層されてゆく毎にプレスバーのプレス位置を調整してゆけば、全ての繊維束層の繊維密度の均一化が可能である。
好適な例では、前記プレスバー用プレス位置調整手段は、前記プレス部材用プレス位置調整手段を兼用する。
【0017】
プレス部材用プレス位置調整手段とプレスバー用プレス位置調整手段とを共通とした構成は、繊維束配列装置の構成の簡素化に寄与する。
好適な例では、前記プレス部材はプレスローラである。
【0018】
プレスローラは、移動しながらピンの近傍で繊維束の直列部を該ピンの根元に向けて押し込む上で好適なプレス部材である。
請求項9の発明は、列設されたピンに繊維束を掛け止めることで形成される繊維束層を積層形成する繊維束配列装置であって、プレス部を有するプレス部材と、前記プレス部材を前記ピンの列設された方向に移動させるプレス部材移動手段とを備え、前記プレス部が前記プレス部材の進行方向前側に位置し、且つ前記進行方向に向かうにつれて前記繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した状態で、前記プレス部を、前記ピンに掛け止められた繊維束の直列部と該ピンの近傍で順次交差させ、前記繊維束の直列部を該ピンの根元に向けて押し込む繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法において、第1繊維束層を形成する繊維束に対する前記プレス部材の第1プレス位置を特定してプレス動作を行わせ、前記第1繊維束層の上に第2繊維束層を形成する場合には、前記ピンの根元から前記ピンの先端側に遠ざかる方向へ前記第1プレス位置から離れた位置に、第2繊維束層を形成する繊維束に対する前記プレス部材の第2プレス位置を設定することを特徴とする。
【0019】
繊維束が掛け止められてゆくピンを追うようにピンの列方向にプレス部材を移動してゆけば、繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束を配列しながらプレス部材によるプレス動作を遂行することができる。繊維束層が積層されてゆく毎にプレス部材のプレス位置が調整されるため、傾斜したプレス部によって押し込められる繊維束を横方向に押し出す力が過大になることはない。
【0020】
請求項10の発明は、請求項3の繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法において、前記ガイド部材により前記繊維束をガイドしながら同時に前記プレス部材によるプレスを行うことを特徴とする。
【0021】
繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束を配列しながらプレス部材によるプレス動作が遂行されるため、プレス動作を含む繊維束層の形成時間が従来よりも短縮する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、繊維束配列装置の小型化できるという優れた効果を奏する。又、本発明は、繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束を配列しながら繊維束をプレスする動作を行えるようにすることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1(a)は、3次元織物を製造するための繊維束配列装置10の全体を示す。
図2に示すように、長方形状のベース11上には一対のリニアスライダ12,13がベース11の長手方向(以下においてはX軸方向という)に延びるように設けられている。リニアスライダ12は、図示しないモータを含むボールネジ機構と、ボールネジ機構の作動によってX軸方向に移動される第1移動体121とを備え、リニアスライダ13は、図示しないモータを含むボールネジ機構と、ボールネジ機構の作動によってX軸方向に移動される第1移動体131とを備えている。リニアスライダ12,13の各ボールネジ機構は、同期して作動され、第1移動体121,131は、同期してX軸方向へ移動する。
【0024】
第1移動体121,131上にはリニアスライダ14がX軸方向と直交する方向(以下においてはY軸方向という)に延びるように架設されている。リニアスライダ12,13が作動すると、リニアスライダ14は、X軸方向へ平行移動する。リニアスライダ14は、図示しないモータを含むボールネジ機構と、ボールネジ機構の作動によってY軸方向に移動される第2移動体141とを備えている。
【0025】
リニアスライダ12,13,14は、制御コンピュータCの作動制御を受ける。
図1(a)に示すように、第2移動体141には支持プレート15が止着されており、支持プレート15には支持フレーム16が止着されている。支持フレーム16には支軸17が上下方向(以下においてはZ軸方向という)に貫通するように、且つ回転可能に支持されており、支軸17の上部には載置板18が止着されている。載置板18上にはモータ19及びボビンホルダ20が支持されている。ボビンホルダ20には繊維束Fからなるボビン21が装着されており、ボビン21は、モータ19の作動によって繊維束Fを繰り出す方向〔図1(a)に矢印Rで示す方向〕に回転される。繊維束Fは、多数本の単繊維(本実施形態では炭素繊維)を撚らないで偏平形状に束ねて形成されている。モータ19は、制御コンピュータCの作動制御を受ける。
【0026】
載置板18には支柱22が立設されており、支柱22の上部には一対のガイドローラ23,24が取り付けられている。ガイドローラ23,24の下方にはテンションローラ25が上下動可能に配設されている。又、支柱22の下部にはガイドロ−ラ26が取り付けられている。ボビン21から繰り出される繊維束Fは、ガイドローラ23,24、テンションローラ25及びガイドロ−ラ26によって載置板18の下方へと案内される。繊維束Fは、テンションローラ25を含む張力付与機構によって適正な張力を付与されるようになっている。
【0027】
支持フレーム16の側部にはモータ34が装着されている。支軸17には歯車35が止着されており、モータ34の出力軸341には歯車36が止着されている。歯車36は、歯車35に噛合されており、モータ34が作動されると、支軸17が回転する。
【0028】
支持フレーム16から下方に突出する支軸17の突出端部にはモータ27が固定されている。モータ27の出力軸であるネジ軸271は、Z軸方向へ延びており、ネジ軸271には支持枠28がナット部29を介して連結されている。ネジ軸271は、ナット部29に螺合されており、モータ27が作動すると、支持枠28がZ軸方向に平行移動する。モータ27は、制御コンピュータCの作動制御を受ける。
【0029】
支持枠28の下部には配列ヘッド30が取り付けられている。配列ヘッド30は、繊維束Fを繰り出す直線形状のガイドパイプ31を備えている。図5(b)に示すように、ガイドパイプ31内のガイド孔311は、偏平形状にしてあり、ガイドパイプ31は、繊維束Fを偏平な状態でガイド孔311から繰り出す。
【0030】
図1(a)に示すように、支持枠28にはガイドローラ32,33が取り付けられている。ガイドロ−ラ26を経由して案内された繊維束Fは、ガイドローラ32,33を介してガイドパイプ31内へ導かれる。
【0031】
図2に示すように、ベース11上には枠体37が設置されている。枠体37は、長方形状に形成されており、枠体37の上面にはピン38が枠体37の周辺に沿って所定ピッチ(例えば、数mmピッチ)で列設されている。ピン38は、平行な列X1,X2上と平行な列Y1,Y2上にあり、列X1,X2と列Y1,Y2とは、直交している。
【0032】
ガイドパイプ31は、モータ27の作動によって適宜の高さ位置に配置されると共に、リニアスライダ12,13の作動とリニアスライダ14の作動との組み合わせによって、X軸方向、Y軸方向又はバイアス方向に移動される。ガイドパイプ31がX軸方向、Y軸方向又はバイアス方向に移動されることにより、ガイドパイプ31内を導かれている繊維束Fがピン38に掛け止められながらガイドパイプ31から引き出されてゆく。図5(a)は、繊維束Fをピン38に掛け止めながら繊維束Fを配列してゆく一例を示す。
【0033】
リニアスライダ12,13,14は、X軸方向、Y軸方向又はバイアス方向にガイドパイプ31を平行移動させるガイド部材移動手段を構成する。リニアスライダ12,13は、X軸方向に直線移動される第1移動体121,131を備えたX軸方向移動手段を構成する。リニアスライダ14は、Y軸方向に直線移動される第2移動体141を備えたY軸方向移動手段を構成する。
【0034】
なお、ピン38の周りでガイドパイプ31を反転させるように移動してピン38に繊維束Fを掛け止めるとき以外には、ガイドパイプ31は、ガイドパイプ31の偏平な面がガイドパイプ31の直線移動方向を向くように、モータ34の作動によって向きを調整される。図2に実線で示す載置板18の配置状態は、ガイドパイプ31の偏平な面がX軸方向を向いた状態であり、図2に鎖線で示す載置板18の配置状態は、ガイドパイプ31の偏平な面がY軸方向を向いた状態である。図5(a)に示す状態では、ガイドパイプ31の偏平な面がY軸方向を向いている。
【0035】
図1(b)に示すように、リニアスライダ14にはプレス装置39が装着されている。次に、プレス装置39の構成を説明する。
図1(b)に示すように、リニアスライダ14には基板40が止着されており、基板40にはモータ41が装着されている。モータ41の出力軸であるネジ軸411は、下方に向けられている。図3(a),(b)に示すように、ネジ軸411にはナット42が螺合されており、ナット42には基枠43が止着されている。モータ41が作動されると、ナット42及び基枠43がZ軸方向に平行移動する。モータ41は、制御コンピュータC〔図1(a)に図示〕の作動制御を受ける。
【0036】
基枠43にはエアシリンダ44,45,46が装着されており、エアシリンダ44,45,46の駆動ロッド441,451,461は、下方を向いている。駆動ロッド441には支持板47が止着されており、支持板47には板形状のプレスバー48が止着されている。板形状のプレスバー48は、Y軸方向とZ軸方向とに平行であり、プレスバー48の下部には直線形状のプレス縁481が形成されている。プレス縁481は、Y軸方向と平行である。
【0037】
エアシリンダ45,46の駆動ロッド451,461には軸支持金具49,50が止着されており、軸支持金具49,50には平板形状のプレスローラ51,52が支軸511,521を介して回転可能に支持されている。平板形状のプレスローラ51,52は、X軸方向とZ軸方向とに平行である。プレス部材としてのプレスローラ51,52間の間隔は、X軸方向の列X1,X2〔図2参照〕に沿ったピン38の2つの列の間の間隔よりも小さくしてあり、プレス縁481の長さは、列X1,X2に沿ったピン38の2つの列の間の間隔よりも大きくしてある。Z軸方向に見た場合、プレスローラ51は、列X1に平行であって列X1に沿ったピン38の内側の近傍にある。又、Z軸方向に見た場合、プレスローラ52は、列X2に平行であって列X2に沿ったピン38の内側の近傍にある。
【0038】
基板40には電磁三方弁53,54,55が装着されている。エアシリンダ44は、電磁三方弁53を介して図示しない圧力エア供給源に接続されている。エアシリンダ45は、電磁三方弁54を介して図示しない前記圧力エア供給源に接続されており、エアシリンダ46は、電磁三方弁55を介して図示しない圧力エア供給源に接続されている。電磁三方弁53,54,55は、制御コンピュータCの励消磁制御を受ける。
【0039】
電磁三方弁53が励磁されると、エアシリンダ44に圧力エアが供給され、駆動ロッド441が延び出してプレスバー48が下方へ平行移動する。駆動ロッド441の延出量は、一定である。電磁三方弁53が励磁状態から消磁状態に切り換えられると、エアシリンダ44内の圧力エアが排出され、駆動ロッド441が退避してプレスバー48が上方へ平行移動する。電磁三方弁54が励磁されると、エアシリンダ45に圧力エアが供給され、駆動ロッド451が延び出してプレスローラ51が下方へ平行移動する。電磁三方弁54が励磁状態から消磁状態に切り換えられると、エアシリンダ45内の圧力エアが排出され、駆動ロッド451が退避してプレスローラ51が上方へ平行移動する。電磁三方弁55が励磁されると、エアシリンダ46に圧力エアが供給され、駆動ロッド461が延び出してプレスローラ52が下方へ平行移動する。電磁三方弁55が励磁状態から消磁状態に切り換えられると、エアシリンダ46内の圧力エアが排出され、駆動ロッド461が退避してプレスローラ52が上方へ平行移動する。駆動ロッド451,461の延出量は、同等、且つ一定である。
【0040】
次に、プレス装置39におけるプレス遂行の制御の一例を説明する。
図6(a)は、X軸方向にガイドパイプ31を移動した後に列Y1,Y2上のピン38に繊維束Fを掛け止めるようにガイドパイプ31の移動を反転させて繊維束Fを配列する配列パターンを示す。Y軸方向の列Y1,Y2に沿ったピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、図6(a)の配列パターンの繊維束層G1の形成が完了する。
【0041】
列Y1上のピン38のうち所定のピン38全てに対する繊維束Fの掛け止めが列Y2上のピン38よりも先に完了したとすると、プレスバー48のプレス縁481が列Y1上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図7(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図7(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y1上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fx〔図6(a)に図示〕をピン38の根元に向けてプレスする。図7(a)に鎖線で示す状態及び図7(b)に鎖線で示す状態は、列Y1に沿ったプレスバー48によるプレスの状態を示す。図7(a)に鎖線で示すプレスバー48の位置は、繊維束Fに対してプレスが行われているプレス位置であり、図7(a)に実線で示すプレスバー48の位置は、プレスバー48の退避位置である。その後、電磁三方弁53が消磁され、プレスバー48が退避位置まで上動される。
【0042】
列Y1に沿ったプレスバー48によるプレスが終了した後、ガイドパイプ31の移動によって列Y2上のピン38のうち所定のピン38の残りに対する繊維束Fの掛け止めが行われる。列Y2上のピン38のうち所定のピン38全てに対する繊維束Fの掛け止めが完了すると、プレスバー48のプレス縁481が列Y2上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図8(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図8(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y2上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fxをピン38の根元に向けてプレスする。図8(a)に鎖線で示す状態及び図8(b)に実線で示す状態は、列Y2に沿ったプレスバー48によるプレスの状態を示す。図8(a)に実線で示すプレスバー48の位置は、繊維束Fに対してプレスが行われているプレス位置であり、図8(a)に実線で示すプレスバー48の位置は、プレスバー48の退避位置である。その後、電磁三方弁53が消磁され、プレスバー48が退避位置まで上動される。
【0043】
図6(b)は、Y軸方向にガイドパイプ31を移動した後に列X1,X2上のピン38に繊維束Fを掛け止めるようにガイドパイプ31の移動を反転させて繊維束Fを配列する配列パターンを示す。X軸方向の列X1,X2に沿ったピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、図6(b)の配列パターンの繊維束層G2の形成が完了する。
【0044】
図6(b)の配列パターンの繊維束層G2の形成が列Y2側から列Y1側へと進行するように行われる場合、先ず基枠43がモータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁54,55が励磁され、プレスローラ51,52が下動される。第1移動体121,131及びリニアスライダ14が列Y2側から列Y1側へ移動するに伴い、プレスローラ51,52は、繊維束Fを掛け止められている列X1,X2上のピン38の内側を列X1,X2上のピン38の列設方向(X軸方向)に通過してゆく。つまり、プレスローラ51の円周縁の下側凸部512〔(図3(a)に図示〕及びプレスローラ52の円周縁の下側凸部522〔図8(b)に図示〕は、列設されたピン38に掛け止められた繊維束Fの直列部Fy〔図6(b)に図示〕と順次交差してゆく。プレスローラ51の円周縁の下側凸部512及びプレスローラ52の円周縁の下側凸部522は、プレスローラ51,52の進行方向前側に位置し、且つ前記進行方向に向かうにつれて繊維束層の積層方向(Z軸方向)におけるピン38の根元から遠ざかるように傾斜したプレス部である。
【0045】
列X1のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fyは、プレスローラ51の転動によって順次ピン38の根元に向けてプレスされ、列X2のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fyは、プレスローラ52の転動によって順次ピン38の根元に向けてプレスされる。リニアスライダ14は、プレスローラ51,52が繊維束Fを掛け止められている列X1,X2上のピン38全ての内側を通過するまで、列Y2側から列Y1側へ移動される。
【0046】
リニアスライダ14をX軸方向へ移動させるリニアスライダ12,13は、プレスローラ51,52をピン38の列設方向(X軸方向)に移動させてプレス動作を行わせるプレス部材移動手段を構成する。
【0047】
図9(a)に鎖線で示す状態及び図9(b)に鎖線で示す状態は、列X1,X2に沿ったプレスローラ51,52(プレスローラ51)によるプレスの状態を示す。図9(a)に鎖線で示すプレスローラ51,52の位置は、繊維束Fに対してプレスが行われているプレス位置であり、図9(a)に実線で示すプレスローラ51,52の位置は、プレスローラ51,52の退避位置である。その後、電磁三方弁54,55が消磁され、プレスローラ51,52が退避位置まで上動される。
【0048】
図6(b)の配列パターンの繊維束層G2の形成が列Y1側から列Y2側へと進行するように行われる場合には、先ず基枠43がモータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後の電磁三方弁54,55の励消磁は、繊維束層G2の形成が列Y2側から列Y1側へと進行する場合と同様に行われ、リニアスライダ14の作動は、列Y1側から列Y2側へ移動される。
【0049】
図6(c)は、バイアス方向にガイドパイプ31を移動した後にピン38に繊維束Fを掛け止めるようにガイドパイプ31の移動を反転させて繊維束Fを配列する配列パターンを示す。X軸方向の列X1,X2に沿ったピン38のうち所定のピン38全て、及びY軸方向の列Y1,Y2上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、図6(c)の配列パターンの繊維束層G3の形成が完了する。
【0050】
図6(c)の配列パターンの繊維束層G3の形成が列Y2側から列Y1側へ進行するように行われてゆく場合、先ず基枠43がモータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁54,55が励磁され、プレスローラ51,52が下動される。列Y2上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、プレスバー48のプレス縁481が列Y2上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図8(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図8(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y2上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fbをピン38の根元に向けてプレスする。その後、電磁三方弁53が消磁され、プレスバー48が上動される。
【0051】
列Y1上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、プレスバー48のプレス縁481が列Y1上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図7(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図7(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y1上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fbをピン38の根元に向けてプレスする。その後、電磁三方弁53,54,55が消磁され、プレスバー48及びプレスローラ51,52が上動される。
【0052】
図6(c)の配列パターンの繊維束層G3の形成が列Y1側から列Y2側へ進行するように行われてゆく場合、先ず基枠43がモータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁54,55が励磁され、プレスローラ51,52が下動される。列Y1上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、プレスバー48のプレス縁481が列Y1上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図7(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図7(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y1上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fbをピン38の根元に向けてプレスする。その後、電磁三方弁53が消磁され、プレスバー48が上動される。
【0053】
列Y2上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、プレスバー48のプレス縁481が列Y2上のピン38の内側の近傍に位置するように、プレス装置39がリニアスライダ12,13の作動によって図8(b)に示すプレス待機位置に移動配置される。プレス装置39が図8(b)に示すプレス待機位置に配置されると、基枠43は、モータ41の作動によって適宜の高さ位置に配置される。その後、電磁三方弁53が励磁され、プレスバー48が下動される。プレスバー48の下動により、プレス縁481が列Y2上のピン38に掛け止められている繊維束Fの直列部Fbをピン38の根元に向けてプレスする。その後、電磁三方弁53が消磁され、プレスバー48が上動される。そして、リニアスライダ14は、プレスローラ51,52が繊維束Fを掛け止められている列X1,X2上のピン38全ての内側を通過するまで、列Y1側から列Y2側へ移動される。その後、電磁三方弁54,55が消磁され、プレスローラ51,52が上動される。
【0054】
図6(d)は、図6(c)におけるバイアス方向に対して直交するバイアス方向にガイドパイプ31を移動した後にピン38に繊維束Fを掛け止めるようにガイドパイプ31の移動を反転させて繊維束Fを配列する配列パターンを示す。X軸方向の列X1,X2上のピン38のうち所定のピン38全て、及びY軸方向の列Y1,Y2上のピン38のうち所定のピン38全てに繊維束Fが掛け止められると、図6(d)の配列パターンの繊維束層G4の形成が完了する。図6(d)の繊維束層G4の形成に伴うプレス装置39によるプレス遂行も図6(c)の場合と同様に行われる。
【0055】
エアシリンダ44及び電磁三方弁53は、プレスバー48を退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスバー切り換え手段を構成する。エアシリンダ45及び電磁三方弁54は、プレスローラ51を退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスローラ切り換え手段を構成する。エアシリンダ46及び電磁三方弁55は、プレスローラ52を退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスローラ切り換え手段を構成する。
【0056】
繊維束層の形成の際には、制御コンピュータCは、図12のフローチャートで示すプレス位置制御プログラムに基づいて、プレスローラ51,52のプレス位置を制御する。以下、図12のフローチャートに従ってプレスローラ51,52のプレス位置制御を説明する。
【0057】
N番目のN繊維束層(Nは1以上の整数)〔図6(a),(b),(c),(d)に示す繊維束層G1,G2,G3,G4のいずれか1つ〕を形成する場合、制御コンピュータCは、先ずモータ27を作動させてガイドパイプ31の高さ位置を設定する(ステップS1)。次いで、制御コンピュータCは、モータ41を作動させてプレスバー48及びプレスローラ51,52の退避位置を設定する(ステップS2)。図10(a)は、プレスバー48及びプレスローラ51,52(プレスローラ52のみ図示)が初期退避位置(N=1の場合)にある状態を示す。ステップS2の処理後、制御コンピュータCは、N繊維束層の形成を開始する(ステップS3)。図10(b)は、プレスバー48及びプレスローラ51,52(プレスローラ52のみ図示)が初期プレス位置(N=1の場合)にある状態を示す。
【0058】
制御コンピュータCは、N繊維束層の形成が終了したか否かを判断しており(ステップS4)、N繊維束層の形成が終了する(ステップS4においてYES)と、制御コンピュータCは、NがNo(2以上の特定された整数であって繊維束層の最終の積層数)であるか否かを判断する(ステップS5)。NがNoでない場合(ステップS5においてNO)、制御コンピュータCは、(N+1)をNとして(ステップS6)、ステップS1へ移行する。NがNoである場合(ステップS4においてYES)、制御コンピュータCは、繊維束層の形成を停止する。
【0059】
ステップS6からステップS1へ移行した場合、制御コンピュータCは、ガイドパイプ31の次の(N+1)番目の(N+1)繊維束層用の高さ位置を設定し、次いで(N+1)番目の(N+1)繊維束層用のプレスバー48及びプレスローラ51,52の退避位置を設定する。つまり、モータ27が作動されてガイドパイプ31が所定量上動され、モータ41が作動されてプレスバー48及びプレスローラ51,52が所定量上動される。そして、制御コンピュータCは、(N+1)繊維束層の形成を開始する。
【0060】
図11(a)に示すように、プレスローラ51,52(プレスローラ52のみ図示)が実線で示す定位置のプレス位置に配置された状態で矢印Qの方向に進行するものとし、列設されたピン38の端にあるピン38Aに掛け止められた繊維束Fnがピン38Aの近傍で最初にプレスされるものとする。プレスローラ51,52によって押し込められる第1繊維束層としてのN繊維束層用の繊維束Fnは、プレスローラ51,52の周面の最下位以外に接触している場合には横方向(X軸方向)への押し出し力〔矢印Pで示す〕を受ける。整数Nが大きくなってゆくと、押し出し力Pが大きくなってゆくが、この押し出し力Pが過大であると、ピン38Aに横方向の大きな荷重が掛かり、ピン38Aが曲げられてしまう。図11(b)に示すように、プレスローラ51,52がプレスされた繊維束Fn上に乗ってしまえば、以後にプレスされる繊維束Fnに対応した押し出し力Pは小さく、ピン38A以外のピン38が曲げられることはない。
【0061】
エアシリンダ44の駆動ロッド441の延出量は、一定であり、エアシリンダ45,46の駆動ロッド451,461の延出量は、一定、且つ同等である。本実施形態では、繊維束層の形成終了毎におけるプレスバー48及びプレスローラ51,52の退避位置の変更量は、一定である。従って、繊維束層の形成終了毎におけるプレスバー48及びプレスローラ51,52のプレス位置の変更量は、一定、且つ同等である。又、ガイドパイプ31の高さ位置の変更量も一定である。
【0062】
プレスバー48及びプレスローラ51,52の初期プレス位置、及びプレス位置の変更量は、プレスローラ51,52によってプレスされている繊維束Fの列を掛け止めているピン38に横方向の大きな荷重が掛からないように、適宜選択される。これにより、プレスローラ51,52のプレス動作によってピン38が曲がるようなことはない。図11(a)に示すプレスローラ52の下側の鎖線位置は、第1繊維束層としてのN繊維束層用の第1プレス位置の一例を示し、プレスローラ52の上側の鎖線位置は、第2繊維束層としての(N+1)繊維束層用の第2プレス位置の一例を示す。
【0063】
モータ41、ネジ軸411及びナット42は、プレス部材用プレス位置調整手段及びプレスバー用プレス位置調整手段を構成する。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
【0064】
(1)列X1,X2上のピン38に掛け止められた繊維束Fの直列部Fy,Fbは、列X1,X2に沿って転動されるプレスローラ51,52によってピン38の根元に向けて押し込められる。ピン38の列に沿って移動されるプレスローラ51,52は、プレス時に移動しない従来のプレス部材に比べて、小型になり、プレス装置39が小型になる。繊維束層上を転動するプレスローラ51,52は、プレス時に繊維束を擦ることなく移動させるプレス部材として好適である。
【0065】
(2)プレスローラ51,52は、繊維束Fが掛け止められてゆくピン38を追うようにピン38の列方向(X軸方向)に転動されるため、繊維束層1層分の繊維束の配列を行なう期間の少なくとも一部で繊維束Fを配列しながらプレスローラ51,52によるプレス動作が遂行される。その結果、プレス動作を含めた繊維束層の形成の時間がプレスローラ51,52を用いない従来の繊維束配列装置の場合よりも短縮する。
【0066】
(3)繊維束層が増えて行く毎にガイドパイプ31の高さ位置が高くされてゆくため、ピン38に対する繊維束Fの掛け止め位置が高くなってゆく。しかし、繊維束層が積層されてゆく毎にプレスローラ51,52のプレス位置がモータ41の作動によって調整されるため、プレスローラ51,52によって押し込められる繊維束Fを横方向(X軸方向)に押し出す力が過大になることはない。その結果、ピン38に掛け止められた繊維束FのFy,Fbをプレスローラ51,52によってプレスしても、このピン38が曲げられるおそれはない。
【0067】
(4)プレスローラ51,52のプレス位置を調整しないとすると、プレス動作によって押し込められる繊維束Fに横方向に掛かる力を低減するためにプレスローラ51,52の径を大きくする必要がある。繊維束層が積層されてゆく毎にプレスローラ51,52のプレス位置を調整する構成では、プレスローラ51,52の径を小さくすることができる。これは、プレス装置39の軽量化に寄与する。
【0068】
(5)2つのプレスローラ51,52が平行な列X1,X2に沿って転動されるため、プレス動作を含む繊維束層の形成の時間は、プレスローラを1つのみ用いる場合に比べて短くなる。
【0069】
(6)プレスローラ51,52の代わりにプレスバー48のようなプレス時に移動しないプレス部材を用いると、リニアスライダ12,13,14によって移動される部材の重量が増え、繊維束層の形成に必要な動力が増大する。プレスローラ51,52の採用は、リニアスライダ12,13,14によって移動される部材の重量減に寄与する。
【0070】
(7)プレスローラ51,52及びガイドパイプ31は、リニアスライダ12,13の作動によってX軸方向へ移動し、ガイドパイプ31をX軸方向へ移動させるリニアスライダ12,13は、プレスローラ51,52を移動させる手段を兼ねる。プレス部材移動手段とX軸方向移動手段とを共通とした構成は、繊維束配列装置10の構成の簡素化に寄与する。
【0071】
(8)プレスバー48の代わりにプレスローラによって繊維束をプレスしようとすると、列Y1,Y2に沿ってY軸方向にプレスローラを転動させねばならず、プレス動作を含む繊維束層の形成の時間が列Y1,Y2に沿ってY軸方向にプレスローラを転動させる分だけ余分に掛かる。プレスバー48とプレスローラ51,52とを合わせて採用した構成は、互いに直交する2列(列X1,X2と列Y1,Y2)のピン38に掛け止められた繊維束Fの直列部Fx,Fy,Fbをプレスローラのみでプレス(押し込み)する場合に比べて、プレス動作を含む繊維束層の形成の時間の短縮に有利である。
【0072】
(9)三次元繊維構造体の物性の観点からすると、全ての繊維束層の繊維密度が均一であることが望ましい。繊維束層が積層されてゆく毎にプレスバー48及びプレスローラ51,52のプレス位置がモータ41の作動によって調整されるため、全ての繊維束層の繊維密度が略均一になる。又、モータ41のみによってプレスバー48及びプレスローラ51,52のプレス位置を調整する構成は、繊維束配列装置10の構成の簡素化に寄与する。
【0073】
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○プレス装置39のうちの一方のプレスローラ(例えばプレスローラ52)を省略し、図1(a)の状態からプレス装置39全体をZ軸の周りに180°回転できるようにしてもよい。残ったプレスローラ(例えばプレスローラ51)は、図1(a)の状態において列X1に沿って転動され、図1(a)の状態からプレス装置39全体をZ軸の周りに180°回転させた状態では、残ったプレスローラ(例えばプレスローラ51)は、列X2に沿って転動されることになる。
【0074】
○2つのプレスローラ51,52を単一のエアシリンダによってZ軸方向に移動させるようにしてもよい。
○モータによって駆動されるボールネジ機構を用いてプレスローラ51,52を上下動させるようにしてもよい。
【0075】
○プレスバー48が列X1,X2に沿って繊維束をプレスし、プレスローラ51,52が列Y1,Y2に沿って転動するようにしてもよい。
○上述した実施形態においては、プレスローラを下げてから繊維束を張ることで繊維束を張ると同時にローラによりプレスをしていたが、繊維束を張って繊維束層を1層形成し終えた後にプレスローラによってプレスするようにしてもよい。
○プレスローラの代わりに、図13,14に示すようなプレス部材56,57を使用してもよい。図13に示すプレス部材56は、進行方向に向かうにつれて繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した直線的なプレス部561を有している。図14に示すプレス部材57は、進行方向に向かうにつれて繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した湾曲状のプレス部571を有している。
○プレスローラ51,52は、回転しなくても良い。
○ピンの配列は、直線的なものに限定されず、カーブするように配置されていてもよい。その場合には、プレスローラもピンの配列のカーブに沿ってカーブするように移動するようにするのが好ましい。
○ガイドパイプ31の代わりに、例えば棒状部材の先端部に二又状の部材を取り付けたものを使用し、二又状の部材により繊維束をガイドするようにしてもよい。
○プレス部材は、少なくとも進行方向に向かうにつれて繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜しているプレス部を有していれば、そのプレス部以外にもそれ以外の方向に向って形成された傾斜部を有していても良い。例えば、円錐形状の部材を逆さまにしたような形状の部材をプレス部材として用いても良い。
○プレス部は、常に傾斜していなくてもよく、例えば、プレスする時以外は垂直な面から成るプレス部を、プレスする時だけ傾けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施形態を示し、(a)は、繊維束配列装置10の側面図。(b)は、部分拡大側面図。
【図2】繊維束配列装置10の平断面図。
【図3】(a)は部分斜視図。(b)は部分正面図。
【図4】図3(b)のA−A線断面図。
【図5】(a)は、繊維束Fの配列を示す斜視図。(b)は、ガイドパイプの部分拡大斜視図。
【図6】(a),(b),(c),(d)は、配列パターンを示す簡略平面図。
【図7】(a)は部分正面図。(b)は部分側面図。
【図8】(a)は部分正面図。(b)は部分側面図。
【図9】(a)は部分正面図。(b)は部分側面図。
【図10】(a),(b)は部分拡大側面図。
【図11】(a),(b)は部分拡大側面図。
【図12】プレス位置制御プログラムを示すフローチャート。
【図13】別の実施形態を示す部分拡大側面図。
【図14】別の実施形態を示す部分拡大側面図。
【符号の説明】
【0077】
10…繊維束配列装置。12…ガイド部材移動手段及びプレス部材移動手段を構成するX軸方向移動手段としてのリニアスライダ。121…第1移動体。13…ガイド部材移動手段及びプレス部材移動手段を構成するX軸方向移動手段としてのリニアスライダ。131…第1移動体。14…ガイド部材移動手段を構成するY軸方向移動手段としてのリニアスライダ。141…第2移動体。31…ガイド部材としてのガイドパイプ。311…ガイド孔。38…ピン。41…プレス部材用プレス位置調整手段及びプレスバー用プレス位置調整手段を構成するモータ。44…プレスバー切り換え手段を構成するエアシリンダ。48…プレスバー。51,52…プレス部材としてのプレスローラ。512,522…プレス部としての下側凸部。56,57…プレス部材。561,571…プレス部。F,Fn…繊維束。X1,X2,Y1,Y2…列。Fx,Fy,Fb…直列部。G1,G2,G3,G4…繊維束層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列設されたピンに繊維束を掛け止めることで形成される繊維束層を積層形成する繊維束配列装置において、
プレス部を有するプレス部材と、
前記プレス部材を前記ピンの列設された方向に移動させるプレス部材移動手段とを備え、
前記プレス部が前記プレス部材の進行方向前側に位置し、且つ前記進行方向に向かうにつれて前記繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した状態で、前記プレス部を、前記ピンに掛け止められた繊維束の直列部と該ピンの近傍で順次交差させ、前記繊維束の直列部を該ピンの根元に向けて押し込むことを特徴とする繊維束配列装置。
【請求項2】
前記ピンの列は、平行な2列を含み、前記プレス部材は、該2列に対応して2つ設けられている請求項1に記載の繊維束配列装置。
【請求項3】
前記繊維束をガイドするガイド部材と前記ガイド部材を移動させるガイド部材移動手段とを備え、前記ガイド部材移動手段は、X軸方向に直線移動される第1移動体を備えたX軸方向移動手段と、前記X軸方向と直交するY軸方向に直線移動される第2移動体を備えると共に、前記第1移動体に支持されたY軸方向移動手段とを備え、前記ガイド部材は、前記第1移動体の直線移動と前記第2移動体の直線移動との組み合わせに連動して移動され、前記ピンの列設方向は、X軸方向であり、前記プレス部材移動手段は、前記X軸方向移動手段である請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の繊維束配列装置。
【請求項4】
前記ピンの列は、互いに直交する2列を含み、前記プレス部材は、該2列の一方に対応して設けられており、前記2列の他方の列を構成するピンに掛け止められた繊維束を該ピンの近傍で該ピンの根元に向けて押し込み可能にプレスバーが設けられており、前記プレスバーを退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスバー切り換え手段が備えられている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の繊維束配列装置。
【請求項5】
前記プレス部材のプレス位置を調整可能なプレス部材用プレス位置調整手段が備えられている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の繊維束配列装置。
【請求項6】
前記ピンの列は、互いに直交する2列を含み、前記プレス部材は、該2列の一方に対応して設けられており、前記2列の他方の列を構成するピンに掛け止められた繊維束を該ピンの近傍で該ピンの根元に向けて押し込み可能にプレスバーが設けられており、前記プレスバーを退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスバー切り換え手段が備えられており、前記プレスバーのプレス位置を調整可能なプレスバー用プレス位置調整手段が備えられている請求項5に記載の繊維束配列装置。
【請求項7】
前記プレスバー用プレス位置調整手段は、前記プレス部材用プレス位置調整手段を兼用する請求項6に記載の繊維束配列装置。
【請求項8】
前記プレス部材はプレスローラである請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の繊維束配列装置。
【請求項9】
列設されたピンに繊維束を掛け止めることで形成される繊維束層を積層形成する繊維束配列装置であって、プレス部を有するプレス部材と、前記プレス部材を前記ピンの列設された方向に移動させるプレス部材移動手段とを備え、前記プレス部が前記プレス部材の進行方向前側に位置し、且つ前記進行方向に向かうにつれて前記繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した状態で、前記プレス部を、前記ピンに掛け止められた繊維束の直列部と該ピンの近傍で順次交差させ、前記繊維束の直列部を該ピンの根元に向けて押し込む繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法において、
第1繊維束層を形成する繊維束に対する前記プレス部材の第1プレス位置を特定してプレス動作を行わせ、前記第1繊維束層の上に第2繊維束層を形成する場合には、前記ピンの根元から前記ピンの先端側に遠ざかる方向へ前記第1プレス位置から離れた位置に、第2繊維束層を形成する繊維束に対する前記プレス部材の第2プレス位置を設定する繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法。
【請求項10】
請求項3の繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法において、
前記ガイド部材により前記繊維束をガイドしながら同時に前記プレス部材によるプレスを行うことを特徴とする繊維束配列装置を用いた維束配列方法。
【請求項1】
列設されたピンに繊維束を掛け止めることで形成される繊維束層を積層形成する繊維束配列装置において、
プレス部を有するプレス部材と、
前記プレス部材を前記ピンの列設された方向に移動させるプレス部材移動手段とを備え、
前記プレス部が前記プレス部材の進行方向前側に位置し、且つ前記進行方向に向かうにつれて前記繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した状態で、前記プレス部を、前記ピンに掛け止められた繊維束の直列部と該ピンの近傍で順次交差させ、前記繊維束の直列部を該ピンの根元に向けて押し込むことを特徴とする繊維束配列装置。
【請求項2】
前記ピンの列は、平行な2列を含み、前記プレス部材は、該2列に対応して2つ設けられている請求項1に記載の繊維束配列装置。
【請求項3】
前記繊維束をガイドするガイド部材と前記ガイド部材を移動させるガイド部材移動手段とを備え、前記ガイド部材移動手段は、X軸方向に直線移動される第1移動体を備えたX軸方向移動手段と、前記X軸方向と直交するY軸方向に直線移動される第2移動体を備えると共に、前記第1移動体に支持されたY軸方向移動手段とを備え、前記ガイド部材は、前記第1移動体の直線移動と前記第2移動体の直線移動との組み合わせに連動して移動され、前記ピンの列設方向は、X軸方向であり、前記プレス部材移動手段は、前記X軸方向移動手段である請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の繊維束配列装置。
【請求項4】
前記ピンの列は、互いに直交する2列を含み、前記プレス部材は、該2列の一方に対応して設けられており、前記2列の他方の列を構成するピンに掛け止められた繊維束を該ピンの近傍で該ピンの根元に向けて押し込み可能にプレスバーが設けられており、前記プレスバーを退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスバー切り換え手段が備えられている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の繊維束配列装置。
【請求項5】
前記プレス部材のプレス位置を調整可能なプレス部材用プレス位置調整手段が備えられている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の繊維束配列装置。
【請求項6】
前記ピンの列は、互いに直交する2列を含み、前記プレス部材は、該2列の一方に対応して設けられており、前記2列の他方の列を構成するピンに掛け止められた繊維束を該ピンの近傍で該ピンの根元に向けて押し込み可能にプレスバーが設けられており、前記プレスバーを退避位置とプレス位置とに切り換え配置するプレスバー切り換え手段が備えられており、前記プレスバーのプレス位置を調整可能なプレスバー用プレス位置調整手段が備えられている請求項5に記載の繊維束配列装置。
【請求項7】
前記プレスバー用プレス位置調整手段は、前記プレス部材用プレス位置調整手段を兼用する請求項6に記載の繊維束配列装置。
【請求項8】
前記プレス部材はプレスローラである請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の繊維束配列装置。
【請求項9】
列設されたピンに繊維束を掛け止めることで形成される繊維束層を積層形成する繊維束配列装置であって、プレス部を有するプレス部材と、前記プレス部材を前記ピンの列設された方向に移動させるプレス部材移動手段とを備え、前記プレス部が前記プレス部材の進行方向前側に位置し、且つ前記進行方向に向かうにつれて前記繊維束層の積層方向においてピンの根元から遠くなるように傾斜した状態で、前記プレス部を、前記ピンに掛け止められた繊維束の直列部と該ピンの近傍で順次交差させ、前記繊維束の直列部を該ピンの根元に向けて押し込む繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法において、
第1繊維束層を形成する繊維束に対する前記プレス部材の第1プレス位置を特定してプレス動作を行わせ、前記第1繊維束層の上に第2繊維束層を形成する場合には、前記ピンの根元から前記ピンの先端側に遠ざかる方向へ前記第1プレス位置から離れた位置に、第2繊維束層を形成する繊維束に対する前記プレス部材の第2プレス位置を設定する繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法。
【請求項10】
請求項3の繊維束配列装置を用いた繊維束配列方法において、
前記ガイド部材により前記繊維束をガイドしながら同時に前記プレス部材によるプレスを行うことを特徴とする繊維束配列装置を用いた維束配列方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−285798(P2008−285798A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134289(P2007−134289)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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