説明

織物処理組成物

構成要素a)およびb)が組成物の少なくとも30重量%を含むようなa)1つまたは複数の第四級アンモニウム織物軟化材少なくとも1重量%と、b)非イオン性界面活性剤少なくとも1重量%と、c)少なくとも40℃の融点を有する脂肪酸、少なくとも40℃の融点を有する脂肪アルコール、およびこれらの混合物から選択された脂肪成分少なくとも20重量%と、d)水5から30重量%を含む熱活性化織物処理組成物。組成物は、使用時に回転式乾燥機の内部パネルに取り付けられる分注デバイス内に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物処理組成物に関する。本発明は、特に、回転式乾燥機で使用する熱活性化織物処理組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動回転式乾燥機で使用する熱活性化織物処理組成物は、本発明の同時係属出願であるWO−A−03/087285およびWO−A−03/087286において説明されており、回転式乾燥機における織物処理で使用するのに適しているデバイスは、本発明の同時係属出願であるWO−A1−02/33160およびWO−A1−02/33161において開示されている。
【0003】
乾燥サイクルで活性物質を織物上に送達する作業を最適化するために、回転式乾燥機の加熱処理サイクル温度よりも低い温度では分注物品内に実質的に残り、分注物品から分注されるように回転式乾燥機の加熱サイクルにおいて転移を受けることができる織物処理組成物を提供することが望ましい。
【0004】
したがって、受け入れがたい不安定性をもたらすことなくこのような転移を受けることができる織物処理組成物を提供することが望ましい。組成物は、このようなサイクルを繰り返し受けることができることが特に望ましい。
【0005】
このような織物処理組成物を効果的に送達するには、組成物は送達温度(つまり、回転式乾燥機の加熱温度)で流動性を有している必要がある。
【0006】
したがって、分注デバイスから回転式乾燥機の加熱サイクルにおいて液体として送達されうる熱活性化織物処理組成物を提供することが望ましい。
【0007】
さらに、分注デバイス内に貯蔵することができ、回転式乾燥機の加熱サイクルでは組成物の少なくとも一部が織物に送達され、貯蔵状態ではデバイスから漏れることのないようにより粘性のある貯蔵状態からあまり粘性のない分注可能状態までの繰り返しサイクルを受けることができる熱活性化織物処理組成物を提供することが望ましい。
【0008】
漏れの問題は、周囲貯蔵温度が組成物の溶融温度に近い場合に著しい危険要因となる。
【0009】
本発明の同時係属英国特許出願第0420202.4号では、
(a)(i)0から19までの平均ヨウ素価を有する親脂肪酸またはアシル化合物から誘導された第四級アンモニウム織物軟化材、および
(ii)20から140までの平均ヨウ素価を有する親脂肪酸またはアシル化合物から誘導された第四級アンモニウム織物軟化材を含む第四級アンモニウム織物軟化システム1から75wt%と、
(b)非イオン性界面活性剤5から60wt%と、
(c)水5から70wt%を含む熱活性化織物処理組成物、ならびに回転式乾燥機内で織物を調整する際のその使用を開示している。
【0010】
この組成物では、上述の問題の一部を解消する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、改善された特性を有する代替の熱活性化組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、構成要素a)およびb)が組成物の少なくとも30重量%を含むような
a)1つまたは複数の第四級アンモニウム織物軟化材少なくとも1重量%と、
b)非イオン性界面活性剤少なくとも1重量%と、
c)融点が少なくとも40℃である脂肪酸、融点が少なくとも40℃である脂肪アルコール、およびこれらの混合物から選択された脂肪成分少なくとも20重量%と、
d)水5から30重量%とを含む熱活性化織物処理組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の文脈において、「熱活性化」は、組成物が、家庭用回転式乾燥機で使用するのに適していることを意味し、好ましくは、組成物が、周囲温度、つまり20℃では実質的に固体であり、家庭用回転式乾燥機の加熱温度では実質的に液体の状態への転移を受けることを意味する。
【0014】
家庭用回転式乾燥機の加熱温度は、典型的には、約40℃から約80℃までの範囲内であるため、組成物は、30℃で固体であるのが特に好ましく、40℃で固体であるのがより好ましい。組成物は、50℃を超える温度で完全に溶けることが望ましい。
【0015】
製品形態
貯蔵時に分注デバイス内に実質的に留まり、回転式乾燥機の加熱サイクルでは織物に送達されることができる織物処理組成物を提供するために、組成物は貯蔵状態から分注状態への転移を熱サイクルの加熱温度でまたはそのあたりの温度で行わせる粘度特性を有することが重要である。つまり、組成物は、好ましくは、周囲温度において非流動の高粘度生成物、例えば固体でなければならず、また回転式乾燥機の加熱温度では、低粘度生成物、例えば液体にならなければならない。
【0016】
理想的には、加熱温度において、組成物は、単相であるか、または多相であれば、分散相内の重量平均粒径は、分注デバイスの典型的な膜細孔のサイズよりも小さい。典型的な膜では、細孔のサイズは0.01〜10ミクロンの範囲内であるが、この範囲を外れる細孔のサイズも適している場合がある。例えば、圧縮泡および焼結は、より大きな細孔サイズ、例えば、最大50ミクロンまで、またはそれ以上のサイズを有することができる。
【0017】
細孔サイズは、分注が困難になるほど小さくてはならず、乾燥サイクル毎に放出される組成物が多すぎるほど、したがって染色の危険性が高まるほど大きな細孔サイズであってはならない。
【0018】
家庭用回転式乾燥機の加熱温度では、組成物の粘度は、典型的には、300s−1で350mPa.s以下、より好ましくは300mPa.s以下、最も好ましくは250mPa.s以下、例えば200mPa.s以下である。測定は、Haake PK100 Viscometer、6cm 2°の円錐および板幾何学的形状を使用して行われる。
【0019】
本発明の組成物は、30℃で、好ましくは35℃で、より好ましくは40℃で固体である。これらの固体組成物は、回転式乾燥機の少なくとも50、好ましくは少なくとも90サイクルを通して制御しつつ組成物を送達することができるデバイスに組成物の容器を供給するために容易に使用できる点でゲル状組成物に勝る利点を有する。このような大きな容器を利用した場合、組成物に対しかなりの制約がかかる。例えば、大量の組成物に関連する上部圧力は、特に容器が満杯のときに、冷却時の液体から固体への転移が遅いことと相まって、サイクルとサイクルとの間に送達デバイスを通して望ましくない滴りを引き起こしうる。これは、ゲル状組成物の場合に特に問題となりうる。それに加えて、大きな容器内の組成物は、熱サイクルを何度受けても不安定になることなく十分に安定していなければならない。
a)第四級アンモニウム織物軟化材
組成物は、少なくとも1つの第四級アンモニウム織物軟化材を含む。
【0020】
使用できる陽イオン性織物軟化化合物の第1の群は、式(I)
【0021】
【化2】

で表すことができる
[式中、Rはそれぞれ、C5〜35アルキルまたはアルケニル基であり、Rは、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、またはC1〜4ヒドロキシアルキル基を表し、
Tは、
【0022】
【化3】

であり、
nは、0または1から4までの数から選択された数であり、mは、1、2、または3であり、N原子から直接ぶら下がっている関係する部分の個数を表し、Xは、ハロゲン化物またはアルキル硫酸塩、例えば、塩化物、硫酸メチル、または硫酸エチルなどの陰性基である。]。
【0023】
このクラスの好ましい物質は、メチル硫酸トリエタノールアンモニウムのジアルケニルエステルである。
【0024】
市販の実施例は、Tetranyl AHT−1(80%活性のメチル硫酸トリエタノールアンモニウムの二硬化オレイン酸エステル)、Tetranyl AT−1(90%活性のメチル硫酸トリエタノールアンモニウムのジオレイン酸エステル)、L5/90(90%活性のメチル硫酸トリエタノールアンモニウムのパームエステル)(すべてKao社から)、およびRewoquat WE15(90%活性の四級化ジメチル硫酸トリエタノールアミンとのC10〜C20およびC16〜C18不飽和脂肪酸反応生成物)(Witco Corporation社から)およびStepantex VL85G(Stepan社から)を含む。
【0025】
本発明で使用する陽イオン性織物軟化化合物の第2の群は、式(II)
【0026】
【化4】

で表される
[式中、R基は、それぞれ独立に、C1〜4アルキル、ヒドロキシアルキル、またはC2〜4アルケニル基から選択され、R基は、それぞれ独立に、C8〜28アルキルまたはアルケニル基から選択され、nは、0または1から5までの整数であり、TおよびXは、上で定義されているとおりである。]。
【0027】
本発明で使用する陽イオン性織物軟化化合物の第3の群は、式(III)
【0028】
【化5】

で表される
[式中、R基は、それぞれ独立に、C1〜4アルキルまたはC2〜4アルケニル基から選択され、R基は、それぞれ独立に、C8〜28アルキルまたはアルケニル基から選択され、nは、0または1から5までの整数であり、TおよびXは、上で定義されているとおりである。]。
【0029】
本発明で使用する陽イオン性織物軟化化合物の第4の群は、式(IV)
【0030】
【化6】

で表される
[式中、R基は、それぞれ独立に、C1〜4アルキルまたはC2〜4アルケニル基から選択され、R基は、それぞれ独立に、C8〜28アルキルまたはアルケニル基から選択され、Xは、上で定義されているとおりである。]。
【0031】
第四級アンモニウム織物軟化材は、組成物の全重量に基づいて少なくとも1重量%(活性成分)、好ましくは5から50重量%、最も好ましくは10から45重量%の量で存在する。
【0032】
親脂肪アシル基または酸のヨウ素価
本発明の文脈において、織物軟化材を形成する親脂肪アシル化合物または酸のヨウ素価は、化合物の100グラムと反応するヨウ素のグラム数として定義される。
【0033】
親脂肪アシル化合物/酸のヨウ素価を計算する方法は、所定の量(0.1〜3g)を約15mlのクロロホルム中に溶解することを含む。次いで、溶解された親脂肪アシル化合物/脂肪酸を、酢酸に一塩化ヨウ素を溶かした溶液25ml(0.1M)と反応させる。これに、10%ヨウ化カリウム溶液20mlと約150mlの脱イオン水を加える。ハロゲン化物を加えた後、一塩化ヨウ素の過剰分は、粉末青色デンプン指示薬の存在下でチオ硫酸ナトリウム溶液(0.1M)で滴定することにより測定される。これと同時に、試薬の等量を使用し、同じ条件の下で、ブランクが測定される。ブランクで使用されるチオ硫酸ナトリウムの体積と親脂肪アシル化合物または脂肪酸との反応で使用されるチオ硫酸ナトリウムの体積との差から、ヨウ素価を計算することができる。
b)非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤は、組成物の溶融温度の制御を改善するため、または少なくとも、組成物が流れる温度に影響を及ぼすために存在する。
【0034】
また、他の目的のためにも存在しうる。例えば、処理済み織物に有益な帯電防止機能を付与することも判明している。
【0035】
好ましい非イオン性界面活性剤は、周囲温度では固体であり、したがって、織物に一旦沈着すると、織物からの散乱光を大きくし、それにより、織物に沈着した生成物の可視性を低下させる。
【0036】
さらに、好ましい非イオン性界面活性剤は、8から20まで、より好ましくは10から20までの範囲内のHLBを持ち、これは、加熱サイクルの高い温度の水相において活性成分(20℃の水において1×10−3wt%未満の溶解度を典型的には有する織物軟化剤など)の溶解を著しく改善する。
【0037】
好適な非イオン性界面活性剤は、脂肪アルコール、脂肪酸、および脂肪アミンとのエチレン酸化物および/またはプロピレン酸化物の添加生成物を含む。
【0038】
理想的には、非イオン性界面活性剤は、1分子当たりアルコキシ8から40単位、より好ましくは10から30単位、なおいっそう好ましくは11から25単位、例えば、アルコキシ12から22単位の平均アルコキシル化度を伴う。
【0039】
以下で説明される特定の種類のアルコキシル化材料はどれも、非イオン性界面活性剤として使用することができる。
【0040】
好適な界面活性剤は、一般式
【0041】
【化7】

の実質的に水溶性の界面活性剤である
[式中、Rは、第一級、第二級、および分鎖アルキルおよび/またはアシルヒドロカルビル基、第一級、第二級、および分鎖アルケニルヒドロカルビル基、および第一級、第二級、および分鎖アルケニル置換フェノールヒドロカルビル基からなる群から選択され、ヒドロカルビル基は炭素原子8から約25、好ましくは10から20、例えば12から18個分の鎖長を持ち、ココヤシおよび獣脂または鎖組成が最も好ましい。]。
【0042】
エトキシル化非イオン性界面活性剤の一般式において、Yは、典型的には
【0043】
【化8】

である
[式中、Rは、上で与えられた意味を有するか、または水素とすることができ、Zは、好ましくは8から40までの範囲、より好ましくは10から30までの範囲、最も好ましくは11から25、例えば12から22の範囲である。]。
【0044】
アルコキシル化度Zは、1分子当たりのアルコキシ基の平均個数を表す。
【0045】
非イオン性界面活性剤は、ショ糖モノエステル、ジエステル、およびポリエステルなどのポリオールベースの界面活性剤であってよい。好適なショ糖エステルの実施例は、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステルまたはこれらの混合物、ポリグリセロール、ココヤシまたはステアリルモノグルコシドおよびステアリルトリグルコシドなどのアルキルポリグルコシド、およびアルキルポリグリセロールを含む。
【0046】
好ましい非イオン性界面活性剤は、一般式
【0047】
【化9】

で表されるものである
[式中、Rはイソ−C1327である。]。
【0048】
このような物質は、LUTENSOL TO 20という商標名でBASFから市販されている。
【0049】
他の好ましい物質は、Genapol C200である。上記の非イオン性界面活性剤は、本発明の組成物単独で、または組合せで使用することができ、「非イオン性界面活性剤」という用語は、混合された非イオン性表面活性剤を包含する。
【0050】
ショ糖ベースの界面活性剤は、他のアルコキシレートと比べて水和状態が高いため非常に好適である。
【0051】
非イオン性界面活性剤は、組成物の全重量に基づき、少なくとも5重量%、好ましくは10から50wt%、最も好ましくは15から45wt%のレベルで存在する。
【0052】
非イオン性界面活性剤が存在する量は、好ましくは、第四級アンモニウム織物軟化材よりも多い。非イオン性界面活性剤および第四級アンモニウム織物軟化材の組み合わせた量は、全組成物の少なくとも20重量%、好ましくは10から70重量%、より好ましくは30から60重量%である。
【0053】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、過剰な重量で、より好ましくは第四級アンモニウム織物軟化システムに関してモル過剰量で存在する。
【0054】
一般的に、第四級アンモニウム織物軟化システムと非イオン性界面活性剤との重量比は、2:1から1:100までの範囲内、好ましくは3:2から1:75までの範囲内、より好ましくは1:1から1:20までの範囲内、例えば2:3から1:5までの範囲内である。
c)脂肪成分
本発明の組成物は、脂肪酸および脂肪アルコールおよびこれらの混合物から選択された脂肪成分を含む。脂肪酸およびアルコールの融点は、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも50℃、最も好ましくは55から65℃の範囲内である。
【0055】
脂肪成分は、周囲温度では固体であり、したがって、織物に一旦沈着すると、織物からの散乱光を大きくし、それにより、織物に沈着した生成物の可視性を低下させる。
【0056】
好適な脂肪酸/アルコールは、炭素原子14から26個分、より好ましくは12から22個分、最も好ましくは12から20個分の炭素鎖長を有する。
【0057】
脂肪成分は、構造剤として働き、生成物を安定した固体構造として形成することができる。30℃を超える、好ましくは35℃を超える、より好ましくは40℃を超える生成物融点は、脂肪成分の適切な選択および濃度で得られる。それに加えて、生成物の固体から液体、および液体から固体への転移は、脂肪成分がないか、または脂肪成分が少ない生成物と比較して狭い温度範囲で発生することが判明している。これは、乾燥サイクルを終了した後、回転式乾燥機がクールダウンするときのデバイスからの「滴り」の現象を低減するために特に有利である。
【0058】
脂肪成分は、全組成物の少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは30から40%までの範囲内の量で存在する。本質的ではないが、脂肪酸は、この物質が帯電防止剤として付加的に作用しうるため存在することが好ましい。
【0059】
好ましくは、脂肪酸と脂肪アルコールの両方が存在する。一般的に、脂肪酸の量は、脂肪アルコールの量よりも多い。
【0060】
好ましい脂肪酸は、硬化獣脂脂肪酸(UniqemaからPristereneという商標名で市販されている)および硬化パルミチン酸(UniqemaからPrifrac 2960という商標名で市販されている)を含む。
【0061】
好ましい脂肪アルコールは、硬化獣脂アルコール(Cognis社からStenol and Hydrenol、およびAlbright and WilsonからLaurex CSという商標名で市販されている)およびベヘニルアルコール、Lanette 22 (Henkel社)として市販されているC22鎖アルコールを含む。
d)水
本発明の組成物は、全組成物の5から30%、好ましくは5から25%、より好ましくは5から20%までの範囲内の量の水を含む。
【0062】
本発明の組成物の水に基づく性質は、染色を低減するのに役立つと考えられ、実質的に非水溶性である従来の回転式乾燥機シートと異なる。
【0063】
乾燥サイクルにおいて繊維上に沈着する場合、水は、好ましくは、部分的に蒸発し、および/または活性成分に部分的に関連付けられたままである連続相として存在する。
【0064】
水に基づく組成物の予想外の利点は、染色の量が、回転式乾燥機の加熱サイクル毎の組成物の送達量にはあまり依存しないことである。
e)溶媒
場合によっては、また都合よく、組成物は溶媒を含む。溶媒は、第四級アンモニウム軟化材および香料を溶解しやすくするために存在させることができる。さらに溶媒は、組成物の粘度および流れ温度特性を最適化する。さらに、溶媒は、貯蔵後に組成物から水分が失われるのを遅らせる保湿剤としても働きうる。
【0065】
好ましくは、溶媒は、半極性である。
【0066】
好適な溶媒は、回転式乾燥機の加熱温度よりも高い引火点を有するものを含む。理想的には、溶媒はさらに無色でもある。
【0067】
市販されている実施例は、グリコールエーテルなどのポリオールを含む。最も好ましい溶媒は、ジプロピレングリコールである。
【0068】
溶媒は、好ましくは、組成物の全重量に基づいて、1から20重量%、最も好ましくは3から10重量%のレベルで存在する。
【0069】
水の全部または一部を1つまたは複数の溶媒で置き換えることが可能である。この場合、本明細書で説明されているものよりも高い、加えられた溶媒のレベルおよび低い水のレベルが、組成物中に存在しうる。
香料
本発明の組成物は、さらに、1つまたは複数の香料を含むことが望ましい。好適な香料成分は、参照により本明細書に組み込まれている、1969年に出版されたSteffen Arctander著「Perfume and Flavor Chemicals (Aroma Chemicals)」で開示されているものを含む。好ましい香料は、Amazoneという商標名で市販されている。
【0070】
組成物を不安定にすることなく、最大10wt%までの香料を本発明の組成物に組み込むことができることが判明している。このようなレベルは、市販されている回転式乾燥機シート中に存在するものよりも著しく高い。したがって、香料の高い実質性および寿命は、従来の回転式乾燥機シートからではなく、本発明の組成物から得られる。
【0071】
そのため、香料のレベルは、組成物の全重量に基づき、3wt%よりも大きい、より好ましく4wt%よりも大きい、最も好ましくは5wt%よりも大きいことが望ましい。
他の共活性成分
織物処理活性成分に対する他の共活性成分も、組成物の全重量に基づき、0.01から20重量%まで、より好ましくは0.05から10重量%までの量で組み込まれることができる。この種類の好ましい成分は、脂肪エステル、および脂肪N酸化物を含む。
【0072】
好ましい脂肪エステルは、モノステアリン酸グリセロールなどの脂肪モノエステルを含む。GMSが存在する場合、組成物中のGMSのレベルは、組成物の全重量に基づき、0.01〜10wt%までであることが好ましい。
ポリマー粘度調整剤
ポリマー粘度調整剤も、本発明の組成物中に存在しうる。好適なポリマー粘度調整剤は、疎水修飾セルロースエーテル(例えば、Hercules社のNatrosol Plus)および陽イオン修飾デンプン(例えば、Avebe社のSoftgel BDAおよびSoftgel BD)などの非イオン性および陽イオン性ポリマーを含む。特に好ましい粘度調整剤は、Flosoft 200(SNF Floerger社)という商標名で市販されているメタクリレートと陽イオン性アクリルアミドの共重合体である。
【0073】
ポリマー粘度調整剤は、好ましくは、組成物の全重量に基づき、0.01から5wt%まで、より好ましくは0.02から4wt%までの量で存在する。
他の任意選択の成分
これらの組成物は、さらに、pH緩衝化剤、香料、香料担体、蛍光物質、着色剤、消泡剤、再付着防止剤、高分子電解質、酵素、蛍光増白剤、収縮防止剤、皺防止剤、斑点付着防止剤、殺菌剤、防かび剤、抗菌剤、滑沢剤、溶媒、さび止め、ドレープ付与剤、アイロン掛け補助剤、および染料などの、織物調整組成物に従来から含まれている1つまたは複数の任意選択の成分を含むこともできる。
(実施例)
次に、本発明は、以下の限定されない実施例で例示される。本発明の範囲内の他の修正形態も、当業者には明らかなものである。
【0074】
本発明のサンプルは、番号で表される。比較サンプルは、英字で表される。
【0075】
すべての値は、断りのない限り、活性成分の重量%である。
【0076】
(実施例1(比較))
以下の組成物は、以下のように調製された。非イオン性界面活性剤および第四級アンモニウム軟化材は、60℃で攪拌することにより共溶融された。ジプロピレングリコールを香料の後に加え、全体を通して攪拌した。脱塩水を45℃から50℃程度に加熱して加えた。その結果得られる混合物を、150r.p.m.で均一になるまで攪拌した。
【0077】
【表1】

【0078】
評価
分注デバイス(160μmの膜厚さ、0.2μmの膜細孔サイズ、および1080mmの膜面積を持ち、特許出願WO−A−02/33161の16頁の26行目から20頁の12行目までで説明され、図1、3、および4に示されている)は、サンプルのそれぞれの30gを充填された。
【0079】
デバイスを2から3時間かけて60℃の温度まで加熱し、泡パッドの前面の少なくとも80%が目で見て生成物で「濡れている」ようにした(典型的な回転式乾燥機内の条件をシミュレートするため)。次いで、冷まし、直立位置にした。また、対照サンプル(100g)を密閉容器内に入れた。
【0080】
サンプルは、3日間、高温で貯蔵され、物理的状態/漏れが目視で観察された。次いで、この実験を7日間にわたって繰り返した。
【0081】
得られた結果を以下の表にまとめた。
【0082】
【表2】

【0083】
驚いたことに、密閉容器内に貯蔵された時に比較サンプルが固体のままである温度であっても、デバイスからの漏れを生じた。
【0084】
【表3】

【0085】
これらの結果から、回転式乾燥機の典型的動作温度よりも低い温度では、第四級アンモニウム織物軟化材の混合物を含むサンプルBは、比較サンプルよりも著しく優れた貯蔵安定性を示したことがわかる。
【0086】
滴りは、容器内に充填された組成物の量が著しく増えた場合に増えることが予想される。
【0087】
(実施例2)
以下の組成物は、実施例1の手順を用いて調製された。
【0088】
【表4】

【0089】
Lutensol TO 20は、20個のエトキシレート基を有するイソ−C13アルコールを含むアルコールアトキシレートである。Genapol C 200に類似しているが、試験したところ、織物の染色が少ないことがわかった。
【0090】
Prifrac 2960は、パルミチン酸(Uniqema社)である。
【0091】
Stenol 1618Lは、獣脂アルコール(セテアリルアルコール)(Clariant社)である。
【0092】
組成物は、以下の特性を示した。
【0093】
【表5】

【0094】
これらの組成物は、組成物の60gが容器に充填されたことを除き、実施例1と同様に評価された。得られた結果を以下の表にまとめた。
【0095】
【表6】

【0096】
実施例1および2(サンプルB)を比較すると、容器内の生成物の量が多いほど滴る傾向が大きくなることがわかる。
【0097】
本発明の組成物は、サンプルBと比較して28℃で著しく改善された貯蔵特性を示した。さらに、本発明のサンプルは、33℃および37℃においてサンプルBよりも少ない滴りを示し、回転式乾燥機の熱サイクルの高温部分への分注の制御能力が高い。
【0098】
(実施例3)
ポリエステルを染色する材料および組成物の能力を評価する実験を行った。ポリエステルは、大半のものを染色することを明らかにしている織物として広く受け入れられている。
【0099】
応用方法
すべての調製品を10%溶液(イソプロパノール中)に希釈し、Comfort Refresh Spray Bottle(参照:PET Boston Round Tall Bottle 272484、Sprayette IV & 24/410キャップ)に入れた。織物(ピンク色ポンジーポリエステル)を30cmの距離のところから10%溶液で3回スプレーし、試験溶液の約1〜1.5gを送達した。送達される生成物の質量を記録し、モニタをライン乾燥(line dry)させた。モニタサイズ−0.7×0.5m。
【0100】
織物に塗布する際に、すべての生成物を60℃に温め、これにより、確実に、すべての材料が、施されるときに完全に可溶化された。
【0101】
試験は3回行った。
評価プロトコル
2人の調製チームメンバが目視で染色を評価した。ACTIビジュアルルーム内でビューイングキャビネットを使用してモニタを評価し、染色が見えるようになってきたときにモニタを見るためUVおよびD65光を選択した。
【0102】
モニタは、染色された布の割合および染色の外観について評価された。モニタは、さらに、染色が最も少ないモニタを選択して、対で評価した。
【0103】
これらの結果から以下がわかった。
【0104】
Lutensol TO 20は、Genapol C200よりも染色の傾向が小さい。
【0105】
Prifrac 2960およびStenol 1618Lは、Genapol C200よりも染色の傾向が小さい。
【0106】
Stenol 1618Lは、Lutensol TO 20およびPrifrac 2960よりも染色の傾向が小さい。
【0107】
実施例1から3は、サンプルBに比べて染色の傾向が小さい。
【0108】
本発明の組成物中の脂肪成分の存在により、熱活性可能組成物の染色傾向を下げることができる。
(実施例4)
以下の組成物は、実施例1の手順を用いて調製された。
【0109】
【表7】

【0110】
Pristerine 4911は、Uniqema社の脂肪酸製品であり、パルミチン酸および硬化獣脂酸を含む。
【0111】
Pristerine 4911は、Prifrac 2960よりも低い温度で溶融し、取り扱いやすかった。サンプル5は、室温において硬く均質な固体であり、高温で許容可能な融点および粘度を有していた。
【0112】
サンプル6から8では、36%脂肪酸または36%獣脂アルコールを使用する。すべてのサンプルは、室温では硬く均質な固体であり、サンプル2よりもわずかに高い温度で溶融し、許容可能な粘度は、60℃で60mPas±10であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成要素a)およびb)が組成物の少なくとも30重量%を含むような、
a)1つまたは複数の第四級アンモニウム織物軟化材少なくとも1重量%と、
b)非イオン性界面活性剤少なくとも1重量%と、
c)融点が少なくとも40℃である脂肪酸、融点が少なくとも40℃である脂肪アルコール、およびこれらの混合物から選択された脂肪成分少なくとも20重量%と、
d)水5から30重量%と
を含む熱活性化織物処理組成物。
【請求項2】
第四級アンモニウム織物軟化材が、10から45重量%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第四級アンモニウム織物軟化材が、メチル硫酸トリエタノールアンモニウムのジアルケニルエステルである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
非イオン性界面活性剤15から45重量%を含む請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
非イオン性界面活性剤が、一般式
【化1】

[式中、Rは、イソ−C1327である。]
で表される請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
第四級アンモニウム織物軟化材と非イオン性界面活性剤の前記組み合わせた量が、全組成物の30から60重量%の量である請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
脂肪成分が、融点が55から65℃の範囲内である脂肪酸および脂肪アルコールから選択される請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
脂肪成分30から40重量%を含む請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
脂肪成分が、脂肪酸と脂肪アルコールの混合物を含む請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
脂肪酸が、脂肪アルコールよりも多い量で存在する請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
脂肪酸が、パルミチン酸およびステアリン酸から選択される請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
脂肪アルコールが、獣脂アルコールである請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
水5から20重量%を含む請求項1から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
溶媒1から20重量%をさらに含む請求項1から13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記溶媒が、ジプロピレングリコールである請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
香料少なくとも3重量%を含む請求項1から15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
分注デバイス内の請求項1から16のいずれかに記載の熱活性化組成物を含むパッケージ。
【請求項18】
回転式乾燥機のドアの内部パネル上に請求項17に記載のパッケージを配置することと、回転式乾燥機内に織物を挿入することと、乾燥機を運転し、織物処理組成物の少なくとも一部をデバイスから乾燥させる織物上に分注し、織物を調整することとを含む、回転式乾燥機内で織物を調整する方法。

【公表番号】特表2008−519910(P2008−519910A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540522(P2007−540522)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011254
【国際公開番号】WO2006/050798
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】