説明

繰出筒およびそれを用いた棒状化粧料繰出容器

【課題】棒状化粧料が繰出筒から抜け出すことがなく、しかも、棒状化粧料の下端部が折損したり、破損したりすることがなく、しかも、従来の外形寸法を維持することのできる繰出筒を提供する。
【解決手段】棒状化粧料繰出容器に繰り出し自在に収容される有底筒状の棒状化粧料保持用の繰出筒2であり、上記繰出筒2の底壁2bに、棒状化粧料5の下端部を上記繰出筒2の上面開口部から挿入して上記繰出筒2の周側壁2aに内嵌状に保持させる際に上記繰出筒2内の空気を上記繰出筒2外に逃がす空気抜き穴16が穿設されているとともに、上記挿入の際に繰出筒2内の空気が空気抜き穴16を通って繰出筒2外に逃げるのを許容する機能と、上記挿入後には繰出筒2外の空気が空気抜き穴16を通って繰出筒2内に流入するのを阻止する機能とを備えた逆止弁17が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅,リップクリーム,チック等の棒状化粧料を容器から繰り出して使用するための繰出筒およびそれを用いた棒状化粧料繰出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、口紅等の棒状化粧料の繰り出し容器として、例えば、図23および図24に示すような棒状化粧料用容器がよく用いられている。この棒状化粧料用容器は、回転操作筒60と、この回転操作筒60内に交換可能に収容されるカートリッジ容器61とを備えており、上記回転操作筒60は、有底円筒状に形成された外袴62と、それ自体の下部側が上記外袴62内に嵌合固着されそれ自体の上部側が上記外袴62から上向きに突出する段付円筒状の内袴63と、上記外袴62の底部側に嵌合固着され上記カートリッジ容器61の凹部68aに着脱自在に嵌合される嵌合金具64と、上記内袴63の筒状段部63aに着脱自在に嵌着される有蓋筒状のキャップ65とから構成されている。また、上記カートリッジ容器61は、薄肉円筒状に形成された外筒67と、この外筒67内に回転可能に挿嵌された有底円筒状の内筒68と、上記外筒67の内周面に圧入嵌合され上記外筒67とともに内筒68に対して相対回転する螺旋筒69と、上記内筒68内に昇降可能に配設された中皿70とから構成されており、この中皿70に口紅71の下端部が収納されている。また、上記中皿70の下端側外周に径方向外向きに係合突起70aが一体形成されており、この係合突起70aが、上記内筒68に穿設された長孔68bを介して螺旋筒69の螺旋溝69aに係合している。そして、上記螺旋筒69を外筒67とともに内筒68に対して相対回転させることにより、中皿70の係合突起70aと螺旋筒69の螺旋溝69aとの係合により、上記中皿70が外筒67内で上下に昇降自在に案内されるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような棒状化粧料用容器では、型成形により成形した口紅71の下端部を中皿70内に差し込むようにして装着しており、そのため、中皿70の仕切板70bに、上記装着時のエア抜きのためのエア抜き穴70cが穿設されている。そして、使用時には、キャップ65を取り外し、回転操作筒60とカートリッジ容器61の外筒67とを相対回転させることにより、外筒67の上端開口部から口紅71を繰り出したり、繰り入れたりすることができるようにしている。
【特許文献1】実開平5−81227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の棒状化粧料用容器では、中皿70の内周面,口紅71の外周面の寸法精度のばらつきや口紅71の収縮等により、中皿70と、この中皿70に差し込んだ口紅71の下端部との密着性に劣るものが生じることがあり、この場合には、棒状化粧料用容器に上下方向の振動等が作用すると、中皿70から口紅71が抜け出すという問題がある。そこで、口紅71のサイズをやや大きくすることが考えられるが、この場合には、上記装着時に口紅71の下端部を中皿70内に無理に差し込まなければならず、口紅71の下端部が折損したり、破損したりするという問題がある。また、中皿70および口紅71の双方のサイズを小さくし、口紅71の収縮による影響を少なくすることも考えられるが、この場合には、口紅71の外形寸法を大きくすることができない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、口紅等の棒状化粧料が繰出筒から抜け出すことがなく、しかも、棒状化粧料の下端部が折損したり、破損したりすることがなく、従来の外形寸法を維持することのできる繰出筒およびそれを用いた棒状化粧料繰出容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、棒状化粧料繰出容器に繰り出し自在に収容される有底筒状の棒状化粧料保持用の繰出筒であって、上記繰出筒の底壁に、棒状化粧料の下端部を上記繰出筒の上面開口部から挿入して上記繰出筒の周側壁に内嵌状に保持させる際に上記繰出筒内の空気を上記繰出筒外に逃がす空気抜き穴が穿設されているとともに、上記挿入の際に繰出筒内の空気が空気抜き穴を通って繰出筒外に逃げるのを許容する機能と、上記挿入後には繰出筒外の空気が空気抜き穴を通って繰出筒内に流入するのを阻止する機能とを備えた逆止弁が設けられている繰出筒を第1の要旨とし、上記繰出筒が繰り出し自在に収容されている棒状化粧料繰出容器を第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
すなわち、本発明の繰出筒は、棒状化粧料繰出容器に繰り出し自在に収容される有底筒状の棒状化粧料保持用の繰出筒であり、上記繰出筒の底壁に、棒状化粧料の下端部を上記繰出筒の上面開口部から挿入して上記繰出筒の周側壁に内嵌状に保持させる際に上記繰出筒内の空気を上記繰出筒外に逃がす空気抜き穴が穿設されているとともに、上記挿入の際に繰出筒内の空気が空気抜き穴を通って繰出筒外に逃げるのを許容する機能と、上記挿入後には繰出筒外の空気が空気抜き穴を通って繰出筒内に流入するのを阻止する機能とを備えた逆止弁が設けられている。したがって、本発明の繰出筒では、棒状化粧料の下端部を繰出筒の上面開口部から挿入して繰出筒の周側壁に内嵌状に保持させる(すなわち、棒状化粧料を繰出筒に装着する)際に、空気抜き穴および逆止弁を介して、繰出筒内の空気を繰出筒外に逃がすことができ、スムーズに棒状化粧料を繰出筒に装着することができる。しかも、上記繰出筒と棒状化粧料の寸法精度のばらつきや棒状化粧料の収縮等により、繰出筒と、この繰出筒の周側壁に内嵌状に保持される棒状化粧料との密着性に劣るものがあっても、棒状化粧料繰出容器に上下方向の振動等が作用して棒状化粧料が繰出筒の底壁から離れそうになると、上記逆止弁により繰出筒内には繰出筒外の空気が流入しないため、繰出筒の内部空間(棒状化粧料と繰出筒の底壁との間の空間)が負圧となって上記離間を阻止し、棒状化粧料が繰出筒から抜け出さない。しかも、上記繰出筒の底壁に逆止弁を設けるだけでよく、棒状化粧料のサイズを大きくしたり、繰出筒および棒状化粧料の双方のサイズを小さくしたりする必要がないため、上記装着時に棒状化粧料の下端部が折損したり、破損したりすることがなく、また、棒状化粧料のサイズを従来のサイズに維持することができる。また、本発明の棒状化粧料繰出容器は、上記繰出筒を繰り出し自在に収容しているため、上記優れた効果を奏する。
【0008】
また、上記逆止弁が上記繰出筒の底壁の下面もしくは空気抜き穴に固定されている場合には、上記繰出筒内に逆止弁を設けていないため、上記装着時に逆止弁が棒状化粧料の邪魔にならない。
【0009】
本発明では、棒状化粧料繰出容器として、各種構造のものを用いることができる。例えば、上記繰出筒と、この繰出筒を繰り出し自在に収容する内筒と、この内筒に相対回動自在に外嵌される外筒とを備え、上記繰出筒の周側壁外周面の相対峙する部分に突設されたガイド突起を、上記内筒の周側壁に相対峙して穿設された縦穴に係合させて上記繰出筒を内筒に収容し、上記縦穴を挿通して内筒から突出するガイド突起を、上記外筒の内周部に設けたらせん溝に係合させて上記外筒を内筒に外嵌しているものを用いることができる。この場合に、上記繰出筒の周側壁外周面のガイド突起自体を、上記外筒の内周部のらせん溝に係合させてもよいし、上記ガイド突起の表面にらせん溝を形成し、このらせん溝を上記外筒の内周部のらせん溝に係合させてもよい。また、上記外筒の内周部のらせん溝は、上記外筒の内周面に直接刻設したものでもよいし、上記外筒の内周面に、内周面にらせん溝を刻設した円筒体を固定することにより、外筒の内周部にらせん溝を設けるようにしたものでもよい。また、逆止弁としても、各種構造のものを用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0011】
図1および図2は本発明の棒状化粧料繰出容器の一実施の形態を示している。これらの図において、1は内筒で、2はこの内筒1の内部に繰り出し自在に収容される棒状化粧料保持用の繰出筒で、3は上記内筒1に相対回動自在に外嵌される外筒で、4はこの外筒3に冠着される有天円筒状のキャップで、それぞれ金属材料,プラスチック材料等で作製されている。5は上記繰出筒2に保持される口紅等の棒状化粧料である。この実施の形態では、上記棒状化粧料5を繰出筒2に装着する場合には、上記棒状化粧料5の下端部を繰出筒2の上面開口部から挿入して繰出筒2の周側壁2aに内嵌状に保持させることが行われる。
【0012】
上記内筒1は、図3および図4に示すように、有底円筒状に形成されており、上側の細径内筒部11と下側の太径袴部12とを有している。上記細径内筒部11には、その周側壁の相対峙する部分に、その上端縁から下端部に一直線状に延びる一対の縦穴11aが穿設されているとともに、これら両縦穴11aの上端部近傍および下端部から横穴11bが周方向に切欠き形成されている。また、上記細径内筒部11には、その上端開口部の外周面に、下方に向かって拡がる上側の傾斜面部分と下側の垂直面部分とからなる円環状の上側突条13が突設されており、上記太径袴部12には、その下端部の外周面に、上記キャップ4の下端面を載置する円環状の下側突条14が突設されている。
【0013】
上記繰出筒2は、図5および図6に示すように、有底円筒状に形成されており、その周側壁2aの外周面の相対峙する部分に、上記内筒1の両縦穴11aに上下移動自在に係合する円柱状のガイド突起15が突設されている。これら両ガイド突起15の突出長さは、これら両ガイド突起15を上記両縦穴11aに係合させた状態で上記繰出筒2を内筒1に収容したときに、上記両ガイド突起15が上記両縦穴11aから突出する長さに設定されている。
【0014】
また、上記繰出筒2には、その底壁2bの中央部に空気抜き穴16が穿設されており、棒状化粧料5を繰出筒2に装着する際に、繰出筒2内の空気を空気抜き穴16を通して繰出筒2外に逃がすようにしている。また、上記底壁2bの下面には逆止弁17が取り付けられている。
【0015】
この逆止弁17は、上記底壁2bの下面の、空気抜き穴16の下面開口の外周部分に密着状に当接してこの下面開口を気密状に閉塞する円形平板状の可撓性弁シート18と、この可撓性弁シート18の外周部(上記底壁2bの下面に密着状に当接する部分)を上記底壁2bに固定するビス19,接着剤等の固定手段(この実施の形態では、1個のビス19)とからなっており、上記可撓性弁シート18の外周部の上面が底壁2bの下面に密着状に当接して上記空気抜き穴16の下面開口を気密状に閉塞する機能と、上記可撓性弁シート18に対し繰出筒2内から所定の圧力が作用すると、少なくとも可撓性弁シート18の一側部分(上記ビス19で固定された部分とは反対側の部分)が下方に撓んで底壁2bの下面から離れ、上記空気抜き穴16の下面開口を開放する機能とを備えている。この実施の形態では、上記可撓性弁シート18は、上記装着の際に繰出筒2内から空気抜き穴16を通って押し出される空気で下方に押圧されると、上記可撓性弁シート18の一側部分が下方に撓んで上記空気抜き穴16の下面開口を開放して開弁し(図7参照)、かつ、上記装着後には上記可撓性弁シート18の可撓性により底壁2bの下面側に移動して再び底壁2bの下面に密着状に当接し(図2参照)、上記空気抜き穴16の下面開口を気密状に閉塞して閉弁し、これにより、繰出筒2外の空気が空気抜き穴16を通って繰出筒2内に流入するのを阻止しうるようにしている。
【0016】
上記外筒3には、図8および図9に示すように、その内周面の上端部に、上記内筒1の上側突条13の垂直面部分に摺接する大きさに形成された大径部3aと、その下側の小径部3bとを備えており、上記小径部3bの内周面に、組み立てた状態で上記両ガイド突起15に係合する一対のらせん溝20が形成されている。そして、上記内筒1の両縦穴11aに上記両ガイド突起15を係合させた状態で、上記繰出筒2を内筒1内に繰り出し自在に(すなわち、昇降自在に)収容し、上記両縦穴11aを挿通して内筒1から突出するガイド突起15を上記外筒3のらせん溝20に係合させて上記外筒3を内筒1に相対回転自在に外嵌している。
【0017】
このようにして構成された棒状化粧料繰出容器は、外筒3が内筒1に対して相対回転自在であり、外筒3と内筒1の太径袴部12とをそれぞれ手指でもち、外筒3を内筒1に対して相対回転させることにより、その回転に伴い外筒3の両らせん溝20と内筒1の両縦穴11aとの交点が上下に移動する。そして、両縦穴11aと両らせん溝20に係合している両ガイド突起15が必然的に上記交点に位置決めされることになり、上記交点の上下移動に追従して繰出筒2が昇降する。また、上記両ガイド突起15の上昇位置および下降位置は、上記両縦穴11aに設けられた上下の横穴11bに位置決めされる。
【0018】
このように構成された上記棒状化粧料繰出容器は、不使用時には、繰出筒2を下降させそのガイド突起15を内筒1の両縦穴11aの下側横穴11bに位置決めして不用意に繰出筒2が上昇しないようにし、この状態でキャップ4を外筒3に冠着させておく。また、使用時には、キャップ4を取り外して外筒3を露呈させ、外筒3を内筒1の太径袴部12に対して相対的に一方向に回転させる。その結果、繰出筒2が両縦穴11aに沿って上昇し、棒状化粧料5が外筒3の上端開口から繰り出されて使用可能状態になる。
【0019】
上記のように、この実施の形態では、棒状化粧料5を繰出筒2に装着する際には、空気抜き穴16および逆止弁17を介して、繰出筒2内の空気を繰出筒2外に逃がすことができ、スムーズに上記装着が行える。しかも、上記繰出筒2と棒状化粧料5の寸法精度のばらつきや棒状化粧料5の収縮等により、繰出筒2と、この繰出筒2の周側壁2aに内嵌状に保持される棒状化粧料5との密着性が弱く、棒状化粧料用容器に上下方向の振動等が作用して棒状化粧料5が繰出筒2の底壁2bから離れそうになっても、上記逆止弁17により繰出筒2内には繰出筒2外の空気が流入しないため、棒状化粧料5と繰出筒2の底壁2b間の空間が負圧となって上記離間を阻止し、棒状化粧料5が繰出筒2から抜け出すことがない。しかも、上記繰出筒2の底壁2bの下面に逆止弁17を設けるだけでよく、棒状化粧料5のサイズを大きくしたり、繰出筒2および棒状化粧料5の双方のサイズを小さくしたりする必要がないため、上記装着時に棒状化粧料5の下端部が折損したり、破損したりすることがなく、また、棒状化粧料5のサイズを従来のサイズに維持することができる。
【0020】
図10は本発明の棒状化粧料繰出容器の他の実施の形態を示している。図において、7は袴で、8は口紅保持部で、9は有天円筒状に形成された金属製のキャップ(図11参照)であり、その下端部が上記袴7の上端部に着脱自在に外嵌している。
【0021】
上記袴7は、図12に示すように、有底円筒状に形成された金属製の袴本体25と、この袴本体25に抜け止め状で、かつ回動不能に取り付けられた金属製の中袴26とからなっている。この中袴26は、円筒部分27と、この円筒部分27の下端開口部から下方に延設された二重壁部分28とからなり、上記円筒部分27の外周面が上記袴本体25の内周面に抜け止め状で、かつ回動不能に内嵌している。また、上記円筒部分27の上部が上記袴本体25の上端開口部から突出しており、この突出した部分27aの外周面に上記キャップ9の下端部内周面が着脱自在に外嵌している。一方、上記二重壁部分28は、上記円筒部分27と同心状に形成された円筒状の内外両壁28a,28bを有し、これら内外両壁28a,28b間に、後述する内筒31の太径係合部42が回動不能で、かつ取り外し可能に内嵌する構造になっている。図において、27bは上記円筒部分27の上端開口部から内向きに突設された円環状の鍔部である。
【0022】
上記口紅保持部8は、図13に示すように、円筒状に形成された金属製のスリーブ(外筒)30と、円筒状に形成された合成樹脂製の内筒31と、棒状化粧料保持用の合成樹脂製の中皿(繰出筒)32とからなっている。
【0023】
上記スリーブ30は、上記内筒31に抜け止め状に、かつ回動自在に外嵌されるものであり、その下端部に円環状の係合用溝部30bが形成されているとともに、その上端開口部の内周面から円環状の鍔部30aが突設されている。この鍔部30aの内径は上記内筒31の上端部の外径より小径であり、上記鍔部30aの下面が内筒31の上端面に当接している。また、上記スリーブ30の内周面には、多数のらせん溝33(各らせん溝33は、その始端から終端に至る間に、上記内周面を略1周するように形成されている)が等間隔置きに刻設されている。
【0024】
上記内筒31は、図14および図15に示すように、内側下部に仕切り壁35を有する円筒状体であり、上側の細径内筒36と下側の太径部39を有している。上記細径内筒36には、図16および図17に示すように、その周側壁の相対峙する部分に、その周側壁の上端部から下端部に延びる縦穴37a,38aが形成されているとともに、これら両縦穴37a,38aの上端部および下端部に横穴37b,38bが周方向に切欠き形成されている。また、これら両縦穴37a,38aのうち一方の縦穴37aの上端縁中央から切欠き部37cが縦向きに延びており、その先端は細径内筒36の周側壁の上端面まで到達している。
【0025】
一方、上記太径部39は、上記スリーブ30の下部を抜け止め状に、かつ回動自在に取り付ける太径取付部41と、上記袴7の二重壁部分28の内外両壁28a,28b間に回動不能で、かつ取り外し可能に内嵌する太径係合部42からなる。また、上記太径取付部41の外周面は、上記スリーブ30の下部(らせん溝33より下側部分)の内周面を回動自在に外嵌しうる寸法に形成されているとともに、上記太径取付部41の下部(上記仕切り壁35に対応する部分)の外周面には、上記スリーブ30の係合用溝部30bに抜け止め状に、かつ回動自在に係合する円環状の被係合用溝部41aが形成されている。これにより、上記内筒31の太径取付部41にスリーブ30の下部が抜け止め状に、かつ回動自在に外嵌されている。
【0026】
また、上記太径取付部41の外周面のうち、上記一方の縦穴37aの下側に位置する部分には凹部41bが形成されており、この凹部41bに、表面が凸曲面状に形成された凸部43が突設されている。そして、この凸部43の表面が上記スリーブ30の下部の内周面に弾圧状に当接し、スリーブ30と内筒31を相対回動させたときに両者がスムーズに回動するようにしている。一方、上記太径係合部42には、その相対峙する部分に、その下端縁から上方に向かって延びる切欠き部44が形成されている。この切欠き部44は、その先端が上記太径取付部41を少し超えた部分まで延びているとともに、上記仕切り壁35を横断状に切欠いている(図18参照)。図18において、35aは仕切り壁35に穿設された2つの貫通穴である。
【0027】
上記中皿32は有底円筒状に形成されており、図19〜図21に示すように、その周側壁の外周面の相対峙する部分に、上記内筒31の縦穴37a,38aに上下移動自在に係合するとともに横穴37b,38bに左右移動自在に係合する板状ガイド突起45が突設されている。これら両板状ガイド突起45の突出長さは、上記縦穴37a,38aに係合させた状態で上記中皿32を内筒31に収容したときに、両縦穴37a,38aからやや突出する長さに形成されている。そして、両板状ガイド突起45の外面に、上記スリーブ30の内周面に形成された多数のらせん溝33にら合する数本のらせん溝45aが刻設されている。
【0028】
また、上記中皿32には、その底部に、棒状化粧料5を保持する保持板(底壁)46が形成されており、この保持板46の上側部分(棒状化粧料5を保持する部分)は、その内周面が正多角形に形成されている。また、上記保持板46には、その中央部に空気抜き穴47が穿設されているとともに、この空気抜き穴47の下面開口の外周部から空気抜き用筒部48が垂設されており、棒状化粧料5を中皿32に装着する際に、中皿32内の空気を空気抜き穴47および空気抜き用筒部48を通して中皿32外に逃がすようにしている。また、これら空気抜き穴47および空気抜き用筒部48には逆止弁49が取り付けられている。
【0029】
この逆止弁49は、上記空気抜き用筒部48の下端開口部の内周面および上記空気抜き穴47の上端開口部の内周面に着脱自在に固定された上下一対の円環状凸部51,52と、下側円環状凸部51上に載置されたスプリング53と、このスプリング53上に載置されこのスプリング53の弾圧力で上側円環状凸部52の内周部に押圧されるボール54とからなっており、上側円環状凸部52の内周部にボール54の上面が密着状に当接して上側円環状凸部52の中央穴を気密状に閉塞する機能と、ボール54に対し上記中皿32内から所定の圧力が作用すると、ボール54がスプリング53の弾圧力に抗して下方に移動し、上側円環状凸部52の内周部から離れて上側円環状凸部52の中央穴を開放する機能とを備えている。この実施の形態では、上記ボール54は、上記装着の際に中皿32内から空気抜き穴47を通って押し出される空気で下方に押圧されると、下降して上側円環状凸部52の中央穴を開放して開弁し、かつ、上記装着後にはスプリング53の弾圧力により上昇して再び上側円環状凸部52の中央穴を気密状に閉塞し(図10参照)、これにより、中皿32外の空気が空気抜き穴47,空気抜き用筒部48を通って中皿32内に流入するのを阻止しうるようにしている。
【0030】
この実施の形態でも、上記実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0031】
図22は図1〜図9に示す棒状化粧料繰出容器に用いる逆止弁17の変形例を示している。この例では、上記逆止弁17は、柔軟で可撓性を有するシリコンゴム製等の薄板を略円筒状に成形するとともに、その下半部分に4個の山部56を放射状に形成し、これら各山部56の下端縁同士が互いに交わる頂部57に十字形のスリット58を設けたもので構成されており、上記スリット58が密着して閉弁する機能と、上記頂部57に対し繰出筒2内から所定の圧力が作用すると、上記頂部57の中心が周囲に拡がってスリット58が開き開弁する機能とを備えている。この実施の形態では、上記各山部56は、上記装着の際に繰出筒2内から空気抜き穴16を通って押し出される空気で押圧されると、頂部57が周囲に拡がって開弁し、かつ、上記装着後には薄板自体の可撓性により元の形状に復帰して閉弁し、これにより、繰出筒2外の空気が空気抜き穴16を通って繰出筒2内に流入するのを阻止しうるようにしている。図において、59は上記空気抜き穴16の内周部に接着等により固定される円環状の取り付け部である。
【0032】
なお、上記両実施の形態において、上記逆止弁17,49の構造は、特に限定されるものではなく、各種構造のものが用いられる。また、上記逆止弁17,49を、繰出筒2の底壁2bの下面、中皿32の空気抜き用筒部48の下面、空気抜き穴16,47の内部,空気抜き用筒部48の内部等のいずれに設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の棒状化粧料繰出容器の一実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】上記棒状化粧料繰出容器の断面図である。
【図3】内筒の断面図である。
【図4】上記内筒の平面図である。
【図5】繰出筒の断面図である。
【図6】上記繰出筒の平面図である。
【図7】棒状化粧料の装着方法を示す断面図である。
【図8】外筒の断面図である。
【図9】上記外筒の平面図である。
【図10】本発明の棒状化粧料繰出容器の他の実施の形態を示す断面図である。
【図11】キャップの断面図である。
【図12】袴の断面図である。
【図13】スリーブおよび内筒を示す分解断面図である。
【図14】内筒の断面図である。
【図15】上記内筒の側面図である。
【図16】上記内筒の要部の側面図である。
【図17】上記内筒の要部の側面図である。
【図18】上記内筒の平面図である。
【図19】繰出筒の断面図である。
【図20】上記繰出筒の側面図である。
【図21】上記繰出筒の平面図である。
【図22】逆止弁の変形例を示す斜視図である。
【図23】従来例を示す分解斜視図である。
【図24】上記従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
2 繰出筒
2a 周側壁
2b 底壁
5 棒状化粧料
16 空気抜き穴
17 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状化粧料繰出容器に繰り出し自在に収容される有底筒状の棒状化粧料保持用の繰出筒であって、上記繰出筒の底壁に、棒状化粧料の下端部を上記繰出筒の上面開口部から挿入して上記繰出筒の周側壁に内嵌状に保持させる際に上記繰出筒内の空気を上記繰出筒外に逃がす空気抜き穴が穿設されているとともに、上記挿入の際に繰出筒内の空気が空気抜き穴を通って繰出筒外に逃げるのを許容する機能と、上記挿入後には繰出筒外の空気が空気抜き穴を通って繰出筒内に流入するのを阻止する機能とを備えた逆止弁が設けられていることを特徴とする繰出筒。
【請求項2】
上記逆止弁が上記繰出筒の底壁の下面もしくは空気抜き穴に固定されている請求項1記載の繰出筒。
【請求項3】
請求項1記載の繰出筒が繰り出し自在に収容されていることを特徴とする棒状化粧料繰出容器。
【請求項4】
上記繰出筒と、この繰出筒を繰り出し自在に収容する内筒と、この内筒に相対回動自在に外嵌される外筒とを備え、上記繰出筒の周側壁外周面の相対峙する部分に突設されたガイド突起を、上記内筒の周側壁に相対峙して穿設された縦穴に係合させて上記繰出筒を内筒に収容し、上記縦穴を挿通して内筒から突出するガイド突起を、上記外筒の内周部に設けたらせん溝に係合させて上記外筒を内筒に外嵌している請求項3記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項5】
上記逆止弁が上記繰出筒の底壁の下面もしくは空気抜き穴に固定されている請求項3もしくは4記載の棒状化粧料繰出容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2006−204415(P2006−204415A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18094(P2005−18094)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)