説明

缶容器キャリア

【課題】プレミアムを入れるスペースを設け、かつ、缶容器との嵌合力も十分なプラスチック製の缶容器キャリアを提供すること。
【解決手段】下方が開放され内部に収納空間が設けられたプレミアム収納部分11と、プレミアム収納部分の周壁13下縁から外方に向けて突出して形成され、缶容器天面のカシメ部分に嵌合される、天面14と天面の周縁より垂下して形成される周壁15と、周壁の内側に天面の下面から周壁と同心円状に形成される第2周壁16とから構成される缶容器嵌合部分12と、左右端に位置する周壁下縁から外方に向けて形成され缶容器嵌合部分に連続する第2缶容器嵌合部分20とからなり、周壁の内面下縁には嵌合突起17が周設され、缶容器嵌合部分の周壁と第2周壁の間に嵌合空間18が形成され、天面の端縁の一部と天面の端縁の一部に連なる周壁の上側の一部には切り欠き部19が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶コーヒー、缶ジュース、缶ビールなどのような缶容器を複数本まとめて持ち運びが可能なプラスチック製の缶容器キャリアに関するものであり、特には、フィギア等のプレミアムが封入可能で、かつ、比較的重量のある缶容器に使用可能なプラスチック製の缶容器キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、缶コーヒー、缶ジュース、缶ビールなどの一列に並べた缶容器を複数本まとめて持ち運びが可能なプラスチック製の缶容器キャリアとして、多数の特許、実用新案が公開されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】実開昭57−63065号公報。
【0004】
しかし、上記の発明考案は、いずれも缶容器を複数本まとめて持ち運ぶという機能は満足するものの、キャリアにフィギュア等の立体性を有するプレミアムを入れるスペースはなかった。
【0005】
また、フィギュア等の立体性を有するプレミアムを入れるスペースを設けたキャリアとして、例えば、図6、図7に示すような二本の缶容器をまとめて、その天面に射出成形法により作製したキャップ状の成形品(100)を被せて缶容器キャリア(100)としたものがある。しかしこの場合には、射出成形後、成形したキャリア(100)を金型から引き出す際は、嵌合突起(101)のアンダーカット部分を強制的に離型させる(無理抜きとも呼ばれる)ので、嵌合突起の形状にダレ等が発生し易く、キャリア(100)と缶容器(50)とを嵌合する際に嵌合力にバラツキが発生する可能性がある。このような理由から190グラム容量の缶コーヒー等に使用されるのみで、350ミリリットル缶等の重量のある缶容器には使用できなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、缶容器用のキャリアに関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、フィギュア等のプレミアムを入れるスペースを設けて、かつ、缶容器との嵌合力も十分なプラスチック製の缶容器キャリアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の発明は、一列に並べられた複数本の缶容器の天面に、一個のプラスチック製のキャップ物を被せて複数本の缶容器を連結する缶容器キャリアにおいて、
前記キャップ物は、下方が開放された略直方体形状をした内部に収納空間が設けられたプレミアム収納部分と、
該プレミアム収納部分の周壁下縁から外方に向けてプレミアム収納部分の長手方向の中心線に対して左右対称に突出して形成され、缶容器の天面のカシメ部分に嵌合される、天面と天面の周縁より垂下して形成される周壁と、周壁の内側に天面の下面から周壁と同心円状に形成される第2周壁とから構成される複数対の缶容器嵌合部分と、
プレミアム収納部分の長手方向に対して左右端に位置する周壁下縁からそれぞれ外方に向けて突出して形成される前記缶容器嵌合部分に連続する第2缶容器嵌合部分と、からなり、
周壁の内面下縁には、缶容器の天面のカシメ部分に嵌合する嵌合突起が周設され、
前記缶容器嵌合部分の周壁と第2周壁の間は嵌合空間が形成され、該嵌合空間を形成する天面の端縁の一部と該天面の端縁の一部に連なる周壁の上側の一部はそれぞれ切り欠かれて切り欠き部が形成されていることを特徴とする、缶容器キャリアである。
【0008】
このように請求項1記載の発明によれば、一列に並べられた複数本の缶容器の天面に、一個のプラスチック製のキャップ物を被せて複数本の缶容器を連結する缶容器キャリアにおいて、前記キャップ物は、下方が開放された略直方体形状をした内部に収納空間が設けられたプレミアム収納部分と、該プレミアム収納部分の周壁下縁から外方に向けてプレミアム収納部分の長手方向の中心線に対して左右対称に突出して形成され、缶容器の天面のカシメ部分に嵌合される、天面と天面の周縁より垂下して形成される周壁と、周壁の内側に天面の下面から周壁と同心円状に形成される第2周壁とから構成される複数対の缶容器嵌合部分と、プレミアム収納部分の長手方向に対して左右端に位置する周壁下縁からそれぞれ外方に向けて突出して形成される前記缶容器嵌合部分に連続する第2缶容器嵌合部分と、からなり、周壁の内面下縁には、缶容器の天面のカシメ部分に嵌合する嵌合突起が周設され、前記缶容器嵌合部分の周壁と第2周壁の間は嵌合空間が形成され、該嵌合空間を形成する天面の端縁の一部と該天面の端縁の一部に連なる周壁の上側の一部はそれぞれ切り欠かれて切り欠き部が形成されているので、製造時に無理抜きをしなくても離型させることができ、本発明の缶容器キャリアを缶容器に被せて持ち運んでも、切り欠き部分の嵌合突起の形状にダレ等が発生することがないため、重量のある例えば、350グラム缶であっても抜け落ちるとがない。
【0009】
また、天面の上部にプレミアム収納部分が設けられているので、缶容器に被せる際に、例えばフィギュアのような立体性を有するプレミアムを缶容器の天面とキャップ物の間に収納して缶容器キャリアを取り付けることができる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記缶容器嵌合部分に形成される切り欠き部は、(プレミアム収納部分を除いて)等間隔で複数個設けられているとを特徴とする、缶容器キャリアである。
【0011】
このように請求項2記載の発明によれば、缶容器嵌合部分に形成される切り欠き部は、(プレミアム収納部分を除いて)等間隔で複数個設けられているので、切り欠き部分は射出成形時に、金型から無理抜きすることなく取り出すことができ、嵌合突起がダレたりすることがない。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記キャップ物は、缶容器を3個まとめて連結するように形成されていることを特徴とする、缶容器キャリアである。
【0013】
このように請求項3記載の発明によれば、キャップ物は缶容器を3個まとめて連結するように形成されているので、取扱いが便利にできている。
【発明の効果】
【0014】
このように本発明の缶容器キャリアは、缶容器嵌合部分に複数の切り欠きを設けたので、その部分の嵌合部分は射出成形時に、無理抜きすることなく金型から取り出すことができ、嵌合突起がダレたりすることがなく、缶容器のカシメ部分にエッジ部分で嵌合して安定したグリップ力を得ることができる。その結果嵌合にバラツキがなくなり、350グラム重量の缶容器を3個一度に連結することが可能となる。また、生産時の製造コストに対してもメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の缶容器キャリアは、例えば、図1に示すように、一列に並べた複数本の缶容器の天面(51)に一個のプラスチック製のキャップ物(10)を被せて複数本の缶容器(50)を連結するものである。
【0016】
キャップ物(10)は、通常は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の適度の剛性を有する熱可塑性樹脂を用いて射出成形法により作製される。
【0017】
キャップ物(10)は、下方が開放された略直方体形状をした内部に収納空間が設けられたプレミアム収納部分(11)と、つぎに述べる複数対の缶容器嵌合部分(12、12)と、缶容器嵌合部分に連続する一対の第2缶容器嵌合部分(20、20)からなる。
【0018】
缶容器嵌合部分(12)は、プレミアム収納部分(11)の周壁(13)下縁から外方に向けて、プレミアム収納部分(11)の長手方向の中心線に対して左右対称に突出して形成される。
そして缶容器(50)の天面のカシメ部分(52)に嵌合される天面(14)と天面の周縁より垂下して形成される周壁(15)と、周壁の内側に天面の下面から周壁と同心円状に形成される第2周壁(16)とから構成される。
【0019】
また、缶容器嵌合部分(12)は、プレミアム収納部分(11)の長手方向の中心線に対して左右対称に一対ずつ複数対、より好ましくは3対形成されている。
【0020】
また、プレミアム収納部分(11)の長手方向に対して左右端に位置する周壁下端から、缶容器嵌合部分(12)と連続する第2缶容器嵌合部分(20、20)がそれぞれ外方に向けて突出して形成されている。
【0021】
周壁(15)の内面下縁には、缶容器(50)の天面のカシメ部分(52)に嵌合する嵌合突起(17)が周設されている。
【0022】
缶容器嵌合部分(12)の周壁(15)と第2周壁(16)の間には嵌合空間(18)が形成されている。嵌合空間(18)を形成する天面の端縁の一部と該天面の端縁の一部に連なる周壁の上側の一部はそれそれ切り欠かれて切り欠き部(19)を形成している。
【0023】
缶容器嵌合部分(12)に形成される切り欠き部(19)は、等間隔をおいて複数個設けることが、安定したグリップ力を得るうえからも望ましい。
【0024】
また、キャップ物(10)は、缶容器(50)を複数個連結するように形成されるが、缶容器のグリップ力が安定しているので、3個連結することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の缶容器キャリアの一実施例を示す、表側から見た斜視説明図である。
【図2】図1のA部の一部切り欠き斜視説明図である。
【図3】本発明の缶容器キャリアの一実施例を示す、(a)は平面説明図であり、(b)は(a)のA−A’線断面説明図である。
【図4】本発明の缶容器キャリアの一実施例を示す、裏側から見た斜視説明図である。
【図5】缶容器に本発明の缶容器キャリアを嵌合させた状態の一実施例を示す、断面説明図である。
【図6】従来の缶容器キャリアの一例を示す、平面説明図である。
【図7】(a)は従来の缶容器キャリアの一例を示す、断面説明図であり、(b)は(a)の嵌合突起部分を拡大した要部断面説明図である。
【符号の説明】
【0026】
10‥‥キャップ物、缶容器キャリア
11‥‥プレミアム収納部分
12‥‥缶容器嵌合部分
13‥‥プレミアム収納部分の周壁
14‥‥天面
15‥‥周壁
16‥‥第2周壁
17‥‥嵌合突起
18‥‥嵌合空間
19‥‥切り欠き部
20‥‥第2缶容器嵌合部分
50‥‥缶容器
51‥‥缶容器の天面
52‥‥カシメ部分
100‥‥缶容器キャリア、キャップ状の成形品
101‥‥嵌合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に並べられた複数本の缶容器の天面に、一個のプラスチック製のキャップ物を被せて複数本の缶容器を連結する缶容器キャリアにおいて、
前記キャップ物は、下方が開放された略直方体形状をした内部に収納空間が設けられたプレミアム収納部分と、
該プレミアム収納部分の周壁下縁から外方に向けてプレミアム収納部分の長手方向の中心線に対して左右対称に突出して形成され、缶容器の天面のカシメ部分に嵌合される、天面と天面の周縁より垂下して形成される周壁と、周壁の内側に天面の下面から周壁と同心円状に形成される第2周壁とから構成される複数対の缶容器嵌合部分と、
プレミアム収納部分の長手方向に対して左右端に位置する周壁下縁からそれぞれ外方に向けて突出して形成される前記缶容器嵌合部分に連続する第2缶容器嵌合部分と、からなり、周壁の内面下縁には、缶容器の天面のカシメ部分に嵌合する嵌合突起が周設され、
前記缶容器嵌合部分の周壁と第2周壁の間には嵌合空間が形成され、該嵌合空間を形成する天面の端縁の一部と該天面の端縁の一部に連なる周壁の上側の一部はそれぞれ切り欠かれて切り欠き部が形成されていることを特徴とする、缶容器キャリア。
【請求項2】
前記缶容器嵌合部分に形成される切り欠き部は、(プレミアム収納部分を除いて)等間隔で複数個設けられていることを特徴とする、請求項1記載の缶容器キャリア。
【請求項3】
前記キャップ物は、缶容器を3個まとめて連結するように形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の缶容器キャリア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−50028(P2008−50028A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227572(P2006−227572)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】