説明

缶用パレット

【課題】 振動が与えられても、缶の転倒、蓋の解放を容易に防止できるようにする。
【解決手段】 缶Aを載置可能な下枠体2と、前記缶Aに載置可能な上枠体3と、前記下枠体2と上枠体3とを連結固定する左右一対の側枠体4とを有する。前記下枠体2は外周の矩形状外枠部材6と、この外枠部材6の内側でその上面が外枠部材6より1段下がった中枠部材7と、前記外枠部材6の角部に上方突出状に設けた側枠体4用の連結材8とを有する。前記上枠体3は外周の矩形状の上外枠部材3Aと、この上外枠部材3Aの内側でその下面が上外枠部材3Aより1段上がった上中枠部材3Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム缶等を保管、運搬するための缶用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術において、缶を保管したり運搬したりするパレットは、板状部材の上側に缶を載置して、水平方向の位置決めはできるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−312662公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術は、板状部材の上の缶は上部が自由になっており、振動等により転倒したり、蓋が開いたりする可能性がある。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした缶用パレットを提供することを目的とする。
本発明は、振動が与えられても、缶の転倒、蓋の解放を容易に防止できる缶用パレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、缶Aを載置可能な下枠体2と、前記缶Aに載置可能な上枠体3と、前記下枠体2と上枠体3とを連結固定する左右一対の側枠体4とを有することを特徴とする。
第2に、前記下枠体2は外周の矩形状外枠部材6と、この外枠部材6の内側でその上面が外枠部材6より1段下がった中枠部材7と、前記外枠部材6の角部に上方突出状に設けた側枠体4用の連結材8とを有し、
前記上枠体3は外周の矩形状の上外枠部材3Aと、この上外枠部材3Aの内側でその下面が上外枠部材3Aより1段上がった上中枠部材3Bとを有することを特徴とする。
【0005】
第3に、前記下枠体2及び上枠体3を平面視矩形状に形成し、それらに側枠体4を連結して矩形体の2側面を形成し、これら矩形体構成部材を複数組水平に隣接して下枠体2相互を連結していることを特徴とする。
第4に、前記下枠体2は、外周の1面に隣接する下枠体2の結合部9を受ける結合受部10を有するとともに、外周の他面に隣接する下枠体2の結合受部10に結合される結合部9を有することを特徴とする。
第5に、前記下枠体2及び上枠体3を平面視矩形状に形成し、それらに側枠体4を連結して矩形体の2側面を形成し、これら矩形体構成部材を複数組上下に積み重ねて、下側の側枠体4の上部に上側の下枠体2を着脱自在に連結していることを特徴とする。
【0006】
第6に、前記左右各側枠体4は上部に前後一対の上連結部12と、両上連結部12間に位置する支持部13とを有し、前記下枠体2の左右側部に前記積み重ねで下に位置する側枠体4の前後上連結部12と着脱自在に連結する下連結部14と前記支持部13に嵌合する嵌合部15とを有することを特徴とする。
第7に、前記側枠体4の上連結部12に係止部17を設け、前記下枠体2の下面にフォーク爪Bを挿入するフォークガイド11を設けるとともに前記下枠体2の下連結部14に前記積み重ねで下に位置する上連結部12の係止部17と係脱自在に係止する係止部材18を設け、この係止部材18と前記フォークガイド11との間にフォーク爪Bの挿入により係止部材18を係止解除させ、フォーク爪Bの離脱により係止部材18を係止させる連動手段19を設けていることを特徴とする。
【0007】
第8に、前記下枠体2は嵌合部15を設けた部位の上面側に、上枠体3及び側枠体4を外した状態で下枠体2を上下に積み重ねたときに上側の下枠体2の嵌合部15を載置支持する段積み受け部材20を有することを特徴とする。
[作用]
下枠体2の中枠部材7上に複数の缶A(ドラム缶)を載置し、その缶A上に上枠体3を載置し、下枠体2の左右側部に側枠体4を配置し、この側枠体4の前後下部を下枠体2の前記連結材8に連結し、側枠体4の上部内面を上枠体3に連結すると、下枠体2、上枠体3及び左右側枠体4は矩形体を構成し、左右側枠体4は矩形体の2側面を形成し、上枠体3は缶A(ドラム缶)の蓋の解放防止をした状態で保持することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドラム缶等の缶の保管・運搬を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜17において、パレット1は大別して、缶A(例えば、ドラム缶)を載置可能な下枠体2と、前記缶Aに載置可能な上枠体3と、前記下枠体2と上枠体3とを連結固定する左右一対の側枠体4とを有する。
前記下枠体2は外周の矩形状外枠部材6と、この外枠部材6の内側でその上面が外枠部材6より1段下がった格子状の中枠部材7と、前記外枠部材6の角部に上方突出状に設けた側枠体4用の連結材8とを有する。
【0010】
前記外枠部材6と中枠部材7の上面の段差は10mm程度で、中枠部材7上に載置された缶Aが水平方向に移動しようとしたときに、外枠部材6がそれを規制できるようになっている。
外枠部材6及び連結材8は角パイプが使用されていて、連結材8の2面に縦横の外枠部材6の端部が溶着等により固定されている。側枠体4は角パイプを門型に連結し、前後一対の支柱4Aの下端に連結材8に挿入連結する連結杆4aを設け、この前後支柱4Aの上端を連結する上横材4Bの上面に丸パイプ4bを固着して支持部13を形成している。また、前後支柱4Aの上部内面には逆U字形状のフック4Cを設けている。
【0011】
外枠部材6上には、連結材8に連結杆4aを嵌入した状態でロックする下連結手段16が設けられており、この下連結手段16はロックピン16aを外枠部材6に対して移動及び回動自在に支持しかつスプリング16bで連結材8側に付勢しており、ロックピン16aの先端は連結材8と連結杆4aとに貫通可能であり、人為的にロックピン16aの先端を連結材8から抜くことにより連結杆4aの抜けだしが可能になる。
前記上枠体3は外周の矩形状の上外枠部材3Aと、この上外枠部材3Aの内側でその下面が上外枠部材3Aより1段上がった上中枠部材3Bとを有する。また、上外枠部材3Aの前後面の左右側部には筒部材を溶着して前記側枠体4のフック4Cが上から挿入可能なフック結合部3Cが設けられており、前記フック4C及びフック結合部3Cが上枠体3と側枠体4の上部連結手段を構成している。
【0012】
この上枠体3は、前記上外枠部材3Aと上中枠部材3Bとの下面の段差は20mm程度で、上中枠部材3B下に載置された缶Aが水平方向に移動しようとしたときに、上外枠部材3Aがそれを規制できるようになっている。また、上中枠部材3Bは缶Aの蓋の上に載置されるので、蓋の解放を阻止することができる。
前記下枠体2及び上枠体3を平面視矩形状に形成し、それらに側枠体4を連結して矩形体の2側面を形成し、これら下枠体2、上枠体3及び左右側枠体4等のによって矩形体が構成され、この矩形体を図12に示すように、複数組水平に配置して互いに隣接すると隙間なく組み合わせることができる。そして隣接する矩形体の下枠体2相互を連結することにより、多数の缶Aを保管するパレット集合体を構成できる。
【0013】
前記下枠体2は、外周の1面に隣接する下枠体2の結合部9を受ける結合受部10を有するとともに、外周の他面に隣接する下枠体2の結合受部10に結合される結合部9を有する。
前記結合部9はアングル材を逆ハの字形状に配置した形状であり、結合受部10はチャンネル材を逆ハの字形状に配置した形状(又は板材の2縁を折り曲げた形状)であり、結合部9は結合受部10に上から挿入すると、下方向、前後方向及び左右方向の位置が規制され、隣接下枠体2同士を水平方向で連結できる。
【0014】
この結合部9及び結合受部10は、各下枠体2に1つずつ設けていてもよいが、実施の形態ではそれぞれ2側面ずつに設けている。
前記下枠体2及び上枠体3を平面視矩形状に形成し、それらに側枠体4を連結して矩形体の2側面を形成し、これら矩形体構成部材を図13に示すように、複数組上下に積み重ねて、下側の側枠体4の上部に上側の下枠体2を着脱自在に連結している。
前記左右各側枠体4は上部に前後一対の上連結部12と、両上連結部12間に位置する支持部13とを有し、前記下枠体2の左右側部に前記積み重ねで下に位置する側枠体4の前後上連結部12と着脱自在に連結する下連結部14と前記支持部13に嵌合する嵌合部15とを有する。
【0015】
前記側枠体4の上連結部12に係止部17を設け、前記下枠体2の下面にフォーク爪Bを挿入するフォークガイド11を設けるとともに前記下枠体2の下連結部14に前記積み重ねで下に位置する上連結部12の係止部17と係脱自在に係止する係止部材18を左右に前後一対計4本の設け、この係止部材18と前記フォークガイド11との間にフォーク爪Bの挿入により係止部材18を係止解除させ、フォーク爪Bの離脱により係止部材18を係止させる連動手段19を設けている。
前記下枠体2の外枠部材6の左右側部下面には2個のブロック22を介して断面山形状のチャンネル材を溶着して嵌合部15が形成されており、前記2個のブロック22にピン形状の係止部材18が長手方向移動自在に挿通され、スプリング(図示せず)によって前後外方に突出されている。
【0016】
前記連動手段19は図16、17等に示すように、前後一対の係止部材18に連結された複数のリンク23、ロッド24及び押動板25とを有し、この押動板25はフォークガイド11の前方に位置して挿入されるフォーク爪Bと当接可能になっており、この押動板25がフォーク爪Bによって押動されると、複数のリンク23及びロッド24を介して4本の係止部材18がスプリングに抗して係止部17から抜けだし、係止を解除し、フォーク爪Bがフォークガイド11から抜けると、スプリングの弾発力により係止部材18が係止部17に係合する。
【0017】
前記下枠体2は嵌合部15を設けた部位の上面側に、上枠体3及び側枠体4を外した状態で下枠体2を上下に積み重ねたときに上側の下枠体2の嵌合部15を載置支持する段積み受け部材20を有する。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜17に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態を示す全体斜視図である。
【図2】平面図である。
【図3】正面図である。
【図4】側面図である。
【図5】平面図である。
【図6】下枠体の斜視図である。
【図7】下枠体の正面図である。
【図8】下枠体の側面図である。
【図9】上枠体の斜視図である。
【図10】側枠体の斜視図である。
【図11】下枠体の組立て前の説明図である。
【図12】パレットを水平に組みかつ上下に積み重ねた説明斜視図である。
【図13】パレットを上下に積み重ねた説明斜視図である。
【図14】下連結手段の要部斜視図である。
【図15】上下積み重ね構造を示す要部斜視図である。
【図16】係止部材が係止状態のときの要部斜視図である。
【図17】係止部材が係止解除した状態のときの要部斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1 パレット
2 下枠体
3 上枠体
4 側枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶(A)を載置可能な下枠体(2)と、前記缶(A)に載置可能な上枠体(3)と、前記下枠体(2)と上枠体(3)とを連結固定する左右一対の側枠体(4)とを有することを特徴とする缶用パレット。
【請求項2】
前記下枠体(2)は外周の矩形状外枠部材(6)と、この外枠部材(6)の内側でその上面が外枠部材(6)より1段下がった中枠部材(7)と、前記外枠部材(6)の角部に上方突出状に設けた側枠体(4)用の連結材(8)とを有し、
前記上枠体(3)は外周の矩形状の上外枠部材(3A)と、この上外枠部材(3A)の内側でその下面が上外枠部材(3A)より1段上がった上中枠部材(3B)とを有することを特徴とする請求項1に記載の缶用パレット。
【請求項3】
前記下枠体(2)及び上枠体(3)を平面視矩形状に形成し、それらに側枠体(4)を連結して矩形体の2側面を形成し、これら矩形体構成部材を複数組水平に隣接して下枠体(2)相互を連結していることを特徴とする請求項1又は2に記載の缶用パレット。
【請求項4】
前記下枠体(2)は、外周の1面に隣接する下枠体(2)の結合部(9)を受ける結合受部(10)を有するとともに、外周の他面に隣接する下枠体(2)の結合受部(10)に結合される結合部(9)を有することを特徴とする請求項3に記載の缶用パレット。
【請求項5】
前記下枠体(2)及び上枠体(3)を平面視矩形状に形成し、それらに側枠体(4)を連結して矩形体の2側面を形成し、これら矩形体構成部材を複数組上下に積み重ねて、下側の側枠体(4)の上部に上側の下枠体(2)を着脱自在に連結していることを特徴とする請求項1に記載の缶用パレット。
【請求項6】
前記左右各側枠体(4)は上部に前後一対の上連結部(12)と、両上連結部(12)間に位置する支持部(13)とを有し、前記下枠体(2)の左右側部に前記積み重ねで下に位置する側枠体(4)の前後上連結部(12)と着脱自在に連結する下連結部(14)と前記支持部(13)に嵌合する嵌合部(15)とを有することを特徴とする請求項5に記載の缶用パレット。
【請求項7】
前記側枠体(4)の上連結部(12)に係止部(17)を設け、前記下枠体(2)の下面にフォーク爪(B)を挿入するフォークガイド(11)を設けるとともに前記下枠体(2)の下連結部(14)に前記積み重ねで下に位置する上連結部(12)の係止部(17)と係脱自在に係止する係止部材(18)を設け、この係止部材(18)と前記フォークガイド(11)との間にフォーク爪(B)の挿入により係止部材(18)を係止解除させ、フォーク爪(B)の離脱により係止部材(18)を係止させる連動手段(19)を設けていることを特徴とする請求項6に記載の缶用パレット。
【請求項8】
前記下枠体(2)は嵌合部(15)を設けた部位の上面側に、上枠体(3)及び側枠体(4)を外した状態で下枠体(2)を上下に積み重ねたときに上側の下枠体(2)の嵌合部(15)を載置支持する段積み受け部材(20)を有することを特徴とする請求項6に記載の缶用パレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−113825(P2009−113825A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286647(P2007−286647)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(390037534)オーエッチ工業株式会社 (11)
【出願人】(500280630)株式会社伊藤金網製作所 (1)
【Fターム(参考)】