説明

置換シクロペンタン誘導体の調製方法及びその新規結晶構造

【課題】本発明は、置換シクロペンタン誘導体及び医薬的に許容されるその塩を提供することを目的とする。
【解決手段】式(Ia):
【化1】


の化合物、その二水和物又はその三水和物の結晶。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、1999年6月28日に出願された米国仮出願No.60/141301の利益を主張する。
【0002】
本発明は、式(I):
【0003】
【化1】

【0004】
[式中、R、R、R、R、X及びYは、下記に記載される通りである。]
で示される置換シクロペンタン誘導体及び医薬的に許容されるその塩の調製方法に関する。
本発明は、式(Ia)の化合物の精製方法、及び、式(Ia)の化合物の新規結晶形に関する:
【0005】
【化2】

【背景技術】
【0006】
式(I)の化合物は、インフルエンザ及び他のウイルス性感染症の処置に有用なノイラミニダーゼ阻害剤である。
式(I)の化合物、及び式(I)の化合物を製造し、使用する方法は、1997年12月17日に出願された係属中のPCT US 98/26871に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、より効率的な式(I)の化合物の調製方法、特に、クロマトグラフィー精製を必要とせずに所望の立体異性体の高収率単離を可能にする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(I):
【0009】
【化3】

【0010】
[式中、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール及びアラルキルからなる群より選択され;
は、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロゲン置換アルキル、アリール及び置換アリールからなる群より選択され;
及びRは、R又はRの少なくとも1つがアルキルである場合、独立に、水素、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、アリ−ル及び置換アリールからなる群より選択され;
Xは、NHC(=NH)NHであり、
Yは、水素、フッ素、ヒドロキシル、OR、OCOR、NH、NHCOR及びNRからなる群より選択され、Rは、アルキル、アリール、COR又はCOORから選択され、Rは、水素、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、アリール又は置換アリールから選択される。]
の化合物及び医薬的に許容されるその塩の調製方法であって、工程:
【0011】
【化4】

【0012】
式(II)[式中、Wは、N保護基である]の化合物を、式(III)の酸化ニトリルの制御不能な分解を防止する温度における付加環化によって、式(III)の化合物と反応させて、それぞれ式(IV)及び(IV’)で示される2つのレジオアイソマー(regioisomers)の2つの立体異性体の混合物を得;
【0013】
【化5】

【0014】
式(IV)及び(IV’)の化合物の混合物を、加水分解によって反応させて、式(V)及び(V’)[式中、Mは、アルカリ金属カチオン又はテトラ−アルキル−アンモニウムカチオンである]の該当するアルカリ金属塩を得;得られた式(V)及び(V’)の塩の混合物を、酸と反応させて、式(VI)及び(VI’)の該当する酸を得;式(VI)及び(VI’)の酸を、アンモニア又はアミンと反応させて、式(VII)[式中、Qは、NH又は置換アンモニウムカチオンを表す]の該当する塩を沈殿させ;式(VII)の塩を反応させて、式(IVa)の化合物を得;
【0015】
【化6】

【0016】
ホウ化水素ナトリウム及びNiClを用いて、式(IVa)の化合物を還元して、式(IX)の該当するアミノアルコールの2つの立体異性体の混合物を得;有機溶媒、又はアルコール/水混合物から再結晶して、式(IXa)の所望のジアステレオマーを単離し;
【0017】
【化7】

【0018】
式(IXa)のアミノアルコールと、式(X)の化合物又は式(XI)[式中、Vは塩素又は臭素である]の化合物とを反応させて、式(XII)の該当する化合物を得;
【0019】
【化8】

【0020】
式(I)の化合物において、Yが、式(XII)に示される配置においてヒドロキシル以外のものである場合、既知の方法によって、例えば1997年12月17日に出願されたPCT US 98/26871に開示されているように、式(XII)の化合物を式(XII’)の化合物にさらに変換し;
【0021】
【化9】

【0022】
式(XII)又は(XII’)の化合物からN保護基を脱離させ、式(XIII)の該当するアミン又はその塩を得;式(XIII)の化合物を加水分解して、式(XIV)の該当する酸性塩を得;式(XIV)の化合物をグアニル化剤と反応させて、式(I)の化合物を得る
からなる方法に関する。
【0023】
式(XIII)の化合物について、YがNH又はNR[式中、Rは水素である]である場合、YはW以外の保護基で保護され、その保護基はグアニル化工程後に既知の方法によって脱離される。
別の側面において、本発明は、式(Ia)の粗化合物を、還流温度において、水/メタノール混合物に溶解し、冷却して、式(Ia)の純粋化合物を結晶化することからなる、式(Ia):
【0024】
【化10】

【0025】
の化合物を精製し、安定な結晶形を形成するための再結晶方法に関する。
本明細書に記載される本発明の方法は、クロマトグラフィー分離又は精製を必要とせず;エーテル、CHCl等の高易燃性又は毒性の溶媒を使用する必要がなく;高収率及び純度を得ることができ;大スケールの製造に適している;という点において、これまでに開示されている方法より有利である。
【0026】
上記の再結晶は、結晶形A及び結晶形Bと称される式(Ia)の化合物の2つの結晶形のいずれか、又は、それらの混合物の製造に使用することができる。
本発明のさらなる側面は、それぞれのX線粉末回折パターンによって特徴付けられる式(Ia)の化合物の新規結晶構造、より詳しくは結晶形A及び結晶形Bに関する。
式(Ia)の化合物の結晶形Aは、周囲相対湿度の変化に対して、より安定性である。
【0027】
発明の詳細な説明
本明細書において使用される「アルキル」という用語は、単独で使用される場合も、置換基の一部として使用される場合も、1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖を包含する。アルキル基の例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル等が挙げられる。
本明細書において使用される「アルキレン」という用語は、単独で使用される場合も、置換基の一部として使用される場合も、2〜8個の炭素原子、好ましくは2〜3個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖又は環状の不飽和炭化水素基を包含する。アルキレン基として、ビニル、1−プロペニル、アリル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、シクロペンテニル等が挙げられる。
本明細書において使用される「シクロアルキル」は、他に記載のない場合、環に3〜8個の炭素原子を有し、一般に1〜6個の炭素原子を有するアルキル基で任意に置換されている環状脂肪族基を示す。一般に、1個又は2個の置換基が存在する。適したシクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等である。
本明細書において使用される「アリール」は、他に記載のない場合、例えば、フェニル、ナフチル等、好ましくはフェニル等、6〜14個の炭素原子を有する非置換炭素環式芳香族基のことを言う。
【0028】
本明細書において使用される「アラルキル」は、他に記載のない場合、アリール基で置換されているアルキル基を意味する。アラルキル基の好適な例は、ベンジル、フェニルエチル等である。
本明細書において使用されるアリール及びアラルキル基上の置換基は、他に記載のない場合、1つ又は複数の、好ましくは1個又は2個のハロゲンである。
本明細書において使用される「ハロゲン」は、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素を意味するものである。
本明細書において使用される「アミン」は、例えば、エチルアミン、t−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン等、第一級、第二級又は第三級アミンを意味するものである。
【0029】
本明細書において使用される「グアニル化剤」は、ホルムアミジン基をアミン窒素に付加する薬剤を意味するものである。グアニル化剤の好適な例として、ホルムアミジンスルホン酸、S−メチルイソ−チオウレア、1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジンモノヒドロクロリド、1H−トリアゾール−1−カルボキシアミジンモノヒドロクロリド等が挙げられる。好ましくは、グアニル化剤は、1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジンモノヒドロクロリド又は1H−トリアゾール−1−カルボキシアミジンモノヒドロクロリド、より好ましくは1H−トリアゾール−1−カルボキシアミジンモノヒドロクロリドである。
本明細書において使用されるN保護基は、他に記載のない場合、窒素に直接的に結合し、窒素における反応を防止することができる何れかの官能基を意味するものである。そのような保護基は技術上既知であり、例えば、Protective Groups in Organic Chemistry、J.F.W. McOmie発行、Plenum Press, 1973;及び、Protecive Groups in Organic Synthesis, 第3版、T.W.Greene及びP.G.M.Wuts, John Wiley & Sons, 1999に記載されている。N保護基の好適な選択は、当業者によってなされうる。
【0030】
本明細書において使用される記号「*」は、立体化学生成(stereogenic)中心の存在を示す。
本発明の化合物が1つの立体化学生成中心を有する場合、それらはエナンチオマーとして存在する。本発明の化合物が2つ又はそれ以上の立体化学生成中心を有する場合、それらはジアステレオマーとしても存在する。そのような異性体及びそれらの混合物は全て本発明の範疇に包含されると理解すべきものとする。
【0031】
置換基に関して、「独立に」という用語は、2つ以上のそのような置換基が存在しうる場合、そのような置換基は、相互に同じである場合もあり、異なっている場合もあることを意味する。
本明細書において使用される「制御不能な分解を防止する温度」という用語は、分解温度以下の安全な温度を意味するものとする。例えば、式(III)の化合物において、R及びRがそれぞれエチルである場合、制御不能な分解を防止する温度は<90℃である。
式(I)の化合物の医薬的に許容される塩として、医薬的に許容される無機及び有機の酸並びに塩基から誘導される塩が挙げられる。好適な酸の例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、琥珀酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、トリフルオロ酢酸及びベンゼンスルホン酸が挙げられる。
適切な塩基から誘導される塩として、アルカリ金属カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム等;及びアンモニウムイオン、例えば、アンモニウム、アルキルアンモニウム等が挙げられる。
好ましい実施態様において、本発明は、R、R、R及びRが独立に水素又はC〜Cアルキルから選択され、Rが水素であり、YがOHである式(I)の化合物の調製に使用される。より好ましくは、本発明は、式(Ia)の化合物の調製に使用される:
【0032】
【化11】

【0033】
本発明は、以下のスキーム1中で表される式(I)の化合物の調製方法に関する:
【0034】
【化12】

【0035】
【化13】

【0036】
【化14】

【0037】
【化15】

【0038】
[式中、R、R、R、R、X、Y、Q、V及びWは上記に記載した通りである。]
より詳しくは、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン等の不活性有機溶媒中で、式(III)のニトリルオキサイドの制御不能な分解を防止する温度、好ましくは約40℃〜約90℃の温度において、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン等の第三級アミン、好ましくはトリエチルアミンの存在下に、付加環化することによって、既知の化合物又は既知の方法によって調製される化合物である式(II)のN保護化合物を、既知の方法によって系中で製造される化合物である式(III)の化合物に付加して、式(IV)及び(IV’)の2つのレジオアイソマーの2つの立体異性体の混合物を得る。
式(III)の置換酸化ニトリルは、既知の方法によって、好ましくは、好適に置換されたクロロオキシム(式RCH−C(Cl)=NOHで表される)を加熱することによって系中で生成されうる。例えば、Curran D.P. & Gothe, S.A., Tetrahedron, 1988, 44(13), 3945−52。
【0039】
所望の立体異性体、すなわち式(IVa)の化合物を選択的に単離するために、有機溶媒中に存在する(IV)及び(IV’)の混合物を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液、好ましくは水酸化ナトリウムで加水分解して、それぞれ式(V)及び(V’)の該当するアルカリ金属塩の混合物を得る。水相(アルカリ金属塩を含有する)を有機相から分離し、好適な溶媒、例えば、有機エーテル、例えばメチルtert−ブチルエーテル;有機エステル、例えば酢酸エチル;炭化水素、例えばトルエン;水不混和性ケトン、例えばメチル−イソブチルケトン;又は水不混和性アルコール、例えば、n−ブタノール;好ましくはメチルtert−ブチルエーテルと混合する。得られた混合物を、酢酸、塩酸、硫酸等の酸、好ましくは塩酸で処理して、pHを約3〜5、好ましくは約4にして、式(VI)及び(VI’)の該当する酸を得る。有機相を分離し、アンモニア又はアミン、好ましくはt−ブチルアミンで、好ましくは15〜30℃、より好ましくは室温(20〜25℃)で処理して、該当する塩である式(VII)[式中、QはNH又は置換アンモニウムカチオンを表す]の化合物を沈殿させる。
【0040】
代替的に、式(V)及び(V’)の化合物を含有する反応混合物を、酢酸、塩酸、硫酸等の酸、好ましくは塩酸で、pH約0.5〜3、好ましくはpH約1〜2に酸性化して、該当する式(VI)及び(VI’)の化合物を得る。次に、有機相を分離し、アンモニア又は有機アミン、好ましくはt−ブチルアミンで、好ましくは約15〜30℃、より好ましくは室温で処理して、式(VII)[式中、Qは上記に記載した通りである]の該当する化合物を沈殿物として得る。
式(II)の化合物において、Rが水素であるとき、上記記載の条件下で、式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて、式(VI)及び(VI’)の化合物を直接的に得る。
【0041】
式(VII)の塩を、式ROHのアルコール、好ましくは該当するオルト−エステルで処理された式(VIII)の化合物中に懸濁させる。得られた懸濁液を、気体HCl、気体HBr、過塩素酸、p−トルエンスルホン酸等の非水性強酸、好ましくは気体HClで、≦20℃の温度で処理して、式(VIa)の化合物を得た。式(VII)上のN保護基がt−ブトキシカルボニル(Boc)である場合、さらにジ−tert−ブチルジカーボネート(Boc無水物)、及びトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン等の第三級アミン、好ましくはトリエチルアミンで、その溶液を処理する。
【0042】
代替的に、式(VII)の化合物上のN保護基がt−ブトキシカルボニル(Boc)である場合、式(VII)の化合物を、アセトン、2−ブタノール、アセトニトリル等の有機溶媒、好ましくはアセトン中に懸濁し、次に、塩基、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等、又は水酸化アルカリ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等、又はそれらの混合物、好ましくは水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムとの混合物等のそれらの混合物で処理する。好ましくは、得られた懸濁液を加熱して、Q+のアミン副生物を除去し、次に、ハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル等のアルキル化剤、好ましくは硫酸ジメチルで処理して、式(IVa)の該当する化合物を得る。
【0043】
好ましくは約2〜3モル当量のホウ化水素ナトリウム及び好ましくは少なくとも1モル当量に相当する量の塩化ニッケルを使用して、メタノール、エタノール等のアルコール、好ましくは式(VIII)のアルコール中で、好ましくは10℃未満の温度で、式(IVa)の立体異性体を還元して、式(IX)の該当する化合物を得る。生成物を、亜硝酸ナトリウム、水酸化アンモニウム及び塩化アンモニウムの添加によって単離し、式(IX)の該当するアミノアルコールを沈殿させる。
式(IXa)の化合物の所望の立体異性体を、トルエン、酢酸エチル等の有機溶媒、又はメタノール/水、エタノール/水等のアルコール/水混合物、好ましくはトルエンからの再結晶によって単離する。
代替的に、式(IXa)の所望のジアステレオマーは、式(IX)の混合物を塩酸、酢酸等、水溶液等の弱酸性水溶液に溶解し、溶液のpHを水酸化アンモニウムでpH>7に調節し、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出することによって単離される。次に、式(IXa)の化合物を既知の方法で単離する。
式(IXa)のアミノアルコールを、トルエン、酢酸エチル等の不活性有機溶媒、好ましくはトルエン中で、好ましくは1〜2当量、より好ましくは約1当量の式(X)の化合物又は式(XI)の化合物、好ましくは式(X)の化合物と反応させて、式(XII)の該当する化合物を得る。
【0044】
式(I)の化合物において、Yが式(XII)に示される配置においてヒドロキシル以外のものである場合、式(XII)の化合物を、既知の方法によって、例えば1997年12月17日に出願された係属中の出願PCT US 98/26871に記載されているように、式(XII’)の化合物にさらに変換する。
式(XII)又は(XII’)の化合物のN保護基を既知の方法によって脱離させ、それぞれ分離した水相中で溶解型で存在する式(XIII)又は(XIII’)の該当するアミン又はそれらの塩を得る。
式(XII)又は(XII’)の化合物のN保護基がBocである場合、N保護基は、有機溶媒中に存在する式(XII)又は(XII’)の化合物を、pH0〜3、好ましくはpH<1、より好ましくはpH0の塩酸水溶液又は臭化水素酸水溶液、好ましくは塩酸水溶液等の酸で、好ましくは0〜20℃の温度で処理して、それぞれ式(XIII)又は(XIII’)の該当するアミンの塩を得る。
【0045】
式(XIII)又は(XIII’)の化合物を含有する分離した水相に、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の塩基を、好ましくは約10℃以下の温度で添加して、pHを約6〜13、好ましくはpH12〜13に調節して、それぞれ式(XIV)又は(XIV’)の化合物を得る。式(XIV)又は(XIV’)の化合物を含有する溶液に、pH7.5〜14、好ましくは8〜10において、0〜90℃、好ましくは10〜50℃でグアニル化剤を添加して、それぞれ式(Ib)又は(I)で示される化合物を得る。
好ましくは、グアニル化剤は、pH約9.5において40〜50℃の温度で添加される1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジンモノヒドロクロリド、又は、pH約8.5において20〜30℃の温度で添加される1H−トリアゾール−1−カルボキシアミジンモノヒドロクロリドである。より好ましくは、グアニル化剤は1H−トリアゾール−1−カルボキシアミジンモノヒドロクロリドである。
【0046】
代替的に、式(XII)の化合物は、保護基の脱離の前に、加水分解してよい。
式(I)の化合物において、Rが水素以外のものである場合、式(XIII)又は(XIII’)の化合物を含有する分離した水相を、グアニル化剤で、pH7.5〜14、好ましくは8〜10において、0〜90℃、好ましくは10〜50℃の温度で直接的に処理して、それぞれ式(Ib)又は(I)の該当する化合物を得る。
式(Ia)の化合物は、粗生成物を、好ましくは5:95〜50:50、より好ましくは10:90のメタノール/水混合物に、還流温度で溶解することによって精製される。好ましくは、沸騰温度が約85〜100℃、より好ましくは98〜100℃に達するまで、溶液を還流に維持する。得られた溶液を冷却して、精製された式(Ia)の生成物を沈殿させる。
【0047】
上記のような式(Ia)の化合物の再結晶は、2つの新規結晶形、結晶形A又は結晶形B、又はそれらの混合物を生じるものである。結晶形Aは、溶液の容量が、≦7mL/g、好ましくは>10mL/gであり、好ましくは≦30℃にで初期沈殿が生じるものであり、水/メタノール溶液からの遅い再結晶によって得られるものである。結晶形Bは、溶液の容量が≦7mL/gであり、初期沈殿が好ましくは>30℃で生じるものであり、水/メタノール溶液からの速い再結晶によって得られるものである。結晶形B、又は、結晶形Aと結晶形Bとの混合物は、好ましくは≦20℃、より好ましくは約70〜80℃の温度で固形物を水中で攪拌し、好ましくは約0〜5℃の温度に冷却することによって、結晶形Aに完全に変換することができる。
【0048】
好ましくは、結晶形Aは、式(Ia)の化合物を速い再結晶して、結晶形B、又は、結晶形Aと結晶形Bとの混合物を形成し、そして結晶形Aに完全に変換することによって製造される。
化合物(Ia)の新規結晶形は、CuKα輻射線及び以下のシステム条件を使用する粉末回折計に基づくPhilips PW3710を使用するそれらの各X線粉末回折パターンによって特徴付けられうる:
a) CuKα輻射線、30mA、40KV
b) オプチックス
・ 1/12°ダイバージェンススリット(divergence slit)
・ 0.2 リシービングスリット(receiving slit)
c) 0.016°2θ/秒のスキャン速度においてスキャン4〜35°2θ
d) アルミニウム試料ホルダー
【0049】
式(Ia)の化合物の結晶形Aは、小さい高密度光沢結晶として表れ、二又は三水和物として存在し、そのX線回折パターンによって特徴付けられうる:
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
式(Ia)の化合物の結晶形Aは、以下の主要ピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられうる:
【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
式(Ia)の化合物の結晶形Bは、綿毛状の低密度針状結晶として表れ、二水和物として存在し、そのX線回折パターンによって特徴付けられうる:
【0056】
【表5】

【0057】
【表6】

【0058】
式(Ia)の化合物の結晶形Bは、以下の主要ピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられうる:
【0059】
【表7】

【0060】
【表8】

【発明の効果】
【0061】
本発明によれば、より効率的な式(I)の化合物の調製方法、特に、クロマトグラフィー精製を必要とせずに所望の立体異性体の高収率単離を可能にする方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下の実施例は、本発明をさらに詳しく説明するものであり、本発明を例示することを意図するものであって、限定するものでない。
実施例
実施例1
2−エチル−N−ヒドロキシルブタンイミドイルクロリドの製造
ヒドロキシルアミンヒドロクロリド(230.1g、3.31mol)を、精製水(220g)に溶解させた。トルエン(740g)を添加し、次に、2−エチルブチルアルデヒド(315.6g、3.15mol)を添加した。2相の混合物を冷却しながら勢いよく攪拌した。水酸化ナトリウム溶液(約30%、463g、3.47mol)を約1時間かけてゆっくり添加して(添加は極めて発熱性である)、温度を15〜25℃に維持した。混合物をさらに30〜60分間攪拌し、次に、静置して相を分離した。オキシムを含有する有機相を、さらに処理せずに次の工程に使用した。
【0063】
N−クロロスクシンイミド(NCS)(421.2g,3.15mol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)(499.4g)に懸濁し、約10℃に冷却した。充分に冷却して反応温度を10〜25℃に維持しながら、トルエン(3.15mol)中のオキシム溶液を少なくとも2時間でゆっくり添加した(反応は発熱性であるが、加熱放出は即時ではない。初めに、少量のオキシム溶液(約5%)を添加した。熱放出が始まった際に、残りの溶液を添加した)。オキシムの添加が終了した後、混合物を15〜25℃で少なくとも30分間攪拌した。温度を10〜30℃に維持しながら、精製水(1050g)を15分間でゆっくり添加した(僅かな発熱)。2相の混合物を15〜25℃で15分間攪拌し、相を分離した。水層を捨て、有機層を精製水(3×1050g)で洗浄した。クロロオキシムを含有する有機層を単離し、さらに精製せずに次の段階に使用した(溶液は催涙性である)。
【0064】
実施例2
(3aR,4R,6S,6aS)−2,2−ジメチルエチルアンモニウム 4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−(1’−エチルプロピル)−3a,5,6,6a−テトラヒドロ−4H−シクロペント[d]イソオキサゾール−6−カルボキシレート
(1S,4R)−(−)−メチル−[[1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]シクロペント−2−エン−1−カルボキシレート(50g、0.207mol)を、トルエン(310g)及びトリエチルアミン(62.9g、0.622mol)に溶解し、反応混合物を60〜70℃に加熱した。トルエン(130g)中の2−エチル−N−ヒドロキシルブタンイミドイルクロリド(93.0g、0.622mol)を、2.5時間で上記の溶液に添加した。白色固形物(トリエチルアンモニウムクロリド)が沈殿した。添加終了後に、反応混合物を60〜70℃でさらに5時間攪拌した。反応混合物を20〜25℃に冷却し、沈殿物を濾過によって除去し、フィルターケークをトルエン(50g)で洗浄した。合わした濾液を、水(37.3g)中の水酸化ナトリウム(12.4g、0.311mol)の溶液で15℃で処理した。温度を約30℃にゆっくり上げた。反応混合物を水(294g)で希釈し、相を分離した。有機相を水(50g)で抽出し、合わした水相をトルエン(50g)で抽出した。tert−ブチルメチルエーテル(250g)を水相に添加し、濃HCl(26.1g、0.265mol)の添加によって混合物のpHを4.0に調節した。相を分離し、水相をtert−ブチルメチルエーテル(250g)で抽出した。合わした有機相を硫酸マグネシウム(20g)で乾燥した。乾燥剤を濾過によって除去し、tert−ブチルメチルエーテル(50g)で濯いだ。合わした濾液をtert−ブチルメチルエーテル(250g)で希釈し、tert−ブチルアミン(15.2g、0.207mol)で20〜25℃で処理した。生成物が白色固形物として沈殿した。混合物を3時間攪拌し、沈殿物を濾過によって回収し、tert−ブチルメチルエーテル(75g)で濯ぎ、40℃で16時間乾燥した。
収量56.68g(66%)、純度(LC)>98%。
【0065】
実施例3
(3aR,4R,6S,6aS)−(+)−メチル 4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−(1’−エチルプロピル)−3a,5,6,6a−テトラヒドロ−4H−シクロペント[d]イソオキサゾール−6−カルボキシレート
(3aR,4R,6S,6aS)−1,1−ジメチルエチルアンモニウム 4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−(1’−エチルプロピル)−4,5,6,6a−テトラヒドロ−3aH−シクロペント[d]イソオキサゾール−6−カルボキシレート(100g、0.242mol)を、メタノール(200g)に懸濁した。トリメチルオルトホルメート(30.8g、0.290mol)を添加し、反応混合物を10〜20℃に冷却した。HClガス(11.0g、0.302mol)を反応混合物に15分間泡立て(最高温度20℃)、混合物が透明な溶液になった。溶液を18〜25℃で2〜3時間攪拌した。ジ−tert−ブチルジカーボネート(BOC無水物)(13.2g、0.06mol)を添加し、5分間攪拌し、次に、トリエチルアミン(9.0g、0.089mol)を添加して、pHを8〜9に調節した。溶液を15〜30分間攪拌し、次に、12〜18℃に冷却し、水(120g)で希釈した。溶液をシードし(seed)、15〜30分間攪拌し、その際に生成物が沈殿し始めた。追加の水(200g)を添加し、懸濁液を0〜5℃に冷却し、さらに1〜2時間攪拌した。生成物を濾過によって回収し、水(150g)で洗浄し、45〜50℃で真空乾燥した。
収量82.82g(96.6%)、純度(LC)99.2%。
【0066】
実施例4
(1S,2S,3S,4R,1’S)−メチル 3−[(1’−アミノ−2’−エチル)ブチル]−4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−2−ヒドロキシシクロペンタン−1−カルボキシレート
(3aR,4R,6S,6aS)−(+)−メチル 4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−(1’−エチルプロピル)−3a,5,6,6a−テトラヒドロ−4H−シクロペント[d]イソオキサゾール−6−カルボキシレート(100g、0.282mol)及び塩化ニッケル六水和物(70.4g、0.296mol)を、メタノール(254g)に溶解させた。緑色溶液を0〜5℃に冷却し、その際に懸濁液が形成された。水酸化ナトリウム(0.5g、0.011mol)及びホウ化水素ナトリウム(28.0g、0.741mol)をメタノール(228g)に溶解し、0〜10℃で反応混合物に4時間で添加した(反応は極めて発熱性である)。黒色懸濁液が、強いガス形成と共に形成され。ホウ化水素ナトリウム溶液の添加終了後に、反応混合物を0〜5℃で30分間攪拌した。水(639g)中の、亜硝酸ナトリウム(20g、0.291mol)、塩化アンモニウム(56.1g、1.05mol)及び25%の水酸化アンモニウム水溶液(65g、0.954mol)の溶液を、反応温度を25℃以下に維持する速度て添加した。黒色固形物が溶解し、濃厚な青色がかった懸濁液が形成された。混合物を20〜25℃で12〜16時間攪拌した。沈殿物を濾過によって回収し、水(864g)中の25%の水酸化アンモニウム(136g)の溶液で2回洗浄して、湿った粗生成物(300g)を得た。湿った粗生成物を、トルエン(1500g)及び25%の水酸化アンモニウム水溶液(150g)に懸濁させた。懸濁液を30〜60分間で70〜80℃に加熱した。透明な2相の系を得た。相を分離し、25%の水酸化アンモニウム水溶液(150g)を有機相に添加した。70〜80℃に加熱した後、相を分離し、水(200g)中のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム塩二水和物(150g)の溶液を添加した。30〜60分間で70〜80℃に加熱した後、相を分離し、有機層を2〜3時間で0〜5℃に冷却した。ゼリー状の懸濁液が形成された。0〜5℃でさらに2〜3時間攪拌した後、生成物を濾過によって回収し、トルエン(200g)で濯いだ。湿った生成物を40〜50℃で真空乾燥した。
収量74.0g(73.2%)、純度(LC)98.2%。
【0067】
実施例5
(1S,2S,3R,4R,1’S)−(−)−3−[(1’−アセチルアミノ−2’−エチル)ブチル]−4−[[(アミノイミノ)メチル]アミノ]−2−ヒドロキシシクロペンタン−1−カルボン酸
(1S,2S,3S,4R,1’S)−メチル 3−[(1’−アミノ−2’−エチル)ブチル]−4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−2−ヒドロキシシクロペンタン−1−カルボキシレート(21.16g、0.060mol)を、トルエン(88.7g)に懸濁し、0〜5℃に冷却した。無水酢酸(7.02g、0.069mol)を0〜30℃で10分間で添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌し、次に、水(50g)中の炭酸ナトリウム(5.0g、0.047mol)の溶液で抽出した。水相を捨て、有機相を37重量%の塩酸(23.2g、0.235mol)に0〜5℃で5分間で添加した。ガス放出が観察された。ガス放出が15分後に減少した。0〜10℃で1時間攪拌した後、層を分離し、有機層を水(10g)で洗浄した。合わした水性層を、pHコントロール下で、0〜10℃でゆっくり添加される水中の水酸化ナトリウムの30重量%溶液(合計36.1g、0.271mol)で処理した。pHを12.5に調節した。初めに、pHが急に減少し、水酸化ナトリウム溶液を添加して、このpH値を維持しなければならなかった。45分後、pHが12.5で一定になった。溶液を0〜10℃でさらに30分間攪拌した。1,2,4−トリアゾール−1−ホルムアミジンヒドロクロリド(10.78g、0.073mol)を0〜30℃で添加した。懸濁液を15分間攪拌し、30%の水酸化ナトリウム水溶液(1.0g、0.08mmol)を添加することによってpHを8.4に調節した。透明な溶液が形成された。約2時間後に、白色固形物が沈殿し始めた。反応混合物を室温で一晩攪拌し、その際にpHが8.5に増加した。懸濁液を0〜5℃に冷却し、さらに2〜3時間攪拌した。生成物を濾過によって回収し、水(10g)で洗浄した。生成物を風乾するか、又は湿ったケークとして再結晶段階に使用する。
【0068】
実施例6
(1S,2S,3R,4R,1’S)−(−)−3−[(1’−アセチルアミノ−2’−エチル)ブチル]−4−[[(アミノイミノ)メチル]アミノ]−2−ヒドロキシシクロペンタン−1−カルボン酸の再結晶
粗(1S,2S,3R,4R,1’S)−(−)−3−[(1’−アセチルアミノ−2’−エチル)ブチル]−4−[[(アミノイミノ)メチル]アミノ−2−ヒドロキシシクロペンタン−1−カルボン酸(97.0g、0.273mol、1.5水和物)を、蒸留水(600mL)及びメタノール(70mL)と混合した。固形物が溶解するまで混合物を加熱して沸騰させた。溶液を熱濾過して、ダスト又は不溶粒子を除去した。沸点が99〜100℃に達するまで、84℃の初期沸点から加熱を継続してメタノールを蒸留して、約6mL/gの最終溶液容量にした。混合物を室温に冷却し、その際に、生成物が結晶形Bの白色針状結晶として沈殿した。混合物を室温で一晩攪拌した。次に、固形物を濾過によって回収し、冷水(5〜10℃、50mL)で濯ぎ、風乾して、結晶形Aの生成物を白色固形物/結晶として得た。
単離した固形物の収量88.5g(理論値の84.7%)、融点256〜258℃(分解)。
母液を250mLに濃縮し、一晩攪拌した後に、第二回収物(8.5g、8%)を得た。
【0069】
実施例7
(3aR,4R,6S,6aS)−1,1−ジメチルエチルアンモニウム 4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−(1’−エチルプロピル)−3a,5,6,6a−テトラヒドロ−4H−シクロペント[d]イソオキサゾール−6−カルボキシレート
トルエン(1943g、0.73mol)中の(3aR,4R,6S,6aS)−(+)−メチル 4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−(1’−エチルプロピル)−3a,5,6,6a−テトラヒドロ−4H−シクロペント[d]イソオキサゾール−6−カルボキシレート及びそのジアステレオ異性体(1943g、0.73mol)の溶液を、水(300g)中の水酸化ナトリウム(46g、1.15mol)の溶液で20〜25℃で処理した。その2相系を2.5〜3.5時間攪拌した。水(257g)に溶解した37重量%の塩酸(142.9g、1.45mol)を30分以内で添加した。相を分離し、酸性水相を捨てた。有機相をtert−ブチルアミン(62.17g、0.85mol)で20〜40℃で処理した。生成物が微かに黄色の固形物として沈殿した。反応混合物を加熱還流し、得られた懸濁液を90〜100℃で2.5時間攪拌し、次に、2時間で20〜25℃に冷却し、さらに60分間攪拌した。沈殿物を濾過によって回収し、アセトン(500g)で濯ぎ、50℃で12時間乾燥した。
収量286.24g(67.4%)、純度(LC)>97%。
【0070】
実施例8
(3aR,4R,6S,6aS)−(+)−メチル 4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−(1’−エチルプロピル)−3a,5,6,6a−テトラヒドロ−4H−シクロペント[d]イソオキサゾール−6−カルボキシレート
(3aR,4R,6S,6aS)−1,1−ジメチルエチルアンモニウム 4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−(1’−エチルプロピル)−4,5,6,6a−テトラヒドロ−3aH−シクロペント[d]イソオキサゾール−6−カルボキシレート(422g、1.0mol)を、メタノール(500g)に懸濁した。トリメチルオルトホルメート(137.96g、1.3mol)を添加し、反応混合物を10〜15℃に冷却した。
【0071】
メタノール(216.7g、1.3mol)中のHClガス(6.0mol/L)の溶液を15分間で添加した(温度を最高温度25℃に維持した)。溶液を15〜25℃で2〜2.5時間攪拌した。ジ−tert−ブチルジカーボネート(BOC無水物)(54.56g、0.25mol)を添加し、10分間攪拌した。次に、トリエチルアミン(30.36g、0.30mol)を添加して、pHを8〜9に調節した。溶液を30分間攪拌し、次に、10〜15℃に冷却した。温度を15℃未満に維持しながら、水(480g)中の25%の水酸化アンモニウム水溶液(20.0g、0.29mol)の溶液を添加した。溶液をシードし、水(480g)中の25%の水酸化アンモニウム水溶液(20.0g、0.29mol)の溶液を添加した。得られた懸濁液を0〜5℃に冷却し、2時間攪拌した。生成物を濾過によって回収し、水(500g)で洗浄し、45℃で真空乾燥した。
収量343.34g(96.9%)、純度(LC)99.6%。
【0072】
実施例9
(3aR,4R,6S,6aS)−(+)−メチル 4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−(1’−エチルプロピル)−3a,5,6,6a−テトラヒドロ−4H−シクロペント[d]イソオキサゾール−6−カルボキシレート
(3aR,4R,6S,6aS)−1,1−ジメチルエチルアンモニウム 4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−(1’−エチルプロピル)−4,5,6,6a−テトラヒドロ−3aH−シクロペント[d]イソオキサゾール−6−カルボキシレート(211g、0.51mol)を、アセトン(400g)に懸濁した。炭酸カリウム(6.9g、0.05mol)を添加し、次に、水中の30重量%の水酸化ナトリウムの溶液(66.7g、0.50mol)を添加した。300gの溶媒を蒸留によって除去し、アセトン(300g)を添加し、次に、さらに300gの溶媒を蒸留によって除去した。溶液を40〜45℃に冷却した。次に、硫酸ジメチル(91.0g、0.71mol)を懸濁液に添加した。得られた2相系を40〜45℃で60分間攪拌し、次に、15〜20℃に冷却した。水(96g)中の25%の水酸化アンモニウム水溶液(4.0g、0.06mol)の溶液を添加した。反応混合物を20分間攪拌し、メタノール(100g)を添加し、反応混合物を0〜5℃に冷却し、シードし、20分間攪拌し、生成物を微細針状結晶として結晶化した。水(144g)中の25%の水酸化アンモニウム水溶液(6.0g、0.088mol)の溶液を、0〜5℃で45分間で添加して、結晶化を終了した。生成物を濾過によって回収し、水(300g)で濯ぎ、45〜50℃で真空乾燥した。
収量174.51g(96.9%)、純度(LC)99.2%。
【0073】
実施例10
(1S,2S,3S,4R,1’S)−メチル 3−[(1’−アミノ−2’−エチル)ブチル]−4−[[(1,1−ジメチルエトキシ]カルボニル]アミノ]−2−ヒドロキシシクロペンタン−1−カルボキシレート
(3aR,4R,6S,6aS)−(+)−メチル 4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−(1’−エチルプロピル)−3a,5,6,6a−テトラヒドロ−4H−シクロペント[d]イソオキサゾール−6−カルボキシレート(70.5g、0.20mol)及び塩化ニッケル六水和物(50.0g、0.21mol)を、メタノール(180g)に溶解した。緑色溶液を0〜5℃に冷却した。水酸化ナトリウム(0.44g、0.01mol)及びホウ化水素ナトリウム(20.0g、0.53mol)をメタノール(160g)に溶解し、反応混合物の温度を0〜10℃に維持しながら2時間で反応混合物に添加した。ホウ化水素ナトリウム溶液の添加終了後に、反応混合物を0〜5℃で30分間攪拌し、次に10〜15℃に加温した。反応温度を25℃以下に維持する速度で、37重量%の塩酸(12.0g、0.122mol)を添加し、次に、水(35g)中の亜硝酸ナトリウム(7.0g、0.10mol)の溶液を添加した。亜硝酸ナトリウムの添加完了後、37重量%の塩酸(約35.7g、0.36mol)を添加することによって溶液のpHを6.85に調節した。全ての黒色沈殿物が溶解し、緑色の懸濁液が形成されるまで、反応混合物を20〜25℃で攪拌した。水(70g)中の塩化アンモニウム(22.0g、0.41mol)の溶液を添加した。次に、25%の水酸化アンモニウム水溶液(約180g、2.64mol)を、pHが9.6になるまで添加した。水中の30重量%の水酸化ナトリウムの溶液(約20g、0.15mol)を添加して、pHを9.87に調節した。混合物を20〜25℃で一晩攪拌した。沈殿物を濾過によって回収し、水(170g)中の25%の水酸化アンモニウム水溶液(30g)の溶液で1回洗浄して、湿った粗生成物(230g)を得た。
【0074】
湿った粗生成物をトルエン(870g)に懸濁させた。懸濁液を20分間で75〜80℃に加熱した。2相系を得た。相を分離し、25%の水酸化アンモニウム水溶液(110g)を有機相に添加した。混合物を再び80℃に加熱し、相を分離し、25%の水酸化アンモニウム水溶液(110g)を有機相に再び添加した。混合物を再び80℃に加熱し、相を分離し、有機層を1.5時間で0〜5℃に冷却した。生成物を濾過によって回収し、トルエン(30g)で濯いだ。湿った生成物を40〜50℃で真空乾燥した。
収量51.63g(70%)、純度(LC)96.7%。
【0075】
実施例11
(1S,2S,3R,4R,1’S)−(−)−3−[(1’−アセチルアミノ−2’−エチル)ブチル]−4−[[(アミノイミノ)メチル]アミノ]−2−ヒドロキシシクロペンタン−1−カルボン酸
(1S,2S,3S,4R,1’S)−メチル 3−[(1’−アミノ−2’−エチル)ブチル]−4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−2−ヒドロキシシクロペンタン−1−カルボキシレート(2990g、8.34mol)をトルエン(17090g)に懸濁し、48〜53℃に加熱した。無水酢酸(929g、9.10mol)をそのスラリーに48〜53℃で40分間で添加した。アセチル化剤の添加が終了した後、得られた溶液を約3分間攪拌し、次に、できるだけ速く、水(3002g)中の25%の水酸化アンモニウム水溶液(752g、11.0mol)の溶液を添加した。相を分離し、水相を捨て、有機相を水(3751g)で1回洗浄した。次に、有機相を、37重量%の塩酸(3277g、33.3mol)に0〜10℃で30分間添加した。8〜12℃で2時間攪拌した後、層を分離し、有機層を水(1439g)で洗浄した。合わした水性層を、水中の水酸化ナトリウムの30重量%溶液(合計4807.5g、36.06mol)で処理した(第一部分(約2750g、20.57mol)を0〜10℃で添加してpHをほぼ中性pHに増加し、次に、第二部分(正確に1.85当量、2057.5g、15.43mol)を−5〜5℃で2時間で添加した)。溶液を約0℃でさらに60分間攪拌した。1,2,4−トリアゾール−1−ホルムアミジンヒドロクロリド(1501g、10.2mol)を0〜5℃で添加した。懸濁液を15分間攪拌し、温度を20〜25℃にし、30%の水酸化ナトリウム水溶液(227g、1.70mol)を添加することによってpHを8.3〜8.5に調節した。透明溶液が形成された。約2時間後、白色固形物が沈殿し始めた。反応混合物を室温で一晩攪拌し、その際に、pHが8.5に減少した。懸濁液を0〜5℃に冷却し、さらに2〜3時間攪拌した。生成物を濾過によって回収し、水(1160g)で洗浄した。
【0076】
実施例12
(1S,2S,3R,4R,1’S)−(−)−3−[(1’−アセチルアミノ−2’−エチル)ブチル]−4−[[(アミノイミノ)メチル]アミノ]−2−ヒドロキシシクロペンタン−1−カルボン酸の再結晶
粗(1S,2S,3R,4R,1’S)−(−)−3−[(1’−アセチルアミノ−2’−エチル)ブチル]−4−[[(アミノイミノ)メチル]アミノ]−2−ヒドロキシシクロペンタン−1−カルボン酸(3142g)を水(10656g)に懸濁した。懸濁液を加熱還流し、655gの溶媒を蒸留によって除去した。懸濁液を70〜80℃に冷却し、水(655g)を添加した。活性炭(Norit(登録商標)C、33g)及びメタノール(2110g)を添加した。反応混合物を加熱還流し、Hyflo Super Cel(登録商標)(100g)で濾過した。フィルターケークをメタノール(100)gで洗浄した。合わした濾液を再び加熱還流し、99〜100℃の沸点に達するまで溶媒を蒸留によって除去した。混合物を70〜80℃に冷却し、その際に生成物が沈殿した。結晶形Aへの相転移が起こるまで、混合物を70〜80℃で一晩攪拌した。次に、懸濁液を0〜5℃に冷却した。固形物を濾過によって回収し、冷水(0〜10℃、1302g)で濯ぎ、水をいれた容器上で風乾して、三水和物としての結晶形Aの生成物を白色固形物/結晶として得た。
収量2297g、純度99.91%、融点256〜258℃(分解)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia):
【化1】

の化合物の結晶。
【請求項2】
式(Ia):
【化2】

の化合物の二水和物又は三水和物の結晶。
【請求項3】
式(Ia):
【化3】

の化合物の三水和物の結晶。
【請求項4】
X線粉末回折パターンにおいて、以下の表:
【表1】

【表2】

に記載のいずれかの回折角度付近にピークを示す請求項1〜3のいずれかに記載の結晶。
【請求項5】
X線粉末回折パターンにおいて、少なくとも、回折角度が4.74、6.08、6.49、9.30及び15.17度付近にピークを有する請求項1〜3のいずれかに記載の結晶。
【請求項6】
X線粉末回折パターンにおいて、以下の表:
【表3】

【表4】

に記載の回折角度付近にピークを示す請求項1〜3のいずれかに記載の結晶。
【請求項7】
式(Ia):
【化4】

の化合物の結晶であって、以下のX線粉末回折パターン:
【表5】

【表6】

によって特徴付けられる結晶。
【請求項8】
式(Ia):
【化5】

の化合物の結晶であって、以下のX線回折ピーク:
【表7】

【表8】

を有する結晶。
【請求項9】
式(Ia):
【化6】

の化合物の結晶であって、以下のX線粉末回折パターン:
【表9】

【表10】

によって特徴付けられる結晶。
【請求項10】
式(Ia):
【化7】

の化合物の結晶であって、以下のX線回折ピーク:
【表11】

【表12】

を有する結晶。

【公開番号】特開2009−73859(P2009−73859A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314190(P2008−314190)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【分割の表示】特願2001−506983(P2001−506983)の分割
【原出願日】平成12年6月9日(2000.6.9)
【出願人】(500282508)バイオクリスト・ファマシューティカルズ インク. (3)
【Fターム(参考)】