説明

美容用通電装置、美容用通電システム

【課題】被施術者の身体の広範囲を同時に施術することを可能として施術の利便性と効率を高め、施術時における被施術者の安全と快適さを確保する。
【解決手段】矩形波交流を出力する美容用通電装置1の出力部18に接続された導線3、3には、被施術者の身体に締結可能な形状に形成されたサポータ2a、2a、・・・、2aの電極4、4、・・・、4、通電用不織布2b、2b、・・・、2b、通電用手袋2c、2cが並列接続される。美容用通電装置1のフロントパネル12には矩形波交流の電圧モードを低電圧モード、高電圧モードに選択するフェイスモードボタン、ボディモードボタンを設ける。電圧モード切替部は、フェイスモードボタン、ボディモードボタンの双方から操作信号が同時に入力されると、低電圧モードの矩形波交流を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌の健康、美容などを目的として肌に微弱電気刺激を与える技術に関し、特に肌に通電させることで肌に美容効果を与える微弱電流を出力する装置、及びかかる装置を用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
生きている細胞、組織、体などには、生体電流と呼ばれる電流が流れている。体内の心肺機能の働き、胃腸の蠕動、四肢の曲げ伸ばしなど、人間の生体活動の多くの場面で、生体電流が関与している。生体電流は、体の各組織を構成する細胞の内外での電位差に基づき現れる。
【0003】
皮膚の深部から肌の表面まで絶えず微妙な電気バランスをとりながら人間の身体には生体電流が流れ続け、これにより円滑な新陳代謝などが維持され、肌機能が保たれている。生体電流は、個体の体調変化、加齢などにより影響を受け、その発生力が弱まる場合もあり、かかる場合には生体内の微妙な電気バランスが保てなくなる。このようなアンバランスな状態が継続すると、体内の機能が少しずつ低下し、細胞の働きも衰え、筋肉の老化を引き起こすなどして、健康障害、美容障害に至る。
【0004】
健康障害を治療する方法としては、東洋医学の分野では、既に人体の経絡に沿って多数存在する経穴に、電流を通して電気刺激を与える電気療法が知られている。従来、このような電気療法の利便性を高めるため、電流制御装置と手袋型の通電装置とからなり、施術者が通電装置を手に嵌めて被施術者の顔に施術を行う美容用通電装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この美容用通電装置は、顔に施術する際に用いる低い電圧値モードと顔以外の身体の箇所に施術する際に用いる高い電圧値モードが予め用意され、それらの電圧値モードは2つの押下式ボタン(セレクトスイッチ)によって選択可能となっている。
【特許文献1】特開2001−198227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に係る発明は施術者が手袋型の通電器具を両手に嵌めて施術するため、同時に施術できる箇所は施術者の両手で接触できる範囲に限られてしまい、被施術者の身体の広範囲を同時に施術することはできず、不便である。一方、押下式のボタンによって電圧値のモードを切り替える際、誤操作により複数の押下式ボタンが同時に押下げられ、誤ったモードの電圧値や電流値が選択された場合、顔のように身体における肌の敏感な箇所に大量の電流が流れたり、大きな電圧が印加されて、被施術者に強い電気刺戟による不快感や危険を及ぼす恐れがあるという問題がある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、被施術者の身体の広範囲を同時に施術することを可能として施術の利便性と効率を高め、被施術者に強い電気刺激による不快感や危険にさらされることを防止して、施術時における被施術者の安全と快適さを確保することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、肌に通電させることにより該肌のしわ、たるみの改善などの美容効果が得られる矩形波の交流を出力する美容用通電装置であって、予め記憶された前記交流の波形パターンを発生させる交流発生手段と、該交流発生手段から出力された前記交流の供給を受けて被施術者の身体に通電させる前記交流を出力する出力手段と、前記出力手段から出力される前記交流の電流値又は電圧値を、予め定められた、少なくとも高モード及び低モードの2つの前記電流値又は電圧値のモードに切替えるモード切替手段と、前記モード切替手段を操作するための操作信号を入力する操作手段とを設け、前記モード切替手段は、前記操作手段から、複数の前記電流値又は電圧値のモードに切替える前記操作信号が同時に入力された場合、前記電流値又は電圧値のモードのうち最も低い前記電流値又は電圧値のモードに切替えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記最も低い電流値又は電圧値は顔用に設定された前記電流値又は電圧値であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記出力部からは、被施術者の顔に施術するための通電器具及び前記被施術者の顔以外の身体の部位に施術するための通電器具に同時に通電させるための前記交流を出力することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、美容用通電システムであって、請求項1乃至3の何れかに記載の美容用通電装置と、該美容用通電装置の一の出力部から出力される、肌に通電させることにより該肌のしわ、たるみの改善などの美容効果が得られる矩形波の交流の供給を受け、該交流を被施術者の顔に導通させる顔用通電器具及び前記被施術者の顔以外の身体の部位に通電させる身体用通電器具とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、出力手段から出力される交流の電流値又は電圧値を、予め定められた、少なくとも高モード及び低モードの2つの電流値又は電圧値のモードに切替えるモード切替手段は、操作手段から、複数の電流値又は電圧値のモードに切替える操作信号が同時に入力された場合、電流値又は電圧値のモードのうち最も低い電流値又は電圧値のモードに切替えることにより、誤って複数の操作信号が同時に入力された際に、身体の刺激に敏感な箇所等に大きな電流が流れたり大きな電圧が印加されて被施術者が強い電気刺戟による不快感や危険にさらされる事態を防止し、施術時における被施術者の安全と快適さを確保することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、最も低い電流値又は電圧値は顔用に設定された電流値又は電圧値であることにより、強い電気刺戟に敏感な顔に大きな電流が流れたり大きな電圧が印加されて被施術者が強い電気刺戟による不快感や危険にさらされる事態を確実に防止し、施術時における被施術者の安全と快適さを一層確実に確保することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、出力部からは、被施術者の顔に施術するための通電器具及び被施術者の顔以外の身体の部位に施術するための通電器具に同時に通電させるための交流を出力することにより、被施術者の身体の広範囲を同時に施術することが可能になる。これにより、被施術者の身体の広範囲を短時間で効率よく施術できて、施術の利便性と効率を高めることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の美容用通電装置と、交流を被施術者の顔に導通させる顔用通電器具及び被施術者の顔以外の身体の部位に通電させる身体用通電器具を備えたことにより、身体の刺激に敏感な箇所等に大きな電流が流れたり大きな電圧が印加されて被施術者に強い電気刺戟による不快感や危険にさらされる事態を防止して施術時における被施術者の安全と快適さを確保し、被施術者の身体の広範囲を同時に施術することが可能にして施術の利便性と効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
【0016】
図1乃至図7にこの発明の第1の実施形態を示す。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態としての美容用通電システムの全体構成図である。同図に示す通り、美容用通電システム1Aは、美容用通電装置1と、通電器具とを有する。美容用通電装置1と通電器具の間には、一対の導線3、3が介在し、美容用通電装置1と通電器具とは導線3、3によって電流導通可能な状態に接続される。
【0018】
美容用通電装置1は、異なるパターンの矩形波の交流(以下「矩形波交流」と称する)を連続的に組み合わせた複数種の交流波形を、さらに連続的に組み合わせた美容用交流波形(図3参照)の微弱電流を出力できるようになっている。
【0019】
通電器具は、非導電性で伸縮可能な布地によって被施術者の身体に締結可能な形状に形成されたサポータ2a、2a、・・・、2a(n>1)、及び導電性繊維が編みこまれた通電用不織布2b、2b、・・・、2b(m>1)及び、導電性繊維が編みこまれ、人間の手に嵌めることが可能な手袋型の形状に形成された一対の通電用手袋2c、2cとからなる。通電用不織布2b、2b、・・・、2b及び通電用手袋2c、2cにおいて用いられる導電性繊維は、導電性が高く、抗菌性のある銀が望ましい。即ち、導電性繊維に導電性の高い素材を用いることにより美容用通電装置1から出力される交流の電圧を低くして被施術者が強い電気刺戟を受けることを防止することができ、導電性繊維に抗菌性を持たせることにより被施術者の皮膚が雑菌によってかぶれるような事態を防ぐことができる。
【0020】
サポータ2a、2a、・・・、2aのそれぞれには、導線3、3と接続可能な電極4、4、・・・、4、(l>1)が配設されている。導線3、3の一端側が一本で、他端側が複数に分岐している。導線3、3の一端部には、美容用通電装置1の出力部(図1に図示せず)に接続する端子が設けられ、他端部には電極4、4、・・・、4に接続する端子が設けられている。
【0021】
なお、以下は説明の簡単のため、サポータ2a、2a、・・・、2a、通電用不織布2b、2b、・・・、2b、通電用手袋2c、2c、導線3、3、電極4、4、・・・、4は区別の必要がある場合を除いてサポータ2a、通電用不織布2b、通電用手袋2c、導線3、電極4と記載する。
【0022】
図2は、第1の実施形態の美容用通電装置1の機能ブロック図である。同図に示す通り、美容用通電装置1は、フロントパネル12に設けられた操作部13及び表示部14、記憶部15、発信器16及び増幅器17から成る交流発生部16a、出力部18、タイマ20、電圧モード切替部21を有する。
【0023】
制御部11はCPU(中央演算装置)19を備え、記憶部15に記録されたOS(Operating System)プログラムや各種アプリケーションプログラム等の演算処理を行い、美容用通電装置1全体を制御する。
【0024】
操作部13は、マウス、キーボード等であり、各種指示を入力するために用いられる。表示部14はLED(Liget Emitting Diode)等からなり、操作部13から入力された各種指示等を表示する。
【0025】
記憶部15は、ローディングプログラム等が予め格納されたROM、プログラムやデータを一時的に記憶し制御部11(におけるCPU19)の作業領域として機能するRAM、書き換えの必要なデータを格納するEEPROM、各種ファイルデータ等を記憶するハードディスク等から構成されている。ハードディスクには、OSプログラムや、CPU19において演算処理されることによって交流発生部16aとしての発振器16及び増幅器17等の機能を実現するためのプログラム151や、各種数値テーブル等のデータが記録される。
【0026】
交流発生部16aとしての発振器16及び増幅器17、タイマ20、電圧モード切替部21は、IC(Integrated Circuit)等の各種ハードウェアと、プログラム151がCPU19によって演算処理された結果機能する機能手段等の各種ソフトウェアとによって実現される。発振器16は、矩形波交流を発生させるファンクション・ジュネレータ、マルチバイブレータ、インバータ等であり、タイマ20が計測した時間情報やクロックカウント情報に基づいてパルス幅やパルス周期を変化させながら矩形波交流を発生させる機能を有する。増幅器17は、発振器16が発生させた矩形波交流における振幅を増幅又は縮小させる。
【0027】
タイマ20は、CPU19のクロック数や内蔵された発振素子の発振回数等に基づいて、発振器16におけるパルス幅やパルス周期の変化の基準となる時間をカウントし、また被施術者に対する施術時間の基準となる時間を計測する。電圧モード切替部21は、出力部18から出力される矩形波交流の電圧を予め設定された電圧モードに設定し、モード内での電圧値の調整を行う。第1の実施形態においては、電圧モード切替部21は、交流電圧を 0.3V〜 1.2Vまでの低電圧モードと、 0.9V〜 3.9Vまでの高電圧モードとに切替えができるようになっている。各モードにおいては、さらに、所定の電圧値を単位とした複数段階(例えば10段階、即ち低電圧モードの場合は±0.1V単位、高電圧モードの場合は±0.3V単位)の電圧レベルに電圧を調整することができる。なお、後述する通り、低電圧モード、高電圧モードの切替えはフロントパネル12のフェイスモードボタン138、ボディモードボタン139によって行い、各モード内の電圧レベルの切替えはフロントパネル12の電圧レベルアップボタン134、電圧レベルダウンボタン135によって行う(図4参照)。
【0028】
出力部18は、導電性部材で形成された複数極(図7に示す通り、第1の実施形態では2極)の端子接続部を有し、複数の導線3(図7に示す通り、第1の実施形態では導線3、導線3)の端子を接続し、増幅器17から出力された矩形波交流を導線3に導通させる。
【0029】
図3に、出力部18から出力される矩形波交流の波形パターンのイメージ図を示す。図3の(A)は肌の活性化を促す準備トリートメントに主として用いる矩形波交流の波形パターンWA1であり、図3の(B)は準備トリートメント終了後に比較的広い部分のしわを引き上げたり伸ばしたりする広域リフトアップトリートメントに主として用いる矩形波交流の波形パターンWA2であり、図3の(C)は準備トリートメント終了後に比較的狭い部分のしわを引き上げたり伸ばしたりする狭域リフトアップトリートメントに主として用いる矩形波交流の波形パターンWA3である。いずれの波形パターンWA1、WA2、WA3の矩形波交流も、出願人の実験により、肌に通電させることで肌のしわ、たるみの改善等の美容効果が得られることが実証されたものである。
【0030】
各波形パターンWA1、WA2、WA3は1周期が約13秒(第1の実施形態では12.8秒)に設定されている。波形パターンWA1の基準波形W1のパルス幅は正負とも0.4秒、波形パターンWA2の基準波形W2のパルス幅は正が1.6秒で負が0.8秒、波形パターンWA3の基準波形W3のパルス幅は正負とも0.4秒であり、波形パターンWA1、WA2、WA3を構成する各波形のパルス幅は基準波形W1、W2、W3のパルス幅の2倍、あるいは1/2倍、1/4倍・・・等、基準波形W1、W2、W3のパルス幅の倍数になるように設定されている。
【0031】
当該矩形波交流は、波形パターンWA1の矩形波交流のみ、波形パターンWA2の矩形波交流のみ、波形パターンWA3の矩形波交流のみで用いてもよく、波形パターンWA1、WA2、WA3、WA1、WA2、WA3、WA1、・・・と順番に現れる形で用いてもよく、波形パターンWA1の矩形波交流を所定回数繰り返し用い、次いで波形パターンWA2の矩形波交流を所定回数繰り返し用い、更に波形パターンWA3の矩形波交流を所定回数繰り返し用いる形で用いてもよい。
【0032】
図4は、第1の実施形態の美容用通電装置1のフロントパネルのイメージ図である。同図に示す通り、フロントパネル12には、操作部13としての電源ボタン131、132、スタート/ストップボタン133、電圧レベルアップボタン134、電圧レベルダウンボタン135、タイマアップボタン136、タイマダウンボタン137、フェイスモードボタン138、ボディモードボタン139、及び、表示部14としてのレベル表示部141、時間表示部142、波形パターン表示部143、144、145が設けられている。
【0033】
電源ボタン131、132は、電源のオン・オフの操作信号が入力される押下式ボタンであり、スタート/ストップボタン133は施術の開始と終了の操作信号が入力される押下式ボタンである。電圧レベルアップボタン134、電圧レベルダウンボタン135は出力部18から出力される矩形波交流の電圧レベルを上昇又は下降させる操作信号を入力するための押下式ボタンである。タイマアップボタン136、タイマダウンボタン137は施術時間(10段階)を延長または短縮させる操作信号を入力するための押下式ボタンである。フェイスモードボタン138、ボディモードボタン139は、矩形波交流の電圧レベルを低電圧モード(顔に施術する際に使用するフェイスモード)、高電圧モード(顔以外に施術する際に使用するボディモード)のいずれかに切り替える操作信号を入力するための押下式ボタンである。
【0034】
レベル表示部141には、現在の電圧レベルが10段階で数値表示され、時間表示部142には施術時間が数分刻みで数段階〜数十段階(例えば5分刻みで12段階の最長60分、5分刻みで18段階の最長90分)で数値表示される。波形パターン表示部143には現在施術に使われている矩形波交流の波形パターン(図3参照)がいずれであるかが択一的に表示される。第1の実施形態では、波形パターン表示部143が波形パターンWA1、波形パターン表示部144が波形パターンWA2、波形パターン表示部145は波形パターンWA3を示す。
【0035】
次に、第1の実施形態の美容用通電システム1Aにおける美容用通電装置1の設定及び施術の手順について説明する。
【0036】
図5、図6は、第1の実施形態の美容用通電システム1Aにおける、美容用通電装置1の設定手順及び施術手順を示すフローチャートである。以下、同フローチャートに基づいて設定及び施術の内容を説明する。
【0037】
まず、施術者は被施術者の身体に導電性化粧水(図示せず)を塗布したのち、図7に示すように、被施術者100の身体表面に通電用不織布2bを配設する。図7においては、胸から肩を経て背中までに通電用不織布2b、2b、腹周りに通電用不織布2b、両腿の周囲に通電用不織布2b、2b、両すねの周囲にそれぞれ通電用不織布2b、2bが配設されている。なお、このとき各通電用不織布2b、2b、・・・、2b同士は接触しないようにする。そして、通電用不織布2bの上から被施術者100の身体にサポータ2aを巻きつける。図7においては、上半身にサポータ2a(図7には図示しないが、両肩のストラップ、胸周りのストラップ、腹周りのストラップ、腰周りのストラップはいずれも背中側でつながっている)、両腿にサポータ2a、2a、両すねにサポータ2a、2aを巻きつける。
【0038】
施術者は、美容用通電装置1の出力部(即ち図7に示す2極の端子接続部)18に導線3、3の一端側の端子をそれぞれ接続し、各導線3、3の他端側の複数の端子を電極4、4、・・・、4に接続させる。
【0039】
この状態で、被施術者100はベッド101に臥す。
【0040】
施術者は、美容用通電装置1のフロントパネル12の電源ボタン131を押下して電源をオンにし(ステップS1)、フェイスモードボタン138、ボディモードボタン139のいずれかを押下する(ステップS2)。
【0041】
ステップS2においてフェイスモードボタン138、ボディモードボタン139のいずれかが押下された場合(ステップS21の“No”)、電圧モード切替部21は、電圧の基本モードを押下げられたボタンのモード(フェイスモード、又はボディモード)に設定する(ステップS23)。一方、ステップS2においてフェイスモードボタン138、ボディモードボタン139の両方が押下された場合(ステップS21の“Yes”)、電圧モード切替部21は、電圧の基本モードをフェイスモードに設定する(ステップS22)。ステップS22、S23ののち、施術者は電圧レベルアップボタン134、電圧レベルダウンボタン135を押下げることで電圧値を適切な値に調整する(ステップS24)。
【0042】
次に、施術者はフロントパネル12のタイマアップボタン136、タイマダウンボタン137を押下げることで施術時間を伸長または短縮させ、施術時間を設定する(ステップS3)。
【0043】
電圧モード及び電圧値の調整と、施術時間の設定とが完了したら、施術者はフロントパネル12のスタート/ストップボタン133を押下げて施術を開始する(ステップS4)。この際、顔の施術を行う場合には、施術者が両手に通電用手袋2cを嵌め、通電用手袋2cを被施術者100の顔に接触させる。これにより、出力部18からは、設定された電圧値において、波形パターンWA1、波形パターンWA2、波形パターンWA3の矩形波交流が出力され、この矩形波交流は導線3、電極4を介して通電用不織布2及び通電用手袋2cに導通し、さらに被施術者100の皮膚に導通することになる。なおこのとき、図7に示すように電極4、4、・・・4はそれぞれ物理的に離間した各通電用不織布2b、2b、・・・、2b及び通電用手袋2c、2cに接触しているため、通電用不織布2bを短絡して電流が流れてしまうことはなく、矩形波交流を確実に被施術者100の皮膚に導通させることができる。また、物理的に離間した通電用手袋2c、2c及び通電用不織布2b、2b、・・・、2bに電極4、4、・・・4がそれぞれ接触していることにより、電気回路的には並列回路に略等しい状態が形成され、各電極4、4、・・・4における電圧値を略等しくすることができる。
【0044】
次に、施術の途中で電圧モードを変更したい場合、施術者はフェイスモードボタン138、ボディモードボタン139のいずれかを押下する(ステップS5)。この際に電圧モード切替部21で行われる処理はステップS21〜S23と同じである(ステップS51〜53)。また、施術者はステップS24と同様に電圧値を適切な値に調整する(ステップS54)。
【0045】
タイマ20の計測によりステップS3にて設定した時間が終了するか、又はスタート/ストップボタン133が再度押下げられると施術は終了する(ステップS6)。
【0046】
以上、第1の実施形態においては、矩形波交流の電圧値を、予め定められた、高電圧モード(ボディモード)及び低電圧モード(フェイスモード)に切替える電圧モード切替部21は、フェイスモードボタン138、ボディモードボタン139から同時に操作信号が同時に入力された場合、低電圧モードに切替えることにより、誤って複数の操作信号が同時に入力された際に、身体の刺激に敏感な箇所に大きな電圧が印加されて被施術者が強い電気刺戟による不快感や危険にさらされる事態を防止する。
【0047】
第1の実施形態によれば、最も低い電圧値は顔用に設定された電圧値(フェイスモード)であることにより、強い電気刺戟に敏感な顔に大きな電圧が印加されて被施術者100が強い電気刺戟による不快感や危険にさらされる事態を確実に防止する。
【0048】
第1の実施形態によれば、出力部18からは、被施術者100の顔に施術するための通電用手袋2c及び被施術者100の顔以外の身体の部位に施術するための通電用不織布2bに対して同時に通電させるための矩形波交流を出力することにより、被施術者100の身体の広範囲を同時に施術することが可能になる。これにより、被施術者100の身体の広範囲を短時間で効率よく施術できるようになる。
〔第2の実施形態〕
【0049】
図8及び図9にこの発明の第2の実施形態を示す。なお、必要に応じ図1乃至図7も用いて説明する。
【0050】
第1の実施形態においては、出力部18が一つ(即ち、図7に示すような2極一組の端子接続部)設けられ、全ての電極4、4、・・・4、及び通電用不織布2b、2b、・・・、2bにはこの出力部18から出力された矩形波交流が導通するものであったが、第2の実施の形態においては、出力部が複数設けられ、ひとりの被施術者の異なる身体の部位に対し、それぞれ相違する電圧値の交流を同時に導通させて施術したり、複数の被施術者に対し、相違する電圧値の交流を同時に導通させて施術することを可能にするものである。
【0051】
図8は、第2の実施形態の美容用通電装置の機能ブロック図である。第1の実施形態の美容用通電装置1においては発信器16及び増幅器17から成る交流発生部16a、出力部18からなる交流発生出力系統(以下単に「系統」と称する。)が1系統設けられていたのに対し、図8に示す通り、第2の実施形態の美容用通電装置1aには、当該系統が複数系統設けられている。即ち、第2の実施形態においては、発信器16及び増幅器17から成る交流発生部16a、出力部18、・・・、発信器16及び増幅器17から成る交流発生部16a、出力部18(k>1)という合計k系統が設けられている。各系統は別個独立の電圧モード及び電圧値の矩形波交流を出力できる。また、タイマ20は各系統に対し別個独立の施術時間を設定できる。なお、出力部18、18、・・・18はそれぞれ第1の実施形態の出力部18と同様に複数極(ここでは2極)の端子接続部を有する。
【0052】
なお、図示しないが、第2の実施形態の美容用通電装置1aのフロントパネルには、電圧モードの設定及び電圧値の調整、施術時間の設定を行う系統を選択するための系統選択ボタンが設けられている。施術者は、電圧モードの設定及び電圧値の調整、施術時間の設定を行う際(即ち、図5に示すステップS2及びステップS5)、当該系統選択ボタン(図示せず)を押下げて系統を切り替えながら、選択した系統ごとに電圧モードの設定及び電圧値の調整、施術時間の設定を行う。
【0053】
図9は、第2の実施形態の美容用通電システムの施術の態様を示すイメージ図である。同図に示す通り、当該美容用通電システム1Bにおいては、出力部181には導線311、321、出力部18には導線312、322、出力部18には導線313、323、出力部18には導線314、324がそれぞれ接続される。同図に示す通り、導線311、321、312、322、313、323、314、324は、一端側から他端側まで分岐することなく一本に形成されており、それぞれ一端側には第1の実施形態の導線3、3のように途中で分岐しない。導線3、3の一端部には出力部18、18、18、18に接続する端子が設けられ、他端部には電極4、4、・・・、4に接続する端子が設けられている。
【0054】
なお、上記に記載したもの以外の構成及び、設定、施術の手順は、図1乃至図7に示す第1の実施形態の美容用通電システム1Aの構成及び設定、施術の手順と同じである。
【0055】
第2の実施形態においては、各系統が独立した電圧モード及び電圧値の矩形波交流を発生し、それぞれの矩形波交流を出力部18、18、18、18から別個独立に出力できる。これにより、身体の異なる部分(例えば図9においては顔、上半身、両腿、両すね)に異なる電圧の矩形波交流を導通させることができる。また、タイマ20による時間設定を出力部18、18、18、18ごとに変えられることにより、各出力部18、18、18、18から出力される矩形波交流の出力時間をそれぞれ変えることができ、身体の部分ごとに施術時間を別個に設定することが可能になる。これにより、被施術者100の身体の広範を短時間で効率よく、しかも身体の部分ごとに電圧や施術時間等を詳細に設定した状況下で施術でき、施術の利便性と効率を一層高めることができる。
【0056】
また、第2の実施形態においては、出力部18、18、18、18から出力される矩形波交流の電圧値や矩形波交流の出力時間を別個独立に設定できることにより、一の美容用通電装置1aによって複数の被施術者に同時に施術を行う場合の利便性を一層高めることができる。即ち、図示しないが、例えば図9に示美容用通電装置1aの出力部18、18から出力された矩形波交流を一の被施術者の身体に導通させ、出力部18、18から出力された矩形波交流を他の被施術者の身体に導通させることで同時に2人の被施術者の身体に矩形波交流を導通させて施術することができる。このとき、出力部18、18から出力される矩形波交流の電圧値及び施術時間を一の被施術者用に設定し、出力部18、18から出力される矩形波交流の電圧値及び施術時間を他の被施術者用に設定して同時に施術を行うような使用が可能になる。これにより、施術の利便性と効率を一層高めることができる。
【0057】
また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、電圧モード切替部において、フェイスモードボタン、ボディモードボタンから同時に操作信号が同時に入力された場合には低電圧モード(フェイスモード)に切替えることにより、誤って複数の操作信号が同時に入力された際に、身体の刺激に敏感な箇所(特に顔)に大きな電圧が印加されて被施術者が強い電気刺戟による不快感や危険にさらされる事態を防止することができる。
【0058】
なお、上記第1、第2の実施形態においては、交流電圧を 0.3V〜 1.2Vまでの低電圧モードと、 0.9V〜 3.9Vの高電圧モードとしたが、これに限定されず、3つ以上の電圧モードを設定することも可能である。また、使用する交流電圧は 0.3V〜 3.9Vまでに限定されるものではなく、0Vを超えて±0.3V未満の電圧を使用することや、±1.2Vより高い電圧を使用して上記第1、第2の実施形態と同様の効果を奏することも可能である。
【0059】
上記第1、第2の実施形態においては、矩形波交流の電圧モードを複数設けると共にモード内の電圧値を調整可能として電圧の制御を図るものとしたが、矩形波交流の電流モードを複数設け、モード内の電流値を調整可能として電流の制御を図ることも可能である。
【0060】
上記第1、第2の実施形態は例示であり、本発明がこれらの実施形態に限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態としての美容用通電システムの全体構成図である。
【図2】第1の実施形態の美容用通電装置の機能ブロック図である。
【図3】第1の実施形態の矩形波交流の波形パターンのイメージ図である。
【図4】第1の実施形態の美容用通電装置のフロントパネルのイメージ図である。
【図5】第1の実施形態の美容用通電システムにおける、美容用通電装置の設定手順及び施術手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態の美容用通電システムにおける、美容用通電装置の設定手順及び施術手順を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態の美容用通電システムの施術の態様を示すイメージ図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の美容用通電装置の機能ブロック図である。
【図9】第2の実施形態の美容用通電システムの施術の態様を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0062】
1A、1B・・・美容用通電システム
1、1a・・・美容用通電装置
2b、2b、2b、・・・、2b・・・通電用不織布
2c、2c・・・通電用手袋
13・・・操作部(操作手段)
16a、16、16・・・交流発生部
18、18、18・・・出力部
21・・・電圧モード切替部(モード切替手段)
100・・・被施術者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌に通電させることにより該肌のしわ、たるみの改善などの美容効果が得られる矩形波の交流を出力する美容用通電装置であって、
予め記憶された前記交流の波形パターンを発生させる交流発生手段と、
該交流発生手段から出力された前記交流の供給を受けて被施術者の身体に通電させる前記交流を出力する出力手段と、
前記出力手段から出力される前記交流の電流値又は電圧値を、予め定められた、少なくとも高モード及び低モードの2つの前記電流値又は電圧値のモードに切替えるモード切替手段と、
前記モード切替手段を操作するための操作信号を入力する操作手段とを設け、
前記モード切替手段は、前記操作手段から、複数の前記電流値又は電圧値のモードに切替える前記操作信号が同時に入力された場合、前記電流値又は電圧値のモードのうち最も低い前記電流値又は電圧値のモードに切替えることを特徴とする美容用通電装置。
【請求項2】
前記最も低い電流値又は電圧値は顔用に設定された前記電流値又は電圧値であることを特徴とする請求項1に記載の美容用通電装置。
【請求項3】
前記出力部からは、被施術者の顔に施術するための通電器具及び前記被施術者の顔以外の身体の部位に施術するための通電器具に同時に通電させるための前記交流を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の美容用通電装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の美容用通電装置と、
該美容用通電装置の一の出力部から出力される、肌に通電させることにより該肌のしわ、たるみの改善などの美容効果が得られる矩形波の交流の供給を受け、該交流を被施術者の顔に導通させる顔用通電器具及び前記被施術者の顔以外の身体の部位に通電させる身体用通電器具とを備えたことを特徴とする美容用通電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−296244(P2007−296244A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128696(P2006−128696)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(300006434)株式会社フレキシア (4)
【Fターム(参考)】