説明

美容装置

【課題】ヘッド部をに化粧水等を適切に保持すること。
【解決手段】使用者により保持される本体部と、当該本体部の一部に突出状態で配設されるヘッド部と、前記ヘッド部の動作状態を調整制御する制御部とを備え、使用者の皮膚に対しヘッド部で所定の美容動作を実行する美容装置において、前記ヘッド部が、少なくとも頂面に一又は複数の凹部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の皮膚に対し所定の美容効果を与える美容装置に関する。なお、本発明で美容効果を与える対象としての「皮膚」と共に用いる「肌」の語は、体表面のみでなく皮下脂肪等の皮下組織を含む体表層の「皮膚」と同義のものとして扱っている。
【背景技術】
【0002】
使用者の顔等の肌(皮膚)に対し所定の美容・美肌に係る各種動作を実行する美容機器は、家庭で用いられる簡易な単機能、低出力のものから、業務用として用いられる多機能、高出力のものまで、様々な種類のものが利用されている。こうした美容機器のうち、家庭等で用いられる簡易なものとしては、肌を冷したり加熱したりするもの、肌に対し吸引を行うもの、肌にスチームやミストを当てるもの、肌に光を照射するもの、肌に超音波による振動を伝えるもの、肌に微弱電流を流してイオン導入(イオントフォレーシス)を行うものなどが一般的に使用されている。
【0003】
この中で、肌にとっての各種有効成分を肌に深く浸透させるという優れた効果が得られるイオン導入法を用いた機器は近年注目を集めており、そうした従来の美容機器の一例として、特開2005−237545号公報や特開2005−245521号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−237545号公報
【特許文献2】特開2005−245521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の美容機器は前記各特許文献に示される構成となっており、こうしたイオン導入を行う機器をはじめとして、皮膚に蓄積している有害成分や老廃物を除去するクレンジング用の機器や、皮膚の血行促進を図りマッサージ効果を与える機器、皮膚の引上げ(リフティング)効果を与える機器などでは、通常、機器本体部分から突出したヘッド部を、直接又はコットンパフ等を介して顔など美容対象の肌に当てた上で、肌に対し通電したり、肌に熱や超音波振動を伝えたりすることとなる。
【0006】
前記従来の各種美容機器のヘッド部は、一般に突出方向先端側の頂面が平坦もしくは緩やかな曲面の金属、あるいは導電性ゴム製であり、化粧水などを併用して使用する場合、頂面に液体を保持させることが出来なかった。
【0007】
したがって上述のようにコットンパフ等を介して顔など美容対象の肌に当てた上で、肌に対し通電したり、肌に熱や超音波振動を伝えたりすることとなる。
【0008】
また、皮膚に蓄積している有害成分や老廃物を除去するクレンジング用機器の場合、老廃物を一時的に保持させる必要がありコットンパフを装着した状態で使用することとなる。
【0009】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、ヘッド部を適切な形状として、化粧水などと併用して使用する際に、使い勝手の良い美容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る美容装置は、使用者により保持される本体部と、当該本体部の一部に突出状態で配設されるヘッド部と、前記ヘッド部の動作状態を調整制御する制御部とを備え、使用者の皮膚に対しヘッド部で所定の美容動作を実行する美容装置において、前記ヘッド部が、少なくとも頂面に一又は複数の凹部を設けられるものである。
【0011】
このように本発明によれば、ヘッド部の頂面に一又は複数の凹部が設けられ、ヘッド部を使用者の皮膚に当接させた状態で、凹部位置で頂面が皮膚と接触せず浮いた状態となることにより、ヘッド部を皮膚に当接させる際に、皮膚と接触する部分と同時に、皮膚と接触せず皮膚からの圧力がかからない部分を配置できることとなり、化粧水等の液剤が皮膚に塗布された状態で、ヘッド部を皮膚に当てても、ヘッド部と皮膚との間に入り込んだ液剤が圧力のかからない凹部で保持されて、液剤がヘッド部と皮膚との間から押出されて全て失われることが無くなり、ヘッド部の当接状態でも皮膚を化粧水等による潤いのある状態に維持でき、効率よく美容効果を与えられると共に、化粧水等の流れ落ちによる消耗を抑え、化粧水等を無駄なく有効に利用できる。
【0012】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記ヘッド部の内側に、前記弾性体により、本体部に対しヘッド部の突出方向と平行な向きに所定範囲可動状態で弾性支持されるヘッド支持部を備え、前記ヘッド部が、前記ヘッド支持部に、前記頂面に近いヘッド部内側の所定箇所で接触又は係合し、当該所定箇所を傾動中心位置としてヘッド支持部に対し所定角度範囲で傾動可能に設けられるものである。
【0013】
このように本発明によれば、ヘッド部が頂面近くで本体部からは離れた箇所を中心として傾動可能とされて、ヘッド部を使用者の皮膚に当接させた状態では、使用者の本体部を動かす操作力に伴ってヘッド部を移動させようとする力が、ヘッド部の移動に伴って皮膚からヘッド部に相対的に加わる反力に比べ、ヘッド部の傾動により大きく関わり、皮膚からヘッド部に加わる反力は、皮膚に対するヘッド部の移動に伴う抵抗力をより小さくするようにヘッド部を傾ける、すなわち、ヘッド部を皮膚に食込ませず頂面を皮膚に正対させるようにヘッド部を傾けるのみとなることにより、ヘッド部を皮膚に沿って動かす際には、皮膚の傾きの変化にヘッド部頂面を追随させられ、頂面を皮膚に沿わせることができ、皮膚とヘッド部との接触面積を十分に確保して、ヘッド部を移動させながらでも、ヘッド部の静止状態と変わりない美容効果を容易に得られる。また、ヘッド部が頂面から離れて本体部に近い箇所を中心として傾動可能とされた場合のように、操作力に伴ってヘッド部を移動させようとする力と、ヘッド部の移動に伴って皮膚からヘッド部に相対的に加わる反力とが共に、ヘッド部を移動方向と逆向きに傾けるように作用して、ヘッド部が皮膚に食込む状態となるのを、確実に防止して皮膚への負担を抑えられる。
【0014】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記ヘッド部が、略円錐台形状とされ、円錐台中心軸周りに回動可能として本体部に支持されるものである。
【0015】
このように本発明によれば、ヘッド部を本体部に対し回動可能とし、ヘッド部の頂面中心部以外の箇所を使用者の皮膚に当接させた状態で、使用者が本体部を動かしてヘッド部を移動させようとすると、ヘッド部は皮膚から受ける摩擦抵抗力に伴って生じる回転モーメントで回動し、ヘッド部は皮膚に対し転がり接触する状態となることにより、ヘッド部の皮膚への引っかかりや擦れを生じさせずに、確実に皮膚に当接させることができ、ヘッド部を移動させながらでも皮膚に負担をかけずに美容効果を発揮させられる。また、ヘッド部が皮膚に対し転がり接触して接触位置を変化させていくことで、ヘッド部の同じ箇所が集中的に使用されることがなくなり、ヘッド部の各部位を均等に使用でき、ヘッド部の劣化を抑えられる。さらに、多孔質被覆体をヘッド部表面に配設して用いる場合には、多孔質被覆体が皮膚に対し転がり接触して接触位置を変化させていくことで、多孔質被覆体の同じ箇所が集中的に使用されて皮膚の汚れ成分が過度に付着する状態とならず、多孔質被覆体の清浄な部位を最大限に使用して、多孔質被覆体の併用による美容に係る機能を適切に発揮させられる。
【0016】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記ヘッド部が、頂面における本体部の長手方向の端部となる縦縁部、及び本体部の長手方向と直交する方向の端部となる横縁部における、それぞれ側面との交差部を丸み面取り形状とされ、前記横縁部と側面との交差部の丸み面取り形状の曲率に対し、縦縁部と側面との交差部の丸み面取り形状の曲率を小さくするものである。
【0017】
このように本発明によれば、ヘッド部の頂面の縦縁部から側面に至る丸み面取り形状を、横縁部から側面に至る丸み面取り形状に対し曲率の小さい緩やかな丸みとし、ヘッド部の頂面と側面部との交差部における丸み面取り形状を、位置に応じた二通りとして異ならせることにより、本体部とヘッド部との位置関係で、皮膚における隆起部と平坦部の境界となる凹状の隅部、例えば鼻と頬との境界部分における皮膚の隅部、に当接させやすいヘッド部の横縁部側の角部分を、より曲率の大きい丸み面取り形状として、この鋭い丸みを隅部の奥まで確実に到達させて当接させられ、美容動作の対象箇所の隅々まで美容効果を与えられる。また、ヘッド部の縦縁部側の角部分はより曲率の小さい緩やかな丸み面取り形状として、緩やかな丸みがヘッド部の頂部を皮膚に当接させる際の接触を滑らかなものとし、ヘッド部の接触感を良好なものとすることができる。
【0018】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記ヘッド部の側面が、ヘッド部の突出方向中間位置でヘッド部内側に向かって凹んだ丸みのある曲面として形成されるものである。
【0019】
このように本発明によれば、ヘッド部の側面形状を、中間でヘッド部内側に向かって凹んだ丸みのある曲面状とし、ヘッド部の側面が皮膚の丸みを帯びた立体形状にちょうど合致して接触できることにより、美容対象箇所における隆起部分の皮膚、例えば鼻の側部の、丸みを帯びた曲面状の皮膚に対し、ヘッド部側面の凹状の丸みが沿いやすく、ヘッド部表面の皮膚へのフィット性を高めることができ、ヘッド部と皮膚との接触面積を十分に確保して肌への美容効果をより効率よく与えられる。
【0020】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記ヘッド部が、突出方向先端側に位置する頂面、及び側面を有する凸形状とされ、本体部との間に弾性体を介在させて、少なくとも本体部からの突出方向と平行な向きに所定範囲可動状態で弾性支持されるものである。
【0021】
このように本発明によれば、凸形状のヘッド部を本体部に弾性支持された状態とし、ヘッド部を使用者の皮膚に当接させると、本体部が少し動いて皮膚との位置関係が変化したとしても、ヘッド部は本体部に対して相対的に変位しつつ、使用者の皮膚に対しては適度な接触状態を維持することにより、ヘッド部が過剰な押付け状態とならず、皮膚とヘッド部との摩擦を抑えて、皮膚に対しヘッド部を移動させる際にヘッド部が皮膚に引っかかったり、ヘッド部が皮膚を擦ったりしにくい状態が得られ、皮膚への負担を軽減できると共に、ヘッド部と皮膚との位置関係を維持しやすく、使用者はヘッド部を皮膚に当接させるように本体部を注意深く微調整しながら支持する必要はなく、容易に使用できる。また、美容に係る動作の対象となる皮膚のうち、例えば鼻の側面部分など、ヘッド部の頂面を近接させにくい箇所に対しては、ヘッド部における側面を当接させることができ、使用者はヘッド部各部を有効に活用して本体部を無理な姿勢で保持したり持替えたりせずに済み、使い勝手の点で優れる。
【0022】
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記本体部の使用者による把持部分に配設される導電性材料製の補助電極部と、前記本体部のヘッド部近傍に配設され、本体部との間に電解質を含む液剤を含浸可能な多孔質被覆体の一部を挟んで、当該多孔質被覆体をヘッド部表面に着脱可能に保持する保持部とを備え、前記ヘッド部が、導電性を有する材料で形成されて、通電用の電極とされ、前記制御部が、前記ヘッド部と補助電極部間での前記多孔質被覆体及び使用者を介した通電状態を調整制御して、使用者の皮膚に対し美容に係る所定の通電動作を実行するものである。
【0023】
このように本発明によれば、ヘッド部表面に多孔質被覆体を配置した状態で保持部を本体部に取付けて、ヘッド部表面に多孔質被覆体を保持し、制御部でヘッド部と補助電極部間を通電状態として、多孔質被覆体を介して皮膚への通電を実行することにより、保持部と本体部間に挟持されて保持された多孔質被覆体が、弾性支持されたヘッド部を本体部側に押下げる分、弾性力に伴う反力でヘッド部が多孔質被覆体を相対的に押して多孔質被覆体に張りを与えられ、多孔質被覆体を皺等無く伸した状態でヘッド部表面に密着させられると共に、この伸した状態で皮膚に当接させることができ、多孔質被覆体のヘッド部及び皮膚との接触面積を無理なく十分に確保して、多孔質被覆体を介した皮膚への通電を効率よく実行でき、多孔質被覆体を用いたイオン導入やクレンジング等の通電に係る美容動作をスムーズに進められる。
また、本発明に係る美容装置は必要に応じて、前記本体部の使用者による把持部分に配設される導電性材料製の補助電極部と、前記ヘッド部の側面の外側に着脱可能に取付けられ、ヘッド部側面との間に電解質を含む液剤を含浸可能な多孔質被覆体の一部を挟んで、当該多孔質被覆体をヘッド部表面に着脱可能に保持する保持部とを備え、前記ヘッド部が、導電性を有する材料で形成されて、通電用の電極とされ、前記制御部が、前記ヘッド部と補助電極部間での前記多孔質被覆体及び使用者を介した通電状態を調整制御して、使用者の皮膚に対し美容に係る所定の通電動作を実行するものである。
【0024】
このように本発明によれば、多孔質被覆体を配置したヘッド部に保持部を取付けて、ヘッド部表面に多孔質被覆体をヘッド部と共に可動な状態として保持し、制御部でヘッド部と補助電極部間を通電状態として、多孔質被覆体を介して皮膚への通電を実行することにより、多孔質被覆体を介してヘッド部を使用者の皮膚に当接させた状態で、本体部が少し動いて皮膚との位置関係が変化したとしても、ヘッド部は多孔質被覆体と共に、本体部に対し相対的に変位しつつ、使用者の皮膚に対しては多孔質被覆体の適度な接触状態を維持し、多孔質被覆体を過剰な押付け状態とせずに通電を行うことができ、多孔質被覆体を介した通電に係る美容動作において、皮膚に対しヘッド部を移動させる際に多孔質被覆体が皮膚に引っかかったり、多孔質被覆体が皮膚を擦ったりしにくい状態が得られ、皮膚への負担を軽減できると共に、ヘッド部及び多孔質被覆体と皮膚との位置関係を維持しやすく、使用者は多孔質被覆体を皮膚に常に当接させるように本体部を注意深く微調整しながら支持する必要はなく、多孔質被覆体を容易且つ適切に皮膚へ当接させて通電を実行でき、多孔質被覆体を用いたイオン導入やクレンジング等の通電に係る美容動作による効果を広い範囲の皮膚に効率よく与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る美容装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る美容装置の背面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る美容装置のブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の正面図、平面図、及び右側面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る美容装置における保持部の傾動状態説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る美容装置における保持部の多孔質被覆体保持状態説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の弾性支持状態説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部及び比較例の各肌に対する傾き状態説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の多孔質被覆体を介した肌正対状態及び傾き状態の説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の多孔質被覆体を介した肌隅部当接状態説明図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る美容装置における他のヘッド部の正面図、平面図、及び右側面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る美容装置における他のヘッド部の鼻側部当接状態説明図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る美容装置の斜視図及び正面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る美容装置の保持部取外し状態右側面図及び収納時における保持部装着状態説明図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の正面図、平面図、及び右側面図である。
【図16】本発明の第4の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の斜視図、正面図、及びA−A断面図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部と肌間への化粧水保持状態説明図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の第一の他例の斜視図、正面図、及びB−B断面図である。
【図19】本発明の第4の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の第二の他例の斜視図、正面図、及びC−C断面図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の第三の他例の斜視図、正面図、及び平面図である。
【図21】本発明の第4の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の第四の他例の正面図、平面図、及びD−D断面図である。
【図22】本発明の第4の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の第五及び第六の他例の各正面図である。
【図23】本発明のヘッド部の凹部の他の実施例を示す図である。
【図24】本発明のヘッド部の凹部の他の実施例を示す図である。
【図25】本発明のヘッド部の凹部の他の実施例を示す図である。
【図26】本発明のヘッド部の凹部の他の実施例を示す図である。
【図27】本発明のヘッド部の凹部の他の実施例を示す図である。
【図28】本発明のヘッド部の凹部の他の実施例を示す図である。
【図29】本発明のヘッド部の凹部の他の実施例を示す図である。
【図30】本発明の第5の実施形態に係る美容装置の斜視図である。
【図31】本発明の第5の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の正面図、平面図、及び右側面図である。
【図32】本発明の第5の実施形態に係る美容装置の多孔質被覆体取付状態の右側面図である。
【図33】本発明の第5の実施形態に係る美容装置における保持部の多孔質被覆体保持状態説明図である。
【図34】本発明の第5の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の多孔質被覆体を介した肌当接状態及びヘッド部の直接の肌当接状態の各説明図である。
【図35】本発明の第5の実施形態に係る美容装置におけるヘッド部の回動状態説明図である。
【図36】本発明の第5の実施形態に係る美容装置における他のヘッド部への保持部及び別の保持部による多孔質被覆体の各保持状態説明図である。
【図37】本発明に係る美容装置における他の第1の外観を示す正面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図及び背面図である。
【図38】本発明に係る美容装置における他の第1の外観を示す斜視図である。
【図39】本発明に係る美容装置における他の第1の外観のキャップを外した状態を示す正面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図及び背面図である。
【図40】本発明に係る美容装置における他の第1の外観のキャップを外した状態を示す斜視図である。
【図41】本発明に係る美容装置における他の第2の外観を示す正面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図及び背面図である。
【図42】本発明に係る美容装置における他の第2の外観を示す斜視図である。
【図43】本発明に係る美容装置における他の第2の外観のキャップを外した状態を示す正面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図及び背面図である。
【図44】本発明に係る美容装置における他の第2の外観のキャップを外した状態を示す斜視図である。
【図45】本発明に係る美容装置における他の第3の外観を示す正面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図及び背面図である。
【図46】本発明に係る美容装置における他の第3の外観を示す斜視図である。
【図47】本発明に係る美容装置における他の第3の外観のキャップを外した状態を示す正面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図及び背面図である。
【図48】本発明に係る美容装置における他の第3の外観のキャップを外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る美容装置を前記図1ないし図10に基づいて説明する。
なお、全ての実施形態のヘッド部において、第4の実施形態において詳細が説明される凹部を適用することが可能である。
前記各図において本実施形態に係る美容装置1は、使用者により保持される本体部11と、本体部11の端部寄りに配設されて肌(皮膚)50に対するイオン導入等の美容動作に用いられるヘッド部12と、本体部11内に配設されてヘッド部12を弾性支持する弾性体としてのばね14と、本体部11における使用者による把持部分に配設される補助電極部11cと、ヘッド部12に対して多孔質被覆体13を保持する保持部15と、本体部11内に配設されてヘッド部12と補助電極部11c間での使用者を介した通電状態を調整制御する制御部16とを備える構成である。
【0027】
前記本体部11は、前記ヘッド部12が一端寄りに突出状態で配設される一方、他端側所定長さ範囲は使用者が使用時に手で把持して装置全体を保持するのに適した太さの把持部11aとされてなり、この把持部11aの長手方向とヘッド部12の正面方向とが所定角度分傾いた形状として形成され、内部には前記制御部16等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)を配設される構成である。
また、ヘッド部12の無い本体部11背面側には、使用者の入力操作を受けて美容動作のON、OFFや動作の種類、強弱等を切換える操作部11bが配設される。そして、本体部11における把持部11aの側面には、導電性部材からなり制御部16と接続された補助電極部11cが配設され、、使用者が把持部11aを把持するとその手指と補助電極部11cとが接触することとなる。この本体部11には、バイブレータ等の振動源を内蔵して、通電と共に肌70に振動を付加し、美容効果を高められるようにすることもできる。
【0028】
さらに、本体部11におけるヘッド部12のある正面側には、前記保持部15が本体部11に対し傾動可能として取付けられる構成である。この本体部11における保持部15の取付部分は、本体部11の内部とは完全に遮断されており、この部分からイオン導入用の液剤等が内部に浸入することを防止できる。
【0029】
前記ヘッド部12は、金属等の導電性を有する材質からなり、凸形状、具体的には、肌70に面接触可能な緩やかな曲面状の頂面12aと傾斜した側面12bとを有する略楕円錐台形状とされ、頂面側を先端として本体部11の一端部正面側から突出させて配設される構成であり、肌70に直接、又は多孔質被覆体13を介して当接し、肌70に対しイオン導入をはじめとする通電に係る美容動作を実行するものである。
【0030】
このヘッド部12は、楕円形状の頂面12aにおける楕円長軸方向、すなわち本体部11の長手方向、の端部となる縦縁部12c、及び楕円短軸方向、すなわち本体部11の長手方向と直交する方向、の端部となる横縁部12dにおける、それぞれ側面との交差部を丸み面取り形状とされる構成である。そして、横縁部12dと側面との交差部の丸み面取り形状の曲率に対し、縦縁部12cと側面との交差部の丸み面取り形状の曲率が小さく(丸み半径を大きく)されてなる(図4参照)。
【0031】
ヘッド部12の内側では、ヘッド部12と本体部11との間に前記弾性体としてのばね14が介設されると共に、前記ヘッド支持部として、棒状の支持軸部14aが本体部11にヘッド部12の突出方向と平行な向きに所定範囲進退可能として取付けられる。この支持軸部14aは、ばね14で本体部11から遠ざかる向きに付勢されている。ヘッド部12は、内側における頂面12aに近い裏面中央の支点部12fで、支持軸部14aの先端と摺動可能に当接し、この支持軸部14aを介してばね14により本体部11から遠ざかる向きに付勢されつつ弾性支持される(図7参照)と共に、支持軸部14a及び本体部11に対し傾動可能とされる(図8(A)、図9(B)参照)。
【0032】
このように、ヘッド部12を、頂面12a近くで本体部11からは離れた支点部12fを中心として傾動可能とすることに伴い、ヘッド部12を肌70に当接させた状態では、使用者の本体部11を動かす操作力に伴ってヘッド部12を移動させようとする力が、ヘッド部12の移動に伴って肌70からヘッド部12に相対的に加わる反力に比べ、ヘッド部12の傾動により大きく関わり、肌70からヘッド部12に加わる反力は、肌70に対するヘッド部12の移動に伴う抵抗力をより小さくするようにヘッド部12を傾ける、すなわち、ヘッド部12をその頂面12aが肌70に正対するように傾けるのみとなる(図8(A)参照)。
【0033】
このため、ヘッド部12を肌70に沿って動かす際には、肌70の傾きの変化にヘッド部頂面12aを追随させられ、頂面12aを常に肌70に沿わせることができ、肌70とヘッド部12との接触面積を十分に確保して、ヘッド部12を移動させながらでも、ヘッド部12を動かさずに使用する状態と変わりない美容効果を容易に得られる。これに対し、図8(B)に比較例として示すように、仮にヘッド部18が頂面18aから離れて本体部17に近い箇所を中心として傾動可能とされた場合、操作力に伴ってヘッド部18を移動させようとする力と、ヘッド部18の移動に伴って肌70からヘッド部18に相対的に加わる反力とが共に、ヘッド部18を移動方向と逆向きに傾けるように作用して、ヘッド部18が肌70に食込む状態となってしまう。本実施形態のようにヘッド部12を頂面12a近くの支点部12fを中心として傾動可能とすることで、こうしたヘッド部の肌への食込みを確実に防止して、肌への負担を抑えられる。
【0034】
ヘッド部12における錐台底面側の縁部は、他部分より外径を若干大きくした鍔状とされて、本体部11内に収められ、この本体部11におけるヘッド部12を一部収る空隙部分の入口開口部分がヘッド部12の底面側縁部より小口径とされることで、ヘッド部12の本体部11からの離脱が防止される仕組みである。また、こうしてヘッド部12の錐台底面側の縁部が本体部11に拘束されることで、ばね14で本体部11から遠ざかる向きに付勢されるヘッド部12の突出方向への移動範囲や、ヘッド部12の支持軸部14aに対する傾動角度範囲が制限される仕組みである。
【0035】
また、ヘッド部12は、本体部11内で制御部16と電気的に接続されており、把持部11aにある補助電極部11cとの間で使用者の体を介して通電可能とされる構成である。なお、ばね14や支持軸部14aが導電性の材質からなる場合、こうしたばね14や支持軸部14aを本体部11側からヘッド部12への通電用配線の一部として利用する構成としてもかまわない。
【0036】
通電については、制御部16によりヘッド部12と補助電極部11c間に電圧が加えられて通電が起こり得る状態とされた上で、電解質成分を含む化粧水等の液剤が含浸した多孔質被覆体13を介して、又は直接、ヘッド部12が顔等の肌70に接触し、また補助電極部11cが把持部11aを持つ掌や手の指等と接触すると、ヘッド部12と補助電極部11cとが使用者の体を介して通電状態となる仕組みである。この場合、人体が導体をなすこととなる。ヘッド部12と補助電極部11cは十分離れており、補助電極部11cに触れた手等がヘッド部12に誤って接して、通電が生じるようなことはない。
【0037】
このヘッド部12の接する肌70への通電に伴って、あらかじめ肌表面に塗布したか、多孔質被覆体13に染込ませたかした化粧水等の液剤中に含まれるイオン性の有効成分を、制御部16からの電流に基づくイオン移動によって肌内部に導入するイオン導入(イオントフォレーシス)を実行できる仕組みである。このイオン導入の手法自体は公知のものであり、詳細な説明を省略する。
【0038】
また、洗顔時のクレンジングとして、帯電した老廃物等の汚れ成分を通電により肌側からヘッド部12側に移行させ、多孔質被覆体13に取込む状態を得ることもできる。
【0039】
多孔質被覆体13は、カット綿やコットンパフ等と同様の脱脂等加工した綿繊維をヘッド部12より大きい不織シート状に成形してヘッド部12を覆うカバーとして用いるものであり、化粧水等を十分吸収してそのまま保持できる性質を備える。なお、この多孔質被覆体13は、化粧水等を含浸可能で可撓性を有する多孔質の軟質シート状のものであれば、コットン以外のものも利用できる。
【0040】
このヘッド部12は、イオン導入等を行う関係上、チタン等の通電に対し安定した材質を用いるのが望ましい。すなわち、仮にヘッド部12をクロム等のメッキ表面とした場合、イオン導入の際、電気分解によりヘッド部12の表面に金属イオンが溶出し、この溶出金属イオンが皮膚に対して悪影響を与えるという問題を生じるが、安定性の高いチタンを電極表面に用いれば、通電を経てもヘッド部12での電気分解によりチタンの金属イオンが溶出することはなく、安全に使用できる。この電極表面材料は、純チタンが望ましいものの、チタン化合物であってもよい。また、チタン以外に金などの金属を用いる他、導電性樹脂や導電性ゴム、あるいはゴム等の弾性体表面に金属等の導体を貼付けたり導体の薄膜を配置して形成した構造とすることもできる。
【0041】
前記保持部15は、本体部11の正面側に沿って本体部11の一部を覆う形状として形成され、一端部にヘッド部12を露出させる開口孔15aを設けられ、他端部を傾動中心として本体部11他端部に傾動可能に取付けられ、本体部11正面側に重なり合う位置から、ヘッド部12から離れて本体部11から突出状態となる位置まで傾動可能とされる構成である。この保持部15は、本体部11の補助電極部11cを覆わない形状であればよく、例えば、ヘッド部周辺以外は極めて幅の狭い略棒状のものでもかまわない。
【0042】
この保持部15の開口孔15aは、ヘッド部12よりも一回り大きな楕円形状または長円形状の孔とされ、保持部15を傾動させるとヘッド部12が相対的に保持部15の開口孔15aを出入りする状態となる。保持部15を本体部11に重なる位置まで傾動させると、ヘッド部12は保持部15の開口孔15aから前方へ突出することとなり、ヘッド部12を肌70に当てる際に、より後方の保持部15は肌70に触れにくい状態となる。
【0043】
開口孔15aの縁には本体部11側に向って突出する突起15bが形成される。この突起15bは開口孔15aの縁に沿って連続させる他、断続形状や波状となっているものでもよい。
【0044】
この保持部15を、ヘッド部12から離れる向きに傾動させて本体部11の正面側に突出状態となる位置(図5参照)とした上で、ヘッド部12の頂面12aを覆うようにして多孔質被覆体13をヘッド部表面に位置させ、さらに保持部15を本体部11に対しヘッド部12に接近するように傾動させて、本体部11に重ね合せると、多孔質被覆体13の周縁部分が保持部15と本体部11との間に挟まれて多孔質被覆体13が容易に離脱しない状態となり(図6参照)、多孔質被覆体13をヘッド部12表面に位置させた状態で保持できる仕組みである。使用状態では、本体部11の把持部11aと保持部15とを使用者がまとめて把持することで、保持部15と本体部11が離れることはなく、これらに挟まれた多孔質被覆体13を確実に保持することができる。
【0045】
この保持部15の傾動中心から開口孔15aまでの長さは、できるだけ長く設定し、ヘッド部12が開口孔15aに進入して保持部15が本体部11に重なり合う際の、本体部11に対する保持部15の傾斜角度をなるべく小さくして、本体部11に対して保持部15を略平行に押し付けて多孔質被覆体13を均等に保持する状態が得られるようにしている。
【0046】
前記制御部16は、本体部11に内蔵され、使用者の操作部11bへの入力操作を受けて、ヘッド部12と補助電極部11c間の通電を、それぞれ制御するものである。この制御部16は美容用途ごとに通電動作のモードを設定しており、本実施形態においては、皮膚に蓄積している有害成分や老廃物を除去するクレンジングモード、皮膚の深部に化粧水等の有効成分を浸透させるイオン導入モード、及び、通電時の電極極性を切替えて皮膚の血行を促す血行促進モードの三つがある。
【0047】
これらクレンジングモードとイオン導入モード、血行促進モードでは、ヘッド部12と補助電極部11c間を通電状態とする点は共通するものの、通電の際の電流の向きや波形が異なることとなる。また、血行促進モードには、同様の通電波形ながら通電時間が異なるマッサージとリフティングの二つのモードがあり、マッサージモードは主にクレンジングモードの後で通電により皮膚の血行促進やその弾力性の維持を図るものであり、一方、リフティングモードは、主にイオン導入モードの後で通電により皮膚の血行促進や有効成分の定着、浸透を図りつつ、皮膚の引上げ効果を生じさせるものである。
【0048】
これら通電動作のモードの切替えは、操作部11bのモード切替スイッチ11dに対する使用者の入力操作に基づいて行われる。電源投入直後、使用者が最初にモード切替スイッチ11dを操作すると、制御部16はクレンジングモード、イオン導入モード、血行促進モードのいずれかを実行可能な状態となる。この他、各モードを所定の順序(例えば、クレンジング、マッサージ、イオン導入、リフティングの順)で連続して実行するようにしてもよい。その場合、制御部16が表示ランプ等の点灯により各モードの終了を通知しつつ、各モードの通電動作を一旦停止させ、所定時間経過の後、次のモードに移行するのが好ましい。
【0049】
また、制御部16は、各動作モードに対応してヘッド部12と補助電極部11c間を通電状態とする場合に、この通電により使用者の皮膚を流れる電流の強さの調整を行うようにしてもよい。この場合、調整は操作部11bに別途設けられる強弱切替スイッチに対する使用者の入力操作に基づいて行われることとなる。
【0050】
この制御部16は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを制御手段として動作させる仕組みである。この制御部16をなすコンピュータは、通常は、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとされて実装される。
【0051】
また、制御部16は、ヘッド部12が肌70に接してヘッド部12と補助電極部11c間で体等を介して通電可能となった状態をパルスを用いて検出して、美容に係る通電を開始する機能を備える構成である。通電可能状態を判別するためには、一方の電極から何らかのパルスが出力可能な状態であれば、このパルスが他方の電極にて検出されていることで肌に各電極部が当接されていると判断できるので、このパルスが他方の電極で検出されなくなった場合を通電不可能として判別できる。そして、通電不可能の場合に美容に係る通電を停止し、さらに、再び通電可能となった場合に通電を再開することとする。
【0052】
検出のためのパルスを、ヘッド部12に対して出力するのか、補助電極部11cに対して出力するのかは、前記各モードにより異なるが、一方の電極から出力されたパルスが人体を介して他方の電極に通るように、パルスが出力されない側の電極の電位をGNDレベルに落とす必要がある。例えば、ヘッド部12からパルスを出力する場合には、補助電極部11cの電位をGNDレベルに落としておく。一方、補助電極部11cからパルスを出力する場合には、ヘッド部12の電位をGNDレベルに落としておく。
【0053】
次に、本実施形態に係る美容装置の通電動作状態について説明する。前提として、美容装置1が使用者による操作部11bの電源スイッチ11e操作により起動し、使用者が把持部11aを持ってヘッド部12を使用したい肌部位に向けられる状態にあるものとする。使用者により動作モードが選択入力されれば、制御部16が各動作モードの実行を開始可能な状態とする。
【0054】
クレンジングを行う場合には、まず使用者は保持部15を傾動させてヘッド部12から離し、本体部11の正面側に突出した状態とし、電解質成分を含んだふき取り用化粧水を染みこませた多孔質被覆体13をヘッド部12表面に位置させる(図5参照)。さらに保持部15を本体部11に対しヘッド部12へ近付ける向きに傾動させ、保持部15上部の開口孔15aにヘッド部12を相対的に進入させつつ、保持部15を本体部11の正面側に重ね合せると、保持部15と本体部11との間に多孔質被覆体13の周縁部分が挟まれて、多孔質被覆体13がヘッド部12表面に保持、固定されると共に、多孔質被覆体13で覆われたヘッド部12が保持部15の開口孔15aより突出した状態となる(図6参照)。
【0055】
多孔質被覆体13は、保持された状態でヘッド部12を本体部11側にわずかに押下げる分、ヘッド部12からその内側のばね14の弾性力に伴う反力を受けて相対的に押されており、多孔質被覆体13はヘッド部12から押されることで張りを与えられ、皺等無く伸びた状態でヘッド部12表面に密着すると共に、この伸びた状態で肌に接触できることとなり、ヘッド部12及び肌との接触面積を無理なく十分に確保できる。
【0056】
また、多孔質被覆体13がヘッド部12を被覆しつつ保持部15で保持された状態では、多孔質被覆体13の端部は本体部11に沿うこととなり、本体部11から外側方に多孔質被覆体13端部が突出して、例えば、使用者が目の近傍の肌にヘッド部12を向けている場合に、多孔質被覆体13の端部が目に入ったり、美容に係る動作の障害になったりするのを防止できる。
【0057】
使用者が操作部11bのモード切替スイッチ11dを操作してクレンジングモードを選択すると、制御部16はまず検出用の信号を出力する。ヘッド部12を肌から離している状態では、ヘッド部12と補助電極部11c間が体を介して閉じた回路となっていないため、通電はないが、使用者が本体部11を動かしてヘッド部12を多孔質被覆体13を介し肌70に密着させると、体及び多孔質被覆体13中の化粧水を介した通電が可能となり、出力された検出用の信号の受信によりこの状態を検出すると、制御部16はクレンジングに係る通電状態に移行する。
【0058】
すなわち、制御部16は、周期の短いパルス波形をなす通電をヘッド部12と補助電極部11c間で実行し、皮膚表面や内部の帯電した微細な汚れ成分(落ちきれなかった化粧品の成分、タバコの煙の成分、老化角質等)がヘッド部12に引寄せられて肌側から多孔質被覆体13側に移行し、多孔質被覆体13に汚れ成分が取込まれる状態となることで、肌の汚れを吸引除去できる。
【0059】
こうしてヘッド部12を多孔質被覆体13を介し肌70に密着させている状態において、ヘッド部12は本体部11に対し弾性支持されており且つ傾動可能であることで、使用者の手による本体部11の支持状態が若干変化したとしても、ヘッド部12と肌との位置関係は維持され、ヘッド部表面の多孔質被覆体13は肌への接触圧力を適正としつつ、無理なく肌に当接でき、使用者はヘッド部12を肌に当接させるように本体部11を注意深く微調整しながら支持する必要はない。
【0060】
クレンジング対象の肌70のうち、鼻の側面部分など、ヘッド部12の頂面12aを近接させにくい箇所については、ヘッド部12の側面12bを使用でき、この側面12bを多孔質被覆体13を介してこうした箇所の肌70に当接させることで、使用者は本体部11を無理な姿勢で保持したり持替えたりせずに済む。また、鼻と頬の境界部分など肌の凹状の隅部については、ヘッド部12の頂面12aにおける横縁部12dの曲率の大きい丸み面取り形状部分を使用することで、多孔質被覆体13を介して確実にヘッド部12を肌70の隅部へ当接させることができ、偏りなくクレンジングを行うことができる(図10参照)。
【0061】
このクレンジングモードの通電は、ヘッド部12を多孔質被覆体13を介し肌70に密着させている間、低周波に対応する周期で繰返され、全体の通電波形は、低周波の波形にこれより高い周波数のパルス波形が重畳されたものとなる。
【0062】
多孔質被覆体13を肌70に当接させたままヘッド部12を肌上で少しずつ移動させると、通電状態のまま汚れ除去の対象位置を変えられるが、ヘッド部12がその頂面近傍で本体部11からは離れた高い位置の支点部12fを中心として傾動可能とされていることで、肌からヘッド部12に加わる反力はヘッド部12の頂面を肌に正対させるように作用し、ヘッド部12の頂面を肌に沿わせた状態が常に得られ、多孔質被覆体13を確実に肌に当接させることができ(図9(B)参照)、ヘッド部を静止させた状態と変わりなくクレンジングの効果を発揮させられる。
【0063】
クレンジング動作を中断したり除去位置を変えるために、ヘッド部12を肌70から離すと、通電に伴うパルスが他方の電極で検出できなくなることで、制御部16は肌からヘッド部12が離されたと判別し、クレンジングに係る通電を停止させる。このように通電を停止している場合には、検出用の信号を再び出力する。そして、再び、ヘッド部12を多孔質被覆体13を介し肌70に密着させると、検出用の信号の受信により通電可能状態を検出することができ、制御部16はクレンジングに係る通電状態に移行し、通電を再開する。クレンジングを完全に終える場合は、使用者が操作部11bで動作モードを他に切替えるか電源をOFF状態とすればよい。
【0064】
このクレンジングモードの終了後は、本体部11の把持部11a及び保持部15から把持していた手を離して把持状態を解除し、本体部11に重なる保持部15を傾動可能とする。そして、保持部15をヘッド部12から離れる向きに傾動させて本体部11正面側に突出した状態とし、保持部15を離して保持状態を解除された多孔質被覆体13を、ヘッド部12上から取外してヘッド部12を清浄化する。また、使用者は洗顔等を行って肌上に浮いた状態で残った汚れを取除くこととなる。
【0065】
イオン導入を行う場合には、使用者は前記同様、保持部15を傾動させてヘッド部12から離し、本体部11の正面側に突出した状態とし、電解質成分を含んだ保護化粧水を染みこませた多孔質被覆体13をヘッド部12表面に位置させる。さらに保持部15を本体部11に対しヘッド部12へ近付ける向きに傾動させ、保持部15を本体部11の正面側に重ね合せて、保持部15と本体部11との間に多孔質被覆体13を挟持し、多孔質被覆体13をヘッド部12表面に保持、固定する。この場合、多孔質被覆体13をヘッド部12表面に保持、固定した後、多孔質被覆体13に化粧水を染みこませてもよい。
【0066】
保持された多孔質被覆体13は、前記クレンジングの場合と同様、ヘッド部12からばね14の弾性力に伴う反力を受けて相対的に押されており、皺等無く伸びた状態でヘッド部12表面に密着すると共に、この伸びた状態で肌に接触できることとなる。
【0067】
使用者が操作部11bのモード切替スイッチ11dを操作してイオン導入モードを選択すると、制御部16はまず検出用の信号を出力する。ヘッド部12を肌70から離している状態では、ヘッド部12と補助電極部11c間が体を介して閉じた回路となっていないため、通電はない。
【0068】
使用者が本体部11を動かしてヘッド部12を多孔質被覆体13を介し肌70に密着させると、体及び多孔質被覆体13中の化粧水を介した通電が可能となり、出力された検出用の信号の受信によりこの状態を検出すると、制御部16は前記クレンジングの場合とは逆極性となる、イオン導入に係る通電状態に移行し、周期の短いパルス波形をなす通電をヘッド部12と補助電極部11c間で実行し、多孔質被覆体13を流れる電流で化粧水中のイオン性の有効成分(プロビタミンCなど)を肌側へ移行させ、電流によりイオンが浸透しやすい状態となっている肌内に、有効成分が速やかに浸透する。クレンジングの場合と同様、肌70のうち鼻と頬の境界部分などの肌の凹状の隅部についても、ヘッド部12における頂面横縁部12dの曲率の大きい丸み面取り形状部分を、その表面の多孔質被覆体13を介して確実に当接させることができ、偏りなくイオン導入を行うことができる。
【0069】
このイオン導入モードにおいても、通電がヘッド部12を多孔質被覆体13を介し肌70に密着させている間、低周波に対応する周期で繰返されることとなり、全体の通電波形は、低周波の波形にこれより高い周波数のパルス波形が重畳されたものとなる。
【0070】
多孔質被覆体13を肌70に当接させたままヘッド部12を肌上で少しずつ移動させると、通電状態のままイオン導入の対象位置を変えられるが、ヘッド部12がその頂面近傍で本体部11からは離れた高い位置の支点部12fを中心として傾動可能とされていることで、クレンジングの場合と同様、肌からヘッド部12に加わる反力はヘッド部12の頂面を肌に正対させるように作用し、ヘッド部12の頂面を肌に沿わせた状態が常に得られ、多孔質被覆体13を確実に肌に当接させることができ、ヘッド部を静止させた状態と変わりなくイオン導入の効果を発揮させられる。
【0071】
イオン導入を中断したり導入位置を大きく変えるために、ヘッド部12を肌70から離すと、通電に伴うパルスが他方の電極で検出できなくなることで、制御部16は肌からヘッド部12が離されたと判別し、イオン導入に係る通電を停止させる。このように通電を停止している場合には、検出用の信号を再び出力する。そして、再び、ヘッド部12を多孔質被覆体13を介し肌70に密着させると、検出用の信号の受信により通電可能状態を検出することができ、制御部16はイオン導入に係る通電状態に移行し、通電を再開する。イオン導入を完全に終える場合は、使用者が操作部11bで動作モードを他に切替えるか電源をOFF状態とすればよい。
【0072】
このイオン導入モードの終了後は、保持部15を本体部11の電極部近傍部分周囲位置からヘッド部12の正面側へ傾動させて本体部11から突出した状態とし、保持状態を解除された多孔質被覆体13を取外し、必要に応じてヘッド部12を清浄化すればよい。
【0073】
マッサージやリフティングといった肌への通電を実行する場合には、多孔質被覆体13を用いず、保持部15を本体部11の正面側に重ね合せて、ヘッド部12を肌に当接させる際に保持部15が障害物とならない状態とする。同時に、肌には必要に応じ化粧水や乳液等を付けてなじませた状態とする。
【0074】
使用者が操作部11bのモード切替スイッチ11dを操作してマッサージモードまたはリフティングモードを選択すると、制御部16はまず検出用の信号を出力する。ヘッド部12を肌から離している状態では、ヘッド部12と補助電極部11c間が体を介して閉じた回路となっていないため、通電はない。
【0075】
使用者が本体部11を動かしてヘッド部12を肌70に密着させると、体を介した通電が可能となり、出力された検出用の信号の受信によりこの状態を検出すると、制御部16はマッサージやリフティングに係る通電状態に移行し、マッサージモードの場合、制御部16は、正極性と負極性の各パルスが所定の休止時間を挟んで同じパルス幅で交互に現れる低周波の波形となる通電をヘッド部12と補助電極部11c間で実行し、ヘッド部12と補助電極部11c間において体を介した通電状態となり、肌70に低周波の通電がなされ、肌70を活性化してマッサージ効果を与え、血行を促進することとなる。
【0076】
また、リフティングモードの場合、制御部16は、正極性と負極性の各パルスが所定の休止時間を挟んで同じパルス幅で交互に現れる、マッサージモードより低い周波数の波形となる通電を実行し、ヘッド部12と補助電極部11c間で体を介した通電状態となり、肌70に低周波の通電がなされ、肌70への有効成分の浸透を促すと共に、肌に張りを与えて引上げるリフティングの効果を与えることとなる。
【0077】
ヘッド部12を肌70に当接させたまま肌上で少しずつ移動させると、通電の対象位置を変えられるが、ヘッド部12がその頂面近傍で本体部11からは離れた高い位置の支点部12fを中心として傾動可能とされていることで、クレンジングやイオン導入の場合と同様、肌からヘッド部12に加わる反力はヘッド部12の頂面を肌に正対させるように作用し、ヘッド部12の頂面を肌に沿わせた状態が常に得られ、ヘッド部12を確実に肌に当接させることができ、ヘッド部を静止させた状態と変わりなく通電に伴う各種効果を発揮させられる。
【0078】
通電を中断したり通電位置を変えるために、ヘッド部12を肌70から離すと、通電に伴うパルスが他方の電極で検出できなくなることで、制御部16は肌からヘッド部12が離されたと判別し、マッサージやリフティングに係る通電を停止させる。このように通電を停止している場合には、検出用の信号を再び出力する。そして、再び、ヘッド部12を肌70に密着させると、検出用の信号の受信により通電可能状態を検出することができ、制御部16はマッサージやリフティングに係る通電状態に移行し、通電を再開する。さらに使用者が操作部11bで動作モードを他に切替えるか電源をOFF状態とすれば、通電は完全に終了となる。
【0079】
このように、本実施形態に係る美容装置は、略楕円錐台状のヘッド部12を本体部11に弾性支持された状態とすると共に本体部11に対し傾動可能として、ヘッド部12を使用者の肌70に当接させると、本体部11が少し動いて肌70との位置関係が変化したとしても、ヘッド部12は本体部11に対して相対的に変位しつつ、肌70に対しては適度な接触状態を維持することから、ヘッド部12が過剰な押付け状態とならず、肌70とヘッド部12との摩擦を抑えて、肌70に対しヘッド部12を移動させる際にヘッド部12が肌70に引っかかったり、ヘッド部12が肌70を擦ったりしにくい状態が得られ、肌70への負担を軽減できる。また、クレンジングやイオン導入等の対象箇所の肌70のうち、例えば鼻の側面部分など、ヘッド部12の頂面12aを近接させにくい箇所に対しては、略楕円錐台状のヘッド部12における側面12bを当接させることができ、使用者はヘッド部12各部を有効に活用して本体部11を無理な姿勢で保持したり持替えたりせずに済み、使い勝手の点で優れる。
【0080】
なお、前記実施形態に係る美容装置において、ヘッド部12の傾斜した側面は断面形状が直線状となる単純な楕円錐面として形成される構成としているが、これに限らず、ヘッド部の側面形状を、ヘッド部の突出方向中間位置でヘッド部内側に向かって凹んだ丸みのある曲面、例えば、図11に示すように、断面形状が円弧状となる曲面、として形成する構成とすることもでき、側面19bの凹状の丸みが鼻側面等の肌70の丸みを帯びた立体形状に対応できるなど(図12参照)、フィット性を高められ、ヘッド部19と肌70との接触面積を十分に確保して肌への美容効果をより効率よく与えられる。
【0081】
また、前記実施形態に係る美容装置において、ヘッド部12は頂面12aに近い裏面中央の支点部12fで、支持軸部14aの先端と摺動可能に当接して、支持軸部14a及び本体部11に対し傾動可能とされる構成としているが、この他、ヘッド部における支点部位置で各方向への傾動の自由度を有する継手を形成しつつ、ヘッド部と支持軸部とが係合連結されることで、ヘッド部が支持軸部及び本体部に対し傾動可能とされる構成とすることもでき、この場合、ヘッド部が支持軸部と連結して一体化し、支持軸部と共に本体部に対する進退移動範囲が拘束されることから、本体部からヘッド部が離脱しないようにヘッド部における錐台底面側の縁部を鍔状に形成したりする必要はない。
【0082】
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係る美容装置において、保持部15は本体部11に対し傾動可能に取付けられて常に一体で取扱われる構成としているが、これに限らず、ヘッド部に沿わせた多孔質被覆体の周縁部を押えるなどして保持できるものであれば、保持部を本体部とは別体として本体部に対し着脱可能にする構造でもよく、例えば、第2の実施形態として、図13及び図14に示すように、保持部25を本体部21正面側に着脱可能なカバー状とし、且つこの保持部25の本体部21へ取付ける向きを使用時と使用していない収納時とで変更可能にする構成とすることもできる。
【0083】
この場合、保持部25は、ヘッド部22を露出させるための開口孔25a以外は、長手方向の中心部を挟んで対称形状となっており、使用時には保持部22の開口孔25aがヘッド部22側に位置するようにして、開口孔25aにヘッド部22を相対的に進入させつつ、このヘッド部22のある本体部21の正面側に保持部25を重ね合せて、保持部22を本体部21に取付け一体化する。多孔質被覆体を用いる際は、多孔質被覆体をヘッド部22正面に位置させてから保持部25を重ね、保持部25と本体部21との間に多孔質被覆体の周縁部分を挟んで、多孔質被覆体がヘッド部22表面に保持、固定された状態とすることができる。
【0084】
一方、使用していない収納時には、保持部22の開口孔25aをヘッド部22から離れた側として、保持部25を本体部21の正面側に重ね合せ、保持部22を本体部21に取付け一体化すると(図14(B)参照)、前記第1の実施形態同様に弾性支持されているヘッド部22が保持部25に押されて沈み込み、保持部25の内側に無理なく収納された状態が得られる。
【0085】
美容装置2において弾性支持され可動であるヘッド部22が、非使用状態で保持部25の内側に収納される構成とすることで、ヘッド部に誤って強い外力が加わり、ヘッド部が破損するような事態を回避することができる。また、多孔質被覆体の使用、不使用に関わりなく、保持部25を本体部21に取付け一体化して使用に供することから、保持部25を取外したまま放置して紛失する危険性を小さくできる。
【0086】
なお、上記の場合のように、保持部を本体部に対し着脱可能とする構成では、保持部は弾性変形可能な材質製として、若干の変形を伴いつつ本体部に係合して取付けられるようにするのが、構造を簡略にできる点で好ましい。また、本体部に対し着脱可能な保持部は、本体部の全体を覆う大きさとされる必要はなく、ヘッド部表面に多孔質被覆体を保持可能なものであれば、本体部のヘッド部近傍にのみ取付けられる大きさでも問題なく、且つ、クレンジングやイオン導入など、多孔質被覆体を用いる場合のみ本体部に取付けて多孔質被覆体を保持可能にするものとしてもかまわない。
【0087】
(本発明の第3の実施形態)
前記第1の実施形態に係る美容装置において、ヘッド部12は略楕円形の頂面12aと傾斜した側面12bとを有する略楕円錐台形状とされてなる構成としているが、これに限らず、ヘッド部を例えば、横断面が円形となる円錐台、横断面が長円形となる長円錐台、あるいは、横断面が多角形となる角錐台など、他の錐台形状として形成する構成とすることもできる。
【0088】
特に、第3の実施形態として、図15に示すように、ヘッド部32を変形した略角錐台形状とした場合、ヘッド部縦方向寸法を他の円錐台形等の場合と同様に確保しつつ横方向寸法を狭小化でき、縦方向寸法を十分確保することで、ヘッド部32を横方向に移動させて行うクレンジングやイオン導入等の効率を維持しつつ、装置の小型化、スリム化が図れる。また、ヘッド部32の頂面を緩やかな曲面状とすると共に、縦方向の両端部の長さをそれぞれ異ならせることで、指状の接触感が得られることとなり、ヘッド部32を直接又は多孔質被覆体を介して肌に接触させた際の違和感を軽減できる。
【0089】
加えて、ヘッド部32の頂面32aの縦縁部32c、32dのうち、一方の縦縁部32cと側面32bとの交差部における丸み面取り形状の曲率を、他方の縦縁部32dと側面32bとの交差部における丸み面取り形状及び横縁部32eと側面32bとの交差部の丸み面取り形状の各曲率に対し小さくしている。例えば、鼻と頬の境界部分などの肌の凹状の隅部に対しては、ヘッド部32の横縁部32e等のより曲率の大きい丸み面取り形状部分が、直接又は多孔質被覆体を介して、隅部の奥まで達して確実に当接することができ、こうした隅部に偏りなくクレンジングやイオン導入を行うことができる。また、縦縁部32cにおける曲率の小さい丸み面取り形状部分は、ヘッド部32の頂面32aを肌に当接させる際の接触を滑らかなものとして、感触を向上させることができる。
【0090】
(本発明の第4の実施形態)
前記第1の実施形態乃至第3の実施形態に係る美容装置において、ヘッド部12の頂面12aは緩やかな曲面とされて、頂面に凹部を設けた場合につき説明を省略しているが、第4の実施形態として本発明を詳細に説明する。
【0091】
図16に示すように、本発明に係る美容装置はヘッド部42の頂面42aに、開口部分が円形となるディンプル状の小さな凹部42cを複数設ける構成としている。凹部42cの底面はその中央部で最も深くなる曲面状としており、肌70に化粧水80を塗布した状態でヘッド部42の頂面42aを肌70に直接当てる場合、肌70と接触せず圧力のかからない凹部42cに化粧水80を保持でき(図17参照)、ヘッド部42と肌70との間に化粧水80を位置させたまま通電を行える。
【0092】
特に、マッサージやリフティングといった肌への通電刺激を、化粧水や乳液等を肌に付けた状態で実行する場合、肌に付けられた化粧水等が、肌と接触せず圧力のかからないこの凹部42cに保持されて流れ落ちにくくなり、ヘッド部42と肌70との間に化粧水等を位置させた状態を維持できることとなる。こうして、従来は肌とヘッド部との接触に伴って押出され流れ落ちてしまっていた化粧水等を、無駄に消費することなく肌上でその効果を適切に発揮させることができる。
【0093】
なお、ヘッド部頂面に複数設ける凹部の開口形状は、図16に示すようないずれも径の等しい円形状として形成する構成に限られるものではなく、この他、図18に示すように、頂面42aに複数設けた凹部42dの円形状が、頂面42aの中央部から外方に進むに従って径が小さくなるようにしたり、図19に示すように、凹部42eを格子状に配置形成するなど、凹部の開口形状を変化させる構成とすることもできる。また、凹部の深さについても、図16や図18に示すように、凹部42c、42dの深さが頂面42aの中央部から外方に進むに従って大きくなるようにするなど、変化させる構成とすることもできる。
【0094】
さらに、頂面に凹部を設ける他に、図20に示すように、側面42bに凹部42fを設けて、ヘッド部42の正面から見た輪郭形状がくびれを有するものとなる構成としたり、頂面に設けたような複数の小さな凹部を側面に設ける構成としたりすることもできる。頂面の場合と同様、側面42bを肌に当接させる際には、肌と接触せず圧力のかからない凹部42fが化粧水を保持し、ヘッド部42と肌との間に化粧水を介在させた状態で肌への通電が行える。
【0095】
こうしてヘッド部の頂面又は側面に凹部を設ける構成の他に、図21に示すように、ヘッド部42における頂面42aと側面42bのいずれにも凹部42gを設ける構成とすることもでき、ヘッド部42のいずれの位置を肌に当接させた場合でも、凹部42gが化粧水等を保持して、ヘッド部42と肌との間に化粧水等を介在させた状態を維持することができる。
【0096】
このようなヘッド部に設けられる凹部は、肌からの圧力がかからず、肌に付けられた化粧水等を保持できる状態を確保しつつ、表面に付着した汚れを使用後に拭取るなどして清浄とするのが容易にできるよう、凹部開口の大きさを1mm以上とするのが好ましく、また、凹部外縁における凹部と頂面又は側面との交差部を丸み面取り形状として(図17参照)、頂面又は側面と凹部とが滑らかに連続する状態とするのが好ましい。さらに、この凹部は、横へ線状に長く延びた長穴状や、さらに長く連続する溝状となったもの、例えば、図22に示すような頂面42aで連続する凹部42h、42iや、後述する図29に示すような側面52bの凹部52gのような形状でもよいが、その場合は、開口の幅(長手方向と直交する向きの寸法)を1mm以上とするのが好ましい。
【0097】
図23ないし図29は凹部の更に他の実施例であり、図23は中央部の凹部42kが単一の円形状の凹みとなっているものである。この凹部42kは頂面42aの1/3程度の径を有しており、頂面42aがドーナツ状に肌に当接することで当接力が強まり、イオン導入効果やクレンジング効果が向上する利点がある。
【0098】
図24は凹部42lが2つ存在し上記実施例と同様に頂面42aがドーナツ状に肌に当接することで当接力が強まり、イオン導入効果やクレンジング効果が向上する利点がある。
【0099】
図25は連続する溝状のリングが複数個凹部42mとして配設された例であり、図26は同心円状の溝からなる凹部42nと開口部分が円形となる小さな凹部42cが混在した例である。
【0100】
図27は頂面の形状に沿った溝が凹部42pとして形成された例である。
【0101】
図28は上述したディンプル状や溝状の凹部に代え、頂面の一部または全部を断面波状としたものである。このように、断面波状とした場合波の底側42qが凹部に相当し、上記凹部と同等の作用効果に加え、傾斜部42r、42sが肌との当接を可能にしつつ、化粧水の保持機能を備える。なお、図17で説明した断面と同様に表面に付着した汚れを使用後に容易に拭取れるように断面の傾斜部が上昇側と下降側で滑らかに連続する状態とするのが好ましい。更には、図示するように断面の傾斜部に長さの差異を設ければ長い傾斜部42rがより肌との接触面積を増加させ美容装置として好ましいヘッド部を提供出来る。特に図29に示すような実施例では長い傾斜部42tを中央から外側に向けて上昇させており、丸みを帯びた肌に良好に沿うことになり、化粧水の保持機能を有しつつ、有効面積を阻害せずにヘッドが肌に当接する。
【0102】
(本発明の第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る美容装置を前記図30ないし図31に基づいて説明する。
【0103】
前記各図において本実施形態に係る美容装置5は、前記第1の実施形態同様、本体部11と、ヘッド部52と、ばね14と、補助電極部11cと、保持部55と、制御部16とを備える一方、異なる点として、ヘッド部52が略円錐台形状とされ、本体部11に対し回動可能とされると共に、保持部55がヘッド部52に係合して多孔質被覆体53を保持する構成を有するものである。
【0104】
なお、前記制御部16は、前記第1の実施形態と同様のものであり、説明を省略する。また、前記本体部11は、ヘッド部52のある正面側に保持部55が傾動可能として取付けられない点以外は、前記第1の実施形態と同様の構成であり、説明を省略する。
【0105】
前記ヘッド部52は、金属等の導電性を有する材質からなり、肌70に面接触可能な緩やかな曲面状の頂面52aと傾斜した側面52bとを有する略円錐台形状とされ、頂面側を先端として本体部11の一端部正面側から突出させて配設される構成である。
【0106】
このヘッド部52は、円形状の頂面52aにおける本体部11の長手方向の端部となる縦縁部52c、及び本体部11の長手方向と直交する方向の端部となる横縁部52dにおける、それぞれ側面との交差部を丸み面取り形状とされる構成である。そして、横縁部52dと側面との交差部の丸み面取り形状の曲率に対し、縦縁部52cと側面との交差部の丸み面取り形状の曲率が小さく(丸み半径を大きく)されてなる。
【0107】
ヘッド部52の側面52bには、開口部分が円形となる小さな凹部52eが、凹部底面をその中央部で最も深くなる曲面状とされて複数設けられる。肌に化粧水を塗布した状態でヘッド部52の側面52bを肌に直接当てる場合、肌と接触せず圧力のかからない凹部52eに化粧水を保持でき、化粧水が流れ落ちにくくなり、ヘッド部52と肌との間に化粧水を位置させたまま通電を行える。このヘッド部側面52bの凹部52eは、多孔質被覆体53を保持する保持部55の係合にも用いられる。
【0108】
ヘッド部52の内側には、前記第1の実施形態と同様に、本体部11に対し所定範囲進退可能とされる棒状の支持軸部14aが取付けられ、この支持軸部14aはばね14で本体部11から遠ざかる向きに付勢されている。そして、ヘッド部52は、頂面中心部のちょうど裏側となる内側の支点部52fで支持軸部14aの先端と摺動可能に当接し、この支持軸部14aを介してばね14により本体部11から遠ざかる向きに付勢されつつ弾性支持される。また、ヘッド部52は、支点部52fで支持軸部14aの先端に対し摺動できることで、支持軸部14a及び本体部11に対し傾動可能であることに加え、支点部52fを通る円錐台中心軸周りに回動可能となっている。
【0109】
ヘッド部52における錐台底面側の縁部は、他部分より外径を若干大きくした鍔状とされて、本体部11内に収められ、この本体部11におけるヘッド部52を一部収る空隙部分の入口開口部分がヘッド部52の鍔状の縁部より小口径とされることで、前記第1の実施形態と同様、ヘッド部52の本体部11からの離脱が防止される仕組みである。なお、ヘッド部52の本体部11に対する突出方向への移動範囲や、ヘッド部52の支持軸部14aに対する傾動角度範囲は、前記第1の実施形態同様、ヘッド部52の鍔状の縁部が本体部11に拘束されることで制限されるものの、ヘッド部52の錐台底面側の各部外形は円形とされ、またこれを収める本体部11内空隙部分の入口開口部分を含む内周形状も円形とされることで、ヘッド部52の本体部11に対する回動は許容される。
【0110】
また、ヘッド部52は、前記第1の実施形態同様、本体部11内で制御部16と電気的に接続され、把持部11aにある補助電極部11cとの間で使用者の体を介して通電可能とされる構成である。通電については、制御部16によりヘッド部52と補助電極部11c間に電圧が加えられて通電が起こり得る状態とされた上で、電解質成分を含む化粧水等の液剤が含浸した多孔質被覆体53を介して、又は直接、ヘッド部52が肌70に接触し、また補助電極部11cが把持部11aを持つ手と接触すると、ヘッド部52と補助電極部11cとが使用者の体を介して通電状態となる仕組みである。
【0111】
前記多孔質被覆体53は、カット綿やコットンパフ等と同様の脱脂等加工した綿繊維を、ヘッド部52の外形に対応した不織シート製の袋状に成形して、ヘッド部52表面に沿ってこれを覆うカバーとして用いるものであり、化粧水等を十分吸収してそのまま保持できる性質を備える。この多孔質被覆体53はヘッド部52の表面をぴったりと覆って本体部11側に大きくはみ出さないことで、多孔質被覆体53はヘッド部52の回動を妨げず、これで覆われた状態でもヘッド部52は本体部11に対し回動可能となっている。
【0112】
前記保持部55は、弾性変形可能な材質製の環状体として形成され、中央の開口部分に面する内周の複数箇所にヘッド部側面52bの凹部52eに係合する突起55bを設けられ、多孔質被覆体53を介在させた状態でヘッド部52の側面52bにおける頂面52aから離れた端部寄り位置の外側に、着脱可能に取付けられる構成である。この保持部55中央の開口部分は、ヘッド部52の側面52bよりもわずかに大きな開口形状とされる。
【0113】
ヘッド部52の形状に対応した多孔質被覆体53を装着したヘッド部52に対し、この保持部55をヘッド部52の側面外側に位置させ、保持部55の各突起55bをヘッド部52側の凹部52eに係合させて、保持部55がヘッド部52に取付けられた状態とすると、多孔質被覆体53が保持部55とヘッド部52との間に挟まれて容易に離脱しない状態となり、多孔質被覆体53をヘッド部52表面に保持できる仕組みである。
【0114】
なお、上述の各実施形態において、ヘッド部の凹部は、多孔質被覆体に代えて化粧液の保持機能を有すものであるが、多孔質被覆体を併用して化粧液の保持機能を多孔質被覆体にももたせることも可能である。
【0115】
次に、本実施形態に係る美容装置の通電動作状態について説明する。前提として、美容装置5が使用者による操作部11bの電源スイッチ11e操作により起動し、使用者が把持部11aを持ってヘッド部52を使用したい肌部位に向けられる状態にあるものとする。使用者により動作モードが選択入力されれば、制御部16が各動作モードの実行を開始可能な状態とする。
【0116】
クレンジングを行う場合には、まず使用者は、電解質成分を含んだふき取り用化粧水を染みこませた多孔質被覆体53をヘッド部52に装着し、さらに保持部55の開口部分にヘッド部52を相対的に進入させつつ、保持部55をヘッド部52における側面52b外側に位置させ、保持部55の各突起55bをヘッド部側面52bの凹部52eに係合させると、保持部55とヘッド部52との間に多孔質被覆体53が挟まれて、多孔質被覆体53がヘッド部52表面に保持、固定された状態となる(図33参照)。
【0117】
多孔質被覆体53は、ヘッド部52の外形に対応した形状とされていることで、皺等無く伸びた状態でヘッド部52表面に密着すると共に、この伸びた状態で肌に接触できることとなり、ヘッド部52及び肌との接触面積を無理なく十分に確保できる。
【0118】
使用者が操作部11bのモード切替スイッチ11dを操作してクレンジングモードを選択すると、前記第1の実施形態同様、制御部16はまず検出用の信号を出力する。使用者が本体部11を動かしてヘッド部52を多孔質被覆体53を介し肌70に密着させると、体及び多孔質被覆体53中の化粧水を介した通電が可能となり、出力された検出用の信号の受信によりこの状態を検出すると、制御部16はクレンジングに係る通電状態に移行する。
【0119】
すなわち、制御部16は、周期の短いパルス波形をなす通電をヘッド部52と補助電極部11c間で実行し、皮膚表面や内部の帯電した微細な汚れ成分がヘッド部52に引寄せられて肌側から多孔質被覆体53側に移行し、多孔質被覆体53に汚れ成分が取込まれる状態となることで、肌の汚れを吸引除去できる。
【0120】
こうしてヘッド部52を多孔質被覆体53を介し肌70に密着させている状態において、ヘッド部52は本体部11に対し弾性支持されており且つ傾動可能であることで、使用者の手による本体部11の支持状態が若干変化したとしても、ヘッド部52と肌との位置関係は維持され、ヘッド部表面の多孔質被覆体53は肌への接触圧力を適正としつつ、無理なく肌に当接でき(図34(A)参照)、使用者はヘッド部52を肌に当接させるように本体部11を注意深く微調整しながら支持する必要はない。
【0121】
クレンジング対象の肌70のうち、鼻の側面部分など、ヘッド部52の頂面52aを近接させにくい箇所については、ヘッド部52の側面52bを使用でき、この側面52bを多孔質被覆体53を介してこうした箇所の肌70に当接させることで、使用者は本体部11を無理な姿勢で保持したり持替えたりせずに済む。
【0122】
また、鼻と頬の境界部分など凹状の隅部となっている箇所については、ヘッド部52の頂面52aにおける横縁部52dの曲率の大きい丸み面取り形状部分を使用することで、多孔質被覆体53を介して確実にヘッド部52を肌70の隅部へ当接させることができ、偏りなくクレンジングを行うことができる。
【0123】
多孔質被覆体53を肌70に当接させたままヘッド部52を肌上で少しずつ移動させると、通電状態のまま汚れ除去の対象位置を変えられる。この際、多孔質被覆体53を介してヘッド部52における頂面52aの中央を除く端部や側面52bが肌に当接していた場合、ヘッド部52は移動に伴って肌70から受ける摩擦抵抗力に伴って生じる支点部52f周りの回転モーメントにより、支点部52fを中心に回動し、多孔質被覆体53は肌70に対し転がり接触状態となる(図35参照)。
【0124】
こうして、ヘッド部52や多孔質被覆体53の肌への引っかかりや擦れを生じさせることなく、多孔質被覆体53を確実に肌に当接させることができ、ヘッド部52を移動させながらでも肌に負担をかけずにクレンジングの効果を発揮させられる。また、多孔質被覆体53が肌に対し転がり接触して接触位置を変化させていくことで、多孔質被覆体53の同じ箇所が集中的に使用されて除去した汚れ成分が過度に集積する状態とならず、多孔質被覆体53の清浄な部位を最大限に使用して、多孔質被覆体53への汚れ成分の取込み能力を適切に発揮させられる。
【0125】
なお、ヘッド部52を肌上で移動させる際に、多孔質被覆体53を介してヘッド部52における頂面52aの中央を含む広い領域が肌に当接していた場合、ヘッド部52の回動による多孔質被覆体53の転がり接触は生じない。ただこの場合も、ヘッド部52がその頂面近傍で本体部11からは離れた高い位置の支点部52fを中心として傾動可能とされていることで、前記第1の実施形態同様、肌70からヘッド部52に加わる反力はヘッド部52の頂面を肌70に正対させるように作用し、ヘッド部52の頂面52aを肌70に沿わせた状態が常に得られ、ヘッド部52や多孔質被覆体53の肌70への引っかかりを防ぎつつ、多孔質被覆体53を確実に肌に当接させることができ、ヘッド部を静止させた状態と変わりなくクレンジングの効果を発揮させられる。
【0126】
クレンジング動作を中断したり除去位置を変えるために、ヘッド部52を肌70から離すと、前記第1の実施形態同様、制御部16は肌からヘッド部52が離されたと判別し、クレンジングに係る通電を停止させる。そして、再びヘッド部52を多孔質被覆体53を介し肌70に密着させると、制御部16はクレンジングに係る通電状態に移行し、通電を再開する。クレンジングを完全に終える場合は、使用者が操作部11bで動作モードを他に切替えるか電源をOFF状態とすればよい。
【0127】
このクレンジングモードの終了後は、保持部55をヘッド部52から外し、保持状態を解除された多孔質被覆体53を、ヘッド部52上から取外してヘッド部52を清浄化する。また、使用者は洗顔等を行って肌上に浮いた状態で残った汚れを取除くこととなる。
【0128】
イオン導入を行う場合には、使用者は前記同様、電解質成分を含んだ保護化粧水を染みこませた多孔質被覆体53をヘッド部52に装着し、さらに保持部55をヘッド部52における側面52b外側に位置させ、保持部55の各突起55bをヘッド部側面52bの凹部52eに係合させて、保持部55とヘッド部52との間に多孔質被覆体53を挟持し、多孔質被覆体53をヘッド部52表面に保持、固定する。この場合、多孔質被覆体53をヘッド部52表面に保持、固定した後、多孔質被覆体53に化粧水を染みこませてもよい。
【0129】
保持された多孔質被覆体53は、前記クレンジングの場合と同様、ヘッド部52の外形に対応した形状とされており、皺等無く伸びた状態でヘッド部52表面に密着すると共に、この伸びた状態で肌に接触できることとなる。
【0130】
使用者が操作部11bのモード切替スイッチ11dを操作してイオン導入モードを選択すると、前記第1の実施形態同様、制御部16はまず検出用の信号を出力する。使用者が本体部11を動かしてヘッド部52を多孔質被覆体53を介し肌70に密着させると、体及び多孔質被覆体53中の化粧水を介した通電が可能となり、出力された検出用の信号の受信によりこの状態を検出すると、制御部16は前記クレンジングの場合とは逆極性となる、イオン導入に係る通電状態に移行する。
【0131】
この通電状態で、制御部53は、周期の短いパルス波形をなす通電をヘッド部52と補助電極部11c間で実行し、多孔質被覆体53を流れる電流で化粧水中のイオン性の有効成分を肌側へ移行させ、電流によりイオンが浸透しやすい状態となっている肌内に、有効成分が速やかに浸透する。クレンジングの場合と同様、肌70のうち鼻と頬の境界部分など凹状の隅部となっている箇所についても、ヘッド部52における頂面横縁部52dの曲率の大きい丸み面取り形状部分を、その表面の多孔質被覆体53を介して確実に当接させることができ、偏りなくイオン導入を行うことができる。
【0132】
多孔質被覆体53を肌70に当接させたままヘッド部52を肌上で少しずつ移動させると、通電状態のままイオン導入の対象位置を変えられるが、多孔質被覆体53を介してヘッド部52における頂面52aの中央を除く端部や側面52bが肌に当接していた場合、クレンジングの場合と同様、ヘッド部52は移動に伴って支点部52fを中心に回動し、多孔質被覆体53は肌に対し転がり接触状態となる。こうして、ヘッド部52や多孔質被覆体53の肌への引っかかりや擦れを生じさせることなく、多孔質被覆体53を確実に肌に当接させることができ、ヘッド部52を移動させながらでも肌に負担をかけずにイオン導入の効果を発揮させられる。
【0133】
なお、ヘッド部52を肌上で移動させる際に、多孔質被覆体53を介してヘッド部52における頂面52aの中央を含む広い領域が肌に当接していた場合、ヘッド部52の回動による多孔質被覆体53の転がり接触は生じない。ただこの場合も、ヘッド部52がその頂面近傍で本体部11からは離れた高い位置の支点部52fを中心として傾動可能とされていることで、クレンジングの場合と同様、肌からヘッド部52に加わる反力はヘッド部52の頂面を肌に正対させるように作用し、ヘッド部52の頂面を肌に沿わせた状態が常に得られ、ヘッド部52や多孔質被覆体53の肌への引っかかりを防ぎつつ、多孔質被覆体53を確実に肌に当接させることができ、ヘッド部を静止させた状態と変わりなくイオン導入の効果を発揮させられる。
【0134】
イオン導入を中断したり導入位置を大きく変えるために、ヘッド部52を肌70から離すと、前記第1の実施形態同様、制御部16は肌からヘッド部52が離されたと判別し、イオン導入に係る通電を停止させる。そして、再びヘッド部52を多孔質被覆体53を介し肌70に密着させると、制御部16はイオン導入に係る通電状態に移行し、通電を再開する。イオン導入を完全に終える場合は、使用者が操作部11bで動作モードを他に切替えるか電源をOFF状態とすればよい。
【0135】
このイオン導入モードの終了後は、保持部55をヘッド部52から外し、保持状態を解除された多孔質被覆体53を取外し、必要に応じてヘッド部52を清浄化すればよい。
【0136】
マッサージやリフティングといった肌への通電を実行する場合には、多孔質被覆体53を使用せず、ヘッド部52は保持部55を取付けない状態で用いる。なお、肌には必要に応じ化粧水や乳液等を付けてなじませた状態とする。
【0137】
使用者が操作部11bのモード切替スイッチ11dを操作してマッサージモードまたはリフティングモードを選択すると、前記第1の実施形態同様、制御部16はまず検出用の信号を出力する。使用者が本体部11を動かしてヘッド部52を肌70に密着させると、体を介した通電が可能となり、制御部16はマッサージやリフティングに係る通電状態に移行する。
【0138】
マッサージモードの場合、制御部16は、前記第1の実施形態同様、異なる極性のパルスが交互に現れる低周波の波形となる通電をヘッド部52と補助電極部11c間で実行し、ヘッド部52と補助電極部11c間において体を介した通電状態となり、肌70に低周波の通電がなされ、肌70を活性化してマッサージ効果を与え、血行を促進することとなる。
【0139】
また、リフティングモードの場合も、制御部16は、前記第1の実施形態同様、マッサージモードより低周波で異なる極性のパルスが交互に現れる波形となる通電を実行し、ヘッド部52と補助電極部11c間で体を介した通電状態となり、肌70に低周波の通電がなされ、肌70への有効成分の浸透を促すと共に、肌に張りを与えて引上げるリフティングの効果を与えることとなる。
【0140】
このマッサージモードやリフティングモードで、ヘッド部52を肌70に密着させている状態において、ヘッド部52は本体部11に対し弾性支持されており且つ傾動可能であることで、ヘッド部52は肌への接触圧力を適正としつつ、無理なく肌に当接でき(図34(B)参照)、使用者はヘッド部52を肌に当接させるように本体部11を注意深く微調整しながら支持する必要はない。
【0141】
ヘッド部52の側面52bには、複数の小さな凹部52eが設けられており、この側面52bを肌に当接させた状態では、肌に塗布された化粧水等が、肌と接触せず圧力のかからないこの凹部52eに保持されて流れ落ちにくくなり、ヘッド部52と肌との間に化粧水等を位置させたまま通電を行える。こうして、従来は肌とヘッド部との接触に伴って押出され流れ落ちてしまっていた化粧水等を、無駄に消費することなく肌上でその効果を適切に発揮させることができる。
【0142】
ヘッド部52を肌70に当接させたまま肌上で少しずつ移動させると、通電の対象位置を変えられる。この際、ヘッド部52における頂面52aの中央を除く端部や側面52bが肌に当接していた場合、ヘッド部52は移動に伴って肌70から受ける摩擦抵抗力に伴って生じる支点部52f周りの回転モーメントにより、支点部52fを中心に回動し、ヘッド部52は肌70に対し転がり接触状態となる。こうして、ヘッド部52の肌への引っかかりや擦れを生じさせることなく、ヘッド部52を確実に肌に当接させることができ、ヘッド部52を移動させながらでも肌に負担をかけずに通電の効果を発揮させられる。
【0143】
このヘッド部52を肌上で移動させる際に、ヘッド部52における頂面52aの中央を含む広い領域が肌に当接していた場合、ヘッド部52の回動によるヘッド部52の転がり接触は生じない。ただこの場合も、ヘッド部52がその頂面近傍で本体部11からは離れた高い位置の支点部52fを中心として傾動可能とされていることで、クレンジングやイオン導入の場合と同様、肌からヘッド部52に加わる反力はヘッド部52の頂面を肌に正対させるように作用し、ヘッド部52の頂面を肌に沿わせた状態が常に得られ、ヘッド部52の肌への引っかかりを防ぎつつ、ヘッド部52を確実に肌に当接させることができ、ヘッド部を静止させた状態と変わりなく通電の効果を発揮させられる。
【0144】
通電を中断したり通電位置を変えるために、ヘッド部52を肌70から離すと、前記第1の実施形態同様、制御部16は肌からヘッド部52が離されたと判別し、マッサージやリフティングに係る通電を停止させる。そして、再びヘッド部52を肌70に密着させると、制御部16はマッサージやリフティングに係る通電状態に移行し、通電を再開する。さらに使用者が操作部11bで動作モードを他に切替えるか電源をOFF状態とすれば、通電は完全に終了となる。
【0145】
このように、本実施形態に係る美容装置は、ヘッド部52を本体部11に対し回動可能とし、ヘッド部52の頂面52a中心部以外の箇所を直接又は多孔質被覆体53を介して使用者の肌70に当接させた状態で、使用者が本体部11を動かしてヘッド部52を移動させようとすると、ヘッド部52は肌70から受ける摩擦抵抗力に伴って生じる回転モーメントで回動し、ヘッド部52や多孔質被覆体53は肌70に対し転がり接触する状態となることから、ヘッド部52や多孔質被覆体53の肌70への引っかかりや擦れを生じさせずに、確実に肌70に当接させることができ、ヘッド部52を移動させながらでも肌に負担をかけずにクレンジングやイオン導入等の美容効果を発揮させられる。また、多孔質被覆体53をヘッド部52表面に配設して用いる場合には、多孔質被覆体53が肌70に対し転がり接触して接触位置を変化させていくことで、多孔質被覆体53の同じ箇所が集中的に使用されて肌70の汚れ成分が過度に付着する状態とならず、多孔質被覆体53の清浄な部位を最大限に使用して、多孔質被覆体53を用いたクレンジングやイオン導入等をより使用者にとって好ましい状態で実行できる。
【0146】
なお、前記第5の実施形態に係る美容装置においては、ヘッド部52の側面52bに化粧水等を保持できる複数の凹部52eを設け、多孔質被覆体53を装着したヘッド部52に対し、保持部55の各突起55bが凹部52eに多孔質被覆体53を介在させつつ係合するようにして、保持部55を取付けることにより、多孔質被覆体53をヘッド部52表面に保持する構成としているが、これに限られるものではなく、例えば、図36に示すように、ヘッド部52の側面52bに周全体で連続する溝状の凹部52gを設け、この凹部52gで化粧水等を保持して、ヘッド部52と肌との間に化粧水等を確実に位置させられるようにすると共に、多孔質被覆体53を用いる場合には、この溝状の凹部52gに保持部55の突起55bを係合させるようにして(図36(A)参照)、あるいは保持部56の内周部分をそのまま凹部52gに係合させるようにして(図36(B)参照)、ヘッド部52に保持部を取付け、多孔質被覆体53を保持する構成とすることもでき、凹部52gが周方向に連続して広く設けられている分、保持部55、56をヘッド部52へ細かく位置合せすることなく容易に取付けられる。
【0147】
また、前記第1ないし第5の各実施形態に係る美容装置においては、イオン導入を行う場合に、保護化粧水を染みこませた多孔質被覆体をヘッド部に被せるように保持し、多孔質被覆体中の化粧水に含まれる有効成分を肌側へ移行させ、肌内に有効成分を浸透させる構成としているが、この他、イオン導入として、保護用化粧水を付けてなじませた状態とした肌に直接ヘッド部を密着させ、体を介した通電状態とし、ヘッド部から肌へ流れる電流で肌表面の化粧水に含まれる有効成分を肌内に浸透させるようにすることもでき、ヘッド部の頂面に複数の小さな凹部を設けた場合は特に、凹部が肌に付けられた化粧水を保持して流れ落ちにくくし、化粧水を有効利用できることと合わせて、通電状態では、ヘッド部から肌へ流れる電流で肌表面の化粧水におけるイオン性の有効成分を適切に肌側へ移行させられ、前記各実施形態の場合と同様、電流によりイオンが浸透しやすい状態となっている肌に、有効成分が深く浸透して確実に美容効果を与えられる。
【0148】
また、前記第1ないし第5の各実施形態に係る美容装置においては、ヘッド部と補助電極部間の通電を伴う各美容動作を実行する構成としているが、これに限らず、ヘッド部から他の美容動作、例えばヘッド部から超音波を肌に伝えて肌を刺激する動作や、ヘッド部から肌に温熱による刺激を付与する動作等を実行する構成とすることもでき、ヘッド部を弾性支持すると共に、ヘッド部を傾動可能とし、また必要に応じてヘッド部を回動可能とすることで、いずれの美容動作の場合でも、肌へのヘッド部の密着性、ヘッド部を移動させた時の肌へのヘッド部の追随性を向上させ、且つ肌への負担を低減して、より確実に美容効果を与えられる。
【0149】
更には、前記第1ないし第5の各実施形態に係る美容装置においては、ヘッド部が把持部の一端側に配置されているものであるが、携帯性を向上させるためにヘッド部を本体の中央に配置し、ヘッド部にキャップを設けて、キャップと本体部が一体的にデザインされるものも考えられる。
【0150】
図37乃至図46では、このような美容装置の外観(意匠)を図示する。
【0151】
図37は正面視が円形の美容装置の六面図を現しており、図37(a)は正面図、図37(b)は平面図、図37(c)は底面図、図37(d)は右側面図、図37(e)は左側面図、図37(f)は背面図を示している。図38は斜視図である。
【0152】
図39は正面視が円形の美容装置のキャップを外し、キャップを把持部として本体側に取り付けた状態の六面図を現しており、図39(a)は正面図、図39(b)は平面図、図39(c)は底面図、図39(d)は右側面図、図39(e)は左側面図、図39(f)は背面図を示している。図40は斜視図である。
【0153】
図41は正面視が四角形の美容装置の六面図を現しており、図41(a)は正面図、図41(b)は平面図、図41(c)は底面図、図41(d)は右側面図、図41(e)は左側面図、図41(f)は背面図を示している。図42は斜視図である。
【0154】
図43は正面視が四角形の美容装置のキャップを外し、キャップを把持部として本体側に取り付けた状態の六面図を現しており、図43(a)は正面図、図43(b)は平面図、図43(c)は底面図、図43(d)は右側面図、図43(e)は左側面図、図43(f)は背面図を示している。図44は斜視図である。
【0155】
図45は正面視が花形の美容装置の六面図を現しており、図45(a)は正面図、図45(b)は平面図、図45(c)は底面図、図45(d)は右側面図、図45(e)は左側面図、図45(f)は背面図を示している。図46は斜視図である。
【0156】
図47は正面視が花形の美容装置のキャップを外し、キャップを把持部として本体側に取り付けた状態の六面図を現しており、図47(a)は正面図、図47(b)は平面図、図47(c)は底面図、図47(d)は右側面図、図47(e)は左側面図、図47(f)は背面図を示している。図48は斜視図である。
【符号の説明】
【0157】
1 ハンドスキャナハウジング
1、2、5 美容装置
11、21 本体部
11a 把持部
11b 操作部
11c 補助電極部
11d モード切替スイッチ
11e 電源スイッチ
12、22、32、42、52 ヘッド部
12a、32a、42a、52a 頂面
12b、32b、42b、52b 側面
12c、32c、32d、52c 縦縁部
12d、32e、52d 横縁部
12f、52f 支点部
13、53 多孔質被覆体
14 ばね
14a 支持軸部
15、25、55、56 保持部
15a、25a 開口孔
15b、55b 突起
16 制御部
17 本体部
18、19 ヘッド部
19b 側面
42c、42d、42e、42f 凹部
42g、42h、42i 凹部
52e、52g 凹部
70 肌
80 化粧水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者により保持される本体部と、当該本体部の一部に突出状態で配設されるヘッド部と、前記ヘッド部の動作状態を調整制御する制御部とを備え、使用者の皮膚に対しヘッド部で所定の美容動作を実行する美容装置において、
前記ヘッド部が、少なくとも頂面に一又は複数の凹部を設けられることを
特徴とする美容装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の美容装置において、
前記ヘッド部の内側に、前記弾性体により、本体部に対しヘッド部の突出方向と平行な向きに所定範囲可動状態で弾性支持されるヘッド支持部を備え、
前記ヘッド部が、前記ヘッド支持部に、前記頂面に近いヘッド部内側の所定箇所で接触又は係合し、当該所定箇所を傾動中心位置としてヘッド支持部に対し所定角度範囲で傾動可能に設けられることを
特徴とする美容装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の美容装置において、
前記ヘッド部が、略円錐台形状とされ、円錐台中心軸周りに回動可能として本体部に支持されることを
特徴とする美容装置。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれかに記載の美容装置において、
前記ヘッド部が、頂面における本体部の長手方向の端部となる縦縁部、及び本体部の長手方向と直交する方向の端部となる横縁部における、それぞれ側面との交差部を丸み面取り形状とされ、
前記横縁部と側面との交差部の丸み面取り形状の曲率に対し、縦縁部と側面との交差部の丸み面取り形状の曲率を小さくすることを
特徴とする美容装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載の美容装置において、
前記ヘッド部の側面が、ヘッド部の突出方向中間位置でヘッド部内側に向かって凹んだ丸みのある曲面として形成されることを
特徴とする美容装置。
【請求項6】
前記請求項1ないし5のいずれかに記載の美容装置において、
前記ヘッド部が、突出方向先端側に位置する頂面、及び側面を有する凸形状とされ、本体部との間に弾性体を介在させて、少なくとも本体部からの突出方向と平行な向きに所定範囲可動状態で弾性支持されることを
特徴とする美容装置。
【請求項7】
前記請求項1ないし6のいずれかに記載の美容装置において、
前記本体部の使用者による把持部分に配設される導電性材料製の補助電極部と、
前記本体部のヘッド部近傍に配設され、本体部との間に電解質を含む液剤を含浸可能な多孔質被覆体の一部を挟んで、当該多孔質被覆体をヘッド部表面に着脱可能に保持する保持部とを備え、
前記ヘッド部が、導電性を有する材料で形成されて、通電用の電極とされ、
前記制御部が、前記ヘッド部と補助電極部間での前記多孔質被覆体及び使用者を介した通電状態を調整制御して、使用者の皮膚に対し美容に係る所定の通電動作を実行することを
特徴とする美容装置。
【請求項8】
前記請求項1ないし6のいずれかに記載の美容装置において、
前記本体部の使用者による把持部分に配設される導電性材料製の補助電極部と、
前記ヘッド部の側面の外側に着脱可能に取付けられ、ヘッド部側面との間に電解質を含む液剤を含浸可能な多孔質被覆体の一部を挟んで、当該多孔質被覆体をヘッド部表面に着脱可能に保持する保持部とを備え、
前記ヘッド部が、導電性を有する材料で形成されて、通電用の電極とされ、
前記制御部が、前記ヘッド部と補助電極部間での前記多孔質被覆体及び使用者を介した通電状態を調整制御して、使用者の皮膚に対し美容に係る所定の通電動作を実行することを
特徴とする美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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