説明

美肌装置

【課題】装置本体内部で発生させたマイナスイオンをより効率良く肌に付与するとともに、肌に対して有効に働く成分を直接肌に触れさせて、美肌効果をより向上させることが出来る美肌装置を提供する。
【解決手段】装置本体内部でマイナスイオンを発生させるマイナスイオン発生手段25と、発生したマイナスイオンを装置本体の外部へと移動させる送風手段26と、マイナスイオン発生手段25の風下に位置して肌に当接させて転がすローラ13とを設ける美肌装置において、ローラ13はマイナスイオンの肌への浸透効果を高めるものとして、銀により構成し、その表面に白金又はロジウムの層を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイナスイオンの作用により顔や腕等の肌をケアするための美肌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、美肌装置の一つとして、円筒形のローラを肌に押し当てつつ転がすことで、肌の血行を促進し、それにより、肌を滑らかにする等の美肌効果を奏する装置が存在する。また、これに更に、人体に悪影響を及ぼす活性酸素を消去でき、体内の酸化を中和・浄化、リラックス・疲労回復、健康増進・病気予防に有効なマイナスイオンを付加して、美肌効果をより有効に得ることができる美肌装置が、以下の特許文献において開示されている。
【特許文献1】特開2004−148107号公報
【0003】
この美肌装置は図5に示すように、体ケーシング1に着脱自在の頭ケーシング121に、遠赤外線セラミックスで構成されたローラ(以下、これを「美肌ローラ」と言う)113を有し、更に美肌ローラ113の下側(体ケーシング1がある側)及び/又は上側に、マイナスイオンが含まれたイオン風が吹き出るイオン風吹出穴123を有している。
【0004】
この美肌装置においてマイナスイオンを含むイオン風を発生させる仕組みを、図6に示す。美肌装置は、送風手段として、ファン7が取付けられてモーター5の回転により図示左側の頭ケーシング121へ空気を送風するモーターファン部4を備える。この送風手段により、後部開口1aからイオン風吹出穴123に向かって、体ケーシング1内を空気が流れ、その風下には、マイナスイオン発生手段としてのイオン発生器21を備える。
【0005】
この美肌装置はこのような構成により、美肌ローラ113を肌に押し当てつつ転がすことで、マッサージ効果と遠赤外線効果により肌の血行を促進し、それにより、肌を滑らかにする等の美肌効果を奏することができるようになっている。そして更に、美肌ローラ113が通過する又は通過した肌上の領域に、イオン風吹出穴123からマイナスイオンが含まれた風を吹き当てることで、その領域において血流を善くしたり細胞を活性化したりして、より高い美肌効果を奏することができるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
美肌ローラはセラミック製であり、導電性の材料を幾分混入させたとしても全体としての導電性は良好ではないため、装置本体内部で発生したマイナスイオンを肌に届ける役割を果たしていなかった。また、セラミックは遠赤外線を肌に付与するものの、セラミック自身が肌に対して有効に働く成分となるわけではない。
【0007】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、ローラによるマッサージ効果と遠赤外線による肌の血行促進効果に加えて、装置本体内部で発生させたマイナスイオンをより効率良く肌に付与するとともに、肌に対して有効に働く成分を直接肌に触れさせて、マイナスイオンによる美肌効果をより向上させることが出来る美肌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、装置本体内部でマイナスイオンを発生させるマイナスイオン発生手段と、発生したマイナスイオンを装置本体の外部へと移動させる送風手段と、マイナスイオン発生手段の風下に位置して肌に当接させて転がすローラとを設ける美肌装置において、ローラはマイナスイオンの肌への浸透効果を高めるものとして、銀により構成し、その表面に白金又はロジウムの層を設けることを要旨とするものである。
【0009】
請求項1記載の本発明によれば、肌に当接させて転がすローラによりマッサージ効果を得るとともに、そのローラを導電性の最も高い銀で構成し、更にその表面に導電性の高い金属である白金又はロジウムの層を設けるようにしたから、装置本体内部で発生したマイナスイオンはイオン風となって肌に付与されるだけでなく、ローラによっても効率良く運ばれて、より多くのマイナスイオンを効率良く肌に付与することができる。すなわち、マイナスイオン発生手段において発生したマイナスイオンは、送風手段によってその風下に位置するローラに届けられ、銀及び白金で構成するローラに効率良く吸収されて、そのローラを介して肌に効率良く届けられる。
【0010】
マイナスイオンは人体に悪影響を及ぼす活性酸素を消去する効果があると言われているが、白金ナノコロイドは全般的に高い活性酸素消去能を有し、ロジウムナノコロイドは活性酸素の中でも一重項酸素消去能に特に高い効果があると言われている。また、特に白金はマイナスイオン電子の吸収力を高めると言われており、更に高濃度、高活性の白金コロイドが肌の保護、活性化に優れた効果を有するとも言われている。
【0011】
また、コロイド状プラチナ(白金)を含ませた所謂プラチナ繊維(例えば、特許第1539868において開示されている)を使用した各種の実験報告がなされており、これによると所謂プラチナ繊維は波長4〜12μmの電磁波を発生させるとのことであり、遠赤外線を発生するものとして知られている。
【0012】
このように、微細な白金やロジウムの粒子及びこれらの粒子を含む繊維は肌に対して優れた効果を発揮すると言われていることから、白金やロジウムは肌に有効な成分であり、微細化していない白金やロジウムであっても、肌に直接触れさせて更に押圧力を加えながら移動させることにより、肌の保護、活性化や、遠赤外線による肌の血行促進効果など、同様の効果が得られるものと期待できる。
【0013】
請求項2記載の発明は、ローラ表面に、軸方向に沿って溝条を設けることを要旨とするものである。
【0014】
請求項2記載の本発明によれば、溝条によりローラ表面に凹凸ができ、マイナスイオンが凸部に滞留して肌に対して放電し易くなり、マイナスイオンをより有効に肌に付与することができる。また、溝条は軸方向に沿って設けるようにしたから、単にローラ表面に突起を設けるのとは違い肌触りがよく、肌の上で心地よくローラを転がして快適なマッサージ効果を得ることができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、装置本体には、ローラの軸方向と交差する位置に把持部を設け、溝条は、軸方向中央部において把持部の反対方向に湾曲することを要旨とするものである。
【0016】
請求項3記載の本発明によれば、操作者が把持部を持って、特に顔等の肌にローラを当接させて押し上げるように転がした際に、溝条がその凹部で肌を挟持しながら肌を押し上げるとともに、溝条は軸方向中央部において把持部の反対方向に湾曲しているから、その湾曲形状に沿って更に効果的に肌を押し上げ、肌のリフトアップ効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の美肌装置は、装置本体内部で発生させたマイナスイオンをより効率良く肌に付与するとともに、肌に対して有効に働く成分を直接肌に触れさせて、美肌効果をより向上させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の美肌装置の1実施形態を示す全体図、図2はその内部構造の説明図、図3はその要部であるローラ付近の縦断側面図、図4はローラ付近の分解斜視図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の美肌装置も従来と同様に、体ケーシング11に着脱自在の頭ケーシング12に、ローラ13を有し、更にローラ13の下側(体ケーシング11がある側)に、マイナスイオンが含まれたイオン風が吹き出るイオン風吹出穴14を有している。体ケーシング11は筒状であり、操作者はそのほぼ中央部を把持して操作すると操作しやすいことから、その部分が把持部11aとなる。なお、操作者が美肌装置をより把持し易いように、把持部11aを掌の形状にフィットする湾曲形状としても良い。また、操作者が把持部11aを把持した状態で美肌装置を操作しやすいよう、体ケーシング11の前面に電源スイッチなどを配した操作部15を設ける。
【0020】
図2に示すように、美肌装置本体の内部には、イオン針19と基盤20とからなるマイナスイオン発生手段25を備える。また、モーター16と、モーター16により回転するファン17とからなる送風手段26を備える。なお、18はモーター16及び基盤20に電力を供給するための電池であり、22はACアダプターコネクタ、23はイオン針19を含むマイナスイオン発生手段25がローラ13側に移動することを防止するイオン針ガードカバーである。
【0021】
次に、送風手段26とそれに関連する構成について説明する。美肌装置の後端(図中左側)は開口しており、そこに網目状の蓋体2を取付けて空気を導入可能にしている。また、モーター16は美肌装置の後部に設け、モーター16の回転軸にはファン17を取付けて、モーター16の回転により美肌装置の後端から頭部(図中右側)のイオン風吹出穴14に向かって空気を送風するように構成している。
【0022】
次に、マイナスイオン発生手段25について説明する。マイナスイオン発生手段25の基盤20には発振回路と、トランスに接続する共振回路を備えており、電池18からの直流電源電圧を発振回路にて交流波形及び高周波化した後、共振回路で高電圧を得るようにしている。また、マイナスイオン出力端子としてのイオン針19は化学的に安定な金により構成し、ガラス管19aに挿通して保護する。また、ガラス管19a内に、金属製の対向板(不図示)を配置する。
【0023】
イオン針19は、共振回路で得た高電圧をその先端から放出させ、金属製の対向板との間で生じるコロナ放電によって電子を大気中の成分と結合することにより、マイナスイオンを発生するものである。なお、共振回路で得た高電圧のプラス側を予め高圧ダイオードでカットすることにより、イオン針19に印加する電圧をマイナスの高電圧としておく。
【0024】
次に、ローラ13付近の構成について図1及び図4を参照して説明する。頭ケーシング12は、プラスチック等の所定の材料から成っており、肌に接して押し当てられつつ転がされる円筒形のローラ13と、ローラ13の軸孔13aに挿通する回転軸13bとが収まるような形状とする。頭ケーシング12は、ローラ13の外周面の少なくとも一部分が肌に接することができるよう、ローラ13の一部が頭ケーシング12の外へ出るような形状になっている。また、ローラ13はその軸方向が筒状の体ケーシング11と直交するようにして頭ケーシング12に取付ける。すなわち、体ケーシング11の一部である把持部11aの位置は、ローラ13の軸方向と交差する。
【0025】
マイナスイオンが含まれたイオン風が吹き出るイオン風吹出穴14は、頭ケーシング12のローラ13の下側(体ケーシング11がある側)の位置を、ローラ13の軸方向全域に渡って開口させることにより設ける。すなわち、頭ケーシング12の正面側先端は、ローラ13を嵌め込むための領域に加えて、イオン風吹出穴14となる領域も開口させて形成する。なお、イオン風吹出穴14は、ローラ13の上側(体ケーシング11の反対側)に位置するように設けても良い。
【0026】
頭ケーシング12は前後に分離可能な分割構造とし、体ケーシング11から離脱して前後に分離することにより、ローラ13を取り外すことができる。ローラ13を取付ける際には、ローラ13の軸孔13aに回転軸13bを挿入した状態で、頭ケーシング12の先端付近内側に設ける凹状の軸受け12aに回転軸13bの両端を嵌め込み、前後に分離した頭ケーシング12を組み合わせた状態で頭ケーシング12を体ケーシング11に装着する。
【0027】
なお、ローラ13はマイナスイオン発生手段25を挟んで送風手段26の反対側に位置し、送風手段26は美肌装置の後端から頭部のイオン風吹出穴14に向かって空気を送風するものであるから、ローラ13はマイナスイオン発生手段25の風下に位置することとなる。
【0028】
ローラ13は、導電性に優れる金属の中でも、最も導電性の良い銀で構成し、その表面にメッキ法により、白金又はロジウムの層を設ける。なお、白金又はロジウムの層を設ける方法としては、メッキ法以外に、薄い箔を貼り付ける方法や、スパッタリングや蒸着のような物理的成膜法によっても良い。
【0029】
ローラ13の形状は円筒形であり、その表面には、軸方向に沿うよう溝条27を設ける。これにより、図3に示すように、ローラ13の表面に凹凸ができる。なお、この溝条27は軸方向中央部において周方向にカーブを描くように形成する。また、ローラ13内部を中空とすることにより、ローラ13の軽量化を図って美肌装置の操作性を向上させている。
【0030】
次に、動作及び使用方法について説明する。操作者が美肌装置の体ケーシング11を把持した状態で、操作部15を操作して電源を入れると、マイナスイオン発生手段25のイオン針19においてマイナスイオンが発生し、このマイナスイオンが送風手段26によってイオン風となりイオン風吹出穴14より吹き出る。そして操作者がローラ13を肌に押し当てるようにすると、ローラ13に隣接して開口するイオン風吹出穴14も同時に肌の方向を向くこととなり、イオン風が肌に吹付けられる。
【0031】
イオン風に乗ったマイナスイオンはローラ13に届けられ、ローラ13に届いたマイナスイオンは、導電性の良い金属製のローラ13の中を移動する。ローラ13は表面を除いて、金属の中でも最も導電性の良い銀でできているから、マイナスイオンはローラ13内をスムーズに移動することができる。
【0032】
また、ローラ13表面は白金又はロジウムの層となっているが、白金やロジウムも金属であり、導電性の良い物質であるから、マイナスイオンの移動に際して、何ら支障をきたさない。これにより、イオン風とともにローラ13に届くマイナスイオンが、効率良く肌まで届けられる。
【0033】
更に、ローラ13表面は溝条27を設けたことにより、凹凸のある表面となっているから、その凸部にマイナスイオンが集中し、肌に対して放電し易い状態となっており、肌に対して更に効率良くマイナスイオンを届けることができる。
【0034】
次に、操作者がローラ13を肌に押し当てながら美肌装置を移動させると、ローラ13は回転軸13bを中心に回転しながら、肌上を移動する。特に、操作者が把持部11aを持って、顔等の肌にローラ13を当接させて押し上げるように転がすと、押圧力により肌が溝条27の凹部にはまって、溝条27により肌を挟持しながら肌を押し上げる。更に、溝条27は軸方向中央部において把持部11aの反対方向に湾曲しているから、その湾曲形状に沿って更に効果的に肌を押し上げ、肌のリフトアップ効果が得られる。
【0035】
なお、装置内部の機構としては、マイナスイオン発生手段と、これにより発生するマイナスイオンをイオン風として送り出す送風手段のみを設けたが、この他にも、ヒーターやオゾン発生手段を設けることにより、温風やオゾンを含む風を肌に吹付けるようにしても良い。また、ローラ13に振動を加える機構を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の美肌装置の1実施形態を示す全体図である。
【図2】本発明の美肌装置の1実施形態の内部構造を示す斜視図である。
【図3】ローラ付近の分解斜視図である。
【図4】ローラの縦断側面図である。
【図5】従来の美肌装置の1例を示す図である。
【図6】従来の美肌装置の1例の内部を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 体ケーシング 1a 後部開口
2 蓋体 4 モーターファン部
5 モーター 7 ファン
11 体ケーシング 11a 把持部
12 頭ケーシング 12a 軸受け
13 ローラ 13a 軸孔
13b 回転軸 14 イオン風吹出穴
15 操作部 16 モーター
17 ファン 18 電池
19 イオン針 19a ガラス管
20 基盤 21 イオン発生器
22 ACアダプターコネクタ 23 イオン針ガードカバー
25 マイナスイオン発生手段 26 送風手段
27 溝条 113 美肌ローラ
121 頭ケーシング 123 イオン風吹出穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内部でマイナスイオンを発生させるマイナスイオン発生手段と、発生したマイナスイオンを装置本体の外部へと移動させる送風手段と、マイナスイオン発生手段の風下に位置して肌に当接させて転がすローラとを設ける美肌装置において、ローラはマイナスイオンの肌への浸透効果を高めるものとして、銀により構成し、その表面に白金又はロジウムの層を設けることを特徴とする美肌装置。
【請求項2】
ローラ表面に、軸方向に沿って溝条を設ける請求項1記載の美肌装置。
【請求項3】
装置本体には、ローラの軸方向と交差する位置に把持部を設け、溝条は、軸方向中央部において把持部の反対方向に湾曲する請求項2記載の美肌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−149616(P2006−149616A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343958(P2004−343958)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(595175253)株式会社ティアラ (2)
【Fターム(参考)】