説明

美肌装置

【課題】レーザ光によるトリートメント効果と電波によるトリートメント効果を相乗させ、より効果的な美肌トリートメントができる美肌装置を提供する。
【解決手段】先端面(311)を肌に接触すべきプローブ(30)を本体ボックス(10)にコード(20)を介して接続する。プローブは断面楕円形に形成しレーザ光源(35)を内蔵する。プローブ(30)の先端面(311)の開口(312)は、プローブ(30)の断面の長径方向に細長いスリット状に形成し、この開口(312)とレーザ光源(35)の間に断面長方形の光透過体を設置して、開口(312)に近い光透過体(36)の先端よりレーザ光を照射する。さらに、先端面(311)にはアンテナ電極(33)を取り付け、本体ボックス(10)に内蔵する電波出力回路をこのアンテナ電極(33)に接続して、アンテナ電極(33)から電波を放射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光などの電磁波を皮膚に照射することにより美肌トリートメントを行う美肌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弱いレーザ光を人体に照射することにより、照射部の血行を促進して新陳代謝を活発にすると共に、皮脂の分泌を促して皮膚の乾燥などを原因とする肌荒れを防ぐことができる美肌装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
一方、人体を2枚の電極で挟み電波を発生させて電気的に刺激することにより加温し、新陳代謝を促進したり疲労回復を促進したりする超短波治療装置が知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−135484号公報
【特許文献2】特開2002−165892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ光によるトリートメント効果と電波によるトリートメント効果を相乗させることで、より効果的なトリートメントが期待できるが、従来の超短波治療装置は大掛かりなものであり、また、照射部位の温度が数度上がるなどの強い効果があるため、取扱いが難しい。
そこで本発明は、弱い電波を発生して、レーザ光によるトリートメント効果と電波によるトリートメント効果を相乗させ、より効果的な美肌トリートメントができる美肌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1記載のごとく、先端面を皮膚に接触すべきプローブを本体ボックスにコードを介して接続し、プローブにはレーザ光源を内蔵してプローブの先端面の開口からレーザ光を照射すると共に、前記プローブの先端面にアンテナ電極を取り付け、本体ボックスに内蔵の電波出力回路をこのアンテナ電極に接続して、アンテナ電極から電波を放射してなる美肌装置を提供する。
【0006】
請求項2記載のごとく、前記プローブ先端面の開口とレーザ光源の間に断面長方形の光透過体を設置し、開口に近い光透過体の先端よりレーザ光を照射した。
【0007】
請求項3記載のごとく、前記プローブの形状を断面楕円形に形成すると共に、前記開口の形状をプローブの断面の長径方向に細長いスリットに形成し、前記光透過体の先端をその長辺が前記スリットの長さ方向と平行に設置した。
【0008】
請求項4記載のごとく、前記アンテナ電極から放射される電波を3MHz乃至30MHzとした。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のごとく、プローブにレーザ光源を内蔵して先端面に形成した開口からレーザ光を照射すると共に、先端面にアンテナ電極を取り付け、本体ボックスに内蔵する電波出力回路をアンテナ電極に接続して電波を放射することにより、このプローブからレーザ光及び電波を照射し、レーザ光による温熱効果と電波による誘電加熱効果とを相乗させて皮膚の表面及び皮膚から一定の深さ領域を温め、皮膚の血行を促進して新陳代謝を活発にして、より効果的な美肌トリートメントが行える。
【0010】
請求項2記載のごとく、断面長方形の光透過体の開口側先端よりレーザ光を照射することにより、一定の長さを持った線状のレーザ光を皮膚の広い範囲に照射することができるため、ムラ無く均一に皮膚にレーザ光を照射して効果的な美肌トリートメントを行える。
【0011】
請求項3記載のごとく、前記プローブを断面楕円形に形成すると共に、先端面の開口をプローブ断面の長径方向に長いスリットに形成し、さらに光透過体の先端をスリットの長さ方向と平行に設置したことにより、扁平に形成したプローブが持ちやすく、また線状のレーザ光を線の長さ方向と直行する方向に動かしやすくなるため美肌トリートメントの作業が行いやすく、ムラ無く均一にレーザ光を照射しやすい。
【0012】
請求項4記載のごとく、アンテナ電極から放射される電波を3MHz乃至30MHzとしたことにより、皮膚表面から適度な深さにおいて適切な熱量により局所的な温熱作用を生じさせて効果的な美肌効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る美肌装置1の実施の形態について図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本発明に係る美肌装置1の実施形態を示す斜視図である。
【0014】
本実施形態の美肌装置1は、不図示のバッテリ電源を内蔵する本体ボックス10の側部背面側からコード20を延出し、このコード20の先端にプローブ30を接続してなる。
【0015】
本体ボックス10は方形の平たい箱型で、その内部にはバッテリ電源の他に、このレーザ光の出力などを制御する制御回路(図示せず)と、一定時間で電源をオフするタイマー(図示せず)と、電波出力回路(図示せず)とを設ける。本体ボックス10の上面には、美肌装置1の動作を設定する操作部11と、美肌装置1の作動状態を表示する表示部12と、プローブ30を収納するプローブ収納部13とを形成する。
また、本体ボックス10には蓋14を取り付けて、この蓋14により上面を覆う。蓋14にはミラー140を取り付け、また、貫通穴141を形成する。
【0016】
操作部11は、バッテリ電源をオン・オフする電源ボタン110と、レーザ光の出力モードを設定するモードボタン111、112と、電波出力回路からの出力をオン・オフする電波出力ボタン113とを本体ボックス10の上面に配置してなる。
【0017】
表示部12は、美肌装置1の作動状態を表示するLCD120と、バッテリ電源の充電状態を示すLEDランプ121により構成する。
LCD120には、例えば図2に示すように、電源をオンしてからの起動時間などを表示する時間表示部122、レーザ光の出力モードを表示するモード表示部123と出力レベルを表示するレベルメータ124及び電波出力回路のオン・オフを表示する電波表示部125からなる。このLCD120は、バッテリ電源をオンにすると作動し始める。
また、LEDランプ121は、蓋14により本体ボックス10の上面を覆ったときに貫通穴141がくる位置に配置し、蓋14をした状態でLEDランプ121の点滅状態が分かるようにする。このLEDランプ121は、美肌装置1を充電しているときに点灯又は点滅する。
【0018】
プローブ収納部13は、本体ボックス10の上面にプローブ30が収まる大きさの凹み部130とプローブ30とコード20との接続部21を保持する狭腹の挟持部131とを形成してなり、挟持部130によりプローブ30を凹み部130に固定し、さらに蓋14により上面を覆うことでプローブ30を収納部13に保持する。また、本体ボックス10の側面に沿って収納溝15を形成しておく。プローブ30を収納部13に納める際には、コード20を本体ボックス10の側面に巻回してこの収納溝15に収納する。
【0019】
次にプローブについて説明する。図3は、本発明に係る美肌装置のプローブを示す斜視図である。
プローブ30のハウジング31は断面楕円形の扁平な細長いペン型に形成され、コード20を接続した後端から先端にかけて径を徐々に大きくし、中央よりやや先端側で最大径となり、さらにそこから先端にかけて径を小さく構成する。また、ハウジング31の先端部は光透過性の材質からなるヘッドカバー310により形成する。ヘッドカバー310の先端面311には、楕円形の断面の長径方向に細長いスリット状の開口312を形成する。また、先端面311にはアンテナ電極33と一対のタッチセンサ電極34、34を取り付け、ハウジング31の径が最大となる辺りで、曲率半径の大きい面側に出力ボタン32を設ける。
【0020】
図4は、プローブの断面図である。
ハウジング31の先端面311には、アンテナ電極33及びタッチセンサ電極34が先端面311よりも突出して取り付けられている。アンテナ電極33は、コード20を介して本体ボックス10に内蔵された電波出力回路に接続する。この電波出力回路から電流を供給してアンテナ電極33から電波を放射する。
【0021】
電波は、その周波数によりエネルギーや人体への透過度が変わり、電波の周波数が100MHzよりも高いと、エネルギーが高くなるため局所的な発熱量が大きくなりすぎるおそれがある一方、1MHzよりも周波数が低いと、充分な発熱量が得られず効果的な美肌トリートメントが行えない。そのため、アンテナ電極33より放射される電波の周波数は1MHz乃至100MHzとするとよく、3MHz乃至30MHzとするのが好ましい。このとき、電波は皮膚の表面から深さ1mm乃至3mm程度の領域で吸収されて温熱作用を生じるため効果的に美肌トリートメントが行える。
【0022】
また、ハウジング31の内部には、レーザ光源35と断面長方形の光透過体36を取り付け、半導体レーザ素子35の発光面に光透過体36の一端を結合する。光透過体36の開口312側の先端は、その長辺がスリット状の開口312の長さ方向と平行になるように設置して、この開口312より皮膚に線状のレーザ光を照射可能に構成する。光透過体36は、破損しないようにその周囲を補強体37で囲み、出射端を補強体37から露出させる。補強体37には通孔370を形成し、これに接着剤を注入して光透過体36を固定する。
また、ヘッドカバー310の付近にはLEDランプ38を取り付けておき、レーザ光を照射したときや電波を放射したときには光透過性のヘッドカバー310越しにLEDランプ38を点灯させ、レーザ光が出力されていることを知らせて注意を促す。
【0023】
次に、美肌装置1の使用方法と動作について説明する。
まず、電源ボタン110を押して電源をオンすると、LCD120が点いて、起動時間やレーザ光の出力モードなどが表示される。このとき、レーザ光の出力モードはレーザ光が出力されないモード0の状態で、電波出力回路もオフの状態で起動し、プローブ30の出力ボタン32を押してもレーザ光は照射されず、また、アンテナ電極から電波も放射されない。
【0024】
次に、モードボタン111、112により、レーザ光の出力モードを決定する。本実施形態においてレーザ光の出力モードはモード1乃至モード3の3段階に調整することができる。
出力モードを決定したら、プローブ30の先端面311のタッチセンサ電極34、34を皮膚に当てて出力ボタン32を押すと、レーザ光が照射される。レーザ光が出力されている間は、LEDランプ38が点灯する。レーザ光は、光透過体36によりその光束が線状に広がり、適切な強度のレーザ光を広範囲に当てることができる。
【0025】
また、出力ボタン32を押しているあいだレーザ光は間欠照射され、3秒続けて出力された後、2秒間出力を停止するという周期を繰り返す。このとき、レーザ光の出力レベルは、制御回路により、各出力モードにおいてそれぞれ決められたパターンで変調される。本実施形態において、レーザ光の出力レベルはL1からL8までの8段階に可変で、数字が大きい方が強度の強いレーザ光が照射される。
【0026】
出力レベルの変調パターンは、具体的には、モード1においては、L1、L2、L3、L2、L1、L2、L3、L4、L3、L2、L1、L2、L3、L2、L1、のように比較的弱いレーザ強度の範囲において0.2秒間隔で周期的に変化させて三回のピークをとることにより、皮膚の浅い領域から中程度の領域までの範囲に均一に温熱作用を生じさせることができる。
【0027】
また、モード2においては、L2、L3、L4、L5、L6、L5、L4、L3、L4、L5、L6、L5、L4、L3、L2のように変化し、モード3においては、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L7、L6、L7、L8、L7、L6、L5、L4、L3のように変化し、比較的強いレーザ強度の範囲で周期的に変化して二回のピークをとる。
これにより、シミやそばかすなどが生じて重点的にトリートメントを行いたい部位において皮膚表面から深い領域に温熱作用を生じさせることができるとともに、局所的な発熱量が大きくなりすぎることを防ぐ。
【0028】
レーザ光を照射すると、LCD120のレベルメータ124がレーザ光の出力レベルに応じて変化する。図2は、レーザ光の出力レベルがL2の状態を示しており、レベルメータ124は下から2段目まで黒く表示されている。
レーザ光を照射しているとき、このレベルメータ124はレーザ光の出力レベルの変調に応じて黒く表示される部分が上下にリズミカルに動くため、レーザ強度の変化を視認できると共に、トリートメントをしながら表示の変化を視覚的に楽しむことができて飽きることがない。
【0029】
一方、電源ボタン110により電源をオンして出力モードを決定するとタイマーが始動し、一定時間(例えば10分)が経過するとタイマーにより自動的に電源をオフする。このとき、LCD120の時間表示部122には、タイマーにより電源がオフになるまでの残り時間が表示される。図2は、残り時間が10分であることを示している。これにより、長時間にわたるトリートメントにより加熱しすぎることを防止し、安全性を向上することができる。
また、電源をオンしてから2分間、操作部11からの入力がない場合にも自動的に電源をオフする省電力の構成とする。
【0030】
操作部11の電波出力ボタン112を押して、電波出力回路をオンすると、LCD120の電波表示部125に電波を出力する旨のRFの文字が表示され、この文字が表示された状態でプローブ30のタッチセンサ電極34を皮膚に当てて出力ボタン32を押すと、電波出力回路から電流が供給され、アンテナ電極33から電波が照射されて、誘電加熱効果により皮膚の美肌トリートメントが行える。アンテナ電極33から電波が放射されているときはLEDランプ38が点灯する。
【0031】
上記のごとく構成した美肌装置1は、レーザ光による温熱効果と電波による誘電加熱効果とにより、それぞれ異なる領域を温めることができるため、効率的に皮膚の血行を促進して新陳代謝を活発にし、効果的な美肌トリートメントをすることができる。
【0032】
レーザ光は、その出力レベルを変調させることにより温熱作用による皮膚の熱分布を深さ方向に大きく広がり、局所的に過熱するのを防ぐことができると共に、出力モードを変更して出力レベルの変調周期や変調するレーザ光の平均強度を変化させることにより温熱作用を与える深さを選択して、所望のトリートメント効果を効率的に得ることができる。
【0033】
また、電波は、その誘電加熱作用により広い範囲において所定の深さ領域を温めることができ、レーザ光による温熱作用との併用によって、より効率的で効果的なトリートメントを行うことができる。
【0034】
さらに、レーザ光を間欠照射し、一定時間経過によりタイマーオフすることにより過度なトリートメントを防止し、皮膚を加熱しすぎることがない。
【0035】
また、プローブは、扁平な細長形状のペン型に形成しているため持ちやすく取扱性に優れるうえに、細長いために小鼻のまわりなどの部位もトリートメントしやすく、線状に広がったレーザ光と、広範囲に放射される電波とによりムラ無く美肌トリートメントが行える。
さらに、ハウジングの曲率半径の大きい面に出力ボタン32を形成しているため、この出力ボタン32を親指で押すと、腕を軸に手首を回すことにより線状のレーザ光をその長さ方向と直角方向に移動させることができ、効率的にムラ無く美肌トリートメントを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る美肌装置の実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】美肌装置の表示部を示す平面図である。
【図3】美肌装置のプローブの実施形態を示す斜視図である。
【図4】美肌装置のプローブの断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 美肌装置
10 本体ボックス
11 操作部
110 電源ボタン
111 モードボタン
112 モードボタン
113 電波出力ボタン
12 表示部
121 LEDランプ
122 時間表示部
123 モード表示部
124 レベルメータ
125 電波表示部
13 収納部
130 凹み部
131 挟持部
14 蓋
140 ミラー
141 LEDランプ
15 収納溝
20 コード
21 接続部
30 プローブ
31 ハウジング
310 ヘッドカバー
311 先端面
312 開口
32 出力ボタン
33 アンテナ電極
34 タッチセンサ電極
35 半導体レーザ素子
36 光透過体
37 補強体
370 通孔
38 LEDランプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端面を皮膚に接触すべきプローブを本体ボックスにコードを介して接続し、プローブにはレーザ光源を内蔵してプローブの先端面の開口からレーザ光を照射すると共に、前記プローブの先端面にアンテナ電極を取り付け、本体ボックスに内蔵の電波出力回路をこのアンテナ電極に接続して、アンテナ電極から電波を放射してなる美肌装置。
【請求項2】
前記アンテナ電極から放射される電波が3MHz乃至30MHzであることを特徴とする請求項1記載の美肌装置。
【請求項3】
前記プローブ先端面の開口とレーザ光源の間に断面長方形の光透過体を設置し、開口に近い光透過体の先端よりレーザ光を照射してなる請求項1記載の美肌装置。
【請求項4】
前記プローブの形状を断面楕円形に形成すると共に、前記開口の形状をプローブの断面の長径方向に細長いスリットに形成し、前記光透過体の先端をその長辺が前記スリットの長さ方向と平行に設置してなる請求項3記載の美肌装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−36001(P2008−36001A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212037(P2006−212037)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000114628)ヤーマン株式会社 (31)
【Fターム(参考)】