義歯接着剤物品パッケージング
義歯接着剤物品を封入し且つ保持する一次パッケージング材料を含み、また義歯接着剤物品がライナー等から選択されることができる当該一次パッケージング材料に粘着することを減少させるための手段を更に含み、デリバリーシステムの成分の1つ以上を非粘着性コーティングにてコーティングすること及び/又は義歯接着剤デリバリーシステムの成分間の接触領域を最小化するこを含む、義歯接着剤デリバリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義歯接着剤物品、及びそのような義歯接着剤物品のためのパッケージ材料に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の可撤性義歯、義歯床などは、好適なプレート又は土台に取り付けられた歯を含む。義歯は、もともと個々のユーザーに合わせてあるが、時間とともに適合性が変化し、ずれ又は不快感をもたらすことがある。義歯を口腔表面、特に口腔粘膜に一時的に接着させるために、義歯接着剤が使用される。義歯を口腔内に置く場合、義歯接着剤は、一日の始まりに義歯又は口腔面のどちらか一方に局所的に適用され、接着剤は唾液及びの噛む作用の故に、一日の時間経過と共に生体内分解する傾向がある。
【0003】
改良された義歯接着剤製品を開発するため、長年にわたって相当な努力がなされてきた。保持の改善及び歯板の下からの接着剤の漏出を減少させようと、また使用後の散乱並びに口部及び義歯からの残留接着剤の除去困難性と避ける目的で、合成及び天然のポリマー類及びゴム類の両方が、単独で、及び各種接着剤と他の物質との組み合わせで使用されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
義歯接着剤における最近の進展としては、細長い一片として提供される義歯接着剤、又は個別包装された義歯接着剤物品が挙げられる。これらの組成物は、クリーム状義歯接着剤が適正量へ予め計量されて、特定レベルの接着性を提供するように、且つ/又はそれらが消費者に使用される際に取り散らかしたりすることが最小限になるように、それらに付加的利益を提供する。しかし、これらの義歯接着剤製品の組成物の故に、特に高温及び高圧に晒された際に物品はパッケージング材料に張り付き、且つ特に消費者の器用さに限界がある場合にパッケージングから取り外すことが困難となる。従って、義歯接着剤物品を容易に取り外すこと及び消費者が使用できるようにし且つ十分に組成物を保持し、且つ消費者に利益がある所望の製品を送達できるように義歯接着剤物品を保護するパッケージングを含む義歯接着剤システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、義歯接着剤物品と、前記義歯接着剤物品を封入し且つ保持する一次パッケージと、ライナー及びコーティングから成る群から選択される前記一次パッケージ表面への前記義歯接着剤物品表面の粘着を減少させること、前記義歯接着剤物品表面と前記一次パッケージ表面との間の接触領域を最小化すること、及びこれらの任意の組み合わせのための非粘着性手段とを含む、義歯接着剤物品デリバリーシステムに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
定義
本明細書で使用する時、用語「義歯」及び/又は「義歯補綴」とは、上側若しくは下側の義歯のどちらか一方、又はその両方のことを言う。
【0007】
本明細書で使用する時、用語「義歯接着剤物品」及び/又は「物品」とは、歯ぐき又は口蓋と同様に、義歯などの起伏のある表面に装着し、適合させ、且つ接着するように作成された物品のことを言う。本明細書の物品は、使用前に実質的に固体であり、且つ実質的に1つのものとして手で持ち上げ、義歯上に配置させることができる。
【0008】
本明細書で使用する時、用語「義歯接着剤デリバリーシステム」とは、義歯接着剤物品、一次パッケージ、及び義歯接着剤デリバリーシステムの成分が当該システムの他の成分に粘着且つ/又は付着するのを減少させるための手段の組み合わせのことを言う。
【0009】
本明細書で使用する時、用語「義歯接着剤物品」とは、歯ぐき又は口蓋と同様に、義歯などの起伏のある表面に装着し、適合させ、且つ接着するように作成された物品のことを言う。
【0010】
本明細書で使用する時、言い回し「一次パッケージ」とは、前記義歯接着剤物品を封入且つ/又は保持し、且つそれと接触する場合がある第1のパッケージング材料を指すことを意図している。
【0011】
本明細書で使用する時、用語「可撓性の」又は「可撓性物品」とは、目視観測による割れ無しで、0.67mm厚の一片の物品が1cmの直径の固体筒体の周りに180度巻きつけられることを言う。
【0012】
本明細書で使用する時、用語「安全且つ効果的な接着剤量」とは、消費者に毒性を与えたり、口腔組織に損傷を与えたりすることなく、口腔に付着力を提供する且つ/又は口腔への義歯の付着力を提供するのに十分な量を言う。
【0013】
本明細書で使用する時、「安全且つ有効な量」とは、健全な医学/歯学的判断の範囲内で、治療すべき状態を著しく(よい方向に)改変するのに、又はよい結果(benefit sought)を改善するのに十分であるが、重篤な副作用を回避できるほど低い(妥当な利益/危険比で)、薬剤の量を意味する。薬剤の安全且つ有効な量は、治療される特別な症状、治療される患者の年齢及び身体状態、症状の重さ、治療期間、併用療法の性質、使用する物質の特定の形態、並びに作用剤を適用する特別な溶媒によって変化してもよい。
【0014】
本明細書で使用する時、用語「AVE/MA」とは、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸コポリマーのことを言う。本明細書で使用する時、用語「混合ポリマー塩類」又は「混合塩類」とは、少なくとも2種類の異なったカチオン類が、同一のポリマー上で互いに混ぜ合わされているか、又はその他の塩類と一緒に混ぜ合わされた、AVE/MAの塩類のことを言う。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「遊離酸」又は「FA」成分とは、AVE/MAコポリマーの未反応のカルボキシル基(−COOH)又は当該ポリマーのカルボキシル基の任意のその他の一価のカチオン類(例えば、COONa)のいずれかを意味する。一価のカチオン類としては、IA族カチオン類、例えばナトリウム、カリウム、水素、等が挙げられる。一実施形態では、用語「遊離酸」とは、AVE/MAの未反応のカルボキシル基(−COOH)にナトリウム及びカリウムカチオン類を加えたもののことを言う。別の実施形態では、用語「遊離酸」とは、AVE/MAの未反応のカルボキシル基(−COOH)のことのみを言う。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「毒物学的に許容されうる」は、毒性特性が、ヒト及び/又は動物に投与するために適している物質を記載するために使用される。
【0017】
本発明で使用する場合、「非水性」とは、物品が付加水を含有しないが、製造業者によって商業的に供給されるような別の成分内に包含される水を含有してもよいことを意味する。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「非水溶性」とは、過剰な水に晒した際に、溶解しないが、様々な程度に分散する物質のことを言う。幾つかの実施形態では、用語「非水溶性」とは、約10%、5%、2%、又は1%未満で水に可溶性の物質のことを言う。
【0019】
本明細書で使用する時、用語「熱可塑性」とは、熱に晒した際に、溶融し、軟化し、且つより可撓性、押し出し可能、変形可能、形成可能、鋳造可能、流動性、加工可能になり、且つ/又はレオロジーが変化する物質のことを言う。一実施形態では、引き続いて冷却した際に、前記物質は一般に、固化し、硬化し、且つ/又は実質的にその原状に戻る。
【0020】
本明細書で使用する時、用語「生体内分解性」とは、物品が過剰な水又は唾液に晒された際に、物理作用且つ/又は化学作用によって時間とともに腐食することを意味する。物品を腐食させるために必要な時間は、瞬時から5日間までの任意の長さの時間であり得、一実施形態では、腐食させるための時間は、約1〜約3日間である。前記物品は、完全に又はほぼ完全に腐食してよいが、最終的には前記物品はその原形及び/又は完全性を喪失する。例えば、口腔内での少なくとも約24時間の適用及び使用後には、前記物品は義歯又は口腔面からその原形で容易に分離又は剥離するだけの十分な製品の完全性を有さない。一実施形態では、前記物品を口腔内にて約24時間使用した後、前記物品は生体内分解して、該物品のいかなる部分も義歯又は口部には残存しない。別の実施形態では、義歯を口腔から除去後、前記物品のいくらかの部分又はその残渣が、義歯又は口腔面上に残存する。しかし、前記物品のかかる部分又はその残渣は歯ブラシで磨くことで洗浄することができる。ただ、義歯から容易には分離されない。
【0021】
アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸コポリマー類のカチオン性塩機能を説明するために本発明で使用する百分率は、ポリマー上で反応した全初期カルボキシル基の化学量論的百分率として定義される。
【0022】
本明細書で使用される他の全ての百分率は、他に指示がない限り物品の重量に対してである。
【0023】
本明細書において参照される全ての測定は、特に指示がない限り25℃にて行われる。
【0024】
他に指示がない限り、本明細書において参照される成分の全ての百分率、比率、及び濃度は、成分の実量に基づいており、且つ溶媒、充填剤、又は市販の製品として前記成分がそれらと一体化される他の物質を含まない。
【0025】
本明細書で述べる全ての出版物、特許出願、及び交付済み特許は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。いかなる参照文献の引用も、特許請求した発明の従来技術としての有用性についての限定に関する容認ではない。
【0026】
この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献におけるその用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する範囲については、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先するものとする。
【0027】
義歯接着剤物品
本発明は、歯ぐき又は口蓋と同様に、義歯などの起伏のある表面に装着し、適合させ、且つ接着するように作成された義歯接着剤物品(例えば、成形された)に関する。
【0028】
一実施形態では、本明細書の物品は、物品の義歯への適用中における早すぎる粘着の問題を最小化するか又は回避する。即ち、幾つかの従来技術の義歯接着剤物品を用いた場合、物品が義歯の標的表面上に適切に配置される前に、物品が義歯と誤って接触し、早すぎる粘着が義歯の1箇所以上で生じ得る。これにより、物品の適切な位置決めが阻害されることがある。早すぎる粘着はさらに、義歯上での最終位置決め前に物品の汚染又は分解を引き起こしうる。
【0029】
一実施形態では、本明細書で使用する時、用語「乾燥接着性」とは、本物品が消費者によって適用された圧力によって活性化されるまでは、乾燥状態にて、極めて小さな接着性若しくはくっつき合う性質を示すか且つ/又はそれを全く示さないことを意味する。一実施形態では、この特徴により、早まってそれ自体にくっつく又は接着する困難に遭遇することなしに、また、剥離シート、ライナー、スペーサ等を必要とせずに、現物品を任意の所望の方式で貯蔵及び分配できるようになる。同時に、一実施形態では、所望の場所で且つ所望の時間で圧力が加えられた場合、物品は乾燥状態で、義歯表面を含むほとんどのプラスチック表面に結合を形成するのに十分な接着性を示すことができ、この結合は結合が外れることなく、義歯の取り扱いを続けるのに十分な強度がある。従って、一実施形態では、本明細書の物品は、乾燥状態において、それに圧力が加えられた場合にのみ目標義歯表面へ接着し、それによって義歯表面上での位置決め中における不注意な付着という本問題を最小化又は回避する。次に、一実施形態では、本明細書の物品は義歯への適用前に湿らせたり又は濡らしたりせず、従って物品の義歯への単純且つ容易な適用方法を提供する。
【0030】
一実施形態では、本明細書で使用する時、用語「乾燥接着性」とは、物品が消費者の手で温められた後、例えば物品を義歯表面へ適用する途中で本物品が消費者によって適用された圧力によって活性化されるまでは、極めて小さな接着性若しくはくっつき合う性質を示すか、且つ/又はそれを全く示さないことを意味する。
【0031】
別の実施形態では、本明細書の物品は、義歯への適用前に触れても非粘着性である。
【0032】
別の実施形態では、本明細書で使用する時、用語「乾燥粘着性」とは、乾燥且つ濡れていない状態の本明細書の物品は、乾燥したプラスチック、ポリメチルメタクリレート、及び/又は他の義歯補綴(prothesis)基材などへ、当該物品に圧力を加えることにより表面接着させることによって直ちに結合することが可能であることを意味する。一実施形態では、乾燥物品は、指圧の適用による乾燥義歯補綴基材への表面接着によって結合することができ、この場合当該物品はその自重下で結合したままとなり、本発明の物品は、物品を基材へ適用するために指圧を使用することなしには、その自重下で本乾燥基材へ結合したまま留まることはない。一実施形態では、力及び圧力は1本以上の指によって生み出してよい。一実施形態では、この力又は指圧は、1〜10秒間以上適用してよい。別の実施形態では、基材への物品の結合は約10秒〜約3分以上維持され、別の実施形態では、約30秒〜約1分以上維持される。
【0033】
一実施形態では、前記物品の乾燥粘着性は、約0.0002、0.0009、0.009、0.09、0.9、9.8N/cm2(0.025、0.1、1、10、100、1000グラム重量/平方センチメートル)〜約0.09、0.9、9.8、98.1、490.3、980.7N/cm2(10、100、1000、10,000、50,000、100,000グラム重量/平方センチメートル)及びこれらの任意の組み合わせである。
【0034】
一実施形態では、再配置可能な物品の乾燥粘着性は、約0.0002N/cm2(0.025グラム重量/平方センチメートル)〜約0.003N/cm2(0.30グラム重量/平方センチメートル)であり、且つ別の実施形態では、約0.0002N/cm2(0.025グラム重量/平方センチメートル)〜約0.002N/cm2(0.25グラム重量/平方センチメートル)である。
【0035】
任意の粘着性接着剤の室温弾性率は、1Hzの周波数で測定した場合、0.3MPa(3×106ダイン/cm2)未満であると報告されている。この発見は、粘着性判定基準であり、「ダルキスト(Dahlquist)の粘着性判定基準」(『接着性及び接着剤技術(Adhesion and Adhesives Technology)』(アルフォンサス・ポシウス(Alphonsus Pocius)著、第2版、2002年、カール・ハンスラー刊(ミュンヘン))と呼ばれてきた。
【0036】
本発明の一実施形態では、前記物品は「ダルキスト(Dahlquist)の粘着判定基準」である、約0.3MPa(3×106ダイン/cm2)より大きい弾性率を有する。別の実施形態では、前記物品はせん断貯蔵弾性率G’(MPa(ダイン/cm2)にて、約1Hzの周波数、約25℃で測定される)〜約0.5(5×106)超を有し、別の実施形態では、約1(1×107)超であり、別の実施形態では、約5(5×107)超であり、及び別の実施形態では、約8(8107)超である。
【0037】
一実施形態では、前記物品はせん断貯蔵弾性率G’(MPa(ダイン/cm2)にて、約1Hzの周波数、約25℃で測定される)〜約0.1、0.3、0.5、1、5、及び8(1×106、3×106、5×106、1×107、5×107、及び8×107)〜約50、5、10、500、100、及び1000(5×108、5×107、1×108)、5×109)、1×109、及び1×1010)並びに/又はこれらの任意の組み合わせを有する。
【0038】
一実施形態では、前記物品は約10g/cm未満の曲げ剛性を有し、別の実施形態では、約5g/cm未満であり、別の実施形態では、約3g/cm未満であり、別の実施形態では、約2g/cm未満であり、及び更に他の実施例では、約0.1、0.5、1〜約2、3、5、10g/cm(任意の組み合わせ)であり、曲げ剛性は、ハンドルオーメーター(Handle-O-Meter)、型式211−300号(トゥイング・アルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Company)(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手可能)を用いて、ASTM・D2923−95の試験方法に従って測定した。
【0039】
一実施形態では、本明細書の物品は約0.11MPa(1,100g/cm2)〜約1.18MPa(12,000グラム/平方センチメートル)の正規化離脱力(normalized dislodgement force)を有し、別の実施形態では、約0.13MPa(1,300g/cm2)〜約0.98MPa(10,000グラム/平方センチメートル)を有し、別の実施形態では、約0.12MPa(1,200g/cm2)〜約0.49MPa(5,000グラム/平方センチメートル)を有し、別の実施形態では、約0.14MPa(1,400g/cm2)〜約0.49MPa(5,000グラム/平方センチメートル)を有し、別の実施形態では、約0.13MPa(1,300g/cm2)〜約0.25MPa(2,500グラム/平方センチメートル)を有し、別の実施形態では、約0.17MPa(1,750g/cm2)〜約0.25MPa(2,500グラム/平方センチメートル)を有する。別の実施形態では、前記正規化離脱力(normalized dislodgement force)は、約0.11MPa(1,100g/cm2)、約0.12MPa(1,200g/cm2)、約0.13MPa(1,300g/cm2)、約0.14MPa(1,400g/cm2)、約0.15MPa(1,500g/cm2)、約0.17MPa(1,750g/cm2)〜約1.18MPa(12,000g/cm2)、約0.98MPa(10,000g/cm2)、約0.74MPa(7,500g/cm2)、約0.49MPa(5,000g/cm2)、約0.25MPa(2,500g/cm2)、約0.22MPa(2,250g/cm2)、及び/又はこれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、前記離脱力比(dislodgement force ratio)は、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0〜約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、3、4、5、6、8、10、及び/又はこれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、前記離脱力比(dislodgement force ratio)は、約1.1〜約10、約1.1〜約8、約1.3〜約4、及び/又は約1.3〜約2.5である。
【0040】
一実施形態では、本明細書の物品は、使用前に実質的に固体であり、且つ実質的に1つのものとして手で持ち上げ、義歯上に配置させることができる。更に、一実施形態では、前記物品は手で持ち上げ、且つ義歯上に配置させて、指の上にはほどんど又は全く残渣が残らないようにすることができる。別の実施形態では、前記物品は単一層より成る。更に他の実施形態では、前記物品は、ラミネート及び/又は複合材料である。一実施形態では、前記物品は予め形作られ及び/又は予め形成されている。別の実施形態では、本明細書の物品は1回容量のパッケージ、複数回容量のパッケージ、ポンプ、袋、注射器、又はチューブを使って消費者により分配、及び形作られてよい。また、更に他の実施例では、前記物品は消費者によってその手に残渣を実質的に残すことなく形作られてよい。
【0041】
一実施形態では、前記義歯接着剤物品は十分に流動性であるために、それをチューブから適用することができ、続いて持ち上げて義歯上に配置することができる。一実施形態では、前記義歯接着剤物品は十分に流動性であるために、指には残渣がほとんど/全く残らないようにそれをチューブから適用することができ、続いて持ち上げて義歯上に配置することができる。別の実施形態では、前記義歯接着剤物品は溶媒を含み、これがチューブから適用するのに十分なだけの流動性を持つ物品にする。引き続いて前記溶媒を、蒸発、バイオ吸収、分散、溶解等によって除去してよい。別の実施形態では、上記の任意の溶媒はまた、非水溶性成分と混和性である。一実施形態では、前記義歯接着剤物品は十分に流動性であるために、それをチューブから適用することができ、義歯の下からの漏出は極めて最小限に抑えられる。一実施形態では、前記義歯接着剤物品は、約0%、0.00001%、0.001%、5%、10%、15%、20%、25%、30%〜約15%、20%、25%、30%、40%、50%及び/又はこれらの任意の組み合わせの「正規化漏出量」を有する。一実施形態では、前記義歯接着剤物品は、約0、0.00001、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6〜約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、及び/又はこれらの任意の組み合わせの「漏出比」を有する。
【0042】
前記物品を小出しにする形態(予め1回分を出してある(pre-dosed)すぐ使用できる物品及び/又はチューブなどから分配される物品が挙げられるが、これらに限定するものではない)に関係なく、前記物品は使用前には実質的に固体であり且つ手で持ち上げることができる。チューブから分配可能な義歯接着剤物品は、次の方法で説明されるような物品である。
【0043】
試験を開始する前に全ての項目を読んでください。
1.製品を0.41cm(0.16インチ)直径のノズルのついたチューブに充填する。
2.2.5cm(1インチ)長の製品の一片を義歯タイル(義歯プラスチックから作製された3.8cm×3.8cm(1.5インチ×1.5インチ)平方のタイル)上に、上記ノズルを当該義歯タイルの上方約0.13cm(1/8インチ)に保持するように注意しながら、押し出す。製品を押し出す際には、ノズルが義歯タイルに触れないようにすること。
3.約2.5cm(1インチ)の製品を押し出した後、ノズルを義歯タイルの上方約0.13cm(1/8インチ)に保持し、スパチュラを使用してノズルから切片を切断する。切片を切断する際に、義歯タイルでノズルに触れたりノズルを汚したりしないこと。
4.親指と人差し指を使用して、切片の中央を保持し、垂直に持ち上げて義歯タイルに置く。義歯タイルを指で拭き取るような動作をしないこと。
5.前記組成物は、それを実質的に1つのものとして持ち上げることができれば、物品である。
【0044】
幾つかの義歯接着剤物品は、予め1回分を分量済み且つ/又はすぐ使用できるものである。消費者は、これらの品目を義歯接着剤物品として視覚的に確認することができる場合もあるが、これはそれらが多くの場合包装容器内に含有された切片の形態であるからである。しかし、これらの義歯接着剤製品が物品であることが明白でない場合、これらの義歯接着剤物品は、次の方法で物品として認識することができる。
1.組成物を約0.67mm厚×約8mm幅×約44mm長のシートに成形する。
2.義歯タイル上にシートを置く。
3.指を使ってシートを持ち上げる。
4.前記組成物は、それを実質的に1つのものとして持ち上げることができれば、物品である。
【0045】
本明細書で使用する時、実質的に1つであるとは、約75、80、85、90%〜約100、90、85、80、75、70%及び/又はこれらの任意の組み合わせの義歯接着剤組成物が、義歯表面から手で持ち上げた際に一つにとどまることを意味する。
【0046】
上述した試験方法に加えて、義歯接着剤物品はまた、漏出測定方法(ooze method)(本明細書で定義する様なもの)によって決定される漏出量によっても物品として認識することができる。手で持ち上げることができること及び実質的に1つのものとして動かすことができること加えて、義歯接着剤物品は、全組成物の約0、3、5、10、15、20、25%〜全組成物の約30、25、20、15、10、5、3%、及び/若しくはこれらの任意の組み合わせの正規化漏出量、且つ/又は約0、0.0001、0.001、0.01、0.1、0.2、0.25、0.3〜約0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5及び/若しくはこれらの任意の組み合わせの漏出比を有する。
【0047】
一実施形態では、本明細書の物品は、天然起源の成分を含む。
【0048】
一実施形態では、本明細書の物品は、義歯接着剤成分及び非水溶性熱可塑性成分の均一混合物を含む。
【0049】
前記義歯接着剤物品は、様々な形状及びサイズを有することができ、これには対称性又は非対称性のいずれかである凹形状を含むがこれらに限定するものではない。
【0050】
義歯接着剤成分
本発明は、安全且つ効果的接着剤量の義歯接着剤成分を含み、一般に、約10%〜約90の濃度であり、別の実施形態では、約15%〜約70%であり、別の実施形態では、約20%〜約70%であり、更に別の実施形態では、約25%〜約65%であり、及び更に他の実施例では、物品の約30重量%〜約65重量%である。一実施形態では、本発明の物品は、物品の少なくとも20重量%の義歯接着剤成分、及び別の実施形態では、物品の少なくとも30重量%の義歯接着剤成分を含む。
【0051】
一実施形態では、本明細書の義歯接着剤成分は、粘膜付着性、親水性、水溶性であり、水分に晒された際に膨潤する性質及び/又は水分と混ぜ合わされた場合に粘質性マスを形成する性質を有する。一実施形態では、前記義歯接着剤成分は、天然ゴム類、合成ポリマーゴム類、AVE/MA、AVE/MAの塩類、AVE/MA/IB、AVE/MA/IBの塩類、マレイン酸又は無水マレイン酸とエチレンとのコポリマー及びその塩類、マレイン酸又は無水マレイン酸とスチレンとのコポリマー並びにその塩類、マレイン酸又は無水マレイン酸とイソブチレンとのコポリマー及びその塩類、ポリアクリル酸及びそのポリアクリレート類、ポリイタコン酸及びその塩類、粘膜付着性ポリマー類、水溶性の親水性コロイド類、糖誘導体類、セルロース誘導体類、及びこれらの混合物から成る群から選択される。このような物質の例としては、カラヤゴム、グアーガム、ゼラチン、アルギン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キトサン、アクリルアミドポリマー類、カーボポール、ポリビニルアルコール、ポリアミン類、ポリ第四級化合物類、ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリアクリルアミドポリマー類、AVE/MA、AVE/MA/IB、AVE/MAの混合塩類、AVE/MA/IBの混合塩類、ポリマー酸類、ポリマー塩類、ポリヒドロキシ化合物類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
一実施形態では、前記義歯接着剤成分は、AVE/MAの塩類、AVE/MAの混合塩類、セルロース誘導体類(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物)、ポリエチレングリコール、カラヤゴム、アルギン酸ナトリウム、キトサン、コーンスターチ、及びこれらの混合物から成る群から選択される。更に他の実施形態では、前記接着剤成分は、AVE/MAの混合塩類、セルロース誘導体類、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0053】
一実施形態では、前記義歯接着剤成分は、熱可塑性ではなく且つ/又はほんの低濃度の水溶性熱可塑性ポリマー類、約0.01重量%〜約5重量%のポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxyproplymethylcellulose)などの水溶性熱可塑性ポリマー、ポリエチレングリコールを含み、別の実施形態では、約0.01〜約1%の水溶性熱可塑性ポリマーを含み、又は実質的に水溶性熱可塑性ポリマー類を有しない。
【0054】
アルキルビニルエーテル−マレインコポリマー
本発明の一実施例において、前記義歯接着剤成分は、AVE/MA又はAVE/MAの塩類である。アルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマーは、次の繰り返し構造単位を含むか、又は基本的にそれから構成される。
【化1】
[式中、Rはアルキルラジカルを表し、一実施形態ではC1〜C5アルキルラジカルであり、nは1より大きい整数であってポリマーの分子内での前記構造単位の繰り返し出現数を表す。]
【0055】
一実施形態では、前記接着剤成分はAVE/MA及びその塩類であり、好ましくはAVE/MAの混合塩類であり、この際、前記コポリマーが、周期律表のIA族及び2A族のカチオン類である、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されるカチオンを含むカチオン性塩機能を含有する。別の実施形態では、前記接着剤成分は、ストロンチウム、亜鉛、鉄、ホウ素、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、イットリウム、チタン、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されるカチオンを含むカチオン性塩機能を含有するAVE/MAの混合塩であり、並びに更に他の実施形態では、前記カチオンが、ストロンチウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0056】
AVE/MAは、一実施形態では、約5%〜約50%の亜鉛カチオン類を含むカチオン性塩機能、別の実施形態では、約10%〜約40%の亜鉛カチオン類、更に他の実施例では、約10%〜約35%(反応した全初期カルボキシル基に対して)の亜鉛カチオン類を含有する。これらの亜鉛カチオンは、約5%〜約65%の、好ましくは約10%〜約60%のストロンチウムカチオン類、約0.001%〜約2.5%の、好ましくは約0.01%〜約2%の鉄、ホウ素、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、イットリウム、及び/又はチタンカチオン類、約5%〜約65%、好ましくは約15%〜約50%のカルシウム及び/若しくはマグネシウムカチオン類並びに/又はナトリウムカチオン類から成る群から選択される他のカチオンと混合されることができる。
【0057】
AVE/MA及びその塩類は、米国特許第5,073,604号(ホレヴァ(Holeva)ら、1991年12月17日発行)、米国特許第5,525,652号(1996年6月11日発行、クラーク(Clarke)ら)、米国特許第6,025,411号(2000年2月15日発行、ウォン(Wong)ら)、米国特許第4,758,630号(1988年7月19日発行、シャア(Shah)ら)、米国特許第5,304,616号(1994年4月19日、ラジャイア(Rajaiah)ら)、米国特許第5,424,058号(1995年6月13日発行、ラジャイア(Rajaiah))、米国特許第5,424,058号(1995年6月13日発行、ラジャイア(Rajaiah)ら)、米国特許第4,758,630号(1988年7月19日発行、シャア(Shah)ら)、米国特許第5,830,933号(1998年12月3日発行、シノディス(Synodis)ら)、米国特許第2,047,398号(1936年7月14日、ヴォス(Voss)ら)、米国特許第3,003,988号(1961年10月10日発行、ゲルマン(Germann)ら)、米国特許第5,880,172号(ラジャイア(Rajaiah)ら、1999年3月9日発行)、米国特許第5,900,470号(プロサイス(Prosise)ら、1999年5月4日発行)、米国特許第5,037,924号(タジ(Tazi)ら、1991年8月6日発行)、米国特許第5,082,913号(タジ(Tazi)ら、1992年1月21日発行)にも記載されており、これらすべては、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。AVE/MAの塩類はまた、P&G社の同時係属出願である米国特許第6,355,706号(ラジャイア(Rajaiah)ら、2002年3月12日発行)、米国特許第6,617,374号(ラジャイア(Rajaiah)ら、2003年9月9日発行)に記載されている。
【0058】
一実施形態では、AVE/MA塩類又はAVE/MA/IB塩類の遊離酸濃度は、コポリマーの反応した全初期カルボキシル基の少なくとも約36%であり、別の実施形態では約36%〜約60%であり、更に別の実施形態では約40%〜約55%である。
【0059】
一実施形態では、出発物質たるコポリマー酸又はコポリマー無水物の比粘度は、好ましくは25℃にてMEK(メチルエチルケトン)の1%重量/体積溶液中で測定した場合に、約1.2〜約1.4である。その他の方法及び溶媒を使用して、25℃にてDMF(ジメチルホルムアミド)の1%重量/体積溶液として、及び25℃にて2−ブタノンの1%重量/体積溶液として、比粘度を測定することが可能である。
【0060】
好適なAVE/MAコポリマー類は、従来技術の周知の方法により調製されてよい。米国特許第2,782,182号、及び米国特許第2,047,398号を参照のこと。
【0061】
AVE/MAの混合塩類ポリマー類の製造方法は更に、米国特許第5,073,604号(ホレヴァ(Holeva)ら、1991年12月17日発行)及び米国特許第5,872,161(リアン(Liang)ら、1999年2月16日発行)に開示されている。
【0062】
非水溶性成分
本発明の物品は、安全且つ有効な量の非水溶性成分を含む。一実施形態では、本成分は当該物品の約2、5、10、20、25、30、35重量%〜約45、50、60、70、90重量%、及び/又はこれらの任意の組み合わせの濃度範囲であり、別の実施形態では、前記非水溶性成分の濃度は、物品の約20重量%〜約70重量%、約25重量%〜約60重量%、又は約35重量%〜約60重量%である。更に他の実施例では、前記非水溶性成分は非水溶性であると共に水中で実質的に非膨潤性である。
【0063】
一実施形態では、前記非水溶性成分は、鉱油、天然及び合成油類、脂肪類、シリコーン、シリコーン誘導体類、ジメチコン、シリコーン樹脂、炭化水素類、炭化水素誘導体類、エッセンシャルオイル類、植物油類、ポリブテン類、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド類、コーン、大豆、綿実、ヒマシ油(castor)、パーム油、ココヤシ油類、動物油類、魚油、オレイン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される非水溶性液体成分である。別の実施形態では、前記非水溶性成分はPDMSゴム、又はPDMSゴムと揮発性イソパラフィンなどの溶媒から注型されるMQ樹脂との混合物である(米国特許第6,074,654号を参照のこと)。
【0064】
一実施形態では、前記非水溶性成分は、ゴム、エラストマー類、プラストマー類、天然ワックス、合成ワックス、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース性樹脂類、アクリル樹脂類、ペトロラタム、及びこれらの混合物から成る群から選択される非水溶性熱可塑性成分である。別の実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は、天然ワックス、合成ワックス、ペトロラタム、ポリエチレン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。更に他の実施例では、前記非水溶性熱可塑性成分は、ポリエチレン、ペトロラタム、パラフィンワックス、微結晶ワックス、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びこれらの混合物から成る群から選択され、別の実施形態では、ポリエチレン、微結晶ワックス、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0065】
一実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は、エチレン−エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−エチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンゴム、及びこれらの組み合わせなどのエラストマー類を含み、これらは所望により、更にワックス類と混ぜ合わされてよい。
【0066】
一実施形態では、本明細書の物品は約25〜約350の針入度を有する非水溶性熱可塑性成分を有し、別の実施形態では、約27〜約250であり、別の実施形態では、約30〜約150であり、別の実施形態では、約40〜約150であり、別の実施形態では、約50〜約80であり、更に他の実施例では、約60〜約80である。針入度値は、ASTM D1321方式を使用して測定した場合に約25〜約250であり、針入度値は、ASTM D937方式を使用して測定した場合に約25〜約350であり、両方ともに当該技術分野において既知の既存の方法である。ASTM D937及びASTM D1321は一般に、ペトロラタム又は石油ワックス類それぞれの針入度を測定するために使用されるが、これらの方式は、適切な改質によって石油及び他のタイプの非水溶性熱可塑性成分から誘導されるワックス類の針入度を測定するために使用してもよく、例えば、これら他の成分は、当業者には明らかな高温で溶融する必要がある場合がある。
【0067】
上記の針入度値を得る際には、これらの針入度値から離れている非水溶性熱可塑性成分を熱可塑性成分の針入度を変更する別の成分と混合してもよい。従って、非水溶性熱可塑性成分は単一成分であってもよく、又は混合成分であってもよい。例えば、約15〜約20の針入度値を有するマルチワックス(Multiwax)W180(ウィトコ社(Witco)(ソネボーン、クロンプトン)製)を、ペトロラタムと(1:1の比率で)混合し、針入度値を25超まで上げてもよい。
【0068】
一実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は天然又は合成ワックスである。これらのワックスとしては、動物ワックス、野菜ワックス、鉱物ワックスなどの天然ワックス類が挙げられる。動物性ワックス類としては、蜜蝋、ラノリン、セラック蝋、シナ蝋などが挙げられる。野菜ワックス類としては、カルナウバ、キャンデリラ、ヤマモモ、サトウキビ、等が挙げられ、及び鉱物ワックス類としては、化石ろう又は地ろう(オゾケライト、セレシン、モンタン・ワックス)及びパラフィン、微結晶、などの石油ワックス類が挙げられる。一実施形態では、本明細書のワックス類は蜜蝋、キャンデリラ、カンデラ、カルナウバ、パラフィン、微結晶性ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びこれらの混合物から成る群から選択される天然ワックス類である。
【0069】
別の実施形態では、前記ワックスはクロンプトン(Crompton)及びソネボーン(Sonneborn)(ウィトコ社(Witco))が製造した微結晶性ワックスであり、マルチワックスW(MutiwaxW)−835の商標で呼ばれ且つ販売されている。本ワックスは、約73.9℃〜約79.4℃(ASTM D127)の範囲の融点を有し、約60〜約80の針入度(25℃にて)(ASTM D1321)を有し、約75〜約90の運動粘度(98.9℃にて)(ASTM D2161)を有し、約246℃の引火点(COC)(最低)(ASTM D92)を有し、且つ約77℃の凝固点(ASTM D938)を有する。
【0070】
一実施形態では、本明細書で有用なパラフィンワックス類は一般に、約65℃〜約80℃の範囲の融点を有することができ、別の実施形態では、約70℃〜約75℃の範囲の融点を有することができ、本明細書で有用な微結晶性ワックスは、約65℃〜約90℃の融点を有することができ、別の実施形態では、約80℃〜約90℃の融点を有することができ、本明細書で有用な蜜蝋は、引火点は242℃で、約62℃〜約65℃の融点を有することができ、本明細書で有用なキャンデリラろうは、約68℃〜約72℃の融点を有することができ、本明細書で有用なカルナウバろうは、約83℃〜約86℃の融点を有することができ、本明細書で有用なフィッシャー・トロプシュろうは、約95℃〜約120℃の融点を有することができる。天然グレードと類似の性質を持つ、合成グレードの蜜蝋、キャンデリラ、及びカルナウバワックス類もまた入手可能である。
【0071】
別の実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は、ハネウェル(Honeywell)社により、98.5及び90.0の針入度値をそれぞれ持つようにして、ASTM D1321に従って製造されたA−C 1702及びA−C 6702ポリエチレンである。
【0072】
一実施形態では、前記物品がポリエチレンオキシドを含有する場合、非水溶性成分が熱可塑性であるか又は物品が繊維性紙ウェブ若しくはラミネート紙を包含しないかのいずれかである。
【0073】
一実施形態では、本明細書の物品はアルコールと混合した蜂蜜を実質的に含まない。別の実施形態では、前記物品はエチルアルコール内にポリ酢酸ビニル樹脂を実質的に含まない。
【0074】
様々な任意成分
可塑剤
本発明の物品はまた所望により、1以上の安全且つ有効な量の毒物学的に許容可能な可塑剤類を含んでよい。一実施形態では、前記可塑剤の濃度が前記物品の約0.0重量%〜約40重量%であり、一実施形態では、約0.01重量%〜約40%重量であり、別の実施形態では、約1重量%〜約10重量%であり、別の実施形態では、約2重量%〜約5重量%である。更に他の実施形態では、前記義歯接着剤物品は可塑剤を含まない。
【0075】
本発明の好適な可塑剤類としては、ポリオール類(例えば、ソルビトール)、グリセリン、プロピレングリコール、アセチル化モノグリセリド、硬化デンプン加水分解物類、コーンシロップ類、及びこれらの誘導体類;キシリトール、脂肪酸類を有するグリセロールモノエステル類、トリアセチン、ジアセチン、及びモノアセチン;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリクレシルホスフェート、ジメチルセバケート、エチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、o−及びp−トルエンエチルスルフォンアミド、フタル酸誘導体、グリセロールトリアセテート、クエン酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール、グリコール誘導体、パラフィンワックス、脂肪酸のペンタエリスリトールエステル、ステアリン酸誘導体、モノステアリン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、ブチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、トリアセチン、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリフェニルホスフェート、ジエチレングリコール、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/カプレート及び/又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
別の実施形態では、前記可塑剤は非水溶性である。
【0077】
一実施形態では、前記義歯接着剤物品が熱可塑性的に押し出された場合、可塑剤成分の作用の結果として、硬化及び固定することはない。別の実施形態では、前記可塑剤成分は前記非水溶性成分又は前記義歯接着剤物品を固結させない。別の実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は硬化及び固定しない。
【0078】
あるいは、一実施形態では、前記義歯接着剤物品は可塑剤を実質的に含まなくてよい。一実施形態では、前記義歯接着剤物品は、ポリエチルメタクリレート、トリアセチン、フタル酸誘導体、グリセロールトリアセテート、クエン酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール、グリコール誘導体、パラフィンワックス、脂肪酸のペンタエリスリトールエステル、ステアリン酸誘導体、モノステアリン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、ブチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、トリアセチン、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリフェニルホスフェート、ジエチレングリコール、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/カプレート及び/又はそれらの組み合わせを実質的に含まないことができる。
【0079】
ゲル化剤
本発明の物品はまた所望により、1以上の安全且つ有効な量の毒物学的に許容可能なゲル化剤類を含んでよい。一実施形態では、前記ゲル化剤の濃度が前記物品の約0.01重量%〜約40重量%であり、別の実施形態では、約1重量%〜約10重量%であり、別の実施形態では、約2重量%〜約5重量%である。
【0080】
本発明の好適なゲル化剤類としては、ISP社よりガネックス(Ganex)V−220Fの商標名で販売されているポリビニルピロリドン/エイコセンコポリマー、ISP社よりガネックス(Ganex)WP−660の商標名で販売されているトリコンタニルポリビニルピロリドン、シルヴァクリア・ライトワックス(Sylvaclear Lightwax)を包含する、シルヴァクリア(Sylvaclear)、シルヴァコート(Sylvacote)、シルヴァゲル(Sylvagel)、ユニクリア(Uniclear)(全てアリゾナ・ケミカル社(Arizona Chemical)から入手可能な)を含むポリアミドゲル化剤類(gallants)、シルヴァクリア(Sylvaclear)PA20、シルヴァクリア(Sylvaclear)PA30、シルヴァクリア(Sylvaclear)PA50、シルヴァコート(Sylvacote)2228、シルヴァコート(Sylvacote)2228E、シルヴァゲル(Sylvagel)5000、シルヴァゲル(Sylvagel)6000、ユニクリア(Uniclear)100、ユニクリア(Uniclear)100VG、ユニクリア(Uniclear)80、ユニクリア(Uniclear)80V、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
フレーバ類、芳香剤類、知覚物質類
本発明の物品は、風味、芳香、及び/又は知覚効果を提供する1つ以上の成分(暖気剤又は涼気剤)を含んでもよい。好適な成分としては、メントール、ウィンターグリーン油、ペパーミント油、スペアミント油、青葉アルコール、クローブバッド油、アネトール、メチルサリチレート、オイカリプトール、カッシア、1〜8メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、オランダセリ油、オキサノン、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、チモール、リナロール、CGAとして知られているシンナムアルデヒドグリセロールアセタール、及びこれらの混合物並びに冷却剤類が挙げられる。前記冷却剤は、多種多様な物質のいずれかであり得る。このような物質には、カルボキサミド類、メントール、ケタール類、ジオール類、及びこれらの混合物が包含される。一つの実施形態において、本発明の物品の冷却剤類は、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、及びこれらの混合物のようなパラメンタンカルボキサミド剤から成る群から選択される。追加の好ましい冷却剤類は、メントール、TK−10として既知の3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール(高砂(Takasago)製)、MGAとして既知のメントングリセロールアセタール(ハーマン(Haarmann)&ライマー(Reimer)製)及びフレスコラート(登録商標)(ハーマン(Haarmann)&ライマー(Reimer)製)として既知のメンチルラクテートから成る群から選択される。本明細書で使用する時、用語「メントール」及び「メンチル」としては、これらの化合物類の右旋性−及び左旋性の異性体、並びにこれらのラセミ混合物を包含する。TK−10は、米国特許第4,459,425号(アマノ(Amano)ら、1984年7月10日)に記載されている。WS−3及び他の薬剤が、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日発行)に記載されている。これらの薬剤は、前記物品の約0重量%〜約40重量%、別の実施形態では約0.05重量%〜約5重量%、及び別の実施形態では約0.1重量%〜約2重量%の濃度で存在してよい。
【0082】
他の任意成分
前記義歯接着剤物品はまた、局所投与に適した1つ以上の治療活性物質を含むことができる。治療活性物質は、前記物品の0重量%〜約70重量%の濃度で、及び一実施形態では、前記物品の約1重量%〜約20重量%の濃度で存在してもよい。治療活性物質としては、ヨウ素、トリクロサン、過酸化物、スルホンアミド類、ビスビグアニド類、又はフェノール樹脂類などの抗菌剤;テトラサイクリン、ネオマイシン、カナマイシン、メトロニダゾール、塩化セチルピリジウム、臭化ドミフェン、又はクリンダマイシンなどの抗生物質;アスピリン、アセトアミノフェン、ナプロキセン及びその塩類、イブプロフェン、ケトロラク、フルルビプロフェン、インドメタシン、オイゲノール、又はヒドロコルチゾンなどの抗炎症剤;硝酸カリウム、塩化ストロンチウム又はフッ化ナトリウムなどの歯の減感剤;フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、MFPなどのフッ化物;リドカイン又はベンゾカインなどの麻酔剤;カンジダ・アルビカンスを治療するためなどの抗カビ剤;カンファー、ユーカリ油、及びベンズアルデヒドなどのアルデヒド誘導体類などの芳香族;インスリン;ステロイド類;ハーブ及びその他の植物から抽出される治療薬;並びに重曹が挙げられる。ある種の形態の治療では、同一デリバリーシステム内でのこれらの薬剤の組み合わせが、最大の効果を得るために有用な場合があると認識されている。このため、例えば、総合的な効果を提供するために、抗菌剤及び抗炎症剤を単一のデリバリーシステム内で一体化してよい。
【0083】
その他の好適成分としては、着色剤、防腐剤(メチルパラベン類及びプロピルパラベン類など)、二酸化ケイ素などの増粘剤、並びにポリエチレングリコールが挙げられる。着色剤、防腐剤及び増粘剤は、物品の約0重量%〜約20重量%、別の実施形態では、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で存在してよい。
【0084】
更に、前記物品は、1種類以上の溶媒を含んでもよい。これらの任意の溶媒は、前記非水溶性成分と混和性であってよく及び/又はその場で消失させることができる。一実施形態では、これらの溶媒は、蒸発、溶解、分散、バイオ吸収、又は任意の他の好適な手段によってその場で消失させてもよい。別の実施形態では、これらの溶媒は、その場で消失して義歯接着剤物品を残してもよい。かかる溶媒は、1E−5、0.0001、0.001、0.005Pa・s(0.01、0.1、1、5センチポアズ)(20℃にて)〜0.005、0.01、0.1、1Pa・s(5、10、100、1000センチポアズ)(20℃にて)の範囲の粘度を、これらのレベルの任意の組み合わせで有する物質を含んでよい。一実施形態では、これらの溶媒はシリコーン類、炭化水素類、イソ−ドデカン、イソ−ヘキサデカン、イソ−エイコサン、及び/又はポリイソブテンであってもよい。好適な等級の溶媒としては、パーメチル(Permethyl)97A、99A、101A、102A、及びこれらの混合物などのパーメチル(Permethyl)シリーズ(プレスパーズ社(Prespers Inc.)(ニュージャージー州)により販売されている)が挙げられる。
【0085】
一次パッケージ
前記一次パッケージは、義歯接着剤物品を封入且つ保持しながら、義歯接着剤デリバリーシステムのその他成分と反応して悪影響を与えることなく、前記義歯接着剤デリバリーシステムの成分と接触することができる任意の物質を含むことができる。前記一次パッケージングは、周縁部近辺にて密閉することができる。消費者が一次パッケージを開けて、使用するために義歯接着剤物品を取り出し、義歯及び/又は口腔面へ適用するまで、前記一次パッケージは義歯接着剤物品を保持する。一実施形態では、前記一次パッケージは、ポリエチレン、エチルビニルアセテート、エチルビニルアルコール、デュポン社製マイラー(Mylar)などのポリエステル類、デュポン社製テフロン(登録商標)などのフッ素樹脂類、及びこれらの組み合わせ等のポリマー類を含むが、これらに限定するものではない。更に、一実施形態では、前記一次パッケージは、ポリオレフィンから、例えばポリエチレン又はポリプロピレンから形成することができる。別の実施形態では、前記一次パッケージは、ポリオレフィンブレンド類、ポリエチレンブレンド類、ポリプロピレンブレンド類、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態では、前記一次パッケージはホイル、ポリエチレン、ポリプロピレン等を含む各種材料のラミネートであることができる。
【0086】
非粘着性パッケージング
上記義歯接着剤物品は、特に、当該義歯接着剤物品が保管及び出荷中に極温に晒される場合、その組成物に起因してパッケージング材料へ粘着する場合がある。前記義歯接着剤物品は、当該義歯接着剤物品の非水溶性熱可塑性成分が、ゴム、エラストマー類、プラストマー類、天然ワックス、合成ワックス、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース性樹脂類、アクリル樹脂類、ペトロラタム、及びこれらの混合物を含む場合、パッケージングへより粘着する傾向が強い場合がある。別の実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は、天然ワックス、合成ワックス、ペトロラタム、ポリエチレン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。更に他の実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は、ポリエチレン、ペトロラタム、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。別の実施形態では、ポリエチレン、微結晶性ワックス、及びこれらの混合物から成る群から選択される。これら上記不溶性熱可塑性成分は、本発明の包装容器に接着する傾向が強くなるか、あるいは義歯接着剤物品の成分の一部がパッケージング材料に吸収されやすくなるかのいずれかとなる場合がある。
【0087】
前記義歯接着剤物品のパッケージング材料への粘着を最小化するためには、(i)一次パッケージと義歯接着剤物品との間にライナーを配置すること、(ii)一次パッケージ、義歯接着剤物品、及び/又はライナーを、シリコーン等の非粘着性組成物でコーティングすること、及び(iii)義歯接着剤物品及び一次パッケージ及び/又はライナー間の接触領域を最小化すること、及び(iV)これら手段の任意のものによる任意の組み合わせを含む種々の手段を使用することが可能であるが、これらに限定するものではない。これらの手段は、義歯接着剤物品の任意の成分がパッケージング材料へ吸収されるのを最小化することもできる。
【0088】
ライナー
一実施形態では、義歯接着剤物品の一次パッケージへの粘着は、ライナー(20)を一次パッケージ(22)及び義歯接着剤物品(24及び26)の間に含むことによって(図2〜5に示すように)最小化することができる。義歯接着剤物品(24及び26)は、2つの別個のライナー(図示せず)の間、又は義歯接着剤物品の両面に接触するように折り畳まれた単一ライナー(20)の間に(図4〜5に示すように)配置することができる。義歯接着剤物品は、左右に積み重ねるか(図2及び図4に示すように)又は端部と端部を重ねるか(図3及び図5に示すように)のいずれかで配置することができる。前記ライナー(20)は、義歯接着剤物品がそれに対して親和性をほとんど持たないか又は全く持たない任意の材料であり得、硫酸紙、シリコーンゴム、シリコーンフォーム類、シリコーンコーティングフィルム類、シリコーンコーティングペーパー、シリコーン含浸紙、ハイドロフォームフィルム類、テクスチャードフィルム類、及び/又はラミネート類が挙げられるがこれらに限定するものではない。一実施形態では、前記ライナーは硫酸紙である。別の実施形態では、前記ライナーはシリコーンを含浸させた硫酸紙である。前記ライナーは、基本的に平坦であり得、又はそれは非平坦であることができる。
【0089】
コーティング
別の実施形態では、義歯接着剤物品の一次パッケージへの粘着は、義歯接着剤物品、一次パッケージ、及び/又はライナーをコーティングすることによって最小化される(図6〜図8に示すように)。前記コーティングとしては、シリコーン化合物類、シリコーンポリマー類、熱硬化シリコーン類、架橋型シリコーン類、フルオロ化合物類、及び/又はUV硬化シリコーン類を挙げることができる。前記コーティングは、義歯接着剤物品を一次パッケージ内にパッケージングするに先だって適用することができる。コーティング(30)は、一次パッケージング(32)の内面へ適用することができ、コーティング(34)は、ライナー(36)の接触面へ適用することができ、及び/又はコーティング(38)は、物品(40)の接触面へ適用することができる。コーティングは、接触面である全ての表面を含む義歯接着剤デリバリーシステム表面の任意の箇所又は全てへ適用することができるが、これらに限定するものではない。本コーティングは、一次パッケージ、接着剤及び/又はライナー上へ、スプレーコーティング、ロールコーティング、スロットコーティング、印刷、及び/又はブラシコーティングを含む任意の好適な方法を使用して適用することができる。
【0090】
表面接触の最小化
更に他の実施形態では、義歯接着剤物品並びに一次パッケージ及び/又はライナー間の接触領域は、物品、一次パッケージ及び/又はライナーの接触面を変化させることにより最小化させることができる。隣接する接触面の表面積における接触部が増大するに伴い、隣接する接触面がお互いに対して接着する可能性が高まる。接触面は、物品、一次パッケージ、及び/又はライナーの別の表面と接触する、物品、一次パッケージ、及び/又はライナーの表面である。例えば(図9に示すように)、前記一次パッケージ(42)の接触面(50)は、ライナー(44)の外接触面(52)に接触し、且つ、ライナー(44)の内接触面(54)は、物品(46及び48)の接触面(図示せず)に接触し、且つ物品(46)の接触面(56)は、ライナー(44)の接触面(58)に接触し、且つ、ライナー(44)の外接触面(60)は、一次パッケージ(42)の接触面(62)と接触する。義歯接着剤物品(46及び48)の全表面が接触面であり、それ故、全表面がライナー(44)又は一次パッケージ(42)のいずれかと接触する。
【0091】
物品、一次パッケージ、及び/又はライナーの接触面間の接触領域を最小化するために、物品、一次パッケージ及び/又はライナーの接触面のうち少なくとも1つをテクスチャード加工することができる。接触する接触面の総表面積が増加するに伴い、お互いに対して粘着する接触面もまた増加する可能性が高まる。前記テクスチャーは、突出、突起部、ディンプル、くぼみ、刻み目及びこれらの任意の組み合わせによって作成してよく、且つ当該テクスチャーはランダムに又はパターンで形成することができる。前記テクスチャーは、ストライプ、スポット、正方形、三角形、円形などの形状、及びこれらの任意の組み合わせの形態であることができる(図10〜図13に示すように)。図10は、ストライプテクスチャー(72)を含む歯接着剤物品(70)を表している。図11は、正方形テクスチャー(82)を含む歯接着剤物品(80)を表している。図12は、三角形テクスチャー(92)を含む義歯接着剤物品(90)を表し、図13はハニカムテクスチャー(102)を含む義歯接着剤物品(100)を表している。更に、図14〜図16で、レイズドテクスチャーは、義歯接着剤物品(200)の接触面(204)からの突起(202)、ライナー(300)の接触面(304)からの突起(302)、及び一次パッケージ(400)の接触面(404)の1つからの突起(402)として示される。テクスチャリングは、少なくとも1つの接触面上にパターンをエッチングすること、エンボス加工すること、物品、一次パッケージ及び/又はライナーの接触面(単一又は複数)の少なくとも1つへ、製造中にパターンを形成すること、且つ/又は物品、一次パッケージ及び/又はライナー等の接触面の少なくとも1つの上へテクスチャーを印刷することを含むいずれかの適した方法によって完了することができる。更に、物品、一次パッケージの複数の接触面及び/又はライナー表面がテクスチャード加工される場合、物品、一次パッケージ、及び/又はライナーのうちの1つの接触面上にテクスチャリングすると、物品、一次パッケージ及び/又はライナーの他の接触面は異なったテクスチャーを有することができる。一実施形態では、物品、一次パッケージ及びライナーはいずれもテクスチャード加工される1つ以上の接触面を有する。別の実施形態では、ライナー及び物品の全接触面がテクスチャード加工される。更に他の実施形態では、ライナー、物品及び一次パッケージの接触面がテクスチャード加工される。
【0092】
一実施形態では、前記義歯接着剤デリバリーシステムは、テクスチャード加工された接触面を有する義歯接着剤物品、テクスチャード加工された接触面を有し且つシリコーンでコーティングされたライナー、及び一次パッケージを含む。
【0093】
物品の製造プロセス
本発明で利用される物品は、当該技術分野、例えばフィルム製造産業において公知のプロセスである、キャスティング、コーティング、カレンダー工法、押出成形などにより形成される。一実施形態では、前記物品の個々の成分を溶融し、次に均一混合物が得られるまで、混合タンク内で混合する。その後、前記溶融混合物を許容可能な厚さで適切な基材上にキャストしてよい。かかる基材の例としては、マイラー(Mylar)、連続運転ステンレス鋼ベルト(必要であれば、最終的には乾燥器セクションに入る)、剥離紙などが挙げられる。次に、前記物品は冷却される。次に、必要であれば前記物品を、例えば強制空気オーブン内で乾燥してもよい。乾燥用空気温度及び乾燥時間は、当該技術分野において認識されている様に、利用される溶媒の性質に依存する。一般に、前記乾燥温度としては、約25℃〜140℃、別の実施形態では約60°〜90℃の間の温度で、約20分〜約60分間の持続時間、別の実施形態では約30〜約40分間が挙げられる。次に、前記物品は、所望の寸法を備えた所望の形状に切断し、次に積み重ねて且つ/又は引き続いて梱包してよい。
【0094】
一実施形態では、処理後に、次に前記物品を所望の形状へと打抜き切断する。これらの形状によって、前記物品の義歯への適用が容易になることがある。
【0095】
一実施形態では、特に、本発明の物品は次の様にして処理される。1.ワックス成分を溶かす。2.任意の他の接着剤成分を有するAVE/MA塩(類)を混ぜ合わせる。3.接着剤混合物をワックス融液に加える。4.撹拌して均一混合物にする。5.前記均一混合物を鋳型又は好適な表面上に注ぎ込む。6.前記混合物を固化するまで冷却する。7.基材又は鋳型から取り外すか又は所望の形状に切断する。
【0096】
当該技術分野において既知の別の公知のフィルム製造方法は、押出成形である。この方法は、フィルムの膜形成成分が各種の押し出し可能な物質を含む場合に可能である。押出成形プロセスの機械的な部分、例えば、利用される特定の装置、押出成形力、オリフィス及び/又はダイの形状及び温度は、当該分野の技術の範囲内であるとみなされ、本明細書に記載される物品の物理特性を達成するために既知の態様で変更することができる。
【0097】
一実施形態では、本明細書の物品の厚さは一般に、約0.1mm〜約2.5mm、別の実施形態では、約0.4mm〜約1.5mm厚、別の実施形態では、約0.5mm〜約1mm厚である。前記物品は、消費者又は着用者の望む緩衝作用の程度により、より厚く又はより薄くてもよい。
【0098】
一実施形態では、本明細書の物品は所望により、多相であるか又は視覚的に区別可能な相を有してよい。別の実施形態では、本明細書の物品は所望により、剥離ライナーを有してよい。
【0099】
物品の使用法
本発明の物品は一般に、義歯補綴に適用され、その後、義歯を口腔に固定される。一実施形態では、義歯は物品の適用に先だって乾燥される。一実施形態では、物品を義歯補綴に粘着させるために、義歯補綴に物品を適用する前に、物品及び/又は義歯補綴を濡らす必要がない。物品は、補綴具上の任意の好適な場所に適用してよい。一実施形態では、前記義歯着用者は一般に、約1時間〜約3日間、別の実施形態では、約6時間〜約24時間、物品を装着する。使用後、補綴具を口腔から取り除き、あらゆる残った物品を補綴具から、例えば水とブラシで穏やかなスクラビングによって洗浄してよい。
【実施例】
【0100】
物品
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これら実施例は、説明の目的のためのみに提示するものであって、本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明の要旨及び範囲を逸脱することなく、これらの多くの変更が可能である。
【0101】
(実施例I)
【表1】
【0102】
微結晶性ワックスW−835(又はポリエチレンAC1702又はA−C 6702)を溶融し、他の成分をそれと混合する。次に、前記混合物を押出成形又は圧延などの任意の好適な手段によって、0.50mm、0.67mm、0.73mm、又は1.0mm等の好適な厚さのシートに作成する。次に、前記シートを義歯への適用に適した形状へと切断する。
【0103】
実施例Iにおいては、Ca/Zn AVE/MA塩の全て又は一部は、Mg/Zn/Na AVE/MA塩類及び/又はCa/Na AVE/MA塩類で置換されてもよく、CMCの全て又は一部は、カラギーナン、及び/又は好適なセルロース誘導体類によって置換されてもよく、微結晶性ワックスW−835の全て又は一部は、ポリエチレンA−C 1702(ハネウェル(Honeywell)から入手可能)、及び/又はポリエチレンA−C 6702(ハネウェル(Honeywell)から入手可能)で置換されてもよく;且つ/又は、各成分の量はまた、約50%以下にて増加又は減少してもよい。上記実施例の各々は、物品へ調製するに先だって互いにブレンドされてよく、且つ/又は互いに合わせて使用して、多層物品を形成してもよい。
【0104】
一実施形態では、前述の実施例のバイオエロージョンを測定するために、試料をワイヤメッシュの上に置いたままで、試料の検査用サンプルの最上部に水源からの水を30分間当てる。水供給源は、温度が39±1℃且つ流量が16±1mL/秒になるように調節した実験室の給水栓である。漏斗を使用して流れを集め、圧力及び温度が水線内で小さく変動する影響を抑える。前記ワイヤメッシュ格子は、約0.23cm×0.23cm(0.09インチ×0.09インチ)の正方形開口部を有し、前記漏斗先端の下方6.4cm(2.5インチ)に置き、支持用金属製リングに固定する。0.025gの重さの試料をメッシュ上に置き、当該試料のバイオエロージョンを0分、10分及び30分行わせたものを写真に撮る。30分後、検査用サンプル残渣を含有するワイヤメッシュを取り除き、1時間60℃にて減圧下に加熱して、残りの水を全て除去する。加熱期間後、最終重量を計測し、バイオエロージョンによる減量分を計算する。試料当たり3個の検査用サンプルの平均を使用して、バイオエロージョンの時間及び減量分を計算する。一実施形態において、これら試験条件下で30分後、目で見える残留物、膜、若しくはシートを残さない場合、物品は生体内分解性である。別の実施形態において、これら試験条件下で約30分後、1つ以上の大きな断片として手で容易に分離若しくは剥離させたりできない場合、物品は生体内分解性である。更に他の実施形態において、これら試験条件下で約30分後、約2重量%未満、約4重量%未満、約6重量%未満、及び/又は約8重量%未満の残留物(物品の原重量の)が残る場合、物品は生体内分解性である。別の実施形態では、上記バイオエロージョン試験はまた、8時間までの各種時点で実施してもよい。
【0105】
一実施形態では、乾燥粘着性は以下の手順によって測定されてもよい。(a)2.5cm(1インチ)直径の円筒プローブ(ポリメチルメタクリレート製)及びポリメチルメタクリレート製平面シートとの間の5mm直径ディスク(0.67mm厚)の物品試料を、19.6N(2000グラム重量)にて2秒間押し付ける。(b)前記プローブを1mm/秒で引っ張り、最大力を記録する。(c)2つの表面の間に試料を挟まないで、手順を繰り返す。及び、(d)計算:乾燥粘着性(g)/平方センチメートル=(試料がある場合の最大力−試料がない場合の最大力)/試料ディスクの断面積
【0106】
非粘着性コーティング
次の例は、各種非粘着性コーティングを示す。これらのコーティングは、一次パッケージ、ライナー、及び/又は物品上に適用してよい。
a.シリコーンTT3796.000(ノルデエニア(Nordenia)社より)
b.リリース・パウチ・ラップ(RPW)フィルム(ノルデエニア(Nordenia)社より)
c.SP5000.000(ノルデエニア(Nordenia)社より)
d.シリコーン
e.熱硬化シリコーン
f.UV−硬化シリコーン
g.SL6625シリコーン(GE社より)
【0107】
ライナー類
次の例は、各種非粘着性ライナーを示す。
a.硫酸紙(レイノルズ社(Reynolds)及びアールストローム社(Ahlstrom)より)
b.グリロン(Grillon)紙(レイノルズ社(Reynolds)及びアールストローム社(Ahlstrom)より)
c.ユニベーク(Unibake)紙(レイノルズ社(Reynolds)及びアールストローム社(Ahlstrom)より)
d.ハイドロフォームフィルム
e.シリコーンゴム
f.シリコーンフォーム
【0108】
試験方法
本発明に係る物品のバイオエロージョンは、次の方法で測定できる。検査用サンプルをワイヤメッシュ上に保持させたまま、試料の検査用サンプルの最上部に約30分間、水を供給する。水供給源は、温度が39±1℃且つ流量が16±1mL/秒になるように調節した実験室の給水栓である。漏斗を使用して流れを集め、圧力及び温度が水線内で小さく変動する影響を抑える。前記ワイヤメッシュ格子は、約0.23cm×0.23cm(0.09インチ×0.09インチ)の正方形開口部を有し、前記漏斗先端の下方6.4cm(2.5インチ)に置き、支持用金属製リングに固定する。0.025gの重さの試料をメッシュ上に置き、当該試料のバイオエロージョンを0分、10分及び30分行わせたものを写真に撮る。30分後、検査用サンプル残渣を含有するワイヤメッシュを取り除き、1時間60℃にて減圧下に加熱して、残りの水を全て除去する。加熱期間後、最終重量を計測し、バイオエロージョンによる減量分を計算する。試料当たり3個の検査用サンプルの平均を使用して、バイオエロージョンの時間及び減量分を計算する。これら試験条件下で30分後、目で見える残留物、膜、若しくはシートを残さない場合、且つ/又はこれら試験条件下で約30分後、1つ以上の大きな断片として手で容易に分離若しくは剥離させたりできない場合、且つ/又はこれら試験条件下で約30分後、(物品の原重量の)約2重量%未満、約4重量%未満、約6重量%未満、及び/若しくは約8重量%未満の残留物が残る場合、物品は、生体内分解性である。上記バイオエロージョン試験はまた、8時間までの各種時点で実施してもよい。
【0109】
乾燥粘着性は、次の方法で測定できる。1.物品を包装容器材料から取り外す。2.乾燥したアクリル製の上側の義歯の口蓋部分(歯が下向きになるようにして)上に、物品を置く。3.指で約3〜10秒間、圧力を適用する。4.その後、指から圧力を加えるのを止める。5.次に、歯が上向きになるように義歯をひっくり返す。一実施形態では、前記物品は、次の場合に乾燥粘着性を示す。(i)物品が、工程1〜2において指に張り付かない。(ii)工程3〜4において、指にほとんど残留物が残らないかあるいは全く残らない。及び、(iii)工程5において、前記物品が一旦ひっくり返った場合、少なくとも約10〜30秒間、又は少なくとも約1分間、義歯から落下しない。
【0110】
別の実施形態では、前記物品は、次の場合に乾燥粘着性を示す。(i)物品が、工程1〜4において指に張り付かない。且つ、(ii)工程5において、前記物品が一旦ひっくり返った場合、少なくとも約10〜30秒間、又は少なくとも約1分間、義歯から落下しない。
【0111】
別の実施形態では、工程5において、物品が一旦ひっくり返った場合、少なくとも約10〜30秒間、又は少なくとも約1分間、義歯から落下しない場合に、当該物品は乾燥粘着性を示す。
【0112】
本発明に係る物品の乾燥粘着性はまた、以下の手順によっても測定できる。
(a)2.5cm(1インチ)直径の円筒プローブ(ポリメチルメタクリレート製)及びポリメチルメタクリレート製平面シートとの間の5mm直径ディスク(0.67mm厚)の物品試料を、19.6N(2000グラム重量)にて2秒間押し付ける。
(b)前記プローブを1mm/秒で引っ張り、最大力を記録する。
(c)2つの表面の間に試料を挟まないで、手順を繰り返す。及び、
(d)計算:乾燥粘着性(g/平方センチメートル)=(試料がある場合の最大力−試料がない場合の最大力)/試料ディスクの断面積。
【0113】
一実施形態では、工程(a)にて加える力を2.5N(250グラム重量)にし、且つタックを工程(b)〜(d)にて測定することにして、上記手順を繰り返す。
【0114】
加える力を2.5N(250グラム重量)にして測定したタックが、約2.45、4.90、9.81、19.6、又は49.0kPa(25、50、100、200、又は500グラム/正方形センチメートル)未満であり、且つ加える力を19.6N(2000グラム重量)にして測定したタックが、約19.6、49.0、98.1、196.1、490.3、980.7、2451.7kPa(200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、若しくは25,000グラム/平方センチメートル)、及びこれらのレベルの任意の組み合わせより大きいの場合に、前記物品は、乾燥粘着性を有する。
【0115】
本発明に係る物品の弾性率G’は、以下の手順によって測定できる。
(a)8mm直径及び0.67mm厚の試料ディスクを、平行プレート固定治具を使用して4.9N(500グラム)の圧縮力にてARESレオメーターの上に設置する。前記試料が流動性の場合には、十分な量の物質を使用して、25mm直径の平行プレート固定治具上の1mmギャップを充填する。
(b)歪みを0.02%に設定する。
(c)1Hzを含む掃引周波数で、G’を測定する。
【0116】
本発明物品の正規化離脱力(normalized dislodgement force)及び離脱力比(dislodgement force ratio)は、次の方法で測定できる。
【0117】
機器:インストロン社製型式5544を使用する。ロードセルは、製造業者の仕様書に従って毎年較正する。ロードセルの選択は、ロードセルの推奨操作範囲内の粘着性低下によって生じる力を得て行う。これは通常、全容量の10%〜90%である。
【0118】
試験装置:円筒プローブ形状及び平面プレートは、試験装置として用いられる。前記プローブは、PMMAから作成され、表面積が0.2平方センチメートル〜10平方センチメートルである。ベースプレートとしては、同じPMMA材料を使用したが、0.64cm(1/4インチ)厚のシート形態であった。これを15.2cm×15.2cm(6インチ×6インチ)のプレートへと切断し、インストロン装置に固定した。
【0119】
水和液体:低濃度の各種塩類を含有する人工の唾液を使用して、接着剤を水和させる。
【表2】
【0120】
接着剤:0.1〜1.0gの接着剤をプローブに適用する。
【0121】
水和:水和液体(0.2mLの人工の唾液を2.0mLへ)をピペットで接着剤表面上へ載せる。次に、前記集合体を20分以上水和させる。
【0122】
試験方法:一旦前記試料を水和したら、インストロン装置に取り付け、コンピュータ制御にて試験を実施する。前記方法は、以下の工程から成る。
(a)7.4N〜73.5N(750gf〜7500gf)へと圧縮する。
(b)その圧縮力で2分間保持する。
(c)圧縮力を1.96N(200gf)まで減少させる。
(d)保持する(1分間)。
(e)1mm/sにて引っ張る。
(f)最大離脱力(Dislodgement Force)を記録する。
(g)計算:「正規化離脱力(normalized dislodgement force)」=(最大離脱力(Dislodgement Force)/(プローブ表面積));gf/cm2にて報告される。
(h)市販のフィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)義歯接着剤(P&Gにより市販用に製造されたものが入手可能)又は以下の参照配合について、工程A〜Fを繰り返す:Ca(47.5%)/Zn(17.5%)MVE/MA塩 33%、カルボキシメチルセルロースナトリウム20%、鉱油USP(6.5E−5〜7.5E−5m2/s(65〜75cst)、40℃にて)23.93%、ペトロラタムUSP(濃度17〜20mm)21.87%、コロイド状二酸化ケイ素1.14%、及びオパティント(Opatint)OD1646 0.06%。本参照配合を作成する好適な方法は、米国特許第5,073,604号(ホレヴァ(Holeva)K.)、及び米国特許第6,617,374号(ラジャイア(Rajaiah)J.)に開示されている。
(i)計算:「離脱力比(dislodgement force ratio)」=(プロトタイプ接着剤の最大離脱力(Dislodgement Force)/(フィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)の最大離脱力(Dislodgement Force))
【0123】
データ:各試料は、最小でも3回繰り返し、「正規化離脱力(normalized dislodgement force)」及び「離脱力比(dislodgement force ratio)」の平均値を報告する。
【0124】
具体的には、正規化離脱力(normalized dislodgement force)及び離脱力比(dislodgement force ratio)は、以下の手順内のパラメータを使用して測定することができる:0.25グラムの接着剤;2.5cm(1インチ)直径のプローブ;20分の水和時間;及び73.5N(7500グラム)の圧縮力。
【0125】
本発明物品の「正規化漏出量」及び「漏出比」は、以下の手順によって測定できる。
a.最初の試料重量である約0.50グラムを、ポリメチルメタクリレートから作製された2.5cm(1インチ)直径の円筒プローブ上に均一に載せる。
b.プローブを1.2mmのベースプレート(これもまたポリメチルメタクリレートから作製されている)へと運ぶ。
c.7.4N(750グラム重量)を90秒間適用する。
d.90秒で、漏出した物質を切り取り、計量する。
e.計算:「正規化漏出量」=(漏出量/最初の試料重量)×100。
f.市販のフィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)義歯接着剤クリーム(P&Gによって市販用に製造された)、又は以下の参照組成を使用して工程a〜eを繰り返す。Ca(47.5%)/Zn(17.5%)MVE/MA塩 33%、カルボキシメチルセルロースナトリウム20%、鉱油USP(6.5E−5〜7.5E−5m2/s(65〜75cst)、40℃にて)23.93%、ペトロラタムUSP(濃度17〜20mm)21.87%、コロイド状二酸化ケイ素1.14%、及びオパティント(Opatint)OD1646 0.06%。本参照配合を作成する好適な方法は、米国特許第5,073,604号(ホレヴァ(Holeva)K.)、及び米国特許第6,617,374号(ラジャイア(Rajaiah)J.)に開示されている。
g.計算:「漏出比」=プロトタイプ接着剤の正規化漏出量/フィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)の正規化漏出量。
h.各試料は、最低でも3回繰り返し、「正規化漏出量」及び「漏出比」の平均値を報告する。
【0126】
「発明を実施するための最良の形態」において引用されるすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、どの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0127】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、この発明の要旨及び範囲を逸脱せずに様々なその他の変更及び修正が可能であることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0128】
本明細書は本発明を特に指摘し、明確に請求する請求項で完結しているが、本発明は、対応する図解が添えてあり、同じ部分に同じ番号を付して要素を特定できるようにした下記の好ましい実施形態の記載からより明らかになると考える。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】義歯接着剤物品の斜視図。
【図2】義歯接着剤デリバリーシステムの断面図。
【図3】義歯接着剤デリバリーシステムの断面図。
【図4】ライナー内の2つの義歯接着剤物品の側面図。
【図5】ライナー内の2つの義歯接着剤物品の側面図。
【図6】非粘着性コーティングを含む一次パッケージの断面図。
【図7】非粘着性コーティングを含むライナーの側面図。
【図8】非粘着性コーティングを含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図9】義歯接着剤デリバリーシステムの断面図。
【図10】ストライプテキスチャーを含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図11】正方形テクスチャーを含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図12】三角形テクスチャーを含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図13】ハニカムテクスチャーを含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図14】突起を含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図15】突起を含むライナーの側面図。
【図16】突起を含む一次パッケージの断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、義歯接着剤物品、及びそのような義歯接着剤物品のためのパッケージ材料に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の可撤性義歯、義歯床などは、好適なプレート又は土台に取り付けられた歯を含む。義歯は、もともと個々のユーザーに合わせてあるが、時間とともに適合性が変化し、ずれ又は不快感をもたらすことがある。義歯を口腔表面、特に口腔粘膜に一時的に接着させるために、義歯接着剤が使用される。義歯を口腔内に置く場合、義歯接着剤は、一日の始まりに義歯又は口腔面のどちらか一方に局所的に適用され、接着剤は唾液及びの噛む作用の故に、一日の時間経過と共に生体内分解する傾向がある。
【0003】
改良された義歯接着剤製品を開発するため、長年にわたって相当な努力がなされてきた。保持の改善及び歯板の下からの接着剤の漏出を減少させようと、また使用後の散乱並びに口部及び義歯からの残留接着剤の除去困難性と避ける目的で、合成及び天然のポリマー類及びゴム類の両方が、単独で、及び各種接着剤と他の物質との組み合わせで使用されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
義歯接着剤における最近の進展としては、細長い一片として提供される義歯接着剤、又は個別包装された義歯接着剤物品が挙げられる。これらの組成物は、クリーム状義歯接着剤が適正量へ予め計量されて、特定レベルの接着性を提供するように、且つ/又はそれらが消費者に使用される際に取り散らかしたりすることが最小限になるように、それらに付加的利益を提供する。しかし、これらの義歯接着剤製品の組成物の故に、特に高温及び高圧に晒された際に物品はパッケージング材料に張り付き、且つ特に消費者の器用さに限界がある場合にパッケージングから取り外すことが困難となる。従って、義歯接着剤物品を容易に取り外すこと及び消費者が使用できるようにし且つ十分に組成物を保持し、且つ消費者に利益がある所望の製品を送達できるように義歯接着剤物品を保護するパッケージングを含む義歯接着剤システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、義歯接着剤物品と、前記義歯接着剤物品を封入し且つ保持する一次パッケージと、ライナー及びコーティングから成る群から選択される前記一次パッケージ表面への前記義歯接着剤物品表面の粘着を減少させること、前記義歯接着剤物品表面と前記一次パッケージ表面との間の接触領域を最小化すること、及びこれらの任意の組み合わせのための非粘着性手段とを含む、義歯接着剤物品デリバリーシステムに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
定義
本明細書で使用する時、用語「義歯」及び/又は「義歯補綴」とは、上側若しくは下側の義歯のどちらか一方、又はその両方のことを言う。
【0007】
本明細書で使用する時、用語「義歯接着剤物品」及び/又は「物品」とは、歯ぐき又は口蓋と同様に、義歯などの起伏のある表面に装着し、適合させ、且つ接着するように作成された物品のことを言う。本明細書の物品は、使用前に実質的に固体であり、且つ実質的に1つのものとして手で持ち上げ、義歯上に配置させることができる。
【0008】
本明細書で使用する時、用語「義歯接着剤デリバリーシステム」とは、義歯接着剤物品、一次パッケージ、及び義歯接着剤デリバリーシステムの成分が当該システムの他の成分に粘着且つ/又は付着するのを減少させるための手段の組み合わせのことを言う。
【0009】
本明細書で使用する時、用語「義歯接着剤物品」とは、歯ぐき又は口蓋と同様に、義歯などの起伏のある表面に装着し、適合させ、且つ接着するように作成された物品のことを言う。
【0010】
本明細書で使用する時、言い回し「一次パッケージ」とは、前記義歯接着剤物品を封入且つ/又は保持し、且つそれと接触する場合がある第1のパッケージング材料を指すことを意図している。
【0011】
本明細書で使用する時、用語「可撓性の」又は「可撓性物品」とは、目視観測による割れ無しで、0.67mm厚の一片の物品が1cmの直径の固体筒体の周りに180度巻きつけられることを言う。
【0012】
本明細書で使用する時、用語「安全且つ効果的な接着剤量」とは、消費者に毒性を与えたり、口腔組織に損傷を与えたりすることなく、口腔に付着力を提供する且つ/又は口腔への義歯の付着力を提供するのに十分な量を言う。
【0013】
本明細書で使用する時、「安全且つ有効な量」とは、健全な医学/歯学的判断の範囲内で、治療すべき状態を著しく(よい方向に)改変するのに、又はよい結果(benefit sought)を改善するのに十分であるが、重篤な副作用を回避できるほど低い(妥当な利益/危険比で)、薬剤の量を意味する。薬剤の安全且つ有効な量は、治療される特別な症状、治療される患者の年齢及び身体状態、症状の重さ、治療期間、併用療法の性質、使用する物質の特定の形態、並びに作用剤を適用する特別な溶媒によって変化してもよい。
【0014】
本明細書で使用する時、用語「AVE/MA」とは、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸コポリマーのことを言う。本明細書で使用する時、用語「混合ポリマー塩類」又は「混合塩類」とは、少なくとも2種類の異なったカチオン類が、同一のポリマー上で互いに混ぜ合わされているか、又はその他の塩類と一緒に混ぜ合わされた、AVE/MAの塩類のことを言う。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「遊離酸」又は「FA」成分とは、AVE/MAコポリマーの未反応のカルボキシル基(−COOH)又は当該ポリマーのカルボキシル基の任意のその他の一価のカチオン類(例えば、COONa)のいずれかを意味する。一価のカチオン類としては、IA族カチオン類、例えばナトリウム、カリウム、水素、等が挙げられる。一実施形態では、用語「遊離酸」とは、AVE/MAの未反応のカルボキシル基(−COOH)にナトリウム及びカリウムカチオン類を加えたもののことを言う。別の実施形態では、用語「遊離酸」とは、AVE/MAの未反応のカルボキシル基(−COOH)のことのみを言う。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「毒物学的に許容されうる」は、毒性特性が、ヒト及び/又は動物に投与するために適している物質を記載するために使用される。
【0017】
本発明で使用する場合、「非水性」とは、物品が付加水を含有しないが、製造業者によって商業的に供給されるような別の成分内に包含される水を含有してもよいことを意味する。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「非水溶性」とは、過剰な水に晒した際に、溶解しないが、様々な程度に分散する物質のことを言う。幾つかの実施形態では、用語「非水溶性」とは、約10%、5%、2%、又は1%未満で水に可溶性の物質のことを言う。
【0019】
本明細書で使用する時、用語「熱可塑性」とは、熱に晒した際に、溶融し、軟化し、且つより可撓性、押し出し可能、変形可能、形成可能、鋳造可能、流動性、加工可能になり、且つ/又はレオロジーが変化する物質のことを言う。一実施形態では、引き続いて冷却した際に、前記物質は一般に、固化し、硬化し、且つ/又は実質的にその原状に戻る。
【0020】
本明細書で使用する時、用語「生体内分解性」とは、物品が過剰な水又は唾液に晒された際に、物理作用且つ/又は化学作用によって時間とともに腐食することを意味する。物品を腐食させるために必要な時間は、瞬時から5日間までの任意の長さの時間であり得、一実施形態では、腐食させるための時間は、約1〜約3日間である。前記物品は、完全に又はほぼ完全に腐食してよいが、最終的には前記物品はその原形及び/又は完全性を喪失する。例えば、口腔内での少なくとも約24時間の適用及び使用後には、前記物品は義歯又は口腔面からその原形で容易に分離又は剥離するだけの十分な製品の完全性を有さない。一実施形態では、前記物品を口腔内にて約24時間使用した後、前記物品は生体内分解して、該物品のいかなる部分も義歯又は口部には残存しない。別の実施形態では、義歯を口腔から除去後、前記物品のいくらかの部分又はその残渣が、義歯又は口腔面上に残存する。しかし、前記物品のかかる部分又はその残渣は歯ブラシで磨くことで洗浄することができる。ただ、義歯から容易には分離されない。
【0021】
アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸コポリマー類のカチオン性塩機能を説明するために本発明で使用する百分率は、ポリマー上で反応した全初期カルボキシル基の化学量論的百分率として定義される。
【0022】
本明細書で使用される他の全ての百分率は、他に指示がない限り物品の重量に対してである。
【0023】
本明細書において参照される全ての測定は、特に指示がない限り25℃にて行われる。
【0024】
他に指示がない限り、本明細書において参照される成分の全ての百分率、比率、及び濃度は、成分の実量に基づいており、且つ溶媒、充填剤、又は市販の製品として前記成分がそれらと一体化される他の物質を含まない。
【0025】
本明細書で述べる全ての出版物、特許出願、及び交付済み特許は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。いかなる参照文献の引用も、特許請求した発明の従来技術としての有用性についての限定に関する容認ではない。
【0026】
この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献におけるその用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する範囲については、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先するものとする。
【0027】
義歯接着剤物品
本発明は、歯ぐき又は口蓋と同様に、義歯などの起伏のある表面に装着し、適合させ、且つ接着するように作成された義歯接着剤物品(例えば、成形された)に関する。
【0028】
一実施形態では、本明細書の物品は、物品の義歯への適用中における早すぎる粘着の問題を最小化するか又は回避する。即ち、幾つかの従来技術の義歯接着剤物品を用いた場合、物品が義歯の標的表面上に適切に配置される前に、物品が義歯と誤って接触し、早すぎる粘着が義歯の1箇所以上で生じ得る。これにより、物品の適切な位置決めが阻害されることがある。早すぎる粘着はさらに、義歯上での最終位置決め前に物品の汚染又は分解を引き起こしうる。
【0029】
一実施形態では、本明細書で使用する時、用語「乾燥接着性」とは、本物品が消費者によって適用された圧力によって活性化されるまでは、乾燥状態にて、極めて小さな接着性若しくはくっつき合う性質を示すか且つ/又はそれを全く示さないことを意味する。一実施形態では、この特徴により、早まってそれ自体にくっつく又は接着する困難に遭遇することなしに、また、剥離シート、ライナー、スペーサ等を必要とせずに、現物品を任意の所望の方式で貯蔵及び分配できるようになる。同時に、一実施形態では、所望の場所で且つ所望の時間で圧力が加えられた場合、物品は乾燥状態で、義歯表面を含むほとんどのプラスチック表面に結合を形成するのに十分な接着性を示すことができ、この結合は結合が外れることなく、義歯の取り扱いを続けるのに十分な強度がある。従って、一実施形態では、本明細書の物品は、乾燥状態において、それに圧力が加えられた場合にのみ目標義歯表面へ接着し、それによって義歯表面上での位置決め中における不注意な付着という本問題を最小化又は回避する。次に、一実施形態では、本明細書の物品は義歯への適用前に湿らせたり又は濡らしたりせず、従って物品の義歯への単純且つ容易な適用方法を提供する。
【0030】
一実施形態では、本明細書で使用する時、用語「乾燥接着性」とは、物品が消費者の手で温められた後、例えば物品を義歯表面へ適用する途中で本物品が消費者によって適用された圧力によって活性化されるまでは、極めて小さな接着性若しくはくっつき合う性質を示すか、且つ/又はそれを全く示さないことを意味する。
【0031】
別の実施形態では、本明細書の物品は、義歯への適用前に触れても非粘着性である。
【0032】
別の実施形態では、本明細書で使用する時、用語「乾燥粘着性」とは、乾燥且つ濡れていない状態の本明細書の物品は、乾燥したプラスチック、ポリメチルメタクリレート、及び/又は他の義歯補綴(prothesis)基材などへ、当該物品に圧力を加えることにより表面接着させることによって直ちに結合することが可能であることを意味する。一実施形態では、乾燥物品は、指圧の適用による乾燥義歯補綴基材への表面接着によって結合することができ、この場合当該物品はその自重下で結合したままとなり、本発明の物品は、物品を基材へ適用するために指圧を使用することなしには、その自重下で本乾燥基材へ結合したまま留まることはない。一実施形態では、力及び圧力は1本以上の指によって生み出してよい。一実施形態では、この力又は指圧は、1〜10秒間以上適用してよい。別の実施形態では、基材への物品の結合は約10秒〜約3分以上維持され、別の実施形態では、約30秒〜約1分以上維持される。
【0033】
一実施形態では、前記物品の乾燥粘着性は、約0.0002、0.0009、0.009、0.09、0.9、9.8N/cm2(0.025、0.1、1、10、100、1000グラム重量/平方センチメートル)〜約0.09、0.9、9.8、98.1、490.3、980.7N/cm2(10、100、1000、10,000、50,000、100,000グラム重量/平方センチメートル)及びこれらの任意の組み合わせである。
【0034】
一実施形態では、再配置可能な物品の乾燥粘着性は、約0.0002N/cm2(0.025グラム重量/平方センチメートル)〜約0.003N/cm2(0.30グラム重量/平方センチメートル)であり、且つ別の実施形態では、約0.0002N/cm2(0.025グラム重量/平方センチメートル)〜約0.002N/cm2(0.25グラム重量/平方センチメートル)である。
【0035】
任意の粘着性接着剤の室温弾性率は、1Hzの周波数で測定した場合、0.3MPa(3×106ダイン/cm2)未満であると報告されている。この発見は、粘着性判定基準であり、「ダルキスト(Dahlquist)の粘着性判定基準」(『接着性及び接着剤技術(Adhesion and Adhesives Technology)』(アルフォンサス・ポシウス(Alphonsus Pocius)著、第2版、2002年、カール・ハンスラー刊(ミュンヘン))と呼ばれてきた。
【0036】
本発明の一実施形態では、前記物品は「ダルキスト(Dahlquist)の粘着判定基準」である、約0.3MPa(3×106ダイン/cm2)より大きい弾性率を有する。別の実施形態では、前記物品はせん断貯蔵弾性率G’(MPa(ダイン/cm2)にて、約1Hzの周波数、約25℃で測定される)〜約0.5(5×106)超を有し、別の実施形態では、約1(1×107)超であり、別の実施形態では、約5(5×107)超であり、及び別の実施形態では、約8(8107)超である。
【0037】
一実施形態では、前記物品はせん断貯蔵弾性率G’(MPa(ダイン/cm2)にて、約1Hzの周波数、約25℃で測定される)〜約0.1、0.3、0.5、1、5、及び8(1×106、3×106、5×106、1×107、5×107、及び8×107)〜約50、5、10、500、100、及び1000(5×108、5×107、1×108)、5×109)、1×109、及び1×1010)並びに/又はこれらの任意の組み合わせを有する。
【0038】
一実施形態では、前記物品は約10g/cm未満の曲げ剛性を有し、別の実施形態では、約5g/cm未満であり、別の実施形態では、約3g/cm未満であり、別の実施形態では、約2g/cm未満であり、及び更に他の実施例では、約0.1、0.5、1〜約2、3、5、10g/cm(任意の組み合わせ)であり、曲げ剛性は、ハンドルオーメーター(Handle-O-Meter)、型式211−300号(トゥイング・アルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Company)(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手可能)を用いて、ASTM・D2923−95の試験方法に従って測定した。
【0039】
一実施形態では、本明細書の物品は約0.11MPa(1,100g/cm2)〜約1.18MPa(12,000グラム/平方センチメートル)の正規化離脱力(normalized dislodgement force)を有し、別の実施形態では、約0.13MPa(1,300g/cm2)〜約0.98MPa(10,000グラム/平方センチメートル)を有し、別の実施形態では、約0.12MPa(1,200g/cm2)〜約0.49MPa(5,000グラム/平方センチメートル)を有し、別の実施形態では、約0.14MPa(1,400g/cm2)〜約0.49MPa(5,000グラム/平方センチメートル)を有し、別の実施形態では、約0.13MPa(1,300g/cm2)〜約0.25MPa(2,500グラム/平方センチメートル)を有し、別の実施形態では、約0.17MPa(1,750g/cm2)〜約0.25MPa(2,500グラム/平方センチメートル)を有する。別の実施形態では、前記正規化離脱力(normalized dislodgement force)は、約0.11MPa(1,100g/cm2)、約0.12MPa(1,200g/cm2)、約0.13MPa(1,300g/cm2)、約0.14MPa(1,400g/cm2)、約0.15MPa(1,500g/cm2)、約0.17MPa(1,750g/cm2)〜約1.18MPa(12,000g/cm2)、約0.98MPa(10,000g/cm2)、約0.74MPa(7,500g/cm2)、約0.49MPa(5,000g/cm2)、約0.25MPa(2,500g/cm2)、約0.22MPa(2,250g/cm2)、及び/又はこれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、前記離脱力比(dislodgement force ratio)は、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0〜約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、3、4、5、6、8、10、及び/又はこれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、前記離脱力比(dislodgement force ratio)は、約1.1〜約10、約1.1〜約8、約1.3〜約4、及び/又は約1.3〜約2.5である。
【0040】
一実施形態では、本明細書の物品は、使用前に実質的に固体であり、且つ実質的に1つのものとして手で持ち上げ、義歯上に配置させることができる。更に、一実施形態では、前記物品は手で持ち上げ、且つ義歯上に配置させて、指の上にはほどんど又は全く残渣が残らないようにすることができる。別の実施形態では、前記物品は単一層より成る。更に他の実施形態では、前記物品は、ラミネート及び/又は複合材料である。一実施形態では、前記物品は予め形作られ及び/又は予め形成されている。別の実施形態では、本明細書の物品は1回容量のパッケージ、複数回容量のパッケージ、ポンプ、袋、注射器、又はチューブを使って消費者により分配、及び形作られてよい。また、更に他の実施例では、前記物品は消費者によってその手に残渣を実質的に残すことなく形作られてよい。
【0041】
一実施形態では、前記義歯接着剤物品は十分に流動性であるために、それをチューブから適用することができ、続いて持ち上げて義歯上に配置することができる。一実施形態では、前記義歯接着剤物品は十分に流動性であるために、指には残渣がほとんど/全く残らないようにそれをチューブから適用することができ、続いて持ち上げて義歯上に配置することができる。別の実施形態では、前記義歯接着剤物品は溶媒を含み、これがチューブから適用するのに十分なだけの流動性を持つ物品にする。引き続いて前記溶媒を、蒸発、バイオ吸収、分散、溶解等によって除去してよい。別の実施形態では、上記の任意の溶媒はまた、非水溶性成分と混和性である。一実施形態では、前記義歯接着剤物品は十分に流動性であるために、それをチューブから適用することができ、義歯の下からの漏出は極めて最小限に抑えられる。一実施形態では、前記義歯接着剤物品は、約0%、0.00001%、0.001%、5%、10%、15%、20%、25%、30%〜約15%、20%、25%、30%、40%、50%及び/又はこれらの任意の組み合わせの「正規化漏出量」を有する。一実施形態では、前記義歯接着剤物品は、約0、0.00001、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6〜約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、及び/又はこれらの任意の組み合わせの「漏出比」を有する。
【0042】
前記物品を小出しにする形態(予め1回分を出してある(pre-dosed)すぐ使用できる物品及び/又はチューブなどから分配される物品が挙げられるが、これらに限定するものではない)に関係なく、前記物品は使用前には実質的に固体であり且つ手で持ち上げることができる。チューブから分配可能な義歯接着剤物品は、次の方法で説明されるような物品である。
【0043】
試験を開始する前に全ての項目を読んでください。
1.製品を0.41cm(0.16インチ)直径のノズルのついたチューブに充填する。
2.2.5cm(1インチ)長の製品の一片を義歯タイル(義歯プラスチックから作製された3.8cm×3.8cm(1.5インチ×1.5インチ)平方のタイル)上に、上記ノズルを当該義歯タイルの上方約0.13cm(1/8インチ)に保持するように注意しながら、押し出す。製品を押し出す際には、ノズルが義歯タイルに触れないようにすること。
3.約2.5cm(1インチ)の製品を押し出した後、ノズルを義歯タイルの上方約0.13cm(1/8インチ)に保持し、スパチュラを使用してノズルから切片を切断する。切片を切断する際に、義歯タイルでノズルに触れたりノズルを汚したりしないこと。
4.親指と人差し指を使用して、切片の中央を保持し、垂直に持ち上げて義歯タイルに置く。義歯タイルを指で拭き取るような動作をしないこと。
5.前記組成物は、それを実質的に1つのものとして持ち上げることができれば、物品である。
【0044】
幾つかの義歯接着剤物品は、予め1回分を分量済み且つ/又はすぐ使用できるものである。消費者は、これらの品目を義歯接着剤物品として視覚的に確認することができる場合もあるが、これはそれらが多くの場合包装容器内に含有された切片の形態であるからである。しかし、これらの義歯接着剤製品が物品であることが明白でない場合、これらの義歯接着剤物品は、次の方法で物品として認識することができる。
1.組成物を約0.67mm厚×約8mm幅×約44mm長のシートに成形する。
2.義歯タイル上にシートを置く。
3.指を使ってシートを持ち上げる。
4.前記組成物は、それを実質的に1つのものとして持ち上げることができれば、物品である。
【0045】
本明細書で使用する時、実質的に1つであるとは、約75、80、85、90%〜約100、90、85、80、75、70%及び/又はこれらの任意の組み合わせの義歯接着剤組成物が、義歯表面から手で持ち上げた際に一つにとどまることを意味する。
【0046】
上述した試験方法に加えて、義歯接着剤物品はまた、漏出測定方法(ooze method)(本明細書で定義する様なもの)によって決定される漏出量によっても物品として認識することができる。手で持ち上げることができること及び実質的に1つのものとして動かすことができること加えて、義歯接着剤物品は、全組成物の約0、3、5、10、15、20、25%〜全組成物の約30、25、20、15、10、5、3%、及び/若しくはこれらの任意の組み合わせの正規化漏出量、且つ/又は約0、0.0001、0.001、0.01、0.1、0.2、0.25、0.3〜約0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5及び/若しくはこれらの任意の組み合わせの漏出比を有する。
【0047】
一実施形態では、本明細書の物品は、天然起源の成分を含む。
【0048】
一実施形態では、本明細書の物品は、義歯接着剤成分及び非水溶性熱可塑性成分の均一混合物を含む。
【0049】
前記義歯接着剤物品は、様々な形状及びサイズを有することができ、これには対称性又は非対称性のいずれかである凹形状を含むがこれらに限定するものではない。
【0050】
義歯接着剤成分
本発明は、安全且つ効果的接着剤量の義歯接着剤成分を含み、一般に、約10%〜約90の濃度であり、別の実施形態では、約15%〜約70%であり、別の実施形態では、約20%〜約70%であり、更に別の実施形態では、約25%〜約65%であり、及び更に他の実施例では、物品の約30重量%〜約65重量%である。一実施形態では、本発明の物品は、物品の少なくとも20重量%の義歯接着剤成分、及び別の実施形態では、物品の少なくとも30重量%の義歯接着剤成分を含む。
【0051】
一実施形態では、本明細書の義歯接着剤成分は、粘膜付着性、親水性、水溶性であり、水分に晒された際に膨潤する性質及び/又は水分と混ぜ合わされた場合に粘質性マスを形成する性質を有する。一実施形態では、前記義歯接着剤成分は、天然ゴム類、合成ポリマーゴム類、AVE/MA、AVE/MAの塩類、AVE/MA/IB、AVE/MA/IBの塩類、マレイン酸又は無水マレイン酸とエチレンとのコポリマー及びその塩類、マレイン酸又は無水マレイン酸とスチレンとのコポリマー並びにその塩類、マレイン酸又は無水マレイン酸とイソブチレンとのコポリマー及びその塩類、ポリアクリル酸及びそのポリアクリレート類、ポリイタコン酸及びその塩類、粘膜付着性ポリマー類、水溶性の親水性コロイド類、糖誘導体類、セルロース誘導体類、及びこれらの混合物から成る群から選択される。このような物質の例としては、カラヤゴム、グアーガム、ゼラチン、アルギン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キトサン、アクリルアミドポリマー類、カーボポール、ポリビニルアルコール、ポリアミン類、ポリ第四級化合物類、ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリアクリルアミドポリマー類、AVE/MA、AVE/MA/IB、AVE/MAの混合塩類、AVE/MA/IBの混合塩類、ポリマー酸類、ポリマー塩類、ポリヒドロキシ化合物類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
一実施形態では、前記義歯接着剤成分は、AVE/MAの塩類、AVE/MAの混合塩類、セルロース誘導体類(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物)、ポリエチレングリコール、カラヤゴム、アルギン酸ナトリウム、キトサン、コーンスターチ、及びこれらの混合物から成る群から選択される。更に他の実施形態では、前記接着剤成分は、AVE/MAの混合塩類、セルロース誘導体類、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0053】
一実施形態では、前記義歯接着剤成分は、熱可塑性ではなく且つ/又はほんの低濃度の水溶性熱可塑性ポリマー類、約0.01重量%〜約5重量%のポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxyproplymethylcellulose)などの水溶性熱可塑性ポリマー、ポリエチレングリコールを含み、別の実施形態では、約0.01〜約1%の水溶性熱可塑性ポリマーを含み、又は実質的に水溶性熱可塑性ポリマー類を有しない。
【0054】
アルキルビニルエーテル−マレインコポリマー
本発明の一実施例において、前記義歯接着剤成分は、AVE/MA又はAVE/MAの塩類である。アルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマーは、次の繰り返し構造単位を含むか、又は基本的にそれから構成される。
【化1】
[式中、Rはアルキルラジカルを表し、一実施形態ではC1〜C5アルキルラジカルであり、nは1より大きい整数であってポリマーの分子内での前記構造単位の繰り返し出現数を表す。]
【0055】
一実施形態では、前記接着剤成分はAVE/MA及びその塩類であり、好ましくはAVE/MAの混合塩類であり、この際、前記コポリマーが、周期律表のIA族及び2A族のカチオン類である、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されるカチオンを含むカチオン性塩機能を含有する。別の実施形態では、前記接着剤成分は、ストロンチウム、亜鉛、鉄、ホウ素、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、イットリウム、チタン、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されるカチオンを含むカチオン性塩機能を含有するAVE/MAの混合塩であり、並びに更に他の実施形態では、前記カチオンが、ストロンチウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0056】
AVE/MAは、一実施形態では、約5%〜約50%の亜鉛カチオン類を含むカチオン性塩機能、別の実施形態では、約10%〜約40%の亜鉛カチオン類、更に他の実施例では、約10%〜約35%(反応した全初期カルボキシル基に対して)の亜鉛カチオン類を含有する。これらの亜鉛カチオンは、約5%〜約65%の、好ましくは約10%〜約60%のストロンチウムカチオン類、約0.001%〜約2.5%の、好ましくは約0.01%〜約2%の鉄、ホウ素、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、イットリウム、及び/又はチタンカチオン類、約5%〜約65%、好ましくは約15%〜約50%のカルシウム及び/若しくはマグネシウムカチオン類並びに/又はナトリウムカチオン類から成る群から選択される他のカチオンと混合されることができる。
【0057】
AVE/MA及びその塩類は、米国特許第5,073,604号(ホレヴァ(Holeva)ら、1991年12月17日発行)、米国特許第5,525,652号(1996年6月11日発行、クラーク(Clarke)ら)、米国特許第6,025,411号(2000年2月15日発行、ウォン(Wong)ら)、米国特許第4,758,630号(1988年7月19日発行、シャア(Shah)ら)、米国特許第5,304,616号(1994年4月19日、ラジャイア(Rajaiah)ら)、米国特許第5,424,058号(1995年6月13日発行、ラジャイア(Rajaiah))、米国特許第5,424,058号(1995年6月13日発行、ラジャイア(Rajaiah)ら)、米国特許第4,758,630号(1988年7月19日発行、シャア(Shah)ら)、米国特許第5,830,933号(1998年12月3日発行、シノディス(Synodis)ら)、米国特許第2,047,398号(1936年7月14日、ヴォス(Voss)ら)、米国特許第3,003,988号(1961年10月10日発行、ゲルマン(Germann)ら)、米国特許第5,880,172号(ラジャイア(Rajaiah)ら、1999年3月9日発行)、米国特許第5,900,470号(プロサイス(Prosise)ら、1999年5月4日発行)、米国特許第5,037,924号(タジ(Tazi)ら、1991年8月6日発行)、米国特許第5,082,913号(タジ(Tazi)ら、1992年1月21日発行)にも記載されており、これらすべては、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。AVE/MAの塩類はまた、P&G社の同時係属出願である米国特許第6,355,706号(ラジャイア(Rajaiah)ら、2002年3月12日発行)、米国特許第6,617,374号(ラジャイア(Rajaiah)ら、2003年9月9日発行)に記載されている。
【0058】
一実施形態では、AVE/MA塩類又はAVE/MA/IB塩類の遊離酸濃度は、コポリマーの反応した全初期カルボキシル基の少なくとも約36%であり、別の実施形態では約36%〜約60%であり、更に別の実施形態では約40%〜約55%である。
【0059】
一実施形態では、出発物質たるコポリマー酸又はコポリマー無水物の比粘度は、好ましくは25℃にてMEK(メチルエチルケトン)の1%重量/体積溶液中で測定した場合に、約1.2〜約1.4である。その他の方法及び溶媒を使用して、25℃にてDMF(ジメチルホルムアミド)の1%重量/体積溶液として、及び25℃にて2−ブタノンの1%重量/体積溶液として、比粘度を測定することが可能である。
【0060】
好適なAVE/MAコポリマー類は、従来技術の周知の方法により調製されてよい。米国特許第2,782,182号、及び米国特許第2,047,398号を参照のこと。
【0061】
AVE/MAの混合塩類ポリマー類の製造方法は更に、米国特許第5,073,604号(ホレヴァ(Holeva)ら、1991年12月17日発行)及び米国特許第5,872,161(リアン(Liang)ら、1999年2月16日発行)に開示されている。
【0062】
非水溶性成分
本発明の物品は、安全且つ有効な量の非水溶性成分を含む。一実施形態では、本成分は当該物品の約2、5、10、20、25、30、35重量%〜約45、50、60、70、90重量%、及び/又はこれらの任意の組み合わせの濃度範囲であり、別の実施形態では、前記非水溶性成分の濃度は、物品の約20重量%〜約70重量%、約25重量%〜約60重量%、又は約35重量%〜約60重量%である。更に他の実施例では、前記非水溶性成分は非水溶性であると共に水中で実質的に非膨潤性である。
【0063】
一実施形態では、前記非水溶性成分は、鉱油、天然及び合成油類、脂肪類、シリコーン、シリコーン誘導体類、ジメチコン、シリコーン樹脂、炭化水素類、炭化水素誘導体類、エッセンシャルオイル類、植物油類、ポリブテン類、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド類、コーン、大豆、綿実、ヒマシ油(castor)、パーム油、ココヤシ油類、動物油類、魚油、オレイン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される非水溶性液体成分である。別の実施形態では、前記非水溶性成分はPDMSゴム、又はPDMSゴムと揮発性イソパラフィンなどの溶媒から注型されるMQ樹脂との混合物である(米国特許第6,074,654号を参照のこと)。
【0064】
一実施形態では、前記非水溶性成分は、ゴム、エラストマー類、プラストマー類、天然ワックス、合成ワックス、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース性樹脂類、アクリル樹脂類、ペトロラタム、及びこれらの混合物から成る群から選択される非水溶性熱可塑性成分である。別の実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は、天然ワックス、合成ワックス、ペトロラタム、ポリエチレン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。更に他の実施例では、前記非水溶性熱可塑性成分は、ポリエチレン、ペトロラタム、パラフィンワックス、微結晶ワックス、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びこれらの混合物から成る群から選択され、別の実施形態では、ポリエチレン、微結晶ワックス、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0065】
一実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は、エチレン−エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−エチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンゴム、及びこれらの組み合わせなどのエラストマー類を含み、これらは所望により、更にワックス類と混ぜ合わされてよい。
【0066】
一実施形態では、本明細書の物品は約25〜約350の針入度を有する非水溶性熱可塑性成分を有し、別の実施形態では、約27〜約250であり、別の実施形態では、約30〜約150であり、別の実施形態では、約40〜約150であり、別の実施形態では、約50〜約80であり、更に他の実施例では、約60〜約80である。針入度値は、ASTM D1321方式を使用して測定した場合に約25〜約250であり、針入度値は、ASTM D937方式を使用して測定した場合に約25〜約350であり、両方ともに当該技術分野において既知の既存の方法である。ASTM D937及びASTM D1321は一般に、ペトロラタム又は石油ワックス類それぞれの針入度を測定するために使用されるが、これらの方式は、適切な改質によって石油及び他のタイプの非水溶性熱可塑性成分から誘導されるワックス類の針入度を測定するために使用してもよく、例えば、これら他の成分は、当業者には明らかな高温で溶融する必要がある場合がある。
【0067】
上記の針入度値を得る際には、これらの針入度値から離れている非水溶性熱可塑性成分を熱可塑性成分の針入度を変更する別の成分と混合してもよい。従って、非水溶性熱可塑性成分は単一成分であってもよく、又は混合成分であってもよい。例えば、約15〜約20の針入度値を有するマルチワックス(Multiwax)W180(ウィトコ社(Witco)(ソネボーン、クロンプトン)製)を、ペトロラタムと(1:1の比率で)混合し、針入度値を25超まで上げてもよい。
【0068】
一実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は天然又は合成ワックスである。これらのワックスとしては、動物ワックス、野菜ワックス、鉱物ワックスなどの天然ワックス類が挙げられる。動物性ワックス類としては、蜜蝋、ラノリン、セラック蝋、シナ蝋などが挙げられる。野菜ワックス類としては、カルナウバ、キャンデリラ、ヤマモモ、サトウキビ、等が挙げられ、及び鉱物ワックス類としては、化石ろう又は地ろう(オゾケライト、セレシン、モンタン・ワックス)及びパラフィン、微結晶、などの石油ワックス類が挙げられる。一実施形態では、本明細書のワックス類は蜜蝋、キャンデリラ、カンデラ、カルナウバ、パラフィン、微結晶性ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びこれらの混合物から成る群から選択される天然ワックス類である。
【0069】
別の実施形態では、前記ワックスはクロンプトン(Crompton)及びソネボーン(Sonneborn)(ウィトコ社(Witco))が製造した微結晶性ワックスであり、マルチワックスW(MutiwaxW)−835の商標で呼ばれ且つ販売されている。本ワックスは、約73.9℃〜約79.4℃(ASTM D127)の範囲の融点を有し、約60〜約80の針入度(25℃にて)(ASTM D1321)を有し、約75〜約90の運動粘度(98.9℃にて)(ASTM D2161)を有し、約246℃の引火点(COC)(最低)(ASTM D92)を有し、且つ約77℃の凝固点(ASTM D938)を有する。
【0070】
一実施形態では、本明細書で有用なパラフィンワックス類は一般に、約65℃〜約80℃の範囲の融点を有することができ、別の実施形態では、約70℃〜約75℃の範囲の融点を有することができ、本明細書で有用な微結晶性ワックスは、約65℃〜約90℃の融点を有することができ、別の実施形態では、約80℃〜約90℃の融点を有することができ、本明細書で有用な蜜蝋は、引火点は242℃で、約62℃〜約65℃の融点を有することができ、本明細書で有用なキャンデリラろうは、約68℃〜約72℃の融点を有することができ、本明細書で有用なカルナウバろうは、約83℃〜約86℃の融点を有することができ、本明細書で有用なフィッシャー・トロプシュろうは、約95℃〜約120℃の融点を有することができる。天然グレードと類似の性質を持つ、合成グレードの蜜蝋、キャンデリラ、及びカルナウバワックス類もまた入手可能である。
【0071】
別の実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は、ハネウェル(Honeywell)社により、98.5及び90.0の針入度値をそれぞれ持つようにして、ASTM D1321に従って製造されたA−C 1702及びA−C 6702ポリエチレンである。
【0072】
一実施形態では、前記物品がポリエチレンオキシドを含有する場合、非水溶性成分が熱可塑性であるか又は物品が繊維性紙ウェブ若しくはラミネート紙を包含しないかのいずれかである。
【0073】
一実施形態では、本明細書の物品はアルコールと混合した蜂蜜を実質的に含まない。別の実施形態では、前記物品はエチルアルコール内にポリ酢酸ビニル樹脂を実質的に含まない。
【0074】
様々な任意成分
可塑剤
本発明の物品はまた所望により、1以上の安全且つ有効な量の毒物学的に許容可能な可塑剤類を含んでよい。一実施形態では、前記可塑剤の濃度が前記物品の約0.0重量%〜約40重量%であり、一実施形態では、約0.01重量%〜約40%重量であり、別の実施形態では、約1重量%〜約10重量%であり、別の実施形態では、約2重量%〜約5重量%である。更に他の実施形態では、前記義歯接着剤物品は可塑剤を含まない。
【0075】
本発明の好適な可塑剤類としては、ポリオール類(例えば、ソルビトール)、グリセリン、プロピレングリコール、アセチル化モノグリセリド、硬化デンプン加水分解物類、コーンシロップ類、及びこれらの誘導体類;キシリトール、脂肪酸類を有するグリセロールモノエステル類、トリアセチン、ジアセチン、及びモノアセチン;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリクレシルホスフェート、ジメチルセバケート、エチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、o−及びp−トルエンエチルスルフォンアミド、フタル酸誘導体、グリセロールトリアセテート、クエン酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール、グリコール誘導体、パラフィンワックス、脂肪酸のペンタエリスリトールエステル、ステアリン酸誘導体、モノステアリン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、ブチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、トリアセチン、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリフェニルホスフェート、ジエチレングリコール、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/カプレート及び/又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
別の実施形態では、前記可塑剤は非水溶性である。
【0077】
一実施形態では、前記義歯接着剤物品が熱可塑性的に押し出された場合、可塑剤成分の作用の結果として、硬化及び固定することはない。別の実施形態では、前記可塑剤成分は前記非水溶性成分又は前記義歯接着剤物品を固結させない。別の実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は硬化及び固定しない。
【0078】
あるいは、一実施形態では、前記義歯接着剤物品は可塑剤を実質的に含まなくてよい。一実施形態では、前記義歯接着剤物品は、ポリエチルメタクリレート、トリアセチン、フタル酸誘導体、グリセロールトリアセテート、クエン酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール、グリコール誘導体、パラフィンワックス、脂肪酸のペンタエリスリトールエステル、ステアリン酸誘導体、モノステアリン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、ブチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、トリアセチン、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリフェニルホスフェート、ジエチレングリコール、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/カプレート及び/又はそれらの組み合わせを実質的に含まないことができる。
【0079】
ゲル化剤
本発明の物品はまた所望により、1以上の安全且つ有効な量の毒物学的に許容可能なゲル化剤類を含んでよい。一実施形態では、前記ゲル化剤の濃度が前記物品の約0.01重量%〜約40重量%であり、別の実施形態では、約1重量%〜約10重量%であり、別の実施形態では、約2重量%〜約5重量%である。
【0080】
本発明の好適なゲル化剤類としては、ISP社よりガネックス(Ganex)V−220Fの商標名で販売されているポリビニルピロリドン/エイコセンコポリマー、ISP社よりガネックス(Ganex)WP−660の商標名で販売されているトリコンタニルポリビニルピロリドン、シルヴァクリア・ライトワックス(Sylvaclear Lightwax)を包含する、シルヴァクリア(Sylvaclear)、シルヴァコート(Sylvacote)、シルヴァゲル(Sylvagel)、ユニクリア(Uniclear)(全てアリゾナ・ケミカル社(Arizona Chemical)から入手可能な)を含むポリアミドゲル化剤類(gallants)、シルヴァクリア(Sylvaclear)PA20、シルヴァクリア(Sylvaclear)PA30、シルヴァクリア(Sylvaclear)PA50、シルヴァコート(Sylvacote)2228、シルヴァコート(Sylvacote)2228E、シルヴァゲル(Sylvagel)5000、シルヴァゲル(Sylvagel)6000、ユニクリア(Uniclear)100、ユニクリア(Uniclear)100VG、ユニクリア(Uniclear)80、ユニクリア(Uniclear)80V、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
フレーバ類、芳香剤類、知覚物質類
本発明の物品は、風味、芳香、及び/又は知覚効果を提供する1つ以上の成分(暖気剤又は涼気剤)を含んでもよい。好適な成分としては、メントール、ウィンターグリーン油、ペパーミント油、スペアミント油、青葉アルコール、クローブバッド油、アネトール、メチルサリチレート、オイカリプトール、カッシア、1〜8メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、オランダセリ油、オキサノン、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、チモール、リナロール、CGAとして知られているシンナムアルデヒドグリセロールアセタール、及びこれらの混合物並びに冷却剤類が挙げられる。前記冷却剤は、多種多様な物質のいずれかであり得る。このような物質には、カルボキサミド類、メントール、ケタール類、ジオール類、及びこれらの混合物が包含される。一つの実施形態において、本発明の物品の冷却剤類は、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、及びこれらの混合物のようなパラメンタンカルボキサミド剤から成る群から選択される。追加の好ましい冷却剤類は、メントール、TK−10として既知の3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール(高砂(Takasago)製)、MGAとして既知のメントングリセロールアセタール(ハーマン(Haarmann)&ライマー(Reimer)製)及びフレスコラート(登録商標)(ハーマン(Haarmann)&ライマー(Reimer)製)として既知のメンチルラクテートから成る群から選択される。本明細書で使用する時、用語「メントール」及び「メンチル」としては、これらの化合物類の右旋性−及び左旋性の異性体、並びにこれらのラセミ混合物を包含する。TK−10は、米国特許第4,459,425号(アマノ(Amano)ら、1984年7月10日)に記載されている。WS−3及び他の薬剤が、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日発行)に記載されている。これらの薬剤は、前記物品の約0重量%〜約40重量%、別の実施形態では約0.05重量%〜約5重量%、及び別の実施形態では約0.1重量%〜約2重量%の濃度で存在してよい。
【0082】
他の任意成分
前記義歯接着剤物品はまた、局所投与に適した1つ以上の治療活性物質を含むことができる。治療活性物質は、前記物品の0重量%〜約70重量%の濃度で、及び一実施形態では、前記物品の約1重量%〜約20重量%の濃度で存在してもよい。治療活性物質としては、ヨウ素、トリクロサン、過酸化物、スルホンアミド類、ビスビグアニド類、又はフェノール樹脂類などの抗菌剤;テトラサイクリン、ネオマイシン、カナマイシン、メトロニダゾール、塩化セチルピリジウム、臭化ドミフェン、又はクリンダマイシンなどの抗生物質;アスピリン、アセトアミノフェン、ナプロキセン及びその塩類、イブプロフェン、ケトロラク、フルルビプロフェン、インドメタシン、オイゲノール、又はヒドロコルチゾンなどの抗炎症剤;硝酸カリウム、塩化ストロンチウム又はフッ化ナトリウムなどの歯の減感剤;フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、MFPなどのフッ化物;リドカイン又はベンゾカインなどの麻酔剤;カンジダ・アルビカンスを治療するためなどの抗カビ剤;カンファー、ユーカリ油、及びベンズアルデヒドなどのアルデヒド誘導体類などの芳香族;インスリン;ステロイド類;ハーブ及びその他の植物から抽出される治療薬;並びに重曹が挙げられる。ある種の形態の治療では、同一デリバリーシステム内でのこれらの薬剤の組み合わせが、最大の効果を得るために有用な場合があると認識されている。このため、例えば、総合的な効果を提供するために、抗菌剤及び抗炎症剤を単一のデリバリーシステム内で一体化してよい。
【0083】
その他の好適成分としては、着色剤、防腐剤(メチルパラベン類及びプロピルパラベン類など)、二酸化ケイ素などの増粘剤、並びにポリエチレングリコールが挙げられる。着色剤、防腐剤及び増粘剤は、物品の約0重量%〜約20重量%、別の実施形態では、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で存在してよい。
【0084】
更に、前記物品は、1種類以上の溶媒を含んでもよい。これらの任意の溶媒は、前記非水溶性成分と混和性であってよく及び/又はその場で消失させることができる。一実施形態では、これらの溶媒は、蒸発、溶解、分散、バイオ吸収、又は任意の他の好適な手段によってその場で消失させてもよい。別の実施形態では、これらの溶媒は、その場で消失して義歯接着剤物品を残してもよい。かかる溶媒は、1E−5、0.0001、0.001、0.005Pa・s(0.01、0.1、1、5センチポアズ)(20℃にて)〜0.005、0.01、0.1、1Pa・s(5、10、100、1000センチポアズ)(20℃にて)の範囲の粘度を、これらのレベルの任意の組み合わせで有する物質を含んでよい。一実施形態では、これらの溶媒はシリコーン類、炭化水素類、イソ−ドデカン、イソ−ヘキサデカン、イソ−エイコサン、及び/又はポリイソブテンであってもよい。好適な等級の溶媒としては、パーメチル(Permethyl)97A、99A、101A、102A、及びこれらの混合物などのパーメチル(Permethyl)シリーズ(プレスパーズ社(Prespers Inc.)(ニュージャージー州)により販売されている)が挙げられる。
【0085】
一次パッケージ
前記一次パッケージは、義歯接着剤物品を封入且つ保持しながら、義歯接着剤デリバリーシステムのその他成分と反応して悪影響を与えることなく、前記義歯接着剤デリバリーシステムの成分と接触することができる任意の物質を含むことができる。前記一次パッケージングは、周縁部近辺にて密閉することができる。消費者が一次パッケージを開けて、使用するために義歯接着剤物品を取り出し、義歯及び/又は口腔面へ適用するまで、前記一次パッケージは義歯接着剤物品を保持する。一実施形態では、前記一次パッケージは、ポリエチレン、エチルビニルアセテート、エチルビニルアルコール、デュポン社製マイラー(Mylar)などのポリエステル類、デュポン社製テフロン(登録商標)などのフッ素樹脂類、及びこれらの組み合わせ等のポリマー類を含むが、これらに限定するものではない。更に、一実施形態では、前記一次パッケージは、ポリオレフィンから、例えばポリエチレン又はポリプロピレンから形成することができる。別の実施形態では、前記一次パッケージは、ポリオレフィンブレンド類、ポリエチレンブレンド類、ポリプロピレンブレンド類、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態では、前記一次パッケージはホイル、ポリエチレン、ポリプロピレン等を含む各種材料のラミネートであることができる。
【0086】
非粘着性パッケージング
上記義歯接着剤物品は、特に、当該義歯接着剤物品が保管及び出荷中に極温に晒される場合、その組成物に起因してパッケージング材料へ粘着する場合がある。前記義歯接着剤物品は、当該義歯接着剤物品の非水溶性熱可塑性成分が、ゴム、エラストマー類、プラストマー類、天然ワックス、合成ワックス、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース性樹脂類、アクリル樹脂類、ペトロラタム、及びこれらの混合物を含む場合、パッケージングへより粘着する傾向が強い場合がある。別の実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は、天然ワックス、合成ワックス、ペトロラタム、ポリエチレン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。更に他の実施形態では、前記非水溶性熱可塑性成分は、ポリエチレン、ペトロラタム、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。別の実施形態では、ポリエチレン、微結晶性ワックス、及びこれらの混合物から成る群から選択される。これら上記不溶性熱可塑性成分は、本発明の包装容器に接着する傾向が強くなるか、あるいは義歯接着剤物品の成分の一部がパッケージング材料に吸収されやすくなるかのいずれかとなる場合がある。
【0087】
前記義歯接着剤物品のパッケージング材料への粘着を最小化するためには、(i)一次パッケージと義歯接着剤物品との間にライナーを配置すること、(ii)一次パッケージ、義歯接着剤物品、及び/又はライナーを、シリコーン等の非粘着性組成物でコーティングすること、及び(iii)義歯接着剤物品及び一次パッケージ及び/又はライナー間の接触領域を最小化すること、及び(iV)これら手段の任意のものによる任意の組み合わせを含む種々の手段を使用することが可能であるが、これらに限定するものではない。これらの手段は、義歯接着剤物品の任意の成分がパッケージング材料へ吸収されるのを最小化することもできる。
【0088】
ライナー
一実施形態では、義歯接着剤物品の一次パッケージへの粘着は、ライナー(20)を一次パッケージ(22)及び義歯接着剤物品(24及び26)の間に含むことによって(図2〜5に示すように)最小化することができる。義歯接着剤物品(24及び26)は、2つの別個のライナー(図示せず)の間、又は義歯接着剤物品の両面に接触するように折り畳まれた単一ライナー(20)の間に(図4〜5に示すように)配置することができる。義歯接着剤物品は、左右に積み重ねるか(図2及び図4に示すように)又は端部と端部を重ねるか(図3及び図5に示すように)のいずれかで配置することができる。前記ライナー(20)は、義歯接着剤物品がそれに対して親和性をほとんど持たないか又は全く持たない任意の材料であり得、硫酸紙、シリコーンゴム、シリコーンフォーム類、シリコーンコーティングフィルム類、シリコーンコーティングペーパー、シリコーン含浸紙、ハイドロフォームフィルム類、テクスチャードフィルム類、及び/又はラミネート類が挙げられるがこれらに限定するものではない。一実施形態では、前記ライナーは硫酸紙である。別の実施形態では、前記ライナーはシリコーンを含浸させた硫酸紙である。前記ライナーは、基本的に平坦であり得、又はそれは非平坦であることができる。
【0089】
コーティング
別の実施形態では、義歯接着剤物品の一次パッケージへの粘着は、義歯接着剤物品、一次パッケージ、及び/又はライナーをコーティングすることによって最小化される(図6〜図8に示すように)。前記コーティングとしては、シリコーン化合物類、シリコーンポリマー類、熱硬化シリコーン類、架橋型シリコーン類、フルオロ化合物類、及び/又はUV硬化シリコーン類を挙げることができる。前記コーティングは、義歯接着剤物品を一次パッケージ内にパッケージングするに先だって適用することができる。コーティング(30)は、一次パッケージング(32)の内面へ適用することができ、コーティング(34)は、ライナー(36)の接触面へ適用することができ、及び/又はコーティング(38)は、物品(40)の接触面へ適用することができる。コーティングは、接触面である全ての表面を含む義歯接着剤デリバリーシステム表面の任意の箇所又は全てへ適用することができるが、これらに限定するものではない。本コーティングは、一次パッケージ、接着剤及び/又はライナー上へ、スプレーコーティング、ロールコーティング、スロットコーティング、印刷、及び/又はブラシコーティングを含む任意の好適な方法を使用して適用することができる。
【0090】
表面接触の最小化
更に他の実施形態では、義歯接着剤物品並びに一次パッケージ及び/又はライナー間の接触領域は、物品、一次パッケージ及び/又はライナーの接触面を変化させることにより最小化させることができる。隣接する接触面の表面積における接触部が増大するに伴い、隣接する接触面がお互いに対して接着する可能性が高まる。接触面は、物品、一次パッケージ、及び/又はライナーの別の表面と接触する、物品、一次パッケージ、及び/又はライナーの表面である。例えば(図9に示すように)、前記一次パッケージ(42)の接触面(50)は、ライナー(44)の外接触面(52)に接触し、且つ、ライナー(44)の内接触面(54)は、物品(46及び48)の接触面(図示せず)に接触し、且つ物品(46)の接触面(56)は、ライナー(44)の接触面(58)に接触し、且つ、ライナー(44)の外接触面(60)は、一次パッケージ(42)の接触面(62)と接触する。義歯接着剤物品(46及び48)の全表面が接触面であり、それ故、全表面がライナー(44)又は一次パッケージ(42)のいずれかと接触する。
【0091】
物品、一次パッケージ、及び/又はライナーの接触面間の接触領域を最小化するために、物品、一次パッケージ及び/又はライナーの接触面のうち少なくとも1つをテクスチャード加工することができる。接触する接触面の総表面積が増加するに伴い、お互いに対して粘着する接触面もまた増加する可能性が高まる。前記テクスチャーは、突出、突起部、ディンプル、くぼみ、刻み目及びこれらの任意の組み合わせによって作成してよく、且つ当該テクスチャーはランダムに又はパターンで形成することができる。前記テクスチャーは、ストライプ、スポット、正方形、三角形、円形などの形状、及びこれらの任意の組み合わせの形態であることができる(図10〜図13に示すように)。図10は、ストライプテクスチャー(72)を含む歯接着剤物品(70)を表している。図11は、正方形テクスチャー(82)を含む歯接着剤物品(80)を表している。図12は、三角形テクスチャー(92)を含む義歯接着剤物品(90)を表し、図13はハニカムテクスチャー(102)を含む義歯接着剤物品(100)を表している。更に、図14〜図16で、レイズドテクスチャーは、義歯接着剤物品(200)の接触面(204)からの突起(202)、ライナー(300)の接触面(304)からの突起(302)、及び一次パッケージ(400)の接触面(404)の1つからの突起(402)として示される。テクスチャリングは、少なくとも1つの接触面上にパターンをエッチングすること、エンボス加工すること、物品、一次パッケージ及び/又はライナーの接触面(単一又は複数)の少なくとも1つへ、製造中にパターンを形成すること、且つ/又は物品、一次パッケージ及び/又はライナー等の接触面の少なくとも1つの上へテクスチャーを印刷することを含むいずれかの適した方法によって完了することができる。更に、物品、一次パッケージの複数の接触面及び/又はライナー表面がテクスチャード加工される場合、物品、一次パッケージ、及び/又はライナーのうちの1つの接触面上にテクスチャリングすると、物品、一次パッケージ及び/又はライナーの他の接触面は異なったテクスチャーを有することができる。一実施形態では、物品、一次パッケージ及びライナーはいずれもテクスチャード加工される1つ以上の接触面を有する。別の実施形態では、ライナー及び物品の全接触面がテクスチャード加工される。更に他の実施形態では、ライナー、物品及び一次パッケージの接触面がテクスチャード加工される。
【0092】
一実施形態では、前記義歯接着剤デリバリーシステムは、テクスチャード加工された接触面を有する義歯接着剤物品、テクスチャード加工された接触面を有し且つシリコーンでコーティングされたライナー、及び一次パッケージを含む。
【0093】
物品の製造プロセス
本発明で利用される物品は、当該技術分野、例えばフィルム製造産業において公知のプロセスである、キャスティング、コーティング、カレンダー工法、押出成形などにより形成される。一実施形態では、前記物品の個々の成分を溶融し、次に均一混合物が得られるまで、混合タンク内で混合する。その後、前記溶融混合物を許容可能な厚さで適切な基材上にキャストしてよい。かかる基材の例としては、マイラー(Mylar)、連続運転ステンレス鋼ベルト(必要であれば、最終的には乾燥器セクションに入る)、剥離紙などが挙げられる。次に、前記物品は冷却される。次に、必要であれば前記物品を、例えば強制空気オーブン内で乾燥してもよい。乾燥用空気温度及び乾燥時間は、当該技術分野において認識されている様に、利用される溶媒の性質に依存する。一般に、前記乾燥温度としては、約25℃〜140℃、別の実施形態では約60°〜90℃の間の温度で、約20分〜約60分間の持続時間、別の実施形態では約30〜約40分間が挙げられる。次に、前記物品は、所望の寸法を備えた所望の形状に切断し、次に積み重ねて且つ/又は引き続いて梱包してよい。
【0094】
一実施形態では、処理後に、次に前記物品を所望の形状へと打抜き切断する。これらの形状によって、前記物品の義歯への適用が容易になることがある。
【0095】
一実施形態では、特に、本発明の物品は次の様にして処理される。1.ワックス成分を溶かす。2.任意の他の接着剤成分を有するAVE/MA塩(類)を混ぜ合わせる。3.接着剤混合物をワックス融液に加える。4.撹拌して均一混合物にする。5.前記均一混合物を鋳型又は好適な表面上に注ぎ込む。6.前記混合物を固化するまで冷却する。7.基材又は鋳型から取り外すか又は所望の形状に切断する。
【0096】
当該技術分野において既知の別の公知のフィルム製造方法は、押出成形である。この方法は、フィルムの膜形成成分が各種の押し出し可能な物質を含む場合に可能である。押出成形プロセスの機械的な部分、例えば、利用される特定の装置、押出成形力、オリフィス及び/又はダイの形状及び温度は、当該分野の技術の範囲内であるとみなされ、本明細書に記載される物品の物理特性を達成するために既知の態様で変更することができる。
【0097】
一実施形態では、本明細書の物品の厚さは一般に、約0.1mm〜約2.5mm、別の実施形態では、約0.4mm〜約1.5mm厚、別の実施形態では、約0.5mm〜約1mm厚である。前記物品は、消費者又は着用者の望む緩衝作用の程度により、より厚く又はより薄くてもよい。
【0098】
一実施形態では、本明細書の物品は所望により、多相であるか又は視覚的に区別可能な相を有してよい。別の実施形態では、本明細書の物品は所望により、剥離ライナーを有してよい。
【0099】
物品の使用法
本発明の物品は一般に、義歯補綴に適用され、その後、義歯を口腔に固定される。一実施形態では、義歯は物品の適用に先だって乾燥される。一実施形態では、物品を義歯補綴に粘着させるために、義歯補綴に物品を適用する前に、物品及び/又は義歯補綴を濡らす必要がない。物品は、補綴具上の任意の好適な場所に適用してよい。一実施形態では、前記義歯着用者は一般に、約1時間〜約3日間、別の実施形態では、約6時間〜約24時間、物品を装着する。使用後、補綴具を口腔から取り除き、あらゆる残った物品を補綴具から、例えば水とブラシで穏やかなスクラビングによって洗浄してよい。
【実施例】
【0100】
物品
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これら実施例は、説明の目的のためのみに提示するものであって、本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明の要旨及び範囲を逸脱することなく、これらの多くの変更が可能である。
【0101】
(実施例I)
【表1】
【0102】
微結晶性ワックスW−835(又はポリエチレンAC1702又はA−C 6702)を溶融し、他の成分をそれと混合する。次に、前記混合物を押出成形又は圧延などの任意の好適な手段によって、0.50mm、0.67mm、0.73mm、又は1.0mm等の好適な厚さのシートに作成する。次に、前記シートを義歯への適用に適した形状へと切断する。
【0103】
実施例Iにおいては、Ca/Zn AVE/MA塩の全て又は一部は、Mg/Zn/Na AVE/MA塩類及び/又はCa/Na AVE/MA塩類で置換されてもよく、CMCの全て又は一部は、カラギーナン、及び/又は好適なセルロース誘導体類によって置換されてもよく、微結晶性ワックスW−835の全て又は一部は、ポリエチレンA−C 1702(ハネウェル(Honeywell)から入手可能)、及び/又はポリエチレンA−C 6702(ハネウェル(Honeywell)から入手可能)で置換されてもよく;且つ/又は、各成分の量はまた、約50%以下にて増加又は減少してもよい。上記実施例の各々は、物品へ調製するに先だって互いにブレンドされてよく、且つ/又は互いに合わせて使用して、多層物品を形成してもよい。
【0104】
一実施形態では、前述の実施例のバイオエロージョンを測定するために、試料をワイヤメッシュの上に置いたままで、試料の検査用サンプルの最上部に水源からの水を30分間当てる。水供給源は、温度が39±1℃且つ流量が16±1mL/秒になるように調節した実験室の給水栓である。漏斗を使用して流れを集め、圧力及び温度が水線内で小さく変動する影響を抑える。前記ワイヤメッシュ格子は、約0.23cm×0.23cm(0.09インチ×0.09インチ)の正方形開口部を有し、前記漏斗先端の下方6.4cm(2.5インチ)に置き、支持用金属製リングに固定する。0.025gの重さの試料をメッシュ上に置き、当該試料のバイオエロージョンを0分、10分及び30分行わせたものを写真に撮る。30分後、検査用サンプル残渣を含有するワイヤメッシュを取り除き、1時間60℃にて減圧下に加熱して、残りの水を全て除去する。加熱期間後、最終重量を計測し、バイオエロージョンによる減量分を計算する。試料当たり3個の検査用サンプルの平均を使用して、バイオエロージョンの時間及び減量分を計算する。一実施形態において、これら試験条件下で30分後、目で見える残留物、膜、若しくはシートを残さない場合、物品は生体内分解性である。別の実施形態において、これら試験条件下で約30分後、1つ以上の大きな断片として手で容易に分離若しくは剥離させたりできない場合、物品は生体内分解性である。更に他の実施形態において、これら試験条件下で約30分後、約2重量%未満、約4重量%未満、約6重量%未満、及び/又は約8重量%未満の残留物(物品の原重量の)が残る場合、物品は生体内分解性である。別の実施形態では、上記バイオエロージョン試験はまた、8時間までの各種時点で実施してもよい。
【0105】
一実施形態では、乾燥粘着性は以下の手順によって測定されてもよい。(a)2.5cm(1インチ)直径の円筒プローブ(ポリメチルメタクリレート製)及びポリメチルメタクリレート製平面シートとの間の5mm直径ディスク(0.67mm厚)の物品試料を、19.6N(2000グラム重量)にて2秒間押し付ける。(b)前記プローブを1mm/秒で引っ張り、最大力を記録する。(c)2つの表面の間に試料を挟まないで、手順を繰り返す。及び、(d)計算:乾燥粘着性(g)/平方センチメートル=(試料がある場合の最大力−試料がない場合の最大力)/試料ディスクの断面積
【0106】
非粘着性コーティング
次の例は、各種非粘着性コーティングを示す。これらのコーティングは、一次パッケージ、ライナー、及び/又は物品上に適用してよい。
a.シリコーンTT3796.000(ノルデエニア(Nordenia)社より)
b.リリース・パウチ・ラップ(RPW)フィルム(ノルデエニア(Nordenia)社より)
c.SP5000.000(ノルデエニア(Nordenia)社より)
d.シリコーン
e.熱硬化シリコーン
f.UV−硬化シリコーン
g.SL6625シリコーン(GE社より)
【0107】
ライナー類
次の例は、各種非粘着性ライナーを示す。
a.硫酸紙(レイノルズ社(Reynolds)及びアールストローム社(Ahlstrom)より)
b.グリロン(Grillon)紙(レイノルズ社(Reynolds)及びアールストローム社(Ahlstrom)より)
c.ユニベーク(Unibake)紙(レイノルズ社(Reynolds)及びアールストローム社(Ahlstrom)より)
d.ハイドロフォームフィルム
e.シリコーンゴム
f.シリコーンフォーム
【0108】
試験方法
本発明に係る物品のバイオエロージョンは、次の方法で測定できる。検査用サンプルをワイヤメッシュ上に保持させたまま、試料の検査用サンプルの最上部に約30分間、水を供給する。水供給源は、温度が39±1℃且つ流量が16±1mL/秒になるように調節した実験室の給水栓である。漏斗を使用して流れを集め、圧力及び温度が水線内で小さく変動する影響を抑える。前記ワイヤメッシュ格子は、約0.23cm×0.23cm(0.09インチ×0.09インチ)の正方形開口部を有し、前記漏斗先端の下方6.4cm(2.5インチ)に置き、支持用金属製リングに固定する。0.025gの重さの試料をメッシュ上に置き、当該試料のバイオエロージョンを0分、10分及び30分行わせたものを写真に撮る。30分後、検査用サンプル残渣を含有するワイヤメッシュを取り除き、1時間60℃にて減圧下に加熱して、残りの水を全て除去する。加熱期間後、最終重量を計測し、バイオエロージョンによる減量分を計算する。試料当たり3個の検査用サンプルの平均を使用して、バイオエロージョンの時間及び減量分を計算する。これら試験条件下で30分後、目で見える残留物、膜、若しくはシートを残さない場合、且つ/又はこれら試験条件下で約30分後、1つ以上の大きな断片として手で容易に分離若しくは剥離させたりできない場合、且つ/又はこれら試験条件下で約30分後、(物品の原重量の)約2重量%未満、約4重量%未満、約6重量%未満、及び/若しくは約8重量%未満の残留物が残る場合、物品は、生体内分解性である。上記バイオエロージョン試験はまた、8時間までの各種時点で実施してもよい。
【0109】
乾燥粘着性は、次の方法で測定できる。1.物品を包装容器材料から取り外す。2.乾燥したアクリル製の上側の義歯の口蓋部分(歯が下向きになるようにして)上に、物品を置く。3.指で約3〜10秒間、圧力を適用する。4.その後、指から圧力を加えるのを止める。5.次に、歯が上向きになるように義歯をひっくり返す。一実施形態では、前記物品は、次の場合に乾燥粘着性を示す。(i)物品が、工程1〜2において指に張り付かない。(ii)工程3〜4において、指にほとんど残留物が残らないかあるいは全く残らない。及び、(iii)工程5において、前記物品が一旦ひっくり返った場合、少なくとも約10〜30秒間、又は少なくとも約1分間、義歯から落下しない。
【0110】
別の実施形態では、前記物品は、次の場合に乾燥粘着性を示す。(i)物品が、工程1〜4において指に張り付かない。且つ、(ii)工程5において、前記物品が一旦ひっくり返った場合、少なくとも約10〜30秒間、又は少なくとも約1分間、義歯から落下しない。
【0111】
別の実施形態では、工程5において、物品が一旦ひっくり返った場合、少なくとも約10〜30秒間、又は少なくとも約1分間、義歯から落下しない場合に、当該物品は乾燥粘着性を示す。
【0112】
本発明に係る物品の乾燥粘着性はまた、以下の手順によっても測定できる。
(a)2.5cm(1インチ)直径の円筒プローブ(ポリメチルメタクリレート製)及びポリメチルメタクリレート製平面シートとの間の5mm直径ディスク(0.67mm厚)の物品試料を、19.6N(2000グラム重量)にて2秒間押し付ける。
(b)前記プローブを1mm/秒で引っ張り、最大力を記録する。
(c)2つの表面の間に試料を挟まないで、手順を繰り返す。及び、
(d)計算:乾燥粘着性(g/平方センチメートル)=(試料がある場合の最大力−試料がない場合の最大力)/試料ディスクの断面積。
【0113】
一実施形態では、工程(a)にて加える力を2.5N(250グラム重量)にし、且つタックを工程(b)〜(d)にて測定することにして、上記手順を繰り返す。
【0114】
加える力を2.5N(250グラム重量)にして測定したタックが、約2.45、4.90、9.81、19.6、又は49.0kPa(25、50、100、200、又は500グラム/正方形センチメートル)未満であり、且つ加える力を19.6N(2000グラム重量)にして測定したタックが、約19.6、49.0、98.1、196.1、490.3、980.7、2451.7kPa(200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、若しくは25,000グラム/平方センチメートル)、及びこれらのレベルの任意の組み合わせより大きいの場合に、前記物品は、乾燥粘着性を有する。
【0115】
本発明に係る物品の弾性率G’は、以下の手順によって測定できる。
(a)8mm直径及び0.67mm厚の試料ディスクを、平行プレート固定治具を使用して4.9N(500グラム)の圧縮力にてARESレオメーターの上に設置する。前記試料が流動性の場合には、十分な量の物質を使用して、25mm直径の平行プレート固定治具上の1mmギャップを充填する。
(b)歪みを0.02%に設定する。
(c)1Hzを含む掃引周波数で、G’を測定する。
【0116】
本発明物品の正規化離脱力(normalized dislodgement force)及び離脱力比(dislodgement force ratio)は、次の方法で測定できる。
【0117】
機器:インストロン社製型式5544を使用する。ロードセルは、製造業者の仕様書に従って毎年較正する。ロードセルの選択は、ロードセルの推奨操作範囲内の粘着性低下によって生じる力を得て行う。これは通常、全容量の10%〜90%である。
【0118】
試験装置:円筒プローブ形状及び平面プレートは、試験装置として用いられる。前記プローブは、PMMAから作成され、表面積が0.2平方センチメートル〜10平方センチメートルである。ベースプレートとしては、同じPMMA材料を使用したが、0.64cm(1/4インチ)厚のシート形態であった。これを15.2cm×15.2cm(6インチ×6インチ)のプレートへと切断し、インストロン装置に固定した。
【0119】
水和液体:低濃度の各種塩類を含有する人工の唾液を使用して、接着剤を水和させる。
【表2】
【0120】
接着剤:0.1〜1.0gの接着剤をプローブに適用する。
【0121】
水和:水和液体(0.2mLの人工の唾液を2.0mLへ)をピペットで接着剤表面上へ載せる。次に、前記集合体を20分以上水和させる。
【0122】
試験方法:一旦前記試料を水和したら、インストロン装置に取り付け、コンピュータ制御にて試験を実施する。前記方法は、以下の工程から成る。
(a)7.4N〜73.5N(750gf〜7500gf)へと圧縮する。
(b)その圧縮力で2分間保持する。
(c)圧縮力を1.96N(200gf)まで減少させる。
(d)保持する(1分間)。
(e)1mm/sにて引っ張る。
(f)最大離脱力(Dislodgement Force)を記録する。
(g)計算:「正規化離脱力(normalized dislodgement force)」=(最大離脱力(Dislodgement Force)/(プローブ表面積));gf/cm2にて報告される。
(h)市販のフィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)義歯接着剤(P&Gにより市販用に製造されたものが入手可能)又は以下の参照配合について、工程A〜Fを繰り返す:Ca(47.5%)/Zn(17.5%)MVE/MA塩 33%、カルボキシメチルセルロースナトリウム20%、鉱油USP(6.5E−5〜7.5E−5m2/s(65〜75cst)、40℃にて)23.93%、ペトロラタムUSP(濃度17〜20mm)21.87%、コロイド状二酸化ケイ素1.14%、及びオパティント(Opatint)OD1646 0.06%。本参照配合を作成する好適な方法は、米国特許第5,073,604号(ホレヴァ(Holeva)K.)、及び米国特許第6,617,374号(ラジャイア(Rajaiah)J.)に開示されている。
(i)計算:「離脱力比(dislodgement force ratio)」=(プロトタイプ接着剤の最大離脱力(Dislodgement Force)/(フィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)の最大離脱力(Dislodgement Force))
【0123】
データ:各試料は、最小でも3回繰り返し、「正規化離脱力(normalized dislodgement force)」及び「離脱力比(dislodgement force ratio)」の平均値を報告する。
【0124】
具体的には、正規化離脱力(normalized dislodgement force)及び離脱力比(dislodgement force ratio)は、以下の手順内のパラメータを使用して測定することができる:0.25グラムの接着剤;2.5cm(1インチ)直径のプローブ;20分の水和時間;及び73.5N(7500グラム)の圧縮力。
【0125】
本発明物品の「正規化漏出量」及び「漏出比」は、以下の手順によって測定できる。
a.最初の試料重量である約0.50グラムを、ポリメチルメタクリレートから作製された2.5cm(1インチ)直径の円筒プローブ上に均一に載せる。
b.プローブを1.2mmのベースプレート(これもまたポリメチルメタクリレートから作製されている)へと運ぶ。
c.7.4N(750グラム重量)を90秒間適用する。
d.90秒で、漏出した物質を切り取り、計量する。
e.計算:「正規化漏出量」=(漏出量/最初の試料重量)×100。
f.市販のフィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)義歯接着剤クリーム(P&Gによって市販用に製造された)、又は以下の参照組成を使用して工程a〜eを繰り返す。Ca(47.5%)/Zn(17.5%)MVE/MA塩 33%、カルボキシメチルセルロースナトリウム20%、鉱油USP(6.5E−5〜7.5E−5m2/s(65〜75cst)、40℃にて)23.93%、ペトロラタムUSP(濃度17〜20mm)21.87%、コロイド状二酸化ケイ素1.14%、及びオパティント(Opatint)OD1646 0.06%。本参照配合を作成する好適な方法は、米国特許第5,073,604号(ホレヴァ(Holeva)K.)、及び米国特許第6,617,374号(ラジャイア(Rajaiah)J.)に開示されている。
g.計算:「漏出比」=プロトタイプ接着剤の正規化漏出量/フィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)の正規化漏出量。
h.各試料は、最低でも3回繰り返し、「正規化漏出量」及び「漏出比」の平均値を報告する。
【0126】
「発明を実施するための最良の形態」において引用されるすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、どの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0127】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、この発明の要旨及び範囲を逸脱せずに様々なその他の変更及び修正が可能であることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0128】
本明細書は本発明を特に指摘し、明確に請求する請求項で完結しているが、本発明は、対応する図解が添えてあり、同じ部分に同じ番号を付して要素を特定できるようにした下記の好ましい実施形態の記載からより明らかになると考える。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】義歯接着剤物品の斜視図。
【図2】義歯接着剤デリバリーシステムの断面図。
【図3】義歯接着剤デリバリーシステムの断面図。
【図4】ライナー内の2つの義歯接着剤物品の側面図。
【図5】ライナー内の2つの義歯接着剤物品の側面図。
【図6】非粘着性コーティングを含む一次パッケージの断面図。
【図7】非粘着性コーティングを含むライナーの側面図。
【図8】非粘着性コーティングを含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図9】義歯接着剤デリバリーシステムの断面図。
【図10】ストライプテキスチャーを含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図11】正方形テクスチャーを含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図12】三角形テクスチャーを含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図13】ハニカムテクスチャーを含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図14】突起を含む義歯接着剤物品の斜視図。
【図15】突起を含むライナーの側面図。
【図16】突起を含む一次パッケージの断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)義歯接着剤物品と、
(b)前記義歯接着剤物品を封入し且つ保持する一次パッケージと、
(c)ライナー及びコーティングから成る群から選択される前記一次パッケージ表面への前記義歯接着剤物品表面の粘着を減少させること、前記義歯接着剤物品表面と前記一次パッケージ表面との間の接触領域を最小化すること、及びこれらの任意の組み合わせのための非粘着性手段と
を含む、義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項2】
前記義歯接着剤物品が、十分に生体内分解性である、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項3】
前記義歯接着剤物品が、安全且つ有効な量の義歯接着剤成分と、非水溶性成分、熱可塑性成分、及びこれらの混合物から成る群から選択される安全且つ有効な量の成分とを含む、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項4】
前記熱可塑性成分が非水溶性であり、好ましくは、前記非水溶性熱可塑性成分が熱可塑性であり、且つゴム、天然ワックス、合成ワックス、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース樹脂類、アクリル樹脂類、ペトロラタム、ポリビニルアセテート、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項3に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項5】
前記義歯接着剤物品が、スクリムを含まない、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項6】
前記義歯接着剤物品が、乾燥粘着性を有する、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項7】
前記非粘着性手段が、ライナーである、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項8】
前記ライナーが硫酸紙であり、好ましくは前記ライナーが、シリコーンでコーティングされた又はシリコーンが含浸された硫酸紙であり、より好ましくは前記ライナーが、テクスチャード加工された硫酸紙である、請求項7に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項9】
前記非粘着性手段がコーティングであり、好ましくは当該コーティングがシリコーンである、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項10】
前記非粘着性手段が、前記義歯接着剤物品と接触する前記一次パッケージ表面をテクスチャリングすることによって、前記義歯接着剤物品と前記一次パッケージとの間の接触領域を最小化することを含む、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項11】
前記デリバリーシステムが、シリコーンを有するライナーを含み、且つ前記義歯接着剤物品と接触する前記ライナー表面がテクスチャード加工されており、且つ前記ライナーと接触する前記義歯接着剤物品表面がテクスチャード加工されている、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項12】
前記非粘着性手段が、前記一次パッケージと接触する前記物品表面をテクスチャリングすることによって、前記義歯接着剤物品と前記一次パッケージとの間の接触領域を最小化することを含む、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項1】
(a)義歯接着剤物品と、
(b)前記義歯接着剤物品を封入し且つ保持する一次パッケージと、
(c)ライナー及びコーティングから成る群から選択される前記一次パッケージ表面への前記義歯接着剤物品表面の粘着を減少させること、前記義歯接着剤物品表面と前記一次パッケージ表面との間の接触領域を最小化すること、及びこれらの任意の組み合わせのための非粘着性手段と
を含む、義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項2】
前記義歯接着剤物品が、十分に生体内分解性である、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項3】
前記義歯接着剤物品が、安全且つ有効な量の義歯接着剤成分と、非水溶性成分、熱可塑性成分、及びこれらの混合物から成る群から選択される安全且つ有効な量の成分とを含む、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項4】
前記熱可塑性成分が非水溶性であり、好ましくは、前記非水溶性熱可塑性成分が熱可塑性であり、且つゴム、天然ワックス、合成ワックス、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース樹脂類、アクリル樹脂類、ペトロラタム、ポリビニルアセテート、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項3に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項5】
前記義歯接着剤物品が、スクリムを含まない、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項6】
前記義歯接着剤物品が、乾燥粘着性を有する、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項7】
前記非粘着性手段が、ライナーである、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項8】
前記ライナーが硫酸紙であり、好ましくは前記ライナーが、シリコーンでコーティングされた又はシリコーンが含浸された硫酸紙であり、より好ましくは前記ライナーが、テクスチャード加工された硫酸紙である、請求項7に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項9】
前記非粘着性手段がコーティングであり、好ましくは当該コーティングがシリコーンである、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項10】
前記非粘着性手段が、前記義歯接着剤物品と接触する前記一次パッケージ表面をテクスチャリングすることによって、前記義歯接着剤物品と前記一次パッケージとの間の接触領域を最小化することを含む、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項11】
前記デリバリーシステムが、シリコーンを有するライナーを含み、且つ前記義歯接着剤物品と接触する前記ライナー表面がテクスチャード加工されており、且つ前記ライナーと接触する前記義歯接着剤物品表面がテクスチャード加工されている、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【請求項12】
前記非粘着性手段が、前記一次パッケージと接触する前記物品表面をテクスチャリングすることによって、前記義歯接着剤物品と前記一次パッケージとの間の接触領域を最小化することを含む、請求項1に記載の義歯接着剤物品デリバリーシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2009−514647(P2009−514647A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540255(P2008−540255)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/044030
【国際公開番号】WO2007/056607
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/044030
【国際公開番号】WO2007/056607
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
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