説明

耐候性長繊維不織布

【課題】 農業、園芸、土木、産業用等の資材として用い得るものであって、耐候性がより向上した不織布を提供する。
【解決手段】 ポリエステル系長繊維からなる長繊維不織布であって、ポリエステル系長繊維を形成するポリエステルは、カルボジイミド化合物と紫外線吸収剤を含有している耐候性長繊維不織布。紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系あるいはベンゾフェノン系の紫外線吸収剤であることが好ましい。また、ポリエステル系長繊維が、芯鞘型複合繊維であって、ポリエステルが芯部を形成し、ポリオレフィンが鞘部を形成することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外での使用や耐候性が要求される分野での使用、特に農業,園芸,土木,産業用等の資材として使用される耐候性長繊維不織布に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルからなる不織布は、優れた機械的特性を有することから、農業、園芸、土木、産業用の資材として多く用いられている。また、これらの用途のなかでも、屋外に暴露して使用するものについては耐候性が求められるため、酸化防止剤、耐熱剤、紫外線安定剤あるいは紫外線吸収剤等が添加された不織布が用いられている。
【0003】
特許文献1には、ポリエチレンテレフタレートに特定の紫外線吸収剤と特定の酸化防止剤とを併用することにより耐候性を向上させた長繊維不織布が開示されている。
【特許文献1】特許第2812668号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、農業、園芸、土木、産業用等の資材として用い得るものであって、耐候性がより向上した不織布を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を達成するために検討した結果、耐候剤として従来使用されていた紫外線吸収剤に加えて、カルボジイミド化合物を併用することにより、耐候性が向上することを見出し、本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明は、ポリエステル系長繊維からなる長繊維不織布であって、ポリエステル系長繊維を形成するポリエステルは、カルボジイミド化合物と紫外線吸収剤を含有していることを特徴とする耐候性長繊維不織布を要旨とするものである。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明に用いるカルボジイミド化合物は、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)であって、一般的に知られた方法で合成されたものを使用することができる。また、本発明では、カルボジイミド化合物として、カルボジイミド化合物の合成時に酸化防止剤を添加することにより得られるカルボジイミド組成物(カルボジイミド化合物と酸化防止剤とからなる)も好ましく用いることができる。このようなカルボジイミド組成物としては、日清紡績社製の商品名「カルボジライト」が挙げられる。
【0009】
本発明に用いる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系あるいはベンゾフェノン系の紫外線吸収剤を好ましく用いることができる。また、両者を併用してもよい。
【0010】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[3,5−ビス(2,2’−ジメチルプロピル)−2−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(ジヒドロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾールが挙げられる。これらの中では特に、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(ジヒドロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が、耐熱性に優れることから好ましい。
【0011】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(β−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾフェノン、メチレンビス(5,5’−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンが挙げられる。これらの中では特に、メチレンビス(5,5’−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)が、上記と同様の理由から好ましい。
【0012】
本発明における長繊維不織布は、ポリエステル系長繊維からなり、ポリエステル系長繊維を形成するポリエステルは、上記のカルボジイミド化合物と紫外線吸収剤を含有している。
【0013】
ポリエステルが含有するカルボジイミド化合物の量は、ポリエステル中に少なくとも0.01質量%含有させることが好ましい。0.01質量%以上とすることにより、カルボジイミド化合物と一緒に含有させる紫外線吸収剤の効果(耐候性)を向上させることができる。カルボジイミド化合物の含有量の上限は、0.5質量%程度とする。0.5質量%を超えると製糸性に劣る傾向となるからである。
【0014】
また、ポリエステルが含有する紫外線吸収剤の量は、ポリエステル中に0.05〜1質量%であることが好ましい。0.05質量%以上とすることにより良好な耐候性を奏することができ、一方、1質量%を超えると、製糸性が劣る傾向となる。
【0015】
また、カルボジイミド化合物と紫外線吸収剤との配合比率は、(カルボジイミド化合物):(紫外線吸収剤)=1:100〜10:1であることが好ましい。この配合比率により、カルボジイミド化合物は、一緒に含有する紫外線吸収剤の耐候性をより一層向上させる助剤としての効果を発揮することができる。
【0016】
本発明によれば、耐候剤として従来から使用されていた紫外線吸収剤に加えて、さらにカルボジイミド化合物を添加することにより、紫外線吸収剤が奏する耐候性をより一層向上させることができる。紫外線吸収剤は、繊維を形成する重合体への含有量が増すと耐候性は向上するが、一方で、含有量が増えると繊維の強度が劣る傾向となり、また、製糸性や操業性が劣り、繊維を得ること自体が困難となるため、その含有量は制限される。したがって、長繊維不織布において、一定の耐候性を得ることはできても、それを超える耐候性を得ることは困難であった。本発明において、カルボジイミド化合物を含有させることにより、紫外線吸収剤が奏する耐候性をより向上させることができる理由については解明されていないが、カルボジイミド化合物は、紫外線吸収剤と共存することにより、紫外線吸収剤の働きをより向上させる助剤として機能すると推定する。
【0017】
なお、本発明におけるポリエステル系長繊維を構成するポリエステルには、上記したカルボジイミド化合物と紫外線吸収剤に加えて、従来、耐候剤として使用されていた酸化防止剤が含まれていてもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系あるいはヒンダードフェノール系あるいはリン系の酸化防止剤を好ましく用いることができる。具体的には、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール(BHA)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス(3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェロール類が挙げられる。
【0018】
本発明においては、カルボジイミド化合物、紫外線吸収剤等を、マスターバッチ法やドライブレンド法によりポリエステルチップに所定量混合することによって、ポリエステルに含有させることができる。
【0019】
本発明における長繊維不織布は、ポリエステル系長繊維が堆積したものである。長繊維不織布の形態は、用途に応じて適宜選択すればよく特に限定されず、従来公知のものであればよい。例えば、熱により繊維の一部が溶融して繊維同士が接着一体化してなる不織布や、機械的な交絡手段により繊維同士が交絡することにより一体化してなる不織布等が挙げられる。
【0020】
長繊維を形成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。またはこれらを主体とするポリエステルであって、他の成分を共重合した共重合ポリエステルであってもよい。
【0021】
本発明におけるポリエステル系長繊維とは、単一のポリエステルからなる長繊維、融点等が異なる2種のポリエステルが混合もしくは複合した長繊維、ポリエステルとポリオレフィンやポリアミド等のポリエステル以外の重合体とが複合した長繊維等が挙げられ、長繊維不織布を用いる用途の要求性能に応じて、適宜選択すればよい。ポリエステルが芯部を形成し、ポリオレフィンが鞘部を形成する芯鞘型複合形態のポリエステル系長繊維とすると、ポリエステルが、鞘部に覆われた形にすることで表面に露出しないため耐候性が低下しにくく、繊維の骨格としての強度を維持し、また、鞘部のポリオレフィンにより熱接着性が良好で、フィルムや樹脂シート等の他の素材とも貼り合わせが良好となり、好ましい。ポリオレフィンの中でもポリエチレンは、ポリエステルとの融点差が大きく、熱接着性に優れるため好ましい。なかでもメタロセン系触媒を用いて重合されたポリエチレンを用いることが好ましい。
【0022】
また、ポリエステル系長繊維からなる長繊維不織布としては、前記ポリエステル系長繊維単独からなる長繊維不織布であってもよいが、本発明の目的を損なわない範囲で、他の繊維が混合(混繊)してなる長繊維不織布であってもよい。
【0023】
長繊維不織布を構成する長繊維の単糸繊度は、用途に応じた要求性能によって適宜選択すればよく、特に制限されないが、一般に0.5〜10デシテックス程度がよい。また、長繊維不織布の目付についても同様で、用途に応じた要求性能によって適宜選択すればよく、特に制限されないが、一般に10〜500g/m2程度がよい。
【0024】
本発明の耐候性長繊維不織布は、公知のスパンボンド法にて効率よく製造することができる。すなわち、ポリエステルチップに、カルボジイミド化合物と前記紫外線吸収剤とを、マスターバッチ法あるいはドライブレンド法により所定量混合することによって、各々をポリエステルに含有させ、溶融紡糸を行い、得られた紡出糸条を公知の横型吹付や環状吹付等の冷却装置を用いて冷却させた後、吸引装置により目的繊度となるように牽引細化させて引き取る。得られる不織布の強度等を考慮して、牽引速度は2000m/分以上が好ましい。特に4000m/分以上とすると、長繊維を構成するポリエステルの分子配向が進み、得られる長繊維不織布の強度、寸法安定性が向上するため好ましい。吸引装置から排出された糸条群を開繊させた後、スクリーンからなるコンベアーの如き移動堆積装置上に堆積させてウエブとする。次いで、このウエブに、所定の不織布化手段を施して、構成繊維同士を一体化させて長繊維不織布を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、ポリエステル系長繊維からなる長繊維不織布であって、ポリエステル系長繊維を形成するポリエステルは、カルボジイミド化合物と紫外線吸収剤を含有しているため、より耐候性に優れた長繊維不織布を、紡糸性を損なうことなく得ることができる。
【0026】
本発明の耐候性長繊維不織布は、耐候性が要求される分野、特に農業、園芸、土木、建材用に代表される産業資材等に好適に用いられる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。また、実施例における各特性値は、以下により求めた。
【0028】
(1)重合体の融点(℃):示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC−2型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定した融解吸熱ピークの極値を与える温度を融点とした。
【0029】
(2)ポリエステルの固有粘度:フェノールと四塩化エタンとの等質量比の混合溶媒100ミリリットルに試料0.5gを溶解し、常法により測定した。
【0030】
(3)ポリエチレンのMI値(g/10分):ASTM−1238(E)に記載の方法に準拠して測定した。
【0031】
(4)単糸繊度(dtex):吸引装置により牽引細化した繊維について、走査型電子顕微鏡写真を用いて繊維径(n=20)を測定し、密度補正を行い求めた。
【0032】
(5)目付(g/m2):標準状態の試料から縦10cm×横10cmの試料片各10点を作成し、各試料の質量を秤量し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算して求めた。
【0033】
(6)耐候性(強力保持率 %):JIS L 1096-1999 耐候性試験に準拠し、サンシャインカーボンアーク燈形耐候性試験機(スガ試験機:SUNSHINE WEATHER METER S80)を用いて暴露試験(暴露時間;300時間、温度;63±3℃、湿度;65±5%RH、ドラム回転数;1回/分、噴霧時間;120分毎に8分間噴霧)を行い、暴露前の初期引張強力に対する強力保持率を下式により求めた。
強力保持率(%)=(暴露300時間後の引張強力/初期引張強力)×100
なお、本発明では、強力保持率が30%以上であると耐候性が良好である評価とした。また、引張強力は、JIS L 1096-1999 8.12.1引張強力B法(グラブ法)に準拠し、定速伸張型試験機(東洋ボールドウィン社製テンシロンUTM−4−100型)を用い、引張速度100mm/分の条件で測定した。測定個数は、よこ方向のものを5個とし、これらの平均値より求めた。
【0034】
(7)製糸性:紡糸口金より吐出した紡糸糸条を観察し、2時間あたり1紡糸錘にて糸切れが生じた回数により下記の3段階にて評価した。
○ : 糸切れなし(0回)
△ : 1〜3回
× : 3回を超える
【0035】
実施例1
芯部には、融点260℃、固有粘度0.70のポリエチレンテレフタレートを、鞘部には、MI値15g/10分、融点103℃のメタロセン触媒により重合されたポリエチレンを用い、ポリエチレンテレフタレート中に、マスターバッチを用いて、紫外線吸収剤として、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(ジヒドロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]を0.31質量%、メチレンビス(5,5’−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)を0.23質量%、カルボジイミド化合物(商品名 カルボジライトLA−1 日清紡績社製)を0.3質量%混合し、スパンボンド法により芯鞘型複合長繊維不織布を製造した。詳しくは、前記重合体チップをエクストルーダー型溶融押し出し機を用いて溶融し、これを芯鞘型複合紡糸口金を通して紡出した。紡出糸状を冷却した後、吸引装置により引き取り、開繊し、移動する捕集面上に捕集・堆積させて単糸繊度3.3デシテックスの芯鞘型複合長繊維からなる目付70g/m2の不織ウェブを得た。この不織ウェブをエンボスロールとフラットロールとからなる熱圧接装置に通し、ロール温度95℃、圧接面積率20%の条件下で熱圧接して長繊維不織布を得た。
【0036】
実施例2
実施例1において、ポリエチレンテレフタレート中のカルボジイミド化合物の混合量を0.5質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0037】
比較例1
実施例1において、ポリエチレンテレフタレート中にカルボジイミド化合物を混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0038】
比較例2
実施例1において、ポリエチレンテレフタレート中に紫外線吸収剤(2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(ジヒドロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]およびメチレンビス(5,5’−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル))を混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0039】
比較例3
実施例1において、ポリエチレンテレフタレート中に紫外線吸収剤(2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(ジヒドロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]およびメチレンビス(5,5’−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル))およびカルボジイミド化合物を混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
【0040】
比較例4
実施例1において、ポリエチレンテレフタレート中に紫外線吸収剤(2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(ジヒドロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]およびメチレンビス(5,5’−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル))を混合しないで、カルボジイミド化合物の混合量を3.0質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得ようとしたが、糸切れが多発したため(4回以上/1紡糸錘/2時間)、長繊維不織布を得ることを中止した。
【0041】
得られた実施例1、2、比較例1〜3の長繊維不織布の性能等を表1に示した。
【0042】
【表1】

表1から明らかなように、本発明の紫外線吸収剤およびカルボジイミド化合物の両者を含む長繊維不織布は、比較例1(紫外線吸収剤のみ)、比較例2(カルボジイミド化合物のみ)、比較例3(紫外線吸収剤およびカルボジイミド化合物を含まない)の長繊維不織布と比較すると、耐候性が一層向上している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル系長繊維からなる長繊維不織布であって、ポリエステル系長繊維を形成するポリエステルは、カルボジイミド化合物と紫外線吸収剤を含有していることを特徴とする耐候性長繊維不織布。
【請求項2】
紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系あるいはベンゾフェノン系の紫外線吸収剤であることを特徴とする耐候性長繊維不織布。
【請求項3】
ポリエステル系長繊維が、芯鞘型複合繊維であって、ポリエステルが芯部を形成し、ポリオレフィンが鞘部を形成することを特徴とする請求項1記載の耐候性長繊維不織布。

【公開番号】特開2007−113163(P2007−113163A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106413(P2006−106413)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】