説明

耐引っかき性の導電性コーテイング

【課題】付着性、耐引っかき性に優れた導電性コーティング組成物の提供。
【解決手段】ポリチオフェン塩、ポリチオフェンAn、を含有する、但しこのポリチオフェンが式


[式中、R及びRは互いに独立に水素又はC〜Cアルキル基を表わし、或いは一緒になって随時置換されたC〜Cアルキレン基、好ましくは随時アルキル基で置換されたメチレン基、随時C〜C12アルキル基又はフェニル基で置換されたエチレン−1,2基、プロピレン−1,3基又はシクロヘキシレン−1,2基を形成し、そしてAnはポリアニオンを示す]の正に荷電した及び荷電してない反復単位を含む、ポリチオフェン調製物の混合物及びイオン化照射で硬化しうるコーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプラスチックの非導電性成形品のための、ポリチオフェン調製物に基づく付着性、耐引っかき性の導電性コーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ポリアニオンを含むポリチオフェン調製物の、導電性コーティングの製造に対する利用について開示している。
【0003】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第440957号
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、これらのコーティングの耐引っかき性はいくつかの用途に対して実際上不十分であるということが明らかになった。
【0005】
今回、ポリチオフェン調製物をイオン化照射(例えばUV及び電子線)で硬化する組成物と組合せることにより、改良された耐引っかき性の達成できることが発見された。
【0006】
適当なチオフェン調製物は、ポリチオフェンAnの形のポリチオフェン塩を含有する。但し、このポリチオフェンは式
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、R及びRは互いに独立に水素又はC〜Cアルキル基を表わし、或い
は一緒になって随時置換されたC〜Cアルキレン基、好ましくは随時アルキル基
で置換されたメチレン基、随時C〜C12アルキル基又はフェニル基で置換された
エチレン−1,2基、プロピレン−1,3基又はシクロヘキシレン−1,2基を形成
し、そして
Anはポリアニオンを示す]
の正に荷電した及び荷電してない反復単位を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上式において、R及びRは好ましくはメチル及びエチル基である。
【0010】
及びRが一緒になって形成しうる随時置換されたC〜Cアルキレン基の、好適に言及しうる例は、α−オレフィン例えばエテン、プロペン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1及びスチレンの臭素化中に得られるような1,2−ジブロモアルカンに由来するアルキレン−1,2基であり、更にシクロヘキシレン−1,2、ブチレン−2,3、2,3−ジメチルブチレン−2,3及びペンチレン−2,3−基が言及しうる。
【0011】
及びRが一緒になって形成する好適な基は、メチレン、エチレン−1,2及びプロピレン−1,3基であり、エチレン−1,2基が特に好適である。
【0012】
ポリマーカルボン酸例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸又はポリマレイン酸及びポリマースルホン酸例えばポリスチレンスルホン酸及びポリビニルスルホン酸のアニオン
はポリアニオンとして役立つ。これらのポリカルボン酸及びポリスルホン酸はビニルカルボン酸及びビニルスルホン酸の、他の重合可能な単量体例えばアクリル酸エステル及びスチレンとの共重合体であってよい。
【0013】
ポリアニオンを供給するポリ酸の分子量Mnは、好ましくは1,000−2,000,000、特に好ましくは2,000−500,000である。ポリ酸又はそのアルカリ金属塩、例えばポリスチレンスルホン酸及びポリアクリル酸は商業的に入手でき、或いは公知の方法で製造することができる。[参照、例えばフーベンワイル(Houben−Weyl)、有機化学法、第E20巻 高分子物質、第2部、1141ページ以降(1987)]。
【0014】
アルカリ金属塩又はポリ酸及び対応する量のモノ酸の混合物も、本発明によるポリチオフェン及びポリアニオンの調製物の製造に対して必要とされる遊離のポリ酸の代わりに利用することができる。
【0015】
調製物は、真の溶液、コロイド溶液又は細かい粒子の分散液であって良い。これらの調製物はヨーロッパ特許第440957号に記述されている。
【0016】
ポリチオフェン調製物の溶媒又は分散媒体としては、水のほかに他のプロトン性溶媒、例えば低級アルコール例えばメタノール、エタノール及びイソプロパノール、並びに水と低級アルコールの混合物、そして他の水と混和する有機溶液例えばアセトンも、考慮することができる。
【0017】
ポリチオフェン調製物は、低分子量の湿潤剤又は分散剤、例えばアニオン性表面活性剤例えばドデシル硫酸ナトリウム、カチオン性表面活性剤例えばセチルトリメチルアンモニウムブロマイド及び非イオン性表面活性剤例えばアルキルフェノール及びポリエチレンオキサイドの付加生成物を、重合前、中又は後に混合して含んでいても良い。非イオン性表面活性剤を、重合前に添加することは好適である。
【0018】
ここに、分散液とは、平均粒径が100mm以上のマクロ分散液及び平均粒径が分子の大きさから100mmを超えない分子集合体までのコロイド分散液も、同様に包含する。
【0019】
適当な照射で硬化するコーティング組成物の例は、分子当たり少なくとも2つの、好ましくは2−4つの(メト)アクリロイル基を含有し、またポリエステル、ポリエーテル、ポリエポキサイド化合物、脂肪族ポリオール、ポリウレタン及びビニル重合体に由来する(メト)アクリロイル基含有プレポリマーである。そのような(メト)アクリレートプレポリマーは、公知であり、また例えば米国特許第2101107号、第2413973号、第2951758号、第3066112号、第3301743号、第3368900号、第3380831号、第3455801号、第3469982号、第3485732号、第3530100号、第3551246号、第3552986号、第3628963号、第3660145号、第3664861号、第3689610号、第3719521号、第3732107号、第3782961号、第3840369号、第3888830号、第4033920号、第4081492号、第420625号;英国特許第1006587号、第1241823号、第1241824号、第1321372号;独国公開特許第1916499号、第2429527号、第2534012号、第2737406号、第2853921号に記述されている。
【0020】
好適な(メト)アクリレートプレポリマーは、ジカルボン酸とジまたはそれ以上の官能性ポリオール及び(メト)アクリル酸との共沸エステル化によって得られるようなポリエステル(メト)アクリレートである。ポリオールの例は、グリコール、ポリエチレングリ
コール、トリメチロールプロパン、グリセロール及びペンタエリスリトールである。ポリエポキサイド反応生成物の例は、ヒドロキシアルキル(メト)アクリレート及び芳香族または脂肪族ポリイソシアネート間の付加反応及び随時ポリオールとの更なる付加反応によって得られるようなビスフェノールA−ビス(グリシジルエーテル)と(メト)アクリル酸との反応生成物及びポリウレタン(メト)アクリレートである。
【0021】
独国公開特許第3706355号に従い、脂肪族第一級アミン及びエトキシル化またはプロポキシル化ポリオールの(メト)アクリル酸エステルから得られるようなアミン改変ポリエーテルアクリレートも、更に(メト)アクリロイル基を含むプレポリマーとして利用することができる。
【0022】
厚さ4ミクロン以下の薄い層を製造するために、UV照射で活性化できる、例えばエポキサイドまたはビニルエーテルに基づくカチオン的に硬化するラッカー系も利用できる。その理由は、これらの系を用いると、層の厚さが薄くても不活性なガス下での硬化を省くことが可能であるからである。
【0023】
適当な系は、例えばJ.V.クリベロ(Crivello),J.L.リー(Lee)及びD.A.クーロン(Coulon)、カチオン的にUV硬化する新しい単量体、照射硬化第VI回会議、プロシーディング(1982年9月20−23)、イリノイ州シカゴ市、に記述されており、たとえばユニオンカーバイド(Union Carbide)からシラキュア(Cyracure)の名で市販されている。
【0024】
本発明によるトップコート結合剤は、普通の補助物質として、反応性の照射しうるシンナーまたはその混合物を含有する。これらは、プレポリマーに対する希釈剤としての機能の他に、得られるフィルムの機械的性質、例えば硬度を変えるのにも役立つ。反応性の照射しうるシンナーの例は、好ましくは1−3価のアルコールのまたはそのオキシアルキル化生成物の、特にそのオキシエチル化生成物のアクリルまたはメタクリル酸エステルである。オキシアルキル化生成物の場合、各1価または多価アルコールの1ヒドロキシル基に対して、平均0.8−12モルのアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド、好ましくはエチレンオキサイドが付加される。
【0025】
2価及び3価のまたはそのオキシエチル化生成物のアクリレートは、反応性の照射しうるシンナーとして特に好適である。
【0026】
次の例を挙げることができる:エチレングリコールジ(メト)アクリレート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びペンタエチレングリコールのジ(メト)アクリレート、プロピレングリコールジ(メト)アクリレート、ジ−ペンタプロピレングリコールのジ(メト)アクリレート、ネオペンチルジ(メト)アクリレート、ブタンジオール−4,4−ジ(メト)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メト)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリレート、独国特許第2651507号によるオキシエチル化度2.5−4のオキシエチル化トリメチロールプロパンのトリアクリレート。反応性の照射しうるシンナーの含量は、重合しうる成分の全量に基づいて計算して0−83重量%の範囲内である。本発明によるペイント配合物は、アミンで改変されたポリエーテルアクリレートを、必須成分である促進剤として含有する。これらは、分子当たり少なくとも2つの(メト)アクリロイル基含む反応性のシンナーに第2級脂肪族アミンを添加することによって得られる。適当な化合物は独国特許第2346424号に記述されている。
【0027】
結合剤は、照射で硬化しうる成分に基づいて計算して、0.001−0.2重量%の重合禁止剤または酸化防止剤を補助物質として含んでいて良い。そのような化合物の例は、
4,4′−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)ベンゼン、4,4′−ブチレン−ビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルエステル、N,N′ビス(β−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、4,4′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチルキノン、トルハイドロキノン、p−tert−ブチルカテコール、3−メチルカテコール、4−エチルカテコール、クロラニル、ナフトキノン、銅ナフタレン、オクタン酸銅、Cu(I)Cl/トリフェニルホスファイト、Cu(I)Cl/トリメチルホスファイト、Cu(I)Cl/トリクロロエチルホスファイト、Cu(I)Cl/トリプロピルホスファイト、p−ニトロソジメチルアニリンである。
【0028】
更に、照射で硬化しうる成分に基づいて計算して、0.1−5重量%の沈降防止剤例えばジメチルステアリルアミン、ステアリン酸、金属ステアレート、1−3価の金属、ステアリルアルコール、対応するオレイル誘導体或いは表面活性剤例えば高分散性シリカ及び滑剤例えばシリコーンが、補助物質として結合剤中に存在する。
【0029】
イオン化照射で硬化する結合剤は、水性分散液または溶液の形で、ポリチオフェン調製物と共に好適に使用できる。水性のイオン化照射で硬化する結合剤の対応する調製物は、例えばヨーロッパ特許第3337号及びファルベ・ウント・ラック(Farbe und
Lack)、98(1992)、165−170に記述されている。
【0030】
本発明によるポリチオフェン調製物及びイオン照射で硬化しうる結合剤の混合物は、0.5−90、好ましくは5−60重量%の固体を含有する。固体中に含まれるポリチオフェン調製物(100重量%)に基づいて計算して、混合物は10−10,000、好ましくは50−2,000重量%のイオン化照射で硬化する結合剤を含む。
【0031】
本発明による混合物は、ポリチオフェン調製物及びイオン化照射で硬化する結合剤を混合することによって製造できる。最初にイオン化照射で硬化する結合剤を水に分散させ、ついで撹拌しながらポリチオフェン調製物と混合することは有用である。しかしながら、イオン化照射で硬化する結合剤は、ポリチオフェン調製物に直接分散させても、溶解させても良い。
【0032】
本発明による溶液には、水と混和できる溶媒、例えばアルコール例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリコール、ケトン例えばアセトン、メチルエチルケトン、アミド例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンが添加できる。
【0033】
本発明による混合物は、公知の技術により、例えば印刷例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷で、またはナイフコーティング、ロール塗り、カーテンコーティングで適用し得る。
【0034】
コーティングの溶媒蒸発後の厚さは、必要とされる表面抵抗に依存して、0.5−500ミクロン、好ましくは3−100ミクロンである。
【0035】
コーティングの調整できる表面抵抗は、1010−0.1Ω/□、好ましくは10−100Ω/□の範囲である。
【0036】
溶媒は、溶液の適用後に、室温での蒸発によって除去できる。しかしながら、高加工速度を達成するためには、昇温下に、例えば150℃までの、好ましくは40−100℃の温度で溶媒を除去することがさらに有利である。
【0037】
次のものは、本発明に従い、導電性ふうにコーティングできる基材として列挙できる:プラスチック、例えばポリオレフィン例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポルスチレン、ポリカーボルート、QABS、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、セルロース誘導体例えばセルロースアセテート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、随時ガラス繊維強化エポキシプラスチック或いはこれらの共重合体またはブレンド。更に、例えばガラスまたはセラミック例えば酸化アルミニウムセラミックまたは窒化チオ素セラミックの無機成形体も、導電性ふうにコーティングできる。
【0038】
疎水性のプラスチック支持体は、導電性層のコーティング前に、引き続き適用される層の接着を改善するために、随時1つまたはそれ以上の基材層を付与しても良い。ポリエチレンテレフタレート支持体に適当な基材層は、例えば米国特許第3397988号、第3649336号、第4123278号、第4478907号、英国特許第1234755号、及びリサーチ・デイスクロジュア(Research Disclosure)1967年7月。6ページから公知である。
【0039】
ヨーロッパ特許によるポリチオフェン分散液または溶液の製造は、重合したチオフェン含量が全固体に基づいて5−50重量%である生成物を提供する。これらのポリチオフェン分散液の製造中、酸基(塩)例えば−SO−、−COO−、フェノレートまたはPO2−を示す他の重合体ラテックスまたは重合体分散液を、全固体に基づいて90重量%までさらに添加することができる。この酸基の含量は、分散液または溶液中での十分な安定性を保証するために好ましくは2重量%以上である。
【0040】
この目的に適当な重合体は、例えば独国特許広報第2541230号、第2541274号、第2835856号、ヨーロッパ特許第69671号、第130115号、米国特許第4291113号に記述されている。重合体分散液またはラテックスは、線状、分岐鎖状または架橋重合体を含有し得る。高い酸基含量の架橋重合体は、水中で膨潤でき、マイクロゲルとしての公知の形で利用できる。そのようなマイクロゲルは、米国特許第4301240号、第4677050号、第417550号に記述されている。
【0041】
硬化は、随時不活性な気体下に、例えば電子線によるイオン化照射で行われる。照射量0.1−200kGyでの硬化が可能であるけれど、10−500kGyの照射量に相当する100−500キロボルト(kV)のビーム電位を示す照射源を用いて連続運転できるコーティング装置を使用するのは、経済的な理由から好適である。電子線源と硬化すべきコーティングの間の距離は、普通10−20cmである。トップコートをUV照射で硬化させるならば、公知のように、トップコート結合剤を、光開始剤及び随時増感剤と一緒に付与しなければならない。
【0042】
使用できる光開始剤及び増感剤は公知であり、その選択は本発明では示さない。その使用は大きな程度でUV照射の便宜的使用に限られるが、本質的に他のイオン化照射種にも使用できる。使用できる光開始剤及び増感剤の例は、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン及びベンゾインのメチル、エチル、イソプロピル、ブチルまたはイソブチルエーテル、α−ヒドロキシまたはα−アミノアリールケトン及びベンジルケタールである。これらの物質は一般に重合しうる成分に基づいて0.1−7.5重量%の濃度で添加される。
【0043】
本発明によるコーティングは、高い透明性と耐引っかき性が特色である。コーティングは、帯電防止性及び/または導電性仕上げをプラスチックに付与するために利用される。コーティングされたプラスチックは、顕著に埃を寄せ付けず、例えば爆発の危険のある場所に利用できる。本発明にしたがってコーティングされたプラスチックまたはガラスは、更に電磁照射の遮蔽体として適当である。
【実施例】
【0044】
3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン溶液の製造
遊離のポリスチレンスルホン酸(分子量Mn、約40,000)20g、過硫酸カリウム13.0g及び硫酸鉄(III)50mgを、撹拌しながら水2,000mlに導入した。ついで3,4−エチレンジオキシチオフェン5.5gを撹拌しながら添加した。この溶液を室温で24時間撹拌した。続いて両方とも水で湿らしたアニオン交換樹脂[ルワチット(Lewatit)MP62、バイエル社(Bayer AG)]100g及びカチオン交換樹脂[ルワチットS100、バイエル社(Bayer AG)]100gを添加し、8時間撹拌した。
【0045】
イオン交換樹脂を濾過により除去した。固体含量約1.2重量%の溶液を得た。これはそのまま使用できた。
【0046】
コーティング
固体含量約1.2重量%のポリチオフェン調製物10g及びUVで硬化しうる結合剤に基づいて2.5重量%のダロキュア(Darocure)1116[チバ・ガイギー(Ciba Geigy)]を含むUVで硬化しうるラッカー[ベイヒドロール(Bayhydrol)850、バイエル社]の50%水性分散液2gを、撹拌しながら混合した。この均一な混合物を、それぞれ手動ブレードにより、乾燥フィルム厚さ約5.6−10ミクロンに相当する湿ったフィルム厚さ60−100ミクロンで、a)ガラス板、b)ポリカーボネート・シートに適用した。溶媒を2時間にわたり大気中で蒸発させ、ついでこのコーティングをUV照射で硬化させた。次の性質を有する透明な層を得た。
【0047】
【表1】

【0048】
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
1.ポリチオフェン塩、ポリチオフェンAn、を含有する、但しこのポリチオフェンが式
【0049】
【化2】

【0050】
[式中、R及びRは互いに独立に水素又はC〜Cアルキル基を表わし、或い
は一緒になって随時置換されたC〜Cアルキレン基、好ましくは随時アルキル基
で置換されたメチレン基、随時C〜C12アルキル基又はフェニル基で置換された
エチレン−1,2基、プロピレン−1,3基又はシクロヘキシレン−1,2基を形成
し、そして
Anはポリアニオンを示す]
の正に荷電した及び荷電してない反復単位を含む、ポリチオフェン調製物の混合物及びイオン化照射で硬化しうるコーティング組成物。
2.水を溶媒として含む1.の混合物。
3.耐引っかき性の導電性コーティングを製造するために1.の混合物を使用すること。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリチオフェン塩、ポリチオフェンAn、を含有する、但しこのポリチオフェンが式
【化1】

[式中、R及びRは互いに独立に水素又はC〜Cアルキル基を表わし、或い
は一緒になって随時置換されたC〜Cアルキレン基、好ましくは随時アルキル基
で置換されたメチレン基、随時C〜C12アルキル基又はフェニル基で置換された
エチレン−1,2基、プロピレン−1,3基又はシクロヘキシレン−1,2基を形成
し、そして
Anはポリアニオンを示す]
の正に荷電した及び荷電してない反復単位を含む、ポリチオフェン調製物の混合物及びイオン化照射で硬化しうるコーティング組成物。

【公開番号】特開2010−90391(P2010−90391A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285274(P2009−285274)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【分割の表示】特願平8−187009の分割
【原出願日】平成8年6月28日(1996.6.28)
【出願人】(591007228)エイチ・シー・スタルク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (20)
【氏名又は名称原語表記】H.C.Starck Gmbh
【Fターム(参考)】