説明

耐熱性が改良された水性ポリウレタン分散接着剤組成物

【発明の詳細な説明】
発明の背景1.発明の利用分野 本発明は、熱成形用に一液型または二液型とすることができる新規な水性ポリウレタン分散接着剤組成物に係る。特に本発明は、カルボン酸および/またはその塩を含有するスルホン化ポリウレタン分散液を含み、適合性の架橋剤を含んでいたりいなかったりする水性ポリウレタン分散接着剤組成物に係る。これらの新規な接着剤組成物は、低いpH値で良好な安定性を示し、ポットライフが長く、生強度が高く、耐水性が良好であり、しかも耐熱性が改良されている。
2.従来技術の説明 ポリウレタンの水性分散液は公知であり、たとえば米国特許第3,479,310号、応用化学(Angew.Chem.)第82巻第53頁(1972年)、および応用高分子化学(Angew.Makromol.Chem.)第98巻(1981年)に記載されている。
ディーテリッヒ(Dieterich)らの米国特許第3,479,310号には、内部イオン性塩残基を有し十分に連鎖延長されNCOを含まないポリウレタンを水に分散させることが開示されている。
アニオン性の水性ポリウレタン分散液の場合、イオン性の塩残基はカルボン酸かスルホン酸の塩である。
アニオン性の残基部分として内部カルボン酸塩残基のみをもつ水性ポリウレタンは、pHが7より高いときにのみ安定である。このようなポリウレタン分散液は、多官能性のイソシアネート、エポキシまたはアジリジン類のような適合性架橋剤と共に二液型接着剤組成物を形成することができる。
ヘニング(Henning)らの米国特許第4,870,129号には、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホン酸のナトリウム塩(AAS塩)を用いてポリウレタン分散液を作成することが開示されている。この水性ポリウレタン分散液は、低いpH値(5〜7)で良好な安定性を示し、生(未処理)強度が高く、しかも中程度の耐熱性を示したとされている。
このスルホン化されたポリウレタン分散液の耐熱性は、普通、ホンバッハ(Hombach)らの米国特許第4,663,377号の分散性ポリイソシアネートのようなポリイソシアネート系架橋剤とブレンドすると改良される。
リュング(Leung)の米国特許第4,762,880号には、芳香族ポリウレタン、架橋剤その他を含む水をベースとした(water based)熱成形用接着剤が開示されている。この種の接着剤組成物は芳香族ポリウレタン成分により、活性化するのに高温が必要である。
ヘニング(Henning)らの米国特許第4,870,129号には、化学的に導入されたカルボン酸またはスルホン酸の残基を含有する水性ポリウレタンで構成される接着剤が開示されている。この文献の接着剤は、活性化温度が低かったが、耐熱性は中程度に過ぎなかった。
1993年9月24日に出願されたデュアン(Duan)らによる同時係属中の出願番号第08/126,508号にはスルホン化されたポリエステルポリオールをベースとする水性ポリウレタン分散液が開示されており、これらは液晶化速度が異様に高いが、やはり低いpH値で良好な安定性を示し、生強度が高く、そして中程度の耐熱性を示す。
発明の概要 本発明は、使用時に架橋剤を添加しなくても、活性化温度が低く、ポットライフが長く、しかも耐熱性が高い新規な水性スルホン化ポリウレタン分散液に関する。本発明の水性ポリウレタン分散接着剤組成物は、水をベースとする他のポリマー(Water based polymer、たとえば、他の水性ポリウレタン分散液、酢酸ビニルエマルションおよびアクリレートエマルションなど)との相溶性が良好であり、また増粘剤や顔料との相溶性も良好である。
本発明の組成物はアニオン性ポリウレタンの水性分散液であり、このポリウレタンは、イソシアネートを末端にもつポリウレタンプレポリマーと連鎖延長剤との反応生成物からなっている。また、このポリウレタンプレポリマーは、ポリオール成分とジイソシアネート成分との反応生成物からなっており、このポリオール成分は、スルホン化されたポリエステルポリオールと、式(HO)xR(COOH)y[式中、(R)は1〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分枝の炭化水素基を示し、xとyは1から3までの値を示す]で表わされるヒドロキシカルボン酸と、 60〜400の分子量を有する低分子量の脂肪族ジオールとからなっている。
本発明の分散液は、適合性の架橋剤(たとえば、多官能性のアジリジン、炭酸亜鉛アンモニウム(Zinc ammonium carbonate)または炭酸ジルコニウムなど)と共に用いてもよいし用いなくてもよい。好ましい態様の場合、架橋しない接着剤でも、使用時に架橋剤を添加した従来技術の分散液と同等またはそれより良好な耐熱性を示す。
発明の詳細な説明 ここに使用される分子量の用語は、数平均分子量をいう。
本発明の分散液に使用するイソシアネートを末端にもつポリウレタンプレポリマーは、ポリオール混合物とポリイソシアネートとの反応生成物である。このポリオール混合物は、スルホン化されたポリエステルポリオール、ヒドロキシカルボン酸および低分子量ジオールからなる。
イソシアネートを末端にもつポリウレタンプレポリマーを形成するのに使用するスルホン化されたポリエステルポリオールは、スルホネート官能性のジカルボン酸残基および/またはスルホネート官能性のジオール残基を介して導入されたスルホネート基を有するものならいかなるポリエステルポリオールでもよい。スルホネート官能基は、酸形態でも塩形態でもよい。適切な塩形態はアルカリ金属塩または第三級アミン塩である。通常このようなスルホネート官能性ジカルボン酸残基および/またはスルホネート官能性ジオール残基は、ポリエステルのジオール部分および/または二酸部分の少数部分であり、ポリエステルの1.0〜10.0重量%であるのが好ましい。このスルホン化されたポリエステルを形成するのに使用する非スルホン化二酸およびジオールは芳香族でも脂肪族でもよい。非スルホン化二酸の例としては、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、スベリン酸およびフタル酸がある。非スルホン化ジオールの例としては、エチレングリコール、エチレングリコール類の縮合物、ブタンジオール、ブテンジオール、プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロピレングリコールおよび2−メチル−1,3−プロパンジオールがある。スルホネート二酸の例としては、スルホイソフタル酸、1,3−ジヒドロキシブタンスルホン酸およびスルホコハク酸がある。スルホネートジオールの例としては、1,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸およびスクシンアルデヒド重亜硫酸二ナトリウム(Succinaldehyde disodium bisulfite)がある。
好ましいスルホン化ポリエステルポリオールは、5−スルホイソフタル酸モノナトリウム塩、1,6−ヘキサンジオールおよびアジピン酸をベースとするものである。市販されている好ましいスルホン化ポリエステルポリオールの例は、ルコ・ポリマー社(Ruco Polymer Corporation)製のルコフレックス(Rucoflex)XS−5483−55およびルコフレックス(Rucoflex)XS−5536−60である。これらのスルホン化ポリエステルポリオールは、5−スルホイソフタル酸モノナトリウム塩(XS−5483−55で4重量%、XS−5536−60で6重量%)、1、6−ヘキサンジオールおよびアジピン酸をベースとするものである。
スルホン化されたポリエステルポリオールは、分子量が約500〜10,000の範囲で、融解温度が約10〜100℃の範囲のものが望ましい。好ましい分子量範囲は、約1,000〜4,000、好ましい融解温度は、30〜80℃、より好ましくは40〜60℃である。
イソシアネートを末端にもつポリウレタンプレポリマーを形成するのに使用するヒドロキシカルボン酸は、次式の化合物である。
(HO)xR(COOH)y ここで、Rは1〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分枝の炭化水素基を示し、xとyは1から3までの値を示す。ヒドロキシカルボン酸は、次式で表わされるα,α−ジメチロールアルカン酸が好ましい。


ここで、R1は水素かまたは約20個までの炭素原子をもつアルキル基を示す。このような化合物の例は、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸および2,2−ジメチロールペンタン酸(Pentanic acid)である。好ましいジヒドロキシアルカン酸は2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)である。
イソシアネートを末端にもつポリウレタンプレポリマーを形成するのに使用する低分子量のジオールは、脂肪族のジオール、特にアルキレンジオールである。その分子量範囲は60〜400である。低分子量ジオールはC2〜C8アルキレンジオールが好ましく、C3〜C6アルキレンジオールが最も好ましい。これらジオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)および1,6−ヘキサンジオールである。
イソシアネートを末端にもつポリウレタンプレポリマーを形成するのに使用するジイソシアネートは、脂肪族もしくは芳香族のジイソシアネートまたはこれらの混合物とすることができる。適切な脂肪族ジイソシアネートの例は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)およびテトラメチルキシリエンジイソシアネート(TMXDI)である。適切な芳香族ジイソシアネートの例は、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)である。
ポリウレタンプレポリマーは、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)またはアセトンのような水混和性溶媒の存在下で形成するのが望ましい。NMPまたはDPMAを使用する場合、溶媒の使用量は、最終のポリウレタン分散液の3〜15%の範囲が適切である。アセトンを使用する場合、プレポリマーの分散および連鎖延長後、分散液の安定性を壊すことなく、アセトンの最終レベルが1.0%以下の少量になるようにアセトンを留去する。
プレポリマーを形成した後、これを水に分散させる。分散させるために、プレポリマーのスルホネート基(まだ塩形態になっていない場合)およびカルボン酸基の少なくとも一部を第三級アミンで中和する。第三級アミンは、水と一緒に添加してもよいが、水を加える前に中和する方が好ましく、プレポリマー/溶媒混合物に直接添加するのが適切である。
水性分散液中で、イソシアネートを末端にもつプレポリマーを、第一級または第二級のアミン官能性化合物との反応によって連鎖延長し末端を停止する。使用する連鎖延長剤は水溶性化合物が好ましい。これらは、ポリマー末端生成物の水に対する分散性を増大するからである。有機ジアミンを使用するのが好ましい。というのは、これらを使用すると一般に、ポリウレタン分散液のゲル化を生起することなく分子量の増大になるからである。有用な連鎖延長剤には脂肪族、環式脂肪族または芳香族のジアミンが包含される。適切なジアミンの例は、エチレンジアミン(EDA)、プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、ピペラジン、1,4−シクロヘキシルジメチルジアミン、ヘキサメチレンジアミン(HDI)、N−メチルプロピレンジアミン、ジアミノフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルジメチルメタン、2,4−ジアミノ−6−フェニルトリアジン、イソホロンジアミン、二量体脂肪酸ジアミン、N−イソデシクロキシ(Isodecycloxy)プロピル−1,3−ジアミノプロパンおよびイミダゾリジノン官能性ジアミンである。
有用な連鎖停止剤の例としては、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミンのようなアミノアルコール、タウリンおよびイセチオン酸がある。
本発明の組成物は、基材に塗布して乾燥させる時またはその直前に、分散液に架橋剤を加えることによって架橋してもよい。架橋は、通常の分散性ポリイソシアネート架橋剤を用いて達成できる。しかし、これは好ましくない。なぜならば、最適な架橋には、本発明の水性ポリウレタン分散液中にかなり高レベルの末端第一級または第二級アミン基が必要であり、したがってそれに対応して連鎖延長/末端停止反応に使用するジアミン連鎖延長剤が高レベルで必要になるからである。一般に、アミンの使用量が多くなればなるほど、安定な分散を維持したり、かつポリイソシアネート架橋剤を添加後にその分散液のポットライフを短くするのがより困難になる。したがって、本発明の好ましい態様においては、ポリオール成分のヒドロキシカルボン酸成分を介してスルホン化ポリウレタンプレポリマー中に導入されたカルボキシル基を架橋部位として利用する。このカルボキシル基は、多官能性のアジリジン化合物、炭酸亜鉛アンモニウム、炭酸ジルコニウムまたは多官能性のカルボジイミド化合物のような室温で活性なカルボン酸反応性架橋剤と反応する。
本発明の水性ポリウレタン分散接着剤組成物は、適合するカルボン酸反応性架橋剤と混和すると、改良された耐熱性と良好な耐水性を示し、しかも慣用の分散性イソシアネート架橋剤を用いて得られるよりも長いポットライフを示すことが判明した。典型的には、架橋剤は1〜10重量%のレベルで添加する。
また、ポリウレタンプレポリマーを形成する際に低分子量のジオールを使用することによって、水性ポリウレタン分散液の耐熱性が大きく改善されることも本発明で判明した。実際、ポリウレタンポリマーの耐熱性は低分子量のジオールによって大きく改良されるので、本発明の好ましい態様において、架橋剤なしに使用する一液型接着剤組成物は、架橋剤を用いる市販の従来技術の分散接着剤より良好な高温耐性を示す。
この高い耐熱性の効果は低い活性化温度で得られる。フィルムの接着用途の場合、架橋剤を使用してもしなくても分散接着剤をフィルムウェブ基材に塗布して乾燥し、その後加熱して第二のフィルムウェブ基材を適用する。この加熱温度(業界では活性化温度といわれる)は、第二のウェブに対して良好な粘着力の接着(Adhesive bond)が得られるように、また、物理的または化学的な架橋を増やすことによって接着剤の物理的性質を変化させ、その結果加熱後の接着剤が加熱前より高い耐熱性および通常高い耐水性と耐溶剤性を示すように、選択する。単に良好な接着濡れ性を確保する場合より、接着剤の耐熱特性を所望の通り変化させる場合には、高めの温度が必要なことが多い。予想外のことに、好ましい一液型水性ポリウレタン分散接着剤は、単に高い耐熱性を示すばかりでなく、低い加熱活性化温度でそうなることが判明した。125Fのように低い活性化温度で、架橋剤を用いないでも、本発明の配合物の耐熱特性を有効に発揮することが示されている。
本発明によると、本発明の水性ポリウレタン分散液は、また小さい粒子サイズをもち、広いpH範囲(3〜11)にわたって優れた安定性も示す。
本発明の一液型または二液型組成物は、低い活性化温度で高い耐熱性と高い生強度を示すので、自動車、航空宇宙、靴材料接合、木工、製本、ガラス繊維サイジングおよびフィルム積層用途で特に有用である。たとえば、後述の実施例13に実質的に記載したような一液型組成物は、自動車用途で約215Fの活性化温度でポリプロピレンフォームをポリ塩化ビニルに接合するのに、航空宇宙用途では、室温から210Fまでの範囲の活性化温度でデュポン(DuPont)のテドラー(Tedlar)(登録商標)というPVFをフェノール系複合材に接合するのに、また、靴の製造では、革をSBRに接着したり(活性化温度150〜170F)、高度に可塑化されたPVCをそれ自身または他の基材に接着したり(活性化温度150〜170F)するのに、木工では、PVCを中密度の繊維板に接着する(活性化温度150F)のに、製本では、室温から200Fまでの活性化温度を使用して紙と紙を接着するのに、家の壁板(house siding)用途では、テドラー(Tedlar)(登録商標)をPVC、木材、木質複合材、再生木材および/または紙製品に接着するのに、そしてポリエチレンテレフタレートのフィルムをポリプロピレン、ポリエチレンのフィルムまたはアルミニウムもしくはその他の金属フォイルに積層する(活性化温度125〜150F)のに使用できる。
本発明の配合物は、低いpH(pH4〜7)をもつものでも、水をベースとする他のポリマー分散液と相溶性が良好である。この相溶性のため、本発明の配合物は、アクリルポリマー分散液、エポキシポリマー分散液および酢酸ビニルその他のビニルポリマーの分散液ならびに他のポリウレタンポリマー分散液とのブレンドに有用である。水をベースとするアクリルポリマーとのブレンドは、靴およびガラス繊維サイジングの用途に使用することができる。酢酸ビニルその他のビニルポリマーの分散液は、自動車、木工および製本用途で使用される。
以下の非限定的実施例によって本発明をさらに説明する。これらの実施例で部およびパーセントは他に断らない限りすべて重量による。
実施例耐熱性 架橋剤を含むかまたは含まないポリウレタン分散液を、#28マイラー(Mylar)ロッドを用いて10ミルの透明PVCフィルム[レアード・プラスチクス(Laird Plastics)製のポリ塩化ビニルフィルム]上に塗り付けて、PVCフィルムの複数の1インチの幅ストリップの1×1インチの面積をプライミング処理する。接触乾燥状態にし、プライミング処理したPVCフィルムを1×2インチのストリップに切断する。センチナル・ヒートシーラー(Sentinal Heat Sealer)を用い、ニップ圧力を50psi、滞留時間を30秒として、プライミング処理したストリップを別の塗布してない1×2インチのPVCストリップにヒートシールする。シール温度(活性化温度)は125F、150F、175F、200Fから選択する。この接着体を7日間エージングした後、耐熱温度を測定する。
各々のPVC接着体にT剥離形状で100gの重量を付け、テネイ(Tenney)オーブンに入れた。このT剥離は接着面積が1平方インチであった。このT剥離を毎時25℃で125℃まで加熱した。この温度と時間を、接着剤層が破損した際にテネイ(Tenney)感知ユニットによって記録する。
実施例中で以下の略号を使用する。
ルコフレックス(Rucoflex)XS−5483−55−5−スルホイソフタル酸モノナトリウム塩、アジピン酸および1,6−ヘキサンジオールに基づくスルホン化されたポリエステルポリオール、OH価49.0。
DMPA−ジメチロールプロピオン酸1,4−BD−1,4−ブタンジオールTMXDI−テトラメチルキシリエン(xylyene)ジイソシアネートIPDI−イソホロンジイソシアネートHDI−ヘキサメチレンジイソシアネートEDA−エチレンジアミンTEA−トリエチルアミンNMP−1−メチル−2−ピロリドンDPMA−ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートデスモデュール(Desmodur)DA−HDIトリマーに基づく分散性ポリイソシアネート[バイエル(Bayer)]
CX−100−100%活性の多官能性アジリジン液体架橋剤[アイ・シー・アイ(ICI)]
実施例1二液型出発物質:ルコフレックス(Rucoflex)XS−5483−55 213.8gDMPA 13.4g HDI 40.3g TMXDI 14.6g EDA 5.1g TEA 9.0g NMP 90g 水 550.4g 調製法: ルコフレックス(Rucoflex)XS−5483−55を、真空中100℃で乾燥した後、70〜80℃でNMPに溶かした。DMPA、TMXDIおよびHDIを加え、温度を約80℃に3時間保った後約65〜70℃に冷却した。この温度でTEAを加え10〜15分間攪拌した。温度をさらに約60℃まで下げ、水を加えてプレポリマーを分散させるとともにEDAの添加で延長した。固体含量が32.0%でpHが8.5の微細に分割した程度を示す。
分散液が得られた。
上で調製した水性ポリウレタン分散液100.0gを室温でデスモデユール(Desmodur)DA(DDA)4.0gと混合して、二液型(two component)接着剤組成物を作成した。
同じ水性ポリウレタン分散液100.0gを室温でCX−100(市販のポリアジリジン架橋剤化合物)2.0gと混合して、もうひとつ別の二液型接着剤組成物を作成した。
水性ポリウレタン分散液、二液型接着剤組成物の耐熱性を試験した。試験結果は表2に示す。
実施例2二液型配合物出発物質:ルコフレックス(Rucoflex)XS−5483−55 213.8gDMPA 6.7g1,4−BD 9.0gTMXDI 18.3gHDI 50.4gEDA 6.4gTEA 4.5gNMP 90.0g水 598.7g調製法: 実施例2の分散液の調製法は実施例1の方法と同じであるが、DMPAと同時に1,4−BDを加えた。固体含量が31.4%でpHが7.95の微細に分割した分散液が得られた。
実施例1と同じ方法に従って2種類の二液型接着剤組成物を調製した。耐熱性の試験結果を表2に示す。
実施例3〜5二液型配合物表1に示す組成物を調製した。


実施例3〜5の調製法は実施例1〜2の方法と同じであるが、TMXDIの代わりにIPDIを用いた。
耐熱性の試験結果は表2に示す。表2で、PUDは一液型分散液を、PUD/DDAはそれとデスモデユール(Desmodur)DA架橋剤との混合物を、またPUD/CX100はそれとCX−100多官能性アジリジン架橋剤との混合物を指す。


実施例6一液型配合物出発物質:ルコフレックス(Rucoflex)XS−5483−55 213.8gDMPA 6.7g 1,4−BD 13.5g TMXDI 21.96gHDI 60.48gEDA 7.65gTEA 4.5g NMP 90.0g 水 627.9g 調製法: ルコフレックス(Rucoflex)XS−5483−55を真空中100℃で乾燥した後、70〜80℃でNMPに溶かした。DMPA、1,4−BD、TMXDIおよびHDIを加え、温度を約80℃に3時間保った後、65〜70℃に冷却した。この温度でTEAを加え10〜15分間攪拌した。温度をさらに約60℃まで下げ、水を加えてプレポリマーを分散させるとともにEDAの添加で延長した。
固体含量が31.4%でpHが7.3の微細に分割した分散液が得られた。この分散液は耐水性が良好で耐熱性が高く、一液型接着剤として使用することができた。
この分散液の耐熱性の試験結果は表4に示す。
実施例7〜14一液型配合物

調製法: 実施例7〜14の分散液の調製法は実施例6の方法と同じであるが、実施例8〜14ではTMXDIの代わりにIPDIを使用し、実例13〜14ではNMP溶媒の代わりにアセトン溶媒を使用した。耐熱性の試験結果を表4に示す。
実施例7〜14で調製した分散液はすべて耐水性が良好で耐熱性が高く、一液型接着剤として使用することができる。


実施例15(比較例)
この実施例では、HDIとIPDIに基づくバイエル社(Bayer Corporation)の水性ポリウレタン分散液製品であるデイスパーコル(Disperecoll)KA8464の配合物(配合物B)、および1993年9月24日に出願された同時係属中の米国出願番号第08/126,508号のスルホン化されたポリエステルを含有するポリウレタン分散液の発明の一態様の配合物(配合物A)を調製し、一液型組成物と二液型組成物(二番目の成分は市販のポリイソシアネート系架橋剤である)における耐熱性を試験した。使用した架橋剤はデスモデュール(Desmodur)DA[バイエル(Bayer)、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリマーに基づく分散性ポリイソシアネート]であった。スルホン化されたポリエステルを含有するポリウレタン分散液すなわち配合物Aは、以下の成分から調製した。
ルコフレックス(Rucoflex)XS−5483−55(5−スルホイソフタル酸モノナトリウム塩、アジピン酸および1,6−ヘキサンジオールに基づくスルホン化されたポリエステルポリオール、OH価49.0)35.0%。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)3.4%。
テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)1.2%。
エチレンジアミン(EDA)0.4%。
水60.0%。
前記実施例と同様にして耐熱性を決定した。


表4と5の結果を比較すると分かるように、本発明の組成物を一液型接着剤として使用すると、従来技術の二液型架橋PUD配合物に匹敵する強度を有する接着(adhesive bond)が得られる。
実施例16 実施例8〜14の一液型水性ポリウレタン分散液から作成したフィルムを水に7日間浸したところ変化はなかった。対照的に、実施例15(未架橋)のKA−8464から作成したフィルムはたった1日水に浸しただけで全体としてその強度を失った。
実施例17〜18

調製法: ルコフレックス(Rucoflex)XS−5483−55を真空中100℃で乾燥した後、70〜80℃でNMPに溶かした。DMPA、1,4−BDおよびIPDIを加え、温度を約85℃に3時間保った後65〜70℃に冷却した。この温度でTEAを加え10〜13分間攪拌した。温度をさらに約60℃まで下げ、水を加えてプレポリマーを分散させるとともにEDAの添加で延長した。
性質: 実施例17 実施例18固形分(%) 31.1 30.9pH 9.5 9.8粒子サイズ 126 101粘度(cps) 250 400使用した架橋剤は5重量%のデスモデュール(Desmodur)DAと2重量%のCX−100であった。前記実施例と同様にして耐熱性を決定した。結果を表6に示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】アニオン性ポリウレタンの水性分散液であって、該ポリウレタンは、イソシアネートを末端にもつポリウレタンプレポリマーと連鎖延長剤との反応生成物からなり、該ポリウレタンプレポリマーは、ポリオール成分とジイソシアネート成分との反応生成物からなり、該ポリオール成分は、スルホン化されたポリエステルポリオールと、式:(HO)xR(COOH)yを有する[式中、(R)は1〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分枝の炭化水素基を示し、xおよびyは1〜3の値を示す]ヒドロキシカルボン酸と、60〜400の分子量を有する低分子量の脂肪族ジオールとからなる、アニオン性ポリウレタンの水性分散液。
【請求項2】請求項1に記載の水性分散液をアクリル、エポキシ、ビニルまたは第二のポリウレタンポリマーの少なくとも1種と混合することにより調製される接着剤配合物。
【請求項3】請求項1に記載の水性分散液を適合性の酸反応性架橋剤と混合することによって調製される接着剤配合物。
【請求項4】請求項1に記載の分散液乾燥体からなる接着剤で一対の基材が接合された接着集合体。
【請求項5】前記接着剤が適合性のポリイソシアネート系または酸反応性架橋剤を含んでいる、請求項4記載の接着集合体。

【特許番号】第2955021号
【登録日】平成11年(1999)7月16日
【発行日】平成11年(1999)10月4日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−509458
【出願日】平成7年(1995)1月4日
【公表番号】特表平10−506658
【公表日】平成10年(1998)6月30日
【国際出願番号】PCT/US95/00030
【国際公開番号】WO96/07540
【国際公開日】平成8年(1996)3月14日
【審査請求日】平成9年(1997)7月18日
【出願人】(999999999)エイチ・ビー・フラー・ライセンシング・アンド・ファイナンシング・インコーポレイテッド