耐磨耗板とその取付け方法
【課題】スタッド溶接ピンに通電するためにセラミック板の表面に開孔部を設けるとセラミック板が強度低下したり、スタッド溶接ピンがセラミック板表面に露出するとスタッド溶接ピンが磨耗してセラミック板が剥離したり、スタッド溶接ピンを取付けるためにセラミック板を厚くせざるをえないなどの問題があった。
【解決手段】セラミック板とスタッド溶接ピンの間に通電機能を備えた銅版を挿入してロウ付けすることにより、セラミック板とスタッド溶接ピンのロウ付けによる熱応力を緩和するとともに、スタッド溶接ピンへの通電性を向上させる。
【解決手段】セラミック板とスタッド溶接ピンの間に通電機能を備えた銅版を挿入してロウ付けすることにより、セラミック板とスタッド溶接ピンのロウ付けによる熱応力を緩和するとともに、スタッド溶接ピンへの通電性を向上させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス板や超硬板のような耐磨耗板をスタッド溶接で金属母材に取付ける方法において、耐磨耗板をスタッド溶接ピンとロウ付けで一体に接合し、スタッド溶接ピンを金属母材にスタッド溶接して耐磨耗板を金属母材に取付ける構造およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックスス板や超硬板のような耐磨耗板は金属母材を被覆して、金属母材を磨耗から保護するために使用されている。特にセラミックスス板は耐磨耗以外にも耐熱性、耐腐食性、耐溶損性、美観性など使用目的は多岐に渡っている。セラミックスス板や超硬板などの耐磨耗板を金属母材上に取付ける手段として、スタッド溶接による方法が各種提案されている。
【0003】
(1)先端に突起を備えたコーン部を持つスタッドをセラミックスピース本体の下面に配置し、セラミックスピース本体の上部表面からスタッドにいたる部分を導電性材料で覆い、導電性材料を介してスタッドに電流を供給してスタッドを母材金属にアーク溶接する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
(2)セラミックススピース本体の表面に凹部を形成し、この凹部に裏面側に連通する孔部を穿設するとともに固定部材を収容し、上記孔部にスタッドのピン部を裏面より挿通して、上記固定部材でこのピン部を固定することによって、セラミックススピース本体を上記スタッドのフランジ部と固定部材とで挟持した構造のセラミックススピースの取付け方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
(3)超硬合金と鋼とを応力緩和材を介して接合する方法において、応力緩和材(無酸化銅)を予め接合対象物と同様の形状に加工した後焼きなましを行い、接合面にインサート材(Tiを含む銀ろう)/応力緩和材/インサート材の順序で積層し、真空中において850℃で加熱して接合する方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
(4)セラミックス板面に受座を有するT字型断面の凹溝を設け、該凹溝にフランジ付きスタッド溶接ピンを挿入し、該スタッド溶接ピンと前記凹溝の底部間に金属薄板を挟み込んで、該金属薄板を通して前記スタッド溶接ピンに通電して、該スタッド溶接ピンを金属母材にスタッド溶接する方法が提案されている特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】特開昭63−171271号広報
【特許文献2】特開平6−91376号広報
【特許文献3】特開平6−23568号広報
【特許文献4】特開2001−47243号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の方法においては、(1)スタッド溶接ピンに通電するためにセラミックス板の表面にメッキなどの金属被覆をする必要がある、工程が増えてコストが高くなる、(2)金属メッキの厚みでは通電抵抗が大きく、スタッド溶接強度が低下する問題がある、(3)スタッド溶接ガンと金属被覆面との接触は片当たりになりやすいので通電抵抗が大きくスタッド溶接強度が低下するなどの問題がある。
【0009】
特許文献2の方法においては、(1)セラミックス板の表面に設けた貫通孔はセラミックス板の強度を低下させる、(2)通電性や接合強度を確保するためスタッド溶接ピンの径を太くすると、セラミックスス板表面に露出したスタッド溶接ピンはダストカットを受けやすくなり急速に磨耗するので、固定部材がスタッド溶接ピンから脱落してセラミックススピースが剥離する、(3)固定部材とスタッドでセラミックススピースを狭持するので、固定部材とホルダー部のロウ付け部分に大きな残留応力がかかり固定部材が剥離する危険性がある、(4)セラミックススピースに遠心力が作用する場合、固定部材とホルダー部のロウ付け部分に大きな力がかかり固定部材が剥離するなどの問題がある。
【0010】
特許文献3の方法においては、(1)ロウ付け接合するさいの熱応力を緩和するために、セラミックス板とスタッド溶接ピンの間に銅版を挿入するが、通電する場合は特許文献1のようにセラミックス板の表面に金属被覆が必要である、(2)導電性セラミックス板や超硬板のように通電性のある耐磨耗板は金属被覆を必要としない場合もあるが、電極が傾いたり耐磨耗板の表面の平面度が不良であったりすると、耐磨耗板と電極の接触が悪くなり、局部的にスパークするため耐磨耗板を損傷するなどの問題がある。
【0011】
特許文献4の方法においては、(1)通電用の銅版はセラミックス板と接合するのではなく、スタッド溶接ピンとセラミックス板の間に機械的に挟むのであり、セラミックス板とスタッド溶接ピンを接合する目的では使用されていない、(2)スタッド溶接ピンと銅板は接触しているだけであり、セラミックス板を押し付ける力が弱いと通電性が悪くなりスタッド溶接強度が低下する、(3)スタッド溶接ピンのフランジでセラミックス板の受け面を押さえるので、受け面が破損するとセラミックス板が剥離するなどの問題がある。
【0012】
本発明は、従来の構造が有していた上記問題を解決しようとするものであり、解決しようとしている課題は、(1)セラミックス板や超硬板などの耐磨耗板の表面に開孔部を形成することなく、スタッド溶接ピンに通電できるようにする、(2)セラミックス板や超硬板などの耐磨耗板に金属メッキなどの金属被覆を施すことなく通電できるようにする、(3)セラミックス板や超硬板などの耐磨耗板とスタッド溶接ピンのロウ付け面に大きな熱応力が残留して剥離するのを防止する、(4)スタッド溶接ピンがセラミックス板や超硬板などの耐磨耗板の表面に露出しない構造にして、スタッド溶接ピンの摩耗を防止する、(5)セラミックス板や超硬板などの耐磨耗板を薄くして重量を軽減することにより、ブロワーランナーやポンプインペラーなどの高速回転体へのライニング適用を拡大することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、耐磨耗板とスタッド溶接ピンをロウ付けして、該スタッド溶接ピンを金属母材にスタッド溶接して、前記耐磨耗板を該金属母材に取付ける方法において、前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板を挿入してロウ付けし、該通電用金属薄板に通電して、前記スタッド溶接ピンを前記金属母材にスタッド溶接する耐磨耗板の取付け方法である。
【0014】
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板を挿入するとともに、少なくとも1枚以上の熱応力緩和用金属薄板を挿入した耐磨耗板の取付け方法である。
【0015】
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記耐磨耗板がセラミックス板もしくは超硬板である耐磨耗板の取付け方法である。
【0016】
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記耐磨耗板に凹み部を設け、該凹み部の断面形状が長方形凹み部もしくは逆台形凹み部もしくはT型凹み部であり、該凹み部と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板や熱応力緩和用金属薄板を挿入してロウ付けした耐磨耗板の取付け方法である。
【0017】
第5の解決手段は特許請求項5に示すように、前記通電用金属薄板に切り欠きや切込みを設けた耐磨耗板の取付け方法である。
【0018】
第6の解決手段は特許請求項6に示すように、前記通電用金属薄板の下面に絶縁材を設けた耐磨耗板の取付け方法である。
【0019】
第7の解決手段は特許請求項7に示すように、前記耐磨耗板の底部に緩衝材を設けた耐磨耗板の取付け方法である。
【0020】
第8の解決手段は特許請求項8に示すように、前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板が挿入されてロウ付けされているか、もしくは通電用金属薄板と少なくとも1枚以上の熱応力緩和用の金属薄板を挿入してロウ付けされているスタッド溶接用耐磨耗板である。
【発明の効果】
【0021】
第1の解決手段による効果は、(1)耐磨耗板の表面に通電用の貫通孔がないので、耐磨耗板の強度が低下することがなく、貫通孔のエッジ部分から選択的に摩耗することもない、(2)スタッド溶接ピンと金属薄板をロウ付けしているので安定した通電が可能となりスタッド溶接強度が向上する、(3)通電用金属薄板をスタッド溶接ガンで挟み込んで通電するので通電性が向上しスタッド溶接強度が向上する、(4)耐磨耗板の間に複数の金属薄板を挿入してロウ付けすることにより、スタッド溶接ピンとの間に生じる熱応力を緩和できる、(5)耐磨耗板の押さえとスタッド溶接ガンの操作を別々に行えるので、耐磨耗板を金属母材に正確に位置決めできる、(6)耐磨耗板と金属薄板とスタッド溶接ピンのロウ付けをひとつの作業で処理できるので工程が簡単であり、製作コストを低減できる、(7)耐磨耗板をスタッド溶接ピンとロウ付けで接合するので、固定部材などの必要がなく耐磨耗板を薄くすることができる。
【0022】
第2の解決手段による効果は、(1)耐磨耗板とスタッド溶接ピンをロウ付けするときの熱応力を緩和できるので、セラミックス板や超硬板が割れにくくなる、(2)耐磨耗板とスタッド溶接ピンの接合強度が向上する。
【0023】
第3の解決手段による効果は、(1)セラミックス板や超硬板は安価で耐磨耗性が極めて高いので、スタッド溶接で簡単に金属母材に張り付けることにより機械の摩耗寿命を大幅に向上できる、(2)耐熱性の高いセラミックス板や超硬板を樹脂などの接着剤ではなくスタッド溶接で取付けることができるので高温環境に適用可能になる。
【0024】
第4の解決手段による効果は、(1)凹み部によるガイド作用で、耐磨耗板に金属薄板やスタッド溶接ピンをセッティングしやすい、(2)金属薄板やスタッド溶接ピンを耐磨耗板の凹み部に格納できるので、耐磨耗板を金属母材に密着して取付けることができる、(3)金属薄板が耐磨耗板の内側に格納できるので、金属薄板が金属母材と接地しにくくなる、(4)逆台形凹み部に対してスタッド溶接ピンの非溶融部をテーパにすることにより、耐磨耗板とスタッド溶接ピンの接合を強化することができる。
【0025】
第5の解決手段による効果は、(1)スタッド溶接後に残留する金属薄板を引っ張ることにより、切込み部分や切り欠き部分から容易に除去できる、(2)切込みや切り欠きの形状・寸法を変化させることにより金属薄板を除去する力を変えることができるので、スタッド溶接強度の確認ができることである。
【0026】
第6の解決手段による効果は、金属薄板が金属母材と接地して漏電しないようにできることである。
【0027】
第7の解決手段による効果は、(1)耐磨耗板にかかる衝撃力を緩和し、耐磨耗板が割損したり亀裂が生じたりしないようにすることができる、(2)耐磨耗板と金属母材との密着性を向上でき、耐磨耗板が均一に荷重を受けることができる、(3)耐磨耗板が超硬板や導電性セラミックスのように導電性材料の場合は、耐磨耗板と金属母材との間を絶縁できることである。
【0028】
第8の解決手段による効果は、(1)耐磨耗板とスタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板を挿入してロウ付けしたスタッド溶接用の耐磨耗板を提供することにあり、これに加えて、(2)耐磨耗板に凹み部を設けて、凹み部に通電用金属薄板や熱応力緩和用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けしたスタッド溶接用耐磨耗板、(3)通電用金属薄板に切込みや切り欠きを設けたスタッド溶接用耐磨耗板、(4)通電用金属薄板に絶縁材を設けたスタッド溶接用耐磨耗板を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図16に基づいて説明する。
【0030】
第1の解決手段は、図1、図2、図3、図4に示すように、耐磨耗板10とスタッド溶接ピン20をロウ付けして、該スタッド溶接ピン20を金属母材50にスタッド溶接して、前記耐磨耗板10を該金属母材50に取付ける方法において、前記耐磨耗板10と前記スタッド溶接ピン20の間に通電用金属薄板30を挿入してロウ付けし、該通電用金属薄板30に通電して、前記スタッド溶接ピン20を前記金属母材50にスタッド溶接することを特徴とする耐磨耗板10の取付け方法である。
【0031】
スタッド溶接ピン20は先端部に通電用の突起21を有し、プレス加工や機械加工あるいはこれらを併用して製作することができる。スタッド溶接ピン20の材質は通電可能な金属類であれば適用可能であり、構造用炭素鋼、ステンレス材、チタン材、銅、コバールなどが適している。スタッド溶接ピン20の径は3.0〜30.0mmがよい。3.0mmより小さいと耐磨耗板10を保持する強度が不足する。20.0mmより大きいとスタッド溶接の信頼性が低下する。望ましくは5.0〜20.0mmである。スタッド溶接ピン20の厚みは0.5〜10.0mmがよい。0.5mmより薄いと機械強度が不足する。10.0mmより厚いとロウ付け時の熱応力が大きくなり耐磨耗板10を割る場合がある。望ましくは1.0〜5.0mmである。
【0032】
通電用金属薄板30の材質は銅、構造用炭素鋼、ステンレス材、チタン材、コバールなどが適している。通電用金属薄板30の厚みは0.05〜2.0mmがよい。0.05mmより薄いと熱応力を緩和する機能が発揮できない。2.0mmより厚いと熱応力のため耐磨耗板10を損傷させる恐れがある。望ましくは0.3〜1.0mmである。
【0033】
耐磨耗板10と通電用金属薄板30との接合は、耐磨耗板10の材質や通電用金属薄板の材質30によって各種方法が提案されている。例えば耐磨耗板10がメタライズしたセラミックス板や超硬板の場合は一般的なロウ付けにより通電用金属薄板30と接合できるので使用条件や環境条件によって適宜選択できる。
【0034】
通電用金属薄板30とスタッド溶接ピン20の接合は一般的に採用されている方法を適宜選択する。例えば、活性金属ロウ、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)などを含有するロウ材によるロウ付けを適用できるが、通電用金属薄板とスタッド溶接ピン20と接合できれば特に制限は無く、公知の方法を適用することができる。
【0035】
スタッド溶接の手順は、(1)図3のように金属薄板30の延長部30aをスタッド溶接ガン60の鋏61で挟む、(2)耐磨耗板10の位置決めをおこなう、(3)耐磨耗板10を押さえ治具70で押さえる、(4)図4のようにスタッド溶接ガン60に通電してスタッド溶接する、(5)図5のように耐磨耗板10の外側に残留した通電用金属薄板30の延長部30aを除去する。
【0036】
第2の解決手段は、図6に示すように、前記耐磨耗板10と前記スタッド溶接ピン20の間に通電用金属薄板30を挿入するとともに、少なくとも1枚以上の熱応力緩和用金属薄板31を挿入した耐磨耗板10の取付け方法である。
【0037】
熱応力緩和用金属薄板31の材質は銅、構造用炭素鋼、ステンレス材、チタン材、コバールなどが適している。熱応力緩和用金属薄板31の厚みは0.05〜2.0mmがよい。0.05mmより薄いと熱応力を緩和する機能が発揮できない。2.0mmより厚いと熱応力のため耐磨耗板10を損傷させる恐れがある。望ましくは0.3〜1.0mmである。熱応力緩和用金属薄板31は耐磨耗板10と通電用金属薄板30の間に挿入して、耐磨耗板とスタッド溶接ピンに生じる熱応力を緩和するのが良い。熱応力緩和用金属薄板31は1枚挿入しても良いし複数挿入しても良い。熱応力緩和用金属薄板31の厚みや挿入枚数は熱応力の発生状況に応じて適宜選択するのが良い。
【0038】
耐磨耗板10と熱応力緩和用金属薄板31との接合は、耐磨耗板10の材質や熱応力緩和用金属薄板31によって各種方法が提案されている。例えば耐磨耗板10がメタライズしたセラミックス板や超硬板の場合は一般的なロウ付けにより熱応力緩和用金属薄板31と接合できるので使用条件や環境条件によって適宜選択できる。通電用金属薄板と熱応力緩和用金属薄板の接合は一般的なロウ付けで接合できるので使用条件や環境条件に応じて適宜選択すればよい。
【0039】
第3の解決手段は、前記耐磨耗板10がセラミックス板もしくは超硬板である耐磨耗板10の取付け方法である。
【0040】
セラミックス板10にはアルミナ、窒化珪素、ジルコニア、炭化珪素などのセラミックスが使用できる。また、金属を添加した導電性セラミックス板も使用できる。セラミックス板10の厚みは1.0mm〜20.0mmがよい。1.0mmより薄いと割れやすくなる。20.0mmより厚いとセラミックス板10の重量が増し機械構造が大きくなり実機への応用が困難となる。望ましくは2.0mm〜10.0mmである。
【0041】
超硬板10にはタングステンカーバイトおよびタングステンカーバイト系合金(WC−Co、WC−Ti−Co)などが使用できる。超硬板10の厚みは0.5mm〜20.0mmがよい。1.0mmより薄いと割れやすく、20.0mm以上であると機械構造が大きくなり実機への応用が困難となる。望ましくは1.0mm〜10.0mmである。
【0042】
セラミックス板10と通電用金属薄板30あるいは熱応力緩和用金属薄板31とのロウ付けによる接合は活性金属ロウなどが採用できる。活性金属ロウ付け法は、セラミックス板10と通電用金属薄板30あるいは熱応力緩和用金属薄板31との間に板状あるいはペースト状の活性金属ロウ材を載置あるいは塗付し、真空炉やアルゴン雰囲気などの無酸化炉で850℃以上に加熱して接合する方法である。活性金属ロウ付けとしては例えばAg−Cu−Ti−Inなどを組み合わせた成分系があるが特に制限は無く公知の活性金属用のロウ材を採用できる。
【0043】
セラミックス板10の表面をメタライズもしくは無電解メッキもしくはメタライズ後に電解メッキして、該セラミックス板10と通電用金属薄板30あるいは熱応力緩和用金属薄板31をロウ付けする方法もある。セラミックス板10の表面にメタライズや金属メッキを施すことにより、セラミックス板10とロウ材の濡れ性がよくなりロウ付けの接合強度が向上するとともに、セラミックス板10と通電用金属薄板30あるいは熱応力緩和用金属薄板31のロウ付けに各種のロウ材が適用できるようになる。
【0044】
セラミックス板10にメタライズする方法としては、例えば高融点金属法(Mo−Mn法)のように、Mo−Mnなどの高融点金属粉末を主成分とするメタライズペーストをセラミックス板10に塗布し、加湿した還元性ガス中で焼成してメタライズ層を形成する方法がある。また、真空蒸着法あるいはスパッタリング法などが挙げられるが、セラミックス板10にメタライズできれば特に制限は無く、公知の形成方法を採用できる。
【0045】
セラミックス板10に直接的にメッキする方法としては、無電解Niメッキや無電解Ni−Bメッキあるいは無電解Cuメッキなどがある。例えば無電解Niメッキは樹脂やセラミックスなどの不活性な材料の表面に活性金属を吸着させて活性化し、その活性化金属に対してメッキする方法である。セラミックス板10に直接的に金属メッキができれば特に制限は無く、公知の形成方法を採用することができる。
【0046】
セラミックス板10に間接的にメッキする方法としては、高融点金属法(Mo−Mn法)などでメタライズした後に、NiやCuあるいはCrなどの電気メッキを施す方法がある。セラミックス板10のメタライズ面に金属メッキができれば特に制限は無く、公知の形成方法を採用できる。セラミックス板10にメタライズや金属メッキを施した後の金属薄板30とのロウ付け方法としては、活性金属ロウ付けの他、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)などを含有するロウ材によるロウ付け方法を適用できるが、通電用金属薄板30あるいは熱応力緩和用金属薄板31と接合できれば特に制限は無く公知の方法が採用できる。
【0047】
超硬板10と通電用金属薄板30、超硬板と熱応力緩和用金属薄板31、通電用金属薄板30と熱応力緩和用金属薄板31、通電用金属薄板30とスタッド溶接ピン20、応力緩和用金属薄板31とスタッド溶接ピン20とのロウ付けは、活性金属ロウ、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)などを含有するロウ材によるロウ付けを適用できるが、超硬板10、通電用金属薄板30、熱応力緩和用金属薄板31、スタッド溶接ピン20がそれぞれの組み合わせで接合できれば特に制限は無く公知の方法を適用することができる。
【0048】
第4の解決手段は、図7、図8、図9、図10、図11に示すように、前記耐磨耗板10に凹み部11を設け、該凹み部11の断面形状が長方形凹み部11aもしくは逆台形凹み部11bもしくはT型凹み部11cであり、該凹み部11と前記スタッド溶接ピン20の間に通電用金属薄板30や熱応力緩和用金属薄板31を挿入してロウ付けした耐磨耗板10の取付け方法である。
【0049】
凹み部11は図8、図9、図10、図11に示すように、通電用金属薄板30や熱応力緩和用金属薄板31及びスタッド溶接ピン20をスタッド溶接した時の非溶融部20aが格納できる深さがよい。深さは0.2〜3.0mmである。0.2mmより浅いと通電用金属薄板30や熱応力緩和用金属薄板31及びスタッド溶接ピン20の厚さが薄くなりロウ付け強度やスタッド溶接強が不足する。3.0mmより深いと耐磨耗板10の強度が低下する。望ましくは0.5〜2.0mmである。
【0050】
凹み部11を図10に示すように逆台形凹み部11bしてかつスタッド溶接ピン20の非溶融部20aの形状をテーパにすれば耐磨耗板10の固定を強化できる。また、図11に示すようなT型凹み部にしてかつスタッド溶接ピン20の非溶融部20aの形状をT型にすれば耐磨耗板10の固定を強化できる。
【0051】
第5の解決手段は、図11に示すように、前記通電用金属薄板30に切込み30bや切り欠き30cを設けた耐磨耗板10の取付け方法である。
【0052】
通電用金属薄板30に切込み30bや切り欠き30cを設けることによりスタッド溶接後に通電用金属薄板30の延長部30aを除去しやすくなる。切込み30bや切り欠き30cの大きさは通電用金属薄板30の厚みや幅及びスタッド溶接ピン20の大きさで決定されるが、通電性に支障が生じないように考慮する。
【0053】
第6の解決手段は、図12、図13、図15、図16に示すように、前記通電用金属薄板30の下面に絶縁材40を設けた耐磨耗板10の取付け方法である。絶縁材40はビニールテープやナイロンテープなどの樹脂テープがよい。また、樹脂や塗料あるいはエナメルなどを塗布してもよい。耐磨耗板10が超硬合金や導電性セラミックスの場合は、耐磨耗板10と金属母材50を絶縁する必要がある。耐磨耗板10が金属母材50や隣り合う耐磨耗板10と接触する部分に絶縁材40を被覆すればよい。絶縁材40の被覆方法としては樹脂、塗料、エナメルなどを塗布したり、樹脂などのテープを張り付けたりする方法があるが、絶縁性がありかつ被覆できる材料であれば特に制限はない。
【0054】
第7の解決手段は、図14に示すように、前記耐磨耗板10の底部に緩衝材80を設けた耐磨耗板10の取付け方法である。緩衝材80はゴムや繊維などが適している。ゴムには天然ゴムや合成ゴムが使用できる。繊維には植物繊維もしくは化学繊維もしくは金属繊維もしくはセラミックス繊維などが使用できる。あるいはゴムや繊維を組み合わせたものでもよい。緩衝材80として耐磨耗板10に付加される衝撃力や、金属母材50との密着性を向上できる素材であればよい。緩衝材80の厚みは0.1〜10.0mmがよい。0・1mmより薄いと緩衝効果がない。10.0mmより厚いと耐磨耗板10のスタッド溶接ピン20の溶接部にモーメントが生じ破損する危険性がある。望ましくは0.3〜3mmである。緩衝材80は耐磨耗板10と金属母材50との間で挟んで固定しても良いが、耐磨耗板10と接着剤で張り付けてもよい。
【0055】
第8の解決手段は、図1〜図16に示すように、前記耐磨耗板10と前記スタッド溶接ピン20の間に通電用金属薄板30が挿入されてロウ付けされているか、もしくは通電用金属薄板30と少なくとも1枚以上の熱応力緩和用金属薄板31を挿入してロウ付けされているスタッド溶接用耐磨耗板10である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】は通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の斜視図である。
【図2】は通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の側面図である。
【図3】は耐磨耗板をスタッド溶接する時の側面図である。
【図4】は耐磨耗板をスタッド溶接した後の側面図である。
【図5】はスタッド溶接後に通電用金属薄板の延長部を除去した側面図である。
【図6】は熱応力緩和用金属薄板と通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の側面図である。
【図7】は凹み部を設けて通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の斜視図である。
【図8】は凹み部を設けて通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の断面図である。
【図9】は凹み部を設けて熱応力緩和用金属薄板と通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の断面図である。
【図10】は逆台形凹み部に通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の断面図である。
【図11】はT型凹み部に通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の断面図である。
【図12】は通電用金属薄板に切込みや切り欠きを設けた耐磨耗板の平面図である。
【図13】は通電用金属薄板に絶縁材を取付けた耐磨耗板の平面図である。
【図14】は緩衝材を取付けた耐磨耗板の断面図である。
【図15】は凹み部を設けた耐磨耗板を通電用金属薄板に絶縁材を設けてスタッド溶接する前の断面図である。
【図16】は凹み部を設けた耐磨耗板を通電用金属薄板に絶縁材を設けてスタッド溶接した後の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
10:耐磨耗板、11:凹み部、11a:長方形凹み部、11b:逆台形凹み部、11c:T型凹み部、20:スタッド溶接ピン、20a:非溶融部、21:突起、30:通電用金属薄板、30a:延長部、30b:切込み、30c:切り欠き、31:熱応力緩和用金属薄板、40:絶縁材、50:金属母材、60:スタッド溶接ガン、61:鋏、70:押さえ治具、80:緩衝材
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス板や超硬板のような耐磨耗板をスタッド溶接で金属母材に取付ける方法において、耐磨耗板をスタッド溶接ピンとロウ付けで一体に接合し、スタッド溶接ピンを金属母材にスタッド溶接して耐磨耗板を金属母材に取付ける構造およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックスス板や超硬板のような耐磨耗板は金属母材を被覆して、金属母材を磨耗から保護するために使用されている。特にセラミックスス板は耐磨耗以外にも耐熱性、耐腐食性、耐溶損性、美観性など使用目的は多岐に渡っている。セラミックスス板や超硬板などの耐磨耗板を金属母材上に取付ける手段として、スタッド溶接による方法が各種提案されている。
【0003】
(1)先端に突起を備えたコーン部を持つスタッドをセラミックスピース本体の下面に配置し、セラミックスピース本体の上部表面からスタッドにいたる部分を導電性材料で覆い、導電性材料を介してスタッドに電流を供給してスタッドを母材金属にアーク溶接する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
(2)セラミックススピース本体の表面に凹部を形成し、この凹部に裏面側に連通する孔部を穿設するとともに固定部材を収容し、上記孔部にスタッドのピン部を裏面より挿通して、上記固定部材でこのピン部を固定することによって、セラミックススピース本体を上記スタッドのフランジ部と固定部材とで挟持した構造のセラミックススピースの取付け方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
(3)超硬合金と鋼とを応力緩和材を介して接合する方法において、応力緩和材(無酸化銅)を予め接合対象物と同様の形状に加工した後焼きなましを行い、接合面にインサート材(Tiを含む銀ろう)/応力緩和材/インサート材の順序で積層し、真空中において850℃で加熱して接合する方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
(4)セラミックス板面に受座を有するT字型断面の凹溝を設け、該凹溝にフランジ付きスタッド溶接ピンを挿入し、該スタッド溶接ピンと前記凹溝の底部間に金属薄板を挟み込んで、該金属薄板を通して前記スタッド溶接ピンに通電して、該スタッド溶接ピンを金属母材にスタッド溶接する方法が提案されている特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】特開昭63−171271号広報
【特許文献2】特開平6−91376号広報
【特許文献3】特開平6−23568号広報
【特許文献4】特開2001−47243号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の方法においては、(1)スタッド溶接ピンに通電するためにセラミックス板の表面にメッキなどの金属被覆をする必要がある、工程が増えてコストが高くなる、(2)金属メッキの厚みでは通電抵抗が大きく、スタッド溶接強度が低下する問題がある、(3)スタッド溶接ガンと金属被覆面との接触は片当たりになりやすいので通電抵抗が大きくスタッド溶接強度が低下するなどの問題がある。
【0009】
特許文献2の方法においては、(1)セラミックス板の表面に設けた貫通孔はセラミックス板の強度を低下させる、(2)通電性や接合強度を確保するためスタッド溶接ピンの径を太くすると、セラミックスス板表面に露出したスタッド溶接ピンはダストカットを受けやすくなり急速に磨耗するので、固定部材がスタッド溶接ピンから脱落してセラミックススピースが剥離する、(3)固定部材とスタッドでセラミックススピースを狭持するので、固定部材とホルダー部のロウ付け部分に大きな残留応力がかかり固定部材が剥離する危険性がある、(4)セラミックススピースに遠心力が作用する場合、固定部材とホルダー部のロウ付け部分に大きな力がかかり固定部材が剥離するなどの問題がある。
【0010】
特許文献3の方法においては、(1)ロウ付け接合するさいの熱応力を緩和するために、セラミックス板とスタッド溶接ピンの間に銅版を挿入するが、通電する場合は特許文献1のようにセラミックス板の表面に金属被覆が必要である、(2)導電性セラミックス板や超硬板のように通電性のある耐磨耗板は金属被覆を必要としない場合もあるが、電極が傾いたり耐磨耗板の表面の平面度が不良であったりすると、耐磨耗板と電極の接触が悪くなり、局部的にスパークするため耐磨耗板を損傷するなどの問題がある。
【0011】
特許文献4の方法においては、(1)通電用の銅版はセラミックス板と接合するのではなく、スタッド溶接ピンとセラミックス板の間に機械的に挟むのであり、セラミックス板とスタッド溶接ピンを接合する目的では使用されていない、(2)スタッド溶接ピンと銅板は接触しているだけであり、セラミックス板を押し付ける力が弱いと通電性が悪くなりスタッド溶接強度が低下する、(3)スタッド溶接ピンのフランジでセラミックス板の受け面を押さえるので、受け面が破損するとセラミックス板が剥離するなどの問題がある。
【0012】
本発明は、従来の構造が有していた上記問題を解決しようとするものであり、解決しようとしている課題は、(1)セラミックス板や超硬板などの耐磨耗板の表面に開孔部を形成することなく、スタッド溶接ピンに通電できるようにする、(2)セラミックス板や超硬板などの耐磨耗板に金属メッキなどの金属被覆を施すことなく通電できるようにする、(3)セラミックス板や超硬板などの耐磨耗板とスタッド溶接ピンのロウ付け面に大きな熱応力が残留して剥離するのを防止する、(4)スタッド溶接ピンがセラミックス板や超硬板などの耐磨耗板の表面に露出しない構造にして、スタッド溶接ピンの摩耗を防止する、(5)セラミックス板や超硬板などの耐磨耗板を薄くして重量を軽減することにより、ブロワーランナーやポンプインペラーなどの高速回転体へのライニング適用を拡大することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、耐磨耗板とスタッド溶接ピンをロウ付けして、該スタッド溶接ピンを金属母材にスタッド溶接して、前記耐磨耗板を該金属母材に取付ける方法において、前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板を挿入してロウ付けし、該通電用金属薄板に通電して、前記スタッド溶接ピンを前記金属母材にスタッド溶接する耐磨耗板の取付け方法である。
【0014】
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板を挿入するとともに、少なくとも1枚以上の熱応力緩和用金属薄板を挿入した耐磨耗板の取付け方法である。
【0015】
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記耐磨耗板がセラミックス板もしくは超硬板である耐磨耗板の取付け方法である。
【0016】
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記耐磨耗板に凹み部を設け、該凹み部の断面形状が長方形凹み部もしくは逆台形凹み部もしくはT型凹み部であり、該凹み部と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板や熱応力緩和用金属薄板を挿入してロウ付けした耐磨耗板の取付け方法である。
【0017】
第5の解決手段は特許請求項5に示すように、前記通電用金属薄板に切り欠きや切込みを設けた耐磨耗板の取付け方法である。
【0018】
第6の解決手段は特許請求項6に示すように、前記通電用金属薄板の下面に絶縁材を設けた耐磨耗板の取付け方法である。
【0019】
第7の解決手段は特許請求項7に示すように、前記耐磨耗板の底部に緩衝材を設けた耐磨耗板の取付け方法である。
【0020】
第8の解決手段は特許請求項8に示すように、前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板が挿入されてロウ付けされているか、もしくは通電用金属薄板と少なくとも1枚以上の熱応力緩和用の金属薄板を挿入してロウ付けされているスタッド溶接用耐磨耗板である。
【発明の効果】
【0021】
第1の解決手段による効果は、(1)耐磨耗板の表面に通電用の貫通孔がないので、耐磨耗板の強度が低下することがなく、貫通孔のエッジ部分から選択的に摩耗することもない、(2)スタッド溶接ピンと金属薄板をロウ付けしているので安定した通電が可能となりスタッド溶接強度が向上する、(3)通電用金属薄板をスタッド溶接ガンで挟み込んで通電するので通電性が向上しスタッド溶接強度が向上する、(4)耐磨耗板の間に複数の金属薄板を挿入してロウ付けすることにより、スタッド溶接ピンとの間に生じる熱応力を緩和できる、(5)耐磨耗板の押さえとスタッド溶接ガンの操作を別々に行えるので、耐磨耗板を金属母材に正確に位置決めできる、(6)耐磨耗板と金属薄板とスタッド溶接ピンのロウ付けをひとつの作業で処理できるので工程が簡単であり、製作コストを低減できる、(7)耐磨耗板をスタッド溶接ピンとロウ付けで接合するので、固定部材などの必要がなく耐磨耗板を薄くすることができる。
【0022】
第2の解決手段による効果は、(1)耐磨耗板とスタッド溶接ピンをロウ付けするときの熱応力を緩和できるので、セラミックス板や超硬板が割れにくくなる、(2)耐磨耗板とスタッド溶接ピンの接合強度が向上する。
【0023】
第3の解決手段による効果は、(1)セラミックス板や超硬板は安価で耐磨耗性が極めて高いので、スタッド溶接で簡単に金属母材に張り付けることにより機械の摩耗寿命を大幅に向上できる、(2)耐熱性の高いセラミックス板や超硬板を樹脂などの接着剤ではなくスタッド溶接で取付けることができるので高温環境に適用可能になる。
【0024】
第4の解決手段による効果は、(1)凹み部によるガイド作用で、耐磨耗板に金属薄板やスタッド溶接ピンをセッティングしやすい、(2)金属薄板やスタッド溶接ピンを耐磨耗板の凹み部に格納できるので、耐磨耗板を金属母材に密着して取付けることができる、(3)金属薄板が耐磨耗板の内側に格納できるので、金属薄板が金属母材と接地しにくくなる、(4)逆台形凹み部に対してスタッド溶接ピンの非溶融部をテーパにすることにより、耐磨耗板とスタッド溶接ピンの接合を強化することができる。
【0025】
第5の解決手段による効果は、(1)スタッド溶接後に残留する金属薄板を引っ張ることにより、切込み部分や切り欠き部分から容易に除去できる、(2)切込みや切り欠きの形状・寸法を変化させることにより金属薄板を除去する力を変えることができるので、スタッド溶接強度の確認ができることである。
【0026】
第6の解決手段による効果は、金属薄板が金属母材と接地して漏電しないようにできることである。
【0027】
第7の解決手段による効果は、(1)耐磨耗板にかかる衝撃力を緩和し、耐磨耗板が割損したり亀裂が生じたりしないようにすることができる、(2)耐磨耗板と金属母材との密着性を向上でき、耐磨耗板が均一に荷重を受けることができる、(3)耐磨耗板が超硬板や導電性セラミックスのように導電性材料の場合は、耐磨耗板と金属母材との間を絶縁できることである。
【0028】
第8の解決手段による効果は、(1)耐磨耗板とスタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板を挿入してロウ付けしたスタッド溶接用の耐磨耗板を提供することにあり、これに加えて、(2)耐磨耗板に凹み部を設けて、凹み部に通電用金属薄板や熱応力緩和用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けしたスタッド溶接用耐磨耗板、(3)通電用金属薄板に切込みや切り欠きを設けたスタッド溶接用耐磨耗板、(4)通電用金属薄板に絶縁材を設けたスタッド溶接用耐磨耗板を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図16に基づいて説明する。
【0030】
第1の解決手段は、図1、図2、図3、図4に示すように、耐磨耗板10とスタッド溶接ピン20をロウ付けして、該スタッド溶接ピン20を金属母材50にスタッド溶接して、前記耐磨耗板10を該金属母材50に取付ける方法において、前記耐磨耗板10と前記スタッド溶接ピン20の間に通電用金属薄板30を挿入してロウ付けし、該通電用金属薄板30に通電して、前記スタッド溶接ピン20を前記金属母材50にスタッド溶接することを特徴とする耐磨耗板10の取付け方法である。
【0031】
スタッド溶接ピン20は先端部に通電用の突起21を有し、プレス加工や機械加工あるいはこれらを併用して製作することができる。スタッド溶接ピン20の材質は通電可能な金属類であれば適用可能であり、構造用炭素鋼、ステンレス材、チタン材、銅、コバールなどが適している。スタッド溶接ピン20の径は3.0〜30.0mmがよい。3.0mmより小さいと耐磨耗板10を保持する強度が不足する。20.0mmより大きいとスタッド溶接の信頼性が低下する。望ましくは5.0〜20.0mmである。スタッド溶接ピン20の厚みは0.5〜10.0mmがよい。0.5mmより薄いと機械強度が不足する。10.0mmより厚いとロウ付け時の熱応力が大きくなり耐磨耗板10を割る場合がある。望ましくは1.0〜5.0mmである。
【0032】
通電用金属薄板30の材質は銅、構造用炭素鋼、ステンレス材、チタン材、コバールなどが適している。通電用金属薄板30の厚みは0.05〜2.0mmがよい。0.05mmより薄いと熱応力を緩和する機能が発揮できない。2.0mmより厚いと熱応力のため耐磨耗板10を損傷させる恐れがある。望ましくは0.3〜1.0mmである。
【0033】
耐磨耗板10と通電用金属薄板30との接合は、耐磨耗板10の材質や通電用金属薄板の材質30によって各種方法が提案されている。例えば耐磨耗板10がメタライズしたセラミックス板や超硬板の場合は一般的なロウ付けにより通電用金属薄板30と接合できるので使用条件や環境条件によって適宜選択できる。
【0034】
通電用金属薄板30とスタッド溶接ピン20の接合は一般的に採用されている方法を適宜選択する。例えば、活性金属ロウ、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)などを含有するロウ材によるロウ付けを適用できるが、通電用金属薄板とスタッド溶接ピン20と接合できれば特に制限は無く、公知の方法を適用することができる。
【0035】
スタッド溶接の手順は、(1)図3のように金属薄板30の延長部30aをスタッド溶接ガン60の鋏61で挟む、(2)耐磨耗板10の位置決めをおこなう、(3)耐磨耗板10を押さえ治具70で押さえる、(4)図4のようにスタッド溶接ガン60に通電してスタッド溶接する、(5)図5のように耐磨耗板10の外側に残留した通電用金属薄板30の延長部30aを除去する。
【0036】
第2の解決手段は、図6に示すように、前記耐磨耗板10と前記スタッド溶接ピン20の間に通電用金属薄板30を挿入するとともに、少なくとも1枚以上の熱応力緩和用金属薄板31を挿入した耐磨耗板10の取付け方法である。
【0037】
熱応力緩和用金属薄板31の材質は銅、構造用炭素鋼、ステンレス材、チタン材、コバールなどが適している。熱応力緩和用金属薄板31の厚みは0.05〜2.0mmがよい。0.05mmより薄いと熱応力を緩和する機能が発揮できない。2.0mmより厚いと熱応力のため耐磨耗板10を損傷させる恐れがある。望ましくは0.3〜1.0mmである。熱応力緩和用金属薄板31は耐磨耗板10と通電用金属薄板30の間に挿入して、耐磨耗板とスタッド溶接ピンに生じる熱応力を緩和するのが良い。熱応力緩和用金属薄板31は1枚挿入しても良いし複数挿入しても良い。熱応力緩和用金属薄板31の厚みや挿入枚数は熱応力の発生状況に応じて適宜選択するのが良い。
【0038】
耐磨耗板10と熱応力緩和用金属薄板31との接合は、耐磨耗板10の材質や熱応力緩和用金属薄板31によって各種方法が提案されている。例えば耐磨耗板10がメタライズしたセラミックス板や超硬板の場合は一般的なロウ付けにより熱応力緩和用金属薄板31と接合できるので使用条件や環境条件によって適宜選択できる。通電用金属薄板と熱応力緩和用金属薄板の接合は一般的なロウ付けで接合できるので使用条件や環境条件に応じて適宜選択すればよい。
【0039】
第3の解決手段は、前記耐磨耗板10がセラミックス板もしくは超硬板である耐磨耗板10の取付け方法である。
【0040】
セラミックス板10にはアルミナ、窒化珪素、ジルコニア、炭化珪素などのセラミックスが使用できる。また、金属を添加した導電性セラミックス板も使用できる。セラミックス板10の厚みは1.0mm〜20.0mmがよい。1.0mmより薄いと割れやすくなる。20.0mmより厚いとセラミックス板10の重量が増し機械構造が大きくなり実機への応用が困難となる。望ましくは2.0mm〜10.0mmである。
【0041】
超硬板10にはタングステンカーバイトおよびタングステンカーバイト系合金(WC−Co、WC−Ti−Co)などが使用できる。超硬板10の厚みは0.5mm〜20.0mmがよい。1.0mmより薄いと割れやすく、20.0mm以上であると機械構造が大きくなり実機への応用が困難となる。望ましくは1.0mm〜10.0mmである。
【0042】
セラミックス板10と通電用金属薄板30あるいは熱応力緩和用金属薄板31とのロウ付けによる接合は活性金属ロウなどが採用できる。活性金属ロウ付け法は、セラミックス板10と通電用金属薄板30あるいは熱応力緩和用金属薄板31との間に板状あるいはペースト状の活性金属ロウ材を載置あるいは塗付し、真空炉やアルゴン雰囲気などの無酸化炉で850℃以上に加熱して接合する方法である。活性金属ロウ付けとしては例えばAg−Cu−Ti−Inなどを組み合わせた成分系があるが特に制限は無く公知の活性金属用のロウ材を採用できる。
【0043】
セラミックス板10の表面をメタライズもしくは無電解メッキもしくはメタライズ後に電解メッキして、該セラミックス板10と通電用金属薄板30あるいは熱応力緩和用金属薄板31をロウ付けする方法もある。セラミックス板10の表面にメタライズや金属メッキを施すことにより、セラミックス板10とロウ材の濡れ性がよくなりロウ付けの接合強度が向上するとともに、セラミックス板10と通電用金属薄板30あるいは熱応力緩和用金属薄板31のロウ付けに各種のロウ材が適用できるようになる。
【0044】
セラミックス板10にメタライズする方法としては、例えば高融点金属法(Mo−Mn法)のように、Mo−Mnなどの高融点金属粉末を主成分とするメタライズペーストをセラミックス板10に塗布し、加湿した還元性ガス中で焼成してメタライズ層を形成する方法がある。また、真空蒸着法あるいはスパッタリング法などが挙げられるが、セラミックス板10にメタライズできれば特に制限は無く、公知の形成方法を採用できる。
【0045】
セラミックス板10に直接的にメッキする方法としては、無電解Niメッキや無電解Ni−Bメッキあるいは無電解Cuメッキなどがある。例えば無電解Niメッキは樹脂やセラミックスなどの不活性な材料の表面に活性金属を吸着させて活性化し、その活性化金属に対してメッキする方法である。セラミックス板10に直接的に金属メッキができれば特に制限は無く、公知の形成方法を採用することができる。
【0046】
セラミックス板10に間接的にメッキする方法としては、高融点金属法(Mo−Mn法)などでメタライズした後に、NiやCuあるいはCrなどの電気メッキを施す方法がある。セラミックス板10のメタライズ面に金属メッキができれば特に制限は無く、公知の形成方法を採用できる。セラミックス板10にメタライズや金属メッキを施した後の金属薄板30とのロウ付け方法としては、活性金属ロウ付けの他、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)などを含有するロウ材によるロウ付け方法を適用できるが、通電用金属薄板30あるいは熱応力緩和用金属薄板31と接合できれば特に制限は無く公知の方法が採用できる。
【0047】
超硬板10と通電用金属薄板30、超硬板と熱応力緩和用金属薄板31、通電用金属薄板30と熱応力緩和用金属薄板31、通電用金属薄板30とスタッド溶接ピン20、応力緩和用金属薄板31とスタッド溶接ピン20とのロウ付けは、活性金属ロウ、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)などを含有するロウ材によるロウ付けを適用できるが、超硬板10、通電用金属薄板30、熱応力緩和用金属薄板31、スタッド溶接ピン20がそれぞれの組み合わせで接合できれば特に制限は無く公知の方法を適用することができる。
【0048】
第4の解決手段は、図7、図8、図9、図10、図11に示すように、前記耐磨耗板10に凹み部11を設け、該凹み部11の断面形状が長方形凹み部11aもしくは逆台形凹み部11bもしくはT型凹み部11cであり、該凹み部11と前記スタッド溶接ピン20の間に通電用金属薄板30や熱応力緩和用金属薄板31を挿入してロウ付けした耐磨耗板10の取付け方法である。
【0049】
凹み部11は図8、図9、図10、図11に示すように、通電用金属薄板30や熱応力緩和用金属薄板31及びスタッド溶接ピン20をスタッド溶接した時の非溶融部20aが格納できる深さがよい。深さは0.2〜3.0mmである。0.2mmより浅いと通電用金属薄板30や熱応力緩和用金属薄板31及びスタッド溶接ピン20の厚さが薄くなりロウ付け強度やスタッド溶接強が不足する。3.0mmより深いと耐磨耗板10の強度が低下する。望ましくは0.5〜2.0mmである。
【0050】
凹み部11を図10に示すように逆台形凹み部11bしてかつスタッド溶接ピン20の非溶融部20aの形状をテーパにすれば耐磨耗板10の固定を強化できる。また、図11に示すようなT型凹み部にしてかつスタッド溶接ピン20の非溶融部20aの形状をT型にすれば耐磨耗板10の固定を強化できる。
【0051】
第5の解決手段は、図11に示すように、前記通電用金属薄板30に切込み30bや切り欠き30cを設けた耐磨耗板10の取付け方法である。
【0052】
通電用金属薄板30に切込み30bや切り欠き30cを設けることによりスタッド溶接後に通電用金属薄板30の延長部30aを除去しやすくなる。切込み30bや切り欠き30cの大きさは通電用金属薄板30の厚みや幅及びスタッド溶接ピン20の大きさで決定されるが、通電性に支障が生じないように考慮する。
【0053】
第6の解決手段は、図12、図13、図15、図16に示すように、前記通電用金属薄板30の下面に絶縁材40を設けた耐磨耗板10の取付け方法である。絶縁材40はビニールテープやナイロンテープなどの樹脂テープがよい。また、樹脂や塗料あるいはエナメルなどを塗布してもよい。耐磨耗板10が超硬合金や導電性セラミックスの場合は、耐磨耗板10と金属母材50を絶縁する必要がある。耐磨耗板10が金属母材50や隣り合う耐磨耗板10と接触する部分に絶縁材40を被覆すればよい。絶縁材40の被覆方法としては樹脂、塗料、エナメルなどを塗布したり、樹脂などのテープを張り付けたりする方法があるが、絶縁性がありかつ被覆できる材料であれば特に制限はない。
【0054】
第7の解決手段は、図14に示すように、前記耐磨耗板10の底部に緩衝材80を設けた耐磨耗板10の取付け方法である。緩衝材80はゴムや繊維などが適している。ゴムには天然ゴムや合成ゴムが使用できる。繊維には植物繊維もしくは化学繊維もしくは金属繊維もしくはセラミックス繊維などが使用できる。あるいはゴムや繊維を組み合わせたものでもよい。緩衝材80として耐磨耗板10に付加される衝撃力や、金属母材50との密着性を向上できる素材であればよい。緩衝材80の厚みは0.1〜10.0mmがよい。0・1mmより薄いと緩衝効果がない。10.0mmより厚いと耐磨耗板10のスタッド溶接ピン20の溶接部にモーメントが生じ破損する危険性がある。望ましくは0.3〜3mmである。緩衝材80は耐磨耗板10と金属母材50との間で挟んで固定しても良いが、耐磨耗板10と接着剤で張り付けてもよい。
【0055】
第8の解決手段は、図1〜図16に示すように、前記耐磨耗板10と前記スタッド溶接ピン20の間に通電用金属薄板30が挿入されてロウ付けされているか、もしくは通電用金属薄板30と少なくとも1枚以上の熱応力緩和用金属薄板31を挿入してロウ付けされているスタッド溶接用耐磨耗板10である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】は通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の斜視図である。
【図2】は通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の側面図である。
【図3】は耐磨耗板をスタッド溶接する時の側面図である。
【図4】は耐磨耗板をスタッド溶接した後の側面図である。
【図5】はスタッド溶接後に通電用金属薄板の延長部を除去した側面図である。
【図6】は熱応力緩和用金属薄板と通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の側面図である。
【図7】は凹み部を設けて通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の斜視図である。
【図8】は凹み部を設けて通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の断面図である。
【図9】は凹み部を設けて熱応力緩和用金属薄板と通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の断面図である。
【図10】は逆台形凹み部に通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の断面図である。
【図11】はT型凹み部に通電用金属薄板とスタッド溶接ピンをロウ付けした耐磨耗板の断面図である。
【図12】は通電用金属薄板に切込みや切り欠きを設けた耐磨耗板の平面図である。
【図13】は通電用金属薄板に絶縁材を取付けた耐磨耗板の平面図である。
【図14】は緩衝材を取付けた耐磨耗板の断面図である。
【図15】は凹み部を設けた耐磨耗板を通電用金属薄板に絶縁材を設けてスタッド溶接する前の断面図である。
【図16】は凹み部を設けた耐磨耗板を通電用金属薄板に絶縁材を設けてスタッド溶接した後の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
10:耐磨耗板、11:凹み部、11a:長方形凹み部、11b:逆台形凹み部、11c:T型凹み部、20:スタッド溶接ピン、20a:非溶融部、21:突起、30:通電用金属薄板、30a:延長部、30b:切込み、30c:切り欠き、31:熱応力緩和用金属薄板、40:絶縁材、50:金属母材、60:スタッド溶接ガン、61:鋏、70:押さえ治具、80:緩衝材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐磨耗板とスタッド溶接ピンをロウ付けして、該スタッド溶接ピンを金属母材にスタッド溶接して、前記耐磨耗板を該金属母材に取付ける方法において、前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板を挿入してロウ付けし、該通電用金属薄板に通電して、前記スタッド溶接ピンを前記金属母材にスタッド溶接することを特徴とする耐磨耗板の取付け方法。
【請求項2】
前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板を挿入するとともに、少なくとも1枚以上の熱応力緩和用金属薄板を挿入したことを特徴とする請求項1及び請求項2記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項3】
前記耐磨耗板がセラミックス板もしくは超硬板であることを特徴とする請求項1記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項4】
前記耐磨耗板に凹み部を設け、該凹み部の断面形状が長方形凹み部もしくは逆台形凹み部もしくはT型凹み部であり、該凹み部と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板や熱応力緩和用金属薄板を挿入してロウ付けしたことを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項5】
前記通電用金属薄板に切り欠きや切込みを設けたことを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3及び請求項4記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項6】
前記通電用金属薄板の下面に絶縁材を設けたことを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3記載及び請求項4及び請求項5記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項7】
前記耐磨耗板の底部に緩衝材を設けたことを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3記載及び請求項4及び請求項5記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項8】
前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板が挿入されてロウ付けされているか、もしくは通電用金属薄板と少なくとも1枚以上の熱応力緩和用金属薄板を挿入してロウ付けされていることを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3及び請求項4及び請求項5及び請求項6記載のスタッド溶接用耐磨耗板。
【請求項1】
耐磨耗板とスタッド溶接ピンをロウ付けして、該スタッド溶接ピンを金属母材にスタッド溶接して、前記耐磨耗板を該金属母材に取付ける方法において、前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板を挿入してロウ付けし、該通電用金属薄板に通電して、前記スタッド溶接ピンを前記金属母材にスタッド溶接することを特徴とする耐磨耗板の取付け方法。
【請求項2】
前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板を挿入するとともに、少なくとも1枚以上の熱応力緩和用金属薄板を挿入したことを特徴とする請求項1及び請求項2記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項3】
前記耐磨耗板がセラミックス板もしくは超硬板であることを特徴とする請求項1記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項4】
前記耐磨耗板に凹み部を設け、該凹み部の断面形状が長方形凹み部もしくは逆台形凹み部もしくはT型凹み部であり、該凹み部と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板や熱応力緩和用金属薄板を挿入してロウ付けしたことを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項5】
前記通電用金属薄板に切り欠きや切込みを設けたことを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3及び請求項4記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項6】
前記通電用金属薄板の下面に絶縁材を設けたことを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3記載及び請求項4及び請求項5記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項7】
前記耐磨耗板の底部に緩衝材を設けたことを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3記載及び請求項4及び請求項5記載の耐磨耗板の取付け方法。
【請求項8】
前記耐磨耗板と前記スタッド溶接ピンの間に通電用金属薄板が挿入されてロウ付けされているか、もしくは通電用金属薄板と少なくとも1枚以上の熱応力緩和用金属薄板を挿入してロウ付けされていることを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3及び請求項4及び請求項5及び請求項6記載のスタッド溶接用耐磨耗板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−160653(P2009−160653A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27035(P2008−27035)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(504132962)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(504132962)
【Fターム(参考)】
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