説明

耐衝撃性を有する直流モータ

【課題】本発明は、ファンモータにより燃焼室に空気を供給し、燃料と空気の混合気体を爆発させる際の振動が直流モータのブラシ取付部に与える影響を防止することができる耐衝撃性を有する直流モータに関するものである。
【解決手段】本発明の耐衝撃性を有する直流モータは、ブラシがブラシ取付部の溝にそれぞれ取り付けられて、折り曲げられた曲げ部を有するとともに、整流子片に接するように前記ブラシ取付部近傍で折り曲げられている。各巻線端末は、案内溝を通して巻線端末取付端子に最短距離で取り付けられている。また、前記ブラシ取付部は、スリットが設けられ、前記スリットにブラシの端部が嵌合される。また、前記ブラシの端部が嵌合されたスリットの上部は、たとえば、エポキシ樹脂系接着剤のような硬質接着剤により覆われている。さらに、前記ブラシ取付部近傍および前記ブラシの曲げ部は、たとえば、弾性シリコ−ン樹脂系接着剤のような弾性接着剤によって覆うように接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアレス直流モータの巻線端末の切断を防止することができる耐衝撃性を有する直流モータに関するものである。また、本発明は、ファンモータにより燃焼室の吸気および排気を行い、燃料と空気の混合気体が爆発する際の振動により、前記ファンモータの巻線端末部に与える影響を防止することができる、たとえば、釘、ステップル、ファスナー等を打ち込むガス燃焼式打込装置用ファンモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は従来例におけるガス燃焼式打込装置の模式図である。図3において、ガス燃焼式打込装置は、ガス燃焼室32の排気および吸気を行うファンを回転するモータ31が設けられている。前記ガス燃焼室32内では、燃焼ガスと空気が攪拌されて混合ガスになるとともに、図示されていない点火プラグに通電され、前記混合ガスが着火すると同時に爆発322する。前記ガス燃焼式打込装置は、たとえば、特開2005−288607号公報、特開平8−290370号公報に記載されている。
【0003】
図4は従来例におけるガス燃焼式打込装置用ファンモータの巻線端末部を説明するための図である。図4において、コイルエンド41は、巻線42の端部が合成樹脂製部材により一体に構成されている。前記コイルエンド41は、たとえば、絶縁基板上に複数個の導体が設けられているプリント配線板43と、5本の巻線端末部421と、5個のコンデンサ432と、5個の端末部接続部431と、整流子片組立体44と、前記5本の巻線端末部421が通る溝433とから少なくとも構成されている。
【0004】
前記プリント配線板43は、図4において、上面にコンデンサ432の端子、および巻線端末部421をハンダ付けする端末部接続部431がそれぞれ設けられている。また、前記プリント配線板43の裏側は、全面が絶縁基板から構成されている。さらに、コイルエンド41は、巻線端末部421を案内する溝433を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−288607号公報
【特許文献2】特開平8−290370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記ファンモータは、巻線端末部421と端末部接続部431とが離れた位置に設けられている。また、前記巻線端末部421は、前記コイルエンド41のリムに設けられた溝433を介して端末部接続部431に接続されている。前記巻線端末部421は、端末部接続部431を中心の位置に近いため、巻線端末部421が長くなるため、衝撃性エネルギーによる慣性モーメントが大きくなり、切断し易いという欠点があった。
【0007】
また、前記ガス燃焼式打込装置は、燃料ガスと空気の混合ガスが爆発する際に、ファンモータに大きな衝撃が加わる。前記ファンモータは、一般的に、直流ブラシモータが使用される。前記ファンモータのブラシは、整流子片と接触して、モータに電力を供給する。しかし、前記ブラシは、エンドプレートの取付部に取り付けられているが、前記ガス燃焼式打込装置の度重なる衝撃に耐えることができずに、ブラシ取付部において、ブラシの衝撃振動による応力が取付部の境界で作用し、遂には切断してしまうことがあった。
【0008】
以上のような課題を解決するために、本発明は、衝撃振動による慣性モーメントが小さくなるように巻線端末部を短くすること、およびブラシ取付部近傍に弾性シリコーン樹脂系接着剤を使用して、燃料が爆発した際の衝撃振動をシリコーン接着剤の弾性でブラシの振動を緩和することができるガス燃焼式打込装置用ファンモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(第1発明)
第1発明の耐衝撃性を有する直流モータは、ブラシ付き直流モータであり、少なくとも前記直流モータの回転子を収納するハウジングを閉じる合成樹脂製エンドプレートと、前記合成樹脂製エンドプレートに設けられた2個のブラシ取付部と、前記ブラシ取付部にそれぞれ取り付けられるとともに、整流子片に接するように曲げられた曲げ部を有する2個のブラシと、前記回転子の端部に設けられ、複数の巻線端末に対応して上面の外周に設けられた環状リブに案内溝を有する合成樹脂製コイルエンドと、前記合成樹脂製コイルエンドの環状リブの内側に設けられ、巻線端末取付端子が外周近傍に形成されたプリント配線板とから少なくとも構成され、前記各巻線端末が、前記案内溝を通して前記巻線端末取付端子に最短距離で取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
(第2発明)
第2発明の耐衝撃性を有する直流モータは、前記ブラシ取付部に前記ブラシを固定する硬質接着剤と、前記ブラシ取付部近傍から前記曲げ部近傍を覆って接着されている弾性シリコ−ン樹脂系接着剤とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0011】
(第3発明)
第3発明の耐衝撃性を有する直流モータは、ガス燃焼式打込装置の燃料室で使用されるファン駆動用であることを特徴とする。
【0012】
(第4発明)
第4発明の耐衝撃性を有する直流モータにおいて、前記弾性シリコーン樹脂系接着剤は、一液性室温硬化型であることを特徴とする。
【0013】
(第5発明)
第5発明の耐衝撃性を有する直流モータにおいて、前記弾性シリコーン樹脂系接着剤のデュロメータ タイプAの硬さは、10から50であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ブラシおよびブラシ取付部と、これらの近傍を弾性シリコーン樹脂系接着剤で覆うとともに、巻線端末部を短く、かつ、振動しないようにコイルエンドを成形することにより、耐衝撃性を有する直流モータに大きな振動が発生したとしても、前記弾性シリコーン樹脂系接着剤と短い巻線端末によって前記各接続部に受ける慣性モーメントを小さくして、寿命を長くすることができる。すなわち、本発明の巻線端末は、長さを短くすることで、前記慣性モーメントをより小さくしている。
【0015】
本発明によれば、前記弾性シリコーン樹脂系接着剤は、ブラシおよびブラシ取付部近傍から曲げ部近傍のブラシを覆うため、ガス燃焼式打込装置の大きな振動を受けたとしても、前記ブラシの振動が取付部に集中せず、緩和されるので故障が減少する。
【0016】
本発明によれば、弾性シリコーン樹脂系接着剤によりブラシのブラシ取付部近傍および曲げ部近傍を覆ったため、前記弾性シリコーン樹脂系接着剤の硬さ、引張強さ、伸び率等を適宜選択することで、ガス燃焼式打込装置の大きな振動を吸収して、応力を集中しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1はエンドプレートおよびコイルエンドを説明するための模式斜視図である。(実施例1)
【図2】図2は本発明の実施例であるガス燃焼式打込装置用ファンモータのコイルエンドを説明するための模式斜視図である。
【図3】図3は従来のガス燃焼式打込装置を説明するための模式図である。
【図4】図4は従来のコイルエンドを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1発明)
第1発明の直流モータは、回転軸方向への大きな衝撃振動エネルギーが巻線端末部にかかり、ハンダ接続部が外れ、接触不良になるのを防止するものである。前記直流モータは、合成樹脂製エンドプレートと、ブラシ取付部と、ブラシと、合成樹脂製コイルエンドと、プリント配線板と、コンデンサと、巻線端末部を有する巻線と、少なくとも固定子および回転子等と、前記固定子および回転子等を収容するハウジングとから構成されている。
【0019】
前記巻線端末部は、前記合成樹脂製コイルエンドの周縁に設けられたリブに成形された案内溝に沿って、最短距離で後述の巻線端末取付端子に接続される。前記合成樹脂製コイルエンドは、一方の側、たとえば、上部にコンデンサ電極、巻線端末取付端子、および整流子片接続端子からなる複数個の導電体が互いに絶縁されて形成されているプリント配線板が設けられている。
【0020】
前記プリント配線板は、整流子の周囲に設けられているとともに、コンデンサ電極と、巻線端末取付端子と、整流子端子とが一纏めになり、互いに絶縁された複数の導電体からなり、絶縁基板上に設けられている。前記各端子は、たとえば、ハンダ等によってコンデンサ、巻線端末部、整流子端子がそれぞれ前記導電体に接続されている。前記巻線は、端末が巻線端末取付端子に接続され、前記プリント配線板の外周近傍に最短距離となるように設けられた巻線端末取付端子に接続される。
【0021】
また、前記巻線端末は、前記合成樹脂製コイルエンドに成形されたリブの案内溝を通り、最短距離で巻線端末取付端子に接続される。前記巻線端末は、前記合成樹脂製コイルエンドに成形された案内溝を介して、最短距離で巻線端末取付端子に接続されているため、燃焼室で爆発した際に発生する強い衝撃振動を受けたとしても、ハンダ接続部に受けるストレスが少なくなり、寿命を長くすることができる。
【0022】
前記耐衝撃性を有する直流モータにおけるコイルエンドにおいて、前記巻線端末を案内する案内溝は、前記巻線端末が斜めに通過するような形状に成形されている。前記案内溝の形状は、巻線端末が最短距離に配線できるだけでなく、前記巻線端末における線と案内溝との間に空間がないため、前記案内溝の角による摩擦で切断することがないような構造にすることが望ましい。
【0023】
(第2発明)
第2発明の耐衝撃性を有する直流モータは、硬さの異なる二種類の接着剤によりブラシ取付部およびブラシ取付部近傍を覆っている。たとえば、前記ブラシ取付部は、たとえば、エポキシ樹脂系硬質接着剤によって強固に固定される。また、前記ブラシ取付部近傍は、たとえば、弾性シリコ−ン樹脂系接着剤によって覆われる。前記耐衝撃性を有する直流モータは、弾性シリコーン樹脂系接着剤の弾性により応力が集中することなく、回転軸方向への衝撃振動を吸収するとともに、振動に耐えるようにしている。
【0024】
(第3発明)
第3発明の直流モータは、たとえば、ガス燃焼式打込装置によって発生する振動を吸収するものである。前記ガス燃焼式打込装置は、ファンモータによって、燃焼室に燃料と空気を供給し、燃料と空気の混合気体を爆発させることにより、釘、ステップル、ファスナー等を打ち込むものである。前記ファンモータは、前記釘、ステップル、ファスナー等(前記等は、前記釘、ステップル、ファスナーの類似品、同じ作用行う部材をいう)を打ち込む際に発生する大きな振動エネルギーがブラシの取付部に応力が集中することなく、分散されるので、耐久性が付与される。
【0025】
(第4発明)
第4発明の耐衝撃性を有する直流モータにおいて、弾性シリコ−ン樹脂系接着剤は、ブラシ取付部近傍および前記ブラシの曲げ部近傍の両方を覆って接着されている。前記弾性シリコ−ン樹脂系接着剤は、一液性室温硬化型とすることで、乾燥が比較的早く、また、硬化後の柔らかさによって、ガス燃焼式打込装置の燃料が爆発する際に発生するような大きい衝撃振動を吸収して、前記ブラシ取付部および前記ブラシの折り曲げ部近傍に直接伝達しないように緩和することができる。
【0026】
(第5発明)
第5発明の耐衝撃性を有する直流モータで使用される弾性シリコーン樹脂系接着剤は、デュロメータ タイプAの硬さは、10から50 好ましくは10から40のものを使用するのが好ましい。前記タイプAの硬さが10未満では、衝撃性振動を緩和することができず、タイプAの硬さが50を超えると、ブラシの柔軟性を損ない、モータの回転が不良となる。前記弾性シリコーン樹脂系接着剤は、表面硬化性、厚膜硬化性に優れている低分子シロキサンが少ないものを使用することにより、整流子片に絶縁膜が形成されるのを防止するだけでなく、硬化速度が早く、耐熱性、耐寒性、腐食性に優れている。
【実施例1】
【0027】
本発明の耐衝撃性を有する直流モータは、たとえば、ファンモータにより燃焼室に空気を供給し、燃料と空気の混合気体を爆発させることにより、釘、ステップル、ファスナー等を打ち込むものに使用される。前記ガス燃焼式打込装置用ファンモータは、前記釘、ステップル、ファスナー等を打ち込む際の大きな振動エネルギーにより、ブラシ取付部近傍および巻線端末部の取付部にかかる応力を軽減し、取り付けられた部分が外れるのを防止するものである。
【0028】
図1はエンドプレートおよびコイルエンドを説明するための模式斜視図である。図1において、エンドプレート11は、後述する、固定子および回転子等を収容するモータハウジング25の端部に嵌合するものである。前記エンドプレート11は、前記モータハウジング25の端部を封止するものであり、内部にブラシ組立体が設けられている。図1に示されたブラシ組立体は、2組のブラシ12、12′が示されている。ブラシ12、12′は、一方の端部をブラシ取付部113、113′に取り付けられている。
【0029】
前記ブラシ取付部113、113′は、ブラシ取付溝114、114′が設けられており、ブラシ12、12′の一方の端部が挿入されて取り付けられる。前記ブラシ12、12′の端部は、ブラシ導電部121、121′(点線で示されている)となっている。前記ブラシ12、12′は、ブラシ取付部113、113′の近傍で、図示のごとく鋭角に折り曲げられられている。図1の上部は、ブラシが二本のものが示されている。
【0030】
前記ブラシ取付部113、113′には、案内溝114、114′が設けられており、ブラシ12、12′の端部が取り付けられている。前記ブラシ取付ブラシ113、113′の上部近傍には、硬化性接着剤13、13′によって固着されている。また、前記ブラシの折り曲げ部近傍は、弾性シリコ−ン樹脂系接着剤17、17′によって覆われるように接着されている。前記弾性シリコーン樹脂系接着剤17、17′は、ガス燃焼式打込装置用ファンモータの振動を吸収できる硬さのものからなる。前記弾性シリコーン樹脂系接着剤17、17′によって覆われたブラシおよびブラシ近傍は、前記ガス燃料による爆発の振動を吸収できる硬さのものを選択しているため、過酷な環境で使用しても、故障が少なく寿命を長くすることができた。
【0031】
図1におけるモータハウジング25は、前記ガス燃焼式打込装置用ファンモータが収容されている。コイルエンド21は、巻線22の端部が合成樹脂製部材により一体に構成されている。前記コイルエンド21は、たとえば、5個の導体を有するプリント配線板23、巻線端末部221と、5個のコンデンサ232と、5個の整流子片が省略されている整流子片組立体24と、5個の整流子片組立体24と、5本の端末接続部がそれぞれ通過する案内溝233とから少なくとも構成されている。
【0032】
前記プリント配線板23は、図1において、上面にコンデンサ232の端子、および巻線端末部221をハンダ付けする端末接続部231がそれぞれ設けられている。また、前記プリント配線板23の裏側は、全面が絶縁部材で構成されている。さらに、コイルエンド21は、端末接続部231を案内する斜め方向に設けられた案内溝233を有する。前記案内溝233は、巻線端末部221に沿って設けられているため、巻線端末部221に傷を付けることなく、ガス燃焼室からの振動をより良く吸収することができる。
【0033】
図2は本発明の実施例であるガス燃焼式打込装置用ファンモータのコイルエンドを説明するための模式平面図である。図2において、端末接続部231は、立ち上げられた巻線端末部221を最短距離で接続できる位置に設けられている。また、前記巻線端末部221は、コイルエンド21の案内溝233に沿って、最短距離で前記端末接続部231に接続される。前記巻線端末部221は、前記案内溝233に嵌合し、案内溝233の角による摩擦で切断することがないようになっている。また、前記弾性シリコ−ン樹脂系接着剤は、ブラシ取付部および前記ブラシの折り曲げ部近傍を覆って接着されている。前記弾性シリコ−ン樹脂系接着剤は、一液性室温硬化型とすることで、ガス燃焼式打込装置の燃料が爆発する際の振動を前記ブラシ取付部および前記ブラシの折り曲げ部近傍に応力が集中しないように緩和することができる。前記コイルエンド21は、図示の状態が組み立てられた後、必要に応じて、硬質接着剤を全面に塗布することができる。
【0034】
前記弾性シリコーン樹脂系接着剤17、17′のデュロメータ タイプAの硬さは、10から50、好ましくは 10から40のものが適している。モータの回転によるブラシの振動を吸収するとともに、ガス燃焼の際に発生する回転軸方向の大きな振動も分散され、ブラシ取付部にかかるものを吸収する。さらに、前記弾性シリコーン樹脂系接着剤17、17′は、低分子シロキサンが少ないものを使用することにより、整流子片とブラシに絶縁膜を形成することがない。
【0035】
前記硬質接着剤は、接着性および耐熱性から一液硬化形エポキシ樹脂系接着剤が好ましい。前記エポキシ樹脂系接着剤は、ブラシの固定あるいは巻線端末部を固定するため硬質であることが有利で、デュロメータ タイプDの硬さが50から90が好ましい。
【0036】
シリコーン系接着剤は、一液硬化型、二液硬化型の他に、変性シリコーン系も使用することができる。前記シリコーン系接着剤は、一液硬化型を使用すると硬化が早く好ましい。前記シリコーン系接着剤は、ブラシの弾性を損なわずに、衝撃性を緩和できるデュロメータ タイプAの硬さが10から50が好ましい。
【0037】
実施例は、図2に示す本発明の巻線端末部を使用し、比較例は、図4に示す巻線端末部(従来例)を使用した。また、実施例および比較例のブラシ取付部近傍および折り曲げ部近傍に使用した弾性接着剤は、次の4点を用いた。
実施例1および比較例1 スリーボンド社製 シリコーン樹脂系接着剤
1224G 硬さ A24 (デュロメータ タイプA)
実施例2および比較例2 スリーボンド社製 シリコーン樹脂系接着剤
1220G 硬さ A20 (デュロメータ タイプA)
実施例3および比較例3 スリーボンド社製 シリコーン樹脂系接着剤
1230G 硬さ A35 (デュロメータ タイプA)
実施例4および比較例4 スリーボンド社製 変性シリコーン樹脂系接着剤
1532 硬さ A40 (デュロメータ タイプA)
また、ブラシ取付部にブラシを固定する接着剤および巻線端末部をコーティングする硬質接着剤は、セメダイン社製「EP170」一液加熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤(デュロメータ タイプDの硬さ D55)を用いた。
本発明の実施例1から実施例4(弾性接着剤)は、全て打ち込み回数15万回で不良がなかったが、図4に示す比較例1から比較例4は、前記実施例と同じ弾性接着剤を使用しても、10万回から12万回で、巻線端末部の破断による不良が発生した。
【0038】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。たとえば、接着剤は、ジェル状シリコーン系樹脂部材に添加されるシリコーン系樹脂以外の部材等を適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0039】
11・・・エンドプレート
111・・・エンドプレートリム部
112・・・エンドプレート凹部
113、113′・・・ブラシ折曲部
114・・・ブラシ取付溝
115・・・整流子組立体挿入孔
12、12′・・・ブラシ
121・・・ブラシ導電部
13、13′・・・硬質接着剤
17、17′・・・弾性シリコーン樹脂系接着剤
21・・・コイルエンド
22・・・巻線
221・・・端末部
23・・・プリント配線板
231・・・端末接続部
232・・・コンデンサ
233・・・案内溝
234・・・整流子片端子接続部
24・・・整流子組立体
25・・・モータハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ付き直流モータにおいて、
少なくとも前記直流モータの回転子を収納するハウジングを閉じる合成樹脂製エンドプレートと、
前記合成樹脂製エンドプレートに設けられた2個のブラシ取付部と、
前記ブラシ取付部にそれぞれ取り付けられるとともに、整流子片に接するように曲げられた曲げ部を有する2個のブラシと、
前記回転子の端部に設けられ、複数の巻線端末に対応して上面の外周に設けられた環状リブに案内溝を有する合成樹脂製コイルエンドと、
前記合成樹脂製コイルエンドの環状リブの内側に設けられ、巻線端末取付端子が外周近傍に形成されたプリント配線板と、
から少なくとも構成され、前記各巻線端末が、前記案内溝を通して前記巻線端末取付端子に最短距離で取り付けられ、少なくとも前記プリント配線板を覆う硬質接着剤を有することを特徴とする耐衝撃性を有する直流モータ。
【請求項2】
前記ブラシ取付部に前記ブラシを固定する硬質接着剤と、
前記ブラシ取付部近傍から前記曲げ部近傍を覆って接着されている弾性シリコ−ン樹脂系接着剤と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする請求項1に記載された耐衝撃性を有する直流モータ。
【請求項3】
ガス燃焼式打込装置の燃料室で使用されるファン駆動用であることを特徴とする請求項1に記載された耐衝撃性を有する直流モータ。
【請求項4】
前記弾性シリコーン樹脂系接着剤は、一液性室温硬化型であることを特徴とする請求項1に記載された耐衝撃性を有する直流モータ。
【請求項5】
前記弾性シリコーン樹脂系接着剤のデュロメータ タイプAの硬さは、10から40であることを特徴とする請求項1に記載された耐衝撃性を有する直流モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−244665(P2011−244665A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117053(P2010−117053)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【Fターム(参考)】