説明

耐衝撃性ビニル芳香族コポリマーを基とした透明組成物

耐衝撃性ビニル芳香族コポリマーを基とした透明組成物であって、
50〜70質量%の少なくとも1種の結合ビニル芳香族モノマーと、20〜40質量%の結合エチレン性不飽和ニトリルと、0〜20質量%の少なくとも1種の(メタ)アクリル酸の結合エステルとから成り、樹脂の総質量に対して1〜25質量%のエラストマー相が均質に分散された剛性マトリックスを含む90〜99質量%の耐衝撃性ビニル芳香族コポリマー、及び
アジピン酸と(イソ)アルキルジオールとのポリエステルから成り、(イソ)アルキル基が2〜6個の炭素原子を有し、25℃で2〜20Pa・秒の粘度を有する1〜10質量%の潤滑油を含む
ことを特徴とする組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性ビニル芳香族コポリマーを基とした透明組成物に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、耐衝撃性ビニル芳香族コポリマー、例えばABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)を基とした透明組成物及びこれらの組成物を製造するための連続的マスプロセスに関する。
【0003】
明記されていないとしても、本明細書において、本文中に記載の条件は全て好ましい条件と見なすことができる。
【背景技術】
【0004】
周知のように、ABS等の耐衝撃性熱可塑性高分子材料は、強化用エラストマー材料が不連続粒子の形態で分散している連続的なマトリックスを特徴とする。耐衝撃性材料は、一般に不透明である。しかしながら、透明な2相ポリマーを得るための合成技法が少なくとも2種類知られている。
【0005】
2つのアモルファス相(樹脂及びエラストマー)は連続的であり、ラメラ構造又はシリンダー構造を有するブロックポリマーから成る。2つの相のドメインの寸法は光波長の1/20より小さい(実際は、光は均質な組成を有するアモルファス材料を透過するが、これは非均質性が光の屈折を引き起こさないからである)。このやり方は、アニオン合成によって生成されるスチレン−ブタジエンブロックコポリマー(透明耐衝撃性PS)に広く用いられている。国際特許出願WO97/36944号明細書及びWO04/72172号明細書もまた「リビング」ラジカル合成によって得られる透明ブタジエン−SANの調製について記載しているが、これらの方法によって得られる市販のポリマーは知られていない。
【0006】
2つのアモルファス相(連続樹脂相及びエラストマー分散相)は、同じ屈折率を有する。これはPMMAで変性した透明ABSの場合に最も広く用いられる技法である。
【0007】
以下の文献は「耐衝撃性スチレンポリマー」の主題に関し、透明ポリマーも含まれる(Echte A., Rubber-Toughened Styrene Polymers in Rubber - Toughened Plastics, Advances in Chemistry Series nr. 222 (1989) Editor Riew K. C., ISBN 0841214883)。
【0008】
周知のように、ABSは不透明であるが、これはスチレン−アクリロニトリル(SAN)コポリマーの屈折率(refractive index:RI)が1.58〜1.56(結合するアクリロニトリルの量に左右される)、ポリブタジエンゴムの屈折率が約1.51だからであり、透明性を得るためには、これらの相の屈折率が小数点以下第3位においてまで等しい(Δn<0.005)ことが必要である。
【0009】
例えば先に引用のA.Echteの文献に記載の透明性を得るための方法では、ブタジエンとスチレン(スチレン RI=1.59)との乳化共重合を通してエラストマーを生成することにより、エラストマー相の屈折率を上昇させる。このようにして、スチレン−ブタジエン(SB)コポリマーの組成を変化させることにより、RI(1.53〜1.55)を有するゴムが生成される。このようにして得られたゴム粒子にポリメチルメタクリレート(PMMA)をグラフトすると、高エラストマー含有量のグラフト生成物が得られる。
【0010】
次に、樹脂相を、溶融状態で混合することにより添加する。この樹脂は、SAN(結合アクリロニトリル含有量<22質量%)及びPMMA(RI=1.49)から成り、SAN及びPMMAは互いに混和しやすく、SANより低い屈折率を有する均質なポリマーアロイが生成される。総PMMA含有量は40%より高いため、透明ABSは実際にはMABSである。
【0011】
米国特許第4767833号明細書に記載の別の既知の合成方法では、スチレンとブタジエンとを共重合することによりポリブタジエンより高い屈折率を有するゴム粒子を得て、次に、このゴムに場合によってはアクリロニトリルを含有するスチレン−メチルメタクリレートポリマーをグラフトする。
【0012】
グラフト反応は、乳化重合、懸濁重合又は塊状重合で行うことができる。この合成法を採用する場合はアクリルモノマーが存在しなくてはならないが、アクリロニトリルは存在しなくても良い。良好な機械的特性を備えた、無色透明の生成物が得られるが、その耐薬品性はABSより低くなり得る。
【0013】
欧州特許EP1417242明細書には、押出シート用の透明ABS生成物を調製するための方法が記載されている。これはスチレン−メチルメタクリレート−アクリロニトリルとグラフトされたスチレン−ブタジエンエラストマーであり、結合アクリロニトリルの最少量は少なくとも0.5%であり、分散ゴム粒子は150〜550nmの平均直径を有さなくてはならない。
【発明の概要】
【0014】
本願の出願人は、エラストマーで強化したビニル芳香族樹脂を基とした新規の透明組成物を発見した。この組成物は従来の透明組成物に代わるものであり、また市場で容易に入手可能な原材料を使用することができる。この組成物は、透明な形成体(formed body)の作製に適する。
【0015】
従って、本発明の目的は、耐衝撃性ビニル芳香族コポリマーを基とした透明組成物に関し、この組成物は
50〜70質量%、好ましくは55〜65質量%の少なくとも1種の結合ビニル芳香族モノマーと、20〜40質量%、好ましくは25〜38質量%の結合エチレン性不飽和ニトリルと、0〜20質量%、例えば2〜10質量%の少なくとも1種の(メタ)アクリル酸の結合エステルとから成る剛性マトリックスであって、樹脂の総質量に対して1〜25質量%のエラストマー相が均質に分散されたマトリックスを含む、90〜99質量%、好ましくは93〜98質量%の耐衝撃性ビニル芳香族コポリマー、及び
アジピン酸と(イソ)アルキルジオールとのポリエステルから成り、(イソ)アルキル基が2〜6個の炭素原子を有し、25℃で2〜20Pa・秒の粘度を有する1〜10質量%、好ましくは2〜7質量%の潤滑油を含む。
【0016】
本発明において、明細書本文及び請求項で使用の用語「ビニル芳香族コポリマー(vinyl aromatic copolymer)」は、本質的に、以下の一般式:
【化1】

を有するモノマーから得られる生成物について言及しており、式中、Rは水素又はメチル基であり、nは0又は1〜5の整数であり、Yは塩素若しくは臭素等のハロゲン又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル若しくはアルコキシラジカルである。
【0017】
上記において定義されたような一般式を有するビニル芳香族モノマーの例は、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ブチルスチレン、ジメチルスチレン、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−及びペンタメチルスチレン等である。スチレン及び/又はα−メチルスチレンが好ましいビニル芳香族モノマーである。
【0018】
(メタ)アクリル酸のエステル由来のいずれのモノマーもビニル芳香族コポリマー(a)の調製に使用することができるが、メタクリレート及びメチルメタクリレート、エチルアクリレート及びエチルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルアクリレートが好ましい。ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートが特に好ましいアクリルモノマーである。
【0019】
本発明におけるエチレン性不飽和ニトリルはアクリロニトリル又はメタクリロニトリルである。アクリロニトリルが好ましいモノマーである。
【0020】
コポリマー剛性マトリックス中に分散するエラストマー相は、スチレン−ブタジエンタイプの少なくとも1種のランダム又はブロックエラストマー(コポリマー)から成ることができ、ブタジエンの量は40〜55質量%である。
【0021】
本発明の目的であるビニル芳香族コポリマーを基とした透明組成物の第2の成分は、好ましくは、アジピン酸と1,3−ブタンジオールとのポリエステルから成る。この生成物は、慣用のエステル交換/重縮合技術を使用して容易に調製することができる。本発明におけるアジピン酸と1,3−ブタンジオールとの好ましいポリエステルは、25℃で2〜20Pa・秒の粘度を有するポリエステルである。
【0022】
本発明の目的である耐衝撃性ビニル芳香族コポリマーを基とした透明組成物は、2つの成分(a)及び(b)を溶融状態で混合し、冷却し、粒状化することによって得られる。特に、透明組成物は、成分(a)を構成するモノマーを塊状/溶液重合し、溶融状態の材料塊を脱蔵装置(devolatizer)内で200〜250℃で処理することにより揮発性成分(溶媒及び未反応のモノマー)及びオリゴマーを除去した後、ダイナミックミキサ又はスタティックミキサ内でポリエステルと混合することで得られる。混合が終了したら、組成物を冷却し、粒状化し、保存する。或いは、既に固形の粒状物として入手可能な成分(a)を溶融させ、スタティックミキサ又はダイナミックミキサ内でポリエステル(b)と混合する。
【0023】
成分(a)の調製は、塊状重合/溶液重合で行われる。この製造技法において、反応性モノマーは、溶媒ベース(例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素)において前述の組成を有する最終生成物が得られるような量で希釈される。本質的に1種以上のスチレン−ブタジエンゴム(異なる結合スチレン含有量を有する)から成るエラストマー成分を、モノマーを含む溶媒ベースに溶解させる。溶解は、熱によって重合が始まらないように、閉鎖された攪拌容器内で100℃より低い温度及び大気圧又は大気圧より若干高い圧力で行われる。この段階において、温度は好ましくは35〜95℃に維持される。
【0024】
S−Bタイプ(Sは平均分子量Mw5000〜80000を有するポリスチレンブロックを表し、Bは平均分子量Mw2000〜250000を有するポリブタジエンブロックを表す)の新規のジブロック線状コポリマーは、スチレン−ブタジエンエラストマーの例である。これらのエラストマーにおけるブロックBの量は、単一のエラストマーが使用される場合は、好ましくは40〜55質量%である。
【0025】
2種類のエラストマーのブレンドを使用する場合、均質な単一相を形成しなくてはならないという意味で、これらのエラストマーは互いに混和可能でなくてはならない。ブロックBの量は、結合ブタジエン含有量が高いエラストマーの場合は、全S−Bゴム含有量に対して50〜80質量%であり、結合ブタジエン含有量が低いエラストマーの場合は、全S−Bゴム含有量に対して20〜35質量%である。このケースにおいて、好ましい生成物は、結合ブタジエン含有量が60質量%であり、溶液での粘度(5質量%のスチレンの溶液において23℃で測定)が35〜50cPsのスチレン−ブタジエンブロックコポリマー及び結合ブタジエン含有量が25〜26質量%であり、溶液での粘度(5質量%のスチレンの溶液において23℃で測定)が5〜25cPsであるスチレン−ブタジエンブロックコポリマーである。
【0026】
本発明の目的である方法において使用できるエラストマーのその他の例は、欧州特許第606931号明細書に記載のものである。
【0027】
このようにして調製された溶液に、場合によっては触媒重合系を添加する。その場合は、この触媒系を全体に対して0.01〜0.5質量%の量で使用し、また触媒系は1種以上のフリーラジカル開始剤から成る。フリーラジカル開始剤は、特に、50℃より高い活性化温度を有するものから選択される。重合開始剤の典型的な例はアゾ誘導体、例えば4,4´−ビス−(ジイソブチロニトリル)、4,4´−ビス−(4−シアノペンタン酸)、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド又はパーオキシド、ヒドロパーオキシド、パーカーボネート及びパーエステルである。一般に、パーオキシドが好ましいフリーラジカル開始剤であり、t−ブチルイソプロピルモノパーオキシカーボネート、t−ブチル−2−エチルヘキシルモノパーオキシカーボネート、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキサン)、t−ブチルパーオキシアセテート、クミル−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートから選択される。
【0028】
重合混合物に添加できるその他の添加物は、透明な耐衝撃性ビニル芳香族コポリマーの調製において従来から知られており且つ使用されているものである。例えば、重合混合物は、分子量調節剤、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等から選択されるメルカプタンを含むことができる。その他の添加剤は、例えば酸化防止剤、紫外線安定剤、静電気防止剤等から選択される。
【0029】
反応混合物を調製した後、反応混合物は、好ましくは1つ以上の連続的に配置された管型反応装置(PFR)から成る重合セクションに送られる。管型反応装置は文献において及び当業者に知られた装置であり、例えば”Chemical reaction engineering“ John Whiley&Sons, 1972(第2版)の97〜123頁に記載されている。
【0030】
重合は、50〜80質量%に等しい固形分が得られるまで行われる。次に、溶融した反応塊を重合セクションから取り出し、ポリマー回収セクションに送る。ポリマー回収セクションは、実質的に、反応塊の温度を200〜220℃以上の温度にするための熱交換器と、溶媒及び未反応のモノマー(混合セクションに再循環させる)並びにオリゴマーを回収するための脱蔵ユニットと、場合によっては造粒機とを備える。重合条件についてのより具体的な詳細は、欧州特許EP400479明細書に記載されている。
【0031】
本発明の目的である透明ポリマー組成物の調製の最後に、剛性マトリックスとエラストマーとの間の屈折率の差が0.005未満の生成物が得られる。
【0032】
本発明を理解しやすく且つ具体化するために、説明のための非限定的な実施例を幾つか挙げる。
【実施例】
【0033】
実施例1
17.46kgのブロックコポリマーSB「Finaclear 520」(25.9質量%Bu)及び17.46kgのSBブロックコポリマー「BUNA BL6533TC」(60質量%Bu)を148.74kgのスチレンに攪拌反応装置内で窒素下、80℃で4時間に亘って溶解させる。SBブレンドの平均組成は、結合ブタジエンが42.5%、結合スチレンが57.5%である。40℃に冷却した後、66.34kgのエチルベンゼン、70gのシクロヘキサン−ジ−tert−ブチルパーオキシド(鉱油中50%)、1.12kgのtert−ドデシルメルカプタンを添加する。
【0034】
このようにして調製された溶液を窒素下の中間貯蔵容器に移し、この貯蔵容器から連続的に流量21.5kg/時間で窒素下で90℃の攪拌装置に送る。アクリロニトリルも同じ攪拌容器に連続的に流量8.5kg/時間で送られる。
【0035】
このようにして得られた反応混合物を2つの連続した管状反応装置に連続的に送る。反応装置は各自100リットルの反応容量を有し、3つのサーモスタット制御域を備え、以下の熱プロファイル:115℃、120℃、125℃、140℃、147℃、155℃を有する。各温度はある領域における混合物の平均温度を表す。第2のPFRを出た70〜73%のポリマーを含有する反応混合物は真空容器(残圧20mbar)に進入し、240℃のサーモスタット制御油を備えた熱交換器を通過し、ポリマーは溶媒及び未反応のモノマーから分離される。ポリマーは真空容器の底部から出て粒状化される。以下の組成を有するポリマーが得られる。
成分 質量%
スチレン 66.5
アクリロニトリル 27.5
ブタジエン 6.0
【0036】
全揮発性生成物は、ガスクロマトグラフィによると0.0006に等しい。
【0037】
得られた粒状物は押出機で押出成形され、25℃で約2500mPa・秒の粘度を有する3.3phrの液体ポリ(1,3−ブタンジオール)アジペートと共に送られる。最終粒状物は射出成形され、最適な透明性及び以下の表に記載の性質を表す。
【0038】
実施例2
15.71kgのSBブロックコポリマー「Finaclear 520」(25.9質量%Bu)及び19.21kgのブロックコポリマーSB「BUNA BL6533TC」(60質量%Bu)を135.08kgのスチレンに攪拌反応装置内で窒素下、80℃で4時間に亘って溶解させる。SBブレンドの平均組成は、ブタジエンが44.0%、スチレンが56.0%である。40℃に冷却した後、60.0kgのエチルベンゼン、20.2kgのn−ブチルアクリレート、70gのジ−tert−ブチルパーオキシドシクロヘキサン(鉱油中50%)、0.92kgのtert−ドデシルメルカプタンを添加する。
【0039】
このようにして調製された溶液を窒素下の中間貯蔵容器に移し、この貯蔵容器から連続的に流量23.0kg/時間で窒素下で90℃の攪拌装置に送る。アクリロニトリルも同じ攪拌容器に連続的に流量7.0kg/時間で送られる。
【0040】
このようにして得られた反応混合物を2つの連続した管状反応装置に連続的に送る。反応装置は各自100リットルの反応容量を有し、3つのサーモスタット制御域を備え、以下の熱プロファイル:113℃、118℃、123℃、138℃、145℃、153℃を有する。各温度はある領域における混合物の平均温度を表す。第2のPFRを出た69〜72%のポリマーを含有する反応混合物は真空容器(残圧20mbar)に進入し、240℃のサーモスタット制御油を備えた熱交換器を通過し、ポリマーは溶媒及び未反応のモノマーから分離される。ポリマーは真空容器の底部から出て粒状化される。以下の組成を有するポリマーが得られる。
成分 質量%
スチレン 67.1
アクリロニトリル 22.0
n−ブチルアクリレート 4.2
ブタジエン 6.7
【0041】
全揮発性生成物は、ガスクロマトグラフィによると0.00065に等しい。
【0042】
得られた粒状物は押出機で押出成形され、25℃で約2500mPa・秒の粘度を有する4.3phrの液体ポリ(1,3−ブタンジオール)アジペートと共に送られる。
【0043】
実施例において記載されたようなポリ(1,3−ブタンジオール)アジペートの添加後に得られた粒状物は射出成形され、最適な透明性及び以下の表に記載の性質を示す。
【0044】

*)ASTM D1003−00「透明プラスチックのヘーズ及び視感透過率に関する標準試験法」(Standards Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastic)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐衝撃性ビニル芳香族コポリマーを基とした透明組成物であって、
50〜70質量%の少なくとも1種の結合ビニル芳香族モノマーと、20〜40質量%の結合エチレン性不飽和ニトリルと、0〜20質量%の少なくとも1種の(メタ)アクリル酸の結合エステルとから成る剛性マトリックスであって、樹脂の総質量に対して1〜25質量%のエラストマー相が均質に分散されたマトリックスを含む、90〜99質量%の耐衝撃性ビニル芳香族コポリマー、及び
アジピン酸と(イソ)アルキルジオールとのポリエステルから成り、該(イソ)アルキル基が2〜6個の炭素原子を有し、25℃で2〜20Pa・秒の粘度を有する1〜10質量%の潤滑油を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
55〜65質量%の少なくとも1種の結合ビニル芳香族モノマーと、25〜38質量%の結合エチレン性不飽和ニトリルと、2〜10質量%の少なくとも1種の(メタ)アクリル酸の結合エステルとから成る剛性マトリックスであって、樹脂の総質量に対して1〜25質量%のエラストマー相が均質に分散されたマトリックスを含む、93〜98質量%の耐衝撃性ビニル芳香族コポリマー、及び
アジピン酸と(イソ)アルキルジオールとのポリエステルから成り、該(イソ)アルキル基が2〜6個の炭素原子を有し、25℃で2〜20Pa・秒の粘度を有する2〜7質量%の潤滑油を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(a)の前記ビニル芳香族モノマーが、スチレン及び/又はα−メチルスチレンである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(a)の前記アクリルモノマーが、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートから選択される、請求項1、2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
成分(a)の前記エチレン性不飽和ニトリルが、アクリロニトリルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
成分(a)のポリマーマトリックス中に均質に分散された前記エラストマー相が、40〜55質量%のブタジエン含有量のスチレン−ブタジエンランダム又はブロックコポリマーから成る、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
成分(b)の前記アジピン酸と(イソ)アルキルジオールとのポリエステルが、20℃で2〜20Pa・秒の粘度を有するアジピン酸と1,3−ブタンジオールとのポリエステルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記剛性マトリックスとエラストマーとの間の屈折率の差が、0.005未満である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明ポリマー組成物を調製するための方法であって、2つの成分(a)及び(b)の溶融状態での混合、並びにその後の冷却及び粒状化を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
透明な形成体を作製するための、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー組成物の使用。

【公表番号】特表2010−540703(P2010−540703A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526214(P2010−526214)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008209
【国際公開番号】WO2009/040127
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(508128303)ポリメーリ エウローパ ソシエタ ペル アチオニ (24)
【Fターム(参考)】