説明

聴診棒

【課題】 長期に亘って高い異音捕捉性能を確保することができると共に、安全性にも優れる聴診棒を提供することを目的とする。
【解決手段】 設備や機械の被測定部位に端部2を接触させて異音の有無を測定する聴診棒であって、前記被測定部位との密着性を高めるべく、前記端部2が面取りされ、且つ、該端面2aに粗面加工が施されているか、または、前記端部2が粗面体2b´により形成されていることを解決手段とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、聴診棒に関し、詳しくは、発電所や工場施設内の設備や機械の巡回点検の際に用いられる聴診棒に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所等の巨大発電施設においては、現場にポンプ、モータ、ボイラ等の多数の設備や機械が設置され、稼動している。
【0003】
このような設備や機械のトラブル未然防止のために定期的に巡回点検が行われており、その際に該設備等から発生する異音の有無を測定すべく鉄等の金属からなる聴診棒が用いられ、測定の際には、設備や機械の被測定部位に一方の端部を接触させ、他方の端部に測定者の耳が宛がわれて使用される。
【0004】
かかる聴診棒は、被測定部位との密着性を高めるべく、端部の先端が鋭利に形成されているので、該端部に不用意に体の一部が接触すると怪我をする虞があった。一方、長期の使用に伴って該端部が摩耗し、被測定部位との密着性が損なわれ、異音の捕捉性能が低下する欠点もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑み、長期に亘って高い異音捕捉性能を確保することができると共に、安全性にも優れる聴診棒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る聴診棒は、設備や機械の被測定部位に端部を接触させて異音の有無を測定する聴診棒であって、前記被測定部位との密着性を高めるべく、前記端部が面取りされ、且つ、該端面に粗面加工が施されているか、または、前記端部が粗面体により形成されていることを特徴とする。
【0007】
該聴診棒によれば、被測定部位と接触する端部の先端が面状に形成され、しかも、該端面が粗面化されているので、被測定部位との密着性を維持することができ、さらには、該端部に不用意に体の一部が接触しても怪我をする虞がない。
【0008】
前記聴診棒にあっては、前記被測定部位との密着性をさらに高めるべく、前記端部が磁化されていることが好ましい。
【0009】
上記好ましい構成によれば、被測定部位と接触する端部が磁化されているので、被測定部位が磁性金属からなる場合に、前記被測定部位との密着性がさらに高められる。
【0010】
前記聴診棒にあっては、棒状部が、同軸上で嵌り合う複数の円筒体により伸縮自在に構成されていることが好ましい。
【0011】
上記好ましい構成によれば、棒状部が、同軸上で嵌り合う複数の円筒体により伸縮自在に構成されているので、聴診棒の全長を短尺から長尺まで自在に変えることができ、不使用時には、短尺の状態として運搬性・携帯性を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明に係る聴診棒によれば、長期に亘って高い異音捕捉性能を確保することができると共に、安全性にも優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る聴診棒の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1(a)は、本実施形態の聴診棒の全体図であり、図1(b)は、該聴診棒の端部の拡大図である。該聴診棒は、発電所や工場施設内の設備や機械の巡回点検の際に用いるものである。
【0014】
図1(a)に示すように、該聴診棒1は、長尺円柱状の棒状部4と、該棒状部4の末端に形成された耳当て部3とを備えている。該耳当て部3は、棒状部4側に鍔3bを有している。該聴診棒1には、鉄または真鋳(黄銅)が使用され、中実に形成されている。
【0015】
前記棒状部4は前記耳当て部3の反対側末端に、設備や機械の被測定部位に接触させる端部2を有しており、被測定部位との密着性を高めるべく、該端部2は面取りされ、且つ、該端面2aに粗面加工(ブラスト加工)が施されている。このブラスト加工の方法としては、特に限定されないが、小さな粒状の研磨材あるいは類似のもの(鉄粒、砥粒、ガラス粒等)を端面2aに激しく打ちつける方法が好ましい。
【0016】
本実施の形態の聴診棒1を使用する際には、設備や機械の被測定部位に前記端面2aを押し当てる一方、前記耳当て部3に測定者の耳を宛がうことにより該設備や機械から発生する異音の有無が測定される。そして、異音が発生している場合には、該異音の種類により、設備等のどこの部位がどのように異常であるかが判定される。この結果、異常部位と異常内容が特定された場合には、修理等の必要な措置が採られる。
【0017】
以上のように、本実施の形態の聴診棒1によれば、被測定部位と接触する端部2の先端が面状に形成され、しかも、該端面2が粗面化されているので、端部2が摩耗することなく被測定部位との密着性を維持することができ、さらには、該端部2に不用意に体の一部が接触しても怪我をする虞がない。これにより、長期に亘って高い異音捕捉性能を確保することができると共に、安全性にも優れたものとなる。
【0018】
また、本実施形態における聴診棒1においては、鉄等の磁性金属から形成されている場合には、端部2が磁化されていることが好ましい。かかる構成によれば、被測定部位が鉄等の磁性金属からなる場合に、前記被測定部位との密着性がさらに高められる。
【0019】
尚、本発明の聴診棒は、上述した実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲で種々の形態の実施が可能である。
【0020】
例えば、上記実施形態では、被測定部位と接触する端部2の先端を面状に形成した上で、該端面2を粗面化したが、図1(c)に示すように、端部2´が、端面2a´にブラスト加工が施された円柱状の磁石(粗面体)2bにより形成されていてもよい。かかる構成によれば、上記実施形態と同様の作用効果が得られる上、端部2´が磁石2bにより磁化されているので、聴診棒1のその他の部位が非磁性金属からなる場合であっても、端部2が直接磁化されている場合と同様の作用効果も得られる。尚、粗面体としては、必ずしも磁化されていることは必要ではなく、その形状も円柱状に限定されず、多角柱状に形成されていてもよい。
【0021】
また、別の実施形態に係る聴診棒1´においては、棒状部4´が、同軸上で嵌り合う複数の円筒体4a,4b、4c,…,4nにより伸縮自在に構成されていてもよい。ここで、図示を省略するが、各円筒体4a,4b、4c,…,4nの相互の接続部には、棒状部4´を伸張させて長尺としたときに、該棒状部4´を長尺状態にて固定する固定手段(例えば、リング状の係合溝と被係合溝)が設けられている。かかる構成によれば、聴診棒1´の全長を短尺から長尺まで自在に変えることができ、不使用時には、図2(b)の如く短尺の状態として運搬性・携帯性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1(a)は、本発明の一実施形態に係る聴診棒の全体図であり、図1(b)は、同聴診棒の端部の拡大図であり、図1(c)は、本発明の別の実施形態に係る聴診棒の端部の拡大図である。
【図2】図2(a)は、本発明のさらに別の実施形態に係る聴診棒の全体図であり、図2(b)は、同聴診棒を短尺とした状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1、1´…聴診棒、2、2´…端部、2a、2a´…端面、4、4´…棒状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備や機械の被測定部位に端部を接触させて異音の有無を測定する聴診棒であって、前記被測定部位との密着性を高めるべく、前記端部が面取りされ、且つ、該端面に粗面加工が施されているか、または、前記端部が粗面体により形成されていることを特徴とする聴診棒。
【請求項2】
前記被測定部位との密着性をさらに高めるべく、前記端部が磁化されている請求項1に記載の聴診棒。
【請求項3】
棒状部が、同軸上で嵌り合う複数の円筒体により伸縮自在に構成されている請求項1または2に記載の聴診棒。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−38735(P2006−38735A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221473(P2004−221473)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】