説明

職制ツリー生成方法

【課題】 ユーザインターフェースの統一性及び実行速度を向上した職制ツリー生成方法の提供。
【解決手段】 職制情報を格納するサーバ2と、職制ツリー部品を表示する業務プログラムを実行するクライアント1とから成るシステムの職制ツリー生成方法であって、前記サーバ2が、職制情報から職制XMLファイル23を生成する第1ステップと、表示選択範囲XMLファイル21と職制XMLファイル23とのタグを職制ツリー表示用のHTMLファイルに埋め込みを行った表示制御情報XMLファイル22を生成する第2ステップとを実行し、クライアント1が職制XMLファイル13及び表示制御情報XMLファイル13とをダウンロードする第3ステップと、職制XMLファイル13と表示制御情報XMLファイル12とを用いてXMLパーサが職制ツリーファイルを解釈する第4ステップと、該解釈した職制ツリーファイルを用いて業務プログラム上に職制ツリー部品を業務画面10に表示する第5ステップからなる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務プログラムの部品として使用される職制ツリーの生成方法に係り、特に複数の業務プログラムとの間でユーザインターフェースの統一性を向上した職制ツリー生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に企業における多種数の業務プロクラムは、各業務プロクラム内において原価部門を参照するための職制ツリー部品と呼ばれる職制情報を必要としている。この職制ツリー部品は、原価部門コードを職制に合わせてツリー構造として表され、例えば、会社Aの下に複数の事業部があり、これら事業部の下に複数の工場があり、この複数の工場の下に複数の部があり、この複数の部の下に複数のグループがある等の職制情報を、枝分かれをした階層構造として管理するためのプログラム上の部品に相当する。
【0003】
この職制ツリー部品は、特定の業務プログラムにより業務処理を遂行中にサブウィンドウとして画面表示され、使用者が特定のノード(この場合は職制)を選択することにより、選択したノードを前記業務処理中の業務画面にコピーを行うサブウィンドウ型と、予め業務プログラム中に組み込まれ、使用者の指示に応じて呼び出される業務画面組み込み型とが知られている。
【0004】
尚、前記職制情報を管理するコンピュータ技術が記載された文献としては、下記特許文献が挙げられる。
【特許文献1】特開昭11−120224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に職制ツリー部品は、職制情報というユーザ情報の基礎データを扱うことから、多数の業務システムにおいても同様の機能を必要とする部分が存在し、汎用性の高い部品化が求められている。また、前述の業務画面組み込み型の場合、業務画面の実行速度を著しく低下させない速度性能を持つことが必要とされるが、クライアント側からのリクエスト毎にサーバへのアクセスする方式が一般的なため、実行速度を向上させることが困難であると言う不具合があった。
【0006】
また前記業務画面組み込み型の職制ツリー部品の場合、異なる業務プログラムにおいて個々に多重開発されていたため、ユーザインタフェースが多岐にわたり、生産性の低下を招くと言う不具合があった。
【0007】
本発明の目的は、前述の従来技術による不具合を除去することであり、ユーザインターフェースの統一性及び実行速度を向上した職制ツリー生成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明は、職制情報を格納するサーバと、該職制情報を職制ツリー部品として表示する業務プログラムを実行するクライアントとから成るコンピュータシステムにおける職制ツリー生成方法であって、前記サーバが、前記職制情報からXML形式の階層構造の職制XMLファイルを生成する第1ステップと、表示する範囲を示す表示選択範囲XMLファイルと前記第1ステップで生成した職制XMLファイルとのタグを職制ツリー表示用のHTMLファイルに埋め込みを行った表示制御情報XMLファイルを生成する第2ステップとを実行し、前記クライアントが前記職制XMLファイル及び表示制御情報XMLファイルとをダウンロードする第3ステップと、該職制XMLファイルと表示制御情報XMLファイルとを用いてXMLパーサが職制ツリーファイルを解釈する第4ステップと、該解釈した職制ツリーファイルを用いて業務プログラム上に職制ツリー部品を表示する第5ステップとを実行することを第1の特徴とする。
【0009】
更に本発明は、職制ツリー生成方法において、前記表示制御情報XMLファイルが、ルートノードと初期表示時の展開済みノードと選択対象階層と表示可能階層の各制御情報とから構成され、業務画面に組み込まれたとき、設定された前記制御情報XMLファイルをもって業務側の使用用途に応じた任意の処理を実行する第6ステップを含むことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明による職制ツリー生成方法は、職制情報からXML形式の階層構造の職制XMLファイルの生成と、表示制御情報XMLファイルの生成とをサーバ側で実行しておき、クライアント側の業務システムが本職制ツリー部品を利用するときは比較的負荷の高いXML生成処理を動作させることなく、XMLファイルのダウンロード処理と表示処理を行い、これにより処理速度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による職制ツリー生成方法の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態による職制ツリー生成方法を実現するシステム構成を示す図、図2は職制ツリー部品を組み込んだ業務画面の画面構成図、図3は職制XMLファイルの初期生成処理を示す動作フローチャート、図4は職制ツリーのノード開閉処理を示す動作フローチャート、図5はサーバアクセス処理を示す動作フローチャート、図6は表示制御情報XMLファイル(タグ)を生成する際のデータ構造を示す図、図7は表示制御情報XMLファイル(タグ)を生成する際の動作フローチャートである。
【0012】
まず、本実施形態による職制ツリー部品(XMLファイル)の生成処理は、職制情報の更新タイミングで実行され、この生成機能は職制コード管理システム、例えばサーバ内で行なわれる。このため業務システムが本職制ツリー部品を利用する時は比較的負荷の高いXML生成処理を動作させることなく、XMLファイルのダウンロード処理のみを実行することにより、実行速度を向上することができる。また本職制ツリー部品における選択対象階層制御や表示可能階層制御は、事前にXMLファイルを生成しておくため、サーバ側部品の呼び出しでの設定項目を簡略化することができる。尚、基本的な表示制御用XMLファイルに関しては、部品と同時に提供し他業務システムはそれを利用できるようにしている。
【0013】
さて、本実施形態による職制ツリー部品生成方法を実現するシステムは、図1に示す如く、各種業務処理を行うための業務プログラムを実行するためのクライアント1と、保持した職制情報を基に本実施形態による職制ツリー部品を生成する機能を含むサーバ2とから構成される。
【0014】
前記サーバ2は、階層構造の職制情報を格納する職制データベース24と各種業務プログラムによる業務処理部20を備え、上位から指示された表示する職制の範囲を選択するための表示選択範囲XMLファイル21と前記職制データベース24からXML形式で読み出した職制XMLファイル23とを基に表示制御情報をXML付きの表示制御情報XML付HMLファイル22を生成する。即ち、本実施形態においては、表示する範囲を示す表示選択範囲XMLファイル21と職制情報から生成された職制XMLファイル23とのタグを、職制ツリー表示用のHTMLファイルに埋め込みを行った表示制御情報XMLファイル22を生成するものであり、この詳細は後述する。
【0015】
前記クライアント1は、前記サーバ2から送られた職制XMLファイル13と表示制御情報付HTMLファイル12の内容をXMLパーサと呼ばれるXMLファイルをアプリケーションソフトが利用しやすい形に変換するソフトウェアを用いて解析し、職制ツリー部品ファイル11を業務画面10に表示するように構成されている。尚、図面中、クライアント1及びサーバ2内のそれぞれの太線枠内部分が本実施形態における職制ツリー部品の生成等の処理を示している。
【0016】
前記職制ツリー部品を組み込んだ業務画面10は、図2に示す如く、職制ツリー画面3及び業務画面メイン部分4から成り、前記図1における職制ツリーファイル11が、上記職制ツリー画面3から業務画面メイン部分4の表示内容を制御し、ビジュアル的に表示された職制ツリーにより業務画面メイン部分の操作性を向上させるものとなっている。
【0017】
前記職制XMLファイル23の生成処理手順は、図3に示す如く、クライアント1側の業務画面10からのリクエスト発生(ステップ101)を契機とし、サーバ2側の業務処理部20がルートノード/初期展開ノード/表示制御XMLファイルを指定し、サーバ2側の職制ツリー部品生成部品(プログラム)を呼び出し(ステップ102)を行い、次いでサーバ内2に対象職制XMLファイル23が存在するか否かの判定を行う(ステップ103)。
【0018】
このステップ103においてサーバ内2に対象職制XMLファイル23が存在しない場合、本処理は、職制データベース24から職制情報を呼び出して新規に職制XMLファイル23の生成(ステップ104)を行う。次いで本処理は、生成した職制XMLファイル23と業務処理部20からの因数、及び表示選択範囲XML21により表示制御情報XML付HTMLファイル22を生成(ステップ105)し、生成した上記表示制御情報XML付HTMLファイル22、及び上記職制XMLファイル23をサーバ2からクライアント1へダウンロード(ステップ106)し、ダウンロードした表示制御情報XML付HTML12、職制XMLファイル13をXMLパーサによって解析して職制ツリー部品を表示する(ステップ107)。
【0019】
前記職制ツリーのノード開閉処理は、図4に示す如く、職制ツリー生成処理に必要とされる情報がクライアント1上に存在するため、サーバ2へアクセスすることなくクライアント1内で行なうことができる。この処理手順は、クライアント1内の表示制御情報XML付HTML12と職制XMLファイル13より職制ツリーファイル11をXMLパーサにより解析して生成(ステップ201)することによって達成される。尚、業務画面10上の操作等により下位ノードを展開するとき、上記職制XMLファイル13から表示するXMLファイルの検索処理を行う必要があるが、これはXMLパーサの検索機能を使用することで高速に検索処理を行うことができる。
【0020】
次いで本開閉処理は、職制ツリーファイル11の表示制御情報が変更されたとき(例えば展開済みノード、選択されているノードの変更)、クライアント1側の職制ツリー部品処理により表示制御情報XMLファイル(タグ)をリアルタイムに更新する(ステップ202)。
【0021】
次に図5を参照して表示制御情報XMLタグがリアルタイムに更新することによりサーバ処理を必要する際のサーバアクセス処理を説明する。
このサーバアクセス処理は、クライアント1側の業務画面10からのリクエストの発生により、表示制御情報XMLファイル22をリクエスト情報に付加(ステップ301)し、次いで業務処理部20が表示制御情報XMLファイル22をそのまま使用する条件でサーバ2側の職制XMLファイル23の呼び出しを指定(ステップ302)し、次にリクエスト情報から表示制御情報XMLファイル21を再利用して表示制御情報XML付HTMLファイル22を再作成(ステップ303)し、この再作成された上記表示制御情報XML付HTMLファイル22、及び職制XMLファイル23をサーバ2からクライアント1へダウンロード(ステップ304)する。このときの表示は、新たにロジックを追加することなく、前回表示されているものと同じ職制ツリーファイル11を再表示する(ステップ305)。本実施形態は、前記再表示によって職制ツリー部品の処理を軽減し、速度性能を向上することができる。
【0022】
次に、サーバ2側での表示制御情報XMLファイル(タグ)21を生成する際のデータ構造を図6を参照して説明する。図6に示したデータ構造は、図1のサーバ2(太線枠内部分)の表示選択範囲XMLファイル21と、表示制御情報XML付HTMLファイル(タグ)22と、職制XMLファイル23におけるデータ構造を示している。符号25、26、27、28で示す各ノードは、表示制御情報XML付HTMLファイル(タグ)22内のROOTノード、SELECTノード、OPENノード、LEVELノードであり、ROOTノード25はルートノード、SELECTノード26は現在選択されているノード、OPENノード27は現在開かれているノードをそれぞれ示している。
【0023】
このように本実施形態における表示制御情報XMLファイル(タグ)22は、XMLパーサが職制XMLファイル23のROOTノードと表示選択範囲XMLファイル21のLEVELノードとのタグを、図示の如く職制ツリー表示用のHTMLファイルに埋め込むことによって形成する。
【0024】
次いでサーバ2側の部品にて表示制御情報XMLタグを生成する際の処理フローを図7を参照して説明する。まず、サーバ2は、職制XMLファイル23内の対象ノードを表示制御情報XML付HTMLファイル(タグ)22内のROOTノード25、SELECTノード26、OPENノード27のそれぞれに追加(ステップ401)し、次に表示選択範囲XMLファイル21内の表示制御XMLファイルを表示制御情報XML付HTMLファイル(タグ)22のLEVELノード28のノードにそのまま追加(ステップ402)し、LEVELノード28内に要素が存在するか否かを判定する(ステップ403)。
【0025】
この判定によりLEVELノード28内に要素が存在した場合、本処理はフォルダの表示を表示(ステップ405)、要素が存在しない場合はフォルダを非表示(ステップ404)とする。
【0026】
例えば前記図6を用いて参照した表示制御情報XML付HTMLファイル(タグ)22を例にすると、図中"A"は第1階層となり、以下、順に8階層を表しており、属性ENABLEDにより職制ツリー上のフォルダの選択するか否かを制御している。また本職制ツリー構造では、第8階層("H")まで展開可能であり、第8階層("H")のみを選択可能(H ENABLED="TRUE")となっている。前述のように表示制御情報XML付HTMLファイル(タグ)22はサーバ2側で生成後、クライアント1側に引き渡されるが、サーバ2側で表示制御情報XML付HTMLファイル(タグ)22を生成するときは、その要素毎にそれぞれXMLパーサの追加機能を利用する。
【0027】
このように本実施形態による職制XMLファイルの生成処理は、職制情報の更新タイミングで職制ツリー部品を生成し、この生成機能を職制コード管理システム内で行なうため、業務システムが本職制ツリー部品を利用するときは比較的負荷の高いXML生成処理を動作させることなく、XMLファイルのダウンロード処理のみの実行によって速度性能を向上することができる。また、選択対象階層、表示可能階層の制御に関しては、事前にXMLファイルを生成しておくことで、サーバ側部品の呼び出しでの設定項目をできるだけ簡略化することができる。尚、基本的な表示制御用XMLファイルに関しては、職制ツリー部品と同時に提供し他の業務システムはそれを利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明による上記職制ツリー部品は、図2に示した業務画面の画面構成図の如く業務画面に組み込んで使用することにより、柔軟性に富んだ職制ツリー機能の提供、及び他業務画面(ロジック)に影響を与えずに処理速度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態による職制ツリー部品生成方法を実現するシステム構成を示す図。
【図2】職制ツリー部品を組み込んだ業務画面の画面構成図。
【図3】職制XMLファイルの初期生成処理を示す動作フローチャート。
【図4】職制ツリーのノード開閉処理を示す動作フローチャート。
【図5】サーバアクセス処理を示す動作フローチャート。
【図6】表示制御情報XMLタグを生成する際のデータ構造を示す図。
【図7】表示制御情報XMLタグを生成する際の動作フローチャート。
【符号の説明】
【0030】
1:クライアント、2:サーバ、3:職制ツリー画面、4:業務画面メイン部分、10:業務画面、11:職制ツリーファイル、12:表示制御情報付HTMLファイル、13:職制XMLファイル、20:業務処理部、21:表示選択範囲XMLファイル、22:職制XMLファイル、23:表示制御情報ファイル(タグ)、24:職制データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
職制情報を格納するサーバと、該職制情報を職制ツリー部品として表示する業務プログラムを実行するクライアントとから成るコンピュータシステムにおける職制ツリー生成方法であって、
前記サーバが、前記職制情報からXML形式の階層構造の職制XMLファイルを生成する第1ステップと、表示する範囲を示す表示選択範囲XMLファイルと前記第1ステップで生成した職制XMLファイルとのタグを職制ツリー表示用のHTMLファイルに埋め込みを行った表示制御情報XMLファイルを生成する第2ステップとを実行し、前記クライアントが前記職制XMLファイル及び表示制御情報XMLファイルとをダウンロードする第3ステップと、該職制XMLファイルと表示制御情報XMLファイルとを用いてXMLパーサが職制ツリーファイルを解釈する第4ステップと、該解釈した職制ツリーファイルを用いて業務プログラム上に職制ツリー部品を表示する第5ステップとを実行することを特徴とする職制ツリー生成方法。
【請求項2】
前記表示制御情報XMLファイルが、ルートノードと初期表示時の展開済みノードと選択対象階層と表示可能階層の各制御情報とから構成され、業務画面に組み込まれたとき、設定された前記制御情報XMLファイルをもって業務側の使用用途に応じた任意の処理を実行する第6ステップを含むことを特徴とする請求項1記載の職制ツリー生成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−11743(P2006−11743A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186845(P2004−186845)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)
【Fターム(参考)】