説明

肉含有包子

【課題】温めた際に中種から肉汁が流れ出してくるにも拘らず、肉汁により皮がべたつかない肉含有包子を提供する。
【解決手段】寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩とを含むゲル状物を中種に配合する肉含有包子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割った時に温めた際に中種から肉汁が流れ出てくるにも拘らず、肉汁による皮のべたつきが防止された肉含有包子(パオズ)に関する。
【背景技術】
【0002】
包子とは、中国名で小麦粉の皮で肉や野菜等から成る中種を包んで蒸した料理を指す。中でも、肉まんや小籠包等の肉含有包子は、中種から肉汁が流れ出てくるものが望まれているが、温めた際に中種から染み出た肉汁が皮に染み込み、皮がべたついてしまうため、不快な食感となる問題があった。
【0003】
そこで、肉汁の流出による皮のべたつきを改善する方法として、例えば、中種に天然性高分子物質と有機酸塩とからなる組成物を中種に含有させる方法(特許文献1)が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記方法は中種からの肉汁の流出を防ぐことで皮のべたつきを防止しているため、消費者が望むような肉汁が流れ出てくる肉含有包子は得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−348731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、温めた際に中種から肉汁が流れ出てくるにも拘わらず、肉汁による皮のべたつきが防止された肉含有包子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のゲル化剤と、ヒアルロン酸とを含むゲル状物を中種に配合するならば、意外にも温めた際に中種から肉汁が流れ出てくるにも拘わらず、肉汁による皮のべたつきが防止された肉含有包子が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩とを含むゲル状物を中種に配合する肉含有包子、
(2)前記ゲル状物が、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種を0.05〜3%、ヒアルロン酸及び/又はその塩を0.001〜1.5%配合し、且つ、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩との配合量の比率が質量換算で200:1〜1:10である(1)の肉含有包子、
(3)前記ゲル状物を中種に0.5〜30%配合する(1)又は(2)の肉含有包子、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、温めた際に中種から肉汁が流れ出てくるにも拘わらず、肉汁による皮のべたつきが防止された肉含有包子を提供できることから、中華惣菜市場の更なる拡大が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を意味する。
【0011】
本発明の肉含有包子は、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩とを含むゲル状物を中種に配合することを特徴としており、これにより、温めた際に中種から肉汁が流れ出てくるにも拘わらず、肉汁による皮のべたつきを防止することができる。
【0012】
肉含有包子とは、小麦粉の皮に肉含有の中種を包み蒸した料理であり、具体的には肉まん、小籠包、餃子、焼売等が挙げられる。肉含有包子は、一般的に蒸し器等を用い喫食に適した温度まで温めて食べられ、具体的には40〜90℃まで温める場合が多い。
【0013】
本発明の肉含有包子の中種には、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩とをゲル状物にして配合する。一般的に寒天、ゼラチン、カラギーナン等のゲル化剤やヒアルロン酸は粉末状の形態で市販されているが、本発明においては、そのまま粉末状で配合したり、粉末を清水に溶解又は分散しゲル化させずに液体状で配合すると皮がべたついてしまう為、ゲル状物にして配合する。
【0014】
本発明の肉含有包子の上記ゲル状物に用いる寒天は、通常食品素材として利用されているものであれば特に限定されず、一般に紅藻類から抽出して得られるアガロースとアガロペクチンを含有する多糖類であれば構わない。
【0015】
本発明の肉含有包子の上記ゲル状物に用いるゼラチンは、市販されているものであれば特に限定するものではないが、例えば、アルカリ処理ゼラチンや酸処理ゼラチン等、製造方法や原料の由来によって各種のものがあるが、いずれを使用しても構わない。
【0016】
本発明の肉含有包子の上記ゲル状物に用いるカラギーナンは、通常食品素材として利用されるものであれば特に限定されない。カラギーナンは、一般に紅藻類から抽出して得られる硫酸基を持つガラクタンの一種であり、硫酸基の位置と数によってκ、λ、ι型に大別され、目的に応じて分画することができる。また、各型の含有割合は海藻の種類や年齢、部位等により変動するが、本発明の肉含有包子には、いずれの純度の、いずれの型のカラギーナンを用いても構わない。
【0017】
本発明の肉含有包子の上記ゲル状物に用いる寒天、ゼラチン及びカラギーナンの合計配合量は、ゲル状物に対し0.05〜3%が好ましく、0.1〜2%がより好ましい。寒天、ゼラチン及びカラギーナンの合計配合量が、上記範囲より少ないと肉汁による皮のべたつき防止効果が得られ難い。また、上記範囲より多いと中種の食感が悪くなる場合がある。
【0018】
ヒアルロン酸とは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの二糖からなる繰り返し構成単位を1以上有する多糖類であり、ヒアルロン酸の塩としては例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム等が挙げられる。本発明で使用するヒアルロン酸及び/又はその塩は、特に限定されないが、鶏冠、臍の緒、眼球、皮膚、軟骨等の生物組織、あるいはストレプトコッカス属の微生物等のヒアルロン酸生産微生物を培養して得られる培養液等を原料として、これらの原料から抽出して得られるものである。
【0019】
本発明の肉含有包子のゲル状物に用いるヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量は、ゲル状物に対し0.001〜1.5%が好ましく、0.01〜1.5%がより好ましい。ヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量が、上記範囲より少ないと肉汁による皮のべたつき防止効果が得られ難く、上記範囲より多くしたとしても配合量に応じて肉汁による皮のべたつき防止効果が増し難いことから経済的でない。なお、本発明のゲル状物の使用原料としてヒアルロン酸及び/又はその塩の粗抽出液や粗抽出物を用いた場合は、上記配合量は、ヒアルロン酸及び/又はその塩そのものの配合量を意味する。
【0020】
本発明の肉含有包子のゲル状物に用いる寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩との配合量の比率は、質量換算で200:1〜1:10が好ましく、100:1〜1:10がより好ましい。寒天、ゼラチン、及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種に対するヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量の比率が上記範囲より少ないと、温めた際に中種から流れ出す肉汁により皮がべたついてしまう場合があり、好ましくない。上記範囲より多くしたとしても配合量に応じて肉汁による皮のべたつき防止効果が増し難いことから経済的でない。
【0021】
本発明の肉含有包子に用いる上記ゲル状物の配合量は、中種に対し0.5〜30%が好ましく、3〜20%がより好ましい。ゲル状物の配合量が、上記範囲より少ないと、温めた際に中種から流れ出す肉汁により皮がべたついてしまう場合があり、上記範囲より多いと、ヒアルロン酸及び/又はその塩が高価であるため肉含有包子全体のコストが高くなるため経済的でない。
【0022】
本発明の肉含有包子の上記ゲル状物は、上記記載の寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩の他に、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し配合することができる。具体的には、例えば、キサンタンガム、グアガム、ペクチン等のゲル化剤、トウモロコシ澱粉、タピオカ澱粉、湿熱処理澱粉、加工澱粉等の澱粉類、ショ糖、オリゴ糖、ぶどう糖果糖液糖等の糖類、スクラロース、アスパルテーム、キシリトール、トレハロース、パラチノース等の甘味料、ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール類、難消化性デキストリン、結晶セルロース、アップルファイバー等の食物繊維、セラミド、コエンザイムQ10、コラーゲン等の美容原料、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、食塩、アミノ酸、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸等の有機酸及びその塩、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC等のビタミン類、カルシウム、ナトリウム等のミネラル類又はその塩、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、香辛料、グレープフルーツフレーバー、オレンジフレーバー、レモンフレーバー等の香料、色素等が挙げられる。
【0023】
本発明の肉含有包子の中種に用いる肉は、牛、豚、鶏等の家畜類やエビ、カニ、ホタテ、イカ、サケ等の魚介類の食用肉であれば、加工方法や部位によって、特に限定されないが、肉汁が流れ出てくることが望ましいことから、細かく切るかすり潰して得られる挽肉が好適である。本発明で用いる挽肉は、牛挽肉、豚挽肉、鶏挽肉、牛と豚を混合した合挽き肉、エビミンチ、ホタテミンチ等が挙げられる。
【0024】
本発明の肉含有包子に用いる肉の配合量は、肉含有包子の中種に通常配合する量であればよく、中種に対し20〜80%が好ましく、30〜50%がより好ましい。
【0025】
本発明の肉含有包子に用いる上記ゲル状物と肉との配合量の比率は、質量換算で3:1〜1:50が好ましく、3:1〜1:15がより好ましい。ゲル状物に対する肉の配合量の比率が上記範囲より少ないと、温めた際に上記ゲル状物から溶け出す水分量が多いため、肉に対する水分量を不自然に多く感じるため好ましくない。一方、上記範囲より多いと、温めた際に中種から流れ出す肉汁により皮がべたついてしまう場合があり、好ましくない。
【0026】
本発明の肉含有包子の中種には、上記ゲル状物及び肉以外に、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し配合することができる。具体的には、例えば、椎茸、筍、玉葱、ニラ、グリンピース、キャベツ、生姜、大蒜、長葱、白菜等の野菜、醤油、ショ糖、日本酒、オイスターソース、胡麻油、胡麻、食塩等の調味料が挙げられる。
【0027】
本発明の肉含有包子に用いる皮は、市販されているものであれば特に限定されないが、肉まんの皮、小籠包の皮、餃子の皮、焼売の皮等が挙げられる。また、皮には本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し配合することができる。具体的には、例えば、薄力粉、小麦粉、ドライイースト、ベーキングパウダー、牛乳、砂糖、食塩、ラード等が挙げられる。
【0028】
本発明の肉含有包子に用いる中種と皮との配合量の比率は、通常肉含有包子を製する際の配合量の比率であればよいが、質量換算で9:1〜1:5が好ましく、5:1〜1:5がより好ましい。
【0029】
本発明の肉含有包子の製造方法は、中種に肉を加え、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩を含むゲル状物を配合し、常法に則り製造すれば良い。例えば、以下のように製造することができる。ゲル状物は、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも一種、ヒアルロン酸及び/又はその塩及び清水をミキサーに入れ品温80℃で加熱混合撹拌後、品温5℃まで冷却することによりゲル化させて製した。中種は、上記製したゲル状物、合挽き肉等の肉、ニラ、椎茸等の野菜、醤油、上白糖、酒、片栗粉、大蒜、生姜、ゴマ油等の調味料を合わせて混捏して製した。皮は、薄力粉、強力粉、上白糖、食塩、ベーキングパウダー、清水を合わせて混捏し、肉含有包子の大きさに合わせて分割後、麺棒などで平たく伸ばして製した。なお、皮にドライイースト等の発酵工程が必要な原料を含む場合は、皮を発酵させる。次いで、上記製した皮に上記中種を包み、成型後、蒸し器等で蒸煮し肉含有包子を製造する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0030】
以下に本発明の肉含有包子を実施例および比較例に基づき詳述する。なお、本発明はこれに限定するものではない。
【0031】
[実施例1]
<(1)ゲル状物の調製>
下記配合表1に従って、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ヒアルロン酸、グラニュー糖、清水をミキサーに入れ、品温80℃で加熱混合撹拌後、200g容のスパウトパウチに200gずつ充填した。さらに充填後、品温5℃まで冷却することによりゲル状物を製した。
【0032】
〔配合表1〕
寒天 0.3%
キサンタンガム 0.2%
ローカストビーンガム 0.2%
ヒアルロン酸 0.03%
グラニュー糖 3%
清水 残余
――――――――――――――――――
合計 100%
【0033】
<(2)肉まんの製造>
上記得られたゲル状物を用いて、肉含有包子(肉まん)を製した。すなわち、

下記配合表2(中種)に従って、豚挽き肉、上記ゲル状物、ニラ、干し椎茸(水戻し)、タケノコ、醤油、上白糖、片栗粉、酒、ニンニク、生姜、ゴマ油を合わせて混捏し中種を調製した。次に、下記配合表3(皮)に従って、薄力粉、強力粉、上白糖、ラード、ラード、ベーキングパウダー、食塩、ドライイースト、清水を合わせて混捏し、25℃で30分間1次発酵後、60gずつに分割し、麺棒で伸ばして皮を調製した。次いで、得られた皮に上記中種40gを包み、成型し、得られた成型物に濡れ布巾をかけ、25℃で20分間寝かせた後、蒸し器で90℃、15分間蒸煮し、本発明の肉含有包子(肉まん)を得た。
【0034】
〔配合表2〕
(中種)
豚挽き肉 40%
ゲル状物 20%
ニラ 7%
干し椎茸(水戻し) 7%
タケノコ 6%
醤油 8%
上白糖 2%
片栗粉 2%
酒 2%
ニンニク 2%
生姜 2%
ゴマ油 2%
――――――――――――――――――――――
合計 100%
【0035】
〔配合表3〕
(皮)
薄力粉 40%
強力粉 20%
上白糖 3%
ラード 2%
ベーキングパウダー 1%
食塩 1%
ドライイースト 0.5%
清水 残余
――――――――――――――――――――
合計 100%
【0036】
[実施例2]
寒天をカラギーナンに置き換えてゲル状物を製した以外は実施例1の方法に準じて、本発明の肉含有包子(肉まん)を得た。
【0037】
[実施例3]
寒天0.3%を寒天0.15%とカラギーナン0.15%に変更してゲル状物を製した以外は実施例1の方法に準じて、本発明の肉含有包子(肉まん)を得た。
【0038】
[実施例4]
寒天をゼラチンに置き換えてゲル状物を製した以外は実施例1の方法に準じて、本発明の肉含有包子(肉まん)を得た。
【0039】
[比較例1]
寒天を清水に置き換えてゲル状物を製した以外は実施例1の方法に準じて、肉含有包子(肉まん)を得た。
【0040】
[比較例2]
ヒアルロン酸を清水に置き換えてゲル状物を製した以外は実施例1の方法に準じて、肉含有包子(肉まん)を得た。
【0041】
[比較例3]
寒天をペクチンに置き換えてゲル状物を製した以外は実施例1の方法に準じて、肉含有包子(肉まん)を得た。
【0042】
[試験例1]
ゲル状物の組成の違いによる、本発明の効果への影響を調べた。具体的には、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた肉含有包子(肉まん)を蒸し器で50℃まで温めてから喫食し、下記評価基準で評価した。なお、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた肉まんは、中種から肉汁が流れ出てきた。

【0043】
【表1】

<評価基準>
A:肉汁による肉汁が流れ出ているにも拘わらず皮のべたつきが充分に防止されていた。
B:肉汁による肉汁が流れ出ているにも拘わらず皮のべたつきがやや防止されていた。
C:肉汁により肉汁が流れ出てくるが皮がべたついていた。
【0044】
表1の結果、ゲル状物に寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合した場合、中種から肉汁が流れ出てくるにも拘らず、肉汁による肉汁が流れ出てくるにも拘わらず、皮のべたつきが防止されており、好ましかった(実施例1〜4)。一方、ゲル状物に寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種、又はヒアルロン酸及び/又はその塩を配合しない場合、中種から肉汁が流れ出てはいるものの、肉汁により肉汁が流れ出てくるが皮がべたついてしまい好ましくなかった(比較例1〜3)。
【0045】
[試験例2]
寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量の違い、及び寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種とヒアルロン酸及び/又はその塩との配合量の比率の違いによる、本発明の効果への影響を調べた。具体的には、実施例1において、寒天とヒアルロン酸及び/又はその塩の配合量を表2に示す量に変更した以外は、実施例1に準じて製した肉含有包子(肉まん)を試験例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。なお、No.1〜8の肉含有包子は、中種から肉汁が流れ出てきた。
【0046】
【表2】

【0047】
表2より、No.1、4〜8では、ゲル状物に寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる1種を0.05〜3%配合した場合、中種から肉汁が流れ出てくるにも拘らず、肉汁による皮のべたつきが防止されており好ましかった。特にNo.4〜8では、上記寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる1種を0.1〜2%配合した場合により好ましかった。
また、No.2、4〜8では、ゲル状物にヒアルロン酸及び/又はその塩を0.001〜1.5%配合した場合、中種から肉汁が流れ出てくるにも拘らず、肉汁による皮のべたつきが防止されており好ましかった。特にNo.4〜8では、上記ヒアルロン酸及び/又はその塩を0.01〜1.5%配合した場合により好ましかった。
更に、No.3〜8では、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩との配合量の比率が質量換算で200:1〜1:10の場合、中種から肉汁が流れ出てくるにも拘らず、肉汁による皮のべたつきが防止されており好ましかった。特にNo.4〜8では、上記比率が質量換算で100:1〜1:10の場合により好ましかった。
【0048】
以上より、ゲル状物に、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種を0.05〜3%、ヒアルロン酸及び/又はその塩を0.001〜1.5%配合し、且つ、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩との配合量の比率が質量換算で200:1〜1:10の場合、中種から肉汁が流れ出てくるにも拘らず、肉汁による皮のべたつきが防止されており好ましいことが理解できる。特に、ゲル状物に、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種を0.1〜2%、ヒアルロン酸及び/又はその塩を0.01〜1.5%配合し、且つ、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩との配合量の比率が質量換算で100:1〜1:10の場合、中種から肉汁が流れ出てくるにも拘らず、肉汁による皮のべたつきが防止されておりより好ましいことが理解できる。
【0049】
[比較例4]
実施例1(1)のゲル状物を、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ヒアルロン酸、グラニュー糖を含む粉末状物と、清水に置き換えた以外は実施例1の(2)の方法に準じて、肉含有包子(肉まん)を得た。
【0050】
得られた本発明の肉含有包子(肉まん)を蒸し器で50℃まで温めてから喫食すると、中種から肉汁が流れ出てはいるものの、肉汁により肉汁が流れ出てくるが皮がべたついてしまい好ましくなかった。
【0051】
[実施例5]
実施例1の(1)において得られたゲル状物を用いて肉含有包子(小籠包)を製した。すなわち、下記配合表4(中種)に従って、豚挽き肉、タマネギ、ニラ、タケノコ、実施例1の(1)で得られたゲル状物、醤油、上白糖、オイスターソース、食塩、ゴマ油を合わせて混捏し中種を調製した。次に、下記配合表5(皮)に従って、薄力粉、強力粉、牛乳、上白糖、ベーキングパウダー、ラード、ドライイースト、清水を合わせて混捏し、25℃で30分間発酵した後、40gずつに分割し麺棒で伸ばして皮を調製した。次いで、得られた皮に調製した中種15gを包み、成型し蒸し器で90℃、15分間蒸煮し、本発明の肉含有包子(小籠包)を得た。
【0052】
〔配合表4〕
(中種)
豚挽き肉 34%
タマネギ 22%
ニラ 20%
タケノコ 13%
ゲル状物 5%
醤油 3%
上白糖 1.5%
オイスターソース 0.8%
食塩 0.5%
ゴマ油 0.2%
――――――――――――――――――――――
合計 100%
【0053】
〔配合表5〕
(皮)
薄力粉 25%
強力粉 25%
牛乳 20%
上白糖 3%
ベーキングパウダー 3%
ラード 3%
ドライイースト 1%
清水 残余
――――――――――――――――――――
合計 100%
【0054】
得られた本発明の肉含有包子(小籠包)を蒸し器で50℃まで温めてから喫食すると、中種から肉汁が流れ出てくるにも拘らず、肉汁による生地のべたつきが防止されていた。
【0055】
[実施例6]
ゲル状物とニラの配合量を、それぞれ1%、24%に変更した以外は実施例5の方法に準じて、本発明の肉含有包子(小籠包)を得た。
【0056】
得られた本発明の肉含有包子(小籠包)を蒸し器で50℃まで温めてから喫食すると、実施例5には劣るものの中種から肉汁が流れ出てくるにも拘らず、肉汁による生地のべたつきがやや防止されていた。







【特許請求の範囲】
【請求項1】
寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩とを含むゲル状物を中種に配合することを特徴とする肉含有包子。
【請求項2】
前記ゲル状物が、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種を0.05〜3%、ヒアルロン酸及び/又はその塩を0.001〜1.5%配合し、且つ、寒天、ゼラチン及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種と、ヒアルロン酸及び/又はその塩との配合量の比率が質量換算で200:1〜1:10である請求項1記載の肉含有包子。
【請求項3】
前記ゲル状物を中種に0.5〜30%配合する請求項1又は2記載の肉含有包子。