説明

肉箱コンベアの脱着構造

【解決手段】肉箱コンベア31を使用状態である第一状態から、第二状態へと移行し、駆動軸を支点に回動して立ち上げて第三状態とする。この第一状態を支持、固定する手段、及び、第三状態を支持する手段を有する。また、肉箱コンベア31の周囲を囲む枠体51は、開放枠53のうち駆動軸33から搬送方向と直交する方向の部分を開放して開放部54としている。
【効果】開放部54から肉箱コンベア31が第三状態のときに抜き出すことができ、肉箱コンベア31全体を取り外すことが容易であるのみならず、肉箱コンベア31を外さずにベルト32のみ脱着することも可能となる。これにより、ベルト32、肉箱コンベア31、肉箱2全体の清掃が容易となり、衛生的な食肉スライサーを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉塊をスライスする食肉スライサーにおいて、肉塊を切断位置に順次移動させる肉箱コンベヤ及びベルトを容易に脱着することができる肉箱コンベヤの脱着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の先行技術として特許文献1が存在する。
この先行技術は、コンベア部が、ベルト部と、ローラ部と、ローラ部を回動自在に支持し、供給部の支持部であるベース部に取り外し自在に固定される側板部と、側板部の丸刃物側先端に架設された搬送補助板とからなる。コンベア部をベース部から取り外す時には、ローラ部を駆動伝達軸に抜き差ししながらベース部の上から行う。
また、ベルト部は、ローラ部の側板が折曲げ可能になっており、ローラ部の間隔を短くして、取り外しを行う。
(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−169540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の先行技術は、コンベヤ部及びベルト部をいったんベース部の上方から取り外さなければならず、肉箱の清掃をする場合に極めて煩雑であった。
特に、ベルト部のみを清掃する場合でも、コンベヤ部とともにベース部の上方から取り外さなければならないため、容易に清掃を行うことが困難となり、衛生上問題があった。
そこで、本発明は、肉箱コンベア及びベルトを上方でなく、側方から抜き出すことができ、使用者が簡単に脱着できるものであり、肉箱コンベヤを取り外すことなく、ベルトのみを脱着することができる肉箱コンベヤを提供することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の肉箱コンベアの脱着構造は、被切断物たる食肉を切断位置に搬送する肉箱コンベアとその周囲を囲む枠体とを備えた肉箱を有し、切断位置で切断刃により被切断物を切断する食肉スライサーにおいて、肉箱コンベアが通常の使用位置において食肉を搬送する第一状態と、肉箱コンベア全体が前記第一状態から軸を支点として回動可能となる第二状態と、肉箱コンベア全体が前記軸を支点に回動させた第三状態とを有し、肉箱コンベアの第三状態においてのみ、枠体から取り出し可能な開放部を備え、前記第一状態を支持、固定する手段、前記第三状態を支持する手段を有することを特徴とする。
【0006】
また、肉箱コンベアの第二状態は、その駆動軸を支点として回動可能となるものであって、駆動軸は、枠体の軸受け枠の外部から軸受けを通して枠体内の搬送方向と直交する幅方向に回動自在に延び、駆動軸の駆動回動を受けて受動する受動軸と、駆動軸と受動軸とを連結する本体と、駆動軸と受動軸とにわたって掛け渡すベルトと、から肉箱コンベアを構成し、枠体の軸受け枠から対面側の開放枠までの幅方向長さが、肉箱コンベアの幅方向長さより、長く形成され、駆動軸の幅方向長さは、軸受け枠から開放枠までの長さより、長く形成されていることが、好ましい。
【0007】
また、開放部は、開放枠において、駆動軸の幅方向側に相当する部分を切り欠いていることが、好ましい。
【0008】
また、肉箱コンベアの第三状態は、受動軸が駆動軸の上方に立ち上がるように、駆動軸を支点として、肉箱コンベア全体を回動させた状態であって、軸受け枠から上方へ延接した軸受け壁に、突起状の立ち上がり支持部を設け、当該立ち上がり支持部により肉箱コンベアの第三状態を支持することが、好ましい。
【0009】
また、肉箱コンベアの第一状態は、肉箱コンベヤの本体の側面から枠体へ延び出る棒状の延長部を有する固定支持部を、前記枠体に達する部分において枠体の、上側を開放して肉箱コンベアの搬送位置で前記延長部を支持するコンベア支持部により支持することによることが、好ましい。
【0010】
また、肉箱コンベアの第一状態は、固定支持部の先端に延長部より断面半径が大きい取っ手と、当該取っ手と所定間隔を介してその本体側に、延長部より断面半径が大きい固定片と、開放枠から上方へ立ち上がる開放側壁と、を有し、この開放壁の下方を延長し、前記所定間隔と同じ幅を有する係止部を、前記取っ手と固定片との間に係合することにより、固定することが、好ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によると、使用状態である第一状態の肉箱コンベアを第二状態に移行して立ち上がり可能とし、肉箱コンベアを立ち上げて第三状態として、開放部よりベルト、肉箱コンベアを取り外すことができる。これにより、使用者がベルト、肉箱コンベアの脱着を簡単に行うことができる。
また、第一状態を支持、固定する手段があることで、使用状態に簡単に戻すことができ、固定しているので、使用時に第二状態や第三状態に肉箱コンベアが勝手に移行することがなく、安全に使用することが可能となる。
また、第三状態を支持する手段があることで、ベルトや肉箱コンベアを抜き取って取り出すことができる状態へと簡単に位置決めすることができ、使用者が簡単に本発明の肉箱コンベアを脱着することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によると、駆動軸及び肉箱コンベアの搬送方向と直交する幅方向の長さが、軸受け枠から開放枠までの長さより長いので、第二状態としたときにも肉箱コンベアの駆動軸が軸受け枠から抜けず、肉箱コンベアを枠体の上方へ取り出すことができない。また、肉箱コンベアを立ち上げた第三状態にすることなく軸受け枠から駆動軸を抜き出して肉箱コンベアを引き抜こうとしても、開放部以外の開放枠に当たり、抜き出すことができない。
その一方で、第二状態で駆動軸を支点に肉箱コンベアを回動して立ち上げることができ、開放部より肉箱コンベアやベルトを脱着することができる。これにより、肉箱コンベアを取り外すことなくベルトを取り外すことができ、より簡単な方法でベルト、肉箱コンベア、及び肉箱周辺を清掃することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明によると、開放部の位置が、駆動軸から搬送方向と直交する方向となる幅方向側に相当する部分となっているので、肉箱コンベアを駆動軸を支点に回動して立ち上げていない状態では、開放枠に当たり、肉箱コンベアを幅方向に抜き取ることができないが、肉箱コンベアを回動して立ち上げて第三状態にしたときは、肉箱コンベアが開放枠に当たることがなく、ベルトや肉箱コンベアを開放部より抜き取ることが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明によると、肉箱コンベアを回動して立ち上げた第三状態では、当該肉箱コンベアを立ち上がり支持部にもたれ掛けさせて支持することができる。開放部は、肉箱コンベアが立ち上がった第三状態にのみベルト及び肉箱コンベアを脱着することができるように位置しているので、その位置で支持することにより使用者が脱着することが容易となる。
また、立ち上がり支持部は第三状態に位置決めすることとなるので、使用者がいずれの角度かを考える必要がなくなり、使用者が使用しやすいベルト及び肉箱コンベアの脱着構造を提供することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によると、肉箱コンベアに取り付けられた固定支持部は、肉箱コンベアを、搬送可能な使用位置となる第一状態や第二状態の位置で支持することができる。これにより、使用者は固定支持部をコンベア支持部に係合させることで、肉箱コンベアを搬送位置たる第一状態や第二状態に簡単に位置決めすることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によると、開放側壁の下方にある係止部が固定支持部の取っ手と固定片との間に係合して、固定支持部が固定され、肉箱コンベアの第一状態の位置で固定することができる。
これにより、開放側壁を取り付けると、搬送状態となる第一状態で肉箱コンベアが固定されるので、使用時に肉箱コンベアが第二状態に移動することがなく、安全に食肉スライサーを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の肉箱コンベアの脱着構造を有する食肉スライサーの全体斜視図である。
【図2】図2は、食肉スライサーの基台、受けトレイを除いた状態であり、図1の奥側から示した斜視図である。
【図3】図3は、肉箱コンベアに軸受け側壁と開放側壁に取り付けられた上押え部を示した斜視図で、(a)は上押え部を使用状態から引き上げた状態を示し、(b)は(a)から上押え部を軸受け側壁の方向に傾倒し、開放側壁を取り除いた状態を示す。
【図4】図4は、肉箱コンベアの平面図である。
【図5】図5は、肉箱コンベアを枠体等に取り付けた状態を示す平面図で、(a)は第一状態を、(b)は第二状態を示す。
【図6】図6は、肉箱コンベアを枠体等に取り付けた状態を示す斜視図で、(a)は第一状態を、(b)は第二状態を示す。
【図7】図7は、肉箱コンベアを取り外す状態を示した斜視図で、(a)は肉箱コンベアを立ち上げて第三状態として本体を折曲させた状態を、(b)は(a)の状態からベルトを抜き出した状態を、(c)は(b)の状態から肉箱コンベアを抜き出した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。
図1は、本実施例の肉箱2を含む食肉スライサー1の全体を示す。
食肉スライサー1は、基台3と、基台3の上側に設置された肉箱2と、肉箱2の側方に位置して回転して肉箱2内の肉塊(図示しない)を切断する丸刃4と、丸刃4の側方で肉箱2の前面に位置する厚み調整板5と、肉箱の上方に位置する上押え部6と、丸刃4の下方に位置する受けトレイ7とからなる。
【0019】
食肉スライサー1は回転する丸刃4により肉塊(図示しない)を切断するものである。肉箱2は肉箱コンベア31と枠体51(図5参照)とからなり、被切断物である肉塊を切断位置に搬送するものである。枠体51は、少なくとも軸受け枠52と開放枠53を有するものであり、必ずしも四方を囲むものでなくともよい。
【0020】
図1、図2に示すように、肉箱コンベア31は、肉箱2内の肉塊(図示しない)を切断位置へ、つまり図1の矢印線A方向、図2の矢印線C方向へ順次搬送する。上押え部6は、肉塊をその上側から押えて、肉箱コンベア31と同じく先端の上押えローラ21により、肉塊を押し出して切断位置に移動するようにA、C方向へ搬送する。
【0021】
図1、図2に示すように、肉箱コンベア31による搬送の最終地点付近に、搬送方向と対向する面を有する厚み調節板5が配置されている。この厚み調節板5に、搬送されてくる肉塊の先端部分が当接する。この位置が切断位置となる。このとき、厚み調節板5の肉箱側平面と丸刃4の切断面との間に一定の間隔があり、この隙間が肉塊の被切断厚さとなる。
そして、上押え部6を含む肉箱2が図1で示す矢印線B方向へ反復往復運動をし、丸刃4により肉塊が切断され、切断されたスライス片が受けトレイ7に落ちる。
【0022】
図2は、食肉スライサー1から、基台3、受けトレイ7を除いた、肉箱2と丸刃4と厚み調整板5と上押え部6等の部分を示すもので、上押え部6は使用位置を示す。
肉箱2の下部に肉箱コンベア31が配置され、肉箱コンベア31の周りに枠体51が配置される。肉箱コンベア31の搬送方向の左側面(図2の手前側)に枠体51の一部である開放枠53があり、この開放枠53の外側及び上方に開放壁8が取り付けられている。 また、肉箱コンベア31の搬送方向の右側面(図2の奥側)に枠体51の一部である軸受け枠52(図5参照)があり、この軸受け枠52に軸受け壁9が取り付けられている。
【0023】
開放壁8、軸受け壁9に上押え部6が配置される。上押え部6は、左右二つの脚22、前記脚22、22間に位置する上押え本体23と、上押えローラ21とからなる。脚22の下端は、各々、左側板8、右側板9の上押え支持部10に回動自在に支持され、その上端で上押え本体23を支持する。上押え本体23の先端は、上押えローラ21を回動自在に支持している。上押えローラ21には複数の突出片が形成されており、この突出片により肉塊を着実に掴んで送り出すことが可能になる。この上押えローラ21は、動力を受けて回動させることができ、肉箱コンベア31と連動して肉塊を搬送するものであるが、上押えローラ21のみをフリーとし、肉箱コンベア31の搬送により受動的に回動するようにしてもよい。
【0024】
図3(a)に示すように、上押さえ部6は開放壁8、軸受け壁9の上押え支持部10を支点として、矢印線D方向へ回動させることができる。
そして、図3(b)に示すように、上押え部6は開放壁8の上押え支持部10で支持される支持状態を解除し、図3(b)の矢印線Eに示すように、軸受け壁9の方向へ傾倒することができる。図3(a)に示す開放壁8の上押え支持部10に係合する脚22の下端が開放され、この開放された下端から支持状態にある上押え支持部10との係合を外す。そして、図3(b)に示すように、軸受け壁9で支持される脚22は、傾倒部(図示しない)により矢印線Eの方向へ傾倒させることができる。これにより、上押え部6を使用位置から上方へ回動させて、傾倒させることが可能となり、肉箱コンベア31の垂直方向上側に障害物がなくなり、掃除やベルト、コンベアの脱着が容易になる。また、上押え部6を傾倒するために上押え支持部10の係合を外すことになり、第一状態を固定する係止部64を有する開放壁8を取り外すことが可能となる。
なお、図3(b)では、開放壁8を取り外した状態を示している。
【0025】
次に、図4に示すように、肉箱コンベア31は、駆動軸33と受動軸34と、これらにより回動するローラにわたってベルト32を掛け渡したものである。
図5(a)に示す送りボックス61からの動力を駆動軸33に伝達し、駆動軸33の回動によりベルト32を動作させる。受動軸34はフリーな状態であって、駆動軸33の回動を受けて回動する。
駆動軸33は、コンベア軸受け側部35bから突出しており、枠体51の軸受け枠に形成されている軸受け(図示しない)を介して、送りボックス61に接続され、送りボックス61の動力を伝達する。
なお、駆動軸33は、コンベア軸受け側部35bから突出した部分のみを指すのではなく、ローラに内蔵されている部分を含めた全体を指す。
【0026】
肉箱コンベア31の本体は、図4、図7(b)、(c)に示すように、コンベア軸受け側部35a、35b、コンベア開放側部36a、36bの両側部と、これらを連結する連結部37a、37bとからなる。これらは第一の本体39である軸受け側部35a、35b及び連結部37aと、第二の本体40であるコンベア開放側部35a、36b、及び連結部37bとからなり、両者は折曲可能に接続されている。また、第一の本体39と第二の本体40とは、折曲されていない状態、折曲状態を固定することができる。
【0027】
また、図6(b)、図7(c)に示すように、コンベア開放側部36bに固定支持部41が配置される。
固定支持部41は、断面円形状の棒状部材である延長部42と、その延長部の先端に断面半径が延長部42により大きい球状の取っ手43が形成されている。そして、取っ手43から所定間隔をあけて延長部42のコンベア開放側部36b側に、断面半径が延長部42より大きい固定片44(図4参照)が形成されている。
取っ手43と固定片44との所定間隔は、この位置に係合する係止部64(図3(a)参照)とほぼ同じ厚みとなる。
【0028】
図5(a)は、図4の肉箱コンベア31が枠体51内にある状態を示す。枠体51は、送りボックス61がある側の枠である軸受け側枠52、開放部54のある枠である開放枠53を含むものであって、肉箱コンベア31の周囲を囲む枠である。
開放枠53には、固定支持部41が枠に到達する位置にコンベア支持部55が形成されている。コンベア支持部55は、図7(a)にも示すように、上部が開放された溝状のものである。その溝の幅は延長部42と同程度であり、延長部がちょうど係合する大きさである。この係合では、第一状態のとき、固定片44のコンベア開放側部の面にコンベア支持部55の外側の面があたるように形成されている。図3(b)に示すように、このコンベア支持部55は、肉箱コンベア31を使用する状態である第一状態及び第二状態の高さになるように位置しており、固定支持部41の延長部42をコンベア支持部55に係合させた場合、肉箱コンベア31の使用時の高さの位置に支持される。
また、図5(a)に示すように、開放枠53は、肉箱コンベア31の駆動軸33の位置から搬送方向と直交する幅方向に相当する部分周辺において、枠を一部切り欠いて開放部54を形成したものである。
【0029】
次に、肉箱コンベア31の第一状態、第二状態及び枠体51の幅について説明する。図5(a)の位置が肉箱コンベア31の第一状態であり、図5(b)の位置が肉箱コンベア31の第二状態である。
図4に示す肉箱コンベア31のコンベア軸受け側部35a、35bの外側面からコンベア開放側部36a、36bの外表面までの幅方向の長さ(図4のW1長さ)は、図5(a)に枠体51の軸受け枠52から開放枠53までの長さ(図5(a)のW3長さ)より短い。これにより、枠体51の内側は、搬送方向と直交する幅方向にスペースが生じることになる。
【0030】
また、図4に示す肉箱コンベア31から突出した駆動軸33の先端からコンベア開放側部36bまでの幅方向長さ(図4のW2長さ)は、図5(a)のW3長さより長い。これにより、肉箱コンベア31を枠体51の内側で幅方向にスペースが生じ、幅方向に移動させたとしても、駆動軸33で軸止した状態が継続され、肉箱コンベア31が枠体51から外れることはない。
つまり、図5(b)に示すように、固定支持部41の取っ手43を持って、幅方向に引っ張ると、肉箱コンベア31のコンベア開放側部36が開放枠53に接触するまで引っ張られる。この第二状態のときでも、駆動軸33は軸受けから外れていないので、肉箱コンベア31を上方に取り外すことはできない。
第二状態は、使用状態である第一状態から軸を支点に回動できる状態となればよく、この実施例に限定されない。
【0031】
図2、図5(a)、図6(a)に示すように、肉箱コンベア31の枠体51の軸受け枠52から上方に延び出る軸受け壁9が取り付けられる。
軸受け側壁9には、突起した棒状の立ち上がり支持部62が配置され、後述するように肉箱コンベア31を駆動軸33を支点として回動し、立ち上げた状態で、この立ち上がり支持部62に、もたれ掛けることで、この立ち上がり状態を支持することができる。
【0032】
また、軸受け壁9に沿うように、その開放壁側の位置に固定壁63が取り付けられる。
この固定壁63は、図3(a)、(b)、図5(a)に示すように、軸受け枠52、軸受け壁9と平行で上方に延長した形状で、その下縁は軸受け枠52の内枠側で、第一状態にある肉箱コンベア31のコンベア軸受け側部35の上側に位置するように形成されている。
また、図2に示すように、肉箱コンベア31の開放枠53から上方に延び出るように開放壁8が取り付けられる。開放壁8は、開放枠53から幅方向の軸受け枠52側にせり出したうえで、上方に延び出るように形成されている。このせり出した位置は、第一状態にある肉箱コンベア31のコンベア開放側部36a、36bの位置にある。
【0033】
これにより、第一状態にある肉箱コンベア31は、上側に固定壁63と、開放壁8とが位置するので、搬送に使用しているときに、肉箱コンベア31が駆動軸を支点に回動して立ち上がることや、第一の本体39と第二の本体40が折曲することが不可能となり、使用状態で固定することが可能になる。
また、肉箱コンベア31の使用状態である第一状態において、肉箱コンベア31の両側に固定壁63、軸受け壁9と開放壁8とがあることになり、肉箱コンベア31に載せられた肉塊がコンベアから落ちないようになっている。
【0034】
また、開放壁8は、図2に示すように、その下方が折曲され、開放枠53の外側に位置し、その下端は、固定支持部41に相当する位置に、切り欠き状の係止部64が形成される。係止部64は固定支持部41の延長部42と同径の切り欠きを有しており、取っ手43と固定片44との間に係合する。そして、この取っ手43と固定片44との距離と係止部64の厚みが同じであることから、固定支持部41を第一状態で固定することができ、肉箱コンベア31の第一状態の位置を固定することができる。
これにより、開放壁8を取り付けることにより、係止部64による肉箱コンベア31を第一状態に固定できる。
【0035】
次に、肉箱コンベア31、ベルト32の脱着について説明する。
図5(a)、図6(a)は、肉箱コンベア31が使用状態となる第一状態であるが、この状態は、上押え部6などを取り除いた状態である。ここでは、開放壁8を取り外している。開放壁8の取り外しにより、固定支持部41と係止部64との係合が外れ、肉箱コンベア31は、固定支持部41の取っ手43を引くことにより、第一状態から第二状態とすることができる。
【0036】
図5(b)、図6(b)は、肉箱コンベア31のコンベア開放側部36を開放枠53の内側に接するまで、固定支持部41の取っ手43を引いた状態である。この状態が第二状態となる。この第二状態は、コンベア軸受け側部35が固定壁63、開放壁8による固定から開放されているので、肉箱コンベア31を上方に立ち上げることが可能になる。
このとき、上述したように、駆動軸33の先端までの距離となる図4のW2長さが図5のW3長さより長いため、第一状態から第二状態に肉箱コンベア31を移動させたとしても、駆動軸33が軸受けから抜けていない状態となる。このため、肉箱コンベア31を上方に取り外すことはできないが、駆動軸33を支点として回動することは可能となる。
また、開放部54は、開放枠36のうち駆動軸33から搬送方向と直交する方向にあたる部分に相当する位置のみにある。そのため、肉箱コンベア31を立ち上げる前は、肉箱コンベア31のコンベア開放側部36a、36bが開放部54以外の開放枠53に当たることになり、肉箱コンベア31を幅方向へ抜くことができない。
【0037】
次に、図7(a)に示すように、駆動軸33を支点として肉箱コンベア31を回動させて立ち上がらせることができる。そして肉箱コンベア31を軸受け壁9の立ち上がり支持部62にもたれ掛けるようにして、肉箱コンベア31の立ち上がり状態を支持することができる。肉箱コンベア31が立ち上がったこの状態が第三状態である。
上記のごとく、開放部54は、開放枠53のうち駆動軸33から搬送方向と直交する部分周辺のみに形成されている。肉箱コンベア31の第三状態は、肉箱コンベア31を立ち上げることにより、駆動軸33部分以外が枠体51より上方に位置することになり、コンベア開放側部36a、36bが開放部54以外の開放枠53に当たることがない。したがって、駆動軸33を開放部54から枠外へ抜き取ることが可能となり、これにより肉箱コンベア31全体やベルト32を枠体51の枠外へ抜き取り、取り出すことが可能となる。
第三状態は、軸を支点に回動して、開放部から抜き取って取り出せることができる状態にあればよく、この実施例に必ずしも限定されない。
【0038】
ここで、図7(a)、(b)、(c)に示すように、肉箱コンベア31の本体は、先端側の第一の本体39と、駆動軸側の第二の本体40とからなり、第一本体は第二本体に対して、折曲することができる。
図7(a)、(b)に示すように、本体を折曲させると、掛け渡されたベルト32がたわみ、ベルト32だけを開放部54を通して脱着することができる。このように本体を取り付けたままベルト32のみを脱着することができる。
【0039】
また、図7(c)に示すように、ベルト32を外した後、駆動軸33を軸受け枠52から外して、本体を脱着することができる。
これはベルト32を外さずに、ベルト32を装着した状態でも本体を脱着することができる。
これにより、簡単な作業で本体、ベルト32の脱着が可能となり、肉箱の掃除ができ、衛生的な食肉スライサーを提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…食肉スライサー、2…肉箱、5…厚み調節板、6…上押え部、8…開放壁、9…軸受け壁、31…肉箱コンベア、32…ベルト、33…駆動軸、35…コンベア軸受け側部、36…コンベア開放側部、41…固定支持部、44…固定片、51…枠体、52…軸受け枠、53…開放枠、54…開放部、62…立ち上がり支持部、63…固定壁、64…係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断物たる食肉を切断位置に搬送する肉箱コンベアとその周囲を囲む枠体とを備えた肉箱を有し、切断位置で切断刃により被切断物を切断する食肉スライサーにおいて、
肉箱コンベアが通常の使用位置において食肉を搬送する第一状態と、
肉箱コンベア全体が前記第一状態から軸を支点として回動可能となる第二状態と、
肉箱コンベア全体が前記軸を支点に回動させた第三状態とを有し、
肉箱コンベアの第三状態においてのみ、枠体から取り出し可能な開放部を備え、
前記第一状態を支持、固定する手段、前記第三状態を支持する手段を有することを特徴とする肉箱コンベアの脱着構造
【請求項2】
肉箱コンベアの第二状態は、その駆動軸を支点として回動可能となるものであって、
駆動軸は、枠体の軸受け枠の外部から軸受けを通して枠体内の搬送方向と直交する幅方向に回動自在に延び、
駆動軸の駆動回動を受けて受動する受動軸と、駆動軸と受動軸とを連結する本体と、駆動軸と受動軸とにわたって掛け渡すベルトと、から肉箱コンベアを構成し、
枠体の軸受け枠から対面側の開放枠までの幅方向長さが、肉箱コンベアの幅方向長さより、長く形成され、
駆動軸の幅方向長さは、軸受け枠から開放枠までの長さより、長く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の肉箱コンベアの脱着構造。
【請求項3】
開放部は、開放枠において、駆動軸の幅方向側に相当する部分を切り欠いていることを特徴とする請求項1又は2に記載の肉箱コンベヤの脱着構造。
【請求項4】
肉箱コンベアの第三状態は、
受動軸が駆動軸の上方に立ち上がるように、駆動軸を支点として、肉箱コンベア全体を回動させた状態であって、
軸受け枠から上方へ延接した軸受け壁に、突起状の立ち上がり支持部を設け、当該立ち上がり支持部により肉箱コンベアの第三状態を支持することを特徴とする請求項1、2又は3のいずれかに記載の肉箱コンベアの脱着構造。
【請求項5】
肉箱コンベアの第一状態は、
肉箱コンベヤの本体の側面から枠体へ延び出る棒状の延長部を有する固定支持部を、前記枠体に達する部分において枠体の、上側を開放して肉箱コンベアの搬送位置で前記延長部を支持するコンベア支持部により支持することによることを特徴とする請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の肉箱コンベヤの脱着構造。
【請求項6】
肉箱コンベアの第一状態は、
固定支持部の先端に延長部より断面半径が大きい取っ手と、
当該取っ手と所定間隔を介してその本体側に、延長部より断面半径が大きい固定片と、
開放枠から上方へ立ち上がる開放側壁と、を有し、
この開放壁の下方を延長し、前記所定間隔と同じ幅を有する係止部を、前記取っ手と固定片との間に係合することにより、固定することを特徴する請求項1、2、3、4又は5のいずれかに記載の肉箱コンベア脱着構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−251390(P2011−251390A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128155(P2010−128155)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(591076028)株式会社なんつね (27)