説明

肩パッド

【課題】通気性に優れ、製造に手間が掛からず、型くずれせず人体に優しい肩パッドを提供すること。
【解決手段】衣服の肩部10aを整形すると共に、肩部10aを通して通気が可能な表地の内側に配した肩パッド12であって、衣服の肩部10aはメッシュ状の布Aで構成され、前記肩パッド12は多数の不定形の気孔が樹脂製の連結用紐状体を介して連接されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服の肩部を整形すると共に、肩部を通して通気が可能な表地の内側に配した肩パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の肩パッドは、肩部を整形するために、複数の不織布を積み重ねて肩部に沿う形状を造り、かつ通気性向上のために、この積み重ねた複数の不織布を重合した上で、上下に貫通する多数の通気孔を設けたものが知られている(特許文献1参照)。図6はこのような従来の肩パッドの斜視図であり、この肩パッドは、半円形状に形成した不織布片1、肩峰端部2を厚く構成した不織布片4,5,6を重合し、不織布片1の表面1aから不織布片6の底面6aまで貫通する円形状の通気孔8を多数穿設したものである。従来のこの肩パッドは、不織布の形状、厚みの設定、積み重ね枚数等を調整して適正な肩部の形状を整形することができると共に、通気孔から熱が放散されるので、夏用の清涼ジャケットの肩部のパッドとして使えるとされている。
【0003】
一方、複数の不織布を重合させる代わりに、ウレタンフォームをプレス成形して所要のパッド形状とし、人体に対峙する側はウレタンフォームの適度な柔らかさを保ち、衣服側は樹脂をコーティングしてウレタンフォームの硬度を高くして保形性を図った肩部のパッドも公知である(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】実願昭52−146444号(実開昭54−72934号公報)のマイクロフィルム(第1,2図参照)
【特許文献2】特開平10−298812号(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1に記載の従来の肩パッドは、形状が異なる多数の不織布を用意してこれらを重合なければならず、コストと手間が掛かるばかりでなく、通気孔からの熱気の移動方向が上下方向のみであるので、通気効果にも限界があった。また上記特許文献2に記載の肩パッドは、製造に手間が掛からず大量生産可能であり、かつ保形性に優れているものの、清涼ジャケットとして使用するには通気性の点で難があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目して成されたもので、通気性に優れ、製造に手間が掛からず、型くずれせず人体に優しい肩パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の肩パッドは、衣服の肩部を整形すると共に、肩部を通して通気が可能な表地の内側に配した肩パッドであって、前記衣服の肩部はメッシュ状の布で構成され、前記肩パッドは多数の不定形の気孔が樹脂製の連結用紐状体を介して連接されている。
【0008】
本発明の請求項2に記載の肩パッドは、請求項1に記載の肩パッドであって、前記肩部のメッシュ状の布は衿元から袖付けにかけて設けられている。
【0009】
本発明の請求項3に記載の肩パッドは、請求項2に記載の肩パッドであって、前記衿元から袖付けにかけて設けられた両肩部の布は後身頃においてメッシュ状の布で連結されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の肩パッドは、肩パッドが多数の不定形の相互に連絡する気孔(空隙構造)で構成されているので、通気性に優れ、しかも衣服の肩部はメッシュ状の布で構成されているので、蒸れた熱気が逃げやすい。また気孔が樹脂製の連結用紐状体を介して連接されているので、保形性に優れ型くずれしない。しかも空隙の占る体積が多いので肌との接触面積が少なく人体に対しても負荷を与えない。
【0011】
本発明の請求項2に記載の肩パッドは、肩部のメッシュ状の布を肩パッドが内装されている部分だけでなく、衿元から袖付けにかけて広範囲に設けたので、通気範囲が広がり清涼服として好適である。
【0012】
本発明の請求項3に記載の肩パッドは、肩部だけでなく、後身頃の上方部も連続してメッシュ状の布で構成してあるので、通気範囲がより広がるばかりでなく、清涼服としてのアクセントも付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1(a)は本発明の実施例における肩パッドを備えた清涼ジャケットの正面図、(b)は同じく清涼ジャケットの背面図であり、図2は肩パッドの斜視図及びその一部拡大図であり、図3は肩パッドを清涼ジャケットに装着したときの空気の流れを示す模式図であり、図4は清涼ジャケットの肩部のメッシュ構造を示す側面図である。
【0015】
図1に示すように、清涼ジャケット10の肩部10aはメッシュ状の布A及びメッシュ状の布Bで構成され、メッシュ状の布Aは衿元から袖付けにかけて設けられ、メッシュ状の布Bは左右のメッシュ状の布Aを後身頃の上部にて連結するように設けられている。肩パッド12はメッシュ状の布Aの内側に配設され、人体から放熱される熱により暖まった湿り気のある空気を肩パッド12、メッシュ状の布A,Bを通して外部に放出する。
【0016】
肩パッド12は、図2に示すように、清涼ジャケット10の肩部10aを整形するための構造を有し、表面側12aが中央部において中高となり、裏面側12bが凹状曲面部に形成されている。この肩パッド12の曲面の形状や厚み等は、男性用か女性用等のジャケットの種類や、使用者の好みに応じて適時最適な形状にする。
【0017】
この肩パッド12は樹脂を高発泡させたものを最適な形状に切り出したもので、図2の部分拡大部に示すように、多数の気孔2cが紐状の細い樹脂体(連結用紐状体)12dで連接されており、この肩パッドの構造は天然のへちまたわしと酷似している(即ち、へちまたわし様の構造をしている)。したがって気孔12cの向きは不定形であって、上下方向のみならず、左右斜めといったあらゆる方向に向いている。そのため暖まった湿り気のある空気が下から肩パッド12を介して上方に通過するとき、あらゆる方向に発散することができ放熱効果が大きい。
【0018】
次に、肩の形状に沿うよう曲げられた肩パッド12を清涼ジャケット10の肩部10aに装着した時の空気の流れについて、図3に基づき説明する。前身頃の表地14と後身頃の表地16は肩部のところで縫合され、この縫合部の表地14,16の内側(又は、これら表地と裏地の間)に、肩パッド12は移動しないように、従来周知の方法で縫合されている。
【0019】
人体から放熱される熱と、衣服の外部から輻射される熱等によって、暖かく湿った空気が矢印Xで示すように、下から上に上昇し一部は前身頃の表地14と後身頃の表地16を通して胸側と背中側から放出されると共に、滞留しがちな肩部のところからも、矢印Y,Zで示すように、肩パッド12の多数の気孔12cを通してあらゆる方向に放出される。そして気孔12cが従来のように円形状の小さな貫通孔でなく、多数の不特定方向を向いた孔であるので、通気量も多く放熱効果が高い。
【0020】
そして図4に示すように、肩パッド12は、清涼ジャケット10の肩部10aの衿元から袖付けにかけて設けたメッシュ状の布Aの内側に配されているので、肩パッド12を通過した熱気は抵抗なく外部に抜けることができ、蒸れが少なく、したがって、汗は蒸発しやすい。更に、肩パッド12の凹状曲面部を構成する裏面側12bが直接肌に接しても、気孔12cの数が多いので肌との接触面積が少なく人体に対して負荷を与えることがない。
【0021】
また、清涼ジャケット10はメッシュ状の布A以外に、両肩部10aに設けたメッシュ状の布Aを後身頃の上部で連結するメッシュ状の布B(図1(b)参照)を設けることにより、熱気の抜ける範囲をより拡大して、快適な清涼ジャケット10を提供することができる。また肩パッド12は多数の気孔12cを有する発泡樹脂材で構成されているから、弾性変形しやすく、肩パッド12に外力が作用しても変形が容易であり、外力が開放されると、再び元の形状に戻ることができ保形成がよい。したがって型くずれせず人体に優しい肩パッドを提供できる。
【0022】
図5は清涼ジャケットの肩部のメッシュ構造の変形例を示す側面図である。清涼ジャケット20の肩部20aは衿元から袖付けにかけて設けたメッシュ状の布Aと、両肩部20aに設けたメッシュ状の布Aを後身頃22の上部で連結するメッシュ状の布Bと、メッシュ状の布Aに隣接し前身頃24の上部に設けたメッシュ状の布Cから成り、メッシュ状の布の範囲が更に広がっている。このようにすることでメッシュ状の布の設けられている範囲を拡張して熱気の逃げる通路をより多くするとともに、清涼ジャケット20の肩部20aにおける衣服としてのデザインの向上を図ることができる。また、肩パッド26はメッシュ状の布Aの内側だけでなくメッシュ状の布A,B,Cに渡る大きなものとなっている。
【0023】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれらに限られるものではなく、例えば、本実施例では清涼ジャケットの肩部が、メッシュ状の布A,Bまたはメッシュ状の布A,B,Cで構成したが、メッシュ状の布Aだけでも清涼ジャケットとしての機能を十分果たすことができる。
また、肩パッドはメッシュ状の布Aの内側に設けた例で説明したが、メッシュ状の布A,Bあるいはメッシュ状の布A,B,Cに渡って設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は本発明の実施例における肩パッドを備えた清涼ジャケットの正面図、(b)は同じく清涼ジャケットの背面図である。
【図2】肩パッドの斜視図及びその一部拡大図である。
【図3】肩パッドを清涼ジャケットに装着したときの空気の流れを示す模式図である。
【図4】清涼ジャケットの肩部のメッシュ構造を示す側面図である。
【図5】清涼ジャケットの肩部のメッシュ構造の変形例を示す側面図である。
【図6】従来の肩パッドの斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
10 清涼ジャケット
10a,20a 肩部
12 肩パッド
12a 表面側
12b 裏面側
12c 気孔
12d 連結用紐状体
14 前身頃の表地
16 後身頃の表地
20 清涼ジャケット
20a 肩部
22 後身頃
24 前身頃
26 肩パッド
A,B,C メッシュ状の布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服の肩部を整形すると共に、肩部を通して通気が可能な表地の内側に配した肩パッドであって、前記衣服の肩部はメッシュ状の布で構成され、前記肩パッドは多数の不定形の気孔が樹脂製の連結用紐状体を介して連接されている肩パッド。
【請求項2】
前記肩部のメッシュ状の布は衿元から袖付けにかけて設けられている請求項1に記載の肩パッド。
【請求項3】
前記衿元から袖付けにかけて設けられた両肩部の布は後身頃においてメッシュ状の布で連結されている請求項2に記載の肩パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−224456(P2007−224456A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47357(P2006−47357)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(504414190)
【出願人】(504414204)
【Fターム(参考)】