説明

育苗ポット用カゴ型トレイ

【課題】個別収容部を備え、その構造的基部を下方としながら、省スペースの積み重ねを可能とするを育苗ポット用カゴ型トレイを提供する。
【解決手段】育苗ポットの底部を受ける底受部1を連結部2で縦横に連結した底平面3と、この連結部2の一辺から立ち上がる連結面4aと、該一辺に隣接する底受部1の隣接辺から育苗ポットの側壁に沿うように立ち上がる当接面4bとから構成される三面柱4と、この三面柱4の頂部を配列された育苗ポットの開口側の十字コーナー部で連結する十字連結部5と、この三面柱4の頂部を配列された育苗ポットの開口側のT字コーナー部で連結した上縁部6とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗ポットを縦横に配列して収容し、育苗、潅水、運搬、保管に用いられる育苗ポット用カゴ型トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
育苗ポット用カゴ型トレイについては、多くのものが提案されているが、従来のものは、その構造的基部を育苗ポットを収容した際の開口側とし、育苗ポットを個々に収容する個別収容部は、この開口側基部から下方に突出したカゴ状部分として形成されていた。
【0003】
特開2005−124519号公報に記載されたものもそのようなタイプであって、これを図7に示す。
【0004】
この育苗ポット用カゴ型トレイ20は、底受部11、側方当接面14、上縁部16、上縁逃がし部17を備えている。
【0005】
上縁部16は、全体として矩形形状のトレイ20の短手方向に伸びた短手縁部16aと、長手方向に伸びた長手縁部16bとが格子状に組み合わされたもので、この格子状の上縁部16でトレイ20の構造的基部を成している。
【0006】
この上縁部16から下方に向けて、収容する育苗ポットの側壁に当接すべき側方当接面14が延び、その側方当接面14の下端に四角形状の対角線と四辺とからなる骨組構造の底受部11が設けられている。
【0007】
これらの側方当接面14と底受部11とは、格子状の上縁部16のそれぞれの格子毎に下方に突出した構成となっており、育苗ポットを個々に受け収容するカゴ状の個別収容部Sを形成している。
【0008】
上縁逃がし部17は、収容された育苗ポットが相互に隣接する短手縁部16a、長手縁部16bの各格子間の中央位置に設けられ、この短手縁部16a、長手縁部16bの上縁から一定部分を切り欠いたものである。
【0009】
このような構成で、この育苗ポット用カゴ型トレイ20は、縦横配列して育苗ポットを収容し、その構造的強度は上縁部16で担保され運搬、保管に好適であり、個別収容部Sはカゴ状であって育苗ポットと外気との接触面積が多く、育苗、潅水に適している。
【0010】
また、上縁逃がし部17は、隣り合う育苗ポットを人の手先で一度に取り出すことを容易にするものである。
【0011】
また、カゴ状の個別収容部Sは、収容する育苗ポットの形状に対応して、上方にいくほど拡開した形状となっており、この部分を重複させて、未使用のトレイ20自身を上下に積み重ねた場合、上縁部16の高さピッチで積み重ねることができる。
【0012】
しかしながら、このような構成の育苗ポット用カゴ型トレイ20にあっては、その底面側は、底受部11が縦横に配列され、その底受部11間は空隙となっているため、この底受部11の底面側が接触する育苗棚や、運搬ローラなどの面が平滑でない場合、トレイ20をスムーズに移動させることができなかったり、移動に余分な力を要したり、また、場合によっては、カゴ状の個別収容部Sが破損したりすることがあり改善が望まれていた。
【0013】
この問題を解決するには、トレイの下方部分も格子状として、構造的基部とすることが考えられるが、その場合には、上記のトレイ20のような上下の省スペースの積み重ねが困難という問題があった。
【0014】
同種の育苗ポット用カゴ型トレイとしては、他に、特許文献2、3に記載されたものもあるが、これらも、上記問題を解決するものではなかった。
【特許文献1】特開2005−124519号公報(図1)
【特許文献2】特開平7−31288号公報(図1)
【特許文献3】実登3058231号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、個別収容部を備え、その構造的基部を下方としながら、省スペースの積み重ねを可能とするを育苗ポット用カゴ型トレイを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1記載の育苗ポット用カゴ型トレイは、育苗ポットを縦横に配列して収容するカゴ型トレイであって、
育苗ポットの底部を受ける底受部を連結部で縦横に連結した底平面と、この連結部の一辺から立ち上がる連結面と、該一辺に隣接する底受部の隣接辺から育苗ポットの側壁に沿うように立ち上がる当接面とから構成される三面柱と、この三面柱の頂部を配列された育苗ポットの開口側の十字コーナー部で連結する十字連結部と、この三面柱の頂部を配列された育苗ポットの開口側のT字コーナー部で連結した上縁部とを備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の育苗ポット用カゴ型トレイは、請求項1に従属し、前記底平面には、前記カゴ型トレイの矩形の一方向に連続した直線部、これに直交する方向に連続した直線部が備えられていることを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の育苗ポット用カゴ型トレイは、請求項1または2に従属し、前記カゴ型トレイは、相互に上下入り込んで、前記十字連結部及び前記上縁部の高さピッチで積み重ね可能となっていることを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の育苗ポット用カゴ型トレイは、請求項1から3のいずれかに従属し、前記十字連結部、前記上縁部の上面には、ズレ止め突起が設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の育苗ポット用カゴ型トレイは、請求項1から4のいずれかに従属し、前記十字連結部、前記上縁部のスカート部であって、収容する育苗ポットに当接する部分に、収容された育苗ポットの飛び出しを防止する突起が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の育苗ポット用カゴ型トレイによれば、育苗ポットの底部を受ける底受部を連結部で縦横に連結した底平面を備え、この底平面を構造的基部としているので、トレイの受ける荷重が、この底平面を介して直接外部に作用し、トレイの上下間を結ぶ部分への構造的負担をより少なくすることができ、また、強度的基礎が底平面にあるので、より外力に対して破損しにくい。
【0022】
加えて、このトレイは、底平面から上方へは、三面壁構造の三面柱が立ち上がり、その頂部を連結するように十字連結部、上縁部が形成されているので、全体としての構造的強度も好適に担保されている。
【0023】
請求項2記載の育苗ポット用カゴ型トレイによれば、請求項1の効果に加え、底平面には縦横の直線部が備えられているので、このトレイを載置する相手面に凹凸があっても、トレイの取扱が容易であり、個別収容部に関わる部分の破損を少なくすることができる。
【0024】
請求項3記載の育苗ポット用カゴ型トレイによれば、請求項1または2の効果に加え、前記カゴ型トレイは、相互に上下入り込んで、前記十字連結部及び前記上縁部の高さピッチで積み重ね可能となっているので、収納、保管スペースを小さくすることができる。
【0025】
請求項4記載の育苗ポット用カゴ型トレイによれば、請求項1から3のいずれかの効果に加え、前記十字連結部、前記上縁部の上面には、ズレ止め突起が設けられているので、育苗ポットを収容した状態で上下に重ねた場合のトレイ同士の横ズレを少なくすることができる。
【0026】
請求項5記載の育苗ポット用カゴ型トレイによれば、請求項1から4のいずれかの効果に加え、前記十字連結部、前記上縁部のスカート部であって、収容する育苗ポットに当接する部分に、収容された育苗ポットの飛び出しを防止する突起が設けられているので、振動などで育苗ポットが飛び出すのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態(実施例)について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明の育苗ポット用カゴ型トレイの一例を上方から見た上面図、図2(a)は図1の育苗ポット用カゴ型トレイを長手方向の側方から見た側面図、(b)は(a)の要部拡大図、図3(a)は図1の育苗ポット用カゴ型トレイの要部斜視図、(b)はその三面柱部分の横断面図である。
【0029】
この育苗ポット用カゴ型トレイ10は、育苗ポットを縦横に配列して収容し、育苗、潅水、運搬、保管に用いられるものであって、底受部1と連結部2とから構成される底平面3をその構造的基部として、これに立設された三面柱4の上部を連結した十字連結部5、上縁部6とによって、育苗ポットを収容する個別収容部Sを形成し、かつ、全体の構造的強度を確保していることを基本的特徴としている。
【0030】
底受部1は、収容する育苗ポットの底面を受けるもので、育苗ポットの底面形状に合わせた形状とし、また、底面全体に当接するのではなく、図7の従来例のトレイ20の底受部11のように部分的に当接する骨組み構成とするのがよい。
【0031】
この例では、底受部1は、角型の育苗ポットの底面形状に対応した四角形であって、その四角形を4つの四角形に等分割するような窓枠1aを設けた形状としている。
【0032】
連結部2は、底受部1に比べより小さい面積で、上方に向けて拡開する育苗ポットの上部開口部を密接させて縦横に配列した際の底部を受けるように配列した底受部1相互間の間隔を埋めて、底受部3を連結するものである。
【0033】
三面柱4は、連結部2の一辺から立ち上がる連結面4aと、該一辺に隣接する底受部1の隣接辺から育苗ポットの側壁に沿うように立ち上がる当接面4bとから構成されている。十字連結部5は、この三面柱4の頂部を配列された育苗ポットの開口側の十字コーナー部で連結するものである。
【0034】
これら三面柱4と十字連結部5の構成は、図1の上面図、図2(b)の側面図、図3の図面によって具体的に示されている。
【0035】
ここで、図3(b)の横断面図は、収容すべき縦横に配列された育苗ポット相互間の十字コーナー部分に相互にその開放側を対面させて向き合う四本の三面柱4の頂部が十字連結部5で連結された状態で、その連結部から幾分下方の部分の横断面である。
【0036】
十字連結部5は、また、図2、3に示すように、その上方の十字平面部の外周辺から収容する育苗ポットの上部に当接すべく下方に延び、三面柱4の当接面4bの上方と連結されたスカート部5aを備えている。
【0037】
このスカート部5aの育苗ポットに当接する面の適所には、図3(a)に示すように、わずかな突起5bが設けられている。この突起5bは、樹脂成形される場合の金型からの型離れを良くするものであるが、加えて、個別収容部Sに収容された育苗ポットが振動などにより、その個別収容部Sから飛び出すのを防止する突起5bとしても機能する。
【0038】
よって、この突起5bによれば、ここに当接する育苗ポットが引っ掛かり、振動などにより、飛び出すのを防止することができる。
【0039】
上縁部6は、この三面柱4の頂部を配列された育苗ポットの開口側のT字コーナー部で連結し、全体の外枠となっている。また、上縁部6は、図2、3に示すように、その上方の平面部の内側辺から収容する育苗ポットの上部に当接すべく下方に延び、三面柱4の当接面4bの上方と連結されたスカート部6aを備えている。
【0040】
この上縁部6のスカート部6aの育苗ポットに当接する面の適所にも、スカート部5aの突起5bと同様な突起(不図示)が設けられている。
【0041】
上縁部6は、更に、その上方の平面部の外側辺から下方に延び、上縁部6を補強する外スカート部6bを備えている。
【0042】
こうして、全体として、上縁部6は、このカゴ型トレイ10の上部外枠を構成し、カゴ型トレイ10を持ち上げる場合には、この上縁部6の部分で持ち上げるものである。
【0043】
また、十字連結部5のスカート部5a、上縁部6のスカート部6a、外スカート部6bの下方へ伸びる長さ、あるいは、その高さは同一ものとされている。
【0044】
この育苗ポット用カゴ型トレイ10は、上記のものに加え、図4で後に説明する直線部7A、直線部7B、育苗ポットを収容した状態で上下に積み重ねられた際の上下のトレイ10間のズレを防止するズレ止め突起8を備えている。
【0045】
ズレ止め突起8は、十字連結部5の上面の適所に設けられたズレ止め突起8A、上縁部6のT字コーナー部の上面の適所に設けられたズレ止め突起8Bを備えている。
【0046】
また、育苗ポット用カゴ型トレイ10は、外側に配列された底受部1の外辺の適所と上縁部6のスカート部6aとを収容する育苗ポットの外壁に当接しつつ連結する外側当接面9を備えている。
【0047】
このような構成で、この育苗ポット用カゴ型トレイ10は、底受部1と連結部2とから構成される底平面3を構造的基部としている点が基本的特徴であり、従来の育苗ポット用カゴ型トレイと異なる点である。
【0048】
これにより、収容する育苗ポット、この育苗ポットに充填される培土、苗などの荷重が底平面3で直接的に受け止められ、その荷重は、この底平面3を介して、このトレイ10を支え受ける埴栽棚や運搬ローラに受け止められる。
【0049】
したがって、従来例のように、主にトレイの表面側を構造的基部とするものに比べ、そのトレイの上下間を結ぶ部分への構造的負担をより少なくすることができ、また、強度的基礎が底平面にあるので、より外力に対して破損しにくい。
【0050】
一方、この構造的基部をなす底平面3から上方へは、上述した三面壁構造の三面柱4が立ち上がり、その頂部を連結するように十字連結部5、上縁部6が形成されているので、全体としての構造的強度も好適に担保されている。
【0051】
十字連結部5は、底平面3から立ち上がった四つの三面柱4を、その開放側を対向させて十字形に連結し、かつ、それぞれの柱面である連結面4a、当接面4bは上方に向かって相互間の距離が小さくなるような上つぼみであり、また、当接面4bとも連結されたスカート部5aを備えた構成となっているので、非常に強力な構造体となっている。
【0052】
そして、底受部1、連結部2からなる底平面3から、このような強力な構造体である十字連結部5によって、個別収容部Sが形成されているので、十字連結部5相互間は、図3(a)で明確に示すように連結する必要はなく、この間に十分な空間を形成することができ、育苗ポット、特に連結育苗ポットの収容を容易にする。
【0053】
上縁部6は、縦横に配列された状態で、配列の外側部分に存在し、その開放側をトレイ全体の外側に向けた三面柱4を連結するもので、これも、その隣り合う三面柱4同士を外枠を形成するように連結して、トレイ10全体の構造的強度を高めている。
【0054】
こうして、この育苗ポット用カゴ型トレイ10は、構造的強度が高く、耐久性にも優れているので、出荷用にも用いることができ、また、使用後の繰り返し使用も可能である。
【0055】
また、この育苗ポット用カゴ型トレイ10は、底平面3として、縦横に配列した底受部1とこれらの底受部1を連結部2とからなる格子状部分を備えながら、上方に向かった拡開する個別収容部Sを形成する十字連結部5、上縁部6、相互に連結されない十字連結部5を備えることで、この個別収容部Sに対応する部分で上下に重畳可能であり、よって、上縁部6の高さ、つまり、外側スカート6bの高さピッチで上下に積み重ねることができ、省スペースで保管することができる。
【0056】
なお、この育苗ポット用カゴ型トレイ10は全体として育苗ポットと外気との接触面積を確保したカゴ型であることは変わりなく、従来例で説明したカゴ型トレイの効果である、育苗、潅水に適しているという効果は好適に維持している。
【0057】
また、上記で説明した三面柱4は必ずしも、三面で構成されるものでなくともよく、例えば、図3(b)における連結面4aを省略して、対向する当接面4bだけで構成された二面柱としてもよい。
【0058】
また、上記のような二面柱と三面柱4を、例えば、十字連結部5を支える4つの柱の内、対向する部分に一対ずつ設けるようにしてもよく、隣合うもの同士が二面柱同士、三面柱同士になるようにしてもよい。
【0059】
いずれにしても、二面柱とするか、三面柱とするかは、全体的な強度の点から考慮されるものであり、二面柱とする場合には、強度の点では、若干おとるものの、材料の節約をすることができる。
【0060】
なお、上記説明から解るように、特許請求の範囲の範囲に記載した三面柱には、このような二面柱も含まれるものである。
【0061】
図4(a)は図1の育苗ポット用カゴ型トレイの上面詳細図、(b)は裏面詳細図である。この図を用いて、直線部7A、直線部7Bについて説明する。
【0062】
直線部7Aは、図4(a)、(b)で、この図上で上下方向の矢印で示している部分であり、図4(a)のように上方から見た場合も、図4(b)のように下方から見た場合も、トレイ全体の長手方向に連続する一定幅の直線部分を形成している。
【0063】
具体的には、直線部7Aは、連結された底受部1の窓枠1aと、連結部2とが繋がったものである。直線部7Bは、直線部7Aと直交する、トレイ全体の短手方向の直線部分であり、その構成は、直線部7Aと同様である。直線部7A、7Bを合わせて直線部7とする。
【0064】
このような直線部7が底平面3にあると、たとえ、この底平面3が接する相手面、具体的には、トレイ10が載置される相手が、メタルラスで構成された埴栽棚や、運搬コロやローラなどの凸凹のある面であっても、引っかかったりすることがなく、トレイ10をスムーズ、滑らかに移動させることができる。
【0065】
例えば、棚の奥にあるトレイ10を人が手前に引っ張り出すような際の作業を非常に楽なものにすることができる。
【0066】
また、外部の凸凹が、三面柱4に引っかかることが少なく、この個別収容部Sに関わる部分である三面柱4の破損を少なくすることができる。
【0067】
図5(a)は図1の育苗ポット用カゴ型トレイに収容して用いられる角型の連結育苗ポットの一例を示す斜視図、(b)は図1の育苗ポット用カゴ型トレイに収容して用いられる丸型の連結育苗ポットの一例を示す斜視図、図6は、図1の育苗ポット用カゴ型トレイに角型の連結育苗ポットを収容した状態を示す要部斜視図である。
【0068】
本発明の育苗ポット用カゴ型トレイ10に収容可能な育苗ポットとしては、図5(a)のような、角型の育苗ポットpaを、その開口部分で相互に縦横に配列した状態で連結された連結育苗ポットPAがある。
【0069】
また、図5(b)のような丸型の育苗ポットpbを連結した連結育苗ポットPBであってもよい。
【0070】
このような連結育苗ポットPAを育苗ポット用カゴ型トレイ10にセットする際、トレイ10は、その表面側の開口が大きいので、そのセットを容易にすることができる。
【0071】
図6は、セットした育苗ポットpaがばらばらに分離された状態を示すものであるが、このような状態の育苗ポットpaをトレイ10から取り出す場合、それぞれ相互には連結されていない十字連結部5で個別収容部Sが構成されているので、隣り合う育苗ポットpaの開口上部の間には、邪魔ものがなく、従来例の上縁逃がし部17と同様に、隣り合う育苗ポットを人の手先で一度に取り出すのが容易になる。
【0072】
また、このように育苗ポットを収容した状態のトレイ10を上下に重ねる場合には、個別収容部Sを重畳させるような積み重ねができないが、その場合、下段のズレ止め突起8(8A、8B)が上段のトレイの底平面3にある空間部に填まり込んで、運搬などで振動がある場合に、トレイ10が水平方向にズレ落ちたりするのを防止することができる。
【0073】
なお、上記に説明した育苗ポット用カゴ型トレイ10は、特許請求の範囲に記載された発明の一実施例であり、本発明はこの実施例に限定されるものではない。例えば、育苗ポット用カゴ型トレイの個別収容部を形成する底受部、三面柱の形状は、この例のように角型の育苗ポットに対応したものでなく、丸型の育苗ポットに対応したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の育苗ポット用カゴ型トレイは、育苗、園芸などにおいて、育苗ポットを好適に収容可能で、埴栽棚などからの取出、収納の際のスムーズな取扱が要請されるあらゆる産業分野に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の育苗ポット用カゴ型トレイの一例を上方から見た上面図
【図2】(a)は図1の育苗ポット用カゴ型トレイを長手方向の側方から見た側面図、(b)は(a)の要部拡大図
【図3】(a)は図1の育苗ポット用カゴ型トレイの要部斜視図、(b)はその三面柱部分の横断面図
【図4】(a)は図1の育苗ポット用カゴ型トレイの上面詳細図、(b)は裏面詳細図
【図5】(a)は図1の育苗ポット用カゴ型トレイに収容して用いられる角型の連結育苗ポットの一例を示す斜視図、(b)は図1の育苗ポット用カゴ型トレイに収容して用いられる丸型の連結育苗ポットの一例を示す斜視図
【図6】図1の育苗ポット用カゴ型トレイに角型の連結育苗ポットを収容した状態を示す要部斜視図
【図7】従来の育苗ポット用カゴ型トレイの一例を示す斜視図
【符号の説明】
【0076】
1 底受部
2 連結部
3 底平面
4 三面柱
4a 連結面
4b 当接面
5 十字連結部
5b 突起
6 上縁部
7A 直線部
7B 直線部
8 ズレ止め突起
9 外側当接面
10 育苗ポット用カゴ型トレイ
PA 連結育苗ポット(角型)
PB 連結育苗ポット(丸型)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗ポットを縦横に配列して収容するカゴ型トレイであって、
育苗ポットの底部を受ける底受部を連結部で縦横に連結した底平面と、
この連結部の一辺から立ち上がる連結面と、該一辺に隣接する底受部の隣接辺から育苗ポットの側壁に沿うように立ち上がる当接面とから構成される三面柱と、
この三面柱の頂部を配列された育苗ポットの開口側の十字コーナー部で連結した十字連結部と、この三面柱の頂部を配列された育苗ポットの開口側のT字コーナー部で連結した上縁部とを備えたことを特徴とする育苗ポット用カゴ型トレイ。
【請求項2】
前記底平面には、前記カゴ型トレイの矩形の一方向に連続した直線部、これに直交する方向に連続した直線部が備えられていることを特徴とする請求項1記載の育苗ポット用カゴ型トレイ。
【請求項3】
前記カゴ型トレイは、相互に上下入り込んで、前記十字連結部及び前記上縁部の高さピッチで積み重ね可能となっていることを特徴とする請求項1または2記載の育苗ポット用カゴ型トレイ。
【請求項4】
前記十字連結部、前記上縁部の上面には、ズレ止め突起が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の育苗ポット用カゴ型トレイ。
【請求項5】
前記十字連結部、前記上縁部のスカート部であって、収容する育苗ポットに当接する部分に、収容された育苗ポットの飛び出しを防止する突起が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の育苗ポット用カゴ型トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−97401(P2007−97401A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287192(P2005−287192)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(593049914)株式会社東海化成 (20)
【Fターム(参考)】