説明

胃壁閉鎖装置

【解決手段】胃の胃切開術開口部のような身体内部の切開部を封止する方法では、閉鎖装置(10)が切開部内に設けられる。閉鎖装置は封止部(12b)、および封止部に結合したアンカー(12a)を有する。封止部は、体壁の第1の面に対する封止した接触状態で設けられる。また、閉鎖装置の一部が位置決めされるように、アンカーは体壁の第2の面に対して設けられる。治癒が起こる間、閉鎖装置が切開部を封止する。一旦、切開部が充分に治癒すれば、閉鎖装置は生体吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には自然に形成された開口部を利用する外科に関し、特により明確には腹膜腔へのアクセスを得るために胃壁に形成された切開部を閉じるための閉鎖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔へのアクセスが自然の開口部を通じて得られるシステムおよび技術は、皮膚、下層にある筋肉、および腹膜の組織による切開が回避される点で有利である。当該システムの使用は、食道、胃又は腸(例えば口や直腸経由で)に挿入されたアクセス装置を使用して、腹膜腔へのアクセスを提供する。次に、器具は、食道、胃あるいは腸の壁の切開部を経由して腹膜腔の中へアクセス装置によって進められる。自然の開口部アクセスも、骨盤臓器や骨盤構造にアクセス権を与えるために、器具を経膣的に挿入し、そして膣か子宮に切開部を形成して得られる。
【0003】
自然な開口部処置の後で、胃、腸、子宮等に形成された切開部を閉じることが望ましい。本出願は、閉鎖装置を展開するためのシステムや技術と同様に、この目的に使用される閉鎖装置について記述する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1A】図1Aは閉鎖装置の第1の実施例における正面図である。
【図1B】図1Bは図1Aの閉鎖装置の側面図である。
【図1C】図1Cは図1Aの閉鎖装置の斜視図である。
【図1D】図1Dは図1Aの閉鎖装置の平面図である。
【図1E】図1Eは図1Aの閉鎖装置の平面図で、閉鎖装置を導管に挿入するのに備えて各羽根が折り畳まれた状態を示している。
【図1F】図1Fは図1Aの閉鎖装置の側面図で、閉鎖装置を導管に挿入するのに備えて各羽根が折り畳まれた状態を示している。
【図1G】図1Gは図1Fと同様であり、それに続く閉鎖装置の第2の折り畳み状態を示している。
【図2A】図2Aは折り畳み構造の図1Aの閉鎖装置の斜視図で、腹壁切開の閉鎖装置に位置して使用するための配備システムに隣接して位置している。
【図2B】図2Bから図2Gは、図2Aの配備システムに用いられる図1Aの閉鎖装置の配備を説明する一連の斜視図である。
【図3】図3は胃壁の一部についての断面図で、図1Aの閉鎖装置が図2Aから図2Gまで関連して記述されるように位置した後を示している。
【図4A】図4Aは閉鎖装置の第2の実施例の斜視図である。
【図4B】図4Bは図4Aの閉鎖装置の側面図である。
【図5】図5は閉鎖装置の第3の実施例の分解斜視図である。
【図6A】図6Aは胃壁の切開部に位置した閉鎖装置の第4の実施例の側面図である。
【図6B】図6Bは送出カニューレ内に位置する図6Aの閉鎖装置の側面図である。
【図6C】図6Cは胃壁の切開部に配置された図6Aの閉鎖装置の側面図である。
【図6D】図6Dは送出カニューレに位置する図6Aの実施例を修正した、図6Bに類似する側面図である。
【図7A】図7Aは閉鎖装置の第5の実施例の斜視図である。
【図7B】図7Bは胃壁の切開部に位置した図7Aの閉鎖装置の側面図である。
【図8A】図8Aは図7Aと同様の図で、遠位の羽根を折り畳み中の第5の実施例の閉鎖装置の斜視図である。
【図8B】図8Bは図7Bと同様の図で、遠位の羽根を折り畳み中の第5の実施例の閉鎖装置の側面図である。
【図9A】図9Aは図7Aと同様の図で、遠位の羽根を折り畳み後の第5の実施例の閉鎖装置の斜視図である。
【図9B】図9Bは図7Bと同様の図で、遠位の羽根を折り畳み後の第5の実施例の閉鎖装置の側面図である。
【図10A】図10Aは閉鎖装置の第6の実施例の平面図である。
【図10B】図10Bは図10Aの閉鎖装置の側面図である。
【図10C】図10Cは図10Aに類似する閉鎖装置の平面図で、遠位の羽根を折り畳み後に、胃壁の切開部に配置されている。
【図11】図11は胃壁の切開部に挿入された閉鎖装置の第7の実施例の斜視図である。
【図12A】図12Aは切開部に位置する図11の閉鎖装置の平面図である。
【図12B】図12Bは図12Aと同様であり、折り畳み位置に潰れる閉鎖装置を示している。
【図12C】図12Cは図12Bと同様であり、折り畳み位置の閉鎖装置を示している。
【図13】図13は閉鎖装置の第8の実施例の斜視図である。
【図14】図14は胃壁の切開部に位置する閉鎖装置の第9の実施例の側面図である。
【図15】図15は閉鎖装置の第10の実施例の断面側面図である。
【図16A】図16Aは閉鎖装置の第11の実施例の斜視図である。
【図16B】図16Bは送出カニューレ内で圧縮された図16Aの閉鎖装置を示す図である。
【図17A】図17Aは閉鎖装置の第12の実施例の斜視図である。
【図17B】図17Bは図17A中で矢印17B−17Bで丸囲いされた領域の詳細図である。
【図17C】図17Cは送出カニューレ内に位置する図17Aの閉鎖装置を示す図である。
【図18A】図18Aは閉鎖装置の第13の実施例の斜視図である。
【図18B】図18Bは空気を抜かれた状態での図18Aの装置を示す図である。
【図19A】図19Aは閉鎖装置の第14の実施例の斜視図である。
【図19B】図19Bは図19Aの装置の側面図である。
【図20A】図20Aは配備マンドレルに置かれた閉鎖装置の第15の実施例の側面斜視図である。
【図20B】図20Bは配備マンドレル上で空気を抜かれた状態の図20Aの実施例を示す図である。
【図21A】図21Aは別々の取り付け可能な羽根を利用する閉鎖装置の第16の実施例の斜視図である。
【図21B】図21Bは図21Aの閉鎖装置の側面図である。
【図22】図22Aから図22Cは、図21Aの実施例の別々の取り付け可能な羽根の変形実施例の側面図である。
【図23A】図23Aは送出カニューレ内に位置する閉鎖装置の第17の実施例の斜視図である。
【図23B】図23Bは図23Aの送出カニューレの端面図で、閉鎖装置がその中にある場合を示している。
【図24】図24Aから図24Dは、図23Aの閉鎖装置の配置を説明する一連の工程図である。
【図25A】図25Aは閉鎖装置の第18の実施例の側面図である。
【図25B】図25Bは送出カニューレ内の図25Aの閉鎖装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本出願は、胃壁のような人体内部の切開部又は別の形の開口部や穿刺を閉じるために内視鏡的に移植される(好ましくは経口的処置で)多くの閉鎖装置について記述する。簡潔のために、体壁の中で形成された任意の形式の開口部を切開部と呼ぶ。ここでなされた記述は、胃壁に形成された切開部を閉じるための胃切開術閉鎖装置に関するものであるが、本装置とその関連方法は、例えば子宮、膣、結腸あるいは腸管の別の部位のような、別の体壁中の切開部を閉じる際の使用にもふさわしい。
【0006】
一般に、ここに記述された形式の閉鎖装置は1組の展開可能な部分を含むもので、その一方は胃の内側に位置するが、その他方は胃の外側に位置する。接続機構は、展開可能な部分の間を伸ばすもので、一般に切開部を通して位置する。閉鎖装置は、切開部が治るまでの間、胃から腹膜腔への流動物や有形物の通路となることを防止するために切開部を封止する。一旦十分に治癒したならば閉鎖装置が消えるように、それらは生物吸収性又は生体内分解性のインプラントであることが好ましい。しかし、それに代えて、閉鎖装置は永久のインプラントでもよい。この明細書で、術語「生体内分解性」(bioerodible)は、長時間にわたり人体内部に滞在することで吸収され、分解され、侵食される等の任意の有形物の記述について用いられる。ある実施例では、閉鎖装置はさらに、治癒プロセスの間にその上又はその中に組織が成長できるようなプラットホームや足場を形成する。
【0007】
図1Aから図1Cは閉鎖装置10の第1の実施例を示すものである。閉鎖装置10は、1組の羽根12a、12b、および羽根の間に伸びる形状をした任意の数の接続部材14を有する。羽根12a、12bは、小判形を有するように図示されているが、しかし、楕円形や円形を含む別の形状が使用されてもよいが、これらに限定されるものではない。また、近位の羽根、または、胃の内側に置かれるため「内側の」羽根12bは、以下で議論される様々な実施例に記述されるような遠位又は「外側の」羽根12aのそれとは異なる形状又は形態を有していてもよい。
【0008】
第1実施例では、接続部材14は細長いリブで、それは胃の切開部内に位置するように形状が釣り合わせられている。必須ではないが、リブの細長い形は、組織の細長い切断部や裂部を閉じるために使用される閉鎖装置に特にふさわしい。羽根間の間隔が胃壁組織についての過度の圧縮力を与えずに、切開部を密閉するのに十分な間隙が確保できるように、閉鎖装置の寸法が選定されている。一実施例では、羽根の対向する表面間の離隔距離は0.06―0.1インチ(1.5−2.5mm)の範囲にある。
【0009】
羽根とリブの材料には、切開部の治療が許される期間として推測される期間の後に生体内分解し、侵食し、又は吸収される材料が好適である。好ましい材料としては、例えばセバシン酸材料を使用して形成された生体内分解性のエラストマー又はバイオゴムがあるが、これに制限されない。ある実施例では、例えばポリグリコール酸繊維から作られた不織布の生体内分解性フェルトが、特に有用である。吸収性縫合糸材料を使用して形成されたメッシュ、組みひも又は織物状材料も使用される。メッシュ、組みひも又は織られた部材が封止部材(例えば1個又は両方の羽根)に使用される場合、封止部材が流動物の通路となることを防ぐために、それらは十分に緊密な構造であることが望ましい。あるいは、組みひも、メッシュ、縫合糸が生体内分解性エラストマー又はバイオゴム内に埋まっていてもよい。あるいは、それらは生物吸収性接着剤又は別の構造を用いて、流動物の通路から封止されていてもよい。閉鎖装置は有形物の様々な組合せで造られてもよい。1例として、閉鎖装置は生体吸収性高分子羽根と生物吸収性メッシュ接続部材を有している。さらに、各機能は、例えば、埋め込まれた吸収可能なメッシュ構造によって補強された生体高分子のような、有形物の組合せでもよい。有形物は、胃壁組織の治療を促進する硬化剤や別の材料を使用して、覆われてもよく、また含浸していてもよい。
【0010】
リブ14は、胃組織が治癒する時に、組織が成長するような気孔、開口部又は別の機能を有していてもよい。図1Aから図1Cの実施例では、そのような機能は、溝穴16の形をしている。
【0011】
閉鎖装置10は、それが挿入のために配備用の管に挿入するために折り畳まれてもよいように構成される。様々な折り畳み配置が使用される。1例を図1Dから図1Fに示す。図1Dは折り畳み加工前の閉鎖装置の平面図である。矢印で示すように、各羽根12a、12bは、まず最初にその縦軸に沿ってそれ自体の上に折り重ねられるもので、図1Eの平面図と図1Fの側面図に示されるように、閉鎖装置10が構成されている。次に、図1Fを参照して、各羽根12a、12bがそれ自体の上で再び折り畳まれて、閉鎖装置10が図1Gに示される形状になるように、閉鎖装置10の上方部が水平軸Aを横切って折り畳まれる。
【0012】
図2Aは、閉鎖装置10のインプラントのために使用される形式の配備システム18を示す。配備システム18は送出カニューレ20、送出カニューレ20の中に伸びる把持器22、外シース24、内視鏡26および中間シース28を有する。配備システム18の使用は次に記述される。
【0013】
配備に備えて、上述されるように、閉鎖装置10が折り畳まれる。また、胃内側に配置される近位の羽根12bはその折り畳んだ状態で把持器22と係合される。送出カニューレ20の遠位の開口部の外側に位置決めされた遠位の羽根12aを残して、把持器22と羽根12bを含む閉鎖装置10の一部が送出カニューレ20内へ引っ込められる。送出カニューレ20と折り畳まれた閉鎖装置10は、閉鎖装置10の折り畳み構造を維持するように中間シース28内に位置する。中間シース28と内視鏡は、図2Bに示されるような外シース24内に位置する。
【0014】
外シース24の遠位端部は口と食道を通り抜けて胃に入る。図2Cに示されるように、中間シース28は、内視鏡26を使用した視覚化の下で外シース24から切開部(図示せず)を通して前進する。この段階では、閉鎖装置10は中間シース28内で把持器22及び送出カニューレ20と一緒である。把持器22と送出カニューレ20のどちらも、図2Cには示されていない。次いで、図2Dにおいて、中間シース28は引っ込められ、閉鎖装置10の外側の羽根12aを胃の外側に露出して、図6に示される位置へ胃の外側で羽根を展開させる。図2Eに示されるように、送出カニューレ20は引っ込められるが、内側の羽根12bは把持器22のあごの内に残るので、内側の羽根12bが折り畳み続けられる。外側の羽根12aが胃壁と接触するように、把持器に牽引力を加える。次に、図2Fに示すように、胃内側で羽根12bを開かせ、図3に示されるような切開部内に装置を位置決めして置きっぱなしにするように、把持器22を作動させて羽根12bを解き放す。一方又は両方の羽根12a、12bが、腹膜の空間中に胃内容物の漏れを防ぐための胃壁の封止部を形成する。リブ14の細長い形は切開部まで伸びるもので、切開部の側面の位置合せを維持するのに寄与する。切開部が治癒するにつれて、組織が溝穴16を通して成長する。時間とともに、閉鎖装置は人体の内側で分解するか吸収される。
【0015】
閉鎖装置10bの第2の実施例は図4Aと図4Bに示される。閉鎖装置10bは、第1実施例の溝穴16がリブ14中の複数の開口部16bと取り替えられることを除いて、第1実施例と同様である。開口部16bは、リブの羽根12aに最も接近している側に置かれる。閉鎖装置が配置される場合、この構成により開口部が胃の外面を覆う漿膜の組織に隣接して設けられる。漿膜の組織が切開部の対辺から開口部を通じて成長するとき、開口部が漿膜の組織接合用の閉鎖装置を通して接触を生み出す。漿膜の接合は胃壁治癒プロセスの重要部分であると考えられる。
【0016】
図5に示されるように、閉鎖装置10cの第3の実施例では、外側の羽根は、切開部内に閉鎖装置を保持するために胃の外側で拡張する任意の機構と取り替えられる。したがって、示された実施例では、図1Aの内側の羽根12bとリブ14に類似している内側の羽根12bとリブ14を有すると共に、閉鎖装置を保持することを助ける任意の形状(図示されたX形を含むが、これらに限定されない)のホルダー30を同様に有する。
【0017】
図6Aに示される別の変形実施例として、外側の羽根は、例えば、二本以上の支柱の配置を用いて形成されたアンカー32と取り替えられる。図6Bに示されるように、アンカー32は折り畳んだ姿勢で送出カニューレ20に入れられる。送出カニューレ20の遠位端部は胃壁の切開部を貫通する。一旦アンカー32が送出カニューレ20から解放されたならば、アンカー32に結合した引上ワイヤー34に引張力を適用して、アンカー32を変形して展開させる。引上ワイヤー34には縫合より糸が好適であるが、その代りにワイヤーより糸、ロッド等でもよい。図6Cに示されるように、その結果アンカーが開く。
【0018】
引上ワイヤー34は、ジッパー結合ファスナーで見かけるものと同じような、結び目又は隆起乃至バーブ(barb)35を有してもよい。結び目又はバーブは、展開した姿勢でアンカーをロックするために近位又は内側の羽根12bと係合するために使用される。近位又は内側の羽根12bは、例えば羽根12b自体や内側の羽根12bに結合したカラー(collar)や止め具等である。図6Dに示される変化例では、内側の羽根12bは可撓管の端が集められる時、円板を形成する可撓管である。この実施例では、外側のアンカー32は引き棒又は引きワイヤー34を引くことにより展開する。また、内側又は近位の羽根36は、管成形羽根36の近位端で結合したマンドレル38を遠位部へ押すことにより展開する。図6Dの実施例では、引上ワイヤー34上のバーブ又は結び目35は、カラー37a、37bと係合して、配置された位置で羽根36とアンカー32aをロックする。
【0019】
図7Aと図7Bに示される別の実施例では、外側(遠位)羽根12aは、それ自体の上で折り畳まれた有形物(例えば不織布のポリグリコール酸フェルトや別の生体内分解性材料)のストリップ32bから作られ、近位の羽根12bの遠位面とその端で結合している。引上ワイヤー(好ましくは縫合糸34a)はストリップ32bの頂部と結合して、近位の羽根12bまで伸びる。折り畳み線33、折り目、又は薄くなった領域が、ストリップ32b内に設けられている。
【0020】
引張力を縫合糸34aに適用する場合、図8Aや図8Bで示すように、ストリップ32bが折り畳み線33で折り重なる。好ましくは、ストリップ32bが、図9Aや図9Bで示されるような二重層の羽根に潰れるまで、折り重ねを続けるのがよい。縫合糸34aの上の結び目35又は別のロックする機構は、羽根12bの近位面と接触して、遠位の羽根12aが再び開くことを防ぐ。
【0021】
図10Aから図10Cは、図7Aから図9Bの実施例の変形実施例を示すもので、遠位の羽根12aはストリップ32aを使用して形成されるが、ストリップ32aの一方の端だけが近位の羽根12bに結合している。この実施例では、縫合糸34aに引張力が適用される場合に、ストリップ32aが折り重ねられて遠位の羽根12aを形成する原因となるように縫合糸34aを設ける。例えば、図示された実施例では、図10Bに示されるようなストリップの遠位端部の近くに位置した「U」形の横コネクター39と共に、長方形のU字型のパターン内を縫合糸34aが伸びる。「U」形の各脚部はストリップ32aの第1の面に沿って伸びて、次にストリップ材料を通過し、ストリップの対向面に沿って伸びて、再びストリップ材料を通り抜ける。
【0022】
図10Aから図10Cの実施例を使用して切開部を閉じるために、ストリップ32aが切開部を通り抜けて挿入され、上述されるように、近位の羽根12bを胃壁の内側に装着する。引張力が縫合糸の端部に適用される場合(図10Bと図10Cの矢印を参照)、ストリップ32aは、1回以上折り重なって所定形状になり、胃の外壁に対して着座して、外側の羽根12aを形成する。例えば図10Aから図10Cの実施例では、縫合糸の「U」字形の横コネクター39が、ストリップ32aの遠位端部を、一般に近位の羽根12bと並列の方向となるように折り畳むべく設けられる。先の実施例のように、ストリップをロックするために、結び目35が近位の羽根12bと係合する。
【0023】
図11から図12Cの代替の実施例では、ストリップ32aが近位の羽根12bおよび遠位の羽根12aの両方の作用をする。前の実施例と同様に、縫合糸34aのような引上ワイヤーがストリップを希望の配置に折り畳むか潰すために使用される。図11に示されるように、ストリップ32aは切開部を通り抜けて送り込まれる。また、図12Bに示されるように、縫合糸がストリップを潰すために引っ込められる。図11から図12Cに縫合糸パターンを示す。縫合糸を完全に引っ込めること(retraction)により、ストリップ32aの折り目41a、41bがセットされる。好ましくは、切開部の封止を容易にするために、ストリップの遠位端43aと近位端43bを切開部と重ね合わせるとよい。
【0024】
図13から図15に示されるように、閉鎖装置には、閉鎖装置と胃壁の間に密閉することを容易にする機構を設けてもよい。例えば、図13に示されるように、内側の羽根12b(またはもし好ましければ外側の羽根)には胃壁と接触するために設けた環状シール15を有してもよい。羽根12a、12bは、図13に示されるように、胃の曲率と一致するように形成されてもよく、また図14に示されるように、羽根の一方または両方に、胃壁と接触してもたれ掛かるように形成されたか、一方に傾いた辺を有していてもよい。
【0025】
図16Aと図16Bに示される別の閉鎖装置10dでは、図1Aの実施例のリブ14は、羽根12a、12bの間に伸びる、複数の弾性リブ14dと取り替えられる。図16Bに示すように、この形態は各羽根12a、12bを二つ折りすることにより送出カニューレ20に収めて、図示するようにリブ14dを延伸させる原因となる。羽根12aが送出カニューレ20から展開される場合、リブの弾性よって羽根12aが引かれて胃の外側で開いた姿勢になる。内側の羽根12bが送出カニューレ20から解放される場合、内側の羽根12bは同様にその開かれた姿勢に跳ねる。
【0026】
上述したように、ここに記述された閉鎖装置の任意の部分又はすべての部分は、組みひもかメッシュ素材から作られてもよい。図17Aと図17Bに示される一実施例では、組みひも材料の端を中央リブの材料の型にはめ込むことにより、編糸状の羽根40がリブ42に取り付けられる。図示された実施例では、リブ42は長方形か先細形の小判形を持っており、弾性材から作られる。図17Cに示すように、送出カニューレ20から閉鎖装置を進めるために、マンドレル44が使用されてもよい。
【0027】
図18Aと図18Bに示される別のメッシュ/組みひもの実施例では、閉鎖装置46は、吸収性のメッシュか薄膜(thin film membrane)から作られた中空の膜で、ポリグリコール酸(PGA)材料又は他の吸収性生体材料の「詰め綿」材料で満たされる。チューブ48は、閉鎖装置46の内側と流動的につながれる。インプラントに先立って、注射器や別の真空源を使用して、チューブ48を真空状態にする。一旦切開部内に位置したならば、食塩水あるいは別の流体が閉鎖装置46を展開するためにチューブ48経由で閉鎖装置46に入る。充填の後、チューブ48は閉鎖装置46から取り外され、人体から取り除かれる。
【0028】
図19Aと図19Bの実施例では、閉鎖装置50は4個のメッシュ円板52a、52b、54a、54bでできている。円板52a、52bは、閉鎖装置50の羽根を形成し、互いに平行に位置していることが望ましい。各円板54a、54bはその辺に沿って羽根52a、52bに接続され、その結果、図19Bに示すように、羽根52a、52bが配置された時、コネクター円板54a、54bが相互に接触して、切開部内で着座する狭いコネクターを形成する。生体吸収性接着剤が羽根52a、52bをコネクター円板54a、54bと連結するために使用され、及び/又は、切開部によって流体が移動することを防ぐために円板の1個以上のすきまを充填する。
【0029】
図20Aと図20Bに示される別の実施例では、閉鎖装置58は近位と遠位のカラー60a、60bを有する管状の組みひもである。展開した時、閉鎖装置58は図示されるような絞りバンド、又は組みひも材料の先細構造によって形成された狭いウエスト62を有する。多くの技術のうちの一個を使用してカラー60a、60bの間の距離を短くすることにより、閉鎖装置58が展開する。図20Bに示される技術を使用して、カラー60aがマンドレルに沿って遠位部へ進められる間に、カラー60bが取り外しできるマンドレル66の固定位置に保持される。マンドレルは次の展開で取り外される。
【0030】
他の実施例では、図1Aの閉鎖装置と同様の閉鎖装置は、1組以上のペアの連動片から作られたリブを用いて連結された羽根を有する。図21Aから図22Cでは、リブを連結するための様々な構成を示している。
【0031】
図24Aに示される2個の部分よりなる閉鎖装置の別の具体例では、各羽根70、72が、1本以上の逆刺のついたより糸74に通される。羽根70が胃の外側に位置し、より糸が切開部まで延長されると共に、プッシャ76を使用して、羽根72が胃壁の方へ押されるとき、より糸には引張力が作用する。図24Bに示されるように、プッシャ76により糸74を通すことによって、プッシャに対する制御が改善される。羽根70、72が接合するとき、羽根70の一個のリブ78が切開部まで伸びて、他の羽根72と接触する。リブ78は、羽根72の対応する凹部80又は連動機構にスライドする。有刺のより糸は「ジップタイ」(zip tie)として動作し、羽根に対して所望の相対的な相互の関係を保持することを可能にすると共に、使用者には組織圧縮に使用される量を適宜選ぶことを可能にする。一旦羽根が位置決めされ、より糸74がぴんと張ったならば、より糸の垂れ下がった端は切り取られ、人体から取り除かれる。
【0032】
図24Cと図24Dでは、羽根70、72が組織に対して締め付けられる場合、それらの中央部は切開部の封止を容易にするために内側に曲がるように形成されることを示している。図23Aと図23Bでは、より糸74と結合した羽根70、72が配備のために送出カニューレ20に設けられることを図示する。
【0033】
図25Aと図25Bは、羽根70、72がねじ込み式接続器80a、80bを使用して、人体内で共に連結される代替のツーピース設計を示した。
【0034】
任意の開示された閉鎖装置において、接着剤を使用して、胃壁と近位及び遠位の羽根/アンカーの一方又は両方との間の封止用の接触を増強してもよい。接着剤はオクチル2−シアノアクリレートやN−ブチル−シアノアクリレートのような徐々に分解するシアノアクリレートである。接着剤は、組織の側面に対して羽根/アンカーが設置される前に、切開部を囲む組織上に塗られる。この目的には、ノズルチップ、スポンジ、注射器その他を含む任意の適切な塗布用具が使用される。もし好まれれば、羽根/アンカーはそれ自体が接着剤で塗られ、貼り付かない裏張りで被覆を一時的に覆い、そして次に、羽根/アンカーの配置の直前に除去される。代わりに、接着剤で一杯になった微小球が羽根/アンカーに付けられ、次に、組織に接する羽根/アンカーの配置に先立って、又はその配置中に破裂されてもよく、破られてもよい。
【0035】
ここに記述された任意の閉鎖装置が、ここに開示された方法に従って閉鎖装置を移植するように使用者に指示するのに用いられる指示、及び/又は、繰出装置を含むシステムとしてパックされてもよい。
【0036】
様々な構成の装置と方法がここに記述されている。これらの実施例は具体例のために与えられもので、本発明の適用範囲を制限するようには意図していない。さらに、記述された実施例の様々な特徴が、多数の追加の実施例を生み出すような様々な態様で組み合わせられると認識すべきである。また、様々な材料、寸法、形状、移植場所等が開示された実施例と共に使用するために記述されているが、開示されたものに加えて他のものが発明の適用範囲を超えることなく利用される。例えば、装置は胃の内側で使用することに制限されておらず、人体中の別の自然の体腔や他のところにある切開部を閉じるために使用される。
【0037】
上記で参照した全ての特許、特許出願および印刷された出版物は、優先権の目的のために依拠したものも含んで、参照によって組込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体壁内の体壁の切開部を識別する工程であって、前記体壁は第1と第2の面を有し;
封止部と当該封止部に結合したアンカーを有する前記切開部内の閉鎖装置を位置決めする工程と;
前記切開部を覆う姿勢で前記第1の面に対して前記封止部を位置決めすることを含む前記閉鎖装置を位置決めする工程と;
前記閉鎖装置の一部が前記切開部を通して伸びて位置決めされるように、前記第2の面に対して前記アンカーを位置決めする工程と;
を備える身体内部の壁の切開部を封止する方法。
【請求項2】
前記方法はカニューレ内に前記閉鎖装置を置く工程を有し;
前記閉鎖装置の位置決め工程において、前記カニューレの遠位端を前記切開部まで前進させ、前記封止部と前記アンカーの一方を前記カニューレから前進させ、前記カニューレの遠位端を前記切開部を通じて引っ込めて、そして、前記封止部と前記アンカーの他方を前記カニューレから前進させることを有する;
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の面に対して前記アンカーを位置決めすることで、前記アンカーが前記切開部を覆う姿勢で前記第2の面に対して封止することをもたらすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記閉鎖装置は前記切開部の治癒に伴って分解することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記切開部の治癒中に前記閉鎖装置の少なくとも一部分を通り抜けて体組織が成長することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
胃壁、腸の壁および子宮壁から成る体壁のグループから前記体壁が選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アンカーの位置決めには、前記アンカーが前記切開部を貫通して、次に、前記切開部内の前記閉鎖装置をしっかりと固定させるために前記アンカーを展開することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
細長い姿勢のアンカーが前記切開部を貫通して、前記アンカーの横膨出(lateral expansion)を引き起こすように、前記アンカーが縦方向に圧縮されることを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
閉鎖装置は、前記封止部と結合した第1の部分と、前記アンカーに結合した第2の部分を有する部材を有し;
前記方法が前記第1の部分と前記第2の部分を付着させる工程を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アンカーが位置決めされた後で、前記第1の部分と前記第2の部分が結合させることを特徴とする請求項9の方法。
【請求項11】
体壁を通り抜けて切開部を封止した接触状態で、前記体壁の第1の側面に位置決め可能な封止部と;
第1の側面と反対側の前記体壁の第2の側面に位置決め可能で、前記封止部と結合するアンカーであって、前記閉鎖装置を前記切開部内で保持するように、前記アンカーが組織の前記第2の側面で拡張可能に係合する;
身体内部の壁の切開部を封止する装置。
【請求項12】
前記アンカーが生体内分解性であることを特徴とする請求項11に記載の閉鎖システム。
【請求項13】
前記封止部が生体内分解性であることを特徴とする請求項11に記載の閉鎖システム。
【請求項14】
前記封止部と前記アンカーとの間にコネクター部を有し;
前記封止部が前記第1の側面に置かれ、前記アンカーが前記第2の側面に置かれる場合に、前記コネクター部は前記切開部を通して伸びることを特徴とする請求項11に記載の閉鎖システム。
【請求項15】
前記コネクター部は前記封止部上の第1の姿勢と前記アンカー上の第2の姿勢を有し、前記第1の姿勢と前記第2の姿勢が互いに係合することを特徴とする請求項14に記載の閉鎖システム。
【請求項16】
前記体壁から内部成長した組織を受け容れるように位置した前記コネクター部の開口部を有することを特徴とする請求項11に記載の閉鎖システム。
【請求項17】
前記アンカーは前記封止部と結合するストリップを有し、前記ストリップが前記切開部を通して伸びることが可能であり;
前記ストリップと結合する部材を有し、前記ストリップを折り重ねるように前記部材に引張力を作用させることで前記ストリップが圧縮可能である;
ことを特徴とする請求項11に記載の閉鎖システム。
【請求項18】
前記ストリップは遠位部分と近位部分を有し;
前記ストリップが前記第2の側面に隣接する前記遠位部分と前記第1の側面に隣接する前記近位部分と共に位置決め可能であり;
前記アンカーを形成するために前記遠位部分を折り重ねさせるように前記部材に引張力を作用させることで前記ストリップが圧縮可能であり;
前記封止部を形成するために前記近位部分を折り重ねさせる;
ように構成されたことを特徴とする請求項16に記載の閉鎖システム。
【請求項19】
さらに、前記切開部をカバーする位置で第1の面に対して前記封止部の位置決めをし、かつ第2の面に対して前記アンカーの位置決めをするように、使用者に対して使用のための指示を含むことを特徴とする請求項11に記載の閉鎖システム。
【請求項20】
さらに、前記指示は接着剤を使用して前記第1の面に前記封止部を付着させるように使用者に命じることを特徴とする請求項11に記載の閉鎖システム。
【請求項21】
さらに、切開部を有する胃へ口腔を経由して延ばすのに十分な長さの送出カニューレを有することを特徴とする請求項11に記載の閉鎖システム。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図1E】
image rotate

【図1F】
image rotate

【図1G】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図2F】
image rotate

【図2G】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図12C】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図17C】
image rotate

【図18A】
image rotate

【図18B】
image rotate

【図19A】
image rotate

【図19B】
image rotate

【図20A】
image rotate

【図20B】
image rotate

【図21A】
image rotate

【図21B】
image rotate

【図22A】
image rotate

【図22B】
image rotate

【図22C】
image rotate

【図23A】
image rotate

【図23B】
image rotate

【図24A】
image rotate

【図24B】
image rotate

【図24C】
image rotate

【図24D】
image rotate

【図25A】
image rotate

【図25B】
image rotate


【公表番号】特表2010−504154(P2010−504154A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529246(P2009−529246)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/020440
【国際公開番号】WO2008/036384
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(505448947)シネコー・エルエルシー (15)
【Fターム(参考)】