説明

背上げ可能なベッドにおけるマットレス、ベッドパット及びシーツの組付け構造

【課題】背上げ可能なベッドにおいて、床部を形成するマットレスが該マットレスを支持するボトムに対して、床部を変形させてもズレ動かないようにしたマットレスの組付け構造を提供すること。
【解決手段】前記マットレスを上体側マットと脚側マットとに分割した構成とする。さらに、腰ボトム上面に滑り止め部材を配設する。そして、上体側マット下面側後部に設けた帯布にて形成された空間部に背ボトムの枠フレームを挿通する。それと共に、該上体側マット下面側前部に設けた袋布にて形成された袋部に腰ボトムの支持フレームを差込み、上体側マットを背ボトム及び腰ボトムに取付けるようにする。また、脚側マット下面側両側部に設けた袋布にて形成された袋部に脚ボトムの枠フレームの側部をそれぞれ差込み、脚側マットを脚ボトムに取付けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背上げ可能なベッドにおけるマットレス、ベッドパット及びシーツの組付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ベッドの一形態として、必要に応じて床部を昇降させて介護したり、床部を起伏させて楽な姿勢でくつろぐことのできるベッドが広く知られている。
しかしながら、このようなベッドは、床部を起伏させる際に、床部を形成するマットレスが該マットレスを支持するボトムに対して床部に仰臥した人(以下、利用者)の足側へズレ動くことで利用者が前ズレして、利用者に不快感を与たり、また、床部を動作させるたびに、マットレスをボトムに対して取付け直す手間等が生じることがある。それと同時に、マットレスに敷設されるベッドパットやシーツもズレる等の問題がある。
【0003】
そこで、従来では、次のようなマットレスのボトムに対する係止方法を採用したベッドが提案されている。
まず、第一の形態のベッドでは、マットレスを頭部側マットレスと脚部側マットレスとを連結して構成すると共に、頭部側マットレスに頭部側ボトムに係止させるためのストラップ状の係止部を頭側端部から側部に向かって斜めに設け、該係止部を頭部側ボトムに係止させて、頭部側ボトムに対して頭部側マットレスを係止させ、さらに、脚部側ボトムにズレ防止手段である金具を設けて、脚部側マットレスの脚部側ボトムに対する位置規制を行い、脚部側ボトムに対して脚部側マットレスを係止させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、第二の形態のベッドでは、ボトムのマットレス接触面側の一部に滑り止め部材を設け、該滑り止め部材にてマットレスがボトムに対してズレ動くことを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2001−258952号公報
【特許文献2】特開平07−075657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第一の形態の係止方法では、頭部側マットレスは前記係止部にて該頭部側マットレスの頭部側ボトムに対する取付け方向の逆方向以外には頭部側ボトムに対してズレ動かないように取付けられているが、取付け方向の逆方向、すなわち、取付け解除方向へズレ動くことに対して特に対策はされていない。また、脚部側マットレスは前記金具にて該脚部側マットレスの脚部側ボトムに対する取付け方向と利用者の足側方向には脚部側ボトムに対してズレ動かないように取付けられているが、それ以外の方向にズレ動くことに対して特に対策はされていない。したがって、利用者が床部に上がり降りする際や介護者が介助を行う際等にマットレスに接触したときに、マットレスのボトムに対するズレ動きに対して特に対策されていない方向の外的な力がマットレスに作用した場合には、マットレスがズレ動いたり、マットレスのボトムに対する係止が解除されてしまうことがある。このため、利用者や介護者にマットレスがズレ動かないように行動するなどの注意が必要となり、当該ベッドの使用に煩雑感が生じてしまう問題がある。また、マットレスのボトムに対する係止が解除されていることに気付かずに床部を起伏させた際に、マットレスがベッドの他の構成部材と接触することで当該ベッドの所定の動作ができなかったり、また、マットレスが利用者の足側へズレ動くことで、利用者に不快感を与えてしまう問題がある。
また、第二の形態の係止方法では、ボトムとマットレス間に滑り止め部材を介在させることで、ボトムに対してマットレスが接触した状態では、マットレスがズレ動かないようにされているが、マットレスがボトムに対して離間する方向にズレ動くことに対して特に対策はされていない。したがって、床部を起伏させた際等に、ボトムからマットレスが離間しやすく、マットレスがボトムから離間することで、滑り止め部材の滑り止め効果がなくなり、マットレスがズレ動いてしまう問題がある。
さらに、上述したいずれの係止方法も、マットレスがズレ動いてしまう問題があることから、マットレスに敷設させるベッドパット又はシーツもズレ動いてしまうこととなる。したがって、床部上にて快適に過ごせるようにするために、ベッドパット又はシーツを取替えの際以外でも、所定の状態に敷き直す手間が生じる問題がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、床部を変形させてもマットレスがボトムに対してズレ動くことを防止したマットレスの組付け構造と、床部を変形させても所定の取付け状態が保持されるようにした前記マットレスに敷設されるベッドパット及びシーツの組付け構造を備えた背上げ可能なベッドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、床部を形成するマットレスを支持するボトムを、少なくとも背ボトム、腰ボトム、脚ボトムとに分割構成し、前記背ボトムを起伏可能とすると共に、脚ボトムを腰ボトム下方へ移動可能とした背上げ可能なベッドにおいて、前記マットレスを上体側マットと脚側マットに分割した構成とし、さらに、前記ボトムの内少なくとも腰ボトムの上面に滑り止め部材を設け、そして、前記上体側マット下面側中間部後方寄りに止着した帯布にて形成された空間部に前側から前記背ボトムの枠フレームを挿通させると共に、該上体側マット下面側前部に止着した袋布にて形成された袋部に前側から前記腰ボトムの支持フレームを差込むことで、上体側マットを背ボトム及び腰ボトムに取付け、前記脚側マット下面側両側部に止着した袋布にて形成された袋部に前記脚ボトムの枠フレームの側部をそれぞれ差込むことで、脚側マットを脚ボトムに取付けるマットレスの組付け構造としたことを特徴とする。
請求項2の発明は、前記脚側マットの少なくとも一方の袋布に開着部材を設けたマットレスの組付け構造としたことを特徴とする。
また、請求項3の発明は、前記マットレスの上体側マット及び脚側マットをそれぞれクッション部材を布部材で被覆してなる構成とし、前記クッション部材と布部材とを止着したマットレスの組付け構造としたことを特徴とする。
さらに、請求項4の発明は、前記マットレスに敷設されるベッドパットを、該ベッドパット下面側前部やや後方寄りに止着した後バンドを前記上体側マットと脚側マットの隣接側端部間に形成される隙間に通すと共に前記脚ボトムのステー部材に設けた後側のフック部に引掛け、ベッドパット下面側前部に止着した前バンドを脚ボトムの前記ステー部材に設けた前側のフック部に引掛け、続いて、ベッドパット下面側後部に止着した帯バンドにて形成された空間部に前記上体側マット及び背ボトムの後部を挿通させ、そして、ベッドパット下面側両側部に止着した横バンドを前記腰ボトムの下面側両側部に設けたフック部材に引掛けることで、前記マットレスに敷設するベッドパットの組付け構造としたことを特徴とする。
また、請求項5の発明は、前記マットレスに敷設されるシーツを、該シーツ下面側後部に止着した袋布にて形成された袋部に前記上体側マット及び前記ベッドパットの後部を差込み、シーツ下面側前部に止着した袋布にて形成された袋部に前記ベッドパット前部を差込むと共に該ベッドパットの前記前バンドを前記袋布前部に設けた抜き穴から突出させ、該前バンドを前記脚ボトムのステー部材に設けた前側の前記フック部に引掛け、そして、シーツ下面側両側部に止着した横バンドを前記腰ボトムの前記フック部材に引掛けることで、前記マットレスに敷設するシーツの組付け構造としたことを特徴とする。
そして、請求項6の発明は、前記上体側マット及び脚側マットの帯布及び袋布又は前記シーツの袋布に、ゴムのような伸縮性を備えた部材又は素材を用いたマットレス又はシーツの組付け構造としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、当該マットレスは、各ボトムに取付けるにあたり、各ボトムの所定の部位をマットレスに設けた袋部に差込む、或いは、マットレスに設けた空間部に挿通させるだけでよく、簡単に取付け又は取外しを行える。
また、上体側マットは、帯布及び袋布にて背ボトム及び腰ボトムの所定の部位を包み込む状態で該背ボトム及び腰ボトムに取付けることから、背ボトム及び腰ボトムに対して前方向、左右方向及び背ボトムから離間する方向、すなわち、上体側マットの背ボトム及び腰ボトムに対する取付け解除方向を除く方向にズレ動かないようにできる。また、腰ボトムには滑り止め部材を設けており、該滑り止め部材にて上体側マットを背ボトム及び脚ボトムに対する取付け解除方向にもズレ動きにくくできる。さらに、脚側マットは、袋布にて脚ボトムの所定の部位を包み込む状態で該脚ボトムに取付けることで、脚ボトムに対してズレ動かないようにできる。したがって、床部を起伏させた際にマットレスが各ボトムに対して前方へズレ動くことはなく、マットレスが前方へズレ動くことで生じる利用者の前ズレを防ぐことができ、利用者に不快感を与えないようにできる。さらに、当該マットレスは、上体側マットと滑り止め部材が接触する構成としていることから、上体側マットを滑り止め部材から離間させながら上体側マットを取付け解除方向へ動かすようにしない限り、上体側マットが背ボトム及び腰ボトムに対して簡単にズレ動かないように取付けられている。よって、床部上に利用者がいる状態でマットレスに外的な力が作用されても、該マットレスはズレ動くことはない。また、床部上に利用者がいない状態で外的な力が作用されても、マットレスはほとんどズレ動くことはない。その上、これらのことから、マットレスのボトムに対する係止が不意に解除されることを大方無くせる。さらに、マットレスがズレ動いていることに気付かずに、各ボトムを動作させてしまうことも大方無くせるので、マットレスが各ボトムの動作を妨げることを無くせる。また、マットレスがズレ動かないようにと注意しながら利用者や介護者が行動する必要性がなくなり、当該ベッドBを取り扱いやすいものとできる。
【0007】
請求項2の発明によれば、前記脚側マットの袋布に設けた開着部材の止着状態を解除することで、該開着部材を設けた側の袋部を開放でき、より簡単に脚側マットを脚ボトムに取付けできる。また、開着部材を設けることで、開着部材を設けた袋布にて脚ボトムの枠フレームを締め付けることも可能となり、より強固な固定ができるようになる。
【0008】
また、請求項3の発明によれば、クッション部材に対して布部材がズレ動くことを防止でき、利用者が床部上でより快適に過ごせるようにできる。
【0009】
さらに、請求項4の発明によれば、当該ベッドパットは、マットレスに敷設させるにあたり、該ベッドパットに設けた各バンドを前記各ボトムの所定の位置に掛けるだけでマットレス上に敷設でき、簡単に取付け又は取外しを行える。
また、ベッドパット前部側は前バンドと後バンドにて前後方向に引張られた状態で脚ボトムに固定させるので、脚ボトムを腰ボトム下方に移動させる際に、脚ボトムと共にベッドパット前部を腰ボトム下方へ移動できる。また、ベッドパットの中間部を腰ボトムに固定していることから、床部を椅子の状態とした状態から立ち上がった際に、ベッドパットがズレ動くことはない。したがって、当該ベッドパットは、床部を変形させても、また、ベッドパットに外的な力が作用されても、きちんと取付けた状態を保つことができる。よって、当該ベッドパット上で利用者が常に快適に過ごせるようにできる。さらに、交換時以外にベッドパットを所定の状態に敷き直す手間を無くせる。
さらに、当該ベッドパットは前記マットレスを前記各ボトムに対して押し付けるようにしながら各ボトムに固定させることから、このベッドパットを取付けることにより、前記マットレスを各ボトムに対してよりしっかりと固定させることができる。
【0010】
また、請求項5の発明によれば、シーツの前部側は前記ベッドパットと共に脚ボトムに固定されているので、脚ボトムを腰ボトム下方に収納する際に、脚ボトムの移動に伴ってシーツの前部を腰ボトム下方へと移動できる。また、シーツの中間部を腰ボトムに固定していることから、床部を椅子の状態とした状態から立ち上がった際に、シーツがズレ動くことはない。したがって、当該シーツは、床部を変形させても、また、シーツに外的な力が作用されても、きちんと取付けた状態を保つことができる。よって、当該シーツ上で利用者が常に快適に過ごせるようにできる。さらに、交換時以外にシーツを所定の状態に敷き直す手間を無くせる。
【0011】
そして、請求項6の発明によれば、マットレスの前記上体側マット及び脚側マットに設けた帯布及び袋布が伸縮することから、前記各ボトムに対して上体側マット及び脚側マットをより至便に取付けできる。さらに、上体側マット及び脚側マットを各ボトムに取付けた状態において、帯布及び袋布が各ボトムの所定の部位を締め付けできるようになり、より強固な取付け状態を確保できるようになる。また、同様に、前記シーツの袋布が伸縮することから、前記上体側マット及びベッドパッドに対してシーツを至便に取付けできるようになると共に、よりしっかりとした取付け状態を確保できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
背上げ可能なベッドにおいて、床部を形成するマットレスを次のように取付ける組付け構造とする。まず、前記マットレスを上体側マットと脚側マットに分割構成する。また、腰ボトム上面に滑り止め部材を配設する。そして、前記上体側マット下面側中間部後方寄りに止着した帯布にて形成された空間部に前側から背ボトムの枠フレームを挿通する。それと共に、該上体側マット下面側前部に止着した袋布にて形成された袋部に前側から腰ボトムの支持フレームを差込み、上体側マットを背ボトム及び腰ボトムに取付けるようにする。また、前記脚側マット下面側両側部に止着した袋布にて形成された袋部に脚ボトムの枠フレームの側部をそれぞれ差込み、脚側マットを脚ボトムに取付けるようにする。さらに、前記脚側マットの少なくとも一方の袋布に開着部材を設ける共に、上体側マット及び脚側マットの帯布及び袋布にゴムのような伸縮性を備えた部材又は素材を用いる。
また、前記マットレスに敷設されるベッドパットを次のように敷設する組付け構造とする。まず、ベッドパット下面側前部やや後方寄りに止着した後バンドを、前記上体側マットと脚側マットの隣接側端部間に形成される隙間に通すと共に、前記脚ボトムのステー部材に設けた後側のフック部に引掛ける。次に、ベッドパット下面側前部に止着した前バンドを脚ボトムの前記ステー部材に設けた前側のフック部に引掛ける。続いて、ベッドパット下面側後部に止着した帯バンドにて形成された空間部に前記上体側マット及び背ボトムの後部を挿通する。そして、ベッドパット下面側両側部に止着した横バンドを前記腰ボトムの下面側両側部に設けたフック部材に引掛けることで、当該ベッドパットをマットレスに敷設するようにする。なお、前記各バンドにはゴムのような伸縮性を備えた部材又は素材を用いる。
さらに、前記マットレスに敷設されるシーツを次のように敷設する組付け構造とする。まず、シーツ下面側後部に止着した袋布にて形成された袋部に前記上体側マット及びベッドパットの後部を差込む。次に、シーツ下面側前部に止着した袋布にて形成された袋部に前記ベッドパット前部を差込むと共に該ベッドパットの前記前バンドを前記袋布前部に設けた抜き穴から突出させ、そして、該前バンドを脚ボトムのステー部材に設けた前側の前記フック部に引掛ける。続いて、シーツ下面側両側部に止着した横バンドを前記腰ボトムの前記フック部材に引掛けることで、当該シーツをマットレスに敷設するようにする。なお、前記横バンド及び袋布にゴムのような伸縮性を備えた部材又は素材を用いる。
【実施例1】
【0013】
本発明に係るマットレス1の組付け構造及び該マットレス1に敷設されるベッドパット2及びシーツ3の組付け構造を備えたベッドBの一実施形態を図面に基づいて説明する。
このベッドBは、床面に設置される基台フレーム4と、該基台フレーム4に対して前後に移動する摺動フレーム5と、該摺動フレーム5を基台フレーム4に対して前後に移動させるための駆動手段6と、さらに、前記基台フレーム4に組付けられる腰ボトム7と、前記基台フレーム4と摺動フレーム5間に摺動フレーム5の前後移動により動作される起伏機構8を介して、前記腰ボトム7と同一平面を形成可能に組付けられる背ボトム9と、前記基台フレーム4と摺動フレーム5間に前記起伏機構8を介して組付けられる収納手段10と、該収納手段10に前記腰ボトム7と平行な平面を形成可能に組付けられる脚ボトム11から主に構成されている。
【0014】
そして、このベッドBは次のように動作されるものである。
まず、第16図の(a)図に示す当該ベッドBのベッドの状態では、駆動手段6は最も伸長されており、基台フレーム4に対して摺動フレーム5が最も前方に移動した状態である。この状態では、腰ボトム7に設けた支持具7a,7aが基台フレーム4に設けた支持プレート4a,4aに当接されており、腰ボトム7は床面に対して略々水平に支持されている。また、この状態では、起伏機構8を構成するロッド12,12の基台フレーム4側の回動中心である軸ピン13,13と背ボトム9の回動中心である支点ピン14,14が最も離間しており、起伏機構8の回動リンク15と増速リンク16は最も前方へ回動されている。したがって、前記回動リンク15が固着された前記背ボトム9は最も下方へ回動された状態となり、背ボトム9は基台フレーム4後部に設けた支持具4b,4bに支持されて、前記腰ボトム7の後方側にて該腰ボトム7と略々同一平面を形成する状態となっている。また、前記増速リンク16が最も前方へ回動されていることから、収納手段10の連動ロッド17は最も前方へ押し出された状態となり、収納手段10の収納フレーム18及び該収納フレーム18に枢結された脚ボトム11も最も前方へ押し出された状態となっている。この状態では、基台フレーム4前部に設けたローラー4c,4cが脚ボトム11に設けた支持プレート11a,11a下面に当接されており、脚ボトム11は前記腰ボトム7前方側にて該腰ボトム7と略々平行な平面を形成する状態となっている。
【0015】
このベッドの状態から駆動手段6に短縮動作をさせて、摺動フレーム5を基台フレーム4に対して後方へ移動させると、摺動フレーム5前部に設けた案内部材5a,5aも後方へ移動されることから、該案内部材5a,5aの上面に沿って腰ボトム7に設けたローラー7b,7bが動き、腰ボトム7前部側が上方へ回動される。また、これと共に、前記軸ピン13,13と支点ピン14,14間の距離が短くなり、前記ロッド12,12が背ボトム9を押し上げるよう回動され、背ボトム9は支点ピン14,14を中心に回動されて背上げされる。この背上げに伴って、前記回動リンク15が支点ピン14,14を中心に後下方へ回動され、該回動リンク15の溝部15a,15aに通された前記増速リンク16の固定ピン16a,16aが後下方へ移動される。これにより、増速リンク16は摺動フレーム5に設けた固定ピン5b,5bを中心に後下方へ回動され、前記連動ロッド17を後下方へ引き込む。すると、前記収納フレーム18は基台フレーム4前部に設けたローラー4d,4d,・・・に案内されながらスライドするように後下方へ移動される。さらに、脚ボトム11は収納フレーム18と共に移動されることから、脚ボトム11に設けた前記支持プレート11a,11aが基台フレーム4の前記ローラー4c,4c上を移動され、前記支持プレート11a,11aの側面視における形状に合わせて脚ボトム11の後部側が下方回動されて、第16図の(b)図に示す状態へとベッドBは変形される。
なお、前記増速リンク16は摺動フレーム5と共に後方へ移動すると共に固定ピン5b,5bを中心に回動して連動ロッド17を引き込むことから、収納フレーム18及び脚ボトム11の前後方向の移動量は駆動手段6の伸縮量より大きくなる。
【0016】
そして、さらに駆動手段6に短縮動作をさせて、摺動フレーム5を基台フレーム4に対する最後部へと移動させると、前記案内部材5a,5aの上面に沿って腰ボトム7の前記ローラー7b,7bがさらに動き、腰ボトム7前部側が下方回動されて、腰ボトム7は前記支持具7a,7aにて基台フレーム4に支持された略々水平な状態に戻る。また、これと共に、前記軸ピン13,13と支点ピン14,14が最も接近した状態となり、背ボトム9はさらに回動されて最も背上げされた状態となる。この背上げに伴って、前記回動リンク15が前記支点ピン14,14を中心に最も後方へと回動される。また、前記増速リンク16も前記固定ピン5b,5bを中心に最も後方へと回動され、前記連動ロッド17を最も後方へ引き込む。すると、前記収納フレーム18は基台フレーム4の前記ローラー4d,4d,・・・に案内されながら後下方へさらに移動され、収納フレーム18及び脚ボトム11は腰ボトム7下方に移動される。また、脚ボトム11の前記支持プレート11a,11aと基台フレーム4の前記ローラー4c,4cとの当接状態が解除され、脚ボトム11後部はさらに下方回動されて、脚ボトム11後部が収納フレーム18中間部上面に当接した状態となり、第16図の(c)図に示す椅子の状態へとベッドBは変形される。
なお、駆動手段6を伸長動作させると、上記とは逆の作用により、当該ベッドBはベッドの状態へと変形される。
【0017】
このように当該ベッドBは動作され、各ボトム7,9,11が水平な状態である第16図の(a)図に示すベッドの状態から、背ボトム9が背上げされると共に脚ボトム11が腰ボトム7下方に収納された第16図の(c)図に示す椅子の状態へと各ボトム7,9,11を動作させることができる。また、背ボトム9の背上げに伴って、腰ボトム7は上方回動するので、利用者が前方へズレ動くことを防止できる。すなわち、当該ベッドBは、利用者が床部上にて快適に過ごすことができるように起伏機構8が設けられると共に収納手段10が設けられ、ベッドの状態や椅子の状態に各ボトム7,9,11を変形可能としている。
また、加齢による運動能力の低下等によってベッドから立ち上がりが困難な方であっても、ベッドBを椅子の状態に変形させることで、身体の向きを換えることなく、楽に腰掛け姿勢をとることができ、そのままベッドB前方の開放された空間を利用してベッドB前方へと立ち上がることができる。
したがって、当該ベッドBは、一般の家庭における介護の場面においても、有効に活用できるようにされている。
【0018】
続いて、上述のように動作される各ボトム7,9,11に取付けられるマットレス1について説明する。
まず、当該マットレス1が取付けられる前記各ボトム7,9,11について第3図を用いて詳述する。
前記背ボトム9は、平面視にて前方側が開放された略々コ字形状に曲折された枠フレーム9aの端部間に連結フレーム9bが固着されている。さらに、側面視にて略々へ字形状に曲折された回動フレーム9c,9cの前端部が前記連結フレーム9bの前下方へ突出する状態にて、該回動フレーム9c,9cの後端部が前記枠フレーム9a後部側中間部に所定間隔をおいて固着されると共に、回動フレーム9c,9cと連結フレーム9bとの当接部が固着されている。また、前記連結フレーム9bの前記回動フレーム9c,9c外側の位置に前方へ突出するようブラケット9d,9dが固着されている。さらに、前記枠フレーム9a後部側と連結フレーム9b間に複数のステー材9e,9e,・・・が固着されている。
前記腰ボトム7は、平面視にて後方側が開放された略々コ字形状に曲折された枠フレーム7cの後部間に連結フレーム7dが固着されている。また、側面視にて略々へ字形状に曲折された回動フレーム7e,7eの後端部が前記連結フレーム7dの後下方へ突出する状態にて、該回動フレーム7e,7eの前端部が前記枠フレーム7c前部側中間部に所定間隔をおいて固着され、回動フレーム7e,7eと連結フレーム7dとの当接部が固着されている。さらに、前記回動フレーム7e,7e後部の前記連結フレーム7d寄りの位置には前記ローラー7b,7b及び前記支持具7a,7aが設けられている。また、前記連結フレーム7dの中間部には前記回動フレーム7e,7e間に位置するように穴空き板7fが固着されると共に、該穴空き板7fの上面にゴム製のスポンジ部材からなる滑り止め部材19が止着されている。さらに、連結フレーム7dと枠フレーム7cには平面視にて略々コ字形状に曲折された支持フレーム7g,7g,・・・,7hが固着されている。また、前記枠フレーム7cの下面側両側部には、側面視にて略々へ字形状に構成されたフック部材7i,7iが固着されている。
そして、前記脚ボトム11は、平面視にて後方側が開放された略々コ字形状に曲折された枠フレーム11bの端部間に連結フレーム11cが固着されている。さらに、前記連結フレーム11cと枠フレーム11b前部側間に補強フレーム11d,11dが所定間隔をおいて固着されている。また、前記補強フレーム11d,11dの後部外側面には前記支持プレート11a,11aが連結フレーム11cの後下方に突出した状態にて固着されている。さらに、前記枠フレーム11b前部側と連結フレーム11c間に複数のステー材11e,11eと両端部にフック部11f,11fを有する複数のステー部材11g,11g,11gが固着されている。
【0019】
次に、マットレス1について説明する。
このマットレス1は、前記背ボトム9及び腰ボトム7に取付ける上体側マット20と、脚ボトム11に取付ける脚側マット21からなる二分割構成としている。
前記上体側マット20は、第1図に示すように、略々長方体形状とされ、平面視にて前記背ボトム9及び腰ボトム7を覆い隠す大きさとされている。また、該上体側マット20は、クッション部材20aを布部材20bで被覆してなり、クッション部材20aと布部材20bが互いにズレ動かないように、上体側マット20下面において互いに縫合されている(第1図の縫合部20c,20c,20c参照。)。また、上体側マット20下面側の中間部後方寄りに、帯布20dの両端部が止着され、前後に開口部を有する空間部20eが形成されている。さらに、下面側の前部に袋布20fが止着されて、前側に開口部を有する三つの袋部20g,20g,20gが形成されている。
前記脚側マット21は、第2図に示すように、略々長方体形状とされ、平面視にて前記脚ボトム11を覆い隠す大きさとされている。また、該脚側マット21は、クッション部材21aを布部材21bで被覆してなり、クッション部材21aと布部材21bが互いにズレ動かないように、脚側マット21下面において互いに縫合されている(第2図の縫合部21c,21c,21c参照。)。また、脚側マット21下面側の両側部には、袋布21d,21dがそれぞれ止着されて、内側に開口部を有する袋部21e,21eが形成されている。さらに、少なくとも一方の前記袋布21dには、その前部に開着部材21fが設けられている。なお、前記開着部材21fは、該開着部材21fを設けた袋布21d側の袋部21eを任意に開放させたり閉じた状態としたりするためのものであり、例えば、ファスナーや面ファスナー、ボタンとボタンホール等を組合せたもの等が当該開着部材21fとして用いることができる。
また、前記上体側マット20前部と脚側マット21後部には、第8図に示すように、上体側マット20と脚側マット21を各ボトム7,9,11に取付けた状態において、平面視にて重なり合う重合部20h,21gがそれぞれ設けられている。そして、上体側マット20の前記重合部20hは上面側が前方へ突出した後方下がりの傾斜部20i(第1図参照。)とされ、脚側マット21の前記重合部21gは下面側が後方へ突出した後方下がりの傾斜部21h(第2図参照。)とされている。
【0020】
このように構成されたマットレス1は次のようにして前記各ボトム7,9,11に取付ける。
まず、上体側マット20は、第4図に示すように、前記帯布20dにて形成された空間部20eに背ボトム9の枠フレーム9aを前側から挿通させると共に、前記袋布20fにて形成された三つの袋部20g,20g,20gに腰ボトム7の前部に設けた四つの支持フレーム7g,7g,・・・を前側から差込むことで、第5図に示すように背ボトム9と腰ボトム7に取付ける。
次に、脚側マット21は、第6図に示すように、まず、開着部材21fの止着状態を解除して、該開着部材21fが設けられた袋布21d側の袋部21eを幾らか開放した状態とする。然る後、他方の袋布21dにて形成された袋部21eに、脚ボトム11の枠フレーム11bの一側部を差込み、そして、枠フレーム11bの他方側を開放した袋部21eに差込む。その後、前記開着部材21fを止着状態とすることで、第7図に示すように脚ボトム11に取付ける。
このようにして、各ボトム7,9,11にマットレス1を固定させ、第8図に示すように、各ボトム7,9,11上面にマットレス1を取付ける。
【0021】
このように、当該マットレス1は、各ボトム7,9,11に取付けるにあたり、各ボトム7,9,11の所定の部位をマットレス1に設けた袋部20g,20g,20g,21e,21eに差込む、或いは、マットレス1に設けた空間部20eに挿通させるだけでよく、簡単に取付け又は取外しを行える。また、脚側マット21の少なくとも一方の袋布21dに開着部材21fを設けたことで、脚ボトム11の枠フレーム11b側部を二つの前記袋部21e,21eに差込みやすくでき、脚ボトム11への脚側マット21の取付けをより簡単に行える。また、開着部材21fを設けることで、開着部材21fを設けた袋布21dにて脚ボトム11の枠フレーム11bを締め付けることも可能となり、より強固な固定ができるようになる。
また、上体側マット20は、帯布20d及び袋布20fにて背ボトム9及び腰ボトム7の所定の部位を包み込む状態で該背ボトム9及び腰ボトム7に取付けることで、背ボトム9及び腰ボトム7に対して前方向、左右方向及び背ボトム9及び腰ボトム7から離間する方向、すなわち、上体側マット20の背ボトム9及び腰ボトム7に対する取付け解除方向を除く方向にズレ動かないようにされている。また、腰ボトム7には滑り止め部材19を設けており、該滑り止め部材19にて上体側マット20を背ボトム9及び腰ボトム7に対する取付け解除方向にもズレ動きにくくしている。さらに、脚側マット21は、袋布21d,21dにて脚ボトム11の所定の部位を包み込む状態で該脚ボトム11に取付けることで、脚ボトム11に対してズレ動かないようにされている。したがって、床部を起伏させた際にマットレス1が各ボトム7,9,11に対して前方へズレ動くことはなく、マットレス1が前方へズレ動くことで生じる利用者の前ズレを防ぐことができ、利用者に不快感を与えないようにできる。さらに、当該マットレス1は、上体側マット20と滑り止め部材19が接触する構成としていることから、上体側マット20を滑り止め部材19から離間させながら上体側マット20を取付け解除方向へ動かすようにしない限り、上体側マット20が背ボトム9及び腰ボトム7に対して簡単にズレ動かないように取付けられている。よって、床部上に利用者がいる状態では、上体側マット20と滑り止め部材19がしっかりと密着するため、介護者が介助を行う際等にマットレス1に外的な力が作用されても、該マットレス1はズレ動くことはない。また、床部上に利用者がいない状態で、利用者が床部に上がり降りする際等に外的な力が作用されても、マットレス1はほとんどズレ動くことはない。その上、これらのことから、マットレス1のボトム7,9,11に対する係止が不意に解除されることを大方無くせる。さらに、マットレス1がズレ動いていることに気付かずに、各ボトム7,9,11を動作させてしまうことも大方無くせるので、マットレス1が各ボトム7,9,11の動作を妨げることを無くせる。また、マットレス1がズレ動かないようにと注意しながら利用者や介護者が行動する必要性がなくなり、当該ベッドBを取り扱いやすいものとできる。
さらに、上体側マット20及び脚側マット21の互いの隣接側にそれぞれ重合部20h,21gを設けることで、第8図に示すように、互いの重合部20h,21gが平面視にて重なり合うように取付けでき、下方から吹き上げてくるような風が上体側マット20と脚側マット21の隣接側の隙間から吹き上がりにくくできる。これにより、利用者に不快感を与えないようにでき、利用者が分割された複数のマットからなるマットレス1上で快適に過ごせるようになる。また、それぞれに設けた重合部20h,21gを傾斜部20i,21hとすることで、脚ボトム11を腰ボトム7に対して下方へ移動させると共に後方へ移動させて該腰ボトム7下方へ収納させる際に、脚側マット21と他のベッドBの構成部材が干渉することなく、脚ボトム11を収納しやすくできる。よって、前記収納手段10を構成しやすくなる。
また、当該マットレス1は、クッション部材20a,21aと布部材20b,21bを互いに縫合することで、床部を起伏させた際や利用者が床部上で動いた際に、クッション部材20a,21aに対して布部材20b,21bがズレ動くことを防止している。これにより、利用者が床部上でより快適に過ごせるようにできる。
【0022】
なお、前記上体側マット20及び脚側マット21の帯布20d及び袋布20f,21d,21dに、ゴムのような伸縮性を備えた部材又は素材を用いておくと、帯布20d及び袋布20f,21d,21dが伸縮することから、前記各ボトム7,9,11に対して上体側マット20及び脚側マット21をより簡単に取付けできるようになる。また、上体側マット20及び脚側マット21を各ボトム7,9,11に取付けた状態において、帯布20d及び袋布20f,21d,21dが各ボトム7,9,11の所定の部位を締め付けできるようになり、より強固な取付け状態を確保できるようになる。
また、本実施例では、上体側マット20と脚側マット21のクッション部材20a,21aとそれを被覆する布部材20b,21bを縫合することで、互いに止着しているが、それらを互いに止着する手段としては、その他に、接着剤や面ファスナー等を用いることができる。
さらに、本実施例では、上体側マット20と脚側マット21の重合部20h,21gを傾斜部20i,21hとしているが、第9図の(a)図に示すような、上体側マット20の重合部20hを上面側が下面側より前方へ突出した階段状とし、脚側マット21の重合部21gを下面側が上面側より後方へ突出した階段状としても良い。また、第9図の(b)図に示すような、上体側マット20の重合部20hを上面側が下面側より前方へ突出した側面視において円弧状とし、脚側マット21の重合部21gを下面側が上面側より後方へ突出した側面視において円弧状としても良い。このようにしても、上述の傾斜部20i,21hとした重合部20h,21gと同様の効果を得ることができる。なお、当該ベッドBは脚ボトム11を腰ボトム7に下方に収納させる際、脚ボトム11を腰ボトム7に対して下方へ移動させると共に後方へ移動させることから、当該ベッドBの形態においては重合部20h,21gの形状は、上体側マット20側は下面側が上面側より前方へ突出した形状とし、脚側マット21側は下面側が上面側より後方へ突出した形状とすることが望ましい。
【0023】
次に、前記マットレス1に敷設されるベッドパット2について説明する。
ベッドパット2は、第10図に示すように、平面視にて略々矩形状に形成され、前記マットレス1を各ボトム7,9,11に設置した状態(第8図参照。)におけるマットレス1の平面視における大きさと略々同じ大きさとされている。さらに、このベッドパット2の下面側後部には、ゴムのような伸縮性を備えた部材又は素材からなる帯バンド2aの両端が止着され、前後に開口部を有する空間部2bが形成されている。さらに、ベッドパット2の下面側中間部の両側部にはゴムのような伸縮性を備えた部材又は素材の両端を止着させて輪部を形成させてなる横バンド2c,2cが設けられると共に、前部下面に前記横バンド2c,2cと同様な構成の前バンド2d,2d,2dが所定間隔をおいて複数設けられている。また、このベッドパット2の前部やや後方寄りの下面に、前記横バンド2c,2cと同様な構成の後バンド2e,2eが所定間隔をおいて設けられている。
【0024】
このように構成されたベッドパット2は次のようにして前記マットレス1に敷設する。
まず、前記後バンド2e,2eを、前記上体側マット20と脚側マット21の隣接側端部に設けた重合部20h,21g間に形成された隙間に通し、そして、該後バンド2e,2eを前記脚ボトム11のステー部材11g,11gに設けた後側のフック部11f,11fにそれぞれ引掛ける(第10図及び第11図参照。)。
続いて、前記前バンド2d,2d,2dを、脚ボトム11の前記ステー部材11g,11g,11gに設けた前側のフック部11f,11f,11fにそれぞれ引掛け、ベッドパット2の前部側を脚ボトム11に固定させると共に前記脚側マット21上に敷設する(第10図及び第11図参照。)。
そして、前記帯バンド2aにて形成された空間部2bに前記上体側マット20と背ボトム9を挿通させて、ベッドパット2の後部側を上体側マット20及び背ボトム9に固定すると共に、前記横バンド2c,2cを前記腰ボトム7の枠フレーム7c下面側両側部に設けたフック部材7i,7iに引掛けて、ベッドパット2の中間部を腰ボトム7に固定させて、該ベッドパット2の中間部から後部を前記上体側マット20上に敷設する(第10図及び第11図参照。)。
このようにして、ベッドパット2を前記各ボトム7,9,11に固定させて、第12図に示すように、マットレス1上に当該ベッドパット2を敷設する。
【0025】
このように、当該ベッドパット2は、マットレス1に敷設させるにあたり、該ベッドパット2に設けた各バンド2a,2c,2c,2d,2d,2d,2e,2eを前記各ボトム7,9,11の所定の位置に掛けるだけでマットレス1上に敷設でき、簡単に取付け又は取外しを行える。
また、ベッドパット2の前部側は前バンド2d,2d,2dと後バンド2e,2eにて前後方向に引張られた状態で脚ボトム11に固定させるので、上述したように脚ボトム11を腰ボトム7下方に収納する際に、床部に利用者がいる状態でも、脚ボトム11と共にベッドパット2前部を腰ボトム7下方へ移動できる(第16図参照。)。また、ベッドパット2の中間部を腰ボトム7に固定していることから、床部を椅子の状態とした状態から立ち上がった際に、ベッドパット2がズレ動くことはない。したがって、当該ベッドパット2は、床部を変形させても、また、床部への利用者の上がり降りの際や介護者が介助を行う際等にベッドパット2に外的な力が作用されても、きちんと取付けた状態を保つことができる。よって、当該ベッドパット2上で利用者が常に快適に過ごせるようになると共に、交換時以外にベッドパット2を所定の状態に敷き直す手間を無くせる。
さらに、当該ベッドパット2は前記マットレス1を前記各ボトム7,9,11に対して押し付けるようにしながら各ボトム7,9,11に固定させることから、このベッドパット2を取付けることにより、前記マットレス1を各ボトム7,9,11によりしっかりと固定させることができる。
【0026】
続いて、前記マットレス1に敷設されるシーツ3について説明する。
シーツ3は、第13図に示すように、平面視にて略々矩形状に形成され、前記ベッドパット2と略々同等以上の大きさとされている。さらに、このシーツ3の下面側後部には袋布3aが止着されて、前側に開口部を有する袋部3bが形成されると共に、下面側前部に袋布3cが止着されて、後側に開口部を有する袋部3dが形成されている。また、前記袋布3cの前部には複数の抜き穴3e,3e,3eが所定間隔をおいて設けられている。さらに、シーツ3の下面側中間部の両側部にはゴムのような伸縮性を備えた部材又は素材の両端を止着させて輪部を形成させてなる横バンド3f,3fが設けられている。
【0027】
このように構成されたシーツ3は次のようにして前記マットレス1に敷設する。なお、ここでは、前記ベッドパット2を前記マットレス1上に敷設した状態から当該シーツ3を敷設する手順に沿って説明する。
まず、シーツ3下面側後部の前記袋部3bに前記上体側マット20及びベッドパット2の後部を差込む(第13図及び第14図参照。)。
続いて、前記ベッドパット2の前バンド2d,2d,2dを脚ボトム11のステー部材11g,11g,11g前側のフック部11f,11f,11fから取外す。そして、ベッドパット2前部をシーツ3下面側前部の前記袋部3dに差込むと共に、前記抜き穴3e,3e,3eからベッドパット2の前記前バンド2d,2d,2dを突出させ、該前バンド2d,2d,2dを再び脚ボトム11の前記フック部11f,11f,11fに引掛ける(第13図及び第14図参照。)。
そして、前記横バンド3f,3fを、ベッドパット2の横バンド2c,2cと共に、腰ボトム7の前記フック部材7i,7iに引掛ける(第13図及び第14図参照。)。
このようにして、第15図に示すように、前記マットレス1上に前記ベッドパット2と共に当該シーツ3を敷設する。
【0028】
このように、当該シーツ3は、シーツ3の前部側を前記ベッドパット2と共に脚ボトム11に固定させているので、上述したように脚ボトム11を腰ボトム7下方に収納する際に、床部に利用者がいる状態でも、脚ボトム11の移動に伴ってシーツ3の前部側を腰ボトム7下方へと移動できる(第16図参照。)。また、シーツ3の中間部を腰ボトム7に固定していることから、床部を椅子の状態とした状態から立ち上がった際に、シーツ3がズレ動くことはない。したがって、当該シーツ3は、床部を変形させても、また、床部への利用者の上がり降りの際や介護者が介助を行う際等にシーツ3に外的な力が作用されても、きちんと取付けた状態を保つことができる。よって、当該シーツ3上で利用者が常に快適に過ごせるようになると共に、交換時以外にシーツ3を所定の状態に敷き直す手間を無くせる。
【0029】
なお、前記シーツ3の袋布3a,3cにゴムのような伸縮性を備えた部材又は素材を用いておくと、袋布3a,3cが伸縮することから、前記上体側マット20及びベッドパット2に対してシーツ3をより簡単に取付けできるようになる。また、シーツ3をマットレス1及びベッドパット2に敷設した状態において、袋布3a,3cが上体側マット20及びベッドパット2の所定の部位を締め付けできるようになり、よりしっかりとした取付け状態を確保できるようになる。
【0030】
以上のように、当該ベッドBは、利用者が床部上で快適に過ごせるように、床部を起伏させる機能を備えると共に、脚ボトム11を腰ボトム7下方に収納することで、床部を椅子の状態に変形可能としている。さらに、当該ベッドBのマットレス1及び該マットレス1に敷設されるベッドパット2及びシーツ3の組付け構造は、床部を変形させても、それらがズレ動かないようにされており、当該ベッドBを床部上にてより快適に利用者が過ごせるものとできた。また、当該ベッドBの前記マットレス1、ベッドパット2及びシーツ3の組付け構造は、床部に利用者が上がり降りする際や、介護者が利用者の介助を行う際等に接触する等して外的な力が作用しても、それらがズレ動くことがないものとされており、それらがズレ動かないようにと利用者及び介護者が注意を払いながら行動する必要がなく、当該ベッドBは非常に取り扱いやすいものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】上体側マットを示す底側から見た斜視図。
【図2】脚側マットを示す底側から見た斜視図。
【図3】各ボトムの構成を示す上側から見た斜視図。
【図4】上体側マットを背ボトム及び腰ボトムに取付ける様子を示す底側から見た説明図。
【図5】上体側マットを背ボトム及び腰ボトムに取付けた状態を示す底側から見た斜視図。
【図6】脚側マットを脚ボトムに取付ける様子を示す底側から見た説明図。
【図7】脚側マットを脚ボトムに取付けた状態を示す底側から見た斜視図。
【図8】マットレスを各ボトムに取付けた状態を示す上側から見た斜視図。
【図9】ベッドパッドの別の重合部の形状例を示す部分側面図。
【図10】ベッドパットをマットレスに敷設する様子を示す底側から見た説明図。
【図11】ベッドパットをマットレスに敷設した状態を示す底側から見た斜視図。
【図12】ベッドパットをマットレスに敷設した状態を示す上側から見た斜視図。
【図13】シーツをマットレスに敷設する様子を示す底側から見た説明図。
【図14】シーツをマットレスに敷設した状態を示す底側から見た斜視図。
【図15】シーツをマットレスに敷設した状態を示す上側から見た斜視図。
【図16】各ボトムが動作する様子を示す説明図。 (a)ベッド状態における側断面図。 (b)ベッド状態から椅子状態に変形する過程における一態様を示す側断面図。 (c)椅子状態における側断面図。
【符号の説明】
【0032】
1 マットレス
2 ベッドパット
2a 帯バンド
2b 空間部
2c 横バンド
2d 前バンド
2e 後バンド
3 シーツ
3a 袋布
3b 袋部
3c 袋布
3d 袋部
3e 抜き穴
3f 横バンド
7 腰ボトム
7g 支持フレーム
7i フック部材
9 背ボトム
9a 枠フレーム
11 脚ボトム
11b 枠フレーム
11f フック部
11g ステー部材
20 上体側マット
20a クッション部材
20b 布部材
20c 縫合部
20d 帯布
20e 空間部
20f 袋布
20g 袋部
21 脚側マット
21a クッション部材
21b 布部材
21c 縫合部
21d 袋布
21e 袋部
21f 開着部材
B ベッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部を形成するマットレスを支持するボトムを、少なくとも背ボトム、腰ボトム、脚ボトムとに分割構成し、前記背ボトムを起伏可能とすると共に、脚ボトムを腰ボトム下方へ移動可能とした背上げ可能なベッドにおいて、前記マットレスを上体側マットと脚側マットに分割した構成とし、さらに、前記ボトムの内少なくとも腰ボトムの上面に滑り止め部材を設け、そして、前記上体側マット下面側中間部後方寄りに止着した帯布にて形成された空間部に前側から前記背ボトムの枠フレームを挿通させると共に、該上体側マット下面側前部に止着した袋布にて形成された袋部に前側から前記腰ボトムの支持フレームを差込むことで、上体側マットを背ボトム及び腰ボトムに取付け、前記脚側マット下面側両側部に止着した袋布にて形成された袋部に前記脚ボトムの枠フレームの側部をそれぞれ差込むことで、脚側マットを脚ボトムに取付けるマットレスの組付け構造としたことを特徴とする背上げ可能なベッド。
【請求項2】
前記脚側マットの少なくとも一方の袋布に開着部材を設けたマットレスの組付け構造としたことを特徴とする請求項1に記載の背上げ可能なベッド。
【請求項3】
前記マットレスの上体側マット及び脚側マットをそれぞれクッション部材を布部材で被覆してなる構成とし、前記クッション部材と布部材とを止着したマットレスの組付け構造としたことを特徴とする請求項1乃至2の背上げ可能なベッド。
【請求項4】
前記マットレスに敷設されるベッドパットを、該ベッドパット下面側前部やや後方寄りに止着した後バンドを前記上体側マットと脚側マットの隣接側端部間に形成される隙間に通すと共に前記脚ボトムのステー部材に設けた後側のフック部に引掛け、ベッドパット下面側前部に止着した前バンドを脚ボトムの前記ステー部材に設けた前側のフック部に引掛け、続いて、ベッドパット下面側後部に止着した帯バンドにて形成された空間部に前記上体側マット及び背ボトムの後部を挿通させ、そして、ベッドパット下面側両側部に止着した横バンドを前記腰ボトムの下面側両側部に設けたフック部材に引掛けることで、前記マットレスに敷設するベッドパットの組付け構造としたことを特徴とする請求項1から3に記載の背上げ可能なベッド。
【請求項5】
前記マットレスに敷設されるシーツを、該シーツ下面側後部に止着した袋布にて形成された袋部に前記上体側マット及び前記ベッドパットの後部を差込み、シーツ下面側前部に止着した袋布にて形成された袋部に前記ベッドパット前部を差込むと共に該ベッドパットの前記前バンドを前記袋布前部に設けた抜き穴から突出させ、該前バンドを前記脚ボトムのステー部材に設けた前側の前記フック部に引掛け、そして、シーツ下面側両側部に止着した横バンドを前記腰ボトムの前記フック部材に引掛けることで、前記マットレスに敷設するシーツの組付け構造としたことを特徴とする請求項4に記載の背上げ可能なベッド。
【請求項6】
前記上体側マット及び脚側マットの帯布及び袋布又は前記シーツの袋布に、ゴムのような伸縮性を備えた部材又は素材を用いたマットレス又はシーツの組付け構造としたことを特徴とする請求項1から5に記載の背上げ可能なベッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−236432(P2007−236432A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58965(P2006−58965)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(394006129)株式会社いうら (63)