説明

胸部圧迫装置

【課題】コンパクト、ポータブル、又は輸送可能で、小動力源を備えて自家発電し、訓練を不要か殆ど必要とせずに局外者が容易に使用できる周囲の胸部圧迫を提供する。
【解決手段】心肺機能蘇生のために、胸部圧迫を実行するためのシステムで、圧迫機構の動作を制御及び制限するためのクラッチ51及びブレーキ45,53のシステムを有するモータ41を備えると共に、システムの作動が最大限に自動化されるように種々の構成部品の作動及び相互作用を制御するための制御システムを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は心停止患者の蘇生に関する。
【背景技術】
【0002】
心肺機能蘇生法(CPR)は、良く知られた価値ある救急方法である。CPRは心臓発作、感電、胸の怪我及び他の多くの原因の後に心停止した人を蘇生させるために使用される。心停止中、心臓は血液の拍出を停止し、心停止した人は、まもなく脳への血液供給の不足から脳障害を受ける。したがって、CPRには、身体に血液を拍出する心臓及び胸腔を圧搾するために、繰り返し胸部を圧迫することが必要とされる。多くの場合、患者は呼吸していない。口移し式人工呼吸又はバッグバルブマスクが、胸部圧迫により身体に血液が拍出されている間、肺に空気を供給するために使用される。
【0003】
なお、特に心停止直後に使用される場合、CPR及び胸部圧迫により心停止患者を救うことが可能である。胸部圧迫には、毎分80〜100回患者の胸骨を繰り返し下方に押すことが必要とされる。CPR及び閉胸部圧迫は、心停止患者がどこで傷ついても使用できる。それは、病院から離れた現場で、病の訓練を受けた局外者あるいは高度に訓練された医療補助員及び救急隊員によって行えばよい。
【0004】
救急準備者が胸部圧迫をうまく行う場合、身体中の血液流量は正常な血液流量の約25〜30%である。これは脳障害を防ぐのに十分な血液流量である。しかしながら、胸部圧迫が長時間必要となる場合、心臓及び胸郭を適切に圧迫し続けるのは不可能ではないにしても困難である。経験を積んだ医療補助員さえ、数分以上、適切に胸部圧迫し続けることは不可能である。(Hightower他、「時間経過による胸部圧迫の質の減少」、緊急医療協会誌26巻、300頁、1995年9月参照)したがって、CPRに長時間必要とされる場合、患者が持ちこたえたり蘇生することは殆どない。同時に、胸部圧迫が十分に維持できれば、心停止患者が延長された時間に耐え得ることははっきりしている。延長されたCPRの努力(45〜90分)に関する時々の報告書には、患者が結局冠状動脈のバイパス手術によって救われたことが記載されている。(Tovar他、「成功した心筋血管再生及び神経蘇生」、テキサス心臓協会機関誌22巻、271頁、1995年参照)
【0005】
よりよい血液流量を提供し、かつ局外者の蘇生努力の有効性を増加させるために、基礎的なCPRの手順の変形例が提案され、使用されている。後述する装置及び方法に関して、様々な機械的装置、すなわち胸腔の繰り返し圧迫がCPRの主な操作活動での使用のために提案されている。
【0006】
Barkolowの心肺蘇生器マッサージパッド、米国特許第4,570,615号(1986年2月18日)に示された装置、市販のサンプ装置(Thumper device)、及びその種の他の装置は、連続的な閉胸部圧迫を提供する。Barkolow及び他のものは、胸腔に配置されると共に、ビーム配列によって支持されるピストンを備える。ピストンは、患者の胸骨に配置され、空気圧で胸部を下方に繰り返し押圧する。患者はまず装置を取り付けられなければならず、ピストンの高さ及びストローク長さは、胸部圧迫中の遅延を導くために、使用前に患者のために調整しなれけばならない。他のアナログの装置が、胸骨でのピストン動作をマニュアルとするために提供される。Everetteの外部心臓圧迫装置、米国特許第5,257,619号(1993年11月2日)は、例えば、患者の上方に支持されたピポッドアームに載置された簡易な胸部パッドを提供し、この胸部パッドはピボットアームに押し下げることにより胸部を圧迫するのに使用され得る。これらの装置はマニュアル胸部圧迫ほど臨床的に成功しない。(Taylor他、「外部心臓圧迫、機械的及び手動技術のランダム比較」、米国医師会誌240巻、644頁、1978年8月参照)。
【0007】
胸部機械的圧迫用の他の装置は、胸のまわりのベストか革ひもによって胸骨に固定される圧迫ピストンを備える。Woudenbergの心肺蘇生器、米国特許第4,664,098号(1987年5月12日)は動力が空気シリンダで発生する装置を示す。Waideらの外部心臓マッサージ装置、米国特許第5,399,148号(1995年3月21日)はマニュアル操作される別の装置を示す。そのような装置の他の変形では、胸のまわりに配置するために設計されたベストかベルトは、胸部に圧迫力を作用させるために十分な空気ブラダー(bladder)を備える。Scarberryの人体圧力付加装置、米国特許第5,222,478号(1993年6月29日)、及びHalperinの心肺機能蘇生法及び補助サーキュレーションシステム、米国特許第4,928,674号(1990年5月29日)は、そのような装置の例を示す。Lachらの蘇生方法及び装置、米国特許第4,770,164号(1988年9月13日)は、背中の両側に幅広バンド及び止め木を有し、胸部を圧迫するために隣接してクランプ動作する胸部圧迫部を備える。
【0008】
蘇生装置が成功するには、幾つかの操作パラメータを満足していなければならない。胸部圧迫は有効であれば活発に実行されなければならない。胸部圧迫中に発揮された努力は、実際には胸部の心臓及び大動脈を圧迫することは殆どなく、胸部及び胸郭の変形をもたらす。効果的に胸部を圧迫するのに必要とされる力により他の傷が生じる危険が発生する。CPR中、心臓に穴を空けることを回避するために、胸骨上に手を置くことが必要とされることは周知である。胸部圧迫によって多数の他の傷が発生する。心臓、冠状動脈、大動脈瘤及び破裂の裂傷、肋骨の骨折、肺ヘルニア、胃及び肝臓裂傷がCPRによって引き起こされたことを示す(Jones及びFletter、「心肺機能蘇生法後の併発症」、緊急医療協会誌12巻、687頁、1994年11月参照)。したがって、胸部圧迫に付随する傷の危険が高く、それらの傷を回避することができる蘇生技術と比較して患者の生存機会が明らかに減少する。胸部は血液流量を引き起こすのに十分に圧迫できないので、胸部圧迫は、非常に大きいすなわち肥満の心停止患者には全く効果がない。空気式装置による胸部圧迫は、傷から胸部を保護することができず、胸部ではなく胸腔の変形に圧迫力を作用させることができないため、女性への適用が妨げられる。
【0009】
CPR及び胸部圧迫は、その有効性を最大限にし、かつ脳への血液流量の不足による神経損傷を回避するために、心停止後にできるだけ早く始められるべきである。低酸素症は心停止後、約2分以内に始まり、脳のダメージは脳への血液流量にも拘わらず約4分後に起こり、重大な神経欠陥は時間と共に急速に増大する。2,3分の遅延は、著しく生存機会を低下させ、脳障害の可能性及び深刻度を増加させる。しかしながら、CPRとACLSは、恐らくこの時間枠内には提供されない。心停止に対する反応は、局外者のCPR、基礎的な生命維持装置、心臓の生命維持装置及び緊急処置室による働きを含む4つの局面に生じると一般に考えられている。局外者のCPRは、いずれにしても心停止後の最初の数分以内に行われる。基礎的な生命維持装置は、現場に急送された後、約4〜6分で到着する第1応答者によって提供される。第1応答者は救急車人員、緊急医療技術者、消防士及び警察官を含む。彼らは一般にCPRを提供することができるが、薬又は血管内へのアクセス、細動除去又は挿管を提供できない。高度な生命維持装置は、一般に第1応答者に続く、約8〜15分の後に到着する急送の医療補助員あるいは正看護婦によって提供される。ALSは、一般にCPR、静脈注射用薬デリバリを含む薬品治療、細動除去、及び挿管を提供できる医療補助員、正看護婦又は緊急医師によって提供される。ALS供給者は、近くの病院へ患者を輸送する前に20〜30分間患者に働きかけてもよい。細動除去及び薬品治療は、患者を蘇生させたり持ちこたえさせたりすることに多くの場合成功するが、CPRは良く訓練された第1応答者やACLS人員によって実行されるときでさえ、供給者が疲労すれば胸部圧迫の効果がなくなるので、多くの場合効果がない。したがって、生命維持の成功には、第1応答者が到着前にCPRを開始することが不可欠である。さらに、基礎的な生命維持及び高度な生命維持段階では、CPRの有効性を維持するために機械的胸部圧迫装置の補助が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,570,615号明細書
【特許文献2】米国特許第5,257,619号明細書
【特許文献3】米国特許第4,664,098号明細書
【特許文献4】米国特許第5,399,148号明細書
【特許文献5】米国特許第5,222,478号明細書
【特許文献6】米国特許第4,928,674号明細書
【特許文献7】米国特許第4,770,164号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Hightower他、「時間経過による胸部圧迫の質の減少」、緊急医療協会誌26巻、300頁、1995年9月
【非特許文献2】Tovar他、「成功した心筋血管再生及び神経蘇生」、テキサス心臓協会機関誌22巻、271頁、1995年
【非特許文献3】Taylor他、「外部心臓圧迫、機械的及び手動技術のランダム比較」、米国医師会誌240巻、644頁、1978年8月
【非特許文献4】Jones及びFletter、「心肺機能蘇生法後の併発症」、緊急医療協会誌12巻、687頁、1994年11月
【発明の概要】
【0012】
後述する装置は、コンパクト、ポータブル、又は輸送可能で、小動力源を備えて自家発電し、訓練を不要か殆ど必要とせずに局外者が容易に使用できる周囲の胸部圧迫を提供する。また、付加的な特徴としては、装置の商業的実用化のために熟考された動力源及び支持ボードを利用する装置に設けても良い。
【0013】
装置は、心停止患者の胸まわりを包み、正面で締め付けられる幅広ベルトを備える。上記ベルトは、CPRに必要な胸部圧迫を引き起こすために、胸のまわりで繰り返して締め付けられる。バックルは、装置が駆動する前に、適切な付属品によって駆動されなければならないインターロックを備え、それによって無駄なベルトサイクルを阻止してもよい。繰り返してベルトを締めるための操作機構は、患者側で位置決め可能な小さなボックスに設けられ、胸まわりの圧迫を引き起こすためにベルトの中間を巻き上げる回転機構を備える。ローラは、小さな電動機によって動力が供給され、バッテリー及び/又は標準電力によって駆動するモータには、例えば、120Vの家庭用電気ソケット又は直流12Vの自動車用電力ソケット(自動車用たばこライター・ソケット)から供給される。ベルトは、モータボックスに着脱容易なカートリッジを備える。カートリッジはコンパクトにするために折り畳んでもよい。モータは、カム・ブレーキ及びクラッチを備えるトランスミッションを介してベルトに連結され、幾つかのモードで、モータ、クラッチ及びカム・ブレーキを操作するコントローラが設けられている。そのような1つのモードでは、高圧迫閾値から低圧迫閾値にベルト運動が制限される。そのような他のモードでは、弛緩に抗してベルトを締め付けた状態に維持した後、ベルトを緩める。いくつかのモードでは、圧迫がCPR呼吸を不能とする間の小休止期間が含められ得る。したがって、多くの発明が後述するポータブル蘇生装置に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】蘇生装置の外観である。
【図2】ベルトカートリッジの取り付けを示している。
【図3】ベルトカートリッジの作動を示している。
【図4】ベルトカートリッジの作動を示している。
【図5】他のベルトカートリッジを示している。
【図6】他のベルトカートリッジを示している。
【図7】他のベルトカートリッジを示している。
【図8】他のベルトカートリッジを示している。
【図9】他のベルトカートリッジを示している。
【図10】他のベルトの実施形態を示している。
【図11】他のベルトの実施形態を示している。
【図12】モータボックス内のモータ及びクラッチの配置を示している。
【図12a】図12の装置の他の実施形態を示している。
【図12b】図12aの装置と共に使用されるシールドを示している。
【図13】連続的に駆動するモータを備えた基礎的な実施形態中のモータ及びクラッチのタイミングテーブルである。
【図13a】図13のタイミングダイヤグラムに関し、操作されたシステムによって起こる圧力変化のダイヤグラムである。
【図14】連続的に駆動するモータを備えた基礎的な実施形態中のモータ及びクラッチのタイミングテーブルである。
【図14a】図14のタイミングダイヤグラムに関し、操作されたシステムによって起こる圧力変化のダイヤグラムである。
【図15】圧迫ベルト圧搾及びホールド手術用モータ及びクラッチのタイミングテーブルである。
【図15a】図15のタイミングダイヤグラムに関し、操作されたシステムによって起こる圧力変化のダイヤグラムである。
【図16】ベルト圧迫が各サイクル中に完全に緩むことを可能にしないシステム中のモータ、クラッチ、及びカム・ブレーキのタイミングを示している。
【図16a】図16のタイミングダイヤグラムに関し、操作されたシステムによって起こる圧力変化のダイヤグラムである。
【図17】モータ、クラッチ及び第2のブレーキ又は駆動車輪すなわちスピンドル自身を使用するシステムと共に使用されるタイミングテーブルを示している。
【図17a】図17のタイミングダイヤグラムに関し、操作されたシステムによって起こる圧力変化のダイヤグラムである。
【図18】圧迫ベルトの圧迫及び保持操作に対するモータとクラッチタイミングを表わした表である。
【図18a】図18のタイミング表により操作されたシステムによって生じた圧力変化を表わしたグラフである。
【図19】圧迫ベルトの圧迫及び保持操作に対するモータとクラッチタイミングを表わした表である。
【図19a】図19のタイミング表により操作されたシステムによって生じた圧力変化を表わしたグラフである。
【図20】圧迫ベルトの圧迫及び保持操作に対するモータとクラッチタイミングを表わした表である。
【図20a】図20のタイミング表により操作されたシステムによって生じた圧力変化を表わしたグラフである。
【図21】システムタイミングが高閾値に達した時点毎にリセットされる実施例における圧迫ベルトの操作に関するモータとクラッチタイミングを表わした表である。
【図21a】図21のタイミング表により操作されたシステムによって生じた圧力変化を表わしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、蘇生装置1の全体図である。主要部は、モジュール式であり、モータボックス2、ベルトカートリッジ3及びベルト4からなる。上記モータボックス2の外部には、駆動ホイール6内にスプロケット5が設けられ、このスプロケット5は、上記ベルトカートリッジ3の受けロッド7と係合する。上記ベルトカートリッジ3は、患者の胸部の周囲に巻かれる上記ベルト4を収容している。また、上記ベルトカートリッジ3は、上記受けロッド7によって回転されるスプール8を含む。このスプール8は、ベルト4の中間点を巻き取り圧迫サイクル状態にする。コンピュータ制御システム10は、図示するように上記モータボックス2内に収容されることが好ましい。上記装置を、上記モータボックス2が上記ベルトカートリッジ3に着脱自在に取り付けられているモジュール式で提供することにより、上記ベルトカートリッジ4を、患者の下側に容易に滑らすことが可能となる。
【0016】
図2は、内部機構を含む上記ベルトカートリッジ3を詳細に示している。上記ベルトカートリッジ3のアウタ部は、保管する間ベルト4の保護に役立つものであり、左側パネル11L及び(使用時において患者側に対する)右側パネル11Rを備えたバックプレート11を有する。上記右側プレートは、保管及び運搬されるとき左側プレート上に折り畳まれる。両方のパネルは、操作時にベルト4がパネル全体に渡って摺動するとき摩擦を減少させるような低摩擦材、例えばPTFE(登録商標テフロン)からなるシート12により覆われている。ベルトカートリッジ13の左側パネル11L下側には、ハウジング13が設けられ、このハウジング13は、ベルト4の中間部分、スプール8及びスピンドル15を収容している。(使用時に患者に関する解剖学的位置に対応する)上記カートリッジの側部14は、駆動軸7と一体の駆動スプール8を収容している。駆動軸7は、モータボックス2の駆動ホイール6と係合する。上記ベルトカートリッジ3は、上記ベルト4を駆動スプール8の方向に向かわせるためのガイドスピンドル15(図3に図示)を収容している。このガイドスピンドル15は、カートリッジ15の(使用時において患者の中心線に対応する)中心部の近傍に配置されており、装置が使用されるときには背骨の近くに位置する。このガイドスピンドル15は、ベルト4の左側に対してベルトの進行方向を反転させて、これにより駆動スプール8によって左側に引張された場合、身体の左横腹の周囲を覆う部分は、右側に移動する。上記カートリッジ本体は、中線の近傍においてもヒンジ接続されている。この図において、ベルトカートリッジ3は、スピンドル15の軸近傍にヒンジ接続されている。摩擦ライナ16は、ガイドスピンドル15の領域においてベルト4上方に浮遊し、ハウジングの頂上部と底面パネル13t,13bに取り付けられており、左側ベルト部11Lと右側ベルト11Rがベルトカートリッジ3から分岐する領域において広がっている。上記ベルト4が、開放状態で示されている。右側ベルト部11Rに設けられている雄型迅速解放取付部材17Rを、左側ベルト部11Lに設けられている対応する雌型迅速解放取付部材17Lに嵌合させることにより、患者の胸郭の周囲にベルト4を着脱自在に固定することが可能となる。ベルト4の左及び右側のベルト長は、調整可能であり、操作時にバックルをちょうど患者の胸郭の中心部の上に置くことができる。もしくはベルト長は、胸部周囲のその他の場所にバックルを配置するように調整可能である。ハンドル18は、装置の取り扱い及び運搬を便利にするために設けられている。
【0017】
図3は、上記ベルトカートリッジ3の断面図である。ハウジング1は、上面側から見た場合、比較的平坦である。(しかし、患者の下側に滑らすことができるようにくさび形状であることが好ましい。)左側パネル11Lは、ハウジング13の頂上部に位置し、右側パネル11Rは、ハウジングから伸長している。展開位置において、カートリッジは、患者の下側に横側から滑り込ますことができる程度に十分平坦である。断面図において、ガイドスピンドル15が図示されている。また、駆動スプール8のスロット9に通されているベルト4がより明確に示されている。ベルト4は、強化繊維からなる1つの長いバンドからなり、駆動スプール・スロット9を貫通し、駆動スプール8から右側の迅速解放部材17Rまで伸長し、一方、駆動スプール8からガイドスピンドル15の周囲を回って駆動スプール15の方へ後向きに向きを変え、左側の迅速解放部材17Lまで伸長している。上記ベルト4は、その中間点で駆動スプール8を貫通し、ガイドスピンドル15の周囲を回る。ガイドスピンドル15の周囲では、左側ベルト部4Lがガイドスピンドル15の周りで折り畳まれられ、摩擦ライナの下側を通り、カートリッジの左側へと戻る。一方、右ベルト部4Rはガイドスピンドル15を通過し患者の右側部の周囲に到達する。摩擦ベルトライナ16は、ガイドスピンドル15とベルト4の上に浮遊し、ハウジング上に取り付けられ、患者と圧迫ベルトとの間に密着する。ベルトカートリッジ3は、ガイドスピンドル15が脊椎21に近い位置に位置して実質的に脊椎と平行であるように患者20の下側に配置される。また、迅速解放取付部材17R,17Lは、胸部の胸骨22の一般的な領域上で結び付けられる。
【0018】
使用時において、ベルトカートリッジ3は患者20の下側に滑り込まされ、左及び右の迅速解放部材17R,17Lが接続される。図4に示すように、駆動スプール8が回転すると、ベルト4の中間部分を巻き上げて胸部の周囲にベルト4を締め付ける。ベルト4によって作用される圧迫力により、CPRに必要な内部胸郭圧力が十分に引き起こされ、もしくは増加させられる。ベルト4が駆動スプール8の周りに巻上られると、患者の胸部は、図示するように十分に圧迫される。
【0019】
通常はベルトカートリッジ3を患者の下側に滑り込ますことが好ましいが、これは必ずしも必要ではない。空間的制限のために必要である場合に、バックルを用いて背面側もしくは側部側で、またはモータを用いて患者の側部側もしくは上面側で患者に装置を固定してもよい。図5に示すように、ベルトカートリッジ3は、右側ベルト部4Rと右側パネル11Rだけを患者の下側に滑り込まし、右側パネル11Rと左側パネル11Lが部分的に展開した状態で患者20に装着することが可能である。右側パネル11R及び左側パネル11Lの間にヒンジを設けることにより、装置の設置に順応性を持たせることができる。図6は、右側パネル11Rと左側パネル11Lの両方を患者の下側に滑り込ますとともに、モータボックス2を上向きに固定し、駆動スプール8の軸回りで回転させて、患者20に装着されたベルトカートリッジ3を示す。これらの構成は、モータボックス2をベルトカートリッジ3に接続するというモジュール特性により可能となり、救急車またはヘリコプターのような狭い空間において有効である。(いずれの回転方向への巻上操作によってもベルトを締め上げることができるが、患者と装置の上面側から見た場合時計回り方向である矢印23で示す方向に締め付けることにより、体から外側に離れるのではなく体側に向かうように、モータボックス2を回転させるように作用する作用力が装置内において生じる。モータボックス3とベルトカートリッジ3との間のあらゆる回動動作を防止するための固定ピンが設けてもよい。図に示すようなモータボックス2の構成において、ボックスの高さ(ボックスの高さは、患者の左横腹と駆動スプールとの間の距離未満である。)を制限しておけば、固定ピンが何らかの理由のために係合されていない場合にも患者との接触を防止することができる。駆動ベルトの回転を、反時計回り方向に反転させ、作用力によりモータボックス3を外側に回転させることも可能である。この場合、固定ピンのような固定機構が、装置の動作から操作者を守るのに役立つ。)
【0020】
パネルの向きにかかわらず、逆回転するスピンドル15は、圧迫を確実にするようにベルト4の搬送方向を適切な向きに向かわせる。右側ベルト部4Rと左側ベルト部4Lが患者の胸部の下側で分岐する場所にスピンドル15を設けることにより、またこのスピンドル15を身体に極めて近接して配置することにより、ベルト4を胸郭周囲のほぼ全ての点において接触させることが可能となる。スピンドル15は、ベルト4の左側部分4Lの移動方向を、右から左への横方向から、左から右への横方向へと向きに反転する位置に位置している。一方、ベルト4の右部分4Rは、駆動スプールによって引かれるとスピンドル手段を通過して常に患者に関して右から左へと移動する。これにより、胸部と係合しているベルト4は、胸部の反対側の側部を中央点の近くの共通点まで常に引張する。図3,4において、両側の側部は、患者の解剖学的側部に対応し、中央箇所は脊椎に対応する。図5において、側部は脊椎と胴部の腹側左側部に対応し、中央点は胸部の左側部に対応する。さらに、身体の中央に位置する1つのスピンドル15を使用するとともに、身体の側部に配置された駆動スプールを使用することにより、モータアセンブリの簡単な構成と着脱自在もしくは組立式の実施例を可能とし、また全体の装置にモータボックスを取り付ける前に患者の周りにベルトを配置することを可能とする。
【0021】
図7は、圧迫ベルト4の変形例の実施形態を示す。この圧迫ベルト4は、設けられたモータ速度もしくは伝動機構に対する巻上速度を減少させる、または設けられたモータ速度に対する圧迫力を2倍にさせる。圧迫ベルト4は、ベルト材料からなるループ24を含む。このループは、迅速解放取付部材26内のスピンドル25の周囲を回り、身体を回りガイドスピンドル15に到達し、ガイドスピンドルを回りもしくは通過し、駆動スプール8の中へと続く複雑な経路を通されている。左ベルト部の外側層27Lと右ベルト部の外側層27Rは、左ベルト部の内側層28Lと右ベルト部の内側層28Rとともに連続的なループを形成する。このループは、固定スピンドルから内側に進み、胸部の周囲を反対側の駆動スプールまで内側に進み、反対側の駆動スピンドルから外側に進み、胸部に渡って下方に進み、ガイドスピンドルを通過し駆動スプールに至り、駆動スプール・スロットを介してガイドスピンドルの下側後方に進み、ガイドスピンドルの周囲を逆向きに進み胸部後方に渡って上向きに進み固定スピンドルまで進む。このようにこの2つの層ベルトの内側及び外側層両方は、駆動スプールに向かって引張され、身体に作用する圧迫力が生じる。これにより、ベルトが患者に対して直接的に作用するのと違い互いに対して作用するので摩擦を低減するのに役立つ。さらに、低トルク、高速のモータにより必要な力を発生させることが可能となる。
【0022】
図8において、上記2層ベルトシステムは、内側ベルト部を適切な位置に固定し、身体の表面に沿って移動することを防止する構造により修正が加えられている。これにより、身体と接触するベルトの主要部分が身体に対して比較的摺動しないという利点がある。ベルト内側層をループ経路に関して適切な場所に固定するために、固定バー29が、ハウジング13の内側にガイドスピンドル15と駆動スプール8と平行に固定されている。内側ループは、固定バーに対して固定され締められることが好ましい。もしくは固定バーに渡って摺動的に輪をつくることが好ましい(さらに固定バーは、スピンドルのように回転可能であることが好ましい。)。左ベルト部の外側層27Lと右ベルト部の外側層27Rは、駆動スプール8を通されている。取り付けられた固定バーにより、駆動スプールが回転するとベルトの外側層を巻上げ、これらの外側層は、左ベルト部の内側層28Lと右ベルト部の内側層28Rの上を摺動するように作用される。しかし、内側層は、患者の表面に対して摺動しない。(ベルトに作用する力により自発的にわずかに生じる、患者の周囲においてベルトがセンタリングする短い数サイクルの間を除く。)
【0023】
図9において、2層ベルトシステムは、内側ベルト部を適切な場所に固定せずもしくはからだの表面に沿っての移動を防止しないような構造により修正が加えられている。しかし、代わりにベルトの内側層に作用する第2の駆動スプールが設けられている。ベルトの内側層をループ経路に対して駆動するために、第2駆動スプール30が、ガイドスピンドル15及び駆動スプール8と平行になるようにハウジング13内に取り付けられている。この第2駆動スプールは、ハウジング内に連動される伝動機構を介してもしくはハウジング及びモータボックス内の適当な連動機構を介して駆動される第2駆動ソケットから突出する第2受けロッドを介して、モータによって駆動される。内側ループは、第2駆動スプールに固定され締め付けられることが好ましい。もしくは第2駆動スプール・スロット31を通されることが好ましい。左側ベルト部の外側層27Lと右側ベルト部の外側層27Rは、第1駆動スプール8を通されている。第2駆動スプールにより、第1駆動スプール8が回転するとベルトの外側層を巻上げ、これらの外側層は、左側ベルト部の内側層28Lと右側ベルト部の内側層28Rの上を摺動するように作用される。一方、第2駆動スプールは、内側層を巻上げない。
【0024】
圧迫ベルトはいくつかの形式で提供してもよい。それは、パラシュート生地あるいはタイベック(tyvek)のような幾つかのタフな材料で作られていることが好ましい。図10で示される最も基本的な形式において、ベルト4は固定端32Lおよび32R、および、左右ベルト部4L,41Rに対応し、スプール係合用中央部33を備えた素材からなるプレーンなバンドである。我々は、ドライブ・スプール中のベルトを係合する便利なメカニズムとして、スプール・スロットを通っているベルトと協同してスプール・スロットを使用する一方、ベルトはドライブ・スプールにあらゆる方法で固定してもよい。図11において、圧迫ベルトは、ドライブ・スプールを通っているケーブル34に結合されている左右ベルト部4L,41Rからなる別個の2片で提供される。この構成は極めて短いドライブ・スプールを許容し、図10の全巾圧迫バンドに内在するハウジング内の摩擦を除去できる。固定端32Lおよび32Rは、他の迅速なリリース・メカニズムの代わりとして使用できるフックアンドループ固定要素35で取り付けられる。操作中のベルトの緩めおよび締め上げの長さを提供するため、スプール近傍のベルトのスケール36が中央部33に係合するように、ベルトあるいはケーブルは線形エンコーダスケールの追加で修正してもよい。対応するスキャナあるいはリーダは、エンコーダスケールの近くに置かれたカートリッジ内、あるいは、モータボックス上にインストールしてもよい。
【0025】
図12は、モータボックス内におけるモータおよびクラッチの配置を図示する。モータボックスの外部には、ハウジング41、および、システムによって測定されたあらゆるパラメータの表示に便利なディスプレイスクリーン42を備えたコンピュータ・モジュール10がある。モータ43は、トルクを引き出すのに必要なベルトを稼働でき、典型的な小さなバッテリーで操作されるモータである。モータ軸44は、モータがエネルギーを与えられない場合(あるいは逆の負荷がギヤボックス出力軸に負荷される場合)、モータ空回りを制御する減速ギヤおよびカム・ブレーキを有するブレーキ45に同一軸心上に直接並べられている。ギヤボックス出力ロータ46は、入力歯車49に接続したチェーン48および歯車47に、そして、これによってクラッチ51の伝達ロータ50に接続している。クラッチ51は、入力歯車49が出力ホィール52に噛み合うか、そして、入力ホイールに入力される回転が出力ホイールに伝達されるかどうかを制御する。(図17に基づいて以下で説明するように、我々がスピンドルブレーキと呼ぶ第2ブレーキ53が、いくつかの実施形態においてシステムを制御する。)出力ホイール52は、チェーン54、駆動ホイール6、および、受けロッド7を介して駆動スプール8に接続されている。駆動ホイール6は、駆動ロッド7に嵌合して係合する大きさの形に作られている受けソケット5(駆動ロッドと一致する単純な六角形あるいは八角形のスプロケットで十分である)を受け入れている。我々はシステムの中でカム・ブレーキとしてラップ・スプリングブレーキ(Warner Electricによって販売されているMAC 45)を使用する一方、あらゆる形式のブレーキを使用できる。ラップ・スプリングブレーキは、電源を切られた時に軸の空回りを許すという長所を持ち、エネルギーを与えられた時だけに保持される。ラップ・スプリングブレーキはモータと無関係に操作してもよい。我々がシステムを通じて力を伝達するためにチェーンを使用する一方、ベルト、ギヤあるいは他のメカニズムを使用してもよい。
【0026】
図12aは、モータ箱の内のモータおよびクラッチの配置を図示する。モータボックスの外部には、トルクを引き出すのに必要なベルトを働かせることができる、典型的な小さなバッテリーで操作されるモータであるモータ43を保持するハウジング41を有している。モータ軸44は、減速ギヤおよびカムを有するブレーキ45に同一軸心上に直接並べられている。ギヤボックス出力ロータ46は、ブレーキをかけるため、駆動ホイール6および受けロッド7に直接、順番に接続する出力ホイール47およびチェーン48に接続している。駆動スプール8はハウジング41内に配置されている。駆動ホィールの反対側の駆動スプールの端部で、ブレーキ55は駆動スプールに直接接続されている。ベルト4は駆動スプール・スロット9から通されている。モータボックスにこすれることからベルトを保護するため、長い開口58を備えたシールド57は、開口が駆動スプール上に位置し、ベルトが開口を介して駆動スプール・スロット内に通り、ハウジングから戻すことを許容するようにハウジングに固定されている。ハウジングの下、ハウジングの底のチャンネル内にスライド可能に配置され、プッシュ板70がハウジング対して前後にスライド可能に位置決めされている。ベルト右部4は、プッシュ板の右チップ72に噛み合いあるいは係合するポケット71に取り付けられる。プッシュ板の右チップはポケット内に適合する大きさの形に作られている。この適合メカニズムにより、ベルトをプッシュ板上で滑らせることができ、プッシュ板の左端のハンドル73で、右ベルト部と一緒にプッシュ板が患者の下を押すことができる。ベルトは、ハウジング内あるいはハウジング上に設けたエンコーダ・スキャナで読むことができるエンコーダスケール36を有している。使用時、ベルト右部は、プッシュ板に固定し、かつ、患者の下に前記プッシュ板を滑らすことによって患者の下に滑り込む。その後、モータボックスは、患者(ベルトは調節するために駆動スプール・スロットを通って滑り込む)の周囲の所望の位置に位置決めできる。その後、固定ベルトが患者の胸を囲むようにベルトの右側はベルト左部に接続できる。図12および12aのいずれにおいても、モータは、クラッチおよび駆動スプールの隣り合う位置に設置されている。モータおよびローラの並設配置で、モータは患者の傍に配置でき、そして、患者の下、あるいは、肩あるいは腰に干渉する位置に配置する必要はない。さらに、これは、モータとローラとの直列関係と比較し、装置のよりコンパクトな収納配置を認める。バッテリーはボックス内に配置され、あるいは、スペースが許せばボックスに付けられる。
【0027】
操作中に、シールドが胸(シールドと胸との間に挿入された移動するベルトで)に接するまで、駆動スプールおよびベルトの動きは胸の方に装置を引き寄せる。また、シールドは、モータボックスのあらゆるラフな移動から患者を保護し、回転駆動スプールと患者の皮膚との間の最小距離の維持を助け、ベルトの両側がハウジング内に引かれるので、患者あるいは患者の衣類の巻き込みを回避するのに役立つ。図12bで図示されているように、シールド57はさらに短い距離で分離されている2つ長い開口74を有していてもよい。この実施形態のシールドで、ベルトの片側は、一方の開口を通り、駆動スプール・スロット内に挿入され、さらに、ベルトの他方の片側は駆動スプール・スロットから、そして、シールドの他の開口を介して外側に出ている。示されているシールドはアーチ形の横断面(それがインストールされる身体に比例し)を有している。このアーチ形は、ボックスとベルトとの間で十分な巾のシールドが延在していると同時に、使用中の床にモータボックスを置くことを可能にする。シールドは、ベルトが容易に滑ることを可能にするプラスチック、ポリエチレン、PTFEあるいは他のタフな材料で作られている。しかしながら、モータボックスは、患者の胸の周囲のいかなる場所にも置いてもよい。
【0028】
システム・コントローラとして動作するコンピュータ・モジュールはボックス内あるいはボックスに取り付けられ、全システム(血圧、血液酸素、エンドタイドル(end tidal)CO2、体重、胸周囲などがパラメータであり、このパラメータは、システムによって測定でき、さらに、圧迫割合およびトルクのしきい値、あるいは、ベルトの締め上げおよび緩め制限を調整するため、コントロールシステム内に組み込むことができる)に含まれている生物学的かつ物理的なパラメーター・センサと同様、操作可能にモータ、カム・ブレーキ、クラッチ、エンコーダおよび他の操作部品に接続される。さらに、我々の先行出願第08/922,723号に図示されているように、コンピュータ・モジュールは、ディスプレイおよび遠隔通信、センサ・モニタリングおよびフィードバック・モニタリングのような様々な付随的な作業を扱うようにプログラムできる。
【0029】
コンピュータは、プログラムされ(ソフトウェアまたはファームウェアまたは他の方法で)、繰り返してモータを回すように操作され、駆動スプールに圧迫ベルトを巻き付けるためにクラッチを開放し(これによって、患者の胸を圧迫し)、ベルトを開放することを許す駆動スプールをリリースし(これによって、ベルトおよび患者の胸を広げることを可能にする)、各サイクルの時間中にロックされ、あるいは、ブレーキがかけられた状態で駆動スプールを保持する。コンピュータは、トルク・センサあるいはベルト・エンコーダのような様々なセンサからの入力をモニターするようにプログラムされ、例えば、圧迫ストロークを停止し、あるいは、トルク限界かベルト取り分範囲に応じてクラッチ(あるいはブレーキ)を滑らせることにより、検知されたこれらのパラメータに応じてシステムの操作を調節する。以下で示されるように、モータボックスコンポーネントの操作は、高い胸郭内の圧力の時間を延長する圧迫方法を保持し、そして、圧搾するために調整してもよい。システムは、圧し込んで、および、より迅速な圧迫サイクルおよびより良い波形のための迅速なリリース方法、ならびに、ある状態のフロー特性で操作してもよい。モータボックスコンポーネントの操作は、ベルトの過去の圧迫しきい値範囲あるいは緩和範囲を移動させるための時間およびバッテリーパワーの浪費を回避するため、制限された弛緩および圧迫のために調整してもよい。コンピュータは、ベルト圧迫の上方しきい値を決定するために検知された2以上のパラメータをモニターするようにプログラムされていることが好ましい。トルク・センサによって測定されるモーター・トルク、および、ベルト・エンコーダによって決定される引き出されるベルト長さをモニターすることにより、システムは余分な制限パラメータでベルト取り分を制限できる。システムに2つの制限パラメータを適用することによって提供される余剰は、システムがベルトの締め上げの停止によってしきい値を検知せずに応答しない一方、単一の圧迫パラメータが安全しきい値を超える場合に、過剰圧迫を回避する。
【0030】
圧迫ベルトの状態に関してモータ・コントローラにフィードバックさせるように、角光学エンコーダはシステムのあらゆる回転部分に設置してもよい。(エンコーダ・システムは光学スキャナに接続した光学スケール、磁気あるいは誘導エンコーダに接続した磁気あるいは誘導スケール、回転電位差計あるいは利用可能ないくつかのエンコーダ・システムのうちのいずれか1つであってもよい。)エンコーダ56は、例えば、第2ブレーキ53(図12中)に取り付けられ、かつ、システム・コントローラにモータ軸動作の表示を与える。さらに、エンコーダは、ドライブ・ソケット5あるいは駆動歯車6、モータ43および/またはモータ軸44に配置してもよい。システムはトルク・センサ(例えば、モータに検出電流を供給)を有しており、モータ上のトルクか負荷をモニターする。いずれか一方あるいは両方のパラメータのため、しきい値が、更なる圧迫が要求されないか、有用ではない以上に設定され、さらに、これが胸の圧迫中に生じる場合、クラッチが外される。ベルト・エンコーダは、ベルトの取り分を追跡し、ドライブ・ベルトに巻かれるベルトの長さを制限するため、コントロールシステムに使用される。
【0031】
エンコーダを使用する心臓圧迫装置のために胸部圧迫(周囲の変化)の量をコントロールするため、コントロールシステムは、ベルト取り分のためのベースラインまたはゼロポイントを設定しなければならない。ベルトが前記ポイントに余裕がないとき、幾分かの緩みが取り上げられた場合、モータは、胸を圧迫する負荷より下で回転し続けるためにより多くの電流を必要とするであろう。モータ電流ドロー(モータしきい値電流ドロー)におけるこの予想された急激な増加は、トルク・センサ(アンプ・メーター、分圧器回路等)によって測定される。電流または電圧のこのスパイクは、ベルトが患者にきつく引っ張られたという信号として得られ、そして、引き出されたベルトの長さは、適切な出発点であり、そして、この点でのエンコーダ測定はシステム(すなわち、ベルト取り分の出発点として得られた)内でゼロの位置に合わされる。その後、エンコーダは、この仮に締められた位置からベルトの長さの変化を決定するシステムに使用される情報を提供する。長さの変化をモニターしてコントロールする能力は、コントローラが、圧迫サイクル中のベルト取り分の長さを制限することにより、患者の体積の変化および患者の突出した圧力の量をコントロールすることを可能にする。
【0032】
最適圧迫のためのベルト取り分の予想長さは1〜6インチである。しかしながら、やせた個人に対する6インチの動程は、胸の周囲における過度の変化を起こし、装置から傷の危険を与える。この問題を克服するため、システムは、前述のように教えられるようになるのに要求されるベルト動程の量を測定することにより、要求されるベルト長さの必要な変化を決定する。ベルトの初期の長さを知り、かつ、教えられるようになるのに要求される量から引き算をすることは、患者のサイズ(胸周囲)の基準を提供する。その後、システムは、患者に適用される体積および圧力の変化を制限するために使用でき、インストールされている各患者の周囲において許容できる変化を予め決められた制限あるいはしきい値を適用する。より大きな患者と比較して小さな患者が周囲において少ない変化を受けるように、しきい値は患者の初期周囲とともに変化してもよい。エンコーダは、動程の状態について一定のフィードバック、したがって、あらゆる与えられた時の患者の周囲を提供する。ベルト取り分範囲がしきい値(体積の変化)に達すると、システム・コントローラが圧迫ストロークを終了し、コントローラにプログラムされた圧迫/減圧摂生法によって求められる支持あるいはリリースの次の期間に連続する。さらに、エンコーダは、それが完全にリリースしないように、システムがベルトのリリースを制限することを可能にする。あらかじめ締まる第1取り分で確立されるゼロポイント、あるいは、初期周囲のパーセンテージあるいは患者の初期周囲によって引き起こされるスライディングスケールを得ることにより、このリリース・ポイントを決定できる。
【0033】
また、それが患者に対してきつくベルトを締めてもよい。ベルトを締めることをオペレータに要求することは、患者の初期周囲を決定する方法を提供する。再び、エンコーダはベルトの動程量を決定でき、したがって、初期周囲を与えた患者の周囲の変化量をモニターし、制限するのに使用できる。
【0034】
いくつかの圧迫およびリリース・パターンは、CPR圧迫の有効性を押し上げるために使用してもよい。典型的なCPR圧迫は、圧迫力の完全なリリースによって後続する単なる圧迫を構成するサイクルで、毎分60−80サイクルで達成される。これは既知の機械的および空気式胸圧迫装置と同様にCPRマニュアルのための場合である。我々の新システムで、20−70サイクル毎分の範囲中の圧迫サイクルは有効であり、また、システムは120サイクル毎分以上と同等な高さで操作してもよい。この種の圧迫サイクルは図13の中で示されるようなモータおよびクラッチ操作を備えたモータボックスで実行できる。システムが図13のタイミングテーブルに従って作動している場合、モータは常にオンである。また、クラッチは係合(オン)とリリース(オフ)との間で回帰する。時間ピリオドT1、T3、T5、およびT7の何回かの圧迫後に、オペレータが患者に換気あるいは人工呼吸を提供できる間、あるいは、そうでなければ、患者の肺に酸素処理された空気が流れる間、呼吸停止を提供するために僅かな時間(数秒)を認めるように幾つかの時間ピリオドの間、システムが休止する(それらはインストールしてもよいが、図12で図示されたブレーキはこの実施形態では使用されない)クラッチ係合時間の長さは0−2000ミリセカンドの範囲の中でコントロールされる。また、クラッチ係合時間の間はは0−2000ミリセカンド(勿論、医学的見地によって命令され、圧迫の最適の割合ついてのより多く学習によって変えても良い)範囲の中でコントロールされる。
【0035】
図13aのタイミングチャートは、図13のタイミング表により操作されたときの圧迫ベルトにより引き起こされる胸郭内圧力変化を示す。胸部圧迫は状態線59によって表示されている。モータは、モータ状態線60に示すように、常にオンする。クラッチは、図の下部の矩形波のクラッチ状態線61により、接続(engage)すなわち「オン」する。クラッチを接続する時間毎に、ベルトが患者の回りに締め付けられる結果、圧迫状態線62で示すように、ベルト張力と胸郭内圧力に高圧スパイク(high pressure spike)が生じる。パルスp1、p2、p3、p4及びp5は、パルスp3を除いて、振幅及び継続時間が類似している。パルスp3は、この例では、如何にトルクリミット(torque limit)フィードバックが作動して過剰なベルト圧迫を防止するかを示すために、継続時間が制限されている。(トルクリミットは、制限パラメータとして、ベルト動程(belt travel)または他のパラメータと置き換えてもよい。)トルクリミットを検出することに応答するシステムの例として、パルスp3はモータに設置されたトルクリミットに迅速に達することを示している。トルクリミットに達すると、クラッチを切断(disengage)して、患者への傷害とバッテリーの過剰な消耗を防止する(過剰圧迫はバッテリーを急速に確実に消耗する)。クラッチをパルスp3の下で切断した後、ベルト張力と胸郭内圧力は急速に降下し、胸郭内圧力はサイクルの小部分の間だけ増加することに注意すべきである。オーバートルク状態に基づいてクラッチを切断した後、システムは繰り返し圧迫のパターンに復帰する。パルスp4は次に予定されている圧迫期間T7で生じ、その後、クラッチを切断状態に維持することにより、T8、T9及びT10にわたる小休止期間(respiration pause)が生成される。この小休止期間の後、パルスp5は次のセットの圧迫の開始を表す。システムは、オペレータによって中断されるまで、小休止期間に続いて、圧迫のセットを繰り返し実行する。
【0036】
図14は、モータを逆転させることによってベルト圧迫を逆にするシステムにおけるモータ、クラッチ及びカム・ブレーキのタイミング表を示す。それはまた、圧迫期間の血流力学的効果を向上するための圧迫保持期間と、弛緩期間におけるベルト繰りだし(belt pay−out)を、ベルトが胸部の上で依然として緊張していて過剰に緩んでいない点に制限する弛緩保持とをさらに備える。表に示すように、モータはまず正転方向にのみ駆動して圧迫ベルトを締め付け、短期間の間ターンオフし、次に逆転方向に駆動してターンオフして、正転、オフ、逆転、オフのサイクルを通して動作し続ける。このモータ状態のサイクルと並行して、カム・ブレーキが作動(engage)していて、モータ駆動シャフトを適所にロックし、これにより駆動ローラを適所にロックし、圧迫ベルトの移動を防止する。ブレーキ状態線63はブレーキ45の状態を示す。すなわち、モータが圧迫ベルトを閾値または時間限度まで締め付けると、モータがターンオフし、カム・ブレーキが駆動して圧迫ベルトが緩むのを防止する。これにより、患者の胸部の弛緩が有効に防止され、T2、T6及びT10の保持期間中に、より高い胸郭内圧力が維持される。次の圧迫サイクルが開始される前に、モータが逆転し、カム・ブレーキが非作動(disengage)になり、これによりベルトをより緩い長さに駆動することをシステムに許容し、患者の胸部を弛緩させる。所定のベルト長さに対応する低閾値まで弛緩すると、カム・ブレーキが作動してスピンドルを停止し、ベルトを予め締め付けられた長さに保持する。クラッチは全ての時間において接続している(このクラッチは、システムに他の圧迫管理(compression regimen)が望まれないなら、完全に削除してもよい)。(この実施形態は、異なる方向に駆動する2つのモータを組み込んで、クラッチを介してスピンドルに接続してもよい。)
【0037】
図14aは、図14のタイミング表により操作されたときの圧迫ベルトにより引き起こされる胸郭内圧力変化を示す。クラッチ状態線61によって示すように、クラッチは、もしあれば、常にオンしている。カム・ブレーキは、図の下部の矩形波により、作動(engage)すなわち「オン」する。モータは、モータ状態線により、オン、オフ、または逆転する。モータが正転方向にターンオンする時間毎に、ベルトが患者の回りに締め付けられる結果、圧力プロット線に示すようにベルト張力と胸郭内圧力に高圧スパイクが生じる。高閾値限界がシステムにより検出され、モータが非駆動(de-energized)になる時間毎に、カム・ブレーキが作動しさらなるベルトの移動を防止する。この結果、図に示す保持期間(例えば時間期間T2)中、高維持圧力すなわち「保持圧力」となる。保持期間の終りに、モータが逆転し、ベルトを弛緩状態に駆動し、次に非駆動になる。モータが逆転運転の期間の後にターンオフすると、カム・ブレーキが作動して圧迫ベルトの過剰な緩みを防止する(これは時間とバッテリーパワーを浪費する)。サイクルが再開されるとカム・ブレーキが非作動(disengage)になり、モータが駆動(energized)して他の圧迫を開始する。パルスp1、p2は振幅及び継続時間が類似している。パルスp3は、この例では、如何にトルクリミットフィードバックが作動して過剰なベルト圧迫を防止するかを示すために、継続時間が制限されている。パルスp3はモータに設置されたトルクリミット(またはベルトに設置されたテイクアップリミット)に迅速に達し、モータが停止し、カム・ブレーキが作動して、患者への傷害とバッテリーの過剰な消耗を防止する。モータが停止し、カム・ブレーキがパルスp3の下で作動した後、ベルト張力と胸郭内圧力は他のパルスと同じ期間の間維持され、胸郭内圧力はあったとしても高圧力保持期間中は僅かに減少されることに、注意すべきである。パルスP3の後、ベルト張力が完全に弛むように許容される小休止期間が開始されてもよい。
【0038】
図15は、各サイクルの間、ベルト圧迫を完全に弛緩させるシステムにおけるモータ、クラッチ及びカム・ブレーキのタイミング表を示す。表に示すように、モータは正転方向にのみ駆動して圧迫ベルトを締め付け、短期間の間ターンオフし、オンオフサイクルを通して動作し続ける。T1の第1時間期間では、モータをオンしてクラッチを接続し、これにより圧迫ベルトを患者の回りに締め付ける。次のT2の時間期間では、モータをターンオフし、カム・ブレーキを作動して(クラッチは依然として接続している)圧迫ベルトを締付状態にロックする。次の時間期間T3で、クラッチを切断し、ブレーキをオフして、ベルトを緩ませて患者の胸部の自然弛緩により拡張させる。次の期間t4では、モータを駆動して増速(come up to speed)する一方、クラッチを切断し、カム・ブレーキをオフする。モータは、この時間期間では、圧迫ベルトに影響を与えることなく増速する。次の時間期間では、サイクルはそれ自身で繰り返す。これにより、モータが圧迫ベルトを閾値または時間限度まで締め付けると、モータがターンオフし、カム・ブレーキが作動して圧迫ベルトが緩むのを防止する。これにより、患者の胸部の弛緩が有効に防止され、高い胸郭内圧力が維持される。次の圧迫サイクルが開始される前に、クラッチを切断し、胸部を弛緩させ、モータを負荷がかかる前に増速させる。これにより、さらに迅速なベルト圧迫が提供され、胸郭内圧力が鋭敏に増加する。
【0039】
図15aは、図15のタイミング表により操作されたときの圧迫ベルトにより引き起こされる胸郭内圧力変化を示す。クラッチは、クラッチ状態線61とモータ状態線60により、モータが増速した後にのみターンオンする。これは、クラッチを接続する前の2つの時間期間でモータが駆動することを示している。カム・ブレーキは、ブレーキ状態線62の下部に示すように、作動すなわち「オン」する。クラッチを接続する時間毎に、ベルトが患者の回りに締め付けられる結果、圧力プロット線に示すようにベルト張力と胸郭内圧力に高圧スパイクが鋭敏に増加する。モータが非駆動になる時間毎に、カム・ブレーキを作動し、クラッチを接続したままとなり、ベルトがさらに移動するのを防止し、クラッチは弛緩を防止する。この結果、図に示す保持期間中、高維持圧力すなわち「保持圧力」となる。保持期間の終りに、クラッチを切断し、ベルトを弛緩状態に拡張させる。サイクルの終りには、(クラッチを切断することで)カム・ブレーキが非作動となり、次の圧迫サイクルの開始前にモータを増速させる。次のサイクルは、クラッチを接続したときに開始される。この動作により、各圧力パルスp1、p2及びp3の始まりにおける急峻な曲線で示すように、各サイクルの発端で鋭敏な圧力増加が生成される。再度、これらの圧力パルスは、パルスp2を除いて、大きさ及び期間が全て類似している。パルスp2は、如何にしてトルクリミットフィードバックが作動して過剰なベルト圧迫を防止するかを示すために、この例では継続時間が限定されている。パルスp2はモータに設置されたトルクリミットに迅速に達し、モータが停止し、カム・ブレーキが作動して、患者への傷害とバッテリーの過剰な消耗を防止する。モータが停止し、カム・ブレーキがパルスp2の下で作動した後、ベルト張力と胸郭内圧力は他のパルスと同じ期間の間維持され、胸郭内圧力は保持期間中僅かに減少されることに、注意すべきである。図15aによるシステムの動作は、ベルト圧力を高モーター・トルクによって測定される閾値に制限するように制御される(または、これに対応して、ベルトひずみまたはベルト長さ)。
【0040】
図16は、各サイクルの間、ベルト圧迫を完全に弛緩させないシステムにおけるモータ、クラッチ及びカム・ブレーキのタイミング表を示す。この代わり、システムは、モーター・トルク、ベルトひずみ、またはベルト長さの低閾値に、ベルト弛緩を制限する。表に示すように、モータは正転方向にのみ駆動して圧迫ベルトを締め付け、短期間の間ターンオフし、オンオフサイクルを通して動作し続ける。T1の第1時間期間では、モータをオンしてクラッチを接続し、これにより圧迫ベルトを患者の回りに締め付ける。次のT2の時間期間では、モータがターンオフし、カム・ブレーキが作動して(クラッチは依然として接続している)圧迫ベルトを締付状態にロックする。次の時間期間T3で、クラッチを切断し、ブレーキをオフして、ベルトを緩ませて患者の胸部の自然弛緩により拡張させる。駆動スプールは回転し、患者の胸部の弛緩に順応するのに必要なベルトの長さを繰り出す。次の期間t4では、モータは依然としてオフであり、クラッチを接続し(カム・ブレーキは依然としてオンである)、ベルトが完全に緩むのを防止する。T5でサイクルを開始するために、モータを始動し、カム・ブレーキをターンオフし、他の圧迫サイクルを開始する。
【0041】
図16aは、図16によるシステムの動作に対応する胸郭内圧力とベルトひずみを示す。モータ状態線60とブレーキ状態線62は、モータが圧迫ベルトを高トルク閾値または時間限度まで締め付けると、圧迫ベルトが緩むのを防止するために、モータがターンオフし、カム・ブレーキが作動することを示している。これにより、ベルトの取り上げ(take up)中に達する高圧は、T2で開始する保持期間中維持される。クラッチ(カムブレーキとは連結していない)の解放によりベルトがT3で緩むと、胸郭内圧力は圧力線で示すように降下する。T4で、圧力ベルトがある程度緩んではいるが全体的には弛まなくなった後、クラッチを接続して(カム・ブレーキを再連結し)、ベルトをある最小レベルのベルト圧力に保持する。これにより、患者の胸部の全体弛緩(total relaxation)が有効に防止され、圧迫サイクルの間でも僅かに上昇した胸郭内圧力が維持される。低レベル圧迫の期間がサイクルに生成される。いくつかのサイクル(4または5のサイクル)の後、小休止期間が圧迫パターンに組み入れられ、その間、クラッチがオフし、カム・ブレーキがオフしてベルトと患者の胸部の完全な弛緩を許容する。(このシステムは、上方閾値でなく低閾値で有効に動作させてもよく、これにより単一の低閾値システムが生成される。)モータは、次の圧迫サイクルが開始する前に増速させるため、時間期間T11とT12に示すように、圧迫期間で駆動してもよい。
【0042】
図17は、モータ、クラッチ及び第2ブレーキ53すなわち駆動ホィールまたはスピンドル自体の上にあるブレーキを使用するシステムと組み合わせて使用するためのタイミング表を示す。ブレーキ45は(モータボックスには設置されているが)この実施形態のシステムでは使用されない。表に示すように、モータは正転方向にのみ駆動して圧迫ベルトを締め付け、常にオンしている。T1の第1時間期間では、モータをオンしてクラッチを接続し、これにより圧迫ベルトを患者の回りに締め付ける。次の時間期間t2では、モータはオンするが、クラッチを切断し、ブレーキ53を作動して圧迫ベルトを締付状態にロックする。次の時間期間T3で、クラッチを切断し、ブレーキをオフして、ベルトを緩ませて患者の胸部の自然弛緩(natural relaxation)により拡張させる。駆動スプールは回転し、患者の胸部の弛緩に順応するのに必要なベルトの長さを繰り出す。次の期間t4では、モータは依然としてオンであり、クラッチを切断するが、スピンドルブレーキを効かせてベルトをロックし、ベルトが完全に緩むのを防止する(前述のシステムと対照すると、スピンドルブレーキはクラッチの下流であるため、スピンドルブレーキの動作はクラッチを切断したときには有効である)。T5で次のサイクルを開始するため、モータを始動し、スピンドルブレーキをターンオフし、クラッチを接続して、他の圧迫サイクルを開始する。パルスp3の間、T11とT12の時間期間ではクラッチを接続する一方、システムはトルク閾値限度に達しない。これにより、オーバーシュート圧迫期間が提供され、それはトルクリミット圧迫期間のなかに挿入することができる。
【0043】
図17aは、図17によるシステムの動作に対応する胸郭内圧力とベルトひずみを示す。モータ状態線60とブレーキ状態線62は、モータが圧迫ベルトを高トルク閾値または時間限度まで締め付けると、圧迫ベルトが緩むのを防止するために、スピンドルブレーキを作動し(スピンドルブレーキ状態線64による)、クラッチを切断することを示している。これにより、ベルトの取り上げ中に達する高圧は、T2で開始する保持期間中維持される。スピンドルブレーキの解放によりベルトがT3で緩むと、胸郭内圧力は圧力線で示すように降下する。T4で、圧力ベルトがある程度緩んではいるが全体的には弛まなくなった後、スピンドルブレーキが作動してベルトをある最小レベルのベルト圧力に保持する。これにより、患者の胸部の全体弛緩が有効に防止され、圧迫サイクルの間でも僅かに上昇した胸郭内圧力が維持される。低レベル圧迫の期間がそのサイクル内で生成される。P3では、上方閾値に達していないが、圧迫に対して許容された最大時間に達している。そのために、システムが時間限度に基づいてクラッチを解放するまで、T9とT10の2つの時間期間の間、クラッチを接続する。T9とT10では、スピンドルブレーキは可能ではあるがターンオンしない。
【0044】
図18は、モータ、クラッチ及び第2ブレーキ53すなわち駆動ホィールまたはスピンドル自体の上にあるブレーキを使用するシステムと組み合わせて使用するためのタイミング表を示す。ブレーキ45は(モータボックスには設置されているが)この実施形態のシステムでは使用されない。表に示すように、モータは正転方向にのみ駆動して圧迫ベルトを締め付け、常にオンしている。T1とT2の時間期間では、モータをオンしてクラッチを接続し、これにより圧迫ベルトを患者の回りに締め付ける。図17のタイミングチャートと対照すると、システムが上方閾値に達しない限り、ブレーキを駆動(energize)しないで、圧迫期間(T1とT2)中にベルトを保持する。次の時間期間T3で、クラッチを切断し、ブレーキをオフして、ベルトを緩ませて患者の胸部の自然弛緩により拡張させる。駆動スプールは回転し、患者の胸部の弛緩に順応するのに必要なベルトの長さを繰り出す。T3中、ベルトはゼロ点まで繰り出し、そのためにシステムはスピンドルブレーキを駆動する。D4中、モータはオンのままであり、クラッチを切断し、スピンドルブレーキを効かせてベルトをロックし、ベルトが完全に緩むのを防止する(カム・ブレーキを使用するシステムと対照すると、スピンドルブレーキはクラッチの下流であるため、スピンドルブレーキの動作はクラッチを切断したときには有効である)。T5で次のサイクルを開始するため、モータを始動し、スピンドルブレーキをターンオフし、クラッチを接続して、他の圧迫サイクルを開始する。システムは、時間期間T6の間、ピークP2で高閾値に達し、クラッチを解放し、スピンドルブレーキを駆動し、これにより、圧迫期間(T5とT6)の残りの間、高圧迫状態にベルトを締め付けて保持する。圧迫期間の終わりに、ブレーキを少しの間非作動にして低閾値またはゼロ点までベルトを拡張させ、再びブレーキを作動してベルトを低閾値に保持する。パルスP3が他の圧迫期間で生成され、その中でブレーキを解放し、T9とT10で閾値に達するまでクラッチを接続し、そこでクラッチを切断し、ブレーキを作動して、高圧迫状態でベルトを保持することで圧迫期間を終了する。時間間隔T11とT12では、クラッチを切断し、ブレーキを解放して胸部を完全に弛緩させる。これにより、患者が呼吸(ventilated)してもよい小休止期間が準備される。
【0045】
図18aは、図18によるシステムの動作に対応する胸郭内圧力とベルトひずみを示す。時間期間T1とT2では、モータ状態線60とブレーキ状態線62は、モータが圧迫ベルトを圧迫期間の終わりまで締め付けることを示している(システムは上方閾値以下の保持を開始しない)。スピンドルブレーキの解放によりベルトがT3で緩められると、胸郭内圧力は圧力線で示すように降下する。T3で、圧力ベルトがある程度緩んではいるが全体的には弛まなくなった後、スピンドルブレーキが作動してベルトをある最小レベルのベルト圧力に保持する。これにより、患者の胸部の全体弛緩が有効に防止され、圧迫サイクルの間でも僅かに上昇した胸郭内圧力が維持される。低レベル圧迫の期間がそのサイクル内で生成される。低レベル圧迫の期間はそのサイクル内で生成される。モータ状態線60とブレーキ状態線62は、モータが圧迫ベルトを高トルク閾値または時間限度まで締め付けると、圧迫ベルトが緩むのを防止するために、スピンドルブレーキを作動し(スピンドルブレーキ状態線64による)、クラッチを切断することを示している。これにより、ベルトの取り上げ中に達する高圧は、T6で開始する保持期間中維持される。スピンドルブレーキの解放によりベルトがT7で緩むと、胸郭内圧力は圧力線で示すように降下する。T7で、圧力ベルトがある程度緩んではいるが全体的には弛まなくなった後、スピンドルブレーキが作動してベルトを低閾値に保持する。P3では、再び上方閾値に達し、そのために、クラッチを切断し、T10でブレーキを作動して高圧迫保持を開始する。
【0046】
図19は、モータ、クラッチ及び第2ブレーキ53すなわち駆動ホィールまたはスピンドル自体の上にあるブレーキを使用するシステムと組み合わせて使用するためのタイミング表を示す。ブレーキ45は(モータボックスには設置されているが)この実施形態のシステムでは使用されない。表に示すように、モータは正転方向にのみ駆動して圧迫ベルトを締め付け、常にオンしている。T1の時間期間では、モータをオンしてクラッチを接続し、これにより圧迫ベルトを患者の回りに締め付ける。次の時間期間t2では、モータがオンし、検出された閾値に応答してクラッチを切断し、ブレーキ53を効かせて駆動し、上方閾値が圧迫期間中に検出されない場合にのみ、圧迫ベルトを締付状態にロックする。次の時間期間T3で、クラッチを切断し、ブレーキをオフして、ベルトを緩ませて患者の胸部の自然弛緩により拡張させる。駆動スプールは回転し、患者の胸部の弛緩に順応するのに必要なベルトの長さを繰り出す。次の期間t4中、モータは依然としてオンであり、クラッチを切断し、スピンドルブレーキの駆動を効かせてベルトをロックし、ベルトが完全に緩むのを防止する(前述のシステムと対照すると、スピンドルブレーキはクラッチの下流であるため、スピンドルブレーキの動作はクラッチを切断したときには有効である)。T5で次のサイクルを開始するため、モータを始動し、スピンドルブレーキをターンオフし、クラッチを接続して、他の圧迫サイクルを開始する。パルスP3中、クラッチは時間期間T9内でオンである。時間期間T10では、クラッチは接続したままであり、ブレーキは可能ではあるが駆動されていない。クラッチとブレーキは閾値に応答して制御される。これは、クラッチを解放しブレーキを駆動する保持状態にシステムを切り換える前に高閾値が検出されるまで、システム・コントローラが待機していることを意味する。この実施例では、圧迫期間T9とT10の間は高閾値に達しないので、システムは保持を開始しない。
【0047】
図19aは、図19によるシステムの動作に対応する胸郭内圧力とベルトひずみを示す。モータ状態線60とブレーキ状態線62は、モータが圧迫ベルトを高トルク閾値または時間限度まで締め付けると、圧迫ベルトが緩むのを防止するために、クラッチを切断し、スピンドルブレーキを作動させる(スピンドルブレーキ状態線64による)ことを示している。これにより、ベルトの取り上げ中に達する高圧は、T2で開始する保持期間中維持される。このため、圧迫の期間は、静圧迫の期間とそれに続く能動圧迫の期間とからなる。スピンドルブレーキの解放によりベルトがT3で緩むと、胸郭内圧力は圧力線で示すように降下する。T4で、圧力ベルトがある程度緩んではいるが全体的には弛まなくなった後、スピンドルブレーキが作動してベルトをある最小レベルのベルト圧力に保持する。これにより、患者の胸部の全体弛緩が有効に防止され、圧迫サイクルの間でも僅かに上昇した胸郭内圧力が維持される。低レベル圧迫の期間がそのサイクル内で生成される。上方閾値に達しないサイクルでは、圧迫期間は静圧迫(保持)期間を含まず、クラッチはT9とT10の2つの時間期間の間で接続し、システムは結局、当該システムによって設定された時間限度に基づいて能動圧迫を終えることに注意すべきである。
【0048】
図20は、モータ、クラッチ、ギヤボックス45内のカム・ブレーキ及び第2カム・ブレーキ53すなわち駆動ホィールまたはスピンドル自体の上にあるブレーキを使用するシステムと組み合わせて使用するためのタイミング表を示す。両ブレーキはこの実施形態のシステムで使用される。表に示すように、モータは正転方向にのみ駆動して圧迫ベルトを締め付ける。第1の時間期間では、モータをオンしてクラッチを接続し、これにより圧迫ベルトを患者の回りに締め付ける。次の時間期間t2では、上方閾値に達するが、モータは検出された閾値に応じてターンオフし、クラッチは依然として接続しており、第2ブレーキ53は効かせて駆動し、圧迫ベルトを締付状態にロックする(これらの事象は圧迫期間中に上方閾値が検出された場合にのみ起こる)。次の時間期間T3で、クラッチを切断し、ブレーキをオフして、ベルトを緩ませて患者の胸部の自然弛緩により拡張させる。駆動スプールは回転し、患者の胸部の弛緩に順応するのに必要なベルトの長さを繰り出す。次の期間t4では(モータは依然としてオンであるが)、モータはオンのままであり、第2ブレーキを効かせてベルトをロックし、ベルトが完全に緩むのを防止する。T5で次のサイクルを開始するため、スピンドルブレーキをターンオフし、クラッチを接続して、他の圧迫サイクルを開始する(モータは時間期間T3またはT4で早く駆動されており、速度が増加している)。パルスP3の間、クラッチは時間期間T9でオンされている。クラッチは接続したままであり、ブレーキは効いているが時間期間T10では駆動されていない。クラッチとブレーキは閾値に応答して制御される。これは、クラッチを解放しブレーキを駆動する保持状態にシステムを切り換える前に高閾値が検出されるまで、システム・コントローラが待機していることを意味する。この実施例では、圧迫期間T9とT10の間は高閾値に達しないので、システムは保持を開始しない。カム・ブレーキは、ベルトを上方閾値長さに保持するのに役立ち、スピンドルブレーキはベルトを下方閾値長さに保持するのに役立つ。
【0049】
図20aは、図20によるシステムの動作に対応する胸郭内圧力とベルトひずみを示す。モータ状態線60とブレーキ状態線62は、モータが圧迫ベルトを高トルク閾値または時間限度まで締め付けると、圧迫ベルトが緩むのを防止するために(クラッチは接続したまま)、モータをターンオフし、カム・ブレーキを作動させる(スピンドルブレーキ状態線63による)ことを示している。これにより、ベルトの取り上げ中に達する高圧は、T2で開始する保持期間中維持される。このため、圧迫の期間は、静圧迫の期間とそれに続く能動圧迫の期間とからなる。クラッチの解放によりベルトがT3で緩むと、胸郭内圧力は圧力線で示すように降下する。T4で、圧力ベルトがある程度緩んではいるが全体的には弛まなくなった後、スピンドルブレーキが作動して、スピンドルブレーキ状態線64で示すように、ベルトをある最小レベルのベルト圧力に保持する。これにより、患者の胸部の全体弛緩が有効に防止され、圧迫サイクルの間でも僅かに上昇した胸郭内圧力が維持される。低レベル圧迫の期間がそのサイクル内で生成される。上方閾値に達しないサイクルでは、圧迫期間は静圧迫(保持)期間を含まず、クラッチはT9とT10の2つの時間期間の間で接続し、システムは結局、当該システムによって設定された時間限度に基づいて能動圧迫を終えることに注意すべきである。
【0050】
前の図は、閾値が能動圧迫ストロークを制限するのに使用される場合でも、時間支配システム(time dominant system)における制御システムを示した。現在ACLSで好まれているように、時間支配システムは毎分の圧迫期間の数(a consistent number of compression periods)を保証するのに好ましいと、我々は期待している。また、時間支配はランアウェイシステム(runaway system)の機会を排除している。トルクまたはエンコーダ閾値(encoder threshold)が会ったという指示を待っている場合、幾つかの理由でシステムは閾値に接近しない。しかしながら、閾値を部分的または完全に支配させることは、おそらく医者(medical personnel)によって密接に世話(attend)されるようなシステムでは有利である。部分閾値支配(partial threshold dominance)の例は、図21の表に示されている。圧迫期間は計時(time)されずに、上方閾値が点aで検出されたときのみ終了する。システムは、クラッチとブレーキを作動して点bで下方閾値への緩和(relaxation)を許容し、下方閾値保持期間を開始する。ピーク圧迫(peak compression)後の設定時間で、新たな圧迫ストロークが点cで開始され、ピーク圧迫が点dに達するまで維持される。能動圧迫に費やされる実時間は、システムが閾値に達するのにどれくらいかかるかに依存して変化する。したがて、サイクル時間(次の圧迫の開始までの、能動圧迫、解放及び低閾値保持の完全な期間)は、システムが閾値に達するのにどれくらいかかるかに依存して各サイクルで変化し、下方閾値緩和期間はそれに従って変動(float)する。決して達しない上方閾値を待機している間にシステムが失速(stall)する拡大期間(extended periods)を回避するために、外方時間限度(outer time limit)が点gで示すように各圧迫期間に付加され、そこでは最大許容圧迫(maximum allowed compression)に達する前に圧迫が終了する。本質において、システムクロックは上方閾値に達する時間毎にリセットされる。低圧迫保持期間に対するプリセット時間限度75は、図21の図で左方へ浮動時間限度76にシフトされる。この試みは、これらのシステムが上方閾値に達するときはいつでもタイミングをリセットすることにより、以前の制御管理(control regimen)の各々と組み合わせることができる。
【0051】
モータ、カム・ブレーキ及びクラッチの配置は、ベルト駆動胸部圧迫に対する他のシステムに適用してもよい。例えば、ラッチ(Lach)の米国特許第4,770,164号(1988年9月13日)の蘇生方法及び装置は、胸部の上に取り付けるハンドクランクベルトと患者の胸部の下におく2つのチョック(chock)とを提案している。チョックは胸部を正しい位置に保持し、一方ベルトはきつくクランク(crank)される。トルクとベルト緊張度は、大きな駆動ローラの回転と干渉する機械的止め具により制限される。機械的止め具はスプールの締付けロールを単に制限するが、スプールの巻戻しを妨げない。駆動ロッドに取り付けるためのモータが提案されている。そのモータ軸と駆動ローラとの間の噛み合いは、クラッチと称される手動操作の機械的インターロックである。このクラッチは、使用前に手動で設定しなければならない原始的クラッチであり、圧迫サイクル中は操作することができない。それは、サイクル中は駆動ローラを解放することはできないし、モータが駆動している間または装置が動作している間は噛み合わせることができない。前述のブレーキとクラッチをラッチ(Lach)のような装置に適用することは、そのシステムを自動化させ、圧搾(squeeze)を達成し、圧迫パターンを保持するのに必要である。
【0052】
また、ラッチのPCT出願PCT/US96/18882号(1997年6月26日)の心停止用胸部圧迫装置は、ハサミ状のレバーシステムによって作動する圧迫ベルトを提案し、そのシステムをモータで駆動し、ハサミ機構を前後に往復駆動してベルトを締付けたり緩めるをすることを提案している。特に、ラッチは、完全解放の失敗が有害であることを提案し、さらに完全解放が起こるまで圧迫の1サイクルは開始しないことを提案している。このシステムは、前述したクラッチとブレーキシステムの適用によって改良することができる。これらの及び他のベルト締付手段はブレーキとクラッチシステムによって改良することができる。ラッチは、ベルトを駆動する多数の往復アクチュエータを開示し、これらのアクチュエータに力を付与することを要求している。例えば、ハサミ機構は、該ハサミ機構のハンドルに下向きの力を付与することによって操作され、この下向きの力はアクチュエータによって締付力に変換される。この動作を電動化することによって、クラッチとブレーキシステムの利点は、ラッチに開示された各力変換器を用いて達成することができる。モータと駆動スプールの間のソケット接続は、ラッチに開示された力変換器に接続されたフレキシブル駆動シャフトと置き換えることができる。
【0053】
以上のように、本発明の装置と方法の好ましい実施形態は、それらが開発された環境に関して記載したが、それらは本はつめいの原理を示すものに過ぎない。他の実施形態や配置は、本発明の精神や請求の範囲から逸脱することなく案出することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 蘇生装置
2 モータボックス
3 ベルトカートリッジ
4 ベルト
5 スプロケット
6 駆動ホイール
7 受けロッド
8 駆動スプール
10 コンピュータ制御システム
11L 左側パネル
11R 右側パネル
12 シート
13 ハウジング
15 ガイドスピンドル
16 摩擦ライナ
18 ハンドル
41 モータ
45,53 ブレーキ
51 クラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の胸部を圧迫するための胸部圧迫装置であって、
上記患者の胸部の周囲に延びて、上記患者の上で結び付けられるベルトと、
上記患者の胸部の周囲で上記ベルトの締め付けと緩めを繰り返すために上記ベルトに対して接続されたベルト引張手段と、
上記ベルト引張手段に接続され、上記患者の胸部に対する上記ベルトの締め付けと、上記患者の胸部に対する上記ベルトの緩めとを繰り返すように、上記ベルト引張手段を作動させるモータと、
上記モータの作動を制御するコントローラと
を備え、
上記コントローラは、上記モータ及び上記ベルト引張手段を作動させ、上記患者の胸部に対する上記ベルトの締め付けと緩めのサイクルのサイクルを繰り返すように、プログラムされ、
エンコーダが上記胸部圧迫装置の構成要素に接続され、上記エンコーダは上記ベルトの位置を測定可能であり、かつ上記エンコーダは上記ベルトの位置を示すベルト位置信号を上記コントローラに送信可能である、胸部圧迫装置。
【請求項2】
緩み巻き取りを検出する手段をさらに備え、上記緩み巻き取りを検出する手段は上記ベルトが上記患者の胸部に対して密接したときを示すことができ、
上記コントローラは、上記モータ及び上記ベルト引張手段を作動させ、上記患者の胸部の上への上記ベルトの初期配置後に、上記ベルトが上記患者の胸部の周囲に密接したことを上記緩み巻き取りを検出する手段が示すまで締め付け方向に上記モータを回転させることによって、上記ベルトの緩みを巻き取った後、上記モータ、上記連結手段、及び上記ベルト引張手段を作動させ、上記患者の胸部に対する締め付けと緩めのサイクルを繰り返すようにプログラムされている、請求項1に記載の胸部圧迫装置
【請求項3】
上記コントローラは、上記ベルト位置信号に基づいて、上記ベルトが上記患者の胸部に対して密接したことを上記緩み巻き取りを検出する手段が示した時点に、上記ベルトの緩め限界位置を設定するようにさらにプログラムされ、かつ
上記コントローラは、上記ベルト位置信号に基づいて、上記胸部圧迫装置の作動中、上記ベルトの弛緩を上記緩め限界位置までに制限するように上記モータを作動させるようにさらにプログラムされている、請求項2に記載の胸部圧迫装置。
【請求項4】
上記コントローラは、上記ベルト位置信号に基づいて、上記ベルトが上記患者の胸部に対して密接したことを上記緩み巻き取りを検出する手段が検出した時点に、上記ベルト緩め限界位置を設定するようにさらにプログラムされ、
上記コントローラは、上記緩め限界位置に基づいて、圧迫中に使用されるベルトの変位の設定量を規定するようにさらにプログラムされ、かつ
上記コントローラは、上記ベルト位置信号に基づいて、上記ベルトの巻き取りを上記ベルトの変位の設定量に制限するように上記モータを作動させるようにさらにプログラムされている、請求項2に記載の胸部圧迫装置。
【請求項5】
上記コントローラは、上記ベルト位置信号に基づいて、上記ベルトが上記患者の胸部に対して密接したことを上記緩み巻き取りを検出する手段が検出した時点に、上記ベルト緩め限界位置を設定するようにさらにプログラムされ、かつ
上記コントローラは、上記ベルト位置信号に基づいて、上記ベルトが完全に上記ベルト緩め限界位置に戻らないように上記ベルトの解放を制限するようにして上記モータを作動させるようにさらにプログラムされている、請求項2に記載の胸部圧迫装置。
【請求項6】
上記エンコーダは上記ベルトに接続されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の胸部圧迫装置。
【請求項7】
上記エンコーダは上記ベルト引張手段に接続されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の胸部圧迫装置。
【請求項8】
上記ベルト引張手段は、上記ベルトに接続された駆動スプールを備えており、上記駆動スプールが回転すると上記ベルトを巻き取る、請求項1に記載の胸部圧迫装置。
【請求項9】
上記エンコーダは、上記ベルト上の線形エンコーダスケールと、上記線形エンコーダスケールに対向する位置に配置されたエンコーダ・スキャナとを備える、請求項1に記載の胸部圧迫装置。
【請求項10】
上記エンコーダは、上記胸部圧迫装置の回転部分に配置された角エンコーダスケールと、上記角エンコーダスケールに対向する位置に配置された角エンコーダ・スキャナとを備える、請求項1に記載の胸部圧迫装置。
【請求項11】
上記緩み巻き取りを検出するための手段は、上記モータのトルクを検出する手段を備える、請求項2から請求項9のいずれか1項に記載の胸部圧迫装置。
【請求項12】
上記緩み巻き取りを検出するための手段は、上記ベルトに加えられる力の量を検出する手段を備える、請求項2から請求項9のいずれか1項に記載の胸部圧迫装置。
【請求項13】
上記緩み巻き取りを検出するための手段は上記モータに接続された電流センサを備え、上記電流センサはモータによって引き込まれる電流を検出すると共に対応する電流信号を上記コントローラに送信し、
上記コントローラは、エンコーダ位置を上記ベルトの初期配置及び巻き取り中の電流信号の急激な増加の時点に関連付け、それによって上記ベルトの緩め限界位置を規定すると共に、上記緩め限界位置に基づいてサイクル中のベルトの弛緩を制限するようにモータを作動させるようにさらにプログラムされている、請求項2から請求項9のいずれか1項に記載の胸部圧迫装置。
【請求項14】
上記コントローラは、エンコーダ位置を上記緩み巻き取り位置に関連付けると共に、上記緩み巻き取り位置に基づいてサイクル中の上記ベルトの弛緩を制限するようにモータを作動させるようにさらにプログラムされている、請求項2に記載の胸部圧迫装置。
【請求項15】
上記ベルト引張手段に接続されたブレーキをさらに備え、
上記コントローラはベルト締め付けの閾値を設定し、上記ベルトの締め付けを上記閾値で一時的に保持した後に上記ベルトを解放するよう上記ブレーキを制御するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の胸部圧迫装置。
【請求項16】
上記コントローラは上記ベルトの変位の設定量で上記モータを一時的に保持した後に上記ベルトを解放するよう上記モータを制御するようにさらにプログラムされている、請求項2に記載の胸部圧迫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13】
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【図13a】
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【図14】
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【図14a】
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【図15】
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【図15a】
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【図16】
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【図16a】
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【図17】
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【図17a】
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【図18】
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【図18a】
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【図19】
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【図19a】
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【図20】
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【図20a】
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【図21】
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【図21a】
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【公開番号】特開2009−183723(P2009−183723A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89178(P2009−89178)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【分割の表示】特願2000−551718(P2000−551718)の分割
【原出願日】平成11年5月17日(1999.5.17)
【出願人】(500087017)ゾール・サーキュレイション・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Zoll Circulation, Inc.
【Fターム(参考)】