説明

胸郭手順のための外科手術用回収装置

【課題】外科手術用回収装置を提供する。
【解決手段】ハンドル100であって、長手方向軸を規定し、そしてハンドルから遠位に延びる細長スリーブ120を備え、ハンドルと該細長スリーブとが一緒になって、ハンドルおよび該細長スリーブを通って長手軸方向に延びる管腔を規定する、ハンドル;シャフト200であって、シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリ220、およびシャフトの近位端に配置されたプランジャー260を有する、シャフト;関節運動機構であって、エンドエフェクタアセンブリをシャフトに対して関節運動させるように構成されている、関節運動機構;ならびにエンドエフェクタアセンブリに結合された標本回収バッグ30であって、未展開位置から拡張位置へと展開可能であり、標本回収バッグの開口端の周囲に配置されたシンチコードを備える、標本回収バッグ、を備える、外科手術用回収装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2011年10月19日に出願された、米国仮出願番号61/549,015の利益および優先権を主張する。この米国仮出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、回収装置に関し、そしてより特定すると、胸郭外科手術手順において使用するための外科手術用回収装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
最小侵襲性外科手術手順において、手術は、身体の小さい入口開口部を通して挿入された細長い器具を使用することによって、身体内で行われる。器具類が身体の内部に通ることを可能にするための、身体組織の最初の開口部は、身体の自然な通路であり得るか、または組織穿刺器具(例えば、トロカール)によって作製され得るか、または小さい切開によって作製されて、この中にカニューレが挿入される。
【0004】
管、器具類、および任意の必要とされる穿孔または切開は比較的小さいので、外科手術は、従来の外科手術手順と比較して侵襲性が低い。従来の外科手術手順において、外科医は、身体組織の大きい領域を切り開くことを要求される。従って、最小侵襲性外科手術は、患者への外傷を最小にし、そして患者の回復時間および病院での費用を減少させる。
【0005】
最小侵襲性手順は、身体組織または器官を、身体の内部から部分的にかまたは完全に取り出すために使用される(例えば、腎摘出術、胆嚢切除術、ロベクトミーおよび他のこのような手順であり、胸郭手順、腹腔鏡手順および内視鏡手順が挙げられる)。このような手順中、嚢、腫瘍、または他の罹患した組織もしくは器官が、皮膚のアクセス開口部を介して、またはカニューレを通して、取り出される必要があることは、一般的なことである。この手順を容易にするための種々の型の捕捉デバイスが、開示されている。がん性腫瘍が取り出される多くの手順において、閉じ込められた環境での標本の取り出しは、がん細胞の播種を防ぐために、非常に望ましい。
【0006】
最小侵襲性胸郭外科手術において、胸腔へのアクセスおよび腔内での操作性は、制限される。なぜなら、アクセスポートが、患者の肋骨間の限られた空間に配置されるからである。このような手順(一般に、ビデオ補助下胸部手順(VATS)と称される)は、自然な肋間隙を通して、観血手順においてのように肋骨を広げることなく胸腔にアクセスすることによって、患者の回復時間を短縮させることを目的とする。この制限されたアクセスは時々、大きい標本を取り出す場合に問題を引き起こし得る。さらに、このような手順(例えば、胸腔鏡下楔状切除およびロベクトミー)において、肺の一部分を取り出し、そしてこれを病理学的に比較的無傷の状態で回収することが、しばしば必要である。標本が充分に閉じ込められて、操作および取り出し中にがん細胞の播種を妨げることもまた、重要である。
【0007】
このような標本回収器具類を設計する際に、裂けたり破裂したりすることを妨げるために充分に強い閉じ込めバッグを有する回収装置を提供すると同時に、操作および取り出しを可能にするために充分な硬さを提供する必要性の間で、釣り合いが取られなければならない。達成される必要がある別の釣り合いは、充分な操作性を提供すると同時に、操作および取り出し中の組織の外傷(例えば、肺組織の損傷)を減少させることである。さらに、この器具類は、一方では、小さいアクセス切開またはポートを通して挿入されることが可能であるべきであり、同時に他方では、広範な種々の患者サイズに適応することが可能であり、そして大きい標本を容易に取り出すこと、および播種の危険性を最小にすることが可能であるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ハンドルであって、長手方向軸を規定し、そして該ハンドルから遠位に延びる細長スリーブを備え、該ハンドルと該細長スリーブとが一緒になって、該ハンドルおよび該細長スリーブを通って長手軸方向に延びる管腔を規定する、ハンドル;
シャフトであって、該シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリ、および該シャフトの近位端に配置されたプランジャーを有し、該シャフトは、第一の位置と、該エンドエフェクタアセンブリが該細長スリーブから遠位に延びる第二の位置との間で選択的に並進可能である、シャフト;
関節運動機構であって、該エンドエフェクタアセンブリを該シャフトに対して、実質的に整列した位置と関節運動した位置との間で関節運動させるように構成されており、該ハンドルは、該エンドエフェクタアセンブリを関節運動させるように、該長手方向軸の周りで、該シャフトに対して回転可能である、関節運動機構;ならびに
該エンドエフェクタアセンブリに結合された標本回収バッグであって、該標本回収バッグは、該エンドエフェクタアセンブリの該第一の位置から該第二の位置への移動の際に、未展開位置から拡張位置へと展開可能であり、該標本回収バッグは、該標本回収バッグの開口端の周囲に配置されたシンチコードを備える、標本回収バッグ、
を備える、外科手術用回収装置。
(項目2)
前記シャフトが前記第一の位置に配置されている場合に、前記エンドエフェクタアセンブリの関節運動が妨げられる、上記項目に記載の外科手術用回収装置。
(項目3)
前記シンチコードが、該シンチコードの一端において前記プランジャーに取り外し可能に結合されており、該シンチコードは、該プランジャーから解放されると、前記標本回収バッグを締めて閉じるための選択的な近位への並進のために構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用回収装置。
(項目4)
前記ハンドルが、該ハンドルの内側表面に関節運動トラックを規定し、該関節運動トラックは、前記関節運動機構の関節運動ポストを受容するように構成されており、ハンドルの、前記長手方向軸の周りでの前記シャフトに対する回転の際に、該関節運動ポストは、該関節運動トラックに沿って並進して、前記エンドエフェクタアセンブリを関節運動させる、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用回収装置。
(項目5)
前記関節運動機構が関節運動棒を備え、該関節運動棒は、該関節運動棒の遠位端で前記エンドエフェクタアセンブリに結合されており、そして前記関節運動ポストが該関節運動棒の近位端に配置されており、該関節運動棒は、前記シャフト内に配置されており、そして前記ハンドルの該シャフトに対する回転の際に、該エンドエフェクタアセンブリを該シャフトに対して関節運動させるように、該シャフトに対して並進可能である、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用回収装置。
(項目6)
前記関節運動トラックが螺旋状部分を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用回収装置。
(項目7)
安全タブをさらに備え、該安全タブは、前記シャフトが前記第一の位置に配置される場合に、前記ハンドルと前記シャフトとの両方に係合して、該ハンドルと該シャフトとの間の相対運動を妨げるように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用回収装置。
(項目8)
前記ハンドルが、該ハンドルの操作を容易にするために、該ハンドルに規定された少なくとも1つの指穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用回収装置。
(項目9)
前記プランジャーに取り外し可能に結合された引き部材をさらに備え、該引き部材は、前記シンチコードの端部に係合するように構成されており、その結果、該プランジャーから取り外されると、該引き部材は、前記標本回収バッグを締めて閉じるように近位に並進可能である、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用回収装置。
(項目10)
前記プランジャーが、前記引き部材に解放可能に係合するように構成された少なくとも1つの弾力性ロックタブを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用回収装置。
(項目11)
前記プランジャーが、該プランジャーから外向きに延びる少なくとも1つのフランジを備え、該フランジは、前記第一の位置と前記第二の位置との間での前記シャフトの並進を容易にするように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用回収装置。
(項目12)
前記第二の位置から前記第一の位置に戻る前記シャフトの並進が、前記標本回収バッグを前記エンドエフェクタアセンブリから分離する、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用回収装置。
(項目13)
前記第二の位置から前記第一の位置に戻る前記シャフトの並進が、前記標本回収バッグを少なくとも部分的に締めて閉じる、上記項目のうちのいずれかに記載の外科手術用回収装置。
(項目14A)
標本回収のためのシステムであって、該システムは:
外科手術用回収装置であって、該外科手術用回収装置は:
ハンドルであって、該ハンドルから遠位に延びる細長スリーブを有し、該ハンドルと該細長スリーブとは一緒になって、該ハンドルおよび該細長スリーブを通って長手軸方向に延びる管腔を規定する、ハンドル;
シャフトであって、該シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリ、および該シャフトの近位端に配置されたプランジャーを有する、シャフト;
標本回収バッグであって、該エンドエフェクタアセンブリに結合され、そして該標本回収バッグの開口端の周りに配置されたシンチコードを備える、標本回収バッグ;
を備える、外科手術用回収装置;
を備え、
該外科手術用回収装置は、内部体腔内に配置されるように構成されており;
該シャフトは、該管腔に通して、第一の位置から第二の位置へと遠位に並進させられ、その結果、該エンドエフェクタアセンブリが該細長スリーブから遠位に延びて、該標本回収バッグを展開するように構成されており;
該ハンドルは、該長手方向軸の周りで該シャフトに対して回転させられて、該エンドエフェクタアセンブリを該シャフトに対して、実質的に整列した位置から関節運動した位置へと関節運動させるように構成されており;
該標本回収バッグは、組織の標本を入れられるように構成されており;
該エンドエフェクタアセンブリは、関節運動させられて該実質的に整列した位置に戻されるように構成されており;
該シャフトは、近位に並進させられて、該第二の位置から該第一の位置に戻され、その結果、該エンドエフェクタアセンブリが該細長スリーブ内に配置されるように構成されており;
該シンチコードは、該プランジャーから脱係合させられるように構成されており;そして
該シンチコードは、近位に並進させられて、該標本回収バッグを該組織の標本の周りで締めて閉じるように構成されている、
システム。
(項目15A)
前記シンチコードは、切断されて、前記標本回収バッグを前記シャフトから解放するようにさらに構成されている、上記項目に記載のシステム。
(項目16A)
前記シンチコードの切断された端部は、近位に並進させられて、前記標本回収バッグを前記内部体腔から取り出すようにさらに構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目17A)
前記ハンドルと前記シャフトとの両方に結合された安全タブをさらに備え、該安全タブは、取り外されて、該ハンドルに対する該シャフトの並進を可能にするように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目18A)
前記ハンドルが、回転させられて、関節運動ポストを螺旋状の関節運動トラックに沿って移動させるように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
(項目14B)
標本回収の方法であって、該方法は:
外科手術用回収装置を提供する工程であって、該外科手術用回収装置は:
ハンドルであって、該ハンドルから遠位に延びる細長スリーブを有し、該ハンドルと該細長スリーブとは一緒になって、該ハンドルおよび該細長スリーブを通って長手軸方向に延びる管腔を規定する、ハンドル;
シャフトであって、該シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリ、および該シャフトの近位端に配置されたプランジャーを有する、シャフト;
標本回収バッグであって、該エンドエフェクタアセンブリに結合され、そして該標本回収バッグの開口端の周りに配置されたシンチコードを備える、標本回収バッグ;
を備える、工程;
該外科手術用回収装置を内部体腔内に配置する工程;
該シャフトを該管腔に通して、第一の位置から第二の位置へと遠位に並進させる工程であって、その結果、該エンドエフェクタアセンブリが該細長スリーブから遠位に延びて、該標本回収バッグを展開する、工程;
該ハンドルを該長手方向軸の周りで該シャフトに対して回転させることによって、該エンドエフェクタアセンブリを該シャフトに対して、実質的に整列した位置から関節運動した位置へと関節運動させる工程;
組織の標本を該標本回収バッグに入れる工程;
該エンドエフェクタアセンブリを関節運動させて該実質的に整列した位置に戻す工程;
該シャフトを近位に並進させて、該第二の位置から該第一の位置に戻す工程であって、その結果、該エンドエフェクタアセンブリが該細長スリーブ内に配置される、工程;
該シンチコードを該プランジャーから脱係合させる工程;ならびに
該シンチコードを近位に並進させて、該標本回収バッグを該組織の標本の周りで締めて閉じる工程
工程を包含する、方法。
(項目15B)
前記シンチコードを切断して、前記標本回収バッグを前記シャフトから解放する工程をさらに包含する、上記項目に記載の方法。
(項目16B)
前記シンチコードの切断された端部を近位に並進させて、前記標本回収バッグを前記内部体腔から取り出す工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目17B)
前記外科手術用回収装置を前記内部体腔内に配置する前に、前記ハンドルと前記シャフトとの両方に結合された安全タブが取り外されて、該ハンドルに対する該シャフトの並進を可能にする、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目18B)
前記ハンドルを回転させる工程が、関節運動ポストを螺旋状の関節運動トラックに沿って移動させる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0009】
(摘要)
外科手術用回収装置は、細長スリーブを備えるハンドルを備え、この細長スリーブは、このハンドルから延び、このハンドルとこの細長スリーブとは一緒になって、このハンドルおよびこの細長スリーブを通る管腔を規定する。遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリ、および近位端に配置されたプランジャーを有するシャフトが、第一の位置と、このエンドエフェクタアセンブリがこのスリーブから延びる第二の位置との間で選択的に並進可能である。関節運動機構が、このエンドエフェクタアセンブリをこのシャフトに対して関節運動させるように構成される。標本回収バッグがこのエンドエフェクタアセンブリに結合され、そしてこのエンドエフェクタアセンブリがこの第二の位置に移動すると、拡張位置に展開可能である。
【0010】
(要旨)
本開示の実施形態に従って、外科手術用回収装置が提供される。この外科手術用回収装置は、長手方向軸を規定するハンドル、およびこのハンドルから遠位に延びる細長スリーブを備える。このハンドルとこの細長スリーブとは一緒になって、このハンドルおよびこの細長スリーブを長手軸方向に通って延びる管腔を規定する。遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリ、および近位端に配置されたプランジャーを有するシャフトもまた提供される。このシャフトは、この管腔を通って第一の位置と第二の位置との間で選択的に並進可能であり、この第二の位置において、このエンドエフェクタアセンブリは、この細長スリーブから遠位に延びる。このエンドエフェクタアセンブリをこのシャフトに対して実質的に整列した位置と関節運動した位置との間で関節運動させるように構成された、関節運動機構もまた提供される。このハンドルは、このエンドエフェクタアセンブリを関節運動させるために、この長手方向軸の周りで、このシャフトに対して回転可能である。標本回収バッグが、このエンドエフェクタアセンブリに結合され、好ましくは解放可能に結合され、そしてこのエンドエフェクタアセンブリがこの第一の位置からこの第二の位置へと移動すると、未展開位置から拡張位置へと展開可能であるように構成される。この標本回収バッグは、その開口端の周りに配置されたシンチコード(cinch cord)をさらに備える。
【0011】
いくつかの実施形態において、このシンチコードは、その一端においてこのプランジャーに取り外し可能に結合され、そしてこのプランジャーから解放されると、選択的に近位に並進して、この標本回収バッグを締めて閉じるように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態において、このエンドエフェクタアセンブリの関節運動は、このシャフトがこの第一の位置に配置される場合に、妨げられる。
【0013】
いくつかの実施形態において、このハンドルは、その内側表面に関節運動トラックを規定し得る。この関節運動トラックは、この関節運動機構の関節運動ポストを受容するように構成され得、その結果、この関節運動ポストは、ハンドルアセンブリがこの長手方向軸の周りで、このシャフトに対して回転すると、このトラックに沿って並進して、このエンドエフェクタアセンブリを関節運動させる。さらに、この関節運動機構は、その遠位端でこのエンドエフェクタアセンブリに結合された関節運動棒を備え得、そしてこの関節運動ポストは、この関節運動機構の近位端に配置される。この関節運動棒は、このシャフト内に配置され、そしてこのハンドルアセンブリがこのシャフトに対して回転すると、このシャフトに対して並進可能であり、このエンドエフェクタアセンブリをこのシャフトに対して関節運動させる。
【0014】
いくつかの実施形態において、このシャフトは、手動で、第一の位置と第二の位置との間で並進可能である。このハンドルは、このハンドルの操作を容易にするために、1つ以上の指穴を備え得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、安全タブが、このシャフトがこの第一の位置に配置されているときにこのハンドルとこのシャフトとの両方に係合するように構成される。この安全タブは、このハンドルとこのシャフトとの間の相対運動を妨げる。
【0016】
いくつかの実施形態において、引き部材が、このプランジャーに解放可能に結合され、そしてこのシンチコードの端部に係合するように構成され、その結果、このプランジャーから解放されると、この引き部材は近位に並進可能であり、この標本回収バッグを締めて閉じる。さらに、このプランジャーは、1つ以上の弾力性ロックタブを備え得、この弾力性ロックタブは、この引き部材を解放可能に係合するように構成される。このプランジャーはまた、このプランジャーから外向きに延びる1つ以上のフランジを備え得、このフランジは、このシャフトの第一の位置と第二の位置との間での並進を容易にするように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態において、このシャフトの、この第二の位置からこの第一の位置に戻る並進は、この標本回収バッグをこのエンドエフェクタアセンブリから分離し、そして/またはこの標本回収バッグを少なくとも部分的に締めて閉じる。
【0018】
上記実施形態のうちのいずれかの標本回収装置を使用する標本回収の方法もまた、本開示に従って提供される。この方法は、この外科手術用回収装置を内部体腔内に配置する工程、上記シャフトを上記管腔に通して、第一の位置から第二の位置へと並進させ、その結果、上記エンドエフェクタアセンブリが上記細長スリーブから遠位に延びて、上記標本回収バッグを展開する、工程、上記ハンドルを上記長手方向軸の周りでこのシャフトに対して回転させることによって、このエンドエフェクタアセンブリをこのシャフトに対して、実質的に整列した位置から関節運動した位置へと関節運動させる工程、組織の標本を上記標本回収バッグに入れる工程、このエンドエフェクタアセンブリを関節運動させてこの実質的に整列した位置に戻す工程、このシャフトを近位に並進させて、この第二の位置から第一の位置に戻し、その結果、このエンドエフェクタアセンブリがこの細長スリーブ内に配置される、工程、上記シンチコードを上記プランジャーから脱係合させる工程、およびこのシンチコードを近位に並進させて、この標本回収バッグをこの組織の標本の周りで締めて閉じる工程を包含する。
【0019】
いくつかの実施形態において、この方法は、このシンチコードを切断して、この標本回収バッグをこのシャフトから解放する工程をさらに包含する。その後、このシンチコードの切断された端部が近位に並進させられて、この標本回収バッグをこの内部体腔から取り出し得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、この外科手術用回収装置をこの内部体腔内に配置する前に、このハンドルとこのシャフトとの両方に結合された安全タブが取り外されて、このハンドルに対するこのシャフトの並進を可能にする。
【0021】
本発明の外科手術用回収装置の種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、展開(延長)位置で示される、本開示による外科手術用回収装置の1つの実施形態の側面斜視図である。
【図2】図2は、引き込み(挿入/取り出し)位置で示される、図1の外科手術用回収装置の側面斜視図である。
【図3】図3は、図1の外科手術用回収装置の分解斜視図である。
【図4】図4は、エンドエフェクタがシャフトに結合されて示されている、図1の外科手術用回収装置の遠位部分の拡大斜視図である。
【図5】図5は、図1の外科手術用回収装置の近位部分の拡大斜視図である。
【図6】図6は、図1の外科手術用回収装置のハンドル部分の分解斜視図である。
【図7】図7は、図1の外科手術用回収装置のハンドル部分の横断面図である。
【図8】図8は、図1の外科手術用回収装置と一緒に使用するように構成された、標本回収バッグの側面切り取り図である。
【図9】図9は、図8の標本回収バッグの近位端の拡大斜視図である。
【図10】図10は、引き込み位置で示されている、図1の外科手術用回収装置の側面長手軸方向断面図である。
【図11】図11は、引き込み位置で示されている、図1の外科手術用回収装置の上面長手軸方向断面図である。
【図12】図12は、引き込み位置で示されている、図1の外科手術用回収装置近位端の拡大上面長手軸方向断面図である。
【図13】図13は、図1の外科手術用回収装置の遠位端を引き込み位置で示す、図10に示される細部の領域の拡大側面長手軸方向断面図である。
【図14】図14は、引き込み位置で示されている、図1の外科手術用回収装置の遠位端の拡大上面長手軸方向断面図である。
【図15】図15は、図1の外科手術用回収装置遠位端を引き込み位置で示す、図10に示される細部の領域の拡大側面長手軸方向断面図である。
【図16】図16は、図1の外科手術用回収装置と一緒に使用するために構成された、プランジャーの拡大長手軸方向断面図である。
【図17】図17は、図16のプランジャーの側面斜視図である。
【図18】図18は、組織の切開を通して挿入されて示されている、図1の外科手術用回収装置の側面斜視図である。
【図19】図19は、組織の切開を通して内部外科手術部位(例えば、胸腔)に挿入されて示されている、図18の外科手術用回収装置の横断面図である。
【図20】図20は、展開位置で示されている、図1の外科手術用回収装置の近位端の拡大側面長手軸方向断面図である。
【図21】図21は、展開位置で示されている、図20の線21−21に沿って見た、図1の外科手術用回収装置の近位端の横断面図である。
【図22】図22は、展開位置で内部外科手術部位内に配置されて示されている、図1の外科手術用回収装置の横断面図である。
【図23】図23は、標本回収バッグのシンチコードを示す、図1の外科手術用回収装置のエンドエフェクタアセンブリの近位端の拡大側面斜視図である。
【図24】図24は、関節運動した位置で示されている、図1の外科手術用回収装置の側面斜視図である。
【図25】図25は、関節運動した位置で示されている、図1の外科手術用回収装置の長手軸方向断面図である。
【図26】図26は、図1の外科手術用回収装置の近位端を関節運動した位置で示す、図25の細部の領域の拡大長手軸方向断面図である。
【図27】図27は、関節運動した位置で示されている、図1の外科手術用回収装置の遠位端の拡大長手軸方向断面図である。
【図28】図28は、図25の線27−27に沿って見た、関節運動した位置にある、図1の外科手術用回収装置の近位端の横断面図である。
【図29】図29は、組織の標本が標本回収バッグに入れられた状態で、展開された関節運動した位置で内部外科手術部位に配置されて示されている、図1の外科手術用回収装置の横断面図である。
【図30】図30は、組織の切開を通して挿入され、そして引き込み位置に戻るのが示されている、図1の外科手術用回収装置の側面斜視図である。
【図31】図31は、標本回収バッグが、そこに入れられた組織の標本の周りで締めて閉じられる、図1の外科手術用回収装置の遠位端の側面図である。
【図32】図32は、引き部材が並進させられて標本回収バッグを締めて閉じるのを示す、図1の外科手術用回収装置の近位端の側面斜視図である。
【図33】図33は、標本回収バッグが締めて閉じられて組織標本を内部に保持している、図1の外科手術用回収装置の遠位端の側面図である。
【図34】図34は、組織の標本が入った状態で組織の切開を通して取り出されている、標本回収バッグを示す横断面図である。
【図35】図35は、本開示に従って提供される、外科手術用回収装置の別の実施形態の側面斜視図である。
【図36】図36は、図35の外科手術用回収装置の分解斜視図である。
【図37】図37は、図35の外科手術用回収装置のプランジャーの拡大斜視図である。
【図38】図38は、本開示に従って提供される、外科手術用回収装置のなお別の実施形態の側面斜視図である。
【図39】図39は、図38の外科手術用回収装置の近位端の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(詳細な説明)
本開示の外科手術用回収装置およびそれを使用する方法の種々の実施形態が、図面を参照しながらここで詳細に記載される。図面において、類似の参照番号は、類似または同一の要素を識別する役に立つ。図面において、そして以下の説明において、当該分野において伝統的かつ慣習的であるように、用語「近位」とは、装置またはその構成要素の、適切な使用中に医師に近い方の端部をいうと理解されるべきであり、一方で、用語「遠位」とは、医師から遠い方の端部をいうと理解されるべきである。
【0024】
本開示の外科手術用回収装置は、最小侵襲性胸郭手順に関連して議論されるが、この外科手術用回収装置が他の最小侵襲性外科手術手順における使用に容易に適用可能であることは、本開示の範囲内である。
【0025】
ここで図1〜図3を参照すると、本開示による外科手術用回収装置が、一般に、参照番号10により識別される。外科手術用回収装置10は、長手方向軸「X−X」を規定し、そして一般に、ハンドル100およびシャフト200を備え、このハンドル100は、このハンドルにしっかりと係合してこのハンドルから遠位に延びる細長スリーブ120を有し、そしてこのシャフト200は、このシャフトの遠位端202に配置されたエンドエフェクタアセンブリ220、このシャフトに結合された関節運動アセンブリ240、およびこのシャフトの近位端204に配置されたプランジャーアセンブリ260を有する。以下に詳細に記載されるように、シャフト200およびエンドエフェクタアセンブリ220は、ハンドル100および細長スリーブ120を通って、これらに対して長手軸方向に並進可能であり、外科手術用回収装置10を、第一の位置、最初の位置、挿入/取り出し位置、または引き込み位置(図2)と、第二の位置、延長位置、または展開位置(図1)との間で移行させる。さらに、一旦、展開位置に達すると、ハンドル100は、長手方向軸「X−X」の周りで、シャフト200に対して回転して、エンドエフェクタアセンブリ220を長手方向軸「X−X」からずれるように、すなわち、エンドエフェクタアセンブリ220とシャフト200との間に鋭角を規定するように、関節運動させ得る。
【0026】
ハンドル100は、1対の協働するハウジング構成要素104、106から、例えば、スナップばめによって形成され、そしてほぼ円柱形の本体部分110を備え、この本体部分110は、この本体部分から外向きに延びる1対の対向するウィング112を有する。各ウィング112は、このウィングを通して規定された指穴114を備え、この指穴114は、外科手術用回収装置10の把持および/または操作を容易にするために、医師の指を受容するように構成される。上記のように、細長スリーブ120が、ハンドル100から遠位に延びる。より具体的には、細長スリーブ120には1つ以上の切り欠き124が規定されており、この切り欠き124は、ハンドル100の構成要素104と106との係合の際に、ハンドル100の本体部分110の1つ以上の相補的突出部116を受容して、細長スリーブ120をハンドル100の本体部分110内にしっかりと固定するように、構成される。さらに、ハンドル100の本体部分110と細長スリーブ120とは、一緒になって、管腔122を規定し、この管腔122は、長手方向軸「X−X」の周りに配置され、そしてハンドル100の近位開口部分108から遠位に、ハンドル100の本体部分110を通り、そして細長スリーブ120を通って、このハンドルの遠位端126まで延びる。すなわち、管腔122は、外科手術用回収装置10を通って完全に、その長手方向軸「X−X」に沿って延びる。
【0027】
細長スリーブ120は、例えば、患者の隣接する肋骨「R」(図19)間の組織「T」(図18〜図19)の切開「I」(図18〜図19)内に配置された、胸郭外科手術用アクセス入口300(図18〜図19)を通して、組織の開口部を通して挿入するために構成される。従って、細長スリーブ120は、ハンドル100が患者の外側に残りながら、細長スリーブ120が胸腔「C」(図19)内へ、取り出されるべき組織標本「S」(図29)の近くの位置まで前進させられ得るために、充分な長さを規定することが想定される。さらに、細長スリーブ120は、エンドエフェクタアセンブリ220およびシャフト200の通過を可能にするために充分に大きいが、細長スリーブ120が患者の隣接する肋骨「R」(図19)間に(すなわち、肋間隙切開「I」(図18〜図19)内に配置された胸郭アクセス入口300(図18〜図19)を通して)挿入され得るために充分に小さい、直径を規定することが想定される。
【0028】
上記のように、シャフト200は、その近位端204に配置されたプランジャーアセンブリ260、その遠位端202に配置されたエンドエフェクタアセンブリ220、およびエンドエフェクタアセンブリ220をシャフト200に対して関節運動させるための、シャフトに結合された関節運動アセンブリ240を備える。さらに、シャフト200は、ハンドル100および細長スリーブ120の管腔122内でスライド可能に配置可能であり、そしてこの管腔を通って、引き込み位置(図2)(この位置において、シャフト200は、ハンドル100および細長スリーブ120に対して近位に引き込まれ、その結果、エンドエフェクタアセンブリ220が管腔122内に配置される。すなわち、その結果、エンドエフェクタアセンブリ220はスリーブ120の遠位端126から延びない)と展開位置(図1)(この位置において、シャフト200は管腔122を通って遠位に並進し、その結果、エンドエフェクタアセンブリ220は細長スリーブ120の遠位端126から遠位に延びて、標本回収バッグ30を展開する)との間で、長手軸方向に並進するために構成される。
【0029】
図1〜図3の参照を続けると、シャフト200は、二又の近位端204を備え、そしてプランジャーアセンブリ260は、その基部261から延びる突出部262を備え、この突出部262は、シャフト200の二又の近位端204に受容されるように構成される。シャフト200の近位端204の二又の部分を通し、そしてプランジャーアセンブリ260の突出部262を通して挿入されるピン264が、プランジャーアセンブリ260をシャフト200の近位端204に固定する。
【0030】
プランジャーアセンブリ260は、基部261から近位に延びるハンドル265をさらに備える。ハンドル265は、中心の環状部分266(この環状部分266を通って延びる開口部分267を有する)および1対の横方向把持フランジ268(環状部分266から外向きに延びる)を規定して、プランジャーアセンブリ260を把持し、プランジャーアセンブリ260および従ってシャフト200を、ハンドル100および細長スリーブ120に対して、例えば、展開位置(図1)から引き込み位置(図2)に戻すように引き込むことを容易にする。
【0031】
引き輪280が、プランジャーアセンブリ260内に取り外し可能に配置される。引き輪280は、標本回収バッグ30のシンチコード230に結合され、そしてその中心開口部286内へと内向きに延びるリップ282を備え、このリップ282は、プランジャーアセンブリ260を引き輪280から脱係合させるため、そして引き輪280をプランジャーアセンブリ260に対して引き込んでシンチコード230を引っ張るために、引き輪280の把持を容易にする。より具体的には、引き輪280は、複数の弾力性ロックタブ274(図16)によって、開口部分267の周りに配置されたプランジャーアセンブリ260の凹んだリム272内に解放可能に係合可能である。引き輪280(その作動を含む)のより詳細な説明は、本明細書中で以下に記載される。
【0032】
図4と合わせて、図1〜図3の参照を続けると、エンドエフェクタアセンブリ220は、シャフト200および関節運動アセンブリ240に旋回可能に結合される。エンドエフェクタアセンブリ220は、1対のアーム222、224を備え、これらのアームは、標本回収バッグ30の開口端33に形成されたループ34内に位置して、標本回収バッグ30をこれらのアームに保持するように構成される。展開位置において、図1に示されるように、エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224は、標本回収バッグ30を開いた状態で保持するための、間隔を空けた湾曲した構成を規定するが、他の構成もまた想定される。例えば、エンドエフェクタアセンブリ200は直線状のアーム222、224を備えてもよい。関節運動アセンブリ240は、回転可能部材242、関節運動連結具250、および関節運動棒254を備え、この関節運動棒254は、シャフト200に規定された、細長い、長手軸方向に延びる凹部206内に配置され、従って、関節運動棒254が凹部206を通ってシャフト200に対して並進することを可能にする。
【0033】
エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224は、関節運動アセンブリ240の回転可能部材242によって、シャフト200に旋回可能に結合される。より具体的には、エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224は各々が、それぞれ第一の開口部分226、227、およびそれぞれ第二の開口部分228、229を備え、これらの第二の開口部分は、それぞれ第一の開口部分226、227から長手軸方向に間隔を空けている。それぞれのアーム222、224の開口部分226、228および227、229は、それぞれの近位端223、225を通して規定される。回転可能部材242も同様に、この回転可能部材242を通して規定された、長手軸方向に間隔を空けた、第一の開口部分243および第二の開口部分244を備える。第一のピン247が、アーム222の第一の開口部分226回転可能部材242の第一の開口部分243、およびアーム224の第一の開口部分227を通して固定される。第二のピン248が、シャフト200の少なくとも部分的に二又の遠位端202の各部分に規定された開口部分208を通し、そしてアーム222、224のそれぞれの第二の開口部分228、229、および回転可能部材242の第二の開口部分244を通して、固定される。理解され得るように、このような構成は、アーム222、224と回転可能部材242とを互いに、例えばこれらの間に係合された第一のピン247および第二のピン248を介してしっかりと固定し、そして回転可能部材242およびエンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224をシャフト200の遠位端202に、例えば、第二のピン248を介して旋回可能に結合する。あるいは、アーム222、224は、回転可能部材242にオーバーモールディングされ得るか、または他の方法で回転可能部材242に形成され得る。
【0034】
第三のピン249は、回転可能部材242の第三の開口部分245を通して配置され、この第三の開口部分245は、第二のピン248の上方および遠位にずれており、回転可能部材242(およびエンドエフェクタアセンブリ220)とシャフト200との間の旋回点である。第三のピン249は、関節運動連結具250をその第一の端部251において、回転可能部材242に旋回可能に結合する。関節運動連結具250は、その第二の端部253において、関節運動棒254の遠位端255に旋回可能に結合される。関節運動棒254は、シャフト200の凹部206内に配置され、そして以下により詳細に記載されるように、関節運動連結具250を推進する(すなわち、押すかまたは引く)ために、この凹部を長手軸方向に並進可能である。関節運動連結具250を近位に引くと、例えば、ピン249が近位に引かれ、これによって、回転可能部材242およびアーム222、224を第二のピン248の周りで回転させて、エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224を、長手方向軸「X−X」からずらして関節運動させ、アーム222、224とシャフト200の長手方向軸「X−X」との間に鋭角を規定する。他方で、関節運動連結具250を遠位に押すと、ピン249が遠位に推進され、これによって、回転可能部材242およびアーム222、224を第二のピン248の周りで回転させて、エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224を関節運動させて、長手方向軸「X−X」の方へと戻す(すなわち、実質的に整列した位置の方へと戻す)。
【0035】
ここで図1〜図3と合わせて図5〜図7を参照すると、関節運動アセンブリ240の関節運動棒254は、関節運動棒254の近位端256においてそこからほぼ垂直に延びる関節運動ポスト258を備える。関節運動ポスト258は、シャフト200の凹部206から延びて、関節運動ポスト258がハンドル構成要素104、106のそれぞれの内側表面105、107に規定された関節運動トラック130内に係合するために、充分な高さを規定する。以下に詳細に記載されるように、関節運動ポスト258が関節運動トラック130内に係合した状態で、関節運動棒254は、ハンドル100の、長手方向軸「X−X」の周りでシャフト200に対する選択的回転の際に、シャフト200に対して選択的に並進して、エンドエフェクタアセンブリ220を長手方向軸「X−X」からずらすように関節運動させ得る。より具体的には、図5に最もよく示されるように、細長スリーブ120は、その近位端127から延びる長手軸方向スロット128を備え、この長手軸方向スロット128は、関節運動ポスト258を受容するように構成され、これによって、関節運動ポスト258が関節運動棒254から、シャフト200、細長スリーブ120を通って延び、そして関節運動トラック130と係合することを可能にする。
【0036】
関節運動トラック130は、図6〜図7に示されるように、長手軸方向部分132および螺旋状部分136を備え、そして部分的に、ハンドル構成要素105、107の各々の中に形成され、その結果、ハンドル構成要素105、107が互いに係合すると、関節運動トラック130が完全に形成される。上記のように、関節運動トラック130は、関節運動ポスト258を受容するように構成される。より具体的には、シャフト200が引き込み位置(図2)から展開位置(図1)へと並進してエンドエフェクタアセンブリ220および標本回収バッグ30を展開すると、関節運動ポスト258は関節運動トラック130の長手軸方向部分132に沿って遠位に並進して、関節運動トラック130の螺旋状部分136に隣接する位置にくる。関節運動トラック130の長手軸方向部分132は、長手方向軸「X−X」に対してほぼ平行に延び、そしてシャフト200が引き込み位置に位置するときに、関節運動ポスト258の関節運動トラック130内での係合に起因して、ハンドル100の、長手方向軸「X−X」の周りでのシャフト200に対する回転を妨げる。従って、エンドエフェクタアセンブリ220の関節運動は、シャフト200が引き込み位置に位置するとき、シャフト200の近位端204(関節運動ポスト258の、関節運動トラック130の長手軸方向部分132内での係合に起因する)とシャフト200の遠位端202(エンドエフェクタアセンブリ200が内側に配置されたときにエンドエフェクタアセンブリ200の長手方向軸「X−X」からずれた実質的な動きを妨げる、細長スリーブ120の管腔122の内側寸法に起因する)との両方で妨げられる。
【0037】
しかし、図1〜図3および図5〜図7を参照すると、シャフト220が展開位置まで並進すると、関節運動ポスト258は、関節運動トラック130の長手軸方向部分132に沿って並進して、関節運動トラック130の螺旋状部分136に隣接する位置にくる。この位置において、ハンドル100は、長手方向軸「X−X」の周りで、シャフト200に対して回転させられて、関節運動ポスト258を螺旋状部分136に通して、シャフト200に対して並進させ得る。さらに、エンドエフェクタアセンブリ220が細長スリーブ120の管腔122から延びた状態で、アーム222、224は、細長スリーブ120の管腔122内にもはや閉じ込められない。従って、理解され得るように、関節運動トラック130の螺旋状部分136を通る関節運動ポスト258の並進は、関節運動ポスト258および従って関節運動棒154をシャフト200に対して並進させて、エンドエフェクタアセンブリ220を長手方向軸「X−X」に対して関節運動させるように、行われ得る。このような関節運動は、標本回収バッグ30を体腔(例えば、胸腔「C」(図19))内に配置する際の、増大した融通性を提供する。これはまた、標本回収バッグ30が、主要アクセス切開「I」(図18〜図19)のすぐ近くの空間から離して配置され、そして腔「C」(図19)の頂点に向かって配置されることを可能にする。このことは、切開「I」(図18〜図19)のすぐ下の機能的空間(この空間において、標本「S」(図19)が容易に直接的に操作され得、そしてこの空間が別のスコープポート(図示せず)から可視化され得る)を外科医に与える。すなわち、バッグ30が、装填および可視化の邪魔になり得ない。
【0038】
ここで図3と合わせて図8〜図9を参照すると、標本回収バッグ30は、エンドエフェクタアセンブリ220に取り外し可能に結合され、そしてエンドエフェクタアセンブリ220から垂れ下がる。より具体的には、標本回収バッグ30は、その開口端33で折り返されて、その外周にループ34を形成する。エンドエフェクタアセンブリ220は、1対のアーム222、224を備え、これらのアーム222、224は、標本回収バッグ30の開口端33に形成されたループ34内に取り外し可能に配置されて、標本回収バッグ30を保持するように構成される。展開位置において、図1に示されるように、エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224は、標本回収バッグ30を開いた状態で保持するための、間隔を空けた湾曲した構成を規定するが、他の構成もまた想定される。例えば、エンドエフェクタアセンブリ220は、直線状のアーム222、224を備え得る。他方で、引き込み位置において、エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224は、互いに近く近接した、実質的に直線状の構成で配置されて、細長スリーブ120の管腔122内での配置およびこの管腔122を通る並進を可能にする。以下に記載されるように、アーム222、224は、間隔を空けた湾曲した構成の方に付勢され得、その結果、展開位置に達すると、アーム222、224は自動的に展開される。すなわち、アーム222、224は、弾力によって、その間隔を空けた湾曲した構成に戻り、これによって、標本回収バッグ30を開いた状態に移行させる。
【0039】
図3と合わせて図8〜図9の参照を続けると、以下により詳細に記載されるように、シンチコード230が、標本回収バッグ30のループ34を通して配置される。シンチコード230の第一の端部232および第二の端部234は、標本回収バッグ30のループ34から近位に延びる。これらの端部のうちの一方(例えば、第一の端部232)は、他方の端部(例えば、第二の端部234)の周りでループを作り、そして結ばれるか、または他の方法でそれ自体の周囲で固定される(図23を参照のこと)。一方で、第二の端部234は、シャフト200を通って近位に延び、最終的に、引き輪280に係合する(すなわち、引き輪280の周りに結ばれる)。従って、以下により詳細に記載されるように、引き輪280をシャフト200に対して近位に並進させると、シンチコード230も同様に近位に引かれて、シンチコード230を引っ張り、これによって、標本回収バッグ30が締めて閉じられる。この装置を引き込ませると、アーム222、224が滑ってループ34から外れ、そしてコード230が(好ましくは、ハンドル部分内のナイフによって)切断されて、このバッグおよびこのコードをこの器具から分離する。
【0040】
図3と合わせて図8〜図9の参照を続けると、標本回収バッグ30は、任意の適切な生体適合性材料(単数または複数)(例えば、30デニールのリップストップナイロン)から形成され、組織の標本「S」(図29)を内部に保持するように、そして流体および生物学的材料の通過を妨げるように、構成されることが想定される。バッグ30は、永続的バッグが利用される場合に流体が出てくることを防止するため、または不透過性を改善するために、コーティング(例えば、ポリウレタンコーティング)を備え得る。このコーティングは、バッグ30の内側表面および/または外側表面に配置され得る。標本回収バッグ30は、下部分32(組織の標本「S」(図29)を標本回収バッグ30内で再配向または再配置して、内部体腔からの標本回収バッグ30の取り出しを容易にするように構成された、最小の断面積を有する)および比較的拡大した上部分35(比較的組織の標本「S」(図29)を標本回収バッグ30に入れることを容易にするために構成される)を備える。換言すれば、下部分32は、上部分35より小さい横方向寸法を有する。より具体的には、標本回収バッグ30の上部分35は、第一の面36、および第一の面36に対向して位置する一般に角度の付いた面37を有する。角度の付いた面37は、内向きにテーパ状であり、その結果、標本回収バッグ30の上部分35の横方向寸法は、標本回収バッグ30の下部分32に向かって次第に減少する。壁38(標本回収バッグ30の下部分32で壁39に対向する)は、壁39に対して実質的に平行に延び、その結果、下部分32の横方向寸法は、その長さに沿って実質的に一定のままである。あるいは、標本回収バッグ30は、標本回収バッグ30の意図される用途に依存して、他の種々の構成に形成され得る。
【0041】
上記のように、標本回収バッグ30の上部分35の開口端33は、その外周に規定されたループ33を備える。ループ33は、このループを通してエンドエフェクタアセンブリ220のアームおよびシンチコード230を受容して、それぞれ、標本回収バッグ30をエンドエフェクタアセンブリ220に保持するため、および標本回収バッグ30を締めて閉じる(または閉じる)ために、構成される。
【0042】
標本回収バッグ30は、いくつかの実施形態において、その内側表面に配置された高摩擦メッシュ材料をさらに備えて、その内部での組織標本「S」(図29)の保持を容易にし得る。他の実施形態において、このバッグの形状は、標本「S」(図29)を保持することに依存し、そして滑らかな内側表面が提供されて、摘出中に、バッグ30の上方装填領域(すなわち上部分35)、からバッグ30の下方形成領域(すなわち、下部分32)への、組織標本「S」(図29)の容易な通過を可能にする。
【0043】
標本回収バッグ30は、その中に形成されたチャネル42をさらに備える。チャネル42は、バッグ材料と一体に形成され得るか、あるいはバッグ30に取り付けられた(例えば、内側表面に取り付けられた)別の管から形成され得る。チャネル42は、その長さに沿って少なくとも1つの開口部またはスロット44を備えて、チャネル42内への空気の通過を可能にする。好ましくは、複数のスロットまたは開口部が提供されて、バッグ30内の空気および/または流体とチャネル42の内側との間での連絡を可能にする。チャネル42はまた、いくつかの実施形態において、その遠位端で、バッグ30の底から間隔を空けて終わり、遠位開口部においてバッグ30の内側と連絡し、空気の流体が逃れるための別の経路を提供し得る。さらに、チャネル42の近位端は、いくつかの実施形態において、バッグ30の外側と連絡するように開いていてもよい。
【0044】
支持部材(単数または複数)40が標本回収バッグ30内に配置されて、外科手術用回収装置10からの展開の際に、チャネル42がつぶれることを妨げること、および/または標本回収バッグ30を開いた位置の方に付勢することを補助し得る。支持部材40は、例えば、連続気泡材料(例えば、連続気泡発泡体)または空気および/もしくは流体の通過を可能にする他の適切な材料から形成され得、これによって、標本回収バッグ30をつぶす際または圧縮する際に、空気および/または流体が標本回収バッグ30から逃れることを可能にして、標本回収バッグ30の内圧を低下させる。より具体的には、この連続気泡発泡体は、好ましくは、チャネル42横方向断面積より小さい横方向断面積を有する。このように、バッグ30からチャネル42に入る空気および/または流体は、チャネル42を通って、この発泡材料の周りを流れ得る。この連続気泡発泡体に起因して、空気または流体はまた、この連続気泡発泡体自体を通って流れ得ることに留意のこと。この方法で、標本回収中にチャネル42がつぶれるかまたは圧縮されても、空気および流体は依然として逃れ得る。この空気および流体の逃れは、アクセスポート300(図18)または身体開口部を通しての引き出し中に、圧力がバッグ30に加えられる際に、起こる。バッグ30が圧縮されるにつれて、空気および/または流体は強制的に、チャネル42を通って近位に動き、その開いた近位端から出る。従って、これによって、圧力の低下が、標本「S」(図33)がバッグ30の底で球状になることを防ぎ、そして取り出しを容易にする。
【0045】
ここで図10〜図34を参照して、外科手術用回収装置10の使用および作動が、外科手術用回収装置10の動作構成要素のより詳細な説明と一緒に記載される。最初に、図10〜図17を参照すると、外科手術用回収装置10が引き込み位置に配置される。この位置において、シャフト200はハンドル100から近位に延び、そしてエンドエフェクタアセンブリ220および標本回収バッグ30は細長スリーブ120の管腔122内に配置される。
【0046】
図11〜図12に最もよく示されるように、シャフト200は、このシャフトを通して安全タブ140を受容し、シャフト200および標本回収バッグ30の不慮または尚早な展開を妨げるように構成され得る。より具体的には、安全タブ140は、シャフト200に規定されたスロット210を通って延び、ハンドル100の近位端に当接して、シャフト200がハンドル100を通ってさらに遠位に並進することを妨げ、これによって、エンドエフェクタアセンブリ220および標本回収バッグ30の展開を妨げるように構成される。より具体的には、安全タブ140は、シャフト200のスロット210を通して挿入されるための細長い部分142、および安全タブ140をシャフト200から取り外すために医師による把持を容易にするための外部把持部分144を備え、これによって、シャフト200がハンドル100および細長スリーブ120を通って展開位置(引き込み位置)の方に遠位に前進(および近位に後退)することを可能にする。
【0047】
図10〜図17の参照を続けると、引き込み位置において、細長スリーブ120の管腔122の内側寸法は、エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224を、実質的に直線状の近接した位置で内部に保持し、標本回収バッグ30はアーム222、224の周りに巻かれている(すなわち、巻き付けられている)。この位置において、シンチコード230の第一の端部232および第二の端部234は、標本回収バッグ30のループ34のいずれかの端部から近位に延びる。より具体的には、上記のように、シンチコード230の第一の端部232は、その第二の端部234の周りでループを作り、そして結ばれる(図23を参照のこと)。一方で、シンチコード230の第二の端部234は、シャフト200を通って延び、最終的に引き輪280に係合する。例えば、引き輪280に規定された開口部分284を通り、そしてその近位側で結ばれる。引き輪280は最初、プランジャーアセンブリ260内に係合し、従って、シンチコード230は、比較的張力を受けていない。より具体的には、引き輪280は、弾力性ロックタブ274を介して、プランジャーアセンブリ260の凹んだ近位部分272内に保持される。
【0048】
使用の準備において、外科手術用回収装置10が引き込み位置に配置された状態で、安全タブ140が取り外され、従って、シャフト200の、引き込み位置から展開位置への前進を可能にする。次に、図18〜図19に示されるように、外科手術用回収装置10は、細長スリーブ120に導かれて、患者の隣接する肋骨「R」間の組織「T」の切開「I」内に配置された胸郭アクセス入口300を通して挿入されるが、外科手術用回収装置10は、切開「I」を通して直接挿入されてもよく、または他の任意の適切な胸郭アクセス入口(図示せず)と一緒に使用されてもよい。理解され得るように、この引き込み位置において、エンドエフェクタアセンブリ220は細長スリーブ120から延びていないので、外科手術用回収装置10は、減少した直径を規定して、細長スリーブ120が患者の隣接する肋骨「R」間のアクセス入口300を通り、内部外科手術部位(例えば、胸腔「C」)に入る通過を容易にする。
【0049】
ここで図18〜図23を参照すると、一旦、外科手術用回収装置10が内部外科手術部位「C」(例えば、胸腔)に挿入されると、シャフト200は、例えば、ハンドル100およびプランジャーアセンブリ260を把持し、そしてプランジャーアセンブリ260をハンドル100に対して遠位に、引き込み位置から展開位置へと並進させることによって、管腔122を通って遠位に並進し得、その結果、エンドエフェクタアセンブリ220が細長スリーブ120から延びて、アーム222、224、および標本回収バッグ30を展開する。より具体的には、シャフト200は、エンドエフェクタアセンブリ220が細長スリーブ120から遠位に延びるまで、管腔122を通って遠位に並進する。
【0050】
理解され得るように、エンドエフェクタアセンブリ220が細長スリーブ120から出現すると、標本回収バッグ30が展開され、すなわち、巻きを解かれて、図22〜図23に示されるように、開いた状態になる。より具体的には、標本回収バッグ30内に配置された支持部材40の付勢、およびエンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224の間隔を空けた湾曲した構成への付勢が、標本回収バッグ30を開いた状態に自動的に移行させ、ここで標本回収バッグ30は、細長スリーブ120からの展開の際に、エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224から垂れ下がる。さらに、シンチコード230の第一の端部232および第二の端部234は、プランジャーアセンブリ260内での引き輪280の係合(図16〜図17を参照のこと)の維持に起因して、実質的に張力を加えられない状態で、標本回収バッグ30から延び、従って、標本回収バッグ30を開いた状態で維持する。
【0051】
図18〜図23、および特に図20〜図21の参照を続けると、この時点で、外科手術用回収装置10のエンドエフェクタアセンブリ220が内部外科手術部位「C」内に展開状態で配置された状態で、エンドエフェクタアセンブリ220は、関節運動していない位置で、長手方向軸「X−X」と実質的に整列した位置に配置されたままになる。しかし、シャフト200が展開位置に並進すると、関節運動ポスト258が、ハンドル100に規定された関節運動トラック130の長手軸方向部分132に沿って遠位に、その近位端133からその遠位端135へと並進し、ここで関節運動ポスト258は、関節運動トラック130の螺旋状部分136に隣接して配置される。従って、一旦、展開位置に達すると、エンドエフェクタアセンブリ220は、以下により詳細に記載されるように、内部外科手術部位「C」内で所望の位置または配向に関節運動し得る。
【0052】
ここで図24〜図29を参照すると、標本回収バッグ30を内部体腔「C」内でより良好に配置する目的で、エンドエフェクタアセンブリ220は、長手方向軸「X−X」からずれるように関節運動させられて、外科手術用回収バッグ30内への組織の標本「S」の捕捉を容易にし得る。次いで、外科手術用回収装置10が操作され、そして/またはさらなる外科手術用器具(例えば、外科手術用把持具(図示せず))が使用されて、組織の標本「S」を標本回収バッグ30内に配置し得る。
【0053】
エンドエフェクタアセンブリ220、および従って標本回収バッグ30を関節運動させる目的で、医師は、ハンドル100を片手で把持し、そしてシャフト200のプランジャーアセンブリ260を他方の手で把持し、そしてハンドル100をシャフト200に対して長手方向軸「X−X」の周りで第一の方向(例えば、反時計回り方向)に回転させる。ハンドル100のシャフト200に対する回転は、ハンドル100の、関節運動棒254および関節運動ポスト258に対する同様の回転を引き起こす。従って、ハンドル100が長手方向軸「X−X」の周りで関節運動ポスト258に対して反時計回り方向に回転するにつれて、関節運動ポスト258が関節運動トラック130の螺旋状部分136内へと並進する。関節運動トラック130の螺旋状部分136のピッチは、ハンドル100の回転の際に関節運動ポスト258がこの螺旋状部分136を通って並進すると、関節運動ポスト258が近位に推進され、これによって関節運動棒254を凹部206に沿ってシャフト200に対して近位に並進させるようなピッチにされる。関節運動棒254の近位への並進は次に、関節運動連結具250を近位に引き、これは、エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224を推進して、第二のピン248の周りでシャフト200に対して旋回させ、これによって、エンドエフェクタアセンブリ220を長手方向軸「X−X」からずらすように関節運動させる。理解され得るように、ハンドル100の逆方向(例えば、時計回り方向)への回転は、関節運動棒254を遠位に並進させ、これによって、エンドエフェクタアセンブリ220を長手方向軸「X−X」の方に戻すように関節運動させる。エンドエフェクタアセンブリ220が所望の位置(例えば、図29に示される位置)に関節運動した状態で、組織の標本「S」は、標本回収バッグ30内に移動させられ得る。
【0054】
ここで図29〜図31を参照すると、一旦、組織の標本「S」が標本回収バッグ30に入ると、標本回収バッグ30が締めて閉じられ得、そして内部体腔「C」から取り出され得る。標本回収バッグ30を締めて閉じ、その中に組織の標本「S」を確保する目的で、エンドエフェクタアセンブリ220は最初に、例えば、ハンドル100をシャフト200に対して逆に(例えば、時計回り方向に)回転させることによって、その関節運動していない位置に戻される。
【0055】
一旦、エンドエフェクタアセンブリ220が長手方向軸「X−X」と整列すると、すなわち、一旦、エンドエフェクタアセンブリ220が関節運動していない位置に戻されると、プランジャーアセンブリ260がハンドル100に対して近位に引かれて、展開位置から引き込み位置に戻される。より具体的には、医師は、ハンドル100のウィング112の指穴114を片手で把持し、プランジャーアセンブリ260のフィンガー268を他方の手で把持し、そしてプランジャーアセンブリ260および従ってシャフト200をハンドル100に対して遠位に並進させる。シャフト200の、ハンドル100および細長スリーブ120に対する遠位への並進は、エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224を近位に並進させて細長スリーブ120の管腔122に入れ、そして同様に、シンチコード230を近位に並進させて、標本回収バッグ30を少なくとも部分的に締めて閉じる。シャフト200が遠位に並進するにつれて、エンドエフェクタアセンブリ220のアーム222、224は互いの方に推進されて、スリーブ120の管腔122に収納され、標本回収バッグ30のループ34から引き抜かれ、従って、標本回収バッグ30をエンドエフェクタアセンブリ220から脱係合させ、標本回収バッグ30を細長スリーブ120の外側で遠位に配置したままにする。さらに、シャフト200および従ってシンチコード230の、標本回収バッグ30に対する近位への並進に起因して、シャフト200が引き込み位置に移動すると、標本回収バッグ30が少なくとも部分的に締めて閉じられる。
【0056】
ここで図32〜図34を参照すると、標本回収バッグ30を完全に締めて閉じる目的で、引き輪280は、プランジャーアセンブリ260から脱係合させられ、そしてプランジャーアセンブリ260に対して近位に並進させられ、その結果、シンチコード230の第二の端部234は、標本回収バッグ30に対して近位に並進させられる。より具体的には、医師は、1本以上の指を、引き輪280に規定された開口部286に通し、そしてプランジャーアセンブリ260の凹んだリム272に挿入して、引き輪280の内向きに延びるリップ282を把持する。次いで、医師は、引き輪280を弾力性ロックタブ274から脱係合させるために充分な推進で引き輪280を遠位に並進させ、その結果、引き輪280は、プランジャーアセンブリ260および従ってシャフト200に対して、近位に並進し得る。上記のように、シンチコード230の第二の端部234は、引き輪280の開口部分284(図16)を通して配置され、そしてその近位側で結ばれ、その結果、引き輪280をプランジャーアセンブリ260に対して並進させると、シンチコード230を近位に並進させて、図32〜図33に示されるように、標本回収バッグ30を完全に締めて閉じる。
【0057】
ここで図34を参照すると、シンチコード230の第一の端部232がその第二の端部234の周りでループを作ることにより、シンチコード230が適所に保持される。すなわち、シンチコード230がループを作ることにより、シンチコード230の張力が弱まることが妨げられ、これによって、標本回収バッグ30を締めて閉じられた状態に維持する。従って、一旦、標本回収バッグ30が、組織の標本「S」が入れられた状態で締めて閉じられると、シンチコード230が切断されて、シンチコード230および標本回収バッグ30を、外科手術用回収装置10の残りの部分(すなわち、ハンドル100、細長スリーブ120およびシャフト200)から解放し得る。次いで、外科手術用回収装置10のこれらの他の構成要素が、内部外科手術部位「C」からアクセス入口300を通して取り出され得、標本回収バッグ30(組織の標本「S」が入った状態で閉じた状態で配置される)およびシンチコード230(標本回収バッグ30から、第二の切断された端部234まで延びる)を残す。より具体的には、シンチコード230が切断されてシンチコード230の第二の端部234を引き輪280から脱係合させ、ハンドル100、細長スリーブ120、およびシャフト200が内部外科手術部位「C」から引き抜かれる際にシンチコード230がハンドル100、細長スリーブ120、およびシャフト200を通過することを可能にし、その結果、標本回収バッグ30およびシンチコード230は、内部外科手術部位「C」内に配置されたままになる。最終的に、シンチコード230の切断された端部234は、近位に並進させられて、標本回収バッグ30およびそこに入った組織の標本「S」を内部外科手術部位「C」から取り出す。
【0058】
ここで図35〜図37を参照すると、外科手術用回収装置10(図1〜図34)と類似の、本開示に従って提供される外科手術用回収装置の別の実施形態が、一般に、参照番号15により識別される。外科手術用回収装置15は一般に、ハンドル400(このハンドルにしっかりと係合してこのハンドルから遠位に延びる細長スリーブ420を有する)、シャフト500(このシャフトの遠位端502に配置されたエンドエフェクタアセンブリ520、このシャフトに結合された関節運動アセンブリ540、およびこのシャフトの近位端504に配置されたプランジャーアセンブリ560を有する)を備える。外科手術用回収装置15は、ハンドル400およびプランジャーアセンブリ560の構成を除いて、構成と操作との両方が、外科手術用回収装置10(図1〜図25)と実質的に類似である。従って、不必要な繰り返しを避けるために、外科手術用回収装置15と外科手術用回収装置10(図1〜図25)との違いのみが、本明細書中以下に詳細に記載される。
【0059】
外科手術用回収装置15のハンドル400は、円筒形管406によって相互に接続された、対向する1対のハウジング部材402、404を備える。ハウジング部材402、404はそれぞれ、ほぼ環状の構成を規定し、そこから半径方向外向きに延びる複数のフランジ403、405をそれぞれ有する。フランジ403は、フランジ405と同様に、互いから間隔を空けており、それらの間に複数の指凹部407を規定する。指凹部407は、エンドエフェクタアセンブリ520および標本回収バッグ30を長手方向軸「X−X」に対して関節運動させる目的で、ハンドル400の把持およびその長手方向軸「X−X」の周りでのシャフト500に対する回転を容易にする。ハンドル400の使用および作動は、外科手術用回収装置10(図1〜図34)のハンドル100と実質的に類似である。
【0060】
外科手術用回収装置15のプランジャー560は、例えばピン564を介して、シャフト500の近位端504にしっかりと係合し、そして基部561、および基部561から近位に延びる近位ハブ562を備える。近位ハブ562は、ほぼ半球状の構成を規定し、ここでその丸みを帯びた表面565が近位に面する。さらに、近位ハブ562は、その近位の丸みを帯びた表面565から延びるタブ566を備え、このタブ566は、シンチコード230の第二の端部234を内部に解放可能に保持するように構成される。従って、シンチコード230の第二の端部234を固定するための引き部材を提供するよりむしろ、外科手術用回収装置15は、タブ566との係合によってシンチコード230の第二の端部234を保持する。従って、シンチコード230をプランジャー560に対して引き込んで、標本回収バッグ30を完全に締めて閉じることが望まれる場合、シンチコード230の第二の端部234は、タブ566から脱係合させられ、そして近位に並進させられる。外科手術用回収装置15の使用および作動は、その他の点では、図1〜図34に関して上で議論された外科手術用回収装置10と実質的に類似であるので、ここでは繰り返さない。
【0061】
ここで図38〜図39を参照すると、本開示に従って提供される外科手術用回収装置20の別の実施形態が示されている。外科手術用回収装置20は、ハンドル600の構成を除いて、外科手術用回収装置15(図35〜図37)と実質的に類似である。従って、簡潔さの目的で、ハンドル600のみが、本明細書中以下に記載される。
【0062】
外科手術用回収装置20のハンドル600は、ほぼ円柱形の本体602を備え、この本体602から半径方向外向きに延びる複数のフランジ604を有する。フランジ604は、遠位から近位へとテーパ状であり、そして互いから間隔を空けて、その間に複数の指凹部606を規定し、これらの指凹部606は、ハンドル600の把持および回転を容易にする。ハンドル600の近位端608は、フランジ604の遠位端を含めて、長手方向軸「X−X」に対してほぼ垂直に延びる、比較的平坦な表面を規定する。この表面は、プランジャー660のほぼ半球状の近位ハブ664の平坦な遠位表面668と嵌合するように構成され得る。このような構成は、プランジャー660が医師の衣類に捕捉されること、他の外科手術用器具類との干渉、ならびに/またはハンドル600および細長スリーブ620に対するシャフトの700不注意による移動を妨げる。
【0063】
上記のことから、種々の図面を参照して、特定の改変がまた、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に対してなされ得ることを、当業者は理解する。本開示の数個の実施形態が図面に示されたが、本開示はこれらに限定されることを意図されない。なぜなら、本開示は当該分野が許容すると同程度まで範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0064】
10 外科手術用回収装置
30 標本回収バッグ
100 ハンドル
120 細長スリーブ
200 シャフト
220 エンドエフェクタアセンブリ
240 関節運動アセンブリ
260 プランジャーアセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルであって、長手方向軸を規定し、そして該ハンドルから遠位に延びる細長スリーブを備え、該ハンドルと該細長スリーブとが一緒になって、該ハンドルおよび該細長スリーブを通って長手軸方向に延びる管腔を規定する、ハンドル;
シャフトであって、該シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリ、および該シャフトの近位端に配置されたプランジャーを有し、該シャフトは、第一の位置と、該エンドエフェクタアセンブリが該細長スリーブから遠位に延びる第二の位置との間で選択的に並進可能である、シャフト;
関節運動機構であって、該エンドエフェクタアセンブリを該シャフトに対して、実質的に整列した位置と関節運動した位置との間で関節運動させるように構成されており、該ハンドルは、該エンドエフェクタアセンブリを関節運動させるように、該長手方向軸の周りで、該シャフトに対して回転可能である、関節運動機構;ならびに
該エンドエフェクタアセンブリに結合された標本回収バッグであって、該標本回収バッグは、該エンドエフェクタアセンブリの該第一の位置から該第二の位置への移動の際に、未展開位置から拡張位置へと展開可能であり、該標本回収バッグは、該標本回収バッグの開口端の周囲に配置されたシンチコードを備える、標本回収バッグ、
を備える、外科手術用回収装置。
【請求項2】
前記シャフトが前記第一の位置に配置されている場合に、前記エンドエフェクタアセンブリの関節運動が妨げられる、請求項1に記載の外科手術用回収装置。
【請求項3】
前記シンチコードが、該シンチコードの一端において前記プランジャーに取り外し可能に結合されており、該シンチコードは、該プランジャーから解放されると、前記標本回収バッグを締めて閉じるための選択的な近位への並進のために構成されている、請求項1に記載の外科手術用回収装置。
【請求項4】
前記ハンドルが、該ハンドルの内側表面に関節運動トラックを規定し、該関節運動トラックは、前記関節運動機構の関節運動ポストを受容するように構成されており、ハンドルの、前記長手方向軸の周りでの前記シャフトに対する回転の際に、該関節運動ポストは、該関節運動トラックに沿って並進して、前記エンドエフェクタアセンブリを関節運動させる、請求項3に記載の外科手術用回収装置。
【請求項5】
前記関節運動機構が関節運動棒を備え、該関節運動棒は、該関節運動棒の遠位端で前記エンドエフェクタアセンブリに結合されており、そして前記関節運動ポストが該関節運動棒の近位端に配置されており、該関節運動棒は、前記シャフト内に配置されており、そして前記ハンドルの該シャフトに対する回転の際に、該エンドエフェクタアセンブリを該シャフトに対して関節運動させるように、該シャフトに対して並進可能である、請求項4に記載の外科手術用回収装置。
【請求項6】
前記関節運動トラックが螺旋状部分を備える、請求項4に記載の外科手術用回収装置。
【請求項7】
安全タブをさらに備え、該安全タブは、前記シャフトが前記第一の位置に配置される場合に、前記ハンドルと前記シャフトとの両方に係合して、該ハンドルと該シャフトとの間の相対運動を妨げるように構成されている、請求項1に記載の外科手術用回収装置。
【請求項8】
前記ハンドルが、該ハンドルの操作を容易にするために、該ハンドルに規定された少なくとも1つの指穴を備える、請求項1に記載の外科手術用回収装置。
【請求項9】
前記プランジャーに取り外し可能に結合された引き部材をさらに備え、該引き部材は、前記シンチコードの端部に係合するように構成されており、その結果、該プランジャーから取り外されると、該引き部材は、前記標本回収バッグを締めて閉じるように近位に並進可能である、請求項1に記載の外科手術用回収装置。
【請求項10】
前記プランジャーが、前記引き部材に解放可能に係合するように構成された少なくとも1つの弾力性ロックタブを備える、請求項9に記載の外科手術用回収装置。
【請求項11】
前記プランジャーが、該プランジャーから外向きに延びる少なくとも1つのフランジを備え、該フランジは、前記第一の位置と前記第二の位置との間での前記シャフトの並進を容易にするように構成されている、請求項1に記載の外科手術用回収装置。
【請求項12】
前記第二の位置から前記第一の位置に戻る前記シャフトの並進が、前記標本回収バッグを前記エンドエフェクタアセンブリから分離する、請求項1に記載の外科手術用回収装置。
【請求項13】
前記第二の位置から前記第一の位置に戻る前記シャフトの並進が、前記標本回収バッグを少なくとも部分的に締めて閉じる、請求項1に記載の外科手術用回収装置。
【請求項14】
標本回収のためのシステムであって、該システムは:
外科手術用回収装置であって、該外科手術用回収装置は:
ハンドルであって、該ハンドルから遠位に延びる細長スリーブを有し、該ハンドルと該細長スリーブとは一緒になって、該ハンドルおよび該細長スリーブを通って長手軸方向に延びる管腔を規定する、ハンドル;
シャフトであって、該シャフトの遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリ、および該シャフトの近位端に配置されたプランジャーを有する、シャフト;
標本回収バッグであって、該エンドエフェクタアセンブリに結合され、そして該標本回収バッグの開口端の周りに配置されたシンチコードを備える、標本回収バッグ;
を備える、外科手術用回収装置;
を備え、
該外科手術用回収装置は、内部体腔内に配置されるように構成されており;
該シャフトは、該管腔に通して、第一の位置から第二の位置へと遠位に並進させられ、その結果、該エンドエフェクタアセンブリが該細長スリーブから遠位に延びて、該標本回収バッグを展開するように構成されており;
該ハンドルは、該長手方向軸の周りで該シャフトに対して回転させられて、該エンドエフェクタアセンブリを該シャフトに対して、実質的に整列した位置から関節運動した位置へと関節運動させるように構成されており;
該標本回収バッグは、組織の標本を入れられるように構成されており;
該エンドエフェクタアセンブリは、関節運動させられて該実質的に整列した位置に戻されるように構成されており;
該シャフトは、近位に並進させられて、該第二の位置から該第一の位置に戻され、その結果、該エンドエフェクタアセンブリが該細長スリーブ内に配置されるように構成されており;
該シンチコードは、該プランジャーから脱係合させられるように構成されており;そして
該シンチコードは、近位に並進させられて、該標本回収バッグを該組織の標本の周りで締めて閉じるように構成されている、
システム。
【請求項15】
前記シンチコードは、切断されて、前記標本回収バッグを前記シャフトから解放するようにさらに構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記シンチコードの切断された端部は、近位に並進させられて、前記標本回収バッグを前記内部体腔から取り出すようにさらに構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ハンドルと前記シャフトとの両方に結合された安全タブをさらに備え、該安全タブは、取り外されて、該ハンドルに対する該シャフトの並進を可能にするように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記ハンドルが、回転させられて、関節運動ポストを螺旋状の関節運動トラックに沿って移動させるように構成されている、請求項17に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2013−85957(P2013−85957A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230736(P2012−230736)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(512269650)コヴィディエン リミテッド パートナーシップ (6)
【Fターム(参考)】