説明

脈波伝播速度測定装置および脈波伝播速度測定プログラム

【課題】1箇所の測定部位の脈波から脈波伝播速度をより正確に求めることができる脈波伝播速度測定装置を提供する。
【解決手段】この脈波伝播速度測定装置10では、脈波伝播速度検出部5は、基準時間検出部2で検出した脈波Sの駆出波成分の基準時間T1と反射波成分の基準時間T2との時間差ΔTに基づいて求めた伝播速度PWV(=2h/ΔT:hは心臓から腹部大動脈分岐部までの距離)を、脈波振幅検出部3で検出した駆出波成分の基準時間T1に対応する脈波Sの振幅W1と反射波成分の基準時間T2に対応する脈波Sの振幅W2とから求めた補正係数AI(=W1/W2)で補正することで脈波Sの伝播速度PWVを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体の脈波を測定することで、脈波の伝搬する速度を算出する脈波伝播速度測定装置および脈波伝播速度測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脈波は生体の循環器系の状態を把握する上で様々な重要な情報を有していることが知られている。特に、生体の2箇所を脈波が伝播する速度および時間は動脈硬化状態などが把握できる可能性が指摘され、医療現場でも注目されている生体指標であり、それぞれ脈波伝播速度(PWV:Pulse Wave Velocity)、脈波伝播時間(PTT:Pulse Transit Time)などと呼ばれている。
【0003】
この脈波伝播速度には、測定箇所に応じて複数の測定手法が提案されており、例えば、頚動脈と大腿動脈との間の脈波伝播速度は、cfPWV(carotid-femoral PWV)と呼ばれ、脈波伝播速度(PWV)におけるゴールドスタンダードとして利用されている。
【0004】
しかしながら、上記cfPWVは、測定部位に大腿部付け根を含むため、測定時には大腿部付け根を露出しなければならず、測定開始のための準備の観点や、被験者の心理面などの問題から、様々な被験者に対して実施できるような一般的な測定ではない。一方、baPWV(brachial−ankle PWV)は、測定部位が上腕と足首であるので、上記cfPWVよりも測定が容易であり、上記cfPWVよりも臨床現場で普及しつつある。
【0005】
一般的に、脈波伝播速度(PWV)を求めるには、2箇所の脈波測定点が必要である。
【0006】
しかしながら、生体上のいずれの部位で測定された脈波であっても、心臓からの駆出波と生体内の様々な箇所から反射された反射波との合成波であることが知られている。そして、この駆出波と反射波とを分離することで、脈波の測定部位が1箇所でも、脈波伝播速度あるいは脈波伝播時間を求めることができる可能性がある。
【0007】
そこで、非特許文献1(Takazawa K et al.”Underestimation of vasodilator effects of nitroglycerin by upper limb blood pressure”, Hypertension 1995; 26:520−3)では、駆出波と反射波を分離するための技術が開示されている。また、特許文献1(特許3495348号公報)や特許文献2(特開2007−007075号公報)では、駆出波と反射波を分離することによって、脈波の測定部位が1箇所であっても、脈波伝播速度あるいは脈波伝播時間を求めるための技術が開示されている。
【0008】
一般的に、脈波は生体内の各所において反射が発生している。この脈波の反射は、血管のインピーダンス不整合が主因であり、例えば、血管の分岐や血管の弾性力の変化などが在る箇所において脈波の反射が発生する。
【0009】
ここで、特許文献1にも記述されているように、駆出波と反射波を分離する際には、主たる反射点が腸骨動脈あるいは腹部大動脈分岐周辺にあると仮定すると、生体各部で測定された脈波に対して、駆出波と反射波の分離がうまく行く。
【0010】
また、脈波伝播速度あるいは脈波伝播時間は血圧と相関があり、特許文献2には、1箇所の測定部位から得られた脈波から脈波伝播速度あるいは脈波伝播時間を算出し、血圧を同定するための技術が開示されている。また、非特許文献2(McCombie,Devin “Development of a wearable blood pressure monitor using adaptive calibration of peripheral pulse transit time measurements”,Ph.D. Thesis, Massachusetts Institute of Technology,Dept. of Mechanical Engineering,2008.)には、2箇所の測定部位から得られた脈波から脈波伝播速度あるいは脈波伝播時間を算出し、血圧を同定するための技術が開示されている。
【0011】
ところで、上述の特許文献1および2のいずれにおいても、1箇所の測定部位の脈波から脈波伝播速度あるいは脈波伝播時間を求めることができるとされているが、その前提として駆出波と反射波それぞれの脈波伝播速度が同じであることを前提にしている。この前提にしたがって、(1)1つの脈波を駆出波と反射波に分離して両者の基準時間差を求め、(2)脈波の駆出波と反射波のそれぞれが伝播する距離の差を求めている。この基準時間差と距離の差とから、脈波伝播速度あるいは脈波伝播時間を求めている。
【0012】
しかしながら、実際には、駆出波の脈波伝播速度と反射波の脈波伝播速度は一致しない。何故ならば、駆出波の振幅と反射波の振幅は異なっているからである。前述の特許文献2に記載されている通り、脈波伝播速度は血圧と相関があるが、血圧は脈波の振幅に関係している。つまり、脈波伝播速度は脈波の振幅に関係しているのである。
【0013】
上述の通り、反射波は反射点を腹部大動脈分岐周辺と想定することで脈波の波形形状をうまく説明できる。脈波の反射が起こる理由は、大動脈と腹部大動脈分岐におけるインピーダンス不整合があるためであるが、この不整合の度合いは人によって異なる。また、同一人物においても、体調,血管状態によって上記不整合の度合いは異なる。その結果、反射波の振幅は駆出波の振幅とは異なり、また人によってもその振幅の異なり具合は異なる。このため、脈波の駆出波の伝播速度と反射波の伝播速度とは異なることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許3495348号公報
【特許文献2】特開2007−007075号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Takazawa K et al.”Underestimation of vasodilator effects of nitroglycerin by upper limb blood pressure”, Hypertension 1995; 26:520−3
【非特許文献2】McCombie,Devin “Development of a wearable blood pressure monitor using adaptive calibration of peripheral pulse transit time measurements”,Ph.D. Thesis, Massachusetts Institute of Technology,Dept. of Mechanical Engineering,2008.
【非特許文献3】Murgo JP, Westerhof N, Giolma JP, et al.”Aortic input impedance in normal man : relationship to pressure wave form”, Circulation 1980; 62:105−16
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、この発明の課題は、1箇所の測定部位の脈波から脈波伝播速度をより正確に求めることができる脈波伝播速度測定装置および脈波伝播速度測定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、この発明の脈波伝播速度測定装置は、生体の或る一部位における脈波を検出する脈波検出部と、
上記脈波検出部で検出した上記一部位における脈波に含まれる駆出波成分を特定するための基準時間と上記脈波に含まれる反射波成分を特定するための基準時間とを検出する基準時間検出部と、
上記基準時間検出部で検出した上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅を検出すると共に上記基準時間検出部で検出した上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅を検出する脈波振幅検出部と、
上記基準時間検出部で検出した上記駆出波成分の基準時間および上記反射波成分の基準時間と、上記脈波振幅検出部で検出した上記駆出波成分の基準時間に対応する脈波の振幅および上記反射波成分の基準時間に対応する脈波の振幅とに基づいて、上記脈波の伝播速度を求める伝播速度検出部とを備えることを特徴としている。
【0018】
この発明の脈波伝播速度測定装置によれば、上記基準時間検出部で脈波の駆出波成分および反射成分の基準時間を検出すると共に、上記脈波振幅検出部で上記駆出波成分の基準時間および反射波成分の基準時間に対応する脈波の振幅を検出する。そして、上記伝播速度検出部は、上記駆出波成分,反射波成分の基準時間とこの駆出波成分,反射波成分の基準時間に対応する脈波の振幅とに基づいて、上記脈波の伝播速度を求める。したがって、駆出波成分の振幅と反射波成分の振幅との相違による駆出波と反射波の脈波伝播速度の相違を考慮に入れて高い精度で脈波伝播速度を測定できる。
【0019】
また、一実施形態の脈波伝播速度測定装置では、上記伝播速度検出部は、
上記基準時間検出部で検出した上記駆出波成分の基準時間と上記反射波成分の基準時間との時間差に基づいて求めた伝播速度を、上記脈波振幅検出部で検出した上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅とから求めた補正係数で補正することで上記脈波の伝播速度を求める。
【0020】
この実施形態の脈波伝播速度測定装置によれば、上記駆出波成分の基準時間と上記反射波成分の基準時間との時間差に基づいて求めた伝播速度を、上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅とから求めた補正係数で補正する。よって、駆出波成分の振幅と反射波成分の振幅との相違による駆出波と反射波の脈波伝播速度の相違を考慮に入れて高い精度で脈波伝播速度を測定できる。
【0021】
また、一実施形態の脈波伝播速度測定装置では、上記伝播速度検出部は、
上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との比から上記補正係数を求める。
【0022】
この実施形態の脈波伝播速度測定装置によれば、上記駆出波成分の基準時間と上記反射波成分の基準時間との時間差に基づいて求めた伝播速度を、上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との比から求めた補正係数で補正する。よって、駆出波成分の振幅と反射波成分の振幅との相違による駆出波と反射波の脈波伝播速度の相違を考慮に入れて高い精度で脈波伝播速度を測定できる。
【0023】
また、一実施形態の脈波伝播速度測定装置では、上記伝播速度検出部は、
上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との差から上記補正係数を求める。
【0024】
この実施形態の脈波伝播速度測定装置によれば、上記駆出波成分の基準時間と上記反射波成分の基準時間との時間差に基づいて求めた伝播速度を、上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との差から求めた補正係数で補正する。よって、駆出波成分の振幅と反射波成分の振幅との相違による駆出波と反射波の脈波伝播速度の相違を考慮に入れて高い精度で脈波伝播速度を測定できる。
【0025】
また、この発明の脈波伝播速度測定プログラムでは、生体の或る一部位における脈波に含まれる駆出波成分を特定するための基準時間と上記脈波に含まれる反射波成分を特定するための基準時間とを求める基準時間導出機能と、
上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅を求めると共に上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅を求める脈波振幅導出機能と、
上記駆出波成分の基準時間および上記反射波成分の基準時間と、上記駆出波成分の基準時間に対応する脈波の振幅および上記反射波成分の基準時間に対応する脈波の振幅とに基づいて、上記脈波の伝播速度を算出する伝播速度導出機能とをコンピュータに実行させる。
【0026】
この発明の脈波伝播速度測定プログラムによれば、コンピュータに上記基準時間導出機能を実行させて、脈波の駆出波成分と反射成分を特定するための基準時間を求めると共に、上記脈波振幅導出機能で上記駆出波成分および反射成分を特定するための基準時間に対応する脈波の振幅を求める。そして、上記伝播速度導出機能で、上記駆出波成分,反射成分を特定するための基準時間と上記駆出波成分,反射成分を特定するための基準時間に対応する脈波の振幅とに基づいて、上記脈波の伝播速度を算出する。したがって、駆出波成分の振幅と反射成分の振幅との相違による駆出波と反射波の脈波伝播速度の違いを考慮に入れて脈波伝播速度をより高い精度で検出できる。
【0027】
また、一実施形態の脈波伝播速度測定プログラムでは、上記伝播速度導出機能は、
上記基準時間導出機能で求めた上記駆出波成分の基準時間と上記反射波成分の基準時間との時間差に基づいて求めた伝播速度を、上記脈波振幅導出機能で求めた上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅とから求めた補正係数で補正することで上記脈波の伝播速度を求める。
【0028】
この実施形態の脈波伝播速度測定プログラムによれば、上記駆出波成分の基準時間と上記反射波成分の基準時間との時間差に基づいて求めた伝播速度を、上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅とから求めた補正係数で補正する。よって、駆出波成分の振幅と反射波成分の振幅との相違による駆出波と反射波の脈波伝播速度の相違を考慮に入れて高い精度で脈波伝播速度を測定できる。
【0029】
また、一実施形態の脈波伝播速度測定プログラムでは、上記伝播速度導出機能は、
上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との比から上記補正係数を求める。
【0030】
この実施形態の脈波伝播速度測定プログラムによれば、上記駆出波成分の基準時間と上記反射波成分の基準時間との時間差に基づいて求めた伝播速度を、上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との比から求めた補正係数で補正する。よって、駆出波成分の振幅と反射波成分の振幅との相違による駆出波と反射波の脈波伝播速度の相違を考慮に入れて高い精度で脈波伝播速度を測定できる。
【0031】
また、一実施形態の脈波伝播速度測定プログラムでは、上記伝播速度検出機能は、
上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との差から上記補正係数を求める。
【0032】
この実施形態の脈波伝播速度測定プログラムによれば、上記駆出波成分の基準時間と上記反射波成分の基準時間との時間差に基づいて求めた伝播速度を、上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との差から求めた補正係数で補正する。よって、駆出波成分の振幅と反射波成分の振幅との相違による駆出波と反射波の脈波伝播速度の相違を考慮に入れて高い精度で脈波伝播速度を測定できる。
【発明の効果】
【0033】
この発明の脈波伝播速度測定装置によれば、駆出波成分,反射成分を特定するための基準時間とこの駆出波成分,反射成分を特定するための基準時間に対応する脈波の振幅とに基づいて、脈波の伝播速度を求めるので、駆出波成分の振幅と反射成分の振幅の相違による駆出波と反射波の脈波伝播速度の違いを考慮に入れて脈波伝播速度を高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の実施形態の脈波伝播速度測定装置のブロック図である。
【図2A】上記実施形態の脈波検出部で検出した脈波の波形を(A)欄に示し、上記脈波の加速度波形を(B)欄に示す波形図である。
【図2B】上記脈波検出部で検出した脈波の3回微分波形を(A)欄に示し、上記脈波の4回微分波形を(B)欄に示す波形図である。
【図3】上記脈波の波形および上記脈波の基準点Q1,Q2での脈波の振幅W1,W2を示す波形図である。
【図4】上記脈波Sの駆出波成分S1が人の生体内を伝播する経路dと反射波成分S2が人の生体内を伝播する経路hを模式的に示す模式図である。
【図5】上記実施形態で求めた脈波伝播速度PWVとbaPWVの臨床データによる相関を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0036】
図1のブロック図に、この発明の実施形態である脈波伝播速度測定装置10の構成を示す。
【0037】
この脈波伝播速度測定装置10は、脈波検出部1を備え、この脈波検出部1は、人間の生体の或る一部位における脈波を検出する。この脈波検出部1としては、例えば、発光素子から出力される赤外光が血管内の血液量に応じて反射あるいは吸収される度合いを受光素子で測定する光電容積脈波法を用いるものがある。なお、その他に、上記脈波検出部1は、血管内の血液が血管を押す圧力の変化を電気信号として取り出す圧脈波法で脈波を検出するものなどでもよい。また、上記脈波検出部1で脈波を測定する生体部位は、特に大きな制限事項があるわけではないが、できるならば、非侵襲,非拘束の部位であることが望ましく、例えば、指尖,手首,耳朶などが好ましい。
【0038】
また、この脈波伝播速度測定装置10は、上記脈波検出部1で検出した上記脈波に含まれる駆出波成分,反射波成分のそれぞれを特定するための基準時間と上記基準時間に対応する上記脈波の振幅を検出する駆出波・反射波情報抽出部6と、この駆出波・反射波情報抽出部6からの上記基準時間および上記振幅を表す情報に基づいて、上記脈波の伝播速度を求める脈波伝播速度検出部5を備える。
【0039】
上記駆出波・反射波情報抽出部6は、上記脈波検出部1で検出した上記脈波に含まれる駆出波成分を特定するための基準時間と上記脈波に含まれる反射波成分を特定するための基準時間とを検出する基準時間検出部2を有する。
【0040】
この基準時間検出部2が上記基準時間を求める過程の一例を以下に説明する。まず、図2の(A)欄に、上記脈波検出部1で検出した脈波の波形の一例を示す。図2の(A)欄における縦軸は脈波の振幅(mmHg)に対応する測定電圧値(V)である。この実施形態の脈波伝搬速度測定装置10では、一例として、一般的なカフ式血圧計で測定される血圧(mmHg)でもって、脈波検出部1で測定した電圧値(V)が脈波の振幅(mmHg)にどう対応するかの補正(キャリブレーション)を行っている。なお、この補正(キャリブレーション)は、最初の使用開始時に行えばよく、その後の測定では上記キャリブレーションの結果を用いればよい。
【0041】
上記基準時間検出部2は、例えば、上記脈波が、Murgoらによる血圧波形分類のTypeCの場合は、図2Aの(A)欄に示される脈波の波形における収縮期の極大点Q1の時間T1を駆出波成分の基準時間T1として検出する。図2Aの(B)欄には、上記脈波の加速度波を示し、図2Bの(A)欄には、上記脈波の3回微分波を示している。そして、上記基準時間検出部2は、例えば、上記脈波が、Murgoらによる血圧波形分類のTypeCの場合は、図2Bの(B)欄に示される脈波の4次微分波の下向き第3ゼロクロスポイントQ2を反射波成分の基準時間T2として検出する。なお、この第3ゼロクロスポイントQ2は、図2Aの(A)欄に示す脈波が極小値になった以降に、図2Bの(B)欄に示す4回微分波形が3回目に下向きにゼロクロスするポイントを意味する。
【0042】
なお、上述の説明では、上記検出した脈波が上記血圧波形分類のTypeCである場合について説明したが、上記検出した脈波が上記血圧波形分類のTypeC以外の波形形状である場合には、より好適に脈波の駆出波成分の基準時間と反射波成分の基準時間を特定できる手法があればそれを採用してもよい。例えば、脈波は、大きな血圧変動がなければ、基本的にそれほど大きな波形変化を示すわけではないので、測定した複数の脈波を重ね合わせる(加算平均)ことで、脈波検出精度の改善を図ることが可能になる。
【0043】
ここで、脈波形を4回微分した4回微分波形では、測定波形のノイズ成分の量によっては、微分波形が乱れてしまい、正しく反射波成分の基準時間を同定できない場合もある。そして、上記4回微分波形は乱れるが上記2回微分波形は乱れない場合もある。すなわち、波形の微分解析では、高次微分になると高周波成分を評価していることに相当するため、高周波ノイズが強調されてしまうが、2回微分程度なら、それほど高周波ノイズが強調されず、微分波形が乱れないこともある。したがって、図2Aの(B)欄に示す2回微分波形の2回目の極小値や3回目の極大値の時点を反射波成分の基準時間として検出することもできる。あるいは、上記2回微分波形の2回目の極小値と3回目の極大値との中間値の時点を反射波成分の基準時間として検出することもできる。すなわち、脈波波形の測定状況、基準時間検出部2の回路構成の複雑性に対する許容度などを勘案して、適宜適切な解析方法を採用すればよい。
【0044】
また、脈波は、ノイズレベル、年齢,性別,疾病の有無,体調などに応じて、様々な波形形状を示すことから、より好適に脈波の駆出波成分の基準時間と反射波成分の基準時間を特定できる手法があればそれを採用してもよい。例えば、検出した脈波を、その時点の被測定者の状態と合わせて履歴として残すことで、脈波の駆出波成分の基準時間と反射波成分の基準時間を特定する精度の改善を図れる。
【0045】
また、上記駆出波・反射波情報抽出部6は、脈波振幅検出部3を有する。この脈波振幅検出部3は、図3の脈波波形図に例示するように、上記基準時間検出部2で検出した上記駆出波成分の基準時間T1に対応する上記脈波Sの振幅W1を検出すると共に上記基準時間検出部2で検出した上記反射波成分の基準時間T2に対応する上記脈波Sの振幅W2を検出する。
【0046】
そして、上記駆出波・反射波情報抽出部6は、上記基準時間検出部2で検出した上記駆出波成分の基準時間T1および上記反射波成分の基準時間T2を表す情報を上記脈波伝播速度検出部5に入力すると共に、上記脈波振幅検出部3で検出した上記駆出波成分の基準時間T1に対応する脈波Sの振幅W1および上記反射波成分の基準時間T2に対応する上記脈波Sの振幅W2を表す情報を、上記脈波伝播速度検出部5に入力する。
【0047】
すると、上記脈波伝播速度検出部5は、上記駆出波成分の基準時間T1と、反射波成分の基準時間T2と、上記駆出波成分の基準時間T1に対応する脈波Sの振幅W1と、上記反射波成分S2の基準時間T2に対応する上記脈波Sの振幅W2とに基づいて、上記脈波Sの伝播速度を求める。
【0048】
次に、先ず、脈波伝播速度の一般的な求め方について説明してから、本発明の実施形態の上記脈波伝播速度検出部5が、上記脈波Sの伝播速度PWVを求める過程を説明する。
【0049】
(脈波伝播速度の一般的な求め方)
一般的に、脈波伝播速度と言うのは、生体部位の2箇所それぞれの脈波を測定し、それぞれの脈波の駆出波成分が伝播する速度を求めるものであるが、その根本原理は、Moens‐Kortewegの原理に基づく。また、非特許文献2では、脈波伝播速度と血圧の関係を、Moens‐Kortewegの関係から導出しており、次式(1)で表される。
(PWV)=α・exp(β×P) … (1)
【0050】
上式(1)において、PWVは、脈波伝播速度(m/秒)、Pは血圧(mmHg)、α、βは、個人毎、個人内においても測定時間毎に若干変化する定数である。
【0051】
しかしながら、上式(1)における定数α,βは、常時安定的に正確な値を同定することは簡単ではない。加えて、上式(1)では、血圧Pの血圧情報も必要である。このため、上式(1)によって脈波伝搬速度を同定することは容易とはいえない。
【0052】
一方、特許文献1(特許3495348号公報)および特許文献2(特開2007−007075号公報)では、脈波形を駆出波成分と反射波成分に分離し、駆出波と反射波との間の伝搬時間差,伝搬距離差から、脈波伝搬速度を同定する技術が開示されている。この技術の概念を、図4を用いて説明する。ここで、脈波の測定部位は、図4に符号52で示す手首ないし指先の抹消部とする。心臓51から拍出されて上記脈波測定部位(手首ないし指先の抹消部)52まで伝播してくる脈波は、心臓51から脈波測定部位52まで直接伝搬する直接伝播波と、腹部大動脈分岐部53で反射された後に脈波測定部位52まで伝搬してくる反射伝播波とを重ね合わせたものであることが知られている。また、血管は、腹部大動脈分岐部53だけではなく、身体のあらゆるところで分岐しており、血管の各分岐部におけるインピーダンス不整合によって、脈波は体中で反射を繰り返しているが、脈波波形に影響を及ぼす反射波は、腹部大動脈分岐部53の反射が支配的であることが知られている。
【0053】
そこで、図4に示すように、人体の心臓51から脈波測定部位52までの距離をd(m)とし、心臓51から腹部大動脈分岐部53までの距離をh(m)とし、駆出波S1の基準時間T1と反射波S2の基準時間T2との時間差(T2−T1)をΔT(秒)とすると、脈波は、2h(m)の距離をΔT(秒)掛かって伝搬していることになる。ので、脈波伝搬速度は次式(2)によって求めることができる。
PWV =2h/ΔT … (2)
【0054】
特許文献(1)および(2)で開示されている、上式(2)では、駆出波の速度と反射波の速度は同一のものとして脈波伝搬速度を同定している。
【0055】
しかしながら、前述の式(1)の通り、脈波伝搬速度PWVは血圧Pに依存する。そして、血圧とは脈波形における振幅成分に相当するものであり、一般的に反射波の振幅は駆出波よりも小さい。
【0056】
したがって、心臓51から拍出された後、腹部大動脈分岐部53まで伝搬される脈波(駆出波)と腹部大動脈分岐部53から再び心臓51周辺まで伝搬する脈波(反射波)とでは、脈波伝搬速度が異なるのである。駆出波の脈波伝搬速度をPWV1、反射波の脈波伝搬速度をPWV2とした場合、次式(3)が生体内の脈波伝搬を正しく表現している。
(h/PWV1)+(h/PWV2)=ΔT … (3)
【0057】
医学的に把握するべき脈波伝搬速度は反射波によるものではなく、駆出波によるものであるので、上式(3)を駆出波の脈波伝搬速度PWV1について解くことが必要である。しかし、上式(3)を正確に解くためには、上式(3)に上式(1)を代入し、駆出波,反射波それぞれのα,β,Pを求める必要があり、容易には解けない。
【0058】
(本実施形態の脈波伝播速度検出部5による脈波伝播速度の求め方)
ここで、駆出波の振幅情報と反射波の振幅情報を用いた医学的診断指標にAI(Augmentation Index)というものがある。このAIは、脈波の中に反射波の成分がどれだけ関与しているかの指標であり、非特許文献(3)では、例えば、反射波時の振幅が駆出波時の振幅より大きい場合のMurgoのTypeA波形の場合は、(反射波時振幅値−駆出波時振幅値)/(反射波時振幅値)として定義されている。つまり、AI値が高い場合は、駆出波時振幅に比較して、反射波時振幅が大きく、AI値が低い場合は反射波時振幅が小さいことを表している。一方、反射波時の振幅が駆出波時の振幅より小さい場合のMurgoのTypeC波形の場合は、AI値は、(反射波時振幅値)/(駆出波時振幅値)で定義される。
【0059】
本発明者らは、上式(3)の方程式を正確に解く代わりに、上記AIなどのように、反射波成分の振幅情報が反映された生体指標を利用することで、特許文献1および特許文献2に記載された技術に比べてより正確な脈波伝搬速度を、簡便に同定できることを見出した。
【0060】
この実施形態では、例えば、上記脈波伝播速度検出部5は、式(2)で簡易的に求めた脈波伝搬速度PWVに対して、次式(4)に示すように、補正係数(AI/x)を乗算することで補正した脈波伝搬速度PWVを求める。
PWV=PWV×(AI/x)=(2h/ΔT)×(AI/x) … (4)
【0061】
上式(4)において、h(m)は心臓51から腹部大動脈分岐部53までの距離であり、ΔT(秒)は、駆出波S1の基準時間T1と反射波S2の基準時間T2との時間差(T2−T1)である。また、上式(4)において、上記AIは、上述の通り、W2/W1、つまり、上記反射波成分S2の基準時間T2に対応する脈波Sの振幅W2を上記駆出波成分の基準時間T1に対応する上記脈波Sの振幅W1で除算した値とした。なお、上式(4)において、xは、臨床結果から同定する定数であり、例えば、x=70である。このxの値は、後述の通り様々な値をとることが、当然のことながら可能で、装置・被験者などに対応して、適宜適切な値を設定することが可能である。
【0062】
上記脈波伝播速度検出部5は、この式(4)に従って、AI値が比較的高い場合(例えばAI>70である場合)には脈波伝搬速度PWVを式(2)による計算結果PWVよりも高い値に補正する。一方、AI値が比較的低い場合(例えばAI<70である場合)には、上記脈波伝播速度検出部5は、上式(4)に従って、脈波伝搬速度PWVを式(2)による計算結果PWVより低い値に補正する。
【0063】
ここで、図5の散布図に、本実施形態の脈波伝播速度測定装置によって求めた補正後の脈波伝播速度PWVと市販の脈波伝播速度測定装置によって求めた脈波伝播速度baPWV(brachial−ankle PWV)との相関を白抜きの四角印で示す。この市販の脈波伝播速度測定装置によって求めた脈波伝播速度baPWVは、前述の如く、上腕と足首との2箇所の測定部位で脈波を検出することによって測定した脈波伝播速度である。また、図5の散布図では、白抜きの菱形印でもって、補正前の脈波伝播速度PWVと上記市販の脈波伝播速度測定装置によって求めた脈波伝播速度baPWVとの相関を示している。
【0064】
また、図5に示す特性K1は、補正後の脈波伝播速度PWVと脈波伝播速度baPWVとの関係を上記白抜きの四角印のデータから求めた回帰直線である。また、図5に示す特性K2は、補正前の脈波伝播速度PWVと脈波伝播速度baPWVとの関係を上記白抜きの菱形印のデータから求めた回帰直線である。
【0065】
補正前の脈波伝播速度PWVは上記脈波伝播速度baPWVとの相関係数Rが、0.56なのに対して、補正後の脈波伝播速度PWVは上記脈波伝播速度baPWVとの相関係数Rが、0.67である。すなわち、上記補正後の脈波伝播速度PWVによれば、補正前の脈波伝播速度PWVに比べて、上記脈波伝播速度baPWVとの相関が高くなっている。つまり、補正後の脈波伝播速度PWVは、補正前の脈波伝播速度PWVに比べて、精度が大きく改善されていることが分かる。
【0066】
また、図5の散布図を参照すると、上記脈波伝播速度baPWV(brachial−ankle PWV)と、本実施形態で求めた脈波伝播速度PWVおよび補正前の脈波伝播速度PWVとは値が異なっている。つまり、上記脈波伝播速度baPWVよりも、この実施形態で求めた脈波伝播速度PWV,PWVの方が遅い。その理由は、上記測定部位が上腕と足首である脈波伝播速度baPWVは、抹消部(細い血管)を伝播経路に含んだ脈波伝播速度であるのに対し、この実施形態で求めた脈波伝播速度PWV,PWVは、心臓51から腹部大動脈分岐部53までの人体中の最も太い血管を伝播経路としているからである。
【0067】
ところで、上述の説明では、上記補正前のPWV=(2h/ΔT)に乗算する補正係数(AI/x)のAIを、W2/W1、つまり、上記反射波成分S2の基準時間T2に対応する脈波Sの振幅W2を上記駆出波成分の基準時間T1に対応する上記脈波Sの振幅W1で除算した値とした。
【0068】
しかし、上記補正係数におけるAIは、特に上記(W2/W1)に限定されるものではない。つまり、上記補正係数におけるAIとしては、振幅比(W2/W1)だけではなく、振幅差(W2−W1)を用いてもよい。例えば、反射波振幅W2から駆出波振幅W1を減算した値(W2−W1)を駆出波振幅W1もしくは反射波振幅W2で除算した値(W2−W1)/W1,(W2−W1)/W2などを上記補正係数におけるAIとして用いて脈波伝搬速度を補正してもよい。
【0069】
また、駆出波振幅と反射波振幅との関係によっては、補正式(上式(4))を調整してもよい。というのも、反射波成分の基準時間T2時には駆出波の残存成分が残っており、駆出波の残存成分と反射波成分との和が反射波成分の基準時間T2における振幅であるからである。例えば、駆出波成分の基準時間T1における脈波振幅に対して、反射波成分の基準時間T2における脈波振幅が比較的大きい場合(例えば、AI値が100以上など)は、補正値を大きくしてもよい。つまり、式(2)で得られた値をより大きくする補正をかけるなどである。その方法としては、例えば、式(4)の右辺の後部(AI/x)を大きくする(α×(AI/x):αは定数)などである。そうすることで、より正確な脈波伝搬速度PWVの同定が可能となる。
【0070】
また、上述のように、上記基準時間検出部2が上記基準時間T1とT2を求める基準時間導出機能と、上記脈波振幅検出部3が上記基準時間T1,T2に対応する脈波Sの振幅W1,W2を求める脈波振幅導出機能と、上記脈波伝播速度検出部5が、上記駆出波成分S1,反射成分S2の基準時間T1,T2の差ΔTに基づいて、上式(4)等を用いて上記脈波Sの駆出波の伝播速度PWVを求める機能とを、脈波伝播速度測定プログラムによってコンピュータに実行させてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 脈波検出部
2 基準時間検出部
3 脈波振幅検出部
5 脈波伝播速度検出部
6 駆出波・反射波情報抽出部
10 脈波伝播速度測定装置
51 心臓
52 手首ないし指先の抹消部
53 腹部大動脈分岐部
d 心臓から脈波測定部位までの距離
h 心臓から腹部大動脈分岐部までの距離
Q1 極大点
Q2 4次微分波の第3ゼロクロスポイント
S 脈波
T1 駆出波成分の基準時間
T2 反射波成分の基準時間
W1 基準時間T1に対応する脈波Sの振幅
W2 基準時間T2に対応する脈波Sの振幅
PWV1 駆出波S1の伝播速度
PWV2 反射波S2の伝播速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の或る一部位における脈波を検出する脈波検出部と、
上記脈波検出部で検出した上記一部位における脈波に含まれる駆出波成分を特定するための基準時間と上記脈波に含まれる反射波成分を特定するための基準時間とを検出する基準時間検出部と、
上記基準時間検出部で検出した上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅を検出すると共に上記基準時間検出部で検出した上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅を検出する脈波振幅検出部と、
上記基準時間検出部で検出した上記駆出波成分の基準時間および上記反射波成分の基準時間と、上記脈波振幅検出部で検出した上記駆出波成分の基準時間に対応する脈波の振幅および上記反射波成分の基準時間に対応する脈波の振幅とに基づいて、上記脈波の伝播速度を求める伝播速度検出部とを備えることを特徴とする脈波伝播速度測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の脈波伝播速度測定装置において、
上記伝播速度検出部は、
上記基準時間検出部で検出した上記駆出波成分の基準時間と上記反射波成分の基準時間との時間差に基づいて求めた伝播速度を、上記脈波振幅検出部で検出した上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅とから求めた補正係数で補正することで上記脈波の伝播速度を求めることを特徴とする脈波伝播速度測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の脈波伝播速度測定装置において、
上記伝播速度検出部は、
上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との比から上記補正係数を求めることを特徴とする脈波伝播速度測定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の脈波伝播速度測定装置において、
上記伝播速度検出部は、
上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との差から上記補正係数を求めることを特徴とする脈波伝播速度測定装置。
【請求項5】
生体の或る一部位における脈波に含まれる駆出波成分を特定するための基準時間と上記脈波に含まれる反射波成分を特定するための基準時間とを求める基準時間導出機能と、
上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅を求めると共に上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅を求める脈波振幅導出機能と、
上記駆出波成分の基準時間および上記反射波成分の基準時間と、上記駆出波成分の基準時間に対応する脈波の振幅および上記反射波成分の基準時間に対応する脈波の振幅とに基づいて、上記脈波の伝播速度を算出する伝播速度導出機能とをコンピュータに実行させることを特徴とする脈波伝播速度測定プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の脈波伝播速度測定プログラムにおいて、
上記伝播速度導出機能は、
上記基準時間導出機能で求めた上記駆出波成分の基準時間と上記反射波成分の基準時間との時間差に基づいて求めた伝播速度を、上記脈波振幅導出機能で求めた上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅とから求めた補正係数で補正することで上記脈波の伝播速度を求めることを特徴とする脈波伝播速度測定プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の脈波伝播速度測定プログラムにおいて、
上記伝播速度導出機能は、
上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との比から上記補正係数を求めることを特徴とする脈波伝播速度測定プログラム。
【請求項8】
請求項6に記載の脈波伝播速度測定プログラムにおいて、
上記伝播速度導出機能は、
上記駆出波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅と上記反射波成分の基準時間に対応する上記脈波の振幅との差から上記補正係数を求めることを特徴とする脈波伝播速度測定プログラム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−75820(P2012−75820A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226598(P2010−226598)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】