脱穀装置
【課題】 本発明の課題は、排藁搬送装置への動力伝達経路として入力軸を処理胴の上方空間部に配置して既存空間を有効利用し、入力軸から排藁搬送装置への伝動軸との間に介在するベベルギヤケースを扱室の後側板に支持することによって支持構成の安定化を図ることにある。
【解決手段】扱室(8)の後方に脱穀処理後の排藁を後方に向けて搬出処理する排藁搬送装置(14)を配設し、前記処理胴(12)の上方位置には該排藁搬送装置(14)への入力軸(17)を架設し、この入力軸(17)から扱室の後側板(27)に支持させたベベルギヤ機構(18)を内装するベベルギヤケース(19)とこれより斜め後方に延出する伝動軸(21)を介して排藁搬送装置(14)を回転駆動すべく構成する。
【解決手段】扱室(8)の後方に脱穀処理後の排藁を後方に向けて搬出処理する排藁搬送装置(14)を配設し、前記処理胴(12)の上方位置には該排藁搬送装置(14)への入力軸(17)を架設し、この入力軸(17)から扱室の後側板(27)に支持させたベベルギヤ機構(18)を内装するベベルギヤケース(19)とこれより斜め後方に延出する伝動軸(21)を介して排藁搬送装置(14)を回転駆動すべく構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに搭載する脱穀装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、扱胴駆動用の伝動軸を扱室の反フィードチェン側で扱胴軸と平行に配備すると共に扱室後方にまで延出して、扱室後方に配設した排藁搬送装置を後部側から回転駆動すべく連動連結した構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−154396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の構成によれば、排藁搬送装置への動力伝達経路が非常に長く構成されるので、支持構造が不安定となり、特別な補強支持構成を要し、コスト高となる問題があった。
本発明は、排藁搬送装置への動力伝達経路として排藁駆動用の入力軸を処理胴の上方空間部に配置して既存空間を有効利用し、この入力軸から排藁搬送装置への伝動軸との間に介在するベベルギヤケースを扱室の後側板に支持することによって支持構成の安定化を図り、特別な補強支持構成を要することなく安価に実施できる動力伝達装置を具現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講じた。すなわち、請求項1記載の本発明は、扱室(8)内に供給される穀稈を脱穀処理する扱胴(7)と二番揚穀筒(53)から供給される二番物を再処理する処理胴(12)を左右並列状に配設してある脱穀装置において、前記扱室(8)の後方に脱穀処理後の排藁を後方に向けて搬出処理する排藁搬送装置(14)を配設し、前記処理胴(12)の上方位置には該排藁搬送装置(14)への入力軸(17)を架設し、この入力軸(17)から扱室の後側板(27)に支持させたベベルギヤ機構(18)を内装するベベルギヤケース(19)とこれより斜め後方に延出する伝動軸(21)を介して排藁搬送装置(14)を回転駆動すべく構成したことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【0005】
排藁搬送装置14への動力伝達は、処理胴12の上方に配置した入力軸17、扱室の後側板27に支持するベベルギヤケース19内のベベルギヤ機構18及び排藁搬送装置14への伝動軸21を経て動力伝達される。
【0006】
入力軸17を処理胴の上方に配置するので、既存のスペースを有効利用でき、藁屑などの伝動部への悪影響も受けることがなくなる。また、ベベルギヤケース19は、もともと強固に構成されている扱室の後側板27に支持するので、伝達経路が長く構成されているにも拘らず安定よく支持でき、特別な補強支持構成を要することなく安価に実施することができる。
【0007】
請求項2記載の本発明は、前記入力軸(17)と扱胴軸(30)と処理胴軸(31)とを、コンバインの前後進方向と略同一方向に設定すると共に、扱室(8)の前側板(25)よりも前方側からそれぞれ駆動すべく構成したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置としたものである。
【0008】
入力軸17、扱胴軸25及び処理胴軸31が全てコンバインの前後進方向と略同一方向に設定されるため、扱室8の前側板の前方から、一体的に扱胴、処理胴、排藁搬送装置を駆動することができるようになり、独立した駆動部を構成するものに比べてシンプルな駆動構成とすることができ、コスト低減が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
要するに、請求項1の本発明によれば、排藁搬送装置14を駆動する入力軸17を処理胴12の上方に配置するので、既存のスペースを有効利用でき、藁屑などの伝動部への悪影響も受けることがなくなる。また、ベベルギヤケース19はもともと強固に構成されている扱室8の後側板に支持するので、伝達経路が長く構成されているにも拘らず安定よく支持でき、特別な補強支持構成を要することなく安価に実施することができる。
【0010】
また、請求項2の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、入力軸17、扱胴軸25及び処理胴軸31が全てコンバインの前後進方向と略同一方向に設定されるため、扱室8の前側板の前方から、一体的に扱胴7、処理胴12、排藁搬送装置14を駆動することができるようになり、独立した駆動部を構成するものに比べてシンプルな駆動構成とすることができ、製造コストを低減して安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に示すコンバインの構成について述べる。
走行クロ−ラ1を具備する車体2上には、前部に昇降可能な刈取部3を、後部に脱穀装置(脱穀部)4を搭載している。刈取部3の横側部には運転部を備えたキャビン5が設置され、その後方にはグレンタンクGが装備されている。
【0012】
つぎに、脱穀装置4の構成につき説明する。扱胴7を内装軸架した扱室8の下半周部に沿って受網9を張設している。10は扱室8の上方部を覆う扱胴カバ−であって、扱胴軸方向に平行な軸芯Q回りに揺動開閉可能に構成している。
【0013】
扱室8の扱口側には穀稈を挟持搬送するフィ−ドチェン11とこの上側に対設する挟持レ−ル11aを配設している。この挟持レ−ル11aは扱胴カバ−10側に装着して該カバ−と共に揺動開閉する構成である。扱室8の反フィードチェン側には、前側の二番処理胴12aと後側の排塵処理胴12bとからなる処理胴12が並設軸架されている。
【0014】
また、扱室8の後方には、脱穀後の排藁の株元側と穂先側の2箇所を挟持して後方に搬送する排藁搬送装置14が配設され、前記フィードチェン11から送られてくる排藁を受け取って排藁カッターまで搬出処理するようになっている。
【0015】
処理胴12の処理室上方空間部には、前記排藁搬送装置14への入力軸17を配置して架設してあり、扱室8の前側板25、中側板26及び後側板27を貫通して軸受保持させた構成としている。そして、この入力軸17から排藁搬送装置14への駆動系は、扱室8の後側板27に支持させたベベルギヤケース19内のベベルギヤ機構18、ベベルギヤケース19より斜め後方に延出する伝動軸21及び排藁搬送装置14の中間部に設けた排藁駆動スプロケット15,16を介して排藁搬送装置14を回転駆動すべく連動連結している。排藁搬送装置14をこの中間部から駆動するので、始端側から駆動するもに比べ、後側板より後方部に開放空間を構成することができ、排藁の詰りが防止できフィートチェンから排藁搬送装置14始端への引継ぎが良好に行える。
【0016】
ベベルギヤケース19は、扱室の後側板27に支承させた軸受ケース20に対し入力軸17の軸芯P回りに回動自在に軸受保持させている。軸受ケース20は後側板27に対し締付ボルト23を介して締付固定した構成としている。
【0017】
前記入力軸17、扱胴7の扱胴軸30及び処理胴12の処理胴軸31は、前後方向に沿う同一方向軸とし、側面視で入力軸17が最も上方に位置し、扱胴軸30は前記入力軸17と下方の処理胴軸31との上下中間に位置するよう配置している。そして、これら入力軸17、扱胴軸30及び処理胴軸31は、扱室の前側板25より前方側に突設し、入力軸17の前端に設けた排藁入力プーリ22からカウンタ軸32プーリ33を介して処理胴軸プーリ34をベルト35伝動し、カウンタ軸32から別の伝動装置36を介して扱胴軸30を回転駆動すべく連動構成している。
【0018】
前記入力軸17によって扱胴軸とは別に排藁搬送装置14を直接駆動するので、扱胴の負荷が増大して扱胴の回転数が低下しても排藁搬送装置14の駆動力が低下することがなくなる。
【0019】
前記ベベルギヤケース19から前部排藁支持アーム38を突設し、入力軸17の後方延長線上に支持させて設けた支軸39から後部排藁支持アーム40を突設し、前部排藁支持アーム38は中間支持部材41を介して排藁搬送フレーム42に連結保持させ、後部排藁支持アーム40は支持ステー43を介して排藁搬送フレーム42の中間近くに連結保持させてあり、前部排藁支持アーム38がベベルギヤケース19と一体となって前記入力軸17の軸芯P回りに上下回動し、後部排藁支持アーム40が支軸39回りに上下回動する構成としている。前部排藁支持アーム38の下方向き折曲下端部は、扱室後側板を補強する脱穀側補強フレーム44上に載せて支持するようにし、且つ、該補強フレーム43側から上向きに突設する係止突起45に係脱自在に嵌合させて位置決め支持する構成としている。これによれば、排藁搬送フレーム42の高さ方向の位置を確保でき、堅固な補強フレームに載せることで、強度アップ、構成の簡略化を図ることができる。しかも、係止突起に嵌合することにより、前後、左右方向においても位置決めを確実にすることができる。なお、突起嵌合部にゴムのような弾性材46を介在させておくと、機体振動の吸収効果、並びにフレーム等の部品寿命アップを図ることができる。
【0020】
また、図に示すように、前記伝動軸21の位置を前後の排藁支持アーム38,40の中間に設けることで、強度上、安定した駆動力を確保することができる。
次に、排藁搬送装置14の扱胴カバー10の開閉による吊り下げ支持構成について説明すると、図7に示すように、前部排藁支持アーム38を長穴48aを有する支持プレート48で扱胴カバー10と連結し、扱胴カバー10の上方への揺動開放によって排藁搬送装置14を吊り上げて開放する構成としている。
【0021】
要するに、扱胴カバー10を軸芯Qを支点として揺動開放すると、排藁搬送装置14が支持プレート48の長穴48a分だけ遅れて開放し始め、閉鎖時は排藁搬送装置14よりあとに扱胴カバーが閉鎖される。このため、開閉時に重量が分散され、容易に開閉操作ができる。また、扱胴カバー10と排藁搬送装置14の開放開度が異なっても支持プレート48の長穴で調整することができる。
【0022】
扱胴カバー10閉鎖時には、支持プレート48及び前部排藁支持アーム38が扱胴カバー10下面と扱室後側板27上面との合わせ面より上方に位置する構成とすることで、合わせ面からわら屑が噴出してきた場合などに支持プレート48や排藁支持アーム38の周辺に藁屑が滞積するのを防止している。
【0023】
扱胴カバー10と排藁搬送装置14との連結用支持プレート48直下に扱胴カバー支持用ダンパ49を配置することで、前後方向で省スペースに構成でき、また、2部品の上面視での断面積が小さく配置できる。また、藁屑の滞積にも有利な配置構成と云える。扱胴カバー10開放時には、支持プレート48が上昇してからダンパ49が起き上がり作用するように構成しておくと、支持プレート48が先に上昇してダンパ49を回避するため、支持プレート48とダンパ49が干渉することがなくなる。
【0024】
扱胴カバー10の排藁搬送装置14に対応する内面側には、該扱胴カバー10を閉鎖すると、排藁搬送装置14を支持するフレームの適所、即ち、実施例では左右の排藁搬送チェン間の排藁搬送フレーム42の前端部を押さえて固定できるように押え部材50が設けられている。扱胴カバー10の閉鎖時にはこの押え部材50によって排藁搬送装置14の浮き上がりを阻止することができ、排藁の引き継ぎ搬送が正確に行える。なお、この押え部分に弾性材を介在させておくと、無用な振動を防止することができる。
【0025】
グレンタンクGを支持するタンクフレーム51は、脱穀装置の右側部まで延出して扱室後側板27及び1番揚穀筒52と連結させることにより、脱穀部機枠構成の剛性アップを図るようにしている。また、扱室後側板27を補強する脱穀側補強フレーム44は、一端部が後側板の左側部に固着されてあり、途中部が脱穀機枠に固着され他端部はグレンタンクG側に固着されるようになっている。
【0026】
扱室8の下側には揺動可能な揺動選別装置が設けられ、更に、その下方には選別方向の上手側から順に、唐箕54と、一番移送螺旋55と、二番移送螺旋56と、その上方に吸引排塵ファン57を設けて選別室を構成している。
【0027】
なお、一番揚穀筒52は一番移送螺旋55で回収された穀物を揚送してグレンタンクG内に収容する。また、二番揚穀筒53は二番移送螺旋56で回収された二番物を二番処理胴12aの室内へ還元するようになっている。
【0028】
そして、前記揺動選別装置は、扱室からの脱穀処理後の処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり、選別方向上手側から移送棚58、チャフシーブ59、ストローラック60の順に配置し、且つ、前記チャフシーブ59の下方にグレンシーブ61を配置して設け、前記唐箕54及び吸引排塵ファン57による選別風と揺動との共同作用によって扱室8から漏下してきた処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別処理するように構成している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱穀装置の側断面図
【図3】同上要部の側断面図
【図4】脱穀装置の平面図
【図5】同上要部の平面図
【図6】脱穀装置の要部の正面図
【図7】同上要部の正面図
【図8】脱穀装置の平面図
【図9】同上要部の平面図
【図10】排藁搬送装置の支持構造を示す側面図
【図11】同上要部の平面図
【図12】同上要部の正面図
【図13】排藁入力軸から排藁搬送装置への伝動機構を示す要部の平面図
【図14】同上要部の正面図
【符号の説明】
【0030】
4 脱穀装置(脱穀機) 7 扱胴
8 扱室 12 処理胴
14 排藁搬送装置 17 入力軸
18 ベベルギヤ機構 19 ベベルギヤケース
21 伝動軸 25 前側板
27 後側板 30 扱胴軸
31 処理胴軸 53 二番揚穀筒
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに搭載する脱穀装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、扱胴駆動用の伝動軸を扱室の反フィードチェン側で扱胴軸と平行に配備すると共に扱室後方にまで延出して、扱室後方に配設した排藁搬送装置を後部側から回転駆動すべく連動連結した構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−154396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の構成によれば、排藁搬送装置への動力伝達経路が非常に長く構成されるので、支持構造が不安定となり、特別な補強支持構成を要し、コスト高となる問題があった。
本発明は、排藁搬送装置への動力伝達経路として排藁駆動用の入力軸を処理胴の上方空間部に配置して既存空間を有効利用し、この入力軸から排藁搬送装置への伝動軸との間に介在するベベルギヤケースを扱室の後側板に支持することによって支持構成の安定化を図り、特別な補強支持構成を要することなく安価に実施できる動力伝達装置を具現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講じた。すなわち、請求項1記載の本発明は、扱室(8)内に供給される穀稈を脱穀処理する扱胴(7)と二番揚穀筒(53)から供給される二番物を再処理する処理胴(12)を左右並列状に配設してある脱穀装置において、前記扱室(8)の後方に脱穀処理後の排藁を後方に向けて搬出処理する排藁搬送装置(14)を配設し、前記処理胴(12)の上方位置には該排藁搬送装置(14)への入力軸(17)を架設し、この入力軸(17)から扱室の後側板(27)に支持させたベベルギヤ機構(18)を内装するベベルギヤケース(19)とこれより斜め後方に延出する伝動軸(21)を介して排藁搬送装置(14)を回転駆動すべく構成したことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【0005】
排藁搬送装置14への動力伝達は、処理胴12の上方に配置した入力軸17、扱室の後側板27に支持するベベルギヤケース19内のベベルギヤ機構18及び排藁搬送装置14への伝動軸21を経て動力伝達される。
【0006】
入力軸17を処理胴の上方に配置するので、既存のスペースを有効利用でき、藁屑などの伝動部への悪影響も受けることがなくなる。また、ベベルギヤケース19は、もともと強固に構成されている扱室の後側板27に支持するので、伝達経路が長く構成されているにも拘らず安定よく支持でき、特別な補強支持構成を要することなく安価に実施することができる。
【0007】
請求項2記載の本発明は、前記入力軸(17)と扱胴軸(30)と処理胴軸(31)とを、コンバインの前後進方向と略同一方向に設定すると共に、扱室(8)の前側板(25)よりも前方側からそれぞれ駆動すべく構成したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置としたものである。
【0008】
入力軸17、扱胴軸25及び処理胴軸31が全てコンバインの前後進方向と略同一方向に設定されるため、扱室8の前側板の前方から、一体的に扱胴、処理胴、排藁搬送装置を駆動することができるようになり、独立した駆動部を構成するものに比べてシンプルな駆動構成とすることができ、コスト低減が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
要するに、請求項1の本発明によれば、排藁搬送装置14を駆動する入力軸17を処理胴12の上方に配置するので、既存のスペースを有効利用でき、藁屑などの伝動部への悪影響も受けることがなくなる。また、ベベルギヤケース19はもともと強固に構成されている扱室8の後側板に支持するので、伝達経路が長く構成されているにも拘らず安定よく支持でき、特別な補強支持構成を要することなく安価に実施することができる。
【0010】
また、請求項2の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、入力軸17、扱胴軸25及び処理胴軸31が全てコンバインの前後進方向と略同一方向に設定されるため、扱室8の前側板の前方から、一体的に扱胴7、処理胴12、排藁搬送装置14を駆動することができるようになり、独立した駆動部を構成するものに比べてシンプルな駆動構成とすることができ、製造コストを低減して安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に示すコンバインの構成について述べる。
走行クロ−ラ1を具備する車体2上には、前部に昇降可能な刈取部3を、後部に脱穀装置(脱穀部)4を搭載している。刈取部3の横側部には運転部を備えたキャビン5が設置され、その後方にはグレンタンクGが装備されている。
【0012】
つぎに、脱穀装置4の構成につき説明する。扱胴7を内装軸架した扱室8の下半周部に沿って受網9を張設している。10は扱室8の上方部を覆う扱胴カバ−であって、扱胴軸方向に平行な軸芯Q回りに揺動開閉可能に構成している。
【0013】
扱室8の扱口側には穀稈を挟持搬送するフィ−ドチェン11とこの上側に対設する挟持レ−ル11aを配設している。この挟持レ−ル11aは扱胴カバ−10側に装着して該カバ−と共に揺動開閉する構成である。扱室8の反フィードチェン側には、前側の二番処理胴12aと後側の排塵処理胴12bとからなる処理胴12が並設軸架されている。
【0014】
また、扱室8の後方には、脱穀後の排藁の株元側と穂先側の2箇所を挟持して後方に搬送する排藁搬送装置14が配設され、前記フィードチェン11から送られてくる排藁を受け取って排藁カッターまで搬出処理するようになっている。
【0015】
処理胴12の処理室上方空間部には、前記排藁搬送装置14への入力軸17を配置して架設してあり、扱室8の前側板25、中側板26及び後側板27を貫通して軸受保持させた構成としている。そして、この入力軸17から排藁搬送装置14への駆動系は、扱室8の後側板27に支持させたベベルギヤケース19内のベベルギヤ機構18、ベベルギヤケース19より斜め後方に延出する伝動軸21及び排藁搬送装置14の中間部に設けた排藁駆動スプロケット15,16を介して排藁搬送装置14を回転駆動すべく連動連結している。排藁搬送装置14をこの中間部から駆動するので、始端側から駆動するもに比べ、後側板より後方部に開放空間を構成することができ、排藁の詰りが防止できフィートチェンから排藁搬送装置14始端への引継ぎが良好に行える。
【0016】
ベベルギヤケース19は、扱室の後側板27に支承させた軸受ケース20に対し入力軸17の軸芯P回りに回動自在に軸受保持させている。軸受ケース20は後側板27に対し締付ボルト23を介して締付固定した構成としている。
【0017】
前記入力軸17、扱胴7の扱胴軸30及び処理胴12の処理胴軸31は、前後方向に沿う同一方向軸とし、側面視で入力軸17が最も上方に位置し、扱胴軸30は前記入力軸17と下方の処理胴軸31との上下中間に位置するよう配置している。そして、これら入力軸17、扱胴軸30及び処理胴軸31は、扱室の前側板25より前方側に突設し、入力軸17の前端に設けた排藁入力プーリ22からカウンタ軸32プーリ33を介して処理胴軸プーリ34をベルト35伝動し、カウンタ軸32から別の伝動装置36を介して扱胴軸30を回転駆動すべく連動構成している。
【0018】
前記入力軸17によって扱胴軸とは別に排藁搬送装置14を直接駆動するので、扱胴の負荷が増大して扱胴の回転数が低下しても排藁搬送装置14の駆動力が低下することがなくなる。
【0019】
前記ベベルギヤケース19から前部排藁支持アーム38を突設し、入力軸17の後方延長線上に支持させて設けた支軸39から後部排藁支持アーム40を突設し、前部排藁支持アーム38は中間支持部材41を介して排藁搬送フレーム42に連結保持させ、後部排藁支持アーム40は支持ステー43を介して排藁搬送フレーム42の中間近くに連結保持させてあり、前部排藁支持アーム38がベベルギヤケース19と一体となって前記入力軸17の軸芯P回りに上下回動し、後部排藁支持アーム40が支軸39回りに上下回動する構成としている。前部排藁支持アーム38の下方向き折曲下端部は、扱室後側板を補強する脱穀側補強フレーム44上に載せて支持するようにし、且つ、該補強フレーム43側から上向きに突設する係止突起45に係脱自在に嵌合させて位置決め支持する構成としている。これによれば、排藁搬送フレーム42の高さ方向の位置を確保でき、堅固な補強フレームに載せることで、強度アップ、構成の簡略化を図ることができる。しかも、係止突起に嵌合することにより、前後、左右方向においても位置決めを確実にすることができる。なお、突起嵌合部にゴムのような弾性材46を介在させておくと、機体振動の吸収効果、並びにフレーム等の部品寿命アップを図ることができる。
【0020】
また、図に示すように、前記伝動軸21の位置を前後の排藁支持アーム38,40の中間に設けることで、強度上、安定した駆動力を確保することができる。
次に、排藁搬送装置14の扱胴カバー10の開閉による吊り下げ支持構成について説明すると、図7に示すように、前部排藁支持アーム38を長穴48aを有する支持プレート48で扱胴カバー10と連結し、扱胴カバー10の上方への揺動開放によって排藁搬送装置14を吊り上げて開放する構成としている。
【0021】
要するに、扱胴カバー10を軸芯Qを支点として揺動開放すると、排藁搬送装置14が支持プレート48の長穴48a分だけ遅れて開放し始め、閉鎖時は排藁搬送装置14よりあとに扱胴カバーが閉鎖される。このため、開閉時に重量が分散され、容易に開閉操作ができる。また、扱胴カバー10と排藁搬送装置14の開放開度が異なっても支持プレート48の長穴で調整することができる。
【0022】
扱胴カバー10閉鎖時には、支持プレート48及び前部排藁支持アーム38が扱胴カバー10下面と扱室後側板27上面との合わせ面より上方に位置する構成とすることで、合わせ面からわら屑が噴出してきた場合などに支持プレート48や排藁支持アーム38の周辺に藁屑が滞積するのを防止している。
【0023】
扱胴カバー10と排藁搬送装置14との連結用支持プレート48直下に扱胴カバー支持用ダンパ49を配置することで、前後方向で省スペースに構成でき、また、2部品の上面視での断面積が小さく配置できる。また、藁屑の滞積にも有利な配置構成と云える。扱胴カバー10開放時には、支持プレート48が上昇してからダンパ49が起き上がり作用するように構成しておくと、支持プレート48が先に上昇してダンパ49を回避するため、支持プレート48とダンパ49が干渉することがなくなる。
【0024】
扱胴カバー10の排藁搬送装置14に対応する内面側には、該扱胴カバー10を閉鎖すると、排藁搬送装置14を支持するフレームの適所、即ち、実施例では左右の排藁搬送チェン間の排藁搬送フレーム42の前端部を押さえて固定できるように押え部材50が設けられている。扱胴カバー10の閉鎖時にはこの押え部材50によって排藁搬送装置14の浮き上がりを阻止することができ、排藁の引き継ぎ搬送が正確に行える。なお、この押え部分に弾性材を介在させておくと、無用な振動を防止することができる。
【0025】
グレンタンクGを支持するタンクフレーム51は、脱穀装置の右側部まで延出して扱室後側板27及び1番揚穀筒52と連結させることにより、脱穀部機枠構成の剛性アップを図るようにしている。また、扱室後側板27を補強する脱穀側補強フレーム44は、一端部が後側板の左側部に固着されてあり、途中部が脱穀機枠に固着され他端部はグレンタンクG側に固着されるようになっている。
【0026】
扱室8の下側には揺動可能な揺動選別装置が設けられ、更に、その下方には選別方向の上手側から順に、唐箕54と、一番移送螺旋55と、二番移送螺旋56と、その上方に吸引排塵ファン57を設けて選別室を構成している。
【0027】
なお、一番揚穀筒52は一番移送螺旋55で回収された穀物を揚送してグレンタンクG内に収容する。また、二番揚穀筒53は二番移送螺旋56で回収された二番物を二番処理胴12aの室内へ還元するようになっている。
【0028】
そして、前記揺動選別装置は、扱室からの脱穀処理後の処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり、選別方向上手側から移送棚58、チャフシーブ59、ストローラック60の順に配置し、且つ、前記チャフシーブ59の下方にグレンシーブ61を配置して設け、前記唐箕54及び吸引排塵ファン57による選別風と揺動との共同作用によって扱室8から漏下してきた処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別処理するように構成している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱穀装置の側断面図
【図3】同上要部の側断面図
【図4】脱穀装置の平面図
【図5】同上要部の平面図
【図6】脱穀装置の要部の正面図
【図7】同上要部の正面図
【図8】脱穀装置の平面図
【図9】同上要部の平面図
【図10】排藁搬送装置の支持構造を示す側面図
【図11】同上要部の平面図
【図12】同上要部の正面図
【図13】排藁入力軸から排藁搬送装置への伝動機構を示す要部の平面図
【図14】同上要部の正面図
【符号の説明】
【0030】
4 脱穀装置(脱穀機) 7 扱胴
8 扱室 12 処理胴
14 排藁搬送装置 17 入力軸
18 ベベルギヤ機構 19 ベベルギヤケース
21 伝動軸 25 前側板
27 後側板 30 扱胴軸
31 処理胴軸 53 二番揚穀筒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(8)内に供給される穀稈を脱穀処理する扱胴(7)と二番揚穀筒(53)から供給される二番物を再処理する処理胴(12)を左右並列状に配設してある脱穀装置において、前記扱室(8)の後方に脱穀処理後の排藁を後方に向けて搬出処理する排藁搬送装置(14)を配設し、前記処理胴(12)の上方位置には該排藁搬送装置(14)への入力軸(17)を架設し、この入力軸(17)から扱室の後側板(27)に支持させたベベルギヤ機構(18)を内装するベベルギヤケース(19)とこれより斜め後方に延出する伝動軸(21)を介して排藁搬送装置(14)を回転駆動すべく構成したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前記入力軸(17)と扱胴軸(30)と処理胴軸(31)とを、コンバインの前後進方向と略同一方向に設定すると共に、扱室(8)の前側板(25)よりも前方側からそれぞれ駆動すべく構成したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。
【請求項1】
扱室(8)内に供給される穀稈を脱穀処理する扱胴(7)と二番揚穀筒(53)から供給される二番物を再処理する処理胴(12)を左右並列状に配設してある脱穀装置において、前記扱室(8)の後方に脱穀処理後の排藁を後方に向けて搬出処理する排藁搬送装置(14)を配設し、前記処理胴(12)の上方位置には該排藁搬送装置(14)への入力軸(17)を架設し、この入力軸(17)から扱室の後側板(27)に支持させたベベルギヤ機構(18)を内装するベベルギヤケース(19)とこれより斜め後方に延出する伝動軸(21)を介して排藁搬送装置(14)を回転駆動すべく構成したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前記入力軸(17)と扱胴軸(30)と処理胴軸(31)とを、コンバインの前後進方向と略同一方向に設定すると共に、扱室(8)の前側板(25)よりも前方側からそれぞれ駆動すべく構成したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−136360(P2008−136360A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322444(P2006−322444)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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