説明

脱臭フィルタ

【課題】多孔質の隔壁により仕切られた複数の貫通孔を有するハニカムタイプの脱臭ユニット或いは、ハニカム構造体に於いて、吸着と触媒分解の両方の作用で高い脱臭効果とブロック体のコスト低減をはかる。
【解決手段】ハニカムタイプの脱臭ユニットを必要個数組み合わせてブロック体6を形成し、このブロック体を空気流入口2と空気排気口3を形成した箱型のケーシング1内のフィルタ枠にセットし、厨房や食品加工場から発生する排気ガスを脱臭ユニットを通過させることにより、排気ガス中の臭気成分を除去し清浄空気として排気するようにした脱臭フィルタに於て、必要個数の脱臭ユニットを一枚の接着シートで巻きつけてブロック体を形成し、脱臭フィルタのブロックの固定度アップで振動などに強化し、軽量化取り扱い性向上及びコストの低減を図ったものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハニカムタイプの脱臭ユニットを2段2列、2段3列、3段2列、3段3列などに重ねてブロック体を形成し、このブロック体を空気流入口と空気排気口を形成した箱型のケーシング内にセットして、厨房や食品加工場から発生する排気ガスを前記ブロック体を形成する脱臭ユニットに通過させることにより、排気ガス中の臭気成分を除去し清浄空気として排気するようにした脱臭フィルタに関するものである。
【技術背景】
【0002】
一般に、飲食店・レストランなどの厨房や食品加工場から発生するオイル分を含んだ排気ガスの脱臭に効果的な脱臭フィルタは、セラミックスからなる粉末原料と酸化チタンあるいはマンガン酸化物あるいは銅酸化物あるいは亜鉛化合物などの吸着・分解機能を持った触媒にバインダーおよび水を混練し、射出成形機にて多孔質の隔壁により仕切られた複数の貫通孔を有するハニカムタイプの脱臭ユニットあるいはセラミックスからなる粉原料にバインダーおよび水を加えて混練し、射出成形機にて多孔質の隔壁により仕切られた複数の貫通孔を有するハニカム構造体に、酸化チタンあるいはマンガン酸化物あるいは銅酸化物あるいは亜鉛化合物とバインダー成分からなる吸着機能を持った触媒層を付着させたハニカムタイプの脱臭ユニットが知られている。
【0003】
そして、これらのハニカムタイプの脱臭ユニットは厨房排気ガスと脱臭ユニットの充分な接触分解を図る為、厨房排気ガスの処理風量に合わせて、必要個数の脱臭ユニットが使用されている。例えば、W150mm×H150mm×L200mmサイズのハニカムタイプの脱臭ユニットを2段2列、2段3列、3段2列、3段3列にブロック体にまとめて、脱臭フィルタのケーシング内に取り付けたフィルタ枠にセットし、厨房や食品加工場から発生する排気ガスを前記脱臭ユニットを通過させることにより、排気ガス中の臭気成分を除去し清浄空気として排気するようにした脱臭フィルタが知られている
【0004】
そして、ハニカムタイプの脱臭ユニットを2段2列、2段3列、3段2列、3段3列にブロック体にまとめる方法として、亜鉛鉄板の凹み部に脱臭ユニットを載せ、上から亜鉛鉄板の蓋を被せて、ブロック体としている。
【0005】
このため、フィルタのブロック固定化が弱く振動でずれる可能性がある上、前記ブロック体に使用する凹み状の亜鉛鉄板と蓋にコストがかかり、結果的に脱臭フィルタのコストアップにつながってしまうといった懸念があった。さらにブロック体に組み込む作業にも手間が係る上、ブロック体をフィルタ枠に押し込む際、ブロック体の角が引っ掛かかり、重量も増す事から作業にも手間がかかるといった問題があった。
【発明の開示】

【発明が解決しょうとする課題】
【0006】
そこで本発明は上述の問題を解決しょうとしたものであり、本発明の第一の目的は脱臭ユニットをまとめたブロック体のコストを低減しょうとしたものである。
【0007】
本発明の第二の目的は、脱臭ユニットをまとめたブロック体をコンパクトでブロック体の一体性を増し、且つ、軽量なものとなしケーシング内のフィルタ枠へのセットを容易に且つスムーズに行えるようにしたものである。
【発明が解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の解決手段は、適宜個数の脱臭ユニットを一枚の塩ビ接着シートで巻きつけて、ブロック体としたことを特徴としたものである。
【0009】
ここで、一枚の接着シートとしては、難燃不織布あるいはアルミ接着テープあるいはポリエステル樹脂シート、ポリエチレン樹脂シート、塩化ビニル樹脂シートなどの適宜材質のシートが使用される。
【0010】
また、上記課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、一枚の接着シートの上に、必要個数の脱臭ユニットを略四角形状になるように組み合わせて置き、シート接着剤で重ね合わせ固定しブロック体を形成したので、従来の鉄板亜鉛の材質に比べ接着固定度が増して作業性も向上し、さらにコストも安価となり、結果脱臭フィルタのコストが低減される。
【0011】
さらに、軽量な一枚の接着シートで脱臭ユニットをブロック化したので、コンパクトにまとめられケーシング内のフィルタ枠への取り付けが容易且つスムーズに行える。
【発明の効果】
【0012】
上述したように、本発明の脱臭フィルタは次のような効果が得られる。
(1)臭気ガス、油分吸着と触媒分解の両方の作用で高い脱臭・油分分解効果が得られる。
(2)活性炭のように臭気物質を吸着・捕捉するだけでなく、それらを触媒作用によって酸化・分解し無臭・低臭気成分として大気中に放出するようにしたので、長期間にわたる連続使用が可能となり、また脱臭性能が急落することがない。
(3)ハニカム構造体であるので、吸着・分解作用に必要な厨房排気との効率的な接触と低い圧力損失が可能である。
(4)安価で取扱い容易な一枚の接着シートで脱臭ユニットをブロック化したので、脱臭フィルタのコストダウンが可能となった。
(5)軽量で耐候性のある一枚の接着シートで脱臭ユニットをブロック化したので、密着固形を高めてコンパクトとなり、ケーシング枠への取り付けが容易且つスムーズに行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の脱臭フィルタのケーシング内に脱臭ユニットのブロック体を挿入する状態を示す概略図。
【図2】ブロック体の組み立て状態を示す概略図。
【図3】ブロック体を脱臭フィルタのケーシング内に固定する状態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る脱臭フィルタについて図1から図3に基いて説明する。
【実施例】
1は脱臭フィルタのケーシングで、このケーシング1は空気流の流入口2および流出口3を設けた箱形状となっている。また、ケーシング1の一側面には、脱臭ユニット4を接着シート5で一体化したブロック体6の出し入れを可能にした開口部7が形成されている。そして開口部7には蓋を取り付けるフランジが取り付けられている。さらにケーシング1内部にはブロック体6を設定位置にセットするレールが取り付けられている。9はブロック体6の押え金具でノブボルト10により開口部7に一体に取り付けられるようになっている。蓋はボルトによって開口部7に着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0015】
次にブロック体6の取り付け手順について説明する。
まず、脱臭ユニット4を2段2列あるいは2段3列あるいは3段2列あるいは3段3列に重ね、両面を残して外周を接着シート5で被覆しブロック体6を必要個数製作する。
【0016】
次に、脱臭フィルタのケーシング1のフランジに取り付けた蓋をボルトを回して取り外す。さらに、レール8の入り口にあるブロック体6の押え金具9をノブボルト10を回し取り外す。そして、ブロック体6をレール8上に挿入する。全部のブロック体6を挿入した後、押え金具9をノブボルト10を回して取り付けブロック体6を固定する。最後に蓋を取り付けフランジにボルトで締め付け固定する。
【0017】
次に、ブロック体6の取り外し手順について説明する。まずケーシング1のフランジにある蓋をボルトを回して取り外す。さらに、レール8の入り口にあるブロック体6の押え金具9をノブボルト10を回し取り外す。そして、ブロック体6をレール8に沿ってゆっくりスライドさせレール8から取り外す。このようにしてブロック体6の取り付け取り外しを完了する。
【0018】
なお、上記実施例では1実施例を述べただけで、一枚の塩ビ接着シートを使用したが、難燃不織布やポリエチレンシートなど他の材質のシートを使用しても良く、さらには、ブロック体の取り付け、取り外しにレールを利用しているが、これに限定されることなく種々変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。尚、接着シートをセラミックス製脱臭フィルタブロックに巻く事で難燃性は保たれる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、ケーシング内のフィルタ枠に脱臭ユニットを必要個数組み合わせたブロック体をセットして、厨房や食品加工場から発生する排気ガスを脱臭ユニットを通過させることにより、排気ガス中の臭気成分を除去し清浄空気として排気するようにした脱臭フィルタに関するもので、脱臭ユニットを接着シートでブロック体を形成することにより、脱臭フィルタの接着固定の強化及びコストダウンを可能となすと共にフィルタ枠への取り付けを容易且つスムーズに行えるようになしたもので、実用的はなはだ大なるものである。
【符号の説明】
【0020】
1・・・脱臭フィルタのケーシング 2・・・空気流の流入口
3・・・空気流の流出口 4・・・脱臭ユニット
5・・・接着シート 6・・・ブロック体 7・・・開口部
8・・・レール 9・・・押え金具 10・・・ノブボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカムタイプの脱臭ユニットを適宜数組み合わせてブロック体を形成し、このブロック体を空気流入口と空気排気口を形成した箱型のケーシングにセットし、厨房や食品加工場から発生する排気ガスをブロック体を形成する脱臭ユニットに通過させることにより、排気ガス中の臭気成分及び油分を除去し清浄空気として排気するようにした脱臭フィルタに於て、ブロック体を一枚の接着シートで巻きつけて形成したことを特徴とする脱臭フィルタ。
【請求項2】
一枚の接着シートは難燃不織布あるいはアルミ接着テープあるいはポリエステル樹脂シート、ポリエチレン樹脂シート、塩化ビニル樹脂シートなどの適宜材質のシートであることを特徴とする請求項1の脱臭フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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