説明

脱臭容器

【課題】 生ゴミ容器の悪臭を解消する。
【解決手段】 生ゴミ容器1の蓋体12内面に、収容した脱臭粉末4が少しづつ零れ出ることが可能な孔24を有する粉末収容体2を具える。
蓋体12を開閉する際に、振動で粉末収容体2から脱臭粉末4が零れでて生ゴミに降り掛かり、脱臭がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミ容器等に実施して、悪臭の発生を抑える脱臭容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
麦飯石の粉末等、脱臭効果のある粉末の存在は知られている(特許文献1)。
脱臭粉末を生ゴミに振り掛けると脱臭効果がある。しかし、一定量の脱臭粉末で脱臭効果が長時間持続するものではないから、時々、容器内の生ゴミに脱臭粉末を振り掛けなければならず、面倒であり、又、忘れ易い。
ゴミ容器の蓋を開いたときに、前回に振りかけた脱臭粉末の脱臭効果が低下していて、容器内の悪臭が外部に漏れて不快感を感じることがある。
【0003】
【特許文献1】特開平9−65837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決できる脱臭容器を明らかにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の脱臭容器は、容器(1)と、該容器の天井に設けられ辛うじて粉末が少しづつ零れ出ることが可能な孔(24)又は隙間を有する粉末収容体(2)と、該粉末収容体(2)に収容され脱臭効果を有する粉末とによって構成される。
【発明の効果】
【0006】
容器(1)を軽く叩く、或いは容器の天井が上開き蓋体(12)である場合は、該蓋体(12)を開いて容器(1)に振動を与えると、粉末収容体(2)に収容された脱臭粉末(4)が、粉末収容体(2)から少しづつ零れ出て、容器内の生ゴミ等の収容物に降り掛かる。
脱臭粉末(4)が通気性のある粉末収容体(2)に収容されて容器(1)内に配備されているだけでも、脱臭効果があるのに加えて、容器を振動させる毎に粉末収容体(2)から脱臭粉末(4)が収容物に降り掛かるため、脱臭効果は飛躍的に高まる。容器(1)に生ゴミを容れても悪臭が気にならない程度に脱臭される。
蓋体(12)を開く際に、粉末収容体(2)から脱臭粉末(4)が生ゴミに降り掛かるため、容器内に悪臭が残っていても、該降り掛かった脱臭粉末で脱臭されるから、悪臭が容器の外に逃げ出すことを可及的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、生ゴミを容れるための丸筒型の容器(1)を示している。
容器(1)は、有底筒状の容器本体(11)と、該容器本体(11)の上端に跳上げ式に開く蓋体(12)とによって形成され、蓋体(12)が閉じると蓋体(12)が容器(1)の天井となる。
容器の蓋体(12)の内面に、脱臭粉末(4)を容れた粉末収容体(2)が取り付けられる。
【0008】
実施例の脱臭粉末(4)は麦飯石の粉末である。
粉末の粒度は問わないが、麦飯石を粉末にするためのコスト、技術、及び後記の如く、粉末収容体(2)から該粉末を辛うじて零れ落ちる様にすることを考慮して、実施例では50〜300メッシュとした。
【0009】
図2に示す如く、粉末収容体(2)は扁平丸型ケース(2a)であり、上面開口の合成樹脂製ケース本体(21)と中蓋(22)と合成樹脂製外蓋(23)とからなる。
中蓋(22)には、周方向に等間隔に4つの振り出し領域(25)が設けられ、各振出し領域(25)は、脱臭粉末(4)が辛うじて通過できる孔(24)が複数個開設されている。
外蓋(23)は外周周壁の内面に形成された周溝(27)が、ケース本体(21)の開口縁の外向き凸条(28 ) に、樹脂の弾性変形によって回転可能に緊密に嵌まっている。
外蓋(23)には、中蓋(22)の振出し領域(25)に対応して4箇所に窓孔(26)が開設されており、外蓋(23)を回すことにより、振出し領域(25)の窓孔(26)からの露出面積を調節できる。
【0010】
丸型ケース(2a)を容器(1)に取り付ける取付け手段(3)は、実施例では両面粘着テープ(31)であり、ケース本体(21)の底と、容器(2)の蓋体(12)内面との間に介在して粉末収容体(2)を蓋体(12)に固定している。
丸型ケース(2a)を蓋体(12)から引っ張ると、両面粘着テープ(31)が剥がれて丸型ケース(2a)を蓋体(12)がら外すことができ、該丸型ケース(2a)への脱臭粉末(4)の補充や、脱臭粉末(4)が充填された新たな丸型ケース(2a)と交換できる。
【0011】
然して、容器(1)の蓋体(12)を閉じているとき、丸型ケース(2a)からは脱臭粉末(4)は殆んど零れ落ちない。但し、丸型ケース(2a)の孔(24)を通じて粉末収容体(2)内に流入する臭気は、粉末収容体(2)で脱臭される。
生ゴミを容器(1)に投入するために蓋体(12)を開閉するとき、振動が丸型ケース(2a)に伝わり、脱臭粉末(4)が中蓋(22)の振出し領域(25)の孔(24)から零れ落ちて生ゴミに降り掛かる。脱臭粉末(4)である麦飯石の粉末は優れた脱臭性能を有しており、容器内を効果的に消臭する。
【0012】
容器(1)を開いたときに、容器内の臭いが外部に漏れ出るが、粉末収容体(2)に収容されて臭いの漏れの経路上に存在する脱臭粉末(4)が、臭気を吸着して臭いの拡がりを抑えることができる。
又、麦飯石の粉末は湿気ないため、該粉末が中蓋(22)の孔(24)の近傍で固まってを孔(24)を詰まらせて振り出し不能となる自体は生じない。
外蓋(23)を回転させて中蓋(22)の振出し領域(25)の臨出量、即ち、脱臭粉末(4)の零れ落ち量を調整できるから、悪臭の発生量に応じて脱臭粉末(4)の振り掛け量を調整でき、便利で無駄がない。
【0013】
図3、図4は、粉末収容体(2)の第2実施例を示している。粉末収容体(2)は直方体の箱(2b)であり、表側面に帯状の開口(28)を開設して、箱(2b)の内面から該開口をメッシュシート(29)でカバーしている。メッシュシート(29)の網目孔は箱(2b)に収容する脱臭粉末(4)が辛うじて通過できる大きさである。
前記同様にして、容器(1)の蓋体(12)内面に取付け手段(3)によって箱(2b)を取り付けて使用する。蓋体(12)の開閉毎に、メッシュシート(29)の網目孔から粉末収容体(2)が零れ落ちて生ゴミに降り掛かり、脱臭する。
箱(2b)の開口(28)に代えて、箱表面に脱臭粉末(4)が辛うじて通過できるスリット孔等の隙間を多数形成しておけば、メッシュシート(29)を省略して、同様の脱臭効果を得ることができる。
【0014】
図5は、粉末収容体(2)の第3実施例を示している。粉末収容体(2)は織布、編布、不織布等の布地で形成した可撓性袋(2c)であり、該布地は全面に、袋(2c)に収容した粉末収容体(2)が辛うじて通過できる隙間を有している。
前記同様にして、袋(2c)を取付け手段(3)によって、容器(1)の蓋体(12)の内面に取り付けて使用する。
【0015】
粉末収容体(2)が辛うじて通過できる多数の孔を開設した合成樹脂シートにて可撓性袋を形成して、脱臭粉末(4)を詰めても可い。
袋に脱臭粉末(4)を詰めたものは、短い紐で蓋体(12)の内部に吊り下げて取り付けることができ、蓋体(12)の開閉の際の袋の揺れと、蓋体への衝突によって、脱臭粉末(4)の零れ落ち量を多くすることができる。
【0016】
図6は、粉末収容体(2)の取付け手段(3)或いは粉末収容体(2)自体の別の実施例を示しており、容器(1)の蓋体(12)に、蓋(30)付きの収容部(32)を形成している。
蓋(30)は、ロック手段(図示せず)付きであって、収容部(32)から容器(1)の外側に脱臭粉末(4)が漏れ出さない様に収容部(32)の上面開口を閉じることができる。
収容部(32)を、粉末収容体(2)の取付け手段(3)とする場合は、収容部(32)の側壁及び底壁に、脱臭粉末(4)が余裕のある状態で通過できる孔(33)を開設する。収容部(32)に、図3に示す脱臭粉末入り箱(2b)、或いは図5に示す脱臭粉末入り袋(2c)を投入し、収容部(32)の蓋(30)を閉じる。
容器(1)の蓋体(12)を開閉する毎に、箱(2b)或いは袋(2c))から脱臭粉末(4)が零れ出て、収容部(32)の孔(33)から、容器(1)内の生ゴミに降り掛かって脱臭する。
収容部(32)を粉末収容体(2)とする場合は、収容部(32)の孔(33)は、脱臭粉末(4)が辛うじて通過できる大きさとし、多数個開設すればよい。この場合、収容部(32)に直接に脱臭粉末(4)を充填して使用することができる。
上記図6の実施例の場合、蓋(30)を開いて箱(2b)や袋(2c)の交換、或いは脱臭粉末(4)の補充ができる。
【0017】
容器(1)を開いたときに、容器内の臭いが外部に漏れ出るが、粉末収容体(2)に収容されて臭いの漏れの経路上に存在する脱臭粉末(4)が、臭気を吸着して臭いの拡がりを抑えることができる。
【0018】
図7は、容器(1)の第2実施例を示しており、該容器は、犬、猫等の小動物のハウス(1a)である。
ハウス(1a)は、トレイ(14)とトレイ(14)に取り外し可能に被さる下面開口の筺体(15)とによって構成される。トレイ(14)の前側壁と筺体(15)の前側壁に夫々切欠(16)(17)を設けて出入口(18)を形成している。
トレイ(14)に吸水性シート(図示せず)を敷き、筺体(15)の天井に前記粉末収容体(2)を取り付ける。
ハウス(1a)内が空であるときに、時々筺体(15)を軽く叩いて振動を与え、粉末収容体(2)を吸水性シートに振りかけて、消臭する。
小動物が、ハウス(1a)に出入りする際等、ハウス(1a)に小動物の身体が当たってハウス(1a)が振動する際にも、粉末収容体(2)から脱臭粉末(4)が零れおちる。
麦飯石の粉末は、小動物に掛かっても害はないため、小動物の健康面で問題はない。
図7の実施例において、図2、図3、図5、図6の各実施例を適用できるのは勿論である。
【0019】
尚、粉末収容体(2)の大きさは、容器(1)の大きさ、容器(1)内の収容物から発する臭いの種類や強さによって、適宜決めればよいが、振動を与えて脱臭粉末(4)を零れ落とすことを考慮すると、最初に粉末収容体(2)に収容する脱臭粉末(4)の量は、粉末収容体(2)の最大収容量の30〜60%とし、粉末収容体(2)内に脱臭粉末(4)が揺れ動くことのできる充分な空間を設けておくことが望ましい。
又、粉末収容体(2)の構成は特に限定されるものではなく、振動で脱臭粉末(4)が少しづつ零れ落ちるものであればよい。又、粉末収容体(2)の材質も問わない。
【0020】
脱臭粉末(4)として、麦飯石に限らず、脱臭、消臭効果のある粉末であれば使用できる。
例えば、多孔質無機珪酸化合物は多孔質であるが故に臭気だけではなく、黴類や細菌類も吸着することが知られている。容器(1)内の臭気発生源が腐敗臭である場合、粉末収容体(2)内に多孔質無機珪酸化合物の粉末を収容しておけば、該粉末が腐敗物質の上に飛散するので、腐敗物質から発生する臭気のみならず、腐敗物質の表面に生息する黴類や細菌類をも吸着する。従って、それ以上に腐敗が進行することを妨げ、臭気の根本を断つことできる。即ち、臭気の発生を抑え、更に、発生してしまった臭気を吸着するという二重の意味での消臭効果を持つ。
【0021】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】脱臭容器の蓋体を開いた状態の斜面図である。
【図2】丸型ケース状粉末収容体の分解斜面図である。
【図3】粉末収容箱の斜面図である。
【図4】図3A−A線に沿う断面図である。
【図5】粉末収容袋の斜面図である。
【図6】容器の蓋体に粉末収容部を形成した状態の説明図である。
【図7】小動物のハウスに実施した斜面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 容器
2 粉末収容体
3 取付け手段
4 脱臭粉末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(1)と、該容器の天井に設けられ辛うじて粉末が少しづつ零れ出ることが可能な孔(24)又は隙間を有する粉末収容体(2)と、該粉末収容体(2)に収容され脱臭効果を有する粉末(4)とによって構成された脱臭容器。
【請求項2】
容器(1)は上部に開閉蓋体(12)を具えて該蓋体(12)が天井となり、蓋体(12)に粉末収容体(2)を具えている請求項1に記載の脱臭容器。
【請求項3】
粉末収容体(2)は、取付け手段(3)によって脱着可能に天井に取り付けられている請求項1又は2に記載の脱臭容器。
【請求項4】
容器(1)の天井に、脱臭粉末(4)が通過できる孔を開設した収容部(32)を設け、該収容部に粉末収容体(2)を収容している請求項1乃至3の何れかに記載の脱臭容器。
【請求項5】
容器(1)の天井に、辛うじて脱臭粉末(4)が通過できる孔を開設した収容部(32)を設け、該収容部に直接に脱臭粉末(4)を収容している請求項1又は2に記載の脱臭容器。
【請求項6】
容器(1)は、犬、猫等の小動物のハウスである請求項1乃至5の何れかに記載の脱臭容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−82928(P2006−82928A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269312(P2004−269312)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(501193621)栄光通商株式会社 (8)
【Fターム(参考)】