説明

脱臭材、脱臭材の製造方法、脱臭方法

【課題】脱臭性能を長期に渡って十分に発揮することの可能な脱臭材及びその製造方法と、該脱臭材を用いた脱臭方法とを提供する。
【解決手段】脱臭材は、多数の気孔を有する多孔質からなると共に、少なくともシリカ及びアルミナから粒状に形成されたものであって、該脱臭材の母体をなす担体中に骨成分(ヒドロキシアパタイト)等のリン酸カルシウム化合物を散在させてなるものである。脱臭材の製造方法は、混合工程と造粒工程と加熱工程とを順に実施することにより、前記脱臭材を製造するものである。生物学的脱臭により悪臭ガスを脱臭する脱臭方法は、前記脱臭材を複数個集めてなる集合体に対し、悪臭ガスを接触させて該悪臭ガス中の臭気成分を除去又は分解するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭作用のある微生物を利用した生物学的脱臭に用いられる脱臭材と、その脱臭材の製造方法と、その脱臭材を用いた脱臭方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、悪臭ガスを生物学的に脱臭するための脱臭材としては、シリカ及びアルミナを含有する廃鋳物砂と炭化物とを混練した後に造粒し、焼成することで得られる多孔質の脱臭材が知られている(特許文献1の請求項2参照)。また、この脱臭材に対し、更にリン酸塩と窒素化合物とを含浸させることにより得られる脱臭材も知られている(特許文献1の請求項4参照)。更に、特許文献1には、悪臭ガスを生物学的に脱臭する方法において、これらの脱臭材を充填材とし、該充填材に対して悪臭ガスを接触させることにより、悪臭ガス中の臭気成分を除去する脱臭方法も記載されている(特許文献1の請求項1等参照)。
【0003】
ところで、一般に、悪臭ガスを生物学的に脱臭するための生物脱臭装置(例えば充填塔式生物脱臭装置)は、脱臭材からなる充填材(充填層)が乾燥しない程度に、充填材の上方から充填材に向かって適時に散水している(特許文献1の段落番号0020、図1及び図2参照)。このような充填材への散水により、充填材を形成する複数個の脱臭材に対して付着又は担持された脱臭用微生物の活性が維持されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−137648号公報(請求項1、請求項2、請求項4、段落番号0020、図1及び図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したリン酸塩と窒素化合物とが含浸されてなる従来技術に係る脱臭材では、生物脱臭装置の散水に起因した水分中にリン酸塩や窒素化合物が高濃度で溶出したり、脱臭材からリン酸塩及び窒素化合物が容易に離脱したりして水分と一緒に大量に流れ落ちてしまうおそれがあった。その結果、脱臭材にリン酸塩及び窒素化合物を含浸させることで得られる効果、すなわち脱臭材に対して脱臭用微生物の付着性を高める効果〔生物脱臭における馴至(馴地又は馴致)期間の短縮効果〕、ひいては脱臭材の脱臭性能を高める効果が薄れてしまうこととなっていた。また、上述したリン酸塩と窒素化合物とが含浸されていない従来技術に係る脱臭材では、脱臭性能を高めるための化合物が含浸されていないことから、その脱臭材自体の脱臭性能は、十分と言えるレベルのものではなかった。
【0005】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、脱臭性能を長期に渡って十分に発揮することの可能な脱臭材及び脱臭方法を提供することにある。また、他の目的は、脱臭性能を長期に渡って十分に発揮できる脱臭材を製造するのに適した脱臭材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、従来技術のように粒状の多孔質脱臭材にリン酸塩と窒素化合物とを含浸させるのではなく、粒状の多孔質脱臭材中に(難水溶性の)リン酸カルシウム化合物を散在させることで、脱臭材が優れた脱臭性能を長期に渡って発揮できるということを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に記載の発明は、少なくともシリカ及びアルミナから粒状に形成されると共に、多数の気孔を有する多孔質からなり、脱臭用微生物を利用した生物学的脱臭に使用するための脱臭材であって、該脱臭材中にリン酸カルシウム化合物を散在させてなることをその要旨としている。
【0007】
上記請求項1に記載の発明によれば、少なくともシリカ及びアルミナから粒状に形成された多孔質の脱臭材は、その多数の気孔により脱臭用微生物の保持性に優れており、該脱臭材中に散在するリン酸カルシウム化合物との組み合わせの下で、脱臭用微生物の付着性、生息、増殖ないし活性を高める環境が提供される。また、脱臭材中に散在した状態で保持されている(難水溶性の)リン酸カルシウム化合物は、生物脱臭装置の散水に起因した水分中に少しずつしか溶出しないと共に、脱臭材からリン酸カルシウム化合物が容易に離脱しないことから、従来技術の場合のようにリン酸カルシウム化合物が水分と一緒に大量に流れ落ちてしまうことはない。従って、請求項1に係る脱臭材によれば、その使用開始直後から長期に渡って期待通りの優れた脱臭性能が発揮される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の脱臭材において、気孔率が、5〜80体積%であることをその要旨としている。ここで、脱臭材の気孔率が5体積%未満の場合、脱臭材の通気性や保水性等が低下して脱臭材が脱臭性能を十分に発揮できなくなってしまうおそれがあり、脱臭材の気孔率が80体積%を超える場合、脱臭材の強度が低下して脱臭材が破損してしまうおそれがあるからである。従って、脱臭材の気孔率を5〜80体積%に設定することは好ましい。このような範囲内に脱臭材の気孔率を設定することで、前述した脱臭材の脱臭性能と脱臭材の破損防止との両立を図ることが可能となる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の脱臭材において、前記気孔の径の頻度ピークは、0.4〜20μmの範囲内に設定されていることをその要旨としている。ここで、脱臭材の気孔の頻度ピークが0.4μm未満の場合であったり、20μmを超える場合であったりするときには、脱臭材に対する微生物の付着性、繁殖性、活性化が不十分なものとなるおそれがあり、これによって脱臭材が脱臭性能を十分に発揮できなくなってしまうこととなる。従って、脱臭材における気孔の径の頻度ピークを0.4〜20μmの範囲内に設定することは好ましい。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の脱臭材において、平均サイズは、0.5〜30mmの範囲内に設定されていることをその要旨としている。ここで、脱臭材の平均サイズが0.5mm未満の場合には、生物脱臭装置に脱臭材を配設したときの通気性が悪化して、圧力損失が急激に増大してしまうおそれがあるからである。脱臭材の平均サイズが30mmを超える場合には、脱臭材に対する悪臭ガスの接触面積が小さくなって、脱臭材の単位容積当りの脱臭性能が低下してしまうおそれがあるからである。従って、脱臭材の平均サイズを0.5〜30mmの範囲内に設定することは好ましい。このような範囲内に脱臭材の平均サイズを設定することで、前述した圧力損失と脱臭材の脱臭性能とのバランスを保つことが可能となる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の脱臭材において、前記脱臭材を100質量%としたときに、該脱臭材の母体をなす担体は95〜50質量%であり、前記リン酸カルシウム化合物は5〜50質量%であることをその要旨としている。ここで、脱臭材中のリン酸カルシウム化合物の含有量が5質量%未満の場合、脱臭材における脱臭性能の向上効果が得られないおそれがあり、脱臭材中のリン酸カルシウム化合物の含有量が50質量%を超える場合、脱臭材の強度が不足して粒状形状を保持することが困難なものとなってしまうおそれがあるからである。従って、脱臭材において、担体を95〜50質量%、リン酸カルシウム化合物を5〜50質量%となるようにそれぞれ設定することは好ましい。
【0012】
請求項6に記載の発明における脱臭材の製造方法は、少なくともシリカ及びアルミナを含有する粉状又は粒状の原料と、リン酸カルシウム化合物及び/又はその水和物と、水とを混合して混合材料を形成する混合工程と、前記混合材料を粒状に形成して粒状成形体とする造粒工程と、前記粒状成形体を焼成することにより、多数の気孔を形成して多孔質化すると共に、前記リン酸カルシウム化合物を散在させて脱臭材を形成する加熱工程とを順に実施することをその要旨としている。
【0013】
請求項6に記載の発明は、上記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の脱臭材を製造するのに適した脱臭材の製造方法である。上記請求項6に記載の発明によれば、請求項6に係る混合工程と造粒工程と加熱工程とを順に実施することで、上記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の作用効果を奏する脱臭材が好適に得られる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、脱臭用微生物を利用した生物学的脱臭により悪臭ガスを脱臭する方法であって、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の脱臭材を複数個集めてなる集合体に対し、前記悪臭ガスを接触させて該悪臭ガス中の臭気成分を除去又は分解することをその要旨としている。
【0015】
請求項7に記載の発明は、上記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の脱臭材を用いるのに適した脱臭方法である。上記請求項7に記載の発明によれば、上記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の脱臭材を複数個集めてなる集合体に対して悪臭ガスを接触させると、集合体を形成する多数個の脱臭材の脱臭性能により、悪臭ガス中の臭気成分が好適に除去又は分解されて脱臭される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1〜請求項5に記載の脱臭材によれば、その脱臭性能を長期に渡って十分に発揮することができる。また、請求項2に記載の脱臭材によれば、脱臭材の脱臭性能と脱臭材の破損防止との両立を図ることができる。更に、請求項3に記載の脱臭材によれば、脱臭材に対する微生物の付着性、繁殖性、活性化をより十分なものとすることができる。加えて、請求項4に記載の脱臭材によれば、圧力損失と脱臭材の脱臭性能とのバランスを保つことができる。併せて、請求項5に記載の脱臭材によれば、脱臭材における脱臭性能の向上効果を得ることができると共に、脱臭材の粒状形状を保持することができる。請求項6に記載の脱臭材の製造方法によれば、脱臭性能を長期に渡って十分に発揮できる脱臭材を好適に得ることができる。請求項7に記載の脱臭方法によれば、集合体を形成する多数個の脱臭材の脱臭性能により、悪臭ガス中の臭気成分を好適に除去又は分解して脱臭することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る脱臭材は、該脱臭材の母体をなす担体と、該脱臭材中(担体中)に散在しているリン酸カルシウム化合物とから形成されている。本発明に係る脱臭材によれば、担体は、シリカ及びアルミナを主成分として形成されている。また、担体については、シリカ及びアルミナの主成分以外の成分として、鉄酸化物、マグネシウム酸化物、マンガン酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物等の少なくとも1種の成分から形成されていてもよい。なお、担体を100質量%とすると、例えば、シリカは90〜20質量%、アルミナは5〜75質量%の範囲内に設定することができる。本発明に係る脱臭材(担体)は、多数(無数)の気孔を有してなる多孔質であって、粒状の無機多孔質体(セラミックス多孔質体)となっている。担体中(脱臭材中)には、リン酸カルシウム化合物が散在(分散)した状態で保持されており(リン酸カルシウム化合物が担体と一体化しており)、リン酸カルシウム化合物は担体(脱臭材)から離脱しにくくなっている。
【0018】
また、リン酸カルシウム化合物は、水溶性が小さく、脱臭材(特にリン酸カルシウム化合物)に接触している水分中にリン成分が少しずつ流出(溶出)するため、脱臭材表面及びその周辺部分が微生物にとって快適な栄養環境となると共に、この快適な栄養環境を長期にわたって維持することが可能となる。なお、微生物の増殖及び活性化には、微生物の栄養分としてリン成分が必要である。更に、リン酸カルシウム化合物は、微生物との親和性が高いため、脱臭材表面に対する微生物の担持性や付着性が向上する。これにより、脱臭材における単位面積当りの微生物の担持密度や付着密度が高められることにつながり、全体として脱臭材の脱臭性能も向上する。
【0019】
本発明に係る脱臭材(担体)は、球形状若しくは擬似球形状、又は、楕円球形状若しくは楕円擬似球形状、又は、立方体形状若しくは擬似立方体形状、又は、直方体形状若しくは擬似直方体形状、又は、円筒形状や擬似円筒形状等の筒形状若しくは擬似筒形状などに形成することができる。脱臭材は、多数の気孔を有する多孔質であって、脱臭材の気孔率、気孔の分布形態、平均気孔径は、微生物の繁殖性などに影響を与えるが、横軸を気孔の径、縦軸を頻度とするとき、気孔の径のピークは、0.4〜20μmの範囲内に設定することが好ましい。これにより、脱臭材、特に担体の表面凹凸の大きさが脱臭用微生物に対して適切となり、微生物の付着性、繁殖性、活性化に貢献することができる。ここで、気孔の径の頻度ピークとしては、0.4〜10μmの範囲内、又は0.5〜0.8μmの範囲内に設定することがより好ましい。なお、気孔のサイズが大きすぎたり、小さすぎたりするときには、微生物の付着性、繁殖性、活性化が不十分なものとなってしまう。
【0020】
本発明に係る脱臭材の気孔率の上限値は、例えば80体積%、70体積%、60体積%、50体積%、40体積%、30体積%のいずれかに設定することができ、下限値は、例えば5体積%、10体積%、15体積%、20体積%、30体積%、40体積%のいずれかに設定することができるが、特にこれらに限定されるものではない。よって、脱臭材の気孔率としては、5〜80体積%、10〜70体積%などに設定することが好ましい。なお、一般的に、気孔率が増加すると、脱臭材は破損し易くなるが、脱臭材の通気性、吸着性、通水性、脱臭性能などは向上する。
【0021】
本発明に係る脱臭材の平均サイズとしては、0.5〜30mmの範囲内に設定することが好ましく、1〜20mmの範囲内、1〜10mmの範囲内に設定することがより好ましい。このような粒状のサイズであれば、焼成するときにおいて、後述する粒状成形体の内部と表層とを均一に加熱することが可能となり、しかも加熱時間を抑制することができる。これにより、脱臭材の表面凹凸が平滑化されることを抑制でき、適切なサイズを有する気孔を脱臭材に形成するのに有利となる。また、本発明に係る脱臭材を100質量%とするとき、例えば、該脱臭材の母体をなす担体を95〜50質量%、リン酸カルシウム化合物を5〜50質量%に設定することが好ましい。この場合、担体を90〜60質量%、リン酸カルシウム化合物を10〜40質量%と、担体を90〜65質量%、リン酸カルシウム化合物を10〜35質量%とに設定することがより好ましく、担体を90〜70質量%、リン酸カルシウム化合物を10〜30質量%と、担体を85〜70質量%、リン酸カルシウム化合物を15〜30質量%とに設定することが更に好ましい。
【0022】
リン酸カルシウム化合物としては、リン酸カルシウム〔Ca(PO〕、ヒドロキシアパタイト〔Ca10(PO(OH)〕、リン酸一水素カルシウム(CaHPO)、リン酸二水素カルシウム〔Ca(HPO〕、ピロリン酸カルシウム(Ca)、メタリン酸カルシウム〔Ca(PO〕、フッ素アパタイト〔Ca10(PO〕、リン酸4カルシウム(Ca)、Ca不足ヒドロキシアパタイト〔Ca10-X2X(PO(OH)〕等を例示することができるが、これらに特に限定されるものではない。また、リン酸カルシウム化合物のうち、リン酸カルシウム化合物として1種をそれぞれ単独で用いるようにしてもよいし、2種以上を併用するようにしてもよい。ここで、一例を挙げると、ヒドロキシアパタイトとして、生物の骨成分を用いていもよい。難水溶性のリン酸カルシウムの溶解度は、0.025g/100gであり、同じく難水溶性のヒドロキシアパタイトの溶解度は、0.025g/100gである。なお、本明細書中では、溶解度が0.1g/100g以下のものを難水溶性であると定義付けした。また、上述したリン酸カルシウム化合物として例示したものは、全て難水溶性である。
【0023】
生物の骨成分としては、生のものでもよく、蒸製されたものでもよく、焼成されたものでもよい。骨成分は、獣類、魚類等の骨成分を採用することができる。獣類としては、牛、馬、豚、羊、鶏などを例示できる。骨成分は、一般にヒドロキシアパタイトを主成分としているが、蛋白質を含有していることもある。骨成分としては、脱臭材の用途等に応じて粉砕することにより、粉末状、粒状、破片状としたものを採用することができる。原料、骨成分、リン酸カルシウム化合物のサイズ、サイズの分布形態は、脱臭材を構成する担体の気孔のサイズ、気孔のサイズの分布形態に影響を与える。一般的には、原料粉末、骨成分粉末、リン酸カルシウム化合物のサイズが大きいと、脱臭材の気孔のサイズも大きくなり、原料粉末、骨成分粉末、リン酸カルシウム化合物のサイズが小さいと、脱臭材の気孔のサイズも小さくなる。
【0024】
本発明の製造方法に係る混合工程では、粉状又は粒状の原料は炭素質粉末粒子を含有していることが好ましい。炭素質粉末粒子としては、黒鉛や不定形炭素等の粉末粒子を例示できる。加熱工程では、炭素質粉末粒子がガス化して焼失し、多数の気孔を形成する。従って、炭素質粉末粒子は、気孔形成物質としての役割を担っている。炭素質粉末粒子のサイズは、微細であるため、気孔のサイズを微細化させるのに有利である。気孔は、孤立孔よりも、気孔同士が連通する連通孔の方が好ましい。原料を100質量%としたとき、炭素質粉末粒子を1〜30質量%含有させることが可能である。ここで、原料が鋳造工場からのダスト廃棄物や汚泥廃棄物などの廃棄物であるときには、炭素質粉末粒子の含有量は多くなり易い。また、鋳造工場から廃棄物として排出される鋳物廃砂は、微生物の栄養源となり得る鉄分を含有しているので、微生物の活性化に有益なものである。
【0025】
本発明に係る脱臭材の製造方法は、既述したリン酸カルシウム化合物を該脱臭材中に散在させてなる脱臭材を製造するのに適する方法である。すなわち、混合工程では、少なくともシリカ及びアルミナを主成分として含有する粉状又は粒状の原料と、リン酸カルシウム化合物及び/又はその水和物と、水とを混合して混合材料を形成する。なお、原料としては、シリカ及びアルミナの主成分以外の成分として、鉄酸化物、マグネシウム酸化物、マンガン酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物等の少なくとも1種の成分を含有していてもよい。混合材料中の原料と、リン酸カルシウム化合物及び/又はその水和物との配合割合は、脱臭材に必要とされるリン酸カルシウム化合物(リン酸カルシウム成分)の担持量、増殖させる微生物の種類等に応じて適宜設定される。ここで、リン酸カルシウム化合物及び/又はその水和物の配合割合が増加すると、脱臭材の強度が低下する傾向となる。また、リン酸カルシウム化合物及び/又はその水和物の配合割合が減少すると、脱臭材の脱臭性能が低下する傾向となる。上述した実情を考慮して、例えば、原料とリン酸カルシウム化合物及び/又はその水和物との合計を100体積%としたとき、原料を90〜40体積%、リン酸カルシウム化合物及び/又はその水和物を10〜60体積%に設定することができる。また、原料を90〜55体積%、リン酸カルシウム化合物及び/又はその水和物を10〜45体積%に設定したり、原料を80〜60体積%、リン酸カルシウム化合物及び/又はその水和物を20〜40体積%に設定したりすることができる。
【0026】
リン酸カルシウム化合物及び/又はその水和物とは、大別すると、リン酸カルシウム化合物のみからなるもの、リン酸カルシウム化合物の水和物のみからなるもの、リン酸カルシウム化合物とリン酸カルシウム化合物の水和物との両方からなるものの3つがある。ここで、リン酸カルシウム化合物の水和物としては、難水溶性でない溶解度1.8g/100gのリン酸二水素カルシウムの水和物〔Ca(HPO・HO〕を例示できる。この場合、混合工程において、仮に難水溶性でないリン酸カルシウムの水和物を用いたとしても、後述する後工程の加熱工程後の脱臭材には、焼成により水和物中の水分子が消失して、難水溶性のリン酸二水素カルシウムが散在している。なお、他のリン酸カルシウム化合物の水和物を用いた場合でも、同様のことが言える。
【0027】
本発明の製造方法に係る混合工程では、混練機を用いることができる。混合の際には、混練性を高めるべく、水を添加する必要がある。原料としては、鋳物工場等の工場や廃棄物処理場で廃棄された廃棄物を用いることが可能である。廃棄物は、ダスト廃棄物、汚泥廃棄物を採用することができる。ダスト廃棄物としては、鋳物工場の集塵機で採取したものを例示できる。ダスト廃棄物の平均粒径は、1〜200μm程度、3〜50μm程度になっている。汚泥廃棄物は、鋳物工場等の工場や一般家庭における下水道の汚泥、廃液等を貯留する貯留槽において沈殿した汚泥を採用することができる。一般に、汚泥粒子は、ダスト粒子よりも平均粒径が小さい。鋳物工場等の工場から排出されるダスト廃棄物、汚泥廃棄物には炭素質粉末粒子を含有していることが多い。
【0028】
本発明の製造方法に係る造粒工程では、混合材料を粒状に形成して粒状成形体とする必要がある。粒状成形体とは、ペレット状の成形体も含む趣旨である。造粒工程では、攪拌羽根の攪拌による摩擦力を利用して粒状成形体を形成してもよいし、成形型により圧縮成形して粒状成形体を形成してもよいし、押し出し成形により形成した棒状物を長さ方向において切断して円柱状又は擬似円柱状をなす粒状成形体を形成してもよい。
【0029】
本発明の製造方法に係る加熱工程では、粒状成形体を例えば加熱雰囲気で加熱して焼成することにより、多数の気孔を形成して多孔質化すると共に、リン酸カルシウム化合物を散在させて(多孔質)脱臭材を粒状に形成する。加熱温度は、粒状成形体のサイズ、粒状成形体の組成、焼成助剤の配合の有無、脱臭材として必要とされる強度等に応じて適宜変更できる。一般的には、加熱温度が高すぎると、脱臭材の表面の気孔が小さくなると共に、脱臭材の表面の凹凸が小さくなり、微生物が付着されにくくなる不具合が生じる。この不具合を考慮して、加熱温度の下限値としては、600℃、650℃、700℃、750℃を例示でき、加熱温度の上限値としては、950℃、900℃、850℃等を例示できる。従って、加熱温度は、例えば600〜950℃、650〜900℃、700〜850℃を採用することができるが、これらの加熱温度に特に限定されるものではない。
【0030】
粒状成形体が焼成されて粒状の(多孔質)脱臭材となると、硬くなり、破損しにくくなる。加熱時間は、加熱温度、粒状成形体のサイズ、脱臭材に必要とされる硬度等に応じて選択されるが、例えば10分間〜10時間、20分間〜5時間、1〜2時間に設定することができる。但し、これらの加熱時間に特に限定されるわけではない。骨成分に蛋白質等が含まれている場合には、加熱工程における加熱により、蛋白質等の一部又は全部が焼失されるものと推察される。
【0031】
本発明に係る脱臭材の平均サイズは、脱臭材の用途等に応じて適宜変更されるが、平均サイズの下限値としては、例えば0.5mm、1mm、2mmのいずれかに設定することができ、平均サイズの上限値としては、例えば30mm、20mm、15mm、10mm、3mm、1mmのいずれかに設定することができるが、特にこれらに限定されるものではない。従って、脱臭材の平均サイズは、例えば、0.5〜30mmに設定することが好ましく、1〜20mmに設定することがより好ましく、2〜15mmに設定することが更に好ましい。
【0032】
本発明に係る脱臭方法は、既述した粒状の(多孔質)脱臭材を複数個集めて集合体を形成し、該集合体に悪臭ガスを接触させることで、該悪臭ガス中の臭気成分を除去又は分解するものである。また、集合体を形成する前に、既述した脱臭材に対し、予め脱臭用微生物を積極的に付着又は担持させるようにしてもよい。集合体は、例えば、後述する充填塔式生物脱臭装置(実施例1及び図6参照)のカラム内に配設して使用することができる。また、生物脱臭装置としては、集合体に対して散水する水を捨てずに回収して循環させる循環散水方式のものを用いてもよいし、集合体に対して散水する水を循環させずに掛け捨てにする非循環散水方式のものを用いてもよい。
【0033】
本発明において、脱臭処理の対象となる悪臭ガスとしては、例えば、アンモニアやトリメチルアミン等の窒素化合物、硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル等の硫化物、トルエンやスチレン等の炭化水素などを挙げることができる。これらの悪臭ガスは、例えば、有機性廃棄物の堆肥化プラント、下水処理場、し尿処理場、畜舎、食品加工工場、塗装工場、鋳物工場、肥料工場等から発生されるものである。悪臭ガスの脱臭に利用すべく脱臭材に付着又は担持される脱臭用微生物としては、例えば、アンモニアを酸化可能なニトロソモナス属などのアンモニア酸化菌、硫化水素を酸化可能なチオバチスル属の細菌、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチルを分解可能なハイホマイクロビウム属及びチオバチスル属の細菌、炭化水素を分解可能なシュードモナス属、キサントバクター属及びコリネバクテリウム属の細菌等を挙げることができる。ここで、炭化水素としてのトルエンを脱臭するものとして、トルエン分解菌(Phodococcus zopfii JCM−9919)を例示することができる。
【0034】
以下、本発明を具体化した実施例1〜6、及び、比較例1〜2について説明する。
【実施例1】
【0035】
まず、本実施例に係る混合工程では、粉状又は粒状の原料と、カルシウム化合物としての骨成分と、水とを用意した。原料は、鋳物工場の集塵機で採取されたダスト廃棄物としての鋳物廃砂(集塵ダスト)である。この鋳物廃砂は、シリカ及びアルミナを主成分として含有しており、他に酸化鉄やマグネシア等の金属酸化物を含有すると共に、炭素質粉末粒子等の有機物質なども含有している。より詳しく説明すると、鋳物廃砂は、シリカ(SiO)を52.9質量%、アルミナ(Al)を15.5質量%、酸化鉄(Fe)を5.17質量%、マグネシア(MgO)を2.77質量%、カルシア(CaO)を2.05質量%、酸化マンガン(MnO)を0.076質量%、酸化ナトリウム(NaO)を1.70質量%、酸化カリウム(KO)を0.478質量%、硫黄(S)を0.228質量%、リン(P)を0.029質量%、IL(Ignition Loss)を18.5質量%等含んでいる。そして、本実施例に係る混合工程において、原料である鋳物廃砂を80質量%と、生物である牛の骨成分(ヒドロキシアパタイト)の粉末を20質量%と、10〜30質量%の水とを配合し、これらを混合して混合材料を形成した。
【0036】
次に、本実施例に係る造粒工程では、前記混合材料を粒状に形成して粒状成形体とした。具体的には、図1に示すように、容器(図示略)と該容器内で攪拌する回転可能な攪拌羽根10とを備えた混練機1を用い、容器に混合材料を装入した後、攪拌羽根10を容器の底壁20に接近させた状態で回転させる。すると、混合材料と攪拌羽根10との間の摩擦力、混合材料と底壁20との間の摩擦力等により、混合材料が転がり、球形状又は擬似球形状をなす粒状成形体(W)が次第に造粒されるようになる。このような混合材料の転がりを利用した造粒工程によれば、プレス型による加圧で粒状成形体を形成する場合に比較して、粒状成形体(W)の内部と表層部との硬度ムラを低減させつつ、粒状成形体(W)の表面凹凸を良好な状態で形成することが可能となる。また、粒状成形体(W)のサイズについても、プレス型による加圧で粒状成形体を形成する場合と異なり、攪拌時間、すなわち混合材料の転がり時間を調整することで任意に調整できるようになる。なお、本実施例の粒状成形体(W)のサイズは、3.5〜5.5mmに設定した。その後、造粒された多数個の粒状成形体を乾燥した。
【0037】
そして、粒状成形体の乾燥工程後に、加熱工程を実施した。本実施例に係る加熱工程では、焼成炉に乾燥された粒状成形体の集合体を装入し、大気中において粒状成形体の集合体を加熱して焼成する。このとき、加熱工程における加熱温度(焼成温度)は、800℃とし、800℃での加熱時間(焼成時間又は保持時間)は、4時間とした。この加熱工程により、多孔質の脱臭材(平均サイズ:4mm)が粒状に多数個形成され、該脱臭材中にはリン酸カルシウム化合物としての骨成分(ヒドロキシアパタイト)が散在している。本実施例に係る加熱工程においては、加熱温度が比較的低温であるため、脱臭材の表面における気孔の消失が抑制されると共に、脱臭材の表面凹凸の消失が抑制され、該脱臭材の母体をなす担体の表面に微生物が担持され易くなる効果が得られる。このように本実施例で製造された脱臭材は、多数の開気孔状の気孔を備えており、粒状の多孔質体(粒径3〜5mm)となっている。
【0038】
以上の製造方法により、本実施例に係る粒状の(多孔質)脱臭材が多数個製造される。一般的に、脱臭材のサイズは、加熱工程における焼成収縮の影響で、粒状成形体のサイズよりも小さくなる。本実施例に係る粒状の脱臭材は、シリカ及びアルミナを主成分とする粒状をなす多孔質の担体と、該担体中に散在した骨成分(ヒドロキシアパタイト)とから形成されている。本実施例に係る脱臭材の1粒子の形態を電子顕微鏡で観察したところ、ほぼ球形粒子状の脱臭材には気孔が多数分散しており、表面凹凸が形成されていると共に、骨成分(ヒドロキシアパタイト)の粉末粒子が多数分散していた。図2は1粒の脱臭材を顕微鏡で観察した状態を模式化したものであり、図3はその部分拡大図である。図2及び図3に基けば、多数の気孔を有する多孔質の脱臭材に微細な島状の骨成分(ヒドロキシアパタイト)が散在していることがわかると共に、気孔よりも骨成分(ヒドロキシアパタイト)の粒子の方が大きいこともわかる。また、開気孔状の気孔に表出している島状の骨成分(ヒドロキシアパタイト)も観察された。
【0039】
次に、本実施例に係る脱臭材の気孔率及び細孔径と、本実施例に係る脱臭材の圧壊強度とをそれぞれ測定した。図4は実施例1に係る脱臭材の気孔径の分布を示したグラフであり、図4中の特性線X1は気孔径の分布を示し、特性線X2は積算値を示す。本実施例に係る脱臭材の気孔率及び細孔径を水銀圧入法で測定すると、本実施例に係る脱臭材の気孔率は、37体積%であり、本実施例に係る脱臭材の気孔径(気孔サイズ)は、図4に示したように、1〜2μm付近にピークを有していることがわかった。また、本実施例に係る脱臭材の圧壊強度を圧壊強度計によって測定すると、本実施例に係る脱臭材の圧壊強度は、74Nであった。なお、圧壊強度を測定する場合には、水平テーブルの上に1粒の脱臭材(直径4mm)を載置した後、その水平テーブルを低速度で上昇させて該脱臭材を加圧ゲージ体に押し付けることで、当該脱臭材が破壊したときの荷重を測定することにより行った。
【0040】
更に、本実施例に係る脱臭材の成分組成を、蛍光X線装置を用いて測定すると共に、換算質量を算出することにより、調査した。調査して得られた結果を表1に示す。表1に示したように、本実施例に係る脱臭材は、シリカ51質量%、アルミナ14質量%、酸化鉄5質量%及びその他7質量%を含有している77質量%の担体と、該担体中に散在した23質量%のヒドロキシアパタイトを含有しているリン酸カルシウム化合物とから形成されていることがわかった。
【0041】
【表1】

【0042】
(アンモニア脱臭性能評価実験)
本実施例に係る脱臭材のアンモニア脱臭性能を評価するために、図6に示した脱臭装置(充填塔式生物脱臭装置)を使用した。この脱臭装置は、図6に示すように、円筒状のカラム40と、カラム40内の中間部に配設され、多数個の脱臭材を集めてなる集合体41と、集合体41の下方(カラム40の下部)から悪臭ガスを導入するためのガス導入手段42と、集合体41の上方(カラム40の上部)から集合体41によって処理されたガスを排出するためのガス排出手段43と、集合体41へ向かって上方から水を散水するための散水手段44と、流れ落ちて溜まった水をカラム40の下部から排出するための排水手段45とを備えている。
【0043】
上述した脱臭装置を使用するにあたり、まず、本実施例に係る脱臭材を活性汚泥含有水溶液中に浸漬して、脱臭材に微生物を担持又は付着させた。そして、微生物の担持又は付着された体積5Lの脱臭材を集合体41としてカラム40内に充填した。その後、ガス導入手段42から200ppmのアンモニアガスをガス−集合体接触時間が20秒となるようにカラム40内に流し続け、集合体41を通過して処理されたガスをガス排出手段43から排出した。この場合、散水手段44により2時間毎に10分間の間欠散水(散水量:0.05L/min)を行い、排水手段45により流れ落ちて溜まった水を外部に排出した。なお、ガス−集合体接触時間とは、ガスが集合体を通過するのに要する時間、すなわち集合体に流れ込んだガスが集合体から排出されるまでの間のガスが集合体に接触している時間のことを言う。また、集合体41により処理されてガス排出手段43から排出されたガスに含まれるアンモニアの濃度を2週間後、1ヵ月後、3ヵ月後のそれぞれで測定した。その結果を表2に示す。表2に示したように、2週間後のアンモニア濃度は10ppm、1ヵ月後のアンモニア濃度は8ppm、3ヵ月後のアンモニア濃度は8ppmであった。
【0044】
(アンモニア酸化菌の保持数の測定実験)
本実施例に係る脱臭材に保持(担持又は付着)されたアンモニア酸化菌の保持数を測定するために、次のような測定実験を行った。まず、20mlの脱臭材を150ml用サンプルビンに投入すると共に、人工下水(143mg/1Lの硝酸アンモニウム、240mg/1Lのグルコース、16mg/1Lのリン酸二水素カリウム)を準備した。次に、脱臭材の投入されたサンプルビンに100mlの人工下水を注入した。その後、サンプルビンに蓋をし、水浴(30℃)中で100rpmにてサンプルビンを振動し続けた。そして、4週間後に、脱臭材に保持されているアンモニア酸化菌の数を(株)ヤクルト本社のイムノラテックス(登録商標)「検出くん(登録商標)」を用いて測定した。本実施例に係る脱臭材(20ml)のアンモニア酸化菌数は、5.3×10であった。
【0045】
(トルエン脱臭性能評価実験)
本実施例に係る脱臭材のトルエン脱臭性能を評価するために、上記アンモニア脱臭性能評価実験で使用した脱臭装置と同等のものを使用した。この脱臭装置を使用するにあたり、まず、本実施例に係る脱臭材を、トルエン分解菌(Phodococcus zopfii JCM−9919)を分散させた水溶液中に浸漬して、脱臭材にトルエン分解菌を担持又は付着させた。そして、トルエン分解菌の担持又は付着された体積5Lの脱臭材を集合体41としてカラム40内に充填した。その後、ガス導入手段42から50ppmのトルエンガスをガス−集合体接触時間が15秒となるようにカラム40内に流し続け、集合体41を通過して処理されたガスをガス排出手段43から排出した。この場合、散水手段44により2時間毎に10分間の間欠散水(散水量:0.05L/min)を行い、排水手段45により流れ落ちて溜まった水を外部に排出した。なお、ガス−集合体接触時間とは、ガスが集合体を通過するのに要する時間、すなわち集合体に流れ込んだガスが集合体から排出されるまでの間のガスが集合体に接触している時間のことを言う。また、集合体41により処理されてガス排出手段43から排出されたガスに含まれるトルエンの濃度を2週間後、1ヵ月後、3ヵ月後のそれぞれで測定した。その結果を表2に示す。表2に示したように、2週間後のトルエン濃度は23ppm、1ヵ月後のトルエン濃度は18ppm、3ヵ月後のトルエン濃度は19ppmであった。
【0046】
【表2】

【実施例2】
【0047】
ここでは、実施例1と同様である部分についてはその説明を省略すると共に、実施例1との相違点を中心に説明する。実施例2では、混合工程において、原料である鋳物廃砂と、牛の骨成分(ヒドロキシアパタイト)の粉末との配合量を変えて、鋳物廃砂を90質量%、牛の骨成分の粉末を10質量%に設定したものを用いた。そして、実施例1の製造方法に準じて製造された本実施例に係る脱臭材の気孔率は、38体積%であり、本実施例に係る脱臭材の圧壊強度は、83Nであった。なお、本実施例に係る脱臭材の気孔径(気孔サイズ)については、測定していない。
【0048】
また、本実施例に係る脱臭材の成分組成を、実施例1と同様にして蛍光X線装置を用いて測定すると共に、換算質量を算出することにより、調査した。調査して得られた結果を表1に示す。表1に示したように、本実施例に係る脱臭材は、シリカ59質量%、アルミナ17質量%、酸化鉄6質量%及びその他6質量%を含有している88質量%の担体と、該担体中に散在した12質量%のヒドロキシアパタイトを含有しているリン酸カルシウム化合物とから形成されていることがわかった。
【0049】
更に、本実施例に係る脱臭材においても、実施例1と同様のアンモニア脱臭性能評価実験及びトルエン脱臭性能評価実験をそれぞれ行った。その結果を表2に示す。表2に示したように、2週間後のアンモニア濃度は12ppm、1ヵ月後のアンモニア濃度は10ppm、3ヵ月後のアンモニア濃度は9ppmであり、2週間後のトルエン濃度は30ppm、1ヵ月後のトルエン濃度は23ppm、3ヵ月後のトルエン濃度は22ppmであった。なお、本実施例に係る脱臭材(20ml)のアンモニア酸化菌数については、測定していない。
【実施例3】
【0050】
ここでも、実施例1と同様である部分についてはその説明を省略すると共に、実施例1との相違点を中心に説明する。実施例3では、実施例1の牛の骨成分(ヒドロキシアパタイト)の粉末に代えて、リン酸カルシウム〔Ca(PO〕の粉末を用いた。また、実施例3では、混合工程において、鋳物廃砂を95質量%、リン酸カルシウム〔Ca(PO〕の粉末を5質量%に設定したものを用いた。そして、実施例1の製造方法に準じて製造された本実施例に係る脱臭材の気孔率は、37体積%であり、本実施例に係る脱臭材の圧壊強度は、102Nであった。なお、本実施例に係る脱臭材の気孔径(気孔サイズ)については、測定していない。
【0051】
また、本実施例に係る脱臭材の成分組成を、実施例1と同様にして蛍光X線装置を用いて測定すると共に、換算質量を算出することにより、調査した。調査して得られた結果を表1に示す。表1に示したように、本実施例に係る脱臭材は、シリカ63質量%、アルミナ18質量%、酸化鉄7質量%及びその他7質量%を含有している95質量%の担体と、該担体中に散在した5質量%のリン酸カルシウムを含有しているリン酸カルシウム化合物とから形成されていることがわかった。
【0052】
更に、本実施例に係る脱臭材においても、実施例1と同様のアンモニア脱臭性能評価実験及びトルエン脱臭性能評価実験をそれぞれ行った。その結果を表2に示す。表2に示したように、2週間後のアンモニア濃度は15ppm、1ヵ月後のアンモニア濃度は14ppm、3ヵ月後のアンモニア濃度は15ppmであり、2週間後のトルエン濃度は30ppm、1ヵ月後のトルエン濃度は28ppm、3ヵ月後のトルエン濃度は29ppmであった。なお、本実施例に係る脱臭材(20ml)のアンモニア酸化菌数については、測定していない。
【実施例4】
【0053】
ここでも、実施例1と同様である部分についてはその説明を省略すると共に、実施例1との相違点を中心に説明する。実施例4では、実施例1の牛の骨成分(ヒドロキシアパタイト)の粉末に代えて、リン酸カルシウム〔Ca(PO〕の粉末を用いた。また、実施例4では、混合工程において、鋳物廃砂を90質量%、リン酸カルシウム〔Ca(PO〕の粉末を10質量%に設定したものを用いた。そして、実施例1の製造方法に準じて製造された本実施例に係る脱臭材の気孔率は、39体積%であり、本実施例に係る脱臭材の圧壊強度は、86Nであった。なお、本実施例に係る脱臭材の気孔径(気孔サイズ)については、測定していない。
【0054】
また、本実施例に係る脱臭材の成分組成を、実施例1と同様にして蛍光X線装置を用いて測定すると共に、換算質量を算出することにより、調査した。調査して得られた結果を表1に示す。表1に示したように、本実施例に係る脱臭材は、シリカ57質量%、アルミナ17質量%、酸化鉄6質量%及びその他7質量%を含有している87質量%の担体と、該担体中に散在した13質量%のリン酸カルシウムを含有しているリン酸カルシウム化合物とから形成されていることがわかった。
【0055】
更に、本実施例に係る脱臭材においても、実施例1と同様のアンモニア脱臭性能評価実験及びトルエン脱臭性能評価実験をそれぞれ行った。その結果を表2に示す。表2に示したように、2週間後のアンモニア濃度は10ppm、1ヵ月後のアンモニア濃度は9ppm、3ヵ月後のアンモニア濃度は9ppmであり、2週間後のトルエン濃度は23ppm、1ヵ月後のトルエン濃度は20ppm、3ヵ月後のトルエン濃度は19ppmであった。なお、本実施例に係る脱臭材(20ml)のアンモニア酸化菌数については、測定していない。
【実施例5】
【0056】
ここでも、実施例1と同様である部分についてはその説明を省略すると共に、実施例1との相違点を中心に説明する。実施例5では、実施例1の牛の骨成分(ヒドロキシアパタイト)の粉末に代えて、リン酸カルシウム〔Ca(PO〕の粉末を用いた。また、実施例5では、混合工程において、鋳物廃砂を70質量%、リン酸カルシウム〔Ca(PO〕の粉末を30質量%に設定したものを用いた。そして、実施例1の製造方法に準じて製造された本実施例に係る脱臭材の気孔率は、35体積%であり、本実施例に係る脱臭材の気孔径(気孔サイズ)は、2〜3μm付近にピークを有していた。また、本実施例に係る脱臭材の圧壊強度は、51Nであった。
【0057】
また、本実施例に係る脱臭材の成分組成を、実施例1と同様にして蛍光X線装置を用いて測定すると共に、換算質量を算出することにより、調査した。調査して得られた結果を表1に示す。表1に示したように、本実施例に係る脱臭材は、シリカ44質量%、アルミナ13質量%、酸化鉄5質量%及びその他6質量%を含有している68質量%の担体と、該担体中に散在した32質量%のリン酸カルシウムを含有しているリン酸カルシウム化合物とから形成されていることがわかった。
【0058】
更に、本実施例に係る脱臭材においても、実施例1と同様のアンモニア脱臭性能評価実験及びトルエン脱臭性能評価実験をそれぞれ行った。その結果を表2に示す。表2に示したように、2週間後のアンモニア濃度は9ppm、1ヵ月後のアンモニア濃度は7ppm、3ヵ月後のアンモニア濃度は8ppmであり、2週間後のトルエン濃度は21ppm、1ヵ月後のトルエン濃度は18ppm、3ヵ月後のトルエン濃度は16ppmであった。また、実施例1と同様のアンモニア酸化菌数の測定実験を行ったところ、本実施例に係る脱臭材(20ml)のアンモニア酸化菌数は、5.6×10であった。
【実施例6】
【0059】
ここでも、実施例1と同様である部分についてはその説明を省略すると共に、実施例1との相違点を中心に説明する。実施例6では、実施例1の牛の骨成分(ヒドロキシアパタイト)の粉末に代えて、リン酸カルシウム〔Ca(PO〕の粉末を用いた。また、実施例6では、混合工程において、鋳物廃砂を50質量%、リン酸カルシウム〔Ca(PO〕の粉末を50質量%に設定したものを用いた。そして、実施例1の製造方法に準じて製造された本実施例に係る脱臭材の気孔率は、35体積%であり、本実施例に係る脱臭材の圧壊強度は、9Nであった。なお、本実施例に係る脱臭材の気孔径(気孔サイズ)については、測定していない。
【0060】
また、本実施例に係る脱臭材の成分組成を、実施例1と同様にして蛍光X線装置を用いて測定すると共に、換算質量を算出することにより、調査した。調査して得られた結果を表1に示す。表1に示したように、本実施例に係る脱臭材は、シリカ32質量%、アルミナ9質量%、酸化鉄3質量%及びその他5質量%を含有している49質量%の担体と、該担体中に散在した51質量%のリン酸カルシウムを含有しているリン酸カルシウム化合物とから形成されていることがわかった。
【0061】
更に、本実施例に係る脱臭材においても、実施例1と同様のアンモニア脱臭性能評価実験及びトルエン脱臭性能評価実験を行った。その結果を表2に示す。表2に示したように、2週間後のアンモニア濃度は8ppm、1ヵ月後のアンモニア濃度は8ppm、3ヵ月後のアンモニア濃度は7ppmであり、2週間後のトルエン濃度は22ppm、1ヵ月後のトルエン濃度は20ppm、3ヵ月後のトルエン濃度は17ppmであった。なお、本実施例に係る脱臭材(20ml)のアンモニア酸化菌数については、測定していない。
(比較例1)
【0062】
ここでも、実施例1と同様である部分についてはその説明を省略すると共に、実施例1との相違点を中心に説明する。図5は比較例1に係る脱臭材の気孔径の分布を示したグラフであり、図5中の特性線Y1は気孔径の分布を示し、特性線Y2は積算値を示す。比較例1では、混合工程において、原料である鋳物廃砂と、牛の骨成分(ヒドロキシアパタイト)の粉末との配合量を変えて、鋳物廃砂を100質量%、牛の骨成分の粉末を0質量%に設定したもの、すなわちリン酸カルシウム化合物を配合せずに鋳物廃砂のみからなるものを用いた。そして、実施例1の製造方法に準じて製造された本実施例に係る脱臭材の気孔率は、39体積%であり、図5に示したように、本比較例に係る脱臭材の気孔径(気孔サイズ)は、1〜2μm付近にピークを有していた。また、本比較例に係る脱臭材の圧壊強度は、125Nであった。なお、本比較例に係る脱臭材には、骨成分等のリン酸カルシウム化合物が散在していないことは言うまでもなく、本比較例に係る脱臭材は、鋳物廃砂からなる担体のみによって形成されたものである。
【0063】
また、本比較例に係る脱臭材の成分組成を、実施例1と同様にして蛍光X線装置を用いて測定すると共に、換算質量を算出することにより、調査した。調査して得られた結果を表1に示す。表1に示したように、本比較例に係る脱臭材は、シリカ66質量%、アルミナ19質量%、酸化鉄7質量%及びその他8質量%を含有している100質量%の担体のみから形成されていることがわかった。
【0064】
更に、本比較例に係る脱臭材においても、実施例1と同様のアンモニア脱臭性能評価実験及びトルエン脱臭性能評価実験をそれぞれ行った。その結果を表2に示す。表2に示したように、2週間後のアンモニア濃度は43ppm、1ヵ月後のアンモニア濃度は35ppm、3ヵ月後のアンモニア濃度は33ppmであり、2週間後のトルエン濃度は42ppm、1ヵ月後のトルエン濃度は39ppm、3ヵ月後のトルエン濃度は40ppmであった。実施例1と同様のアンモニア酸化菌数の測定実験を行ったところ、本比較例に係る脱臭材(20ml)のアンモニア酸化菌数は、6.4×10であった。
(比較例2)
【0065】
ここでも、実施例1と同様である部分についてはその説明を省略すると共に、実施例1との相違点を中心に説明する。比較例2では、混合工程において、原料である鋳物廃砂と、牛の骨成分(ヒドロキシアパタイト)の粉末との配合量を変えて、鋳物廃砂を100質量%、牛の骨成分の粉末を0質量%に設定したもの、すなわちリン酸カルシウム化合物を配合せずに鋳物廃砂のみからなるものを用いた。そして、実施例1の製造方法に準じて製造された比較例1に相当する脱臭材に対し、更にリン酸二水素カルシウム〔Ca(HPO〕飽和水溶液を含浸させた後、乾燥するという処理工程を20回繰り返すことにより、本比較例に係る脱臭材を製造した。このようにして製造された本比較例に係る脱臭材の気孔率は、31体積%であり、本比較例に係る脱臭材の圧壊強度は、122Nであった。なお、本比較例に係る脱臭材の気孔径(気孔サイズ)については、測定していない。
【0066】
また、本比較例に係る脱臭材の成分組成を、実施例1と同様にして蛍光X線装置を用いて測定すると共に、換算質量を算出することにより、調査した。調査して得られた結果を表1に示す。表1に示したように、本比較例に係る脱臭材は、シリカ59質量%、アルミナ17質量%、酸化鉄5質量%及びその他7質量%を含有している88質量%の担体と、該担体に含浸された12質量%の含浸・リン酸二水素カルシウムを含有しているリン酸カルシウム化合物とから形成されていることがわかった。
【0067】
更に、本比較例に係る脱臭材においても、実施例1と同様のアンモニア脱臭性能評価実験及びトルエン脱臭性能評価実験をそれぞれ行った。その結果を表2に示す。表2に示したように、2週間後のアンモニア濃度は16ppm、1ヵ月後のアンモニア濃度は17ppm、3ヵ月後のアンモニア濃度は28ppmであり、2週間後のトルエン濃度は32ppm、1ヵ月後のトルエン濃度は33ppm、3ヵ月後のトルエン濃度は39ppmであった。なお、本比較例に係る脱臭材(20ml)のアンモニア酸化菌数については、測定していない。
(実施例と比較例との比較)
【0068】
表2から理解できるように、実施例と比較例とを比較した場合、実施例の脱臭材の方が比較例の脱臭材よりも悪臭ガスであるアンモニア及びトルエンの脱臭性能に優れていることを確認できた。また、各実施例の脱臭材では、2週間後、1ヵ月後、3ヵ月後のそれぞれにおけるアンモニア及びトルエンの濃度にあまり変化が見られないことから、当該脱臭材の脱臭性能を長期に渡って安定した状態で発揮しているということも確認できた。更に、実施例1及び実施例5と比較例1とのアンモニア酸化菌数についても比較したところ、実施例1及び実施例5の脱臭材の方がアンモニア酸化菌の付着性にも優れていることを確認できた。
【0069】
(付記項)他に、特許請求の範囲の各請求項に記載されないものであって、前述した発明を実施するための最良の形態等から把握される技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0070】
(a)請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の脱臭材において、前記脱臭材の母体をなす担体は、鋳物廃砂から形成されていることを特徴とする脱臭材。
【0071】
このように構成すれば、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の効果に加えて、脱臭材の母体をなす担体を鋳物廃砂から形成していることから、鋳物廃砂の有効利用を図ることができる。また、鋳物廃砂には、鉄分が含有されているため、この鉄分によって脱臭材における脱臭用微生物の活性化に貢献することができる。
【0072】
(b)請求項1〜請求項5及び上記(a)のうちのいずれか一項に記載の脱臭材において、前記リン酸カルシウム化合物の溶解度は、0.1g/100g以下であることを特徴とする脱臭材。
【0073】
このように構成した場合、請求項1〜請求項5及び上記(a)のうちのいずれか一項に記載の効果に加えて、脱臭材に接触している水分中にリン酸カルシウム化合物のリン成分が少しずつ流出(溶出)するため、脱臭用微生物にとって快適な栄養環境を長期に渡って維持することができる。
【0074】
(c)請求項1〜請求項5、上記(a)及び上記(b)のうちのいずれか一項に記載の脱臭材において、予め前記脱臭用微生物を積極的に付着又は担持させてなることを特徴とする脱臭材。
【0075】
このように構成すれば、請求項1〜請求項5、上記(a)及び上記(b)のうちのいずれか一項に記載の効果に加えて、脱臭材の使用開始直後から脱臭性能を十二分に発揮することが可能となる。
【0076】
(d)悪臭ガスを生物学的に脱臭する脱臭装置であって、請求項1〜請求項5及び上記(a)〜上記(c)うちのいずれか一項に記載の脱臭材を備えてなることを特徴とする脱臭装置。
【0077】
このように構成した場合、脱臭性能を長期に渡って十分に発揮することができる脱臭装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る脱臭材及び脱臭方法は、有機性廃棄物の堆肥化プラント、下水処理場、し尿処理工場、畜舎、食品加工工場、塗装工場、鋳物工場、肥料工場等において発生する悪臭ガスの脱臭に利用可能である。また、本発明に係る脱臭材は、固相型の充填塔式生物脱臭装置の一部に適用でき、本発明に係る脱臭方法は、生物学的脱臭法の1つである固相型の充填塔式生物脱臭に適用できる。なお、本発明に係る脱臭材及び脱臭方法は、無臭の有害ガスの除去又は分解にも適用可能であると推測される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】攪拌羽根の回転で粒状成形体を造粒している状態を模式的に示した斜視図である。
【図2】1粒の脱臭材を模写した図である。
【図3】1粒の脱臭材の拡大部分を模写した図である。
【図4】実施例1に係る脱臭材の気孔径の分布を示したグラフである。
【図5】比較例1に係る脱臭材の気孔径の分布を示したグラフである。
【図6】(生物)脱臭装置を模式的に示した概略図である。
【符号の説明】
【0080】
1 混練機
10 攪拌羽根
20 底壁
40 カラム
41 集合体
42 ガス導入手段
43 ガス排出手段
44 散水手段
45 排水手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともシリカ及びアルミナから粒状に形成されると共に、多数の気孔を有する多孔質からなり、脱臭用微生物を利用した生物学的脱臭に使用するための脱臭材であって、該脱臭材中にリン酸カルシウム化合物を散在させてなることを特徴とする脱臭材。
【請求項2】
気孔率は、5〜80体積%であることを特徴とする請求項1に記載の脱臭材。
【請求項3】
前記気孔の径の頻度ピークは、0.4〜20μmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脱臭材。
【請求項4】
平均サイズは、0.5〜30mmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の脱臭材。
【請求項5】
前記脱臭材を100質量%としたときに、該脱臭材の母体をなす担体は95〜50質量%であり、前記リン酸カルシウム化合物は5〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の脱臭材。
【請求項6】
少なくともシリカ及びアルミナを含有する粉状又は粒状の原料と、リン酸カルシウム化合物及び/又はその水和物と、水とを混合して混合材料を形成する混合工程と、
前記混合材料を粒状に形成して粒状成形体とする造粒工程と、
前記粒状成形体を焼成することにより、多数の気孔を形成して多孔質化すると共に、前記リン酸カルシウム化合物を散在させて脱臭材を形成する加熱工程と
を順に実施することを特徴とする脱臭材の製造方法。
【請求項7】
脱臭用微生物を利用した生物学的脱臭により悪臭ガスを脱臭する方法であって、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の脱臭材を複数個集めてなる集合体に対し、前記悪臭ガスを接触させて該悪臭ガス中の臭気成分を除去又は分解することを特徴とする脱臭方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−116421(P2006−116421A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306818(P2004−306818)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】