脱臭殺菌装置及び脱臭殺菌方法
【課題】より多くのフリーラジカル発生させる。より微細なミストを発生させる。
【解決手段】水1の酸化還元電位を下げる水改質手段2と、酸化還元電位を下げた水1をミスト化するミスト発生手段3と、ミスト4を空気流5によって送出する送出手段6と、ミスト4の流れの中で放電を行う放電手段7とを備えている。
【解決手段】水1の酸化還元電位を下げる水改質手段2と、酸化還元電位を下げた水1をミスト化するミスト発生手段3と、ミスト4を空気流5によって送出する送出手段6と、ミスト4の流れの中で放電を行う放電手段7とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭殺菌装置および脱臭殺菌方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フリーラジカルを発生させて脱臭や殺菌を行う脱臭殺菌装置および脱臭殺菌方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フリーラジカルを発生させて脱臭を行うものとして、例えば特開平10−165757号公報に開示されたオゾン脱臭装置がある。このオゾン脱臭装置では、図12に示すように、酸素発生器101から送出された酸素(O2)からオゾン(O3)を生成するオゾン発生器102を有している。オゾン発生器102によって生成されたオゾンは圧縮機103から吐出される空気流によって霧化ノズル104に供給され、ポンプ105から供給された水と共にオゾンフォグ106として排水処理槽107内に噴霧される。
【0003】
このとき、オゾンフォグ106に含まれている微細水粒の水分子(H2O)とオゾンとが反応し、高活性なヒドロキシラジカル(OHラジカル)が生成され、ヒドロキシラジカル及びオゾンフォグ106に含まれているオゾンによって、排水処理槽107において処理すべき汚水から発散される硫化水素、アンモニア等が酸化され、また、オゾンフォグ106に含まれている微細水粒にアンモニア等が溶け込んで排水処理槽107に滴下し、臭気が取り除かれた空気が排気筒108から放出される。
【0004】
ヒドロキシラジカルは高活性であり、ヒドロキシラジカルによって臭気成分が酸化する速度は、オゾンによって臭気成分が酸化する速度よりも速く、また、オゾンがヒドロキシラジカルの生成原料となるので、排気筒108から放出される空気に臭気成分や未反応のオゾンが含まれることがなく、排水処理槽107の外部へ臭気が拡散することがない。
【0005】
【特許文献1】特開平10−165757号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のオゾン脱臭装置では、オゾン発生器102によって発生させたオゾンとポンプ105から供給された水とを霧化ノズル104内で混合してオゾンフォグ106として噴霧することで、微細水粒の水分子とオゾンとを反応させてヒドロキシラジカルを発生させているので、あまり多くのヒドロキシラジカルを発生させることができない。
【0007】
また、ポンプ105から供給された水を霧化ノズル104によって霧化しているので、より微細なミストを発生させることができない。
【0008】
本発明は、より多くのフリーラジカル発生させることが可能で、より微細なミストを発生させることが可能な脱臭殺菌装置及び脱臭殺菌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の脱臭殺菌装置は、水の酸化還元電位を下げる水改質手段と、酸化還元電位を下げた水をミスト化するミスト発生手段と、ミストを空気流によって送出する送出手段と、ミストの流れの中で放電を行う放電手段とを備えるものである。したがって、水改質手段によってミスト化する前の水の酸化還元電位が下げられ、水の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなる。この水がミスト発生手段によってミスト化されるので、より細かいミストが発生する。ミストは送出手段が作り出す空気流に乗って流れる。ミストの流れは放電部を通り、放電部の放電によって生じたフリーラジカルとミストが接触し、ミストの水分子がフリーラジカル化される。その後、ミストは脱臭又は殺菌の対象となる空間に放出される。
【0010】
また、請求項2記載の脱臭殺菌装置は、放電手段がグロー放電を行うものである。本発明者らが小型のプラズマ放電発生手法について実証実験を行ったところ、無声放電法に比べてグロー放電法の優位性が認められた。したがって、放電によってフリーラジカルをより多く発生させることができる。
【0011】
また、請求項3記載の脱臭殺菌方法は、酸化還元電位を下げた水をミスト化して空気流に乗せると共に、ミストの流れの中で放電を行ってミストの水分子をフリーラジカル化した後、脱臭又は殺菌の対象空間に送出するものである。ミスト化する前の水の酸化還元電位を下げることで、水の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなる。この水がミスト化されるのでより細かいミストが発生する。発生したミストは空気流に乗って流される。その際、途中で放電が行われ、放電によって生じたフリーラジカルとミストの水分子が接触してフリーラジカル化される。その後、脱臭又は殺菌の対象となる空間に送出される。
【0012】
さらに、請求項4記載の脱臭殺菌方法は、ミストの流れの中で行う放電がグロー放電である。本発明者らが小型のプラズマ放電発生手法について実証実験を行ったところ、無声放電法に比べてグロー放電法の優位性が認められた。したがって、放電によってフリーラジカルをより多く発生させることができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の脱臭殺菌装置では、水の酸化還元電位を下げる水改質手段と、酸化還元電位を下げた水をミスト化するミスト発生手段と、ミストを空気流によって送出する送出手段と、ミストの流れの中で放電を行う放電手段とを備えているので、水の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなり、ミストをより細かくしてより遠くまで飛ばすことができる。このため、より広い範囲の脱臭又は殺菌を行うことができる。また、クラスターがより小さくなることからミストが物に付着した場合により染み込み易くなり、浸透力を大きくすることができる。さらに、ミストの酸化還元電位が低くなることで、ミストの水分子がフリーラジカルと接触した際のフリーラジカルへの変化率を向上させることができる。
【0014】
また、請求項2記載の脱臭殺菌装置では、放電手段がグロー放電を行うものであるので、放電によってフリーラジカルをより多く発生させることができる。
【0015】
また、請求項3記載の脱臭殺菌方法では、酸化還元電位を下げた水をミスト化して空気流に乗せると共に、ミストの流れの中で放電を行ってミストの水分子をフリーラジカル化した後、脱臭又は殺菌の対象空間に送出するようにしているので、水の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなり、ミストをより細かくしてより遠くまで飛ばすことができる。このため、より広い範囲の脱臭又は殺菌を行うことができる。また、クラスターがより小さくなることからミストが物に付着した場合により染み込み易くなり、浸透力を大きくすることができる。さらに、ミストの酸化還元電位が低くなることで、ミストの水分子がフリーラジカルと接触した際のフリーラジカルへの変化率を向上させることができる。
【0016】
さらに、請求項4記載の脱臭殺菌方法では、ミストの流れの中で行う放電がグロー放電であるので、放電によってフリーラジカルをより多く発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1及び図2に本発明の脱臭殺菌装置の実施形態の一例を示す。脱臭殺菌装置は、水1の酸化還元電位を下げる水改質手段2と、酸化還元電位を下げた水1をミスト化するミスト発生手段3と、ミスト4を空気流5によって送出する送出手段6と、ミスト4の流れの中で放電を行う放電手段7とを備えるものである。また、本発明の脱臭殺菌方法は、酸化還元電位を下げた水1をミスト化して空気流5に乗せると共に、ミスト4の流れの中で放電を行ってミスト4の水分子をフリーラジカル化した後、脱臭又は殺菌の対象空間8に送出するものである。
【0019】
円筒部9の下端には霧化生成槽10が設けられている。霧化生成槽10には、給水タンク11内の水1が例えば定量定圧ポンプ12によって供給されている。給水タンク11から給水ライン13を通じて霧化生成槽10へと供給された水1は水改質手段2によって改質される。霧化生成槽10にはドレンライン14が接続されており、霧化生成槽10内の水位が一定水位を超えると、余分となった水1が給水タンク11内へと戻される。
【0020】
水改質手段2は、霧化生成槽10内の水1の酸化還元電位を下げるものであり、例えば陽電極15、陰電極16、図示しない電源を有している。陽電極15及び陰電極16の数や、水1と接触する面積は、霧化生成槽10内の水1の容積量と処理時間(要求される酸化還元電位の値)に応じて適宜設計される。陽電極15及び陰電極16として、例えば以下の3種類の使用が可能である。即ち、水質のpHをアルカリ方向へ改質し酸化還元電位を下げる場合にはアルカリ系列金属電極が使用され、水質のpHを中性に改質し酸化還元電位を下げる場合には中性(炭素系列)電極が使用され、水質のpHを酸性方向へ改質し酸化還元電位を下げる場合には酸化系列金属電極が使用される。水がとり得る酸化還元電位は−420mV〜+820mVであり、天候や時間、季節等によって変化するので、一律には決定できないが、酸化還元電位が低ければ水の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなるので、酸化還元電位は低い方が好ましいが、その一方、酸化還元電位を低くするにはそれだけエネルギーが必要であり、例えば酸化還元電位を−300mV以下にするには−200mVまで下げるのに必要なエネルギーの3倍以上のエネルギーが必要になることを考慮すると、酸化還元電位を+0mV〜−300mVの範囲の値にするのが好ましく、より好ましくは−200mV程度の値である。ただし、酸化還元電位はこの値に限るものではない。
【0021】
電源よりパルス化された直流電圧・電流を陽電極15と陰電極16の間に印加する。また、パルス電圧・電流のデューティー比率を変化させることで、水1のpHと酸化還元電位を高精度にコントロールすることができる。例えば、酸化還元電位の低下を大きくする場合にはデューティー比率を大きく、小さくする場合にはデューティー比率を小さくする。また、pHを大きくする場合にはデューティー比率を大きく、小さくする場合にはデューティー比率を小さくする。このとき、目標とするpH値及び酸化還元電位と電圧値・電流値との関係を、例えば予め実験を行なって求めたものをデータベース化しておき、当該データベースに基づいて目標値に対応する電圧値・電流値を求めて電極15,16間に印加することが好ましい。あるいはpHを検出する手段を設けてフィードバック制御するようにしても良い。
【0022】
ミスト発生手段3は、霧化生成槽10内の水1を霧化してミスト4を発生させるものであれば特に限定されるものではないが、例えば超音波振動で霧化する超音波霧化方式のものの使用が可能である。ミスト発生手段3は、例えば霧化生成槽10の底面に設けられている。ミスト発生手段3は粒径が例えば10μm以下のミスト4を、例えば1分間当たり1cc発生させる。
【0023】
送出手段6は、ミスト発生手段3によって発生されたミスト4を移動させる空気流5を発生させるものであれば特に限定されるものではないが、例えば電動ファンの使用が可能である。送出手段6は、円筒部9の中央に合流する送風筒部17内に設けられている。送風筒部17の空気取入れ口17aにはフィルタ18が設けられている。フィルタ18は、例えば室内に浮遊している油ミスト、タール(例えば、たばこ・御香等、炎を発しない燃焼時に発生する煙に含有されるタール)、内燃機関(例えばディーゼルエンジン)より排出される未燃焼物質、内燃機関や金属加工時の高温により発生する潤滑油・切削油の煙化物質等を捕集し、人体・衣服・壁・機器への付着を防止する。即ち、例えば、これらが浮遊する室内に本発明の脱臭殺菌装置が設置される。フィルタ18によって室内に浮遊している油ミスト、タール、未燃焼物質、煙化物質等を捕集することができるので、本発明の脱臭殺菌装置は、これらが発生する気密性の高い部屋、例えば調理室・船舶の内燃機関室・内燃機関発電室、金属加工室等への設置に適している。ただし、脱臭殺菌装置を設置できる部屋はこれらに限るものではなく、例えば一般家庭の部屋等に設置しても良い。
【0024】
フィルタ18は、例えば金属製又はアルミナ製の多孔質フィルタである。多孔質フィルタは捕集表面積が広く長時間性能の維持ができるほか、洗浄を施すことにより繰り返し使用が可能である。ここで、円筒部9の下端には霧化生成槽10が設けられて閉塞されているのに対し、上端は開口となっているので、送出手段6が発生させた空気の流れは円筒部9内を上昇する。
【0025】
放電手段7は、放電によってフリーラジカル、例えばOH−、H+、オゾン、イオン等を発生させるものである。放電手段7は、例えばグロー放電を行うもので、ガラス製の誘電管19内に配置された陽極20と、誘電管19の外周に巻き回された螺旋陰極21と、図示しない電圧源を備えている。放電手段7は円筒部9内の送風筒部17よりも下流に設けられている。陽極20の材質は例えばカーボン、陰極21の材質は例えば金属である。電圧源は陽極20と陰極21の間に、グロー放電を生じ得る電圧例えば常圧下で10000V〜500000Vで周波数:10kHz〜30kHzの電圧を印加する。ただし、印加する電圧としてはこの範囲のものに限らない。グロー放電発生方式の放電手段7を使用することで、より多くのフリーラジカルを発生させることができる。
【0026】
陽極20及び陰極21は誘電管19に対して相対移動可能に取り付けられている。放電が行われると、陽極20、陰極21、誘電管19は高温になり膨張する。陽極20、陰極21、誘電管19の材質は互いに異なり膨張率も異なっているが、陽極20及び陰極21を誘電管19に対して相対移動可能に取り付けることで膨張率の違いを吸収し、破損を防止している。
【0027】
誘電管19には、ミスト4の流れを螺旋状にするフィン22が設けられている。本実施形態では、フィン22は複数、例えば2枚設けられている。フィン22はミスト4の流れ方向において放電手段7の上流側に設けられている。本実施形態では、誘電管19の下端に設けられている。フィン22の外周は円筒部9の内周面に固着されており、ミスト4の流れはフィン22とフィン22の間を通過する。フィン22とフィン22の間を通り抜けたミスト4の流れは螺旋状になって上昇する。
【0028】
次に、脱臭殺菌装置の作動について説明する。
【0029】
定量低圧ポンプ12は給水タンク11内の水1を霧化生成槽10に供給し、霧化生成槽10内で余分となった水1はドレンライン14から給水タンク11へと戻される。霧化生成槽10では水改質手段2によって水1の電位が下げられる。このため、水1の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなり、ミスト化するとより細かいミストを生成することができる。
【0030】
ミスト発生手段3は、霧化生成槽10内の水1をミスト化する。発生したミスト4は送出手段6が作り出す空気流5に乗って上昇する。上昇したミスト4の流れはフィン22の間を通り抜けて螺旋状の流れとなり、放電手段7の周囲を通り抜け、放電手段7の放電によって生じたフリーラジカルと接触する。このとき、ミスト4の流れは螺旋状になっていることから、放電手段7の周囲を通り抜けるのに長時間を要し、フリーラジカルとミスト4との接触が良好に行われる。また、螺旋状の流れにすることで撹拌が促進され、フリーラジカルとミスト4との接触をより一層良好にすることができる。
【0031】
フリーラジカルと接触したミスト4の水分子はフリーラジカル化される。このとき、ミスト4の酸化還元電位は低くなっていることから、フリーラジカルへの変化率を向上させることができる。その後、ミスト4は円筒部9の上端開口から脱臭又は殺菌の対象空間8である室内空間へと放出され、室内空間のニオイ物質に付着して脱臭を行ったり、殺菌を行う。
【0032】
本発明では、水改質手段2によって水1の酸化還元電位を下げているので、水1の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなる。このため、ミスト4をより遠くまで飛ばすことができ、より広い範囲の脱臭又は殺菌を行うことができる。また、クラスターがより小さくなることからミスト4が物質に付着した場合により染み込み易くなり、浸透力を大きくすることができる。
【0033】
また、放電手段7はミスト発生手段3及び送出手段6の下流側に設けられているので、空気流5及びこれに乗ったミスト4の流れによって放電手段7を冷却することができる。放電手段7では、誘電管19を挟んで電子の移動が行なわれるため誘電管19自身が熱を持つ。オゾンは温度が200℃以上になると存在できないため、誘電管19を冷却しなければならない。本発明では、空気流5及びこれに乗ったミスト4の流れによって放電手段7を冷却することができるので、オゾンが存在できない温度にまで放電手段7の温度が上昇するのを防止することができ、オゾンの発生をより確実なものとすることができる。
【0034】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の説明では、フリーラジカル化したミスト4を上方に向けて放出していたが、必ずしもミスト4を上方に向けて放出する必要はなく、例えば斜め上方に向けて放出しても良いし、その他の角度に向けて放出させても良い。
【0035】
また、上述の説明では、超音波霧化方式のミスト発生手段3を使用していたが、必ずしも超音波霧化方式に限るものではなく、例えば、熱源によって水を加熱してミストを発生させるスチームミスト発生方式、衝突プレートに高圧水を衝突させてミストを発生させる高圧水衝突方式(水破砕)、発熱体によって微細な水路内で発泡を起こしてミストを発生させるバブルジェット(登録商標)方式のミスト発生手段3を使用しても良く、その他の方式のものを使用しても良い。なお、高圧水衝突方式の場合には、例えば図3に示すように、1MPa以上の圧力で水1を衝突プレート23に衝突させることが好ましく、衝突プレート23の衝突面に頂点を横から見た角度θが水の結合角度に相当する104.5度である円錐突起23aを形成しておくことがより好ましい。図3の例では、衝突プレート23の衝突面に円錐突起23aを縦横に並べて形成している。円錐突起23aに水1を衝突させることで、微細なミスト4を発生させることができる。
【0036】
また、上述の説明では、送出手段6として電動ファンを使用していたが、必ずしもこれに限るものではなく、例えばコンプレッサ等を使用しても良く、その他のものを使用しても良い。
【実施例1】
【0037】
グロー放電発生方式の放電手段7の優位性を確認するために脱臭実験を行なった。比較のために放電手段7を無声放電を行なうものに交換した場合についても実験を行なった。なお、放電時に発生する温度を考慮すると、本発明の脱臭殺菌装置においてフリーラジカルの発生に使用できる放電方式としてはグロー放電発生方式と無声放電方式に限られる。このため、無声放電方式についてのみ比較実験を行った。
【0038】
実験は39m3の室内(場所:株式会社金杉商工千葉営業所、2Fトイレ)で行なった。室内に貝汁から発せられる悪臭を充満させ、室内の悪臭量を一定時間保持し悪臭の自然減臭が無いことを確認してから実験を行なった。実験では、脱臭殺菌装置を始動させてから室内の臭気レベルが0に至るまで測定を行なった。臭気の測定に使用した臭気センサはXP−329(新コスモ電機製)である。
【0039】
実験の結果を図4に示す。グラフAがグロー放電を行なう放電手段7の場合(本発明)の結果、グラフBが無声放電を行なう放電手段の場合(比較例)の結果である。縦軸の臭気レベルは臭気センサのメーカの表示レベル(0〜2000)を表わしている。
【0040】
本発明の脱臭殺菌装置を始動させる前に、30分間臭気レベルを平均90に維持し、自然減臭が無いことを確認した。始動直後から臭気レベルは減少し、約17分後に臭気レベルが0になった。一方、無声放電を行なう放電手段を使用した脱臭殺菌装置では、始動直後から臭気レベルが減少したものの、臭気レベルが0になるまでには約31分かかった。これは、グロー放電発生方式の放電手段7の方が、無声放電発生方式の放電手段に比べて、フリーラジカルをより多く発生させることができるからである。即ち、グロー放電発生方式の場合は電極間に誘電体(絶縁物質)を介在させるため、誘電体と電極間に絶縁破壊を起こしながら電子の移動が行なわれる。そのため、誘電体を介在させない無声放電発生方式の場合に比べてグロー放電発生方式の場合は放電を発生させる面積が広くなり、フリーラジカルをより多く発生させることができる。この結果からも明らかなように、グロー放電発生方式の放電手段7を使用した本発明はより多くのフリーラジカルを発生させることができて脱臭性能に優れていることがわかった。なお、無声放電発生方式よりもグロー放電発生方式の方が製造コストが安く、また、無声放電発生方式ではアーク放電に移行する虞がある。これらの点からもグロー放電発生方式の方が優れている。
【0041】
なお、平均90の臭気レベルをアンモニアの臭気濃度で表わすと約90ppmであり、これだけ強い臭気を、本発明の脱臭殺菌装置は約17分で脱臭することができ、このことからも本発明の脱臭殺菌装置の脱臭性能が優れていることを確認できた。
【実施例2】
【0042】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:ATCC 29213)を使用し、本発明の殺菌効果を確認する実験を行った。実験は、東邦大学医療センター 大橋病院 臨床検査部 臨床検査室にて実施した。試料の作成は血液寒天培地に菌液を塗布することで行った。その画線培養図を図5に示す。塗布する菌液として、推定濃度107、106、105(CFU/ml)の3種類のものを使用した。試料の血液寒天培地に図1に示す脱臭殺菌装置を使用してミスト化させた水酸基ラジカルを暴露させ、35℃、1昼夜培養し、発育コロニー数の違いを対照と比較した。なお、水酸基ラジカルを暴露させた時間は4、8、12、16、20分の5通りとした。
【0043】
その結果を図6〜図8、表1〜表3に示す。図6,表1は推定濃度:107CFU/mlの菌液についての結果、図7,表2は推定濃度:106CFU/mlの菌液についての結果、図8,表3は推定濃度:105CFU/mlの菌液についての結果である。図6〜図8において、(a)はラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)、(b)はラジカルミストの暴露時間が4分の試料、(c)はラジカルミストの暴露時間が8分の試料、(d)はラジカルミストの暴露時間が12分の試料、(e)はラジカルミストの暴露時間が16分の試料、(f)はラジカルミストの暴露時間が20分の試料についての結果である。図6〜図8中、白い粒のように見えるものがコロニーである。なお、培地に発育したコロニー数の104個、103個は実際にはカウント不能であるため、これらのコロニー数は計測可能な推定菌濃度(104CFU/ml)に発育したコロニー数から逆算して推定値とした。
【0044】
図6〜図8、表1〜表3からも明らかなように、各推定濃度において、水酸基ラジカルミストの暴露によってコロニー数が著しく減少し、しかも暴露時間が長くなるにつれてコロニー数が減少する傾向にあることが確認できた。また、塗布した菌液の濃度が低いもの程コロニー数が少なくなることも確認できた。即ち、各推定濃度について、菌液を塗布した培地に水酸基ラジカルを暴露することにより有意なコロニー数の減少が認められ、本発明の脱臭殺菌装置の殺菌効果を確認できた。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【実施例3】
【0048】
大腸菌(Escherichia coli:ATCC 25922)を使用し、本発明の殺菌効果を確認する実験を行った。実験は、東邦大学医療センター 大橋病院 臨床検査部 臨床検査室にて実施した。試料の作成は、実施例2と同様に血液寒天培地に菌液を塗布することで行った。塗布する菌液として、推定濃度107、106、105(CFU/ml)の3種類のものを使用した。試料の血液寒天培地に図1の脱臭殺菌装置を使用してミスト化させた水酸基ラジカルを暴露させ、35℃、1昼夜培養し、発育コロニー数の違いを対照と比較した。なお、水酸基ラジカルを暴露させた時間は4、8、12、16、20分の5通りとした。
【0049】
その結果を図9〜図11、表4〜表6に示す。図9,表4は推定濃度:107CFU/mlの菌液についての結果、図10,表5は推定濃度:106CFU/mlの菌液についての結果、図11,表6は推定濃度:105CFU/mlの菌液についての結果である。図9〜図11において、(a)はラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)、(b)はラジカルミストの暴露時間が4分の試料、(c)はラジカルミストの暴露時間が8分の試料、(d)はラジカルミストの暴露時間が12分の試料、(e)はラジカルミストの暴露時間が16分の試料、(f)はラジカルミストの暴露時間が20分の試料についての結果である。図6〜図8中、白い粒のように見えるものがコロニーである。なお、培地に発育したコロニー数の104個、103個は実際にはカウント不能であるため、これらのコロニー数は計測可能な推定菌濃度(104CFU/ml)に発育したコロニー数から逆算して推定値とした。
【0050】
図9〜図11、表4〜表6からも明らかなように、各推定濃度において、水酸基ラジカルミストの暴露によってコロニー数が著しく減少することが確認できた。また、塗布した菌液の濃度が低いもの程コロニー数が少なくなることも確認できた。即ち、各推定濃度について、菌液を塗布した培地に水酸基ラジカルを暴露させることにより有意なコロニー数の減少が認められ、本発明の脱臭殺菌装置の殺菌効果を確認できた。
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の脱臭殺菌装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図2】同脱臭殺菌装置の放電手段を示す概略構成図である。
【図3】高圧水衝突方式のミスト発生手段を示し、(a)は衝突プレートの側面図、(b)は衝突プレートの底面図、(c)はミストを発生させる様子を示す原理図である。
【図4】脱臭実験の結果を示すグラフである。
【図5】殺菌効果を確認する実験で使用する
【図6】黄色ブドウ球菌(推定濃度:107CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図7】黄色ブドウ球菌(推定濃度:106CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図8】黄色ブドウ球菌(推定濃度:105CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図9】大腸菌(推定濃度:107CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図10】大腸菌(推定濃度:106CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図11】大腸菌(推定濃度:105CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図12】従来のオゾン脱臭装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0055】
1 水
2 水改質手段
3 ミスト発生手段
4 ミスト
5 空気流
6 送出手段
7 放電手段
8 対象空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭殺菌装置および脱臭殺菌方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フリーラジカルを発生させて脱臭や殺菌を行う脱臭殺菌装置および脱臭殺菌方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フリーラジカルを発生させて脱臭を行うものとして、例えば特開平10−165757号公報に開示されたオゾン脱臭装置がある。このオゾン脱臭装置では、図12に示すように、酸素発生器101から送出された酸素(O2)からオゾン(O3)を生成するオゾン発生器102を有している。オゾン発生器102によって生成されたオゾンは圧縮機103から吐出される空気流によって霧化ノズル104に供給され、ポンプ105から供給された水と共にオゾンフォグ106として排水処理槽107内に噴霧される。
【0003】
このとき、オゾンフォグ106に含まれている微細水粒の水分子(H2O)とオゾンとが反応し、高活性なヒドロキシラジカル(OHラジカル)が生成され、ヒドロキシラジカル及びオゾンフォグ106に含まれているオゾンによって、排水処理槽107において処理すべき汚水から発散される硫化水素、アンモニア等が酸化され、また、オゾンフォグ106に含まれている微細水粒にアンモニア等が溶け込んで排水処理槽107に滴下し、臭気が取り除かれた空気が排気筒108から放出される。
【0004】
ヒドロキシラジカルは高活性であり、ヒドロキシラジカルによって臭気成分が酸化する速度は、オゾンによって臭気成分が酸化する速度よりも速く、また、オゾンがヒドロキシラジカルの生成原料となるので、排気筒108から放出される空気に臭気成分や未反応のオゾンが含まれることがなく、排水処理槽107の外部へ臭気が拡散することがない。
【0005】
【特許文献1】特開平10−165757号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のオゾン脱臭装置では、オゾン発生器102によって発生させたオゾンとポンプ105から供給された水とを霧化ノズル104内で混合してオゾンフォグ106として噴霧することで、微細水粒の水分子とオゾンとを反応させてヒドロキシラジカルを発生させているので、あまり多くのヒドロキシラジカルを発生させることができない。
【0007】
また、ポンプ105から供給された水を霧化ノズル104によって霧化しているので、より微細なミストを発生させることができない。
【0008】
本発明は、より多くのフリーラジカル発生させることが可能で、より微細なミストを発生させることが可能な脱臭殺菌装置及び脱臭殺菌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の脱臭殺菌装置は、水の酸化還元電位を下げる水改質手段と、酸化還元電位を下げた水をミスト化するミスト発生手段と、ミストを空気流によって送出する送出手段と、ミストの流れの中で放電を行う放電手段とを備えるものである。したがって、水改質手段によってミスト化する前の水の酸化還元電位が下げられ、水の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなる。この水がミスト発生手段によってミスト化されるので、より細かいミストが発生する。ミストは送出手段が作り出す空気流に乗って流れる。ミストの流れは放電部を通り、放電部の放電によって生じたフリーラジカルとミストが接触し、ミストの水分子がフリーラジカル化される。その後、ミストは脱臭又は殺菌の対象となる空間に放出される。
【0010】
また、請求項2記載の脱臭殺菌装置は、放電手段がグロー放電を行うものである。本発明者らが小型のプラズマ放電発生手法について実証実験を行ったところ、無声放電法に比べてグロー放電法の優位性が認められた。したがって、放電によってフリーラジカルをより多く発生させることができる。
【0011】
また、請求項3記載の脱臭殺菌方法は、酸化還元電位を下げた水をミスト化して空気流に乗せると共に、ミストの流れの中で放電を行ってミストの水分子をフリーラジカル化した後、脱臭又は殺菌の対象空間に送出するものである。ミスト化する前の水の酸化還元電位を下げることで、水の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなる。この水がミスト化されるのでより細かいミストが発生する。発生したミストは空気流に乗って流される。その際、途中で放電が行われ、放電によって生じたフリーラジカルとミストの水分子が接触してフリーラジカル化される。その後、脱臭又は殺菌の対象となる空間に送出される。
【0012】
さらに、請求項4記載の脱臭殺菌方法は、ミストの流れの中で行う放電がグロー放電である。本発明者らが小型のプラズマ放電発生手法について実証実験を行ったところ、無声放電法に比べてグロー放電法の優位性が認められた。したがって、放電によってフリーラジカルをより多く発生させることができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の脱臭殺菌装置では、水の酸化還元電位を下げる水改質手段と、酸化還元電位を下げた水をミスト化するミスト発生手段と、ミストを空気流によって送出する送出手段と、ミストの流れの中で放電を行う放電手段とを備えているので、水の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなり、ミストをより細かくしてより遠くまで飛ばすことができる。このため、より広い範囲の脱臭又は殺菌を行うことができる。また、クラスターがより小さくなることからミストが物に付着した場合により染み込み易くなり、浸透力を大きくすることができる。さらに、ミストの酸化還元電位が低くなることで、ミストの水分子がフリーラジカルと接触した際のフリーラジカルへの変化率を向上させることができる。
【0014】
また、請求項2記載の脱臭殺菌装置では、放電手段がグロー放電を行うものであるので、放電によってフリーラジカルをより多く発生させることができる。
【0015】
また、請求項3記載の脱臭殺菌方法では、酸化還元電位を下げた水をミスト化して空気流に乗せると共に、ミストの流れの中で放電を行ってミストの水分子をフリーラジカル化した後、脱臭又は殺菌の対象空間に送出するようにしているので、水の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなり、ミストをより細かくしてより遠くまで飛ばすことができる。このため、より広い範囲の脱臭又は殺菌を行うことができる。また、クラスターがより小さくなることからミストが物に付着した場合により染み込み易くなり、浸透力を大きくすることができる。さらに、ミストの酸化還元電位が低くなることで、ミストの水分子がフリーラジカルと接触した際のフリーラジカルへの変化率を向上させることができる。
【0016】
さらに、請求項4記載の脱臭殺菌方法では、ミストの流れの中で行う放電がグロー放電であるので、放電によってフリーラジカルをより多く発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1及び図2に本発明の脱臭殺菌装置の実施形態の一例を示す。脱臭殺菌装置は、水1の酸化還元電位を下げる水改質手段2と、酸化還元電位を下げた水1をミスト化するミスト発生手段3と、ミスト4を空気流5によって送出する送出手段6と、ミスト4の流れの中で放電を行う放電手段7とを備えるものである。また、本発明の脱臭殺菌方法は、酸化還元電位を下げた水1をミスト化して空気流5に乗せると共に、ミスト4の流れの中で放電を行ってミスト4の水分子をフリーラジカル化した後、脱臭又は殺菌の対象空間8に送出するものである。
【0019】
円筒部9の下端には霧化生成槽10が設けられている。霧化生成槽10には、給水タンク11内の水1が例えば定量定圧ポンプ12によって供給されている。給水タンク11から給水ライン13を通じて霧化生成槽10へと供給された水1は水改質手段2によって改質される。霧化生成槽10にはドレンライン14が接続されており、霧化生成槽10内の水位が一定水位を超えると、余分となった水1が給水タンク11内へと戻される。
【0020】
水改質手段2は、霧化生成槽10内の水1の酸化還元電位を下げるものであり、例えば陽電極15、陰電極16、図示しない電源を有している。陽電極15及び陰電極16の数や、水1と接触する面積は、霧化生成槽10内の水1の容積量と処理時間(要求される酸化還元電位の値)に応じて適宜設計される。陽電極15及び陰電極16として、例えば以下の3種類の使用が可能である。即ち、水質のpHをアルカリ方向へ改質し酸化還元電位を下げる場合にはアルカリ系列金属電極が使用され、水質のpHを中性に改質し酸化還元電位を下げる場合には中性(炭素系列)電極が使用され、水質のpHを酸性方向へ改質し酸化還元電位を下げる場合には酸化系列金属電極が使用される。水がとり得る酸化還元電位は−420mV〜+820mVであり、天候や時間、季節等によって変化するので、一律には決定できないが、酸化還元電位が低ければ水の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなるので、酸化還元電位は低い方が好ましいが、その一方、酸化還元電位を低くするにはそれだけエネルギーが必要であり、例えば酸化還元電位を−300mV以下にするには−200mVまで下げるのに必要なエネルギーの3倍以上のエネルギーが必要になることを考慮すると、酸化還元電位を+0mV〜−300mVの範囲の値にするのが好ましく、より好ましくは−200mV程度の値である。ただし、酸化還元電位はこの値に限るものではない。
【0021】
電源よりパルス化された直流電圧・電流を陽電極15と陰電極16の間に印加する。また、パルス電圧・電流のデューティー比率を変化させることで、水1のpHと酸化還元電位を高精度にコントロールすることができる。例えば、酸化還元電位の低下を大きくする場合にはデューティー比率を大きく、小さくする場合にはデューティー比率を小さくする。また、pHを大きくする場合にはデューティー比率を大きく、小さくする場合にはデューティー比率を小さくする。このとき、目標とするpH値及び酸化還元電位と電圧値・電流値との関係を、例えば予め実験を行なって求めたものをデータベース化しておき、当該データベースに基づいて目標値に対応する電圧値・電流値を求めて電極15,16間に印加することが好ましい。あるいはpHを検出する手段を設けてフィードバック制御するようにしても良い。
【0022】
ミスト発生手段3は、霧化生成槽10内の水1を霧化してミスト4を発生させるものであれば特に限定されるものではないが、例えば超音波振動で霧化する超音波霧化方式のものの使用が可能である。ミスト発生手段3は、例えば霧化生成槽10の底面に設けられている。ミスト発生手段3は粒径が例えば10μm以下のミスト4を、例えば1分間当たり1cc発生させる。
【0023】
送出手段6は、ミスト発生手段3によって発生されたミスト4を移動させる空気流5を発生させるものであれば特に限定されるものではないが、例えば電動ファンの使用が可能である。送出手段6は、円筒部9の中央に合流する送風筒部17内に設けられている。送風筒部17の空気取入れ口17aにはフィルタ18が設けられている。フィルタ18は、例えば室内に浮遊している油ミスト、タール(例えば、たばこ・御香等、炎を発しない燃焼時に発生する煙に含有されるタール)、内燃機関(例えばディーゼルエンジン)より排出される未燃焼物質、内燃機関や金属加工時の高温により発生する潤滑油・切削油の煙化物質等を捕集し、人体・衣服・壁・機器への付着を防止する。即ち、例えば、これらが浮遊する室内に本発明の脱臭殺菌装置が設置される。フィルタ18によって室内に浮遊している油ミスト、タール、未燃焼物質、煙化物質等を捕集することができるので、本発明の脱臭殺菌装置は、これらが発生する気密性の高い部屋、例えば調理室・船舶の内燃機関室・内燃機関発電室、金属加工室等への設置に適している。ただし、脱臭殺菌装置を設置できる部屋はこれらに限るものではなく、例えば一般家庭の部屋等に設置しても良い。
【0024】
フィルタ18は、例えば金属製又はアルミナ製の多孔質フィルタである。多孔質フィルタは捕集表面積が広く長時間性能の維持ができるほか、洗浄を施すことにより繰り返し使用が可能である。ここで、円筒部9の下端には霧化生成槽10が設けられて閉塞されているのに対し、上端は開口となっているので、送出手段6が発生させた空気の流れは円筒部9内を上昇する。
【0025】
放電手段7は、放電によってフリーラジカル、例えばOH−、H+、オゾン、イオン等を発生させるものである。放電手段7は、例えばグロー放電を行うもので、ガラス製の誘電管19内に配置された陽極20と、誘電管19の外周に巻き回された螺旋陰極21と、図示しない電圧源を備えている。放電手段7は円筒部9内の送風筒部17よりも下流に設けられている。陽極20の材質は例えばカーボン、陰極21の材質は例えば金属である。電圧源は陽極20と陰極21の間に、グロー放電を生じ得る電圧例えば常圧下で10000V〜500000Vで周波数:10kHz〜30kHzの電圧を印加する。ただし、印加する電圧としてはこの範囲のものに限らない。グロー放電発生方式の放電手段7を使用することで、より多くのフリーラジカルを発生させることができる。
【0026】
陽極20及び陰極21は誘電管19に対して相対移動可能に取り付けられている。放電が行われると、陽極20、陰極21、誘電管19は高温になり膨張する。陽極20、陰極21、誘電管19の材質は互いに異なり膨張率も異なっているが、陽極20及び陰極21を誘電管19に対して相対移動可能に取り付けることで膨張率の違いを吸収し、破損を防止している。
【0027】
誘電管19には、ミスト4の流れを螺旋状にするフィン22が設けられている。本実施形態では、フィン22は複数、例えば2枚設けられている。フィン22はミスト4の流れ方向において放電手段7の上流側に設けられている。本実施形態では、誘電管19の下端に設けられている。フィン22の外周は円筒部9の内周面に固着されており、ミスト4の流れはフィン22とフィン22の間を通過する。フィン22とフィン22の間を通り抜けたミスト4の流れは螺旋状になって上昇する。
【0028】
次に、脱臭殺菌装置の作動について説明する。
【0029】
定量低圧ポンプ12は給水タンク11内の水1を霧化生成槽10に供給し、霧化生成槽10内で余分となった水1はドレンライン14から給水タンク11へと戻される。霧化生成槽10では水改質手段2によって水1の電位が下げられる。このため、水1の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなり、ミスト化するとより細かいミストを生成することができる。
【0030】
ミスト発生手段3は、霧化生成槽10内の水1をミスト化する。発生したミスト4は送出手段6が作り出す空気流5に乗って上昇する。上昇したミスト4の流れはフィン22の間を通り抜けて螺旋状の流れとなり、放電手段7の周囲を通り抜け、放電手段7の放電によって生じたフリーラジカルと接触する。このとき、ミスト4の流れは螺旋状になっていることから、放電手段7の周囲を通り抜けるのに長時間を要し、フリーラジカルとミスト4との接触が良好に行われる。また、螺旋状の流れにすることで撹拌が促進され、フリーラジカルとミスト4との接触をより一層良好にすることができる。
【0031】
フリーラジカルと接触したミスト4の水分子はフリーラジカル化される。このとき、ミスト4の酸化還元電位は低くなっていることから、フリーラジカルへの変化率を向上させることができる。その後、ミスト4は円筒部9の上端開口から脱臭又は殺菌の対象空間8である室内空間へと放出され、室内空間のニオイ物質に付着して脱臭を行ったり、殺菌を行う。
【0032】
本発明では、水改質手段2によって水1の酸化還元電位を下げているので、水1の分子結合が弱くなってクラスターがより小さくなる。このため、ミスト4をより遠くまで飛ばすことができ、より広い範囲の脱臭又は殺菌を行うことができる。また、クラスターがより小さくなることからミスト4が物質に付着した場合により染み込み易くなり、浸透力を大きくすることができる。
【0033】
また、放電手段7はミスト発生手段3及び送出手段6の下流側に設けられているので、空気流5及びこれに乗ったミスト4の流れによって放電手段7を冷却することができる。放電手段7では、誘電管19を挟んで電子の移動が行なわれるため誘電管19自身が熱を持つ。オゾンは温度が200℃以上になると存在できないため、誘電管19を冷却しなければならない。本発明では、空気流5及びこれに乗ったミスト4の流れによって放電手段7を冷却することができるので、オゾンが存在できない温度にまで放電手段7の温度が上昇するのを防止することができ、オゾンの発生をより確実なものとすることができる。
【0034】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の説明では、フリーラジカル化したミスト4を上方に向けて放出していたが、必ずしもミスト4を上方に向けて放出する必要はなく、例えば斜め上方に向けて放出しても良いし、その他の角度に向けて放出させても良い。
【0035】
また、上述の説明では、超音波霧化方式のミスト発生手段3を使用していたが、必ずしも超音波霧化方式に限るものではなく、例えば、熱源によって水を加熱してミストを発生させるスチームミスト発生方式、衝突プレートに高圧水を衝突させてミストを発生させる高圧水衝突方式(水破砕)、発熱体によって微細な水路内で発泡を起こしてミストを発生させるバブルジェット(登録商標)方式のミスト発生手段3を使用しても良く、その他の方式のものを使用しても良い。なお、高圧水衝突方式の場合には、例えば図3に示すように、1MPa以上の圧力で水1を衝突プレート23に衝突させることが好ましく、衝突プレート23の衝突面に頂点を横から見た角度θが水の結合角度に相当する104.5度である円錐突起23aを形成しておくことがより好ましい。図3の例では、衝突プレート23の衝突面に円錐突起23aを縦横に並べて形成している。円錐突起23aに水1を衝突させることで、微細なミスト4を発生させることができる。
【0036】
また、上述の説明では、送出手段6として電動ファンを使用していたが、必ずしもこれに限るものではなく、例えばコンプレッサ等を使用しても良く、その他のものを使用しても良い。
【実施例1】
【0037】
グロー放電発生方式の放電手段7の優位性を確認するために脱臭実験を行なった。比較のために放電手段7を無声放電を行なうものに交換した場合についても実験を行なった。なお、放電時に発生する温度を考慮すると、本発明の脱臭殺菌装置においてフリーラジカルの発生に使用できる放電方式としてはグロー放電発生方式と無声放電方式に限られる。このため、無声放電方式についてのみ比較実験を行った。
【0038】
実験は39m3の室内(場所:株式会社金杉商工千葉営業所、2Fトイレ)で行なった。室内に貝汁から発せられる悪臭を充満させ、室内の悪臭量を一定時間保持し悪臭の自然減臭が無いことを確認してから実験を行なった。実験では、脱臭殺菌装置を始動させてから室内の臭気レベルが0に至るまで測定を行なった。臭気の測定に使用した臭気センサはXP−329(新コスモ電機製)である。
【0039】
実験の結果を図4に示す。グラフAがグロー放電を行なう放電手段7の場合(本発明)の結果、グラフBが無声放電を行なう放電手段の場合(比較例)の結果である。縦軸の臭気レベルは臭気センサのメーカの表示レベル(0〜2000)を表わしている。
【0040】
本発明の脱臭殺菌装置を始動させる前に、30分間臭気レベルを平均90に維持し、自然減臭が無いことを確認した。始動直後から臭気レベルは減少し、約17分後に臭気レベルが0になった。一方、無声放電を行なう放電手段を使用した脱臭殺菌装置では、始動直後から臭気レベルが減少したものの、臭気レベルが0になるまでには約31分かかった。これは、グロー放電発生方式の放電手段7の方が、無声放電発生方式の放電手段に比べて、フリーラジカルをより多く発生させることができるからである。即ち、グロー放電発生方式の場合は電極間に誘電体(絶縁物質)を介在させるため、誘電体と電極間に絶縁破壊を起こしながら電子の移動が行なわれる。そのため、誘電体を介在させない無声放電発生方式の場合に比べてグロー放電発生方式の場合は放電を発生させる面積が広くなり、フリーラジカルをより多く発生させることができる。この結果からも明らかなように、グロー放電発生方式の放電手段7を使用した本発明はより多くのフリーラジカルを発生させることができて脱臭性能に優れていることがわかった。なお、無声放電発生方式よりもグロー放電発生方式の方が製造コストが安く、また、無声放電発生方式ではアーク放電に移行する虞がある。これらの点からもグロー放電発生方式の方が優れている。
【0041】
なお、平均90の臭気レベルをアンモニアの臭気濃度で表わすと約90ppmであり、これだけ強い臭気を、本発明の脱臭殺菌装置は約17分で脱臭することができ、このことからも本発明の脱臭殺菌装置の脱臭性能が優れていることを確認できた。
【実施例2】
【0042】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:ATCC 29213)を使用し、本発明の殺菌効果を確認する実験を行った。実験は、東邦大学医療センター 大橋病院 臨床検査部 臨床検査室にて実施した。試料の作成は血液寒天培地に菌液を塗布することで行った。その画線培養図を図5に示す。塗布する菌液として、推定濃度107、106、105(CFU/ml)の3種類のものを使用した。試料の血液寒天培地に図1に示す脱臭殺菌装置を使用してミスト化させた水酸基ラジカルを暴露させ、35℃、1昼夜培養し、発育コロニー数の違いを対照と比較した。なお、水酸基ラジカルを暴露させた時間は4、8、12、16、20分の5通りとした。
【0043】
その結果を図6〜図8、表1〜表3に示す。図6,表1は推定濃度:107CFU/mlの菌液についての結果、図7,表2は推定濃度:106CFU/mlの菌液についての結果、図8,表3は推定濃度:105CFU/mlの菌液についての結果である。図6〜図8において、(a)はラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)、(b)はラジカルミストの暴露時間が4分の試料、(c)はラジカルミストの暴露時間が8分の試料、(d)はラジカルミストの暴露時間が12分の試料、(e)はラジカルミストの暴露時間が16分の試料、(f)はラジカルミストの暴露時間が20分の試料についての結果である。図6〜図8中、白い粒のように見えるものがコロニーである。なお、培地に発育したコロニー数の104個、103個は実際にはカウント不能であるため、これらのコロニー数は計測可能な推定菌濃度(104CFU/ml)に発育したコロニー数から逆算して推定値とした。
【0044】
図6〜図8、表1〜表3からも明らかなように、各推定濃度において、水酸基ラジカルミストの暴露によってコロニー数が著しく減少し、しかも暴露時間が長くなるにつれてコロニー数が減少する傾向にあることが確認できた。また、塗布した菌液の濃度が低いもの程コロニー数が少なくなることも確認できた。即ち、各推定濃度について、菌液を塗布した培地に水酸基ラジカルを暴露することにより有意なコロニー数の減少が認められ、本発明の脱臭殺菌装置の殺菌効果を確認できた。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【実施例3】
【0048】
大腸菌(Escherichia coli:ATCC 25922)を使用し、本発明の殺菌効果を確認する実験を行った。実験は、東邦大学医療センター 大橋病院 臨床検査部 臨床検査室にて実施した。試料の作成は、実施例2と同様に血液寒天培地に菌液を塗布することで行った。塗布する菌液として、推定濃度107、106、105(CFU/ml)の3種類のものを使用した。試料の血液寒天培地に図1の脱臭殺菌装置を使用してミスト化させた水酸基ラジカルを暴露させ、35℃、1昼夜培養し、発育コロニー数の違いを対照と比較した。なお、水酸基ラジカルを暴露させた時間は4、8、12、16、20分の5通りとした。
【0049】
その結果を図9〜図11、表4〜表6に示す。図9,表4は推定濃度:107CFU/mlの菌液についての結果、図10,表5は推定濃度:106CFU/mlの菌液についての結果、図11,表6は推定濃度:105CFU/mlの菌液についての結果である。図9〜図11において、(a)はラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)、(b)はラジカルミストの暴露時間が4分の試料、(c)はラジカルミストの暴露時間が8分の試料、(d)はラジカルミストの暴露時間が12分の試料、(e)はラジカルミストの暴露時間が16分の試料、(f)はラジカルミストの暴露時間が20分の試料についての結果である。図6〜図8中、白い粒のように見えるものがコロニーである。なお、培地に発育したコロニー数の104個、103個は実際にはカウント不能であるため、これらのコロニー数は計測可能な推定菌濃度(104CFU/ml)に発育したコロニー数から逆算して推定値とした。
【0050】
図9〜図11、表4〜表6からも明らかなように、各推定濃度において、水酸基ラジカルミストの暴露によってコロニー数が著しく減少することが確認できた。また、塗布した菌液の濃度が低いもの程コロニー数が少なくなることも確認できた。即ち、各推定濃度について、菌液を塗布した培地に水酸基ラジカルを暴露させることにより有意なコロニー数の減少が認められ、本発明の脱臭殺菌装置の殺菌効果を確認できた。
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の脱臭殺菌装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図2】同脱臭殺菌装置の放電手段を示す概略構成図である。
【図3】高圧水衝突方式のミスト発生手段を示し、(a)は衝突プレートの側面図、(b)は衝突プレートの底面図、(c)はミストを発生させる様子を示す原理図である。
【図4】脱臭実験の結果を示すグラフである。
【図5】殺菌効果を確認する実験で使用する
【図6】黄色ブドウ球菌(推定濃度:107CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図7】黄色ブドウ球菌(推定濃度:106CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図8】黄色ブドウ球菌(推定濃度:105CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図9】大腸菌(推定濃度:107CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図10】大腸菌(推定濃度:106CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図11】大腸菌(推定濃度:105CFU/mlの菌液)を使用した殺菌効果確認実験の結果を示す図で、(a)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が0分の試料(対照)についてのもの、(b)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が4分の試料についてのもの、(c)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が8分の試料についてのもの、(d)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が12分の試料についてのもの、(e)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が16分の試料についてのもの、(f)は水酸基ラジカルミストの暴露時間が20分の試料についてのものである。
【図12】従来のオゾン脱臭装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0055】
1 水
2 水改質手段
3 ミスト発生手段
4 ミスト
5 空気流
6 送出手段
7 放電手段
8 対象空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の酸化還元電位を下げる水改質手段と、酸化還元電位を下げた水をミスト化するミスト発生手段と、ミストを空気流によって送出する送出手段と、ミストの流れの中で放電を行う放電手段とを備えることを特徴とする脱臭殺菌装置。
【請求項2】
前記放電手段は、グロー放電を行うものであることを特徴とする請求項1記載の脱臭殺菌装置。
【請求項3】
酸化還元電位を下げた水をミスト化して空気流に乗せると共に、ミストの流れの中で放電を行ってミストの水分子をフリーラジカル化した後、脱臭又は殺菌の対象空間に送出することを特徴とする脱臭殺菌方法。
【請求項4】
ミストの流れの中で行う放電はグロー放電であることを特徴とする請求項3記載の脱臭殺菌方法。
【請求項1】
水の酸化還元電位を下げる水改質手段と、酸化還元電位を下げた水をミスト化するミスト発生手段と、ミストを空気流によって送出する送出手段と、ミストの流れの中で放電を行う放電手段とを備えることを特徴とする脱臭殺菌装置。
【請求項2】
前記放電手段は、グロー放電を行うものであることを特徴とする請求項1記載の脱臭殺菌装置。
【請求項3】
酸化還元電位を下げた水をミスト化して空気流に乗せると共に、ミストの流れの中で放電を行ってミストの水分子をフリーラジカル化した後、脱臭又は殺菌の対象空間に送出することを特徴とする脱臭殺菌方法。
【請求項4】
ミストの流れの中で行う放電はグロー放電であることを特徴とする請求項3記載の脱臭殺菌方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−18159(P2009−18159A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155205(P2008−155205)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(396020383)株式会社金杉商工 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(396020383)株式会社金杉商工 (3)
【Fターム(参考)】
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