説明

脱臭装置

【課題】悪臭を吸収しつつ、鮮度を保つ効果のある脱臭装置を提供する。
【解決手段】キャップ12の通気口41から流入した空気は、エチレン吸収体81内のエチレン吸着剤間を通過する際に、エチレンガスが吸収され除去される。次に、エチレンガスが除去された空気中の悪臭は、その重さにより下側の脱臭体13側へ移動し、この脱臭体13によって吸収され除去される。これにより、悪臭とエチレンガスとを吸収することができ、鮮度を保つ効果のある脱臭装置1となり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、悪臭を吸収するとともに、野菜や果物等の鮮度を保つ脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫内を脱臭する際には、脱臭装置が使用されている。
【0003】
この脱臭装置としては、たとえば容器体にゲル状の脱臭剤を収容したものが知られており、該ゲル状脱臭剤には、活性炭が含まれているものが提案されている。
【0004】
これにより、庫内の空気が容器体内のゲル状脱臭剤に接触することで、当該空気に含まれた悪臭成分をゲル状脱臭剤含有の活性炭に吸着できるように構成されている。
【0005】
このとき、前記ゲル状脱臭剤が揮散して小さくなることを利用して、交換時期が解るように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、果物や野菜等が収容される野菜室にあっては、果物や野菜が発生するエチレンガスが腐敗や黄化を促進し鮮度を落とすことが知られており、悪臭を吸収しつつ、鮮度を保つ効果のある脱臭装置が求められている。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、悪臭を吸収しつつ、鮮度を保つ効果のある脱臭装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の脱臭装置にあっては、容器体に収容された脱臭体によって脱臭する脱臭装置において、エチレンガスを吸収するエチレン吸収体を前記脱臭体の上部に配設した。
【0009】
すなわち、悪臭を吸収する脱臭体は、下側に配置されており、エチレンガスを吸収するエチレン吸収体は、前記脱臭体の上側に配置されている。
【0010】
ここで、果物や野菜から排出されるエチレンガスは、空気より軽い。また、野菜等から生じる腐敗臭等の悪臭は、メチルメルカプタンや硫化水素や硫化メチル等からなり、空気より重い成分からなる。
【0011】
このため、エチレンガスや悪臭を含んだ空気は、先ず上側に配置されたエチレン吸収体によって空気成分より軽いエチレンガスが吸収され除去される。そして、空気より重いメチルメルカプタンや硫化水素や硫化メチル等からなる悪臭は、その重さによって前記エチレン吸収体より下側に配置された脱臭体側へ移動し、この脱臭体で吸収され脱臭される。
【0012】
また、請求項2の脱臭装置においては、前記脱臭体を脱臭剤を含有したゲル状のゲル体で構成し、前記エチレン吸収体を粒状のエチレン吸着剤で構成するとともに、前記エチレン吸収体を前記脱臭体から離間して配置した。
【0013】
すなわち、前記脱臭体の上側に配設された前記エチレン吸収体は、粒状のエチレン吸着剤で構成されており、粒状のエチレン吸着剤間をエチレンガスと悪臭を含んだ空気が通過する際に、エチレンガスが除去される。また、エチレンガスが除去されたメチルメルカプタン等の悪臭は、その重さによって下側の前記脱臭体側へ移動し、この脱臭体で吸収され脱臭される。
【0014】
このとき、この脱臭体は、脱臭剤を含有したゲル状のゲル体で構成されている。このため、前記ゲル体が揮散して小さくなることを利用して、交換時期が示される。
【0015】
そして、前記エチレン吸収体は、前記脱臭体から上方へ離れた位置に配置されており、このエチレン吸収体は、粒状のエチレン吸着剤で構成されている。このため、前記エチレン吸収体と前記脱臭体とを横並びに配置した場合と比較して、前記ゲル体からなる前記脱臭体と悪臭との接触面積を狭くすることなく、横寸法の小型化が図られる。
【0016】
さらに、請求項3の脱臭装置では、前記容器体の上面開口部を覆うキャップを周壁と天面とからなる容器状に形成し、当該キャップに通気口を設けるとともに、当該キャップ内に前記エチレン吸収体を設けた。
【0017】
これにより、前記エチレン吸収体と前記脱臭体の両者を容器体に収容する場合と比較して、前記容器体への前記脱臭体の収容と、前記キャップへの前記エチレン吸収体の収容とを個別に行うことがきる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明の請求項1の脱臭装置にあっては、悪臭を吸収する脱臭体とエチレンガスを吸収するエチレン吸収体とを備えているため、メチルメルカプタンや硫化水素や硫化メチル等からなる悪臭とエチレンガスとを吸収することができる。
【0019】
したがって、悪臭を吸収しつつ、鮮度を保つ効果のある脱臭装置を提供することができる。
【0020】
そして、悪臭を吸収する脱臭体は、下側に配置されており、エチレンガスを吸収するエチレン吸収体は、前記脱臭体の上側に配置されている。
【0021】
このため、空気成分より軽いエチレンガスを、先ず上側のエチレン吸収体で吸収して除去することができる。
【0022】
次に、空気より重いメチルメルカプタンや硫化水素や硫化メチル等からなる悪臭は、その重さによって前記エチレン吸収体より下側に配置された脱臭体側へ移動するため、これらの悪臭を、下側の前記脱臭体で吸収して脱臭することができる。
【0023】
このため、前記脱臭体が前記エチレン吸収体より上方に配置された場合と比較して、前記エチレンガスと前記悪臭とを効率的に排除することができる。
【0024】
また、請求項2の脱臭装置においては、前記脱臭体の上側に配設された前記エチレン吸収体は、粒状のエチレン吸着剤で構成されており、粒状のエチレン吸着剤間を、エチレンガスや悪臭を含んだ空気が通過する際に、エチレンガスを除去することができる。また、エチレンガスが除去された空気に含まれる悪臭は、その重さによって下側の前記脱臭体側へ移動し、この脱臭体によって悪臭を吸収し脱臭することができる。
【0025】
このとき、この脱臭体は、脱臭剤を含有したゲル状のゲル体で構成されている。このため、前記ゲル体が揮散して小さくなることを利用して、交換時期を知ることができる。
【0026】
そして、前記エチレン吸収体は、前記脱臭体から上方へ離れた位置に配置されており、このエチレン吸収体は、粒状のエチレン吸着剤で構成されている。
【0027】
このため、前記エチレン吸収体と前記脱臭体とを横並びに配置した場合と比較して、前記ゲル体からなる前記脱臭体と空気の接触面積を狭くすることなく、当該脱臭装置の横寸法を小さくすることができる。これにより、設置場所の省スペース化を図ることができる。
【0028】
さらに、請求項3の脱臭装置では、前記脱臭体を前記容器体に収容するとともに、前記エチレン吸収体を前記キャップに収容するため、前記エチレン吸収体と前記脱臭体の両者を容器体に収容する場合と比較して、前記容器体への前記脱臭体の収容と、前記キャップへの前記エチレン吸収体の収容とを個別に行うことがきる。
【0029】
これにより、製造過程での効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる脱臭装置1を示す図である。
【0031】
この脱臭装置1は、上面開口状の容器体11と、該容器体11の上側に嵌着され前記容器体11の上面開口部を覆うキャップ12とによって構成されている。前記容器体11には、ゲル状の脱臭体13が収容されており、該脱臭体13は、脱臭剤としての活性炭がゲル体に混入されて形成されている。
【0032】
これにより、冷蔵庫の野菜室の悪臭が前記脱臭体13に接触することで、当該空気に含まれた悪臭成分を脱臭体13含有の活性炭に吸着して脱臭できるように構成されている。このとき、前記脱臭体13が、空気と触れる接触面21から揮散して小さくなる様子を前記容器体11の側面22から見ることによって交換時期を把握できるように構成されている。
【0033】
前記キャップ12は、図1及び図2に示すように、前記容器体11の上面開口部に適合した楕円形状の天面31と、該天面31の周縁より垂下した周壁32とによって下方へ向けて開口した容器状に形成されており、前記天面31の中央部には、長方形状の中央開口部33が開設されている。該中央開口部33の両端部には、細長のスリット部34,・・・が並設されており、前記中央開口部33及び前記スリット部34,・・・を介して内部に連通している。
【0034】
前記周壁32には、図1に示したように、矩形状の通気口41,・・・が複数開設されており、各通気口41,・・・は、周面に沿って配列されている。各通気口41,41の間には、外側に膨出した柱部42,・・・が形成されており、該柱部42の内側には、図3に示すように、上下に延在する板状のリブ43,・・・が突設されている。前記各柱部42,・・・は、前記容器体11の上端部に外嵌する外嵌部44に接続されており、該外嵌部44の内側面には、前記容器体11上縁の鍔部と係合する係合突起45,・・・が複数箇所に設けられている。
【0035】
これにより、前記外嵌部44を前記容器体11の上端部に外嵌した状態で、前記リブ43,・・・の下端が前記容器体11の上縁に当接するように構成されており、この当接状態において、前記容器体11に対する前記キャップ12の挿入量を規制できるように構成されている。
【0036】
前記各通気口41,・・・は、前記周壁32の上側領域に配置されており、前記各通気口41,・・・下縁から前記外嵌部44上縁までの下側領域51には、薄肉部52,・・・が形成されている。この薄肉部52,・・・によって隣接する柱部42,42は前記下部領域51が連設されており、当該キャップ12には、前記外嵌部44から前記各通気口41,・・・までの前記下側領域51が前記柱部42,・・・及び前記薄肉部52,・・・により全周に渡って閉鎖されるとともに、当該キャップ12を前記容器体11に嵌着した状態で該容器体11内の前記脱臭体13の前記接触面21を周囲から覆う包囲部53が形成されている。
【0037】
この包囲部53の内側には、図2及び図3に示すように、板形状の載置板61が設けられている。該載置板61は、図2に示したように、当該キャップ12の長さ方向に延在する長方形状に形成されており、前記中央開口部33の下部に配設されている。この載置板61は、前記中央開口部33の開口縁部より下方へ垂下した支持部62,・・・によって各辺が支持されており、キャップ12成形時に上下方向に型抜きされる金型によって当該キャップ12に一体形成できるように構成されている。
【0038】
前記載置板61は、図3及び図4に示したように、前記通気口41下縁の高さ位置から前記外嵌部44上縁の高さ位置までの範囲内に設けられており、当該キャップ12を前記容器体11に装着した状態で、前記包囲部53上端の高さ位置から前記容器体11に収容された前記脱臭体13の接触面21の高さ位置までの範囲内であって、前記脱臭体13から離間した位置で前記接触面21に沿って延在するように配置されている。
【0039】
前記載置板61は、図2及び図3に示したように、縦横に延在する縦壁71,・・・によって格子状に形成されており、各縦壁71,・・・が交差する交差点には、円柱状の円柱部72,・・・が一体形成されている。前記載置板61には、四方が前記縦壁71,・・・によって包囲された矩形状の通流穴73,・・・が複数形成されており、各通流穴73,・・・は、当該載置板61の全域に分散して配置されている。
【0040】
そして、このキャップ12天面31の前記中央開口部33からは、図1及び図3に示すように、エチレン吸収体81が当該キャップ12内に収容されるように構成されており、このエチレン吸収体81は、前記載置板61上に載置された状態で、該載置板61を支持する支持部62,・・・によって載置板61外周部への離脱が防止されている。
【0041】
このエチレン吸収体81は、前記載置板61で支持された状態で、前記容器体11の前記脱臭体13の上部に配設されるように構成されており、当該エチレン吸収体81は、前記脱臭体13から上方へ離間するとともに、前記キャップ12の周壁32に開設された前記通気口41の高さ位置に配置されるように構成されている。
【0042】
このエチレン吸収体81は、エチレンガスを吸着する粒状のエチレン吸着剤と、該エチレン吸着剤を収容する袋体からなり(図示省略)、該袋体は、空気の通過を許容する不織布で構成されている。
【0043】
これにより、当該キャップ12を前記容器体11に装着した状態で、エチレンガスを吸収する前記エチレン吸収体81が、悪臭を吸収する前記脱臭体13の上部に配設されるように構成されている。
【0044】
以上の構成にかかる本実施の形態において、悪臭を吸収する脱臭体13は、当該脱臭装置1の下側に配置されており、エチレンガスを吸収するエチレン吸収体81は、前記脱臭体13の上側に配置されている。
【0045】
ここで、果物や野菜から排出されるエチレンガスは、空気より軽い。また、野菜等から生じる腐敗臭等の悪臭は、メチルメルカプタンや硫化水素や硫化メチル等からなり、空気より重い成分からなる。
【0046】
このため、エチレンガスや悪臭を含んだ野菜室の空気は、先ず上側に配置されたエチレン吸収体81によって空気成分より軽いエチレンガスが吸収され除去される。そして、空気より重いメチルメルカプタンや硫化水素や硫化メチル等からなる悪臭は、その重さによって前記エチレン吸収体81より下側に配置された前記脱臭体13側へ移動し、この脱臭体13で吸収され脱臭される。
【0047】
このように、本実施の形態の脱臭装置にあっては、悪臭を吸収する前記脱臭体13と、エチレンガスを吸収する前記エチレン吸収体81とを備えることによって、メチルメルカプタンや硫化水素や硫化メチル等からなる悪臭と、果物や野菜の腐敗や黄化を促進するエチレンガスとを吸収することができる。
【0048】
したがって、悪臭を吸収しつつ、鮮度を保つ効果のある脱臭装置1を提供することができる。
【0049】
そして、悪臭を吸収する前記脱臭体13は、当該脱臭装置1の下側に配置されており、エチレンガスを吸収する前記エチレン吸収体81は、前記脱臭体13の上側に配置されている。
【0050】
このため、空気成分より軽いエチレンガスを、先ず上側のエチレン吸収体81で吸収して除去することができる。
【0051】
次に、空気より重いメチルメルカプタンや硫化水素や硫化メチル等からなる悪臭は、その重さによって前記エチレン吸収体81より下側に配置された前記脱臭体13側へ移動するため、これらの悪臭を、下側の脱臭体13で吸収して脱臭することができる。
【0052】
このため、前記脱臭体13が前記エチレン吸収体81より上方に配置された場合と比較して、前記エチレンガスと前記悪臭とを効率的に排除することができる。
【0053】
また、前記脱臭体13の上側に配設された前記エチレン吸収体81は、粒状のエチレン吸着剤で構成されており、キャップ12の通気口41,・・・から流入した、エチレンガスや悪臭を含んだ空気が粒状のエチレン吸着剤間を通過する際に、前記エチレンガスを除去することができる。また、エチレンガスが除去された空気中の悪臭は、前記載置板61外周部及び当該載置板61に設けられた通流穴73,・・・を介して、その重さにより下側の前記脱臭体13側へ移動し、この脱臭体13によって悪臭を吸収し脱臭することができる。
【0054】
このとき、この脱臭体13は、脱臭剤としての活性炭を含有したゲル状のゲル体で構成されている。このため、このゲル体が揮散して小さくなることを利用して、交換時期を知ることができる。
【0055】
そして、前記エチレン吸収体81は、前記脱臭体13から上方へ離れた位置に配置されており、このエチレン吸収体81は、粒状のエチレン吸着剤で構成されている。
【0056】
このため、前記エチレン吸収体81と前記脱臭体13とを横並びに配置した場合と比較して、前記ゲル体からなる前記脱臭体13と空気との接触面積を狭くすることなく、当該脱臭装置1の横寸法を小さくすることができる。これにより、設置場所の省スペース化を図ることができる。
【0057】
さらに、前記脱臭体13を前記容器体11に収容するとともに、前記エチレン吸収体81を前記キャップ12に収容したため、前記エチレン吸収体81と前記脱臭体13の両者を容器体11に収容する場合と比較して、当該容器体11への前記脱臭体13の収容と、前記キャップ12への前記エチレン吸収体81の収容とを別工程で行うことができる。
【0058】
これにより、製造過程での効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施の形態を示す側面図である。
【図2】同実施の形態を示す平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0060】
1 脱臭装置
11 容器体
12 キャップ
13 脱臭体
21 接触面
31 天面
32 周壁
41 通気口
61 載置板
81 エチレン吸収体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体に収容された脱臭体によって脱臭する脱臭装置において、
エチレンガスを吸収するエチレン吸収体を前記脱臭体の上部に配設したことを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
前記脱臭体を脱臭剤を含有したゲル状のゲル体で構成し、前記エチレン吸収体を粒状のエチレン吸着剤で構成するとともに、前記エチレン吸収体を前記脱臭体から離間して配置したことを特徴とする請求項1記載の脱臭装置。
【請求項3】
前記容器体の上面開口部を覆うキャップを周壁と天面とからなる容器状に形成し、当該キャップに通気口を設けるとともに、当該キャップ内に前記エチレン吸収体を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の脱臭装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−304092(P2008−304092A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149866(P2007−149866)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】