説明

脱臭装置

【課題】脱臭装置が設置された室内環境や、臭気センサの検出感度に応じた運転風量で自動運転制御を行うことができるように、臭気センサの基準値を設定することができる脱臭装置を提供すること。
【解決手段】空気の吸込口と吹出口とを結ぶ空気流路を有する筺体内に、吸込口から吸込んだ空気を脱臭する脱臭フィルタと、脱臭フィルタの脱臭能力を再生するために脱臭フィルタを加熱するヒータ30bと、ヒータの通電を制御する制御手段40と、筺体内または筺体外のいずれかに存在する空気の臭気成分を選択的に検出する臭気センサ51を収容する臭気センサユニットとを備え、制御手段は、ヒータに通電して脱臭フィルタを再生した後で、筺体内に存在する空気を臭気センサで検出した検出値に基づいて、空気の脱臭の要否を判定するための臭気センサの基準値を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭装置における臭気センサの基準値の設定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気を清浄する装置として、室内の空気質を検出するセンサを用いて、予め設定された基準レベルとセンサで検出された空気質レベルを比較することで室内の空気質を評価し、空気質が悪いときに室内の空気を清浄する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、このような装置の一例として、センサに室内の臭気成分を検出する臭気センサを用い、室内の空気質が悪いときに、臭気成分を除去する脱臭フィルタを利用して室内の空気を脱臭する脱臭装置が知られている。
【0003】
このような脱臭装置の中には、脱臭運転時に、予め設定された空気の脱臭の要否を判定するための基準レベルと、臭気センサで検出された検出レベルを比較し、検出レベルが基準レベル以上であれば、検出レベルと基準レベルの差分に応じて、運転風量が変更される自動運転制御を行うものがある。
【0004】
したがって、この脱臭装置では、基準レベルが脱臭装置が設置された室内環境に対応していないと、適切な自動運転制御が行えないおそれがある。このため、脱臭装置の自動運転制御が適切に行われるように、脱臭装置が設置された室内環境に応じた基準レベルを設定することができる脱臭装置が必要とされていた。また、臭気センサ自体の経年変化やバラツキによって臭気センサの検出感度が変化するため、基準レベルが臭気センサの検出感度に対応していないと、適切な自動運転制御を行えないおそれがある。このため、臭気センサの検出感度に応じた基準レベルを設定することができる脱臭装置が必要とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−181026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、脱臭装置が設置された室内環境や、臭気センサの検出感度に応じた運転風量で自動運転制御を行うことができるように、臭気センサの基準値を設定することができる脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の脱臭装置は、空気の吸込口と吹出口とを結ぶ空気流路を有する筺体内に、吸込口から吸込んだ空気を脱臭する脱臭フィルタと、脱臭フィルタの脱臭能力を再生するために脱臭フィルタを加熱するヒータと、ヒータの通電を制御する制御手段と、筺体内または筺体外のいずれかに存在する空気の臭気成分を選択的に検出する臭気センサを収容する臭気センサユニットとを備え、制御手段は、ヒータに通電して脱臭フィルタを再生した後で、筺体内に存在する空気を臭気センサで検出した検出値に基づいて、空気の脱臭の要否を判定するための臭気センサの基準値を設定するようになっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の脱臭装置によれば、脱臭フィルタの脱臭能力を再生した後で、脱臭装置内の臭気成分を検出する臭気センサの検出値を用いて、空気の脱臭の要否を判定するための臭気センサの基準値を設定するため、脱臭装置が設置された室内環境や、臭気センサの検出感度に応じた運転風量で自動運転制御を行うことができるように、臭気センサの基準値を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による脱臭装置を示す外観断面図である。
【図2】図1におけるX−Xで切断した要部断面図である。
【図3】図1におけるY−Yで切断した要部断面図である。
【図4】本発明による脱臭装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】図3におけるC部拡大図であり、本発明による脱臭装置に備えた臭気センサユニットを示す説明図である。
【図6】本発明による脱臭装置における臭気センサの基準値を設定するための動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1乃至図3に示すように、本実施形態における脱臭装置1は、その筐体が縦長の略直方体形状とされている。脱臭装置1は、前面側に前面パネル11が形成され、前面パネル11と対向する背面側に背面パネル12が形成されている。また、前面パネル11の右側には右側面パネル13が、前面パネル11の左側には左側面パネル14が、それぞれ形成されている。更には、脱臭装置1の上面には、上面パネル15が形成されている。
【0011】
図2に示すように、背面パネル12には、多数の開口部からなり、脱臭装置1内部に室内空気(脱臭装置1外部の空気)を吸込むための吸込口12aが形成されている。また、図1および図3に示すように、右側面パネル13には、後述する臭気センサユニット50が設けられている。
【0012】
図1乃至図3に示すように、上面パネル15には、前面パネル11側に操作部24が備えられ、操作部24に隣接して矩形状のルーバ16が備えられている。操作部24には、使用者が脱臭装置1を運転操作するための各種ボタンや表示部等が配置されている。ルーバ16は、吸込口12aから吸込んだ室内空気を吹出すための吹出口15aを開閉するものであり、このルーバ16は、後述する図示しないルーバ回動手段、すなわち、ルーバ回動用モータ16aにより駆動される。
【0013】
図2および図3に示すように、脱臭装置1の内部には、吸込口12aと吹出口15aとを結ぶ空気流路10が設けられており、この空気流路10の一部を構成し樹脂材からなる空気流路形成部17が設けられている。図2に示すように、脱臭装置1を運転する時は、ルーバ回動用モータ16aを駆動してルーバ16を回動し、吹出口15aを開き、空気流路10を形成する。また、脱臭装置1を運転停止する時は、ルーバ回動用モータ16aを駆動してルーバ16を回動し、吹出口15aを閉じる。
【0014】
空気流路10には、空気流路10の上流側(吸込口12a側)から下流側(吹出口15a側)に向かって、集塵フィルタ31、脱臭ユニット30、気化フィルタ32、送風機20、オゾン発生装置21、イオン発生装置22がそれぞれ配置されている。また、脱臭装置1の背面パネル12側で集塵フィルタ31の上方には、メイン基板23が配置されている。
【0015】
集塵フィルタ31は、不織布等をプリーツ形状に形成したものであり、脱臭装置1内部に吸込まれる室内空気に含まれた、塵埃やペットの毛、花粉等を捕集する。
【0016】
脱臭ユニット30は、脱臭フィルタ30aとヒータ30bとで構成される。脱臭フィルタ30aは、油の臭い、タバコやペットの臭い等の高濃度の臭気成分を吸着して分解する触媒フィルタである。ヒータ30bは、脱臭フィルタ30aの面に沿うように配置したシースヒータであり、ヒータ30bで脱臭フィルタ30aを加熱することによって、脱臭フィルタ30aが吸着した臭気成分の脱臭フィルタ30aに含まれる触媒による分解を促進し脱臭性能を再生する。
【0017】
気化フィルタ32は、通気性と吸水性とを備える材料をプリーツ形状に形成したものであり、図示しない給水タンク等に蓄えられた水を吸収して常時湿った状態となっている。湿った状態の気化フィルタ32に、脱臭装置1内部に吸入した空気を通過させることで、通過した空気を加湿する。
【0018】
送風機20は、ファンモータ20aと送風ファン20bとで構成される。送風ファン20bは、ファンモータ20aの図示しない回転軸に固定されている。ファンモータ20aを駆動して送風ファン20bを回転させることで、図2に示す白抜き矢印のように、吸込口12aから脱臭装置1内部に室内空気を吸込み、吸込まれた空気は、集塵フィルタ31、脱臭ユニット30、気化フィルタ32の順に通過し、空気流路10内を経て吹出口15aから室内に放出される。
【0019】
オゾン発生装置21は、ケース21aと、UVランプ21bと、オゾン分解触媒21cとで構成される。図3に示すように、ケース21aは、脱臭装置1の左右方向に長い略直方体形状に形成されている。ケース21aには、空気流路10に臨む位置に、ケース21a内に空気を流入させる流入口21dを備え、また、吹出口15aに連通する位置に、ケース21a内から空気を流出させる流出口21eを備えている。ケース21a内部には、流入口21dから流出口21eに向かって、UVランプ21b、オゾン分解触媒21cの順番で配置されている。
【0020】
UVランプ21bは直管型のランプであり、ケース21aの左右方向に沿って、かつ、流入口21dから流出口21eに向かってケース21a内を空気が流れる方向に対して直交するように配置されている。UVランプ21aを点灯すると、UVランプ21aから紫外線が照射され、紫外線がケース21a内部を通過する空気に照射されることでオゾンが生成される。この発生したオゾンによって、ケース21a内部を通過する空気の除菌や脱臭が行われる。
【0021】
オゾン分解触媒21cは、酸化チタン等のオゾンを分解する作用を有する金属触媒であり、オゾン発生装置21のケース21a内部を通過する空気にUVランプ21aから紫外線が照射されることにより発生したオゾンが、ケース21a内部を通過する空気によって流出口21eへと運ばれて空気とともにケース21a外へ流出する際に、オゾン濃度を低濃度(例えば、0.02ppm以下)とする。
【0022】
イオン発生装置22は、空気流路10内のオゾン発生装置21の流入口21dより下流側で、吹出口15a付近に配置されている。イオン発生装置22は、図示しない放電電極と接地電極とを備えており、放電電極と接地電極との間に高電圧を印加することにより、放電電極と接地電極との間にコロナ放電が発生してマイナスイオンや低濃度(例えば、0.02ppm以下)のオゾンが生成される。
【0023】
図1および図3に示すように、臭気センサユニット50は、脱臭装置1内部の右側面パネル13に備えられており、前後方向については略中央部に、上下方向については中央よりやや上方であって脱臭フィルタ30aやヒータ30bより上方に配置されている。
【0024】
図5に示すように、臭気センサユニット50は、室内または脱臭装置1内部の臭気成分を選択的に検出する臭気センサ51と、回転軸57aを有し、切換板56を回動する切換板回動用モータ57と、回転軸57aに一端が固定された板状部材である切換板56と、右側面パネル13に接する面が開口された略直方体形状であり、上述した構成部品を収容する臭気センサユニット筐体52とを備えている。
【0025】
臭気センサ51は、臭気センサユニット筐体52の背面側(脱臭装置1の背面パネル12側)の内面に配置されている。臭気センサ51は接触燃焼式であり、臭気センサ51に備えられた図示しないヒータに電流を流して温度を上昇させ、このヒータに臭気成分が触れると燃焼して高温になることによりヒータの温度が上がって電気抵抗値が変化する。この電気抵抗値の変化によるヒータの電圧を検出することで臭気成分量(臭気センサ51での検出値)を検出する。
【0026】
右側面パネル13の一部には、脱臭装置1外部に向けて開口された室内側検出孔53が設けられ、臭気センサユニット筐体52はこの室内側検出孔53を覆うように配置されている。また、臭気センサユニット筐体52の室内側検出孔53と対向する面には、装置内側検出孔54が設けられている。さらには、臭気センサユニット筐体52の上面には、室内側検出孔53または装置内側検出孔54から臭気センサユニット筐体52内部に流入した空気を臭気センサユニット筐体52外へ流出させる空気流出孔55が設けられている。
【0027】
切換板56は、脱臭装置1の前後方向(奥行方向)に対し臭気センサ51より前側に配置され、切換板回動用モータ57を駆動することによって左右に回動するようになっている。切換板56が右に回動した場合は、切換板56の先端部が室内側検出孔53上方の右側面パネル13内面に接触し、切換板56が左に回動した場合は、切換板56の先端部が装置内側検出孔54上方の臭気センサユニット筐体52内面に接触する。
【0028】
室内の臭気成分量を臭気センサ51で検出する時は、図5(A)に示すように、切換板回動用モータ57を駆動して切換板56を左に回動し、室内側検出孔53と空気流出孔55とを連通させて図5(A)に示す矢印のように臭気センサユニット筐体52内部に室内空気を流通させる。また、脱臭装置1内部の臭気成分量を臭気センサ51で検出する時は、図5(B)に示すように、切換板回動用モータ57を駆動して切換板56を右に回動し、装置内側検出孔54と空気流出孔55とを連通させて図5(B)に示す矢印のように臭気センサユニット筐体52内部に装置内空気を流通させる。
【0029】
次に、図4を用いて脱臭装置1の電気的な構成を説明する。なお、本実施形態における脱臭装置1には、気化フィルタ32による加湿機能が備えられているが、加湿機能に関わる電気的な構成は、本発明に直接関係しないため、その説明を省略する。
【0030】
図4に示すように、脱臭装置1には、上述したルーバ回動用モータ16a、ファンモータ20a、UVランプ21b、イオン発生装置22、操作部24、ヒータ30b、臭気センサ51および切換板回動用モータ57の他に、電源部41と、リモコン受信部42と、スイッチ部43と、インバータ部44と、ファンモータ駆動部45と、ヒータ通電部46と、切換板回動用モータ駆動部47と、ルーバ回動用モータ駆動部49と、これらを制御する制御手段40とを備えている。
【0031】
電源部41は、電源コード48を介してコンセントに接続され、コンセントを介して供給される交流電圧から脱臭装置1の運転に必要な直流電圧を生成して、イオン発生装置22、制御手段40、スイッチ部43、ファンモータ駆動部45、ヒータ通電部46、切換板回動用モータ駆動部47、およびルーバ回動用モータ駆動部49に供給する。なお、図4では、電源部41からイオン発生装置22、制御手段40およびスイッチ部43への電力供給を矢印で示しているが、これ以外の電力供給の矢印による図示は省略している。リモコン受信部42は、脱臭装置1を操作するための図示しないリモコンから送信された信号を受信する。
【0032】
スイッチ部43は、電源部41から供給された直流電圧を制御手段40からの信号に基づいて入り切りし、インバータ44はスイッチ部43から受けた直流電圧を、UVランプ21bを点灯できる高周波電圧に変換してUVランプ21bに供給する。イオン発生装置22は、内部に図示しない電源回路を有しており、電源部41から供給された直流電圧を、放電電極と接地電極との間に加えて両極間でコロナ放電が発生する電圧に昇圧する。ファンモータ駆動部45、ヒータ通電部46、切換板回動用モータ駆動部47、およびルーバ回動用モータ駆動部49のそれぞれは、電源部41から供給された直流電圧を受けて、ファンモータ20a、ヒータ30b、切換板回動用モータ57およびルーバ回動用モータ16aを駆動する。
【0033】
制御手段40は、図示しないタイマーを備えたマイクロコンピュータと記憶部40aとを内部に備えている。マイクロコンピュータは、脱臭装置1の上面パネル15に配置されたリモコン受信部42や操作部24から使用者による運転指示信号を受信するとともに、臭気センサ51からの検出信号を取込む。また、マイクロコンピュータは、上述した運転指示信号や検出信号に基づいて、スイッチ部43にオンオフ信号を送信することでUVランプ21bへの通電を制御するとともに、ファンモータ駆動部45、ヒータ通電部46、切換板回動用モータ駆動部47、およびルーバ回動用モータ駆動部49へそれぞれに対応する制御信号を送信して、ファンモータ20a、ヒータ30b、切換板回動用モータ57およびルーバ回動用モータ16aの駆動制御を行う。また、マイクロコンピュータは、イオン発生装置22の駆動制御を行う。
【0034】
次に、脱臭装置1で脱臭運転を行う際の、各部の働きや脱臭装置1内部での空気の流れについて説明する。使用者が図示しないリモコンの操作や操作部24を操作することによって、リモコン受信部42や操作部24から脱臭装置1の脱臭運転開始を指示する運転指示信号がリモコンや操作部24から制御手段40に送信される。
【0035】
運転指示信号を受信した制御手段40は、ファンモータ駆動部45に、ファンモータ20aの回転数情報を含んだ駆動制御信号を送信する。ファンモータ駆動部45は、受信した駆動制御信号に基づいてファンモータ20aを起動する。これにより、送風ファン20bが回転して送風機20が運転を開始する。また、制御手段40は、ルーバ16を回動し、吹出口15aを開くために、ルーバ回動用モータ駆動部49に駆動制御信号を送信する。ルーバ回動用モータ駆動部49は、受信した駆動制御信号に基づいて、図2に示すように、吸込口12aと吹出口15aとが連通するようにルーバ回動用モータ16aを駆動する。
【0036】
次に、制御手段40は、室内空気の臭気成分を検出するために、切換板回動用モータ駆動部47に駆動制御信号を送信する。切換板回動用モータ駆動部47は、受信した駆動制御信号に基づいて、図5(A)に示すように、室内側検出孔53と空気流出孔55とが連通するように切換板回動用モータ57を駆動して切換板56を装置内側検出孔54側に回動する。これにより、臭気センサ51は室内空気に含まれる臭気成分を検出できるようになる。
【0037】
次に、制御手段40は、スイッチ部43にオン信号を送信する。オン信号を受信してオンされたスイッチ部43は、インバータ部44を介してUVランプ21bへの通電を開始し、UVランプ21bを点灯させる。また、制御手段40は、イオン発生装置22に駆動信号を送信してイオン発生装置22を駆動する。
【0038】
以上説明した状態で、送風機20が運転することによって吸込口12aから脱臭装置1内部に室内空気が吸込まれる。吸込口12aから吸込まれた空気は、集塵フィルタ31を通過する際に除塵され、脱臭フィルタ30aを通過する際に脱臭される。次に、集塵フィルタ31および脱臭フィルタ30aを通過した空気は、気化フィルタ32を通過する際に加湿される。
【0039】
気化フィルタ32を通過した空気は、空気流路10内を上方(空気流路10の下流側)へ流れ、その大部分は吹出口15aから室内へ放出される。その際、イオン発生装置22で生成されたマイナスイオンは、吹出口15aから室内へ放出される空気に乗って室内に放出される。室内に放出されたマイナスイオンは、室内に浮遊するカビやウイルス等の微生物に付着してこれらを不活性化する。また、イオン発生装置22で生成された低濃度のオゾンは、イオン発生装置22近傍を流れて吹出口15aから室内へ放出される空気に含まれる脱臭フィルタ30aで分解しきれなかった臭気成分を酸化反応により分解する。
【0040】
一方、気化フィルタ32を通過した空気の一部は、流入口21dを通ってオゾン発生装置21内部に取り込まれる。取り込まれた空気には、UVランプ21bによって紫外線が照射され、これによりオゾンが生成される。生成されたオゾンは、取り込まれた空気中に浮遊するカビやウイルス等の微生物を除菌するとともに、脱臭フィルタ30aで分解しきれなかった臭気成分を酸化反応により分解する。
【0041】
除菌および脱臭されたオゾン発生装置21内部の空気は、流出口21eを通って吹出口15aから室内に放出される。オゾン発生装置21内部から放出された空気には、オゾン分解触媒21cの働きによって低濃度となったオゾンが含まれており、この低濃度のオゾンが室内のカーペットやカーテン等に付着した臭気成分を分解する。
【0042】
本実施形態における脱臭装置1は、制御手段40の内部に備えた記憶部40aに、室内空気の脱臭の要否を判定するための臭気センサ51の基準値を記憶させている。この臭気センサ51の基準値は、室内環境や臭気センサ51の検出感度に応じて制御手段40により適宜変更される。脱臭装置1に備えた制御手段40は、脱臭運転時に、臭気センサ51で検出した室内空気の臭気成分に対応する検出値と、臭気センサ51の基準値とを比較する。そして、制御手段40は、比較した結果、検出値が基準値以上であれば、検出値と基準値との差分(臭気成分量に比例する)に応じて運転風量を変更する自動運転制御を行う。制御手段40による自動運転制御では、ファンモータ20bの回転数を運転風量に応じて制御する。また、制御手段40による自動運転制御では、オゾン発生装置21やイオン発生装置22の運転開始あるいは運転停止を制御する。
【0043】
また、脱臭装置1は、脱臭フィルタ30aをヒータ30bで加熱して、上述の自動運転制御によって脱臭フィルタ30aが吸着した臭気成分の触媒による分解を促進し脱臭性能を定期的に再生する。制御手段40は、脱臭運転を行っている時間をタイマーで計時することにより積算し、積算時間を記憶部40aに記憶している。制御手段40は、積算時間が所定時間t1(例えば、24時間)となったら、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生を開始する。制御手段40は、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生開始からタイマーをスタートさせ、所定時間t2(例えば、1時間)が経過したら、タイマーをストップさせ、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生を終了する。なお、積算時間に対応する所定時間t1は、予め実験的に求めた脱臭能力が飽和状態となるまでの時間であり、記憶部40aに記憶されている。また、再生開始から再生終了までの所定時間t2についても、予め記憶部40aに記憶されている。
【0044】
以上説明してきた脱臭装置1は、室内空気の脱臭の要否を判定するための臭気センサ51の基準値の設定を、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生を終了した後で行う。次に、この臭気センサ51の基準値の設定動作について詳細に説明する。
【0045】
制御手段40は、ヒータ通電部46を介してヒータ30bに通電し、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生を開始する。制御手段40は、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生を開始すると、オゾン発生装置21とイオン発生装置22の運転を開始する。さらに、制御手段40は、これらの開始と同時に、ルーバ回動用モータ駆動部49を介してルーバ回動用モータ16aを駆動する。このルーバ回動用モータ16aの駆動によってルーバ16を回動し、吹出口15aを閉じる。また、制御手段40は、ルーバ回動用モータ16aの駆動と同時に、切換板回動用モータ駆動部47を介して切換板回動用モータ57を駆動する。この切換板回動用モータ57の駆動によって切換板56を室内側検出孔53側に回動する。
【0046】
制御手段40は、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生開始からタイマーをスタートし、所定時間t2が経過した後、タイマーをストップする。制御手段40は、タイマーをストップした後、ヒータ通電部46を介してヒータ30bへの通電を停止し、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生を終了する。制御手段40は、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生を終了すると、オゾン発生装置21とイオン発生装置22の運転を停止する。さらに、制御手段40は、臭気センサ51の基準値の設定を行うために、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生終了からタイマーをスタートし、所定時間t3(例えば、1時間)が経過するまで待機した後、タイマーをストップする。制御手段40は、タイマーをストップした後、臭気センサ51の検出値を取込み、この検出値を基準値として記憶部40aに記憶する。なお、待機時間に相当する所定時間t3は、予め実験的に求めた、脱臭装置1のヒータ30bで温められた内部温度が室内温度と同等の温度になるまでの時間であり、記憶部40aに記憶されている。
【0047】
制御手段40は、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生、および、臭気センサ51の基準値の設定が完了すると、脱臭運転を開始するために、切換板回動用モータ駆動部47を介して切換板回動用モータ57を駆動する。この切換板回動用モータ57の駆動によって切換板56を装置内側検出孔54側に回動する。さらに、制御手段40は、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生、および、臭気センサ51の基準値の設定が完了すると、脱臭運転を開始するために、ルーバ回動用モータ駆動部49を介してルーバ回動用モータ16aを駆動する。このルーバ回動用モータ16aの駆動によってルーバ16を回動し、吹出口15aを開く。そして、制御手段40は、臭気センサ51で検出した検出値と、脱臭フィルタ30aを再生した後で記憶部40aに記憶した基準値を比較し、検出値が基準値以上であれば、検出値と基準値との差分に応じて運転風量を変更する。
【0048】
以上説明してきた脱臭装置1によれば、脱臭フィルタ30aの再生時に、ルーバ16を回動して吹出口15aを閉じることにより、脱臭装置1内の空気流路10に空気が滞留するようになっている。さらに、脱臭フィルタ30aの再生時に、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22の運転を行うことにより、脱臭フィルタ30a、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22の各周辺の空気流路10に滞留している空気に含まれる臭気成分を除去するようになっている。そして、脱臭装置1内の空気流路10に滞留している空気に含まれる臭気成分を除去した後で、切換板56を室内側検出孔53側に回動した状態の臭気センサ51で検出した検出値を、臭気センサ51の基準値として記憶部40aに記憶するようになっている。
【0049】
したがって、脱臭装置1が設置された室内環境に応じて、空気の脱臭の要否を判定するに相応しい臭気センサ51の基準値を設定することができるので、適切な運転風量で自動運転制御を行うことができる。このため、脱臭装置1の脱臭運転時に、室内空気から脱臭フィルタ30aなどで臭い自体が除去されると、記憶部40aに記憶した臭気センサ51の基準値以下となり、自動運転制御を適切に行うことができる。
【0050】
また、脱臭装置1では、脱臭フィルタ30aを再生した後で、切換板56を室内側検出孔54側に回動した状態の臭気センサ51で検出した検出値を、臭気センサ51の基準値として設定することができるので、脱臭センサ51自体の経年変化やバラツキによって脱臭センサ51の検出感度が変化しても、適切な運転風量で自動運転制御を行うことができる。
【0051】
また、脱臭装置1では、臭気センサ51の基準値の設定を行うため、制御手段40は、脱臭フィルタ30aの脱臭性能の再生を終了した後、記憶部40aに予め記憶された所定時間t3が経過した時点で、筺体内に存在する空気を臭気センサ51で検出した検出値を臭気センサ51の基準値として記憶部40aに記憶するようになっている。これにより、ヒータ30bの通電により上がった脱臭装置1の内部温度が室内温度まで下がって、空気の脱臭の要否を判定するに相応しい臭気センサ51の電気抵抗値となった基準値を設定することができる。
【0052】
また、脱臭装置1では、臭気センサ51の基準値の設定を行うため、脱臭フィルタ30aの再生時に、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22を運転するようになっている。これにより、脱臭フィルタ30aで除去できない臭気成分をオゾン発生装置21およびイオン発生装置22で取り除くことができるので、脱臭装置1の筺体内を、より臭いが少ない雰囲気状態にして、臭気センサ51で筺体内の空気を検出することができる。
【0053】
さらに、脱臭装置1では、制御手段40は、臭気センサ51の基準値の設定を行うため、脱臭フィルタ30aの再生時に、ルーバ回動用モータ16aを駆動してルーバ16を回動し、吹出口15aを閉じる。これにより、脱臭装置1の筺体内に空気を滞留状態にして、臭気センサ51で筺体内の空気を効果的に検出することができる。
【0054】
次に、脱臭装置1の制御手段40による臭気センサ51の基準値を設定するための動作手順を図6のフローチャートを用いて説明する。図6において、Sはステップを、数字はステップ番号をそれぞれ表す。なお、脱臭運転時の詳細な動作は説明を省略する。
【0055】
制御手段40は、ヒータ通電部46を介してヒータ30bに通電し、脱臭フィルタ30aの再生を開始させる(S1)。制御手段40は、脱臭フィルタ30aの再生を開始させると、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22の運転を開始させる。また、制御手段40は、脱臭フィルタ30aの再生を開始させると、ルーバ回動用モータ駆動部49を介してルーバ回動用モータ16aを駆動してルーバ16を吹出口15aを閉じるように回動させる。さらに、制御手段40は、このルーバ16の回動と同時に、切換板回動用モータ駆動部47を介して切換板回動用モータ57を駆動して切換板56を室内側検出孔53側に回動させる。
【0056】
S1において脱臭フィルタ30aの再生を開始した時点から、制御手段40は、タイマーをスタートさせる(S2)。次に、制御手段40は、記憶部40aに記憶された所定時間t2が経過したか否かを判断する(S3)。所定時間t2が経過すれば(S3−YES)、S4に移行し、所定時間t2が経過していなければ(S3−NO)、所定時間t2が経過するまで待つ。
【0057】
S4では、制御手段40は、ヒータ通電部46を介してヒータ30bへの通電を停止し、脱臭フィルタ30aの再生を終了させる。制御手段40は、脱臭フィルタ30aの再生を終了させると、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22の運転を停止させる。S4において脱臭フィルタ30aの再生を終了した時点から、制御手段40は、タイマーをスタートさせる(S5)。次に、制御手段40は、記憶部40aに記憶された所定時間t3が経過したか否かを判断する(S6)。所定時間t3が経過すれば(S6−YES)、S7に移行し、所定時間t3が経過していなければ(S6−NO)、所定時間t3が経過するまで待つ。
【0058】
S7では、制御手段40は、臭気センサ51で検出した検出値を取込み、取込んだ検出値を臭気センサ51の基準値として記憶部40aに記憶する。その後、制御手段40は、臭気センサ51の基準値の設定動作を終了して、自動運転制御を再開する。
【0059】
以上説明してきた本発明の脱臭装置1によれば、空気の吸込口12aと吹出口15aとを結ぶ空気流路10を有する筺体内に、吸込口12aから吸込んだ空気を脱臭する脱臭フィルタ30aと、脱臭フィルタ30aの脱臭能力を再生するために脱臭フィルタ30aを加熱するヒータ30bと、ヒータ30bの通電を制御する制御手段40と、筺体内または筺体外のいずれかに存在する空気の臭気成分を選択的に検出する臭気センサ51を収容する臭気センサユニット50とを備えている。さらに、制御手段40は、ヒータ30bに通電して脱臭フィルタ30aを再生した後で、筺体内に存在する空気を臭気センサ51で検出した検出値に基づいて、空気の脱臭の要否を判定するための臭気センサ51の基準値を設定するようになっている。
【0060】
したがって、脱臭フィルタ30aの脱臭能力を再生した後で、脱臭装置1内の臭気成分を検出する臭気センサ51の検出値に基づいて、空気の脱臭の要否を判定するための臭気センサ51の基準値を設定するため、脱臭装置1が設置された室内環境や、臭気センサ51の検出感度に応じた運転風量で自動運転制御を行うことができるように、臭気センサ51の基準値を設定することができる。また、脱臭フィルタ30aで臭気成分が除去された脱臭装置1内の臭気センサ51の検出値に基づいて臭気センサ51の基準値を設定するため、空気の脱臭の要否を判定するに相応しい基準値を設定することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、脱臭フィルタ30aの再生時に、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22も運転するようにしたが、本発明はこれに限らず、オゾン発生装置21およびイオン発生装置22を運転しなくてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 脱臭装置
10 空気流路
11 前面パネル
12 背面パネル
12a 吸込口
13 右側面パネル
14 左側面パネル
15 上面パネル
15a 吹出口
16 ルーバ
16a ルーバ回動用モータ(ルーバ回動手段)
17 空気流路形成部
20 送風機
20a ファンモータ
20b 送風ファン
21 オゾン発生装置
21a ケース
21b UVランプ
21c オゾン分解触媒
21d 流入口
21e 流出口
22 イオン発生装置
23 メイン基板
24 操作部
30 脱臭ユニット
30a 脱臭フィルタ
30b ヒータ
30c 温度センサ
31 集塵フィルタ
32 気化フィルタ
40 制御手段
40a 記憶部
41 電源部
42 リモコン受信部
43 スイッチ部
44 インバータ部
45 ファンモータ駆動部
46 ヒータ通電部
47 切換板回動用モータ駆動部
48 電源コード
49 ルーバ回動用モータ駆動部
50 臭気センサユニット
51 臭気センサ
52 臭気センサユニット筐体
53 室内側検出孔
54 装置内側検出孔
55 空気流出孔
56 切換板
57 切換板回動用モータ
57a 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吸込口と吹出口とを結ぶ空気流路を有する筺体内に、前記吸込口から吸込んだ空気を脱臭する脱臭フィルタと、同脱臭フィルタの脱臭能力を再生するために前記脱臭フィルタを加熱するヒータと、同ヒータの通電を制御する制御手段と、筺体内または筺体外のいずれかに存在する空気の臭気成分を選択的に検出する臭気センサを収容する臭気センサユニットとを備えた脱臭装置であって、
前記制御手段は、前記ヒータに通電して前記脱臭フィルタを再生した後で、筺体内に存在する空気を前記臭気センサで検出した検出値に基づいて、空気の脱臭の要否を判定するための前記臭気センサの基準値を設定することを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記脱臭フィルタを再生した後、所定時間が経過した時点で、前記臭気センサの基準値を設定することを特徴とする請求項1記載の脱臭装置。
【請求項3】
前記脱臭装置は、筺体内にオゾン発生装置またはイオン発生装置を備え、
前記制御手段は、前記脱臭フィルタの再生時に、前記オゾン発生装置または前記イオン発生装置を運転することを特徴とする請求項1または請求項2記載の脱臭装置。
【請求項4】
前記脱臭装置は、前記吹出口を開閉するルーバを駆動するためのルーバ回動手段を備え、
前記制御手段は、前記脱臭フィルタの再生時に、前記ルーバ回動手段を駆動して前記ルーバを回動し、前記吹出口を閉じることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の脱臭装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−196357(P2012−196357A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63530(P2011−63530)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】