脳への血流をモニタする装置
a)頭部の内側に電界を生成することにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、を含む、脳の中の血流を推定する方法であって、電流が、子供の中に生成される、あるいは、頭蓋骨に穴に又は近くの電極を用いて生成される方法。任意選択的に、構成は、かなりの程度電流を脳の内側を集中的に流れるように選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2004年7月15日に提出された米国出願第10/893,570号の一部継続出願である。これは、2003年1月15日に提出されたPCT出願第PCT/IL03/00042号の一部継続出願である。これは、また、2002年1月15日に提出された米国仮出願第60/348,278号の米国特許法119条(e)の下での利益を主張するものである。本出願は、また、同日に提出された代理人事件整理番号第371/04418号の、「脳の潅流モニタ」と表題がつけられたPCT出願に関連している。これらの出願の開示内容は参照により本明細書にここに組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明の分野は、例えば、脳への血流を測定する医療機器の領域である。
【背景技術】
【0003】
いくつかの医療中の出来事及び処置において、脳の血流を測定する要求がある。脳への血流のいかなる障害も、脳細胞の機能への損傷を引き起こす可能性があるからである。その障害が長期に渡る場合には、脳細胞の死さえ引き起こす可能性がある。脳への血流を維持することは、特に重要である。脳細胞は、他の細胞より、酸素の欠乏に脆弱であり、脳細胞は、通常、損傷後に再生することができないからである。不整脈、心筋梗塞及び外傷性出血性ショックを含む、多数の共通の状況が、一般的に、脳への血流の減少を引き起こす可能性がある。そのような場合、脳内の血流量及び流率の変化についてのデータは、脳組織への損傷のリスク及び治療の有効性を評価するのに、非常に重要となり得る。そのようなデータが利用可能であれば、脳の血流を増加させ、脳への永久的な損傷を防止するために、タイムリーに各種医療処置を施すことを可能とする。
【0004】
脳の血流を測定する既存の手段は、複雑で、高価で、かつ、場合によっては侵襲性があり、その有用性を制限するものである。次の3つの過般性のない方法が、現在、研究のみに使用されている。1)放射性キセノンを頚動脈に注入し、脳の全体に広がるさいにその放射を観測する方法。2)陽電子射出断層撮影法。これもまた、放射性材料の注入に基づくものである。3)磁気共鳴血管造影法。部屋ほどの大きさの、高価な、磁気共鳴画像化システムを用い、結果を与えるために数分を要求するものである。4番目の方法は、経頭蓋ドプラー検査(TCD)である。これは、超音波を用い、侵襲性ではなく、かつ、即時的に結果を与えるものである。しかしながら、TCDは、頭蓋を通して音波を通過させる困難性により、約15%の患者でうまく行かない。また、それは、長期に渡るトレーニングを受け、試行を行い結果を判読することを経験した、専門家による高度なスキルを要求する。TCDの別の不利な点は、局所的な血流のみを測定し、大域的な血流を測定しないことである。
【0005】
胸部のインピーダンス測定は、鬱血性心不全をもつ患者の肺の中の細胞内液及び細胞外液をモニタする既知の技術である。低周波数での胸部の抵抗インピーダンスが、外側細胞の外に存在し、比較的に高い電気伝導性を有する血液及び他の電解液の量に依存するので、この技術は効果的である。(他方、胸部の容量性のインピーダンスは、主として細胞内部の流動体の体積に依存する。)胸部のインピーダンスの測定における複雑な影響は、呼吸周期での肺の中の空気量の変化である。空気は非常に高い抵抗性を有するからである。この影響を補償するために、さまざまな方法が開発されてきた。例えば、米国特許第5,788,643号、第5,749,369号、及び第5,746,214号を参照されたい。これらの開示内容は参照により本明細書にここに組み込まれる。
【0006】
これらのインピーダンス測定において、電流は、しばしば、電極の一セットをつけた胸部を通過する。また、異なる電極のセットが、電圧測定をするために使用される。この「4つのワイヤ」の方法が、本質的に、通電回路中の胸部と直列にいかなるインピーダンスを通して流れる電流と関係がある電圧降下を除外する。例えば、通電電極及び皮膚との間の接触不良による(可能性として、予測できないほどの変化するもの)、あるいは電流を供給する電源内のものである。これらの電圧降下は、胸部のインピーダンス測定の利益にならず、別の電圧測定回路では起こらない。高いインピーダンスを有し、その中を非常に少ない電流しか流れないからである。
【0007】
フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)は、皮膚、例えば、指、あるいは耳たぶの表面からの赤あるいは赤外線の反射率を用いて血流及び血液量をモニタするのに使用される別の技術である。例えば、John G.Webster編集「医療器具の使用、応用及び設計」(Wiley、1997)における、J.Webster、「血流及び血液量の測定」を参照されたい。これらの開示内容は参照により本明細書にここに組み込まれる。
【0008】
磁気的に、頭部を含む体の中に電界を生起することは、いくつかの既存の医療処置、主に、末梢神経系あるいは中枢神経系を刺激するのに使用される。例えば、PCT公開第WO96/16692号である。その開示内容は参照により本明細書にここに組み込まれる。末梢神経刺激は、また、磁気共鳴画像化に使用される時間変動磁場のよく知られた好ましくない副作用である。
【特許文献1】米国特許第5,788,643号
【特許文献2】米国特許第5,746,214号
【特許文献3】PCT公開第WO96/16692号
【非特許文献1】J.Webster、「血流及び血液量の測定」、John G.Webster編集「医療器具の使用、応用及び設計」(Wiley、1997)
【発明の開示】
【0009】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、脳への血流を推定するためのインピーダンス測定の使用に関する。いくつかのアプリケーションでは、絶対的なインピーダンスを正確に測定することは必要ではない。血流を推定し、及び/又は、心周期中のインピーダンスの変化(血液量の変化による)を観測することにより、重大な血流の存在が確知されるからである。いくつかのアプリケーションでは、絶対的な血流率でさえも、正確に測定することが必要ではなく、血流率の時間的な変化を検出すれば十分である。動作のアーチファクトを低減するのと同様に、インピーダンス測定を、脳のインピーダンスにより敏感にして、頭蓋骨のずっと大きいインピーダンスにあまり敏感でないようにするのに、種々の方法が使用される。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態において、頭部のインピーダンスは、頭部に電流を通し、電極により関連した電圧測定することにより、測定される。頭蓋骨の高い相対的なインピーダンスと関係がある測定のエラーを低減するために、1つ以上の通電電極の組を用いて、電流を頭部に流す。また、別の高インピーダンス回路上で、別の電圧測定電極の組が、頭部にかかる電圧を測定するのに使用される。任意選択的に、頭蓋骨インピーダンスへの感度は、電圧測定電極を耳に、挿入することにより、さらに低減する。上記に代えて又は上記に加えて、鼻あるいは他の開口部あるいは頭蓋骨の薄い骨領域が使用される。開口部の例は、頭蓋骨開口部、例えば、眼窩、あるいは大後頭孔である。薄い骨領域の例は、こめかみである。
【0011】
任意選択的に、電流を頭部の内部を通るように焦点を合わせ、頭皮に多くが通らないようにするために、大領域の電極が使用される。あるいはたとえ全部の電極の領域自体がそれほど大きくなくても、1つ以上の電極が、大領域に広がっている(例えば、輪状電極を用いて)。任意選択的に、大電圧感知領域、例えば、大領域に広がり、互いにショートしている複数の電圧測定電極、あるいは、長いうねった形状の、あるいは大領域に広がっている多くのアームを有する単一の電圧測定電極が、通電電極あるいは大領域に同様に広がる電極の中に散在している。任意選択的に、異なる電極あるいは電極の異なるアーム間の距離が、頭皮及び頭蓋骨の厚さに匹敵するあるいはもっと大きいときには、あるいは、ちょうど頭皮の厚さのときでさえ、電圧測定電極により測定された電圧は、頭皮及び頭蓋骨にわたる電圧降下に対して、比較的に敏感でない傾向にある。そして、脳にわたる電圧降下に対して比較的により敏感である。例えば、個々の電極あるいは電極のアームは、少なくとも1mm幅、あるいは少なくとも2mm幅、あるいは少なくとも5mm幅、あるいは少なくとも1cm幅、であり、電極は、同様の距離に分離されている。頭部の両側の電極の広がりの全体は、例えば、少なくとも1cm、あるいは少なくとも2cm、あるいは少なくとも5cmである。
【0012】
上で述べたような、より小さい部分の中で、幅あるいは間隔を有する電極は、未熟児を含む新生児に使用するのに適合することができる。例えば、個々の電極あるいは電極のアーム、または、電極間の分離が、1mm、及び2mm、あるいは、それよりいくらか小さい、あるいは大きい距離である場合には、距離は、新生児の頭皮の厚さに匹敵する。一般的に、1mm及び2mmの間である。個々の電極あるいは電極のアーム、または、電極間の分離が、2mm、及び5mm、あるいは、それよりいくらか小さい、あるいは大きい距離である場合には、距離は新生児の頭皮プラス頭蓋骨の厚さに匹敵する。一般的に、2mm及び5mmの間である。新生児の脳内の血流をモニタすることは、特に、未熟児に重要である。脳の血流に対する自己調節メカニズムが、十分に発達しておらず、突然の変化が、すぐさま検出されず、治療されなければ、重大な脳損傷あるいは死に至る可能性があるからである。脳の血流のインピーダンス測定は、単独であるいは、フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)と組み合わせて、十分安価かつ単純であり、新生児あるいはどんな他の患者の連続的モニタに使用するのにも実用的である。これは、特別な高価な設備及び/又は結果を解読する特殊なトレーニングを要求する脳の血流を測定するいくつかの他の方法と対照的である。
【0013】
本発明の典型的な実施形態において、モニタは、それらの治療、活動、及び/又は、特定の乳児に対し血流のスパイクを引き起こす時間を記録することを含む。任意選択的に、そのような治療は、スパイクを低減するために修正され、及び/又は、薬物治療がときどき提供され、及び/又は、スパイクを低減する活動が提供される。他のスパイクを減少する方法が、同様に使用される。スパイクを引き起こし得る典型的な治療あるいは活動は、血液採取、カテーテル法、負荷ノイズ、照明変化、摂食及び/又は移動を含む。
【0014】
本発明の典型的な実施形態において、未熟児は、体重が2Kgより少ない、1.5Kgより少ない、1Kgより少ない、750gより少ない、あるいは、その中間、あるいは、より低い値である。新生児は、例えば、体重が3.5Kgあるいはそれより少ない、例えば3Kgあるいは2.5Kgあるいはそれより少ない、という可能性がる。
【0015】
本発明の典型的な実施形態において、新生児の患者の測定は、頭蓋骨の開口部で行われる。例えば、頭蓋骨板が整合していないところである。
【0016】
任意選択的に、頭部のインピーダンスは、経時的に測定される。例えば、脈動周期でのインピーダンスの変化は、脈動周期中の血液量の変化、従って、血流率の測定である。たとえ、このように、血流率測定に不正確さがあったとしても、技術は、手術中に起こる脳への血流のかなりの降下を検出するのに、適当である。あるいは、心肺蘇生法(CPR)が効果的に行われるか否かについて判断するのに適当である。
【0017】
本発明いくつかの実施形態において、帰納的測定が、頭部のインピーダンス、従って、血液量及び脳への血流率、を推定するのに使用される。頭部に隣接する、交流が流れる1つ以上のコイルが、頭部内側に、変化する磁場を生成し、従って、脳に渦電流を駆動する電界を生起するために使用される。これらの渦電流の大きさは、脳のインピーダンス、従って、脳の血液量に依存する。脳の渦電流は、磁場の変化、従って駆動コイルに生起される電圧の変化により測定される。あるいは、頭部の周囲に駆動コイルにおおよそに平行に配置された1つ以上の別々の測定コイルに生起される電圧の変化により測定される。
【0018】
任意選択的に、脳中の渦電流を測定するための駆動コイルあるいは測定コイルの代わりに、あるいは、それらに加えて、皮膚上の電圧測定電極が生起された電界を測定するのに使用される。上記に代えて又は上記に加えて、例えばホールセンサなどの磁場センサー、磁束磁力計、あるいは、超電導量子干渉素子(SQUID)が、磁場を測定するのに使用される。生起された電界及び磁場の両方が、脳のインピーダンスに依存する。脳の渦電流が、磁場に影響するからである。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、単独での、あるいはインピーダンス測定連動しての、脳への血流率を推定するフォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)の使用に関する。任意選択的に、フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)は、耳の内側で行われる。これは、周辺的な血流に依存する耳たぶでの測定とは対照的に、頭部の重要な内部血流に敏感にする。耳の内側のフォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)のプローブは、任意選択的に、インピーダンス測定のための耳の内側で使用される、電圧測定プローブと結合している。
【0020】
したがって、本発明の実施形態による、a)頭部の内側に電界を生成することにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳の中の血流を推定する方法が、提供される。
【0021】
本発明の実施形態において、電界及電流の測定を用いることは、頭部のインピーダンスを、少なくとも2つの異なる時間に、計算することを含む。
【0022】
本発明の実施形態において、頭部の内側に電界を生成することは、少なくとも2つの通電電極を頭部に配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることを含む。
【0023】
任意選択的に、同一の電圧の2つ以上の通電電極が存在する。
【0024】
任意選択的に、通電電極は、かなりの量の電流が頭蓋骨内部を通して流れ、頭皮を通しては流れないように、領域的に十分に大きい。
【0025】
上記に代えて又は上記に加えて、電極は、かなりの量の電流が頭蓋骨内部を通して流れ、頭皮を通しては流れないように、領域的に十分に広がっている。
【0026】
本発明の実施形態において、電界を測定することは、通電電極とは別の回路上に、少なくとも2つの電圧測定電極を頭部に配置すること及び電圧キャリー電極間の電圧の違いを測定することを含む。
【0027】
任意選択的に、電圧測定電極を頭部に配置することは、それらを耳の内側に配置することを含む。
【0028】
任意選択的に、通電電極を頭部に配置することは、少なくとも3つの通電電極を頭部に配置することを含む。また、通電電極に異なる電圧を加えることは、所望の電流分散が頭部に生成されるように、少なくとも3つの異なる電圧を通電電極に加えることを含む。
【0029】
任意選択的に、所望の電流分散が、脳の所望の領域に集中する。また、脳の血流を推定することは、脳の所望の領域での血流を推定することを含む。
【0030】
本発明の実施形態において、頭部内側に電界を生成することは、
a)少なくとも1つのインダクション・コイルを頭部に隣接して配置することと、
b)時間変動する電流を前記少なくとも1つの1つのインダクション・コイル通して流すこと、それによって、頭部内側に電界を生起することと、
を含み、それによって頭部内側に電流が流れるようにすることは、渦電流を頭部内側に流れるようにすることを含む。
【0031】
任意選択的に、少なくとも1つのインダクション・コイルを通して流れる時間変動する電流の周波数分散は、頭部を流れる渦電流が、頭部のいかなる点でも、磁場を、3分の1を越えて低減しないようなものである。
【0032】
本発明の実施形態において、頭部の内側の電流を測定することは、渦電流により生成する磁場を測定することを含む。
【0033】
任意選択的に、渦電流により生成する磁場を測定することは、
a)2つの電圧測定電極を頭部に配置すること、
b)電圧測定電極間の電圧の違いを測定することにより、生起した電界を測定すること、
c)少なくとも1つのインダクション・コイルを流れる電流により生成された磁場によって生起した電界の部分を減じること、それによって、渦電流により生成された磁場によって生起した電界の部分を見つけること、
を含む。
【0034】
本発明の実施形態において、方法は、フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)を頭部内側の組織に用いることをも含む。
【0035】
任意選択的に、組織は、耳の内側である。
【0036】
上記に代えて又は上記に加えて、組織は、鼻の内側である。
【0037】
本発明の実施形態において、方法は、手術中に患者の脳の血流をモニタするのに使用される。
【0038】
あるいは、方法は、心肺蘇生法(CPR)中に、患者の脳の血流をモニタし、心肺蘇生法が効果的実施されていることを検証するのに使用される。
【0039】
あるいは、方法は、脳への血流の損失となりそうである医学的な状態にある患者の脳内の血流をモニタするのに使用される。
【0040】
したがって、本発明の実施形態による、
a)電源と、
b)安全振幅及び周波数で頭部に電界を生成し、それによって頭部に電流を生成するために電源を用いる電界供給源と、
c)頭部のインピーダンスの変化を少なくとも推定するのに十分な精度を有する、少なくとも頭部の電界の変化および少なくとも頭部の電流の変化を判断する電気素子と、
d)少なくともユーザに、いつ頭部のインピーダンスの変化が、血流率の重大な変化を示すかを告げる情報を表示するモニタと、
を備える、脳への血流を推定するための装置もまた提供される。
【0041】
本発明の実施形態において、電界供給源は、頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続した少なくとも2つの通電電極を備える。また、電気素子は、
a)電源の出力電圧及び出力電流の1つ、あるいは出力電圧及び出力電流を組み合わせたものを制御する電源中の制御装置と、
b)制御装置により制御されない頭部にかかる電圧、頭部を流れる電流の1つ、あるいは頭部にかかる電圧と頭部を流れる電流とを組み合わせたものを測定するメータと、を備える。
【0042】
任意選択的に、電源中の制御装置は、出力電流を制御する。また、メータは、電圧計であり、電圧計に接続した2つの電圧測定電極が存在する。この電圧測定電極は、頭部への良好な電気接続を形成するのに、適合している。
【0043】
任意選択的に、通電電極は、少なくとも3つの通電電極を備え、通電電極のうち少なくとも2つが、同一の電圧に並列に接続している。
【0044】
任意選択的に、通電電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量を流すように、集合的にかつ十分に領域内に広がっている。
【0045】
上記に代えて又は上記に加えて、通電電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量を流すように、集合的にかつ十分に領域内に広がっている。
【0046】
本発明の実施形態において、電圧測定電極が、頭部の開口部内側に配置するのに適合している。
【0047】
任意選択的に、電圧測定電極が、耳の内側に配置するのに適合している。
【0048】
任意選択的に、電圧測定電極が円錐状でパッド付きであり、それによって、鼓膜を損傷することなく、良好な電気的接触を得るために、それらを耳の中へ十分に強く押し付けることを許容する。
【0049】
任意選択的に、フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)で、プローブが電圧測定電極に接続した耳の中の血流を測定するのに適合したプローブもまた存在する。
【0050】
本発明の実施形態において、少なくとも2つの通電電極が、少なくとも3つの通電電極を備え、電源が、少なくとも3つの異なる電圧を前記通電電極に同時に加える能力があり、それによって、所望の電流分散が、頭部の内側に生ずる。
【0051】
任意選択的に、通電電極が、所望の電流分散が、脳の所望の領域に集中するように、頭部上の位置に配置するのに適合する。
【0052】
本発明の実施形態において、
a)電源が、時間変動電源電流を生成する。
b)頭部に電界を生成する手段は、電源に接続した少なくとも1つのインダクション・コイルを備える。それは、頭部に時間変動する磁場を生成することにより、頭部に電界を生起し、頭部の電流がそれによって渦電流となる。
c)頭部の電界の変化を判断する手段は、電源内の制御装置を備える。それは、電源電流の変化率を判断し、それによって、頭部の磁場及び頭部に生起した電界の変化率を判断する。
d)少なくとも頭部の電流の変化を判断する手段は、頭部の電流により生成された磁場を感知するセンサーを備える。
【0053】
任意選択的に、電源は、10kHzないし100kHzの範囲の少なくとも一部上で動作する能力がある。
【0054】
上記に代えて又は上記に加えて、電源は、100kHzないし1MHzの範囲の少なくとも一部上で動作する能力がある。
【0055】
上記に代えて又は上記に加えて、電源は、1MHzないし10MHzの範囲の少なくとも一部上で動作する能力がある。
【0056】
上記に代えて又は上記に加えて、電源は、10MHzないし100MHzの範囲の少なくとも一部上で動作する能力がある。
【0057】
本発明の実施形態において、センサーは、前記少なくとも1つのインダクション・コイルのうちの少なくとも1つを備える。
【0058】
上記に代えて又は上記に加えて、センサーは、それを通過する磁束の変化により生起された電圧を測定する別々の感知コイルを備える。
【0059】
上記に代えて又は上記に加えて、センサーは、半導体磁場センサーを備える。
【0060】
上記に代えて又は上記に加えて、センサーは、少なくとも1つのインダクション・コイルにより生成された時間変動する磁場により生起された電界を測定する電圧測定電極を備える。
【0061】
本発明の実施形態において、耳の中に配置するサイズ・形状のフォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)の血流測定用プローブもまた存在する。
【0062】
任意選択的に、プローブは、その基部において十分に幅広であり、耳中に挿入する際に鼓膜を損傷する恐れがない。
【0063】
任意選択的に、プローブは、保持要素により取り囲まれている。耳中に挿入する際に、同一の位置での反復する光学的測定を許容する位置及び向きにプローブを保持する。
【0064】
本発明の実施形態において、装置は、持ち運び可能で、緊急医療技術者により現場で使用することができる。本発明の実施形態において、
a)頭部運動センサー、
b)血流の推定において、運動アーチファクトを低減するために、頭部運動センサーからのデータを用いる制御装置、
もまた存在する。
【0065】
本発明の典型的な実施形態における、
(a)少なくとも1つの電極を含み、少なくとも1つのインピーダンス測定を行う、インピーダンス測定システムと、
(b)脳への血流における変化を、前記少なくとも1つの測定に基づいて判断するモニタと、
を備える脳への血流を推定する装置であって、
前記少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量、少なくとも1%の量を流すように構成される、装置もまた、提供される。任意選択的に、前記量が、少なくとも10%である。任意選択的に、前記量が、少なくとも30%である。
【0066】
本発明の典型的な実施形態において、同一極性のすべての電流電極を含む前記頭部の表面上の最小の凸領域が、少なくとも1cmの幅を持つ。
【0067】
本発明の典型的な実施形態において、装置は、
i)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
ii)頭部への良好な電気接続を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
iii)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備え、前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する。また、前記モニタは、少なくともユーザに、いつ頭部のインピーダンスの変化が、血流率の重大な変化を示すかを告げる情報を表示する。上記に代えて又は上記に加えて、前記領域が、少なくとも2cmの幅を持つ。任意選択的に、前記領域が、少なくとも5cmの幅を持つ。任意選択的に、前記領域が、少なくとも10cmの幅を持つ。
【0068】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する、あるいは、少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する、あるいは、その両方である。本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する、あるいは、少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する、あるいは、その両方である。
【0069】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する。
【0070】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する。本発明の典型的な実施形態において、前記電極の少なくとも1つが、前記電極あるいは前記輪状電極が隣接する電極の部分を取り囲む輪状電極を備える。
【0071】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも電圧測定電極の部分及び通電電極が絡み合った螺旋を形成する。
【0072】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電極が、頭部の開口部内側で、頭蓋骨の開口部の近く、あるいは、頭蓋骨の薄い領域の近くに配置するのに適合する。
【0073】
本発明の典型的な実施形態において、装置は、
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、を備え、前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する。
【0074】
本発明の実施形態において、電圧測定電極が、頭部の開口部内側に配置するのに適合している。任意選択的に、電圧測定電極が、耳の内側に配置するのに適合している。任意選択的に、電圧測定電極が円錐状でパッド付きであり、それによって、鼓膜を損傷することなく、良好な電気的接触を得るために、それらを耳の中へ十分に強く押し付けることを許容する。上記に代えて又は上記に加えて、装置は、フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)で、プローブが電圧測定電極に接続した耳の中の血流を測定するのに適合したプローブを含む。
【0075】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の開口部近くに配置されるためにそのサイズ及び形状において適合する。任意選択的に、前記開口部が、眼窩であり、前記電極が閉じたまぶたの上にフィットする形状である。
【0076】
本発明の典型的な実施形態において、前記開口部が、大後頭孔であり、前記電極が、頭蓋骨の近くにフィットする形状である。
【0077】
本発明の典型的な実施形態において、前記開口部が耳であり、前記電極が、外耳道に配置するようなサイズ及び形状である。
【0078】
本発明の典型的な実施形態において、前記開口部が耳であり、前記電極が、耳の後ろに配置するようなサイズ及び形状である。
【0079】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の薄い領域の近くに配置されるように、そのサイズ及び形状において適合する。任意選択的に、前記薄い領域が、こめかみである。
【0080】
本発明の典型的な実施形態において、装置は、
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備える。前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する。また、前記通電電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量、少なくとも1%の量を流すように、集合的にかつ十分に領域内に広がり、少なくとも2つの通電電極が、少なくとも3つの通電電極を備え、電源が、少なくとも3つの異なる電圧を前記通電電極に同時に加える能力がある。それによって、所望の電流分散が、頭部の内側に生ずる。
【0081】
任意選択的に、通電電極が、所望の電流分散が、脳の所望の領域に集中するように、頭部上の位置に配置するのに適合する。
【0082】
本発明の典型的な実施形態における、
(a)少なくとも1つの電極を含み、少なくとも1つのインピーダンス測定を行う、インピーダンス測定システムと、
(b)脳への血流における変化を、前記少なくとも1つの測定に基づいて判断するモニタと、
を備える脳への血流を推定する装置であって、
少なくとも1つの電極が、子供に使用するためにサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである、装置もまた、提供される。
【0083】
任意選択的に、前記システムは、
i)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
ii)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
iii)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備え、前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する。また、前記モニタは、少なくともユーザに、いつ頭部のインピーダンスの変化が、血流率の重大な変化を示すかを告げる情報を表示する。
【0084】
本発明の典型的な実施形態において、前記電極が、新生児に使用するためにサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである。
【0085】
本発明の典型的な実施形態において、前記電極が、未熟児に使用するためにサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである。
【0086】
本発明の典型的な実施形態において、前記少なくとも1つの電極の2つの異なる電極の間の距離、あるいは1つの電極の異なるアーム間の距離が、1mmないし2mmであり、それによって、頭皮が1mmないし2mmの厚さである患者に使用するように、装置を適応させる。
【0087】
本発明の典型的な実施形態において、前記少なくとも1つの電極の2つの異なる電極の間の距離、あるいは1つの電極の異なるアーム間の距離が、2mmないし5mmであり、それによって、頭皮が2mmないし5mmの厚さである患者に使用するように、装置を適応させる。
【0088】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電極が、頭皮が1mmないし2mmの厚さの患者に使用するのに適合する。
【0089】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電極が、頭皮が2mmないし5mmの厚さの患者に使用するのに適合する。
【0090】
本発明の典型的な実施形態における、
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
d)少なくとも1つの通電電極及び少なくとも1つの電圧測定用電極が、機械的に接続している、少なくとも1つの電極構造と、
e)前記測定に基づき、血流率の重大な変化を示す信号を生成するモニタと、
を備える脳への血流を推定する装置であって、
前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する、装置もまた、提供される。
【0091】
任意選択的に、前記接続が非弾性である。代替的に、前記接続が堅いものである。
【0092】
本発明の典型的な実施形態における、
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、患者の脳内の血流を推定する方法であって、
患者の頭皮が、1ないし2mm厚である、あるいは、患者の頭皮と頭蓋骨の全体の厚さが2ないし5mmである、方法もまた提供される。
【0093】
本発明の典型的な実施形態における、
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に、それらの少なくとも1つが頭蓋骨の開口部あるいは薄い領域に隣接して配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳内の血流を推定する方法もまた提供される。任意選択的に、少なくとも1つの電極が開口部に配置される。
【0094】
本発明の典型的な実施形態における、
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳内の血流を推定する方法であって、
同一極性のすべての電流電極を含む前記頭部の表面上の最小の凸領域が、少なくとも2cmの幅を持つ、方法もまた提供される。
【0095】
本発明の典型的な実施形態は、次の節において、図面を参照して記載される。図面は、一般に、正確な縮尺ではなく、同一あるいは類似した参照番号が、図面上の同一あるいは関連した特徴に対して使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0096】
図1は、耳と関係がある2つの開口部104をもつ頭蓋骨102、及び脳を含む内部領域106を含む、上から見た頭部100の断面を示す。頭蓋骨のずっと大きいインピーダンスに支配される測定をすることなく、内部領域106の電気的インピーダンスにおける変化を測定することが望まれる。2つの陽極の通電極108が、頭部の右側で皮膚に接触しているところが示される。1つは耳の前、1つは耳の後ろである。同様に、2つの陰極の通電電極が、頭部の左側で皮膚に接触しているところが示される。これは、変化させることができる。例えば、唯一の電極がそれぞれの側に存在するように、あるいは、2つより多くの電極が、それぞれの側に存在するように。あるいは、電極が、耳の上、あるいは、下にあるように、である。また、陽極の電極の数が、陰極の電極の数に等しい必要はない。頭部の表面の例えば2%あるいは5%あるいは10%あるいはより多くの、頭蓋の大きな領域が、電極によってカバーされることは、かなりの量の電流を、頭部内部を通して流し続けることになる。また、頭皮を通して流れることにより、頭部の内部を迂回する電流の量を減少させる。これは、1つ以上の電極をそれぞれの側に有することにより、あるいは、頭部の曲率に沿う、あるいは、沿うようにすることができる大電極を有することにより、容易になる。任意選択的に、1つの大電極を頭部のそれぞれの側に有する代わりに、あるいは、それぞれの側に同一の電圧の全部で大領域を覆ういくつかの小電極を有する代わりに、頭部の少なくとも1つの側に、それが全部で小領域の薄い環であったとしても、大きな直径の輪状の電極が存在する。任意選択的に、輪状の電極の中心に、同一の電圧をもつ必ずしも大きいものである必要がない、電極もまた存在する。また、任意選択的に、環は、1つ以上の割れ目を有する。上記に代えて又は上記に加えて、たとえ電極そのものの合計が小さいものであっても、同一の電圧を有する、大領域にわたって広がる複数の電極が存在する。領域全体が、輪状の電極の内側にあるかのように、あるいは、広がった電極の分散にカバーされた領域全体が、1つの大電極であるかのように、電流は、頭皮を通してよりむしろ、頭部の内部を集中して流れる傾向がある。これらのオプションの全てが、頭部側面のどちらの1つあるいは両方に使用可能である。
【0097】
任意選択的に、電極構成は、電流の少なくとも90%が、頭部の内部を通して流れるようにする。代替的に、電流の少なくとも50%が、頭部の内部を通して流れる。あるいは少なくとも20%、あるいは少なくとも10%、あるいは少なくとも1%、である。かなりの量の電流を頭部の内部を通して流れるようにすることは、インピーダンス測定が、十分に、血流を測定するのに使用できる血液量に依存するように、頭部の内部を通して流れる十分な電流があることを意味する。
【0098】
任意選択的に、電極108及び110は、伝導性ゲル、例えば、心電図測定に使用されるものにより、皮膚との良好な電気的接触を保つようにされる。
【0099】
一定電流は、電極108から電極110へ、電源112により駆動される。代替的に、電源112は、一定電圧、あるいは、一定電圧のいくつかの組み合わせ、及び一定電流を生成する。しかし、電流が測定される。任意選択的に、頭部を通して流れる電流の所望の分散を生成するために、異なる電極は、頭部の同一の側でさえも、異なる電圧を電源によってそれらに印加する。例えば、電流は、その領域の血流を測定するために脳の1つの領域に集中させることが可能である。また、電流は、大域的な血流を測定するために、均一に分散させることができる。任意選択的に、電流密度は、脳の1つの領域では、他の領域での2倍を越える大きさである。代替的に、電流密度は、脳の1つの領域では、他の領域での50%大きい、あるいは20%大きい、あるいは10%大きい。異なる形状、サイズ、位置及び電極の電圧により生成された脳内の電流分散は、任意選択的に、有限要素解析ソフトウェアを用いて、あるいは従来技術で既知のどんな他の数値的又は分析的な方法を用いて、評価される。
【0100】
上の記載及び電源112の中に示した矢印は、DC直流電流が頭部に印加されることを、示唆しているのではあるが、実際には、安全上の理由で、交流が一般的に印加される。任意選択的に、20ないし100kHzの周波数の交流である。図1の「陽極」及び「陰極」の電極108及び110は、実際には、電源による交流電圧の180度離れた2つの異なる位相を表している。任意選択的に、交流電圧3つ以上の異なる位相が印加される、3つ以上の電極が存在する。安全上の理由により、及び、神経刺激を回避するために、電流は、任意選択的に、ある程度、電極の領域、位置に依存して、限定される。例えば、0.5ミリアンペアまで、あるいは1ミリアンペアまで、などである。これは、一定電圧電源よりむしろ一定電流を用いることの電圧優位性である。任意選択的に、電流は、これより低すぎない。例えば、0.1ミリアンペア以上である。インピーダンス測定は、より低い電流では、正確性がより少ないからである。任意選択的に、電流が20ないし40kHzの周波数で適用される。これは、最大電流を安全に流すのに、十分に高いが、電流が、大部分は血液及び他の細胞外液に限定されるのに、まだ十分に低い。また、細胞膜の高い抵抗によって、細胞内部から排除される。これは、測定されたインピーダンスを、血液量に対して最大限に敏感にしている。
【0101】
任意選択的に、電流は、20ないし40kHzの代わりに、あるいは、それに加えて、70ないし100kHzで流れる。より高い周波数範囲では、細胞膜は、既に、有限の電気容量のためにショート始める可能性がある。そして、かなりの量の電流が、血液及び細胞外液の中と同様に、細胞内へ流れる可能性がある。インピーダンスは、より高い水準の周波数範囲では、いくらか血液量の変化に敏感でない可能性があるが、電流の空間的分散は、脳全体の血液及び細胞外液の不均一な分散のために、より低い周波数と異なることができる。高い周波数におけるインピーダンスデータを取得することは、特に、それが、より低い周波数で取得したデータを補足する場合には、脳内の血流の分散について、あるいは例えば、脳の出血からの血液プールの分散について、追加のデータをもたらすことができる。任意選択的に、電流は、また、中間の周波数40ないし70kHzにおいても流れる。これは、血液分散の追加のデータをもたらす。あるいは、中間の周波数においてのみ流れる。
【0102】
典型的な実施形態において、電圧測定電極114が、耳の中に開口部104を通して挿入されて、頭蓋骨内部と比較的に良好に電気的接続する位置に到達し、通電電極108及び110の間を流れる電流と関係する頭部内部にかかる電圧を測定する。任意選択的に、電極114は、伝導性ゲルに浸ったスポンジのパッドが付いた円錐状のAg/AgCl電極である。この円錐状の形状は、良好な電気接触にするために、外耳道に電極を押し込む際に、鼓膜に電極が押圧され、可能性として損傷することを防止する。代替的に、電極114は、補聴器と同様に外耳道のような形状である。あるいは、外耳道の形状に沿うように十分に柔らかいものである。しかし、電極を比較的堅くすることは、皮膚とより良く接触して留まることができるという、潜在的優位性を有する。任意選択的に、電極114と鼓膜の間の外耳道は、完全にあるいは部分的に、伝導性ゲルで、又は別の伝導する液状材料で充填される。任意選択的に、耳のちょうど後方に配置された電圧測定電極もまた存在する。大きい全電極領域をもたらすために、また、電極領域をさらに広げるために、これらは、外耳道に配置された電圧測定電極にショートする。電極114は、高インピーダンス記録デバイス116に取り付けられる。したがって、非常に小さな電流が、電極114を通して流れる。これは、記録デバイス116により測定された電圧が、主に、電源112により生成された頭部内部にかかる電圧の電圧降下に依存すること、及び、頭蓋骨のインピーダンスあるいは、電極114と頭部の間の接触、電極108あるいは110と頭部の間の接触と関係するインピーダンスには、それほど依存しないことを意味する。代わりに、電極108と110との間の電圧が測定されたとした場合には、電圧は、頭蓋骨あるいはby接触間の電極と皮膚との間の接触により支配されることとなる。代替的に、電極114は、耳の内側に配置されず、頭部の表面に配置される。この場合においてさえも、電極108、110及び114の寸法及び配置、及び頭蓋骨の厚さ次第では、記録デバイス116により測定された電圧は、頭蓋骨にかかる電圧の電圧降下には、敏感ではない。あるいは、少なくとも、電極108と110との間の電圧が測定される場合より、頭蓋骨にかかる電圧の電圧降下に敏感ではない。また、記録デバイス116により測定される電圧は、頭部内部のインピーダンスに十分に敏感であるので、血液量の変化が検出できる。具体的には、通電電極の直径及び通電電極から電圧測定電極への距離が、頭蓋骨の厚さの少なくとも数倍大きい場合には、電圧測定電極の電位は、実質的に、頭部側面上の通電電極の電位よりも、脳表面の電位に近くなる傾向となる。いくつかの実施形態において、電極114は、こめかみに配置される。そこは、頭蓋骨が、頭部の他のほとんどの部分より薄いところである。記録デバイス116で電圧を測定するのに、頭蓋骨インピーダンスの従属性をより少なくし、頭部内部のインピーダンスにより敏感であるようにするためである。他の典型的な実施形態では、電圧測定電極114、あるいは通電電極108及び110、あるいはそれらの両方が、こめかみ上、あるいは眼窩を覆って、配置される。例えば、眼を閉じている場合にまぶたを覆って、あるいは、大後頭孔近くの頭蓋底に、あるいは、これらの位置の任意の組み合わせに配置される。
【0103】
本発明の典型的な実施形態において、図1Bで示すように、頭部の1つの側の通電電極及び電圧測定電極は、例えば、平面ディスクの形状をした、単一の電極構造117の部分である。一例を挙げれば、輪状通電電極118は、輪状の絶縁領域により、それから分離された中央の電圧測定電極120を取り囲む。図1Bは、皮膚と接触している電極構造117の面を示す。通電電極の比較的広い拡散は、より電流が頭蓋骨の高いインピーダンスを通って、脳の低抵抗へ流れるようにすることを許容する。一方、より少ない電流が頭皮の低インピーダンスの血管新生化する層を通って流れる。頭蓋骨及び脳を迂回する可能性がある。通電電極の直径が、頭皮及び頭蓋骨の厚さに匹敵する、あるいは、少なくとも頭皮の厚さに匹敵する範囲で、電圧測定電極は、高抵抗の表皮及び頭蓋骨にかかる電圧の大きな電圧降下に対して、比較的に敏感でない傾向となる。また、脳にかかる電圧の電圧降下には、比較的より敏感である傾向となる。例えば、電極構造117は、直径1cm、あるいは直径2cm、あるいは直径5cmである。電圧測定及び通電電極は、図1Bで示したものと同様に、比例した寸法を有する。または、代替的に、異なる寸法を持つ。
【0104】
本発明の典型的な実施形態において、ディスクの他の側は、それぞれ通電電極及び電圧測定電極に接続する、別々の接触点を有する。それらは、電気リードに取り付けるのに適しており、電源112と記録デバイス116に、交代で接続している。代替的に、一体型リードワイヤが、提供される。任意選択的に、図1Bで示したような電極構造が、頭部の両側面で使用される。代替の実施形態において、電極構造117の代わりに、図1Cで示す電極構造122が使用される。電極構造117にあるのと同様の、輪状の(任意選択的に、すき間があるリングの)通電電極118及び中央の電圧測定電極120が存在する。しかし、第2の電圧測定電極124が、通電電極118の外側に存在する。また、任意選択的に、中央の電圧測定電極120に電気的にショートする。電極構造122は、例えば、直径1cm、あるいは2cm、あるいは5cm、あるいはより小さいあるいはより大きい直径を有する。電極の比率は、図1Cで示す典型的な割合と同一である必要はない。電極構造117に比較して、電圧測定電極のより広い拡散は、電圧測定を、表皮及び頭蓋骨にかかる電圧の電圧降下に対して、より敏感でないようにすることができる。その上に、一定電位にある電圧測定電極の広い拡散は、頭皮における放射状の電界及び放射状の電流を低減する傾向となりえる。電流の大きな部分を、広く拡散した通電電極の効果と同様に、頭部内部を通すような傾向となりえる。
【0105】
代替の実施形態において、図1Dで示す電極構造126が使用される。この構造は、らせん形状の電圧測定電極130と絡み合った螺旋形状の通電電極128を有する。形状の詳細次第で、電極構造126は、潜在的に、通電電極に、電極構造117あるいは122よりも大きい表面領域をもたらす。それによって、頭部内部を流れるより焦点が合った電流のパターンを提供し、利用可能表面領域をより有効に使用する。電圧測定電極130に対するより大きい表面領域は、同様の利益をもたらすことができる。電極の異なるアームの幅及びそれらの間隔が、少なくとも頭皮及び/又は頭蓋骨の厚さに匹敵するものである限りは、電圧測定電極は、いずれの通電電極及び皮膚の間の電圧降下と同様に、接触不良による、頭皮及び/又は頭蓋骨での電圧降下に対して、比較的敏感でない傾向となる。また、脳にかかる電圧の電圧降下に対し比較的により敏感となる。例えば、図1Dにおける螺旋の隣接する曲がりは、1mm離れた間隔、あるいは2mm、あるいは5mmであり、電極構造126は、1cmの直径、あるいは2cm、あるいは5cmの直径を有する。これらの基準に合致する、多様な幾何学的な構成をもつ電極構造は、1つ以上の電極構造117、122及び126により提供されるものに似た利益をもたらすことができる。
【0106】
任意選択的に、電極構造117、122及び126のいかなる組み合わせも、例えば、図1Aに示すような、別々の通電電極及び電圧測定電極と同様に、使用される。任意選択的に、2つより多い電極構造が、頭部に配置される。しかし、任意選択的に、電流を生成し、電圧を測定するときには、それらの2つのみが使用される。これらの2つの電極構造、あるいは電極の別々のセットは、頭部の反対側面に対称的に配置することを必要としない。しかし、例えば、1つを、眼窩を覆って配置し、1つを耳の近くに配置するということができる。電極構造を異なる位置に配置することは、頭部の異なる領域におけるインピーダンスについて情報を与えることができる。電極が眼窩を覆って配置された場合には、眼は、なるべく閉じる。例えば、患者の意識が無く、電極をまぶたのうえに配置したりするからである。
【0107】
任意選択的に、図1B、1C、及び1Dで示したもののような電極構造、あるいは例えば、図1Aで示したもののような別々の電極は、開口部又は、頭蓋骨の薄い領域を覆ってあるいは近くに、配置される。例えば、耳、眼窩、こめかみ及び大後頭孔である。任意選択的に、電極構造あるいは別々の電極は、堅い平面ディスクではないが、それらの領域の頭部の形状のフィットするような形になるように十分に柔軟である。あるいは、比較的堅いが、任意選択的に、個々人の少しずつ異なる頭部形状に調整することができるある柔軟性を有し、小さなすき間を充填するために使用する伝導性ゲルで、それらの領域の頭部の形状のフィットするような形になる。電極構造剛性、及び皮膚に取り付けるやり方は、任意選択的に、どこに取り付けるかに依存する。例えば、あまり圧力を及ぼさない柔らかい電極構造は、こめかみに使用するよりは、眼への不快感や損傷を回避するために、閉じたまぶたに使用することができる。任意選択的に、伝導性ゲルは、電極構造の全部の面を覆わない。しかし、電極そのものの上及び近傍のみに適用される。あるいは、通電電極が隣接する電圧測定電極にショートしないように、通電電極の上及び近傍のみに適用される。
【0108】
任意選択的に、電極は、異なる人、例えば成人や子供の使用に対して、異なるサイズ及び/又は形状で供給される。任意選択的に、異なる人々は、同一のサイズ及び形状の電極の使用することができる。しかし、電極の異なる部品は、異なる人々の皮膚との良好な接触を得ることができる。
【0109】
記録デバイス116で、測定された電圧を、電源112により生成された電流により分割することは、脳の血液量に関する内部領域106の電気インピーダンスの測定を可能とする。任意選択的に、電源112により生成された電圧は、記録デバイス116により測定された電圧に加えて、あるいはその代わりに、インピーダンスの計算に、使用される。可能性として、記録デバイス116により測定された電圧の合理性のチェックとして、である。しかし、しばしば、電源112により生成された電圧は、記録デバイス116により測定された電圧よりも、頭蓋骨インピーダンスに、もっと影響され、頭部内部のインピーダンスには、あまり影響されない。AC電流が使用される場合には、もちろん、電流及び電圧は、それぞれ、振幅及び位相を表す複素数で表現される。例えば100kHzを越える非常に高い周波数では、細胞膜の電気容量は、ショート回路のようになり始め、電流が、ほとんど、細胞を取り囲む血液や他の流動液を流れるのと同じように、容易に流れるようになる。これらの高い周波数では、頭部のインピーダンスは、より低い周波数でよりも、血液量にあまり敏感でなくなる。血液及び細胞外液の量だけでなく細胞を含む脳の全体積に依存することになるからである。任意選択的に、この理由により、約100kHzより低い周波数が、頭部のインピーダンス測定をするために使用される。任意選択的に、記録デバイス116あるいは電源112により測定された電圧の相対位相の測定、及び電源112により生成された電流は、特により高い周波数例えば100kHzにおいて、頭部のインピーダンスの測定に使用される。そのような位相測定は、100kHzに匹敵する周波数において潜在的に有用である。そこでは、頭部のインピーダンスが、細胞膜による実質的に容量性要素を有する。インピーダンスの容量性部分が血液量に敏感でない、あるいは、血液量に対して頭部の抵抗性インピーダンスとは異なる依存関係を有する場合には特にそうである。たとえ測定されたインピーダンスが、頭蓋骨インピーダンスや細胞膜の電気容量などの望まない効果により大きく影響されても、測定されたインピーダンスは、それがなお著しく血液量に依存する場合には、血液量の測定にまだ有用である。
【0110】
任意選択的に、インピーダンスは、決して実際に計算されない。しかし、血液量は電圧データから直接判断される。電源112により生成された電流が常に同一の場合には、特にそうである。あるいは、電源へのフィードバックは、記録デバイス116により測定された電圧を一定(すなわち、一定の振幅及び位相)に保持するのに使用される。また、電源112により生成された電流は、血液量を直接判断するのに使用される。これらの方法の変形、例えば、電圧及び電流のある線形組み合わせを同一に保つことは、当業者には明白なものである。
【0111】
図2Aは、いくつかの脈動周期をカバーするある期間にわたって、図1に記載されたように測定された抵抗性インピーダンス対時間の、プロット200を示す。垂直の軸202は、インピーダンスあるいは抵抗を表し、水平の軸204は、時間を表す。平均抵抗Rは、時間とともに、垂直の軸上のレベル206により与えられる値を有する。また、抵抗ΔRの変化量は、間隔208で示す脈動周期と関係がある。抵抗は、脈動の心臓収縮フェーズ中、脳の血液量Vが、より高いときに減少する。また、心臓拡張フェーズ中、血液量Vがより低いときに増加する。脈動期間にわたる血液量の相対的変化ΔV/Vは、ΔR/Rに匹敵する。必要なら、ΔV/V及びΔR/R間の正確な関係は、所電極の定の構成に対して、ΔR/Rの測定値を従来技術で知られている他の手段で行った血流の測定と、比較することにより、較正することができる。脳への血流は、ΔV/Vに、全脳血液量V(例えば、既知の人間の平均値から推定)及び脈動率を乗ずることにより、見出される。
【0112】
たとえ較正が行われなくても、あるいは、たとえ較正した患者とは異なる患者に適用されて較正が正確でなくても、この技術で得られた血流の見積もり値は、いくつかの関心あるアプリケーションに対してまだ適正である。例えば、心肺蘇生法(CPR)がいったい機能するのかの判断や、手術中の脳への血流の突然の減少を検出することである。心肺蘇生法(CPR)が、適切に施されない場合には、あるいは、脳への血流が、脳卒中あるいは手術中に起こる別の突然の出来事により低減する場合には、脳への血流は、本質的にゼロあるいは正常より非常に低くなり得る。また、たとえ、技術が血流絶対値を非常に正確に測定しなくても、これは検出することができる。
【0113】
図2Bは、外耳道104に挿入された電圧測定電極114のクローズアップの図を示す。電極114は、電圧データを分析し、頭部インピーダンス及び血流ついての情報を表示する記録デバイス116に接続している。電極114は、電気的伝導性ゲルに浸ったスポンジ218に取り囲まれている。電極114は、円錐状の形状で、耳に挿入されたときに、鼓膜に到達するには、基部において幅が広すぎるものである。任意選択的に、電極114と結合した、耳の血流の光学的測定を行うためのシステムが存在する。例えば赤あるいは赤外線のレーザーあるいはレーザーダイオードの光源220は、光を光ファイバー222通して送出する。光線224は、耳内側の表面226で反射する。例えば、鼓膜、あるいはその色が血流及び/又は血液の酸化に影響される別の表面である。スポンジ218は、光ファイバー222を、測定が反復された場合に、光線224が常に実質的に同一の場所から反射するように、十分堅固に所定位置に保持する。それで、反射率のいかなる変化も、ファイバー222の位置あるいは向きが変化したためよりむしろ、血流あるいは酸化による変化となる。反射した光は、別の光ファイバー228に到達する。それは、光を分析器230へと運ぶ。ファイバー228は、また、スポンジ218により、堅固に所定位置に保持される。分析器230は、血流率、及び/又は血液の酸化の程度の測定あるいは推定するために、表面226反射率についての情報を用い、任意選択的に、方法を表示する。分析器230及び光源220は、任意選択的に、当業者に既知のフォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)のいかなる既存のシステムに基づいている。任意選択的に、光ファイバー222及び/又は光ファイバー228の代わりに、複数の光ファイバーを備えるファイバー光学部品ケーブルが使用される。任意選択的に、ファイバー222及び228は、電極114を記録デバイス116に接続するワイヤと共に束ねられる。任意選択的に、分析器230は、記録デバイス116と共にパッケージされる。任意選択的に、分析器230からのデータは、記録デバイス116からのデータと結合し、その結合したデータに基づいて、単一の血流の推定が表示される。任意選択的に、ファイバー222及び228、及びスポンジ218、あるいはプローブを所定位置に保持するための同様の要素を備えプローブは、たとえ電圧測定電極114が、耳の中に配置されなくても、耳内の光学的測定に使用される。
【0114】
脳内に電流を生起し、電圧を測定する異なる方法が、図3A、3B、及び3Cに図解されている。脳内に電流を生起するために、頭部の周りに、異なる向きで配置されたコイルを示す。異なるコイル構成あるいは回転又は振動する永久磁石の使用、あるいは頭部に時間変動する磁場を生成する電磁石の使用を含む、他の磁気誘導の方法は、同様に、使用することができる。生起された電流を測定することは、生起された磁気及び電界へのその効果を測定することにより、脳のインピーダンス、従って、脳の血液量についての情報を与える。図3Aにおいて、コイル302、頭部の各側面のものは、その中に、電源304に駆動されたAC電流を有し、頭部の内側にAC磁場を生成する。変化する磁束は、頭部に電界を生起する。それは、コイル302中で電流に平行であるが、反対方向である。AC磁場は、任意選択的に、十分大きく、生起された電界は、下に論ずるように、測定可能な効果を生成するのに十分大きい。しかし、周辺的な末梢神経系あるいは中枢神経刺激を生成しないためには、十分に小さい。任意選択的に、神経刺激のしきい値は、より高いAC磁場が使用できるようにするために、連続した短い脈動あるいは従来技術で知られている他の方法を用いることにより増加する。生起された電界は、脳のインピーダンスに依存する振幅の渦電流が脳内を流れるようにする。渦電流は、順次、それ自身の磁場及び関連した生起された電界を生成し、脳の内側の磁束を低減する。コイル306は、コイル302により生成されたAC磁束と関係がある電圧を測定する。そして、この電圧は、記録デバイス308により、記録される。脳内を流れる渦電流に起因する磁束の減少は、記録デバイス308により、検出することができる。生起された電圧がより低い、すなわち、コイル302及びコイル306間の相互インダクタンスが、低減するからである。渦電流は、また、相互インダクタンスに、虚数部分(消散部分)を与える。これは、相互のインダクタンスの実数部分における減少よりも、容易に検出できるものである。脳の絶対インピーダンスの推定は、どのようにコイル302及び306の相互のインダクタンスが、AC電流の周波数とともに変化するかを観測することにより、行うことができる。そのような脳のインピーダンスの絶対値の推定することなしでも、脳のインピーダンスの時間とともにする変化は、脈動周期中に、脈動周期中の相互のインダクタンス変化を観測することにより、検出することができる。
【0115】
任意選択的に、コイル302により生起された電界は、図1A及び2Bで示す電圧測定電極と同様に、頭部上あるいは頭部内に配置された電極により測定される。電極は、例えば、耳の中あるいは鼻の中に配置される、あるいは、電気的伝導性ゲルと一緒に、こめかみ又は頭部上のほかの場所に配置される、形状及び大きさである。生起された電界は、脳のインピーダンスに依存する。それが、脳のインピーダンスに依存する渦電流により修正されるからである。
【0116】
ここで、コイル302中のAC電流の周波数を選択するためにいくつかの考慮がなされる。体組織に典型的な2オームの脳抵抗性に対して、脳のインピーダンスに依存する渦電流により生成された磁場は、脳のスキンデプスが、その半径約10cmに匹敵するときに、インダクション・コイルにより生成された磁場に匹敵することになる。これは、約50MHzの周波数で起こる。しかしながら、100kHzよりかなり上の周波数では、細胞膜のインピーダンスは、電流が、細胞の外側と同様に内側を自由に流れるように効果的にショートすることができる。したがって、脳の抵抗性は、いくらかより低く、渦電流が、約30MHzにおいて重要となる。脳のインピーダンスは、そのような高い周波数においては、細胞内側を通る伝導経路のため、100kHzより低い周波数のときより、血液量にあまり敏感ではない。しかし、インピーダンスは、まだいくらか血液量に敏感である。血液量が増加するときには、脳の、細胞の内側及び外側の流動体の全体積が、まだ増加するからである。任意選択的に、約10MHzの周波数、あるいは数10MHz、あるいは、約100MHzでさえも、使用される。血液量が、この周波数範囲の渦電流に対して、最も大きな効果を有することができるからである。30MHzよりかなり上の周波数では、渦電流は、磁束を脳の内部から大部分排除することができる。また、コイルの相互インダクタンスは、血液量にあまり敏感でないようにできる。任意選択的に、使用される周波数は、渦電流が磁場を頭部内側のどの点でも、1.5分の1を越えて低減しないように、十分低い。代替的に、渦電流が、磁場を、3分の1より、あるいは6分の1より低減しない。30MHzよりかなり下の周波数では、相互インダクタンスの実数部分の小さな変化は、検出することが困難であろうが、消散部分での変化は、30MHzよりかなり下の周波数に比例するものであり、100kHzより下であっても、それが、支配的な消散項であれば、検出するのが比較的に容易である。任意選択的に、数10kHzの間の周波数、約100kHz、あるいは数100kHzが、使用される。それらは、数10MHzの周波数より、容易に機能し、血液量に対する十分な感度をまだもたらすことができるからである。代替的に、数100kHzの周波数、約1MHz、あるいは数MHzが、使用される。それらは、感度と使用の容易さとの最良のトレードオフをもたらすことができるからである。異なる周波数での渦電流は、脳の異なる空間的分散を有することができる。皮膚効果(主に1MHzより上の周波数で異なる)、及び細胞膜の有限電気容量(主として1MHzより下の周波数で異なる)の両方のためである。
【0117】
渦電流は、また、頭部に配置された電極により生成される電流と、脳内に異なる分散を有することができる。電流の異なる分散は、頭部の血液の分散について異なるデータをもたらすことができる。例えば、局所的に1つ以上の位置に、血液プールをつくる脳の出血がある患者である。任意選択的に、さらに脳内の血液の分散についてデータを取得するために、渦電流は、1つ以上の周波数で生起される、あるいは、脳内に電流を生起するためにコイル及び電極の両方が使用される。
【0118】
任意選択的に、インダクション・コイル302中の電流は、末梢神経系あるいは中枢神経刺激を引き起こさないような、有害な健康への効果や脳又は他の体組織を熱することからの不快感を引き起こさないような、十分小さい大きさである。電流の周波数及び持続時間に依存する最大安全電流は、例えば、磁気共鳴画像化の分野の当業者にはよく知られている。任意選択的に、最大安全電流より少ない電流は、わずかのパーセントしか最大安全電流より少ない電流でも、時々しか使用されない。あるいは、何倍も少ない電流はさらに使用されない。測定の精度を犠牲にしないためである。
【0119】
任意選択的に、生起された電圧を検出するのに、別々のコイル306を用いる代わりに、コイル302が、起された電圧を検出するのに使用される。すなわち、コイル302及び306の間の相互インダクタンスの代わりに、コイル302の自己インダクタンスが使用される。しかしながら、自己インダクタンスではなく相互インダクタンス用いることの可能な優位性は、記録デバイス308が高インピーダンスを有する場合に、コイル306中の電圧が、コイル302の抵抗あるいはコイル306の抵抗に敏感とならないことである。具体的には、相互インダクタンスの消散部分は、記録デバイス308により測定された電圧の支配的な消散項であり得え、測定を容易にする。他方、コイル302の自己インダクタンスが使用される場合には、インダクタンスの消散部分は、コイルの抵抗に比較すれば小さいもので、測定するのが困難となる。
【0120】
上記に代えて又は上記に加えて、コイル電流により及び渦電流により脳内に生成された磁場は、例えばホールセンサ、磁束磁力計あるいは超電導量子干渉素子(SQUID)などの磁気のセンサーにより、測定される。そのような磁気のセンサーは、頭部を取り巻く大コイルよりさらに局所的な磁場測定を与えることになる。また、データに血流の局所的変化への重みを与え、可能性として、大コイルからのさらに大域的なデータを補完する。大域的なデータは、また、任意選択的に、取得される。
【0121】
図3Aは、頭部の側面上の2つのコイル302及び頭部の中央平面近傍の、しかし首の反対の側面をまわっている2つのコイル306を示す。しかしながら、コイルは、図に示したように対称的に配列される必要はない。任意選択的に、唯一のコイル302、あるいは唯一のコイル306が存在する。任意選択的に、コイル302は、頭部の中央平面に近く、コイル306は、頭部側面に配置される。コイルの最適の構成は、任意選択的に、磁気有限要素法、あるいは従来技術で既知のどんな他の数値的又は分析的な方法を用いることにより、見出すことができる。
【0122】
図3B及び3Cは、頭部に関して他の方向に方向付けされたコイル302及び306を示す。コイル間の適正な相互インダクタンス及び相互のインダクタンスの脳のインピーダンスへの適正な依存関係を取得するのに加えて、コイルの向きを選択する際の別の考慮は、コイル位置を頭部に対して頑固に保持する能力である。コイルの位置における変化は、それらの相互インダクタンス及び自己インダクタンスに影響することになり、脳のインピーダンスの計算において、偽の変化として現れ得る。
【0123】
図4は、図3Bに示すのと同じく、部の前部及び背部に配列されたコイル402を示す。コイル406は、コイル402により生起された磁束を測定するために、頭部の頂点からあごの下へとまわっている。脳410が、頭部の内側に示される。コイル402中の電流412が1つの方向に流れるときに、生起された渦電流414は、脳内を反対方向に流れる。しかし、2つの電流は、180°の位相のずれより少ない。(同様に、脳内に生起された渦電流は、また、図3Aあるいは3Cで示すように、コイル構成とともに見える。しかし、電流は、異なる方向に、一般にはコイル中の電流の流れと反対に、流れることとなる。)電流414は、脳の内側の磁束を低減し、コイル402及び406を通過する全磁束を低減する。電流414もまた、コイル402及び406を通過する磁束の位相を、コイル402中の電流412の位相に対して、変化させる。磁束の振幅及び位相における、この変化は、コイル406により、電流412の振幅及び位相に対するコイル406の電圧の振幅及び位相における変化として検出される。したがってコイル406の電圧の振幅及び位相は、脳410のインピーダンスについて情報をもたらす。
【0124】
任意選択的に、図面に図示していないが、高い磁気透過性のC−形状素子が、図3A、3B、3Cのいずれも、コイル302中の所定の電流に対して、脳に生起された磁場を増加するために、2つのコイル302の間を伸びている。これは、要求された電源のサイズ及びコストを低減し、コイルのオーム加熱を低減して、所定の磁場及び脳に生起された電界を生成する。そのようなC−形状素子は、しかしながら、渦電流及び磁気材料の履歴現象によるエネルギー損失の追加的供給源を導くという潜在的な不利点を有する。これは、コイル302により脳内に導かれた渦電流を検出することをより困難にする可能性がある。また、多くの高透過性の合金は、高い周波数、特に1MHzより上では、より低い透過性を有する。任意選択的に、渦電流を低減し、効率的な透過性を増加するために、C−形状素子は、ラミネートされる。任意選択的に、C−形状素子は、バナジウムパーメンジュールあるいは、低磁気異方性を有する類似の合金で作られる。その透過性が、高い周波数では、他の高透過性材料ほど降下しないからである。
【0125】
図5A及び5Bは、例えば病院設備で手術中に使用するのに適した本発明の持ち運び不可能な実施形態と対照的に、潜在的に現場で使用するのに適した持ち運び可能な本発明の実施形態を図解する。アセンブリ502は、図5Aのようにこめかみに、あるいは、図5Bのように、耳に、及び電圧測定電極を、任意選択的に、耳に挿入して、配置された、通電電極及び電圧測定電極の両方を含む。任意選択的に、頭部の各側面のアセンブリ502は、耳覆いに似ており、耳の外側の通電電極と耳の内側の電圧測定電極とで、耳をカバーする。任意選択的に、1つ以上の通電電極が、それぞれの側に存在する。任意選択的に、いくつかの電極が、こめかみ上あるいは頭部のほかの場所に配置される。また、それらのいくつかは、耳の上または中に配置される。
【0126】
上記に代えて又は上記に加えて、アセンブリ502は、渦電流を脳内に生起するコイル及び渦電流を検出するコイルあるいは他の磁気のセンサーを含む。任意選択的に、アセンブリアセンブリ502がコイルを含む場合には、それらは、アセンブリ近くに集中させるよりむしろ、脳内により均一に磁場を生成するために、そしてまた、所定の磁場が生成されたときに、コイルにより生成されたオーム電力を低減するために、実質的に図5A及び5Bに示すよりも大きい。あるいは、コイルは、小さく、耳に挿入される。特に、耳の近くのインピーダンスの局所的測定をするためである。
【0127】
モニタ504は、任意選択的に、インピーダンス測定から判断した血液量あるいは血流率を、時間の関数として表示する。上記に代えて又は上記に加えて、モニタ504は、警告の光を有する。例えば、脳への血流率が満足できるものであるときに点灯する緑の光、及び血流率が低すぎる、あるいは突然変化したときに、点灯する赤い光、及び/又は音を鳴らすブザーである。任意選択的に、モニタ504は、救急医療技術者がモニタを見ているときに取捨選択しなければならない情報を最小にするために、5つあるいはそれより少ない警告光を有する。
【0128】
任意選択的に、電源は、モニタ504と共にパッケージされる。代替的に、図5A及び5Bに図示されていないが、別々の電源が存在する。
【0129】
図6は、本発明の同様の実施形態を示す。しかし、モニタ504が患者の前に搭載されている。代替的に、2つのモニタが存在する。1つは、患者の前額部に搭載され例えば、わずかの警告光しか有さず、1つは、患者には搭載されず、より多くの情報を表示する。
【0130】
任意選択的に、図1A及び2Bの記録デバイス116、図1Aの電源112、図2Bの分析器230、図3A、3B、及び3Cの電源304、図3A、3B及び3Cの記録デバイス308、及び図5A、5B及び6のモニタ504、のいずれも、通電電極あるいはコイルに送られる電流を制御し、データを分析する制御装置を備える。任意選択的に、制御装置は、CPU、パワー・エレクトロニクス、AC/DC変換器、及びソフトウェア及びデータを蓄える非揮発性記憶、のいずれをも含む。任意選択的に、例えば、電源及び記録デバイスなど、制御装置の異なる要素が、異なる場所に配置される。及び/又は、制御装置あるいは制御装置の部品分は、別々にパッケージされる。
【0131】
これらの可搬性のあるバージョンは、例えば、心肺蘇生法(CPR)実行中に救急医療技術者により、心肺蘇生法が効果的に行われているかをモニタするために使用することができる。研究(例えば、S.Braunfels、K.Meinhard、B.Zieher、K.P.Koetter、W.H.Maleck、及びG.A.Petroianu、「救急車におけるランダム化され制御された胸骨圧迫法の有効性の試行」、Prehosp.Emerg.Care1997年7月−9月号(3)128−31ページ、など)は、フィードバックがない場合、心肺蘇生法(CPR)は、しばしば非高率的に行われていることを示している。これらの参考文献の開示は、ここに参照により組み込まれる。
【0132】
上で言及した本発明の実施形態のいずれにおいても、電極、コイル、あるいはセンサーに相対する頭部の運きは、測定された血液量の偽の変化、従って、偽の計算された血流を生成することができる。そのような動きのアーチファクトを低減するために、種々の方法が、任意選択的に使用される。例えば、脈動周期と相互関連するいかなる動きの効果も、任意選択的に、時間平均により低減する。そのような平均化は、脈動と相互関連する動きによる血流の計算において、動きのアーチファクトを削除することになる。例えば、心肺蘇生法(CPR)の実施と関係がある動きである。動作のアーチファクトもまた、任意選択的に、頭部を固定して保つことにより、また、電極、コイル、及びセンサーをしっかりと、頭部に対し所定位置に保つことにより、低減される。任意選択的に、動きのアーチファクトは、頭部の動きを検出する加速度計を用い、動きのアーチファクトのモデリングをすることよって、あるいは、単に、頭部がそれほど動いていないときに、採取されたデータを用いて、補償される。追加的に、又は、代替的に、首で検出された脈動が、たとえ首の脈動が、直接血流を測定するための使用に適したものでないとしても、動きのアーチファクトを脳内の血流の真の効果から区別するのに、使用される。
【0133】
脳内の血流測定のこれらの技術の電圧応用は、デバイスをそれぞれの応用に適応させることにより、最も役立つ可能性がある。下に例をあげる。
【0134】
1)例えば、不整脈、心筋梗塞、心臓の停止、あるいは外傷性出血性ショックといった、緊急医療の状況に対して、デバイスは、任意選択的に、内蔵型電源を有したぶんバッテリー動作する持ち運び可能になり、及び/又は限定された情報のみが表示されるモニタを有する。
【0135】
2)外傷性脳損傷の患者の追跡治療として、デバイスは、任意選択的に、家庭での使用に、十分に持ち運び可能であり、十分に頑丈なであり、バッテリーあるいは壁のコンセントからの交流電源を用いる。及び/又は、患者あるいは家族が少しのトレーニングで、使用するのに、十分に単純なモニタを有する。また、任意選択的に、例えば、訪問看護師に使用される追加の情報もまた表示する。
【0136】
3)脳への血流をモニタするために、外科手術処置に先立って及び手術中に、特に頚動脈血管内膜切除術の手術では、装置は、持ち運び可能であるあるいは、カートに載せて移動させてまわる必要はない。また、任意選択的に、外科手術の処置中に実時間で、例えば血流の減少に応じて変更が可能になるように、手術室で、外科医あるいは他の医療人員に関心があるデータを表示する。
【0137】
4)例えば脳卒中、失神、及び鎌状赤血球性貧血などの脳の血流の障害がしばしば起こる病気に苦しむ患者をモニタするために、装置は、任意選択的に、脳の異なる領域における局所の血流を測定する。また、任意選択的に、異なるバージョンで供給される。1つは、病院で使用向け、例えば集中治療室での使用向けであり、1つは、家庭での長期間モニタ用である。
【0138】
5)新生児の集中治療室での使用に対して、装置は、持ち運び可能であることは必要ではない。しかし電極あるいはコイル及びセンサーは、任意選択的に、新生児及び未熟児の使用に適合したサイズ、形状及び/又は取り付け方法である。モニタは、任意選択的に、他のバイタルサインのモニタと一体化される。また、脳の血流に重大な変化が検出された場合に、例えば、ナースステーションに警報を鳴らすように構成される。任意選択的に、モニタは、また、血流に悪影響する活動、時間及び/又は治療を記録する。
【0139】
6)心肺蘇生法(CPR)に対して、それが効果的に機能していることを検証するために、装置は、任意選択的に、数回の胸骨圧迫毎に、脳内の血流を積分する。例えば、肺が拡張する毎に、である。また、心肺蘇生法(CPR)を行っている人が、胸骨圧迫が脆弱すぎるか、あるいは、強すぎるかが、すぐさま分かるように、あるいは、遅すぎるか、あるいは速すぎるかがすぐさま分かるように、または、心臓が自分で鼓動を始めたかがすぐさま分かるように、大きなダイヤル上に、あるいは光の配列で、結果を顕著に表示する。装置の可搬性のあるバージョンは、任意選択的に、現場であるいは救急車での救急医療技術者により、使用される。例えば、カートに載った可搬性がより少ないバージョンは、任意選択的に、病院の救急病棟で使用される。
【0140】
これらの応用に対して、脳への血流の正確な測定は、必ずしも必要ではない。しかし、血流の大きな変化、あるいは、血流の存在又は血流が無いことを検出することは重要である。システムの低コストの可能性、及びそれが、比較的少ないトレーニングをした人により使用できるという事実は、これらの応用、特に心肺蘇生法(CPR)に重要である。例えばTCDなど脳の血流を測定する既存の方法に対する、この技術の他の潜在的優位性は、それが血流を実時間で連続的に測定するという事実、それが、唯一の機能が装置を動かすことであるオペレータを必要とせず、自動的に動作するという事実、それが、局所的よりむしろ大域的な血流測定するという事実、及び本発明のいくつかの実施形態での装置の小さいサイズ及び可搬性を含む。
【0141】
ここで用いたように、「同一の電極の2つの部分」は、2つの別々の電極が、電気的にショートして一緒になっている場合を含む。
【0142】
本発明は、実施のための最良の態様の文脈で記載されてきた。図面で示された、あるいは関連した文章に記載された全ての特徴が、本発明いくつかの実施形態による実際のデバイスに存在していなくてもよいことを理解すべきである。その上、示された方法及び装置上の変形は、本発明の範囲に含まれるが、それらは、当業者によって、すぐに明白となるものであり、すぐに達成されるものである。本発明は、請求項によってのみ限定される。また、1つの実施形態の特徴は、本発明の異なる実施形態の特徴と結びついて提供される可能性がある。「備える」、「含む」の単語及び、それらの活用形は、ここでは、「含むが、必ずしも限られるものではない」を意味するものとして使用される。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1A】図1Aは、本発明の典型的な実施形態による電極を付けた頭部の概略断面図である。
【図1B】図1Bは、電極構造の表面の図面である。本発明の3つの他の典型的な実施形態によれば、表面は、皮膚に向かって配置される。
【図1C】図1Cは、電極構造の表面の図面である。本発明の3つの他の典型的な実施形態によれば、表面は、皮膚に向かって配置される。
【図1D】図1Dは、電極構造の表面の図面である。本発明の3つの他の典型的な実施形態によれば、表面は、皮膚に向かって配置される。
【図2A】図2Aは、本発明の、図1A〜1Dに示すものと同一あるいは異なる典型的な実施形態による、典型的インピーダンスデータの概略プロットである。
【図2B】図2Bは、電極及び耳に挿入された光学的プローブを示す概略断面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の3つの他の典型的な実施形態のうちの1つによる、インダクション・コイルを付けた頭部の概略斜視図である。
【図3B】図3Bは、本発明の3つの他の典型的な実施形態のうちの1つによる、インダクション・コイルを付けた頭部の概略斜視図である。
【図3C】図3Cは、本発明の3つの他の典型的な実施形態のうちの1つによる、インダクション・コイルを付けた頭部の概略斜視図である。
【図4】図4は、図3Bと同一の本発明の実施形態による、脳及びインダクション・コイルを示す頭部の概略図である。
【図5A】図5Aは、本発明の3つの異なる典型的な実施形態による電極を付けた頭部及びモニタの斜視図である。
【図5B】図5Bは、本発明の3つの異なる典型的な実施形態による電極を付けた頭部及びモニタの斜視図である。
【図6】図6は、本発明の3つの異なる典型的な実施形態による電極を付けた頭部及びモニタの斜視図である。
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2004年7月15日に提出された米国出願第10/893,570号の一部継続出願である。これは、2003年1月15日に提出されたPCT出願第PCT/IL03/00042号の一部継続出願である。これは、また、2002年1月15日に提出された米国仮出願第60/348,278号の米国特許法119条(e)の下での利益を主張するものである。本出願は、また、同日に提出された代理人事件整理番号第371/04418号の、「脳の潅流モニタ」と表題がつけられたPCT出願に関連している。これらの出願の開示内容は参照により本明細書にここに組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明の分野は、例えば、脳への血流を測定する医療機器の領域である。
【背景技術】
【0003】
いくつかの医療中の出来事及び処置において、脳の血流を測定する要求がある。脳への血流のいかなる障害も、脳細胞の機能への損傷を引き起こす可能性があるからである。その障害が長期に渡る場合には、脳細胞の死さえ引き起こす可能性がある。脳への血流を維持することは、特に重要である。脳細胞は、他の細胞より、酸素の欠乏に脆弱であり、脳細胞は、通常、損傷後に再生することができないからである。不整脈、心筋梗塞及び外傷性出血性ショックを含む、多数の共通の状況が、一般的に、脳への血流の減少を引き起こす可能性がある。そのような場合、脳内の血流量及び流率の変化についてのデータは、脳組織への損傷のリスク及び治療の有効性を評価するのに、非常に重要となり得る。そのようなデータが利用可能であれば、脳の血流を増加させ、脳への永久的な損傷を防止するために、タイムリーに各種医療処置を施すことを可能とする。
【0004】
脳の血流を測定する既存の手段は、複雑で、高価で、かつ、場合によっては侵襲性があり、その有用性を制限するものである。次の3つの過般性のない方法が、現在、研究のみに使用されている。1)放射性キセノンを頚動脈に注入し、脳の全体に広がるさいにその放射を観測する方法。2)陽電子射出断層撮影法。これもまた、放射性材料の注入に基づくものである。3)磁気共鳴血管造影法。部屋ほどの大きさの、高価な、磁気共鳴画像化システムを用い、結果を与えるために数分を要求するものである。4番目の方法は、経頭蓋ドプラー検査(TCD)である。これは、超音波を用い、侵襲性ではなく、かつ、即時的に結果を与えるものである。しかしながら、TCDは、頭蓋を通して音波を通過させる困難性により、約15%の患者でうまく行かない。また、それは、長期に渡るトレーニングを受け、試行を行い結果を判読することを経験した、専門家による高度なスキルを要求する。TCDの別の不利な点は、局所的な血流のみを測定し、大域的な血流を測定しないことである。
【0005】
胸部のインピーダンス測定は、鬱血性心不全をもつ患者の肺の中の細胞内液及び細胞外液をモニタする既知の技術である。低周波数での胸部の抵抗インピーダンスが、外側細胞の外に存在し、比較的に高い電気伝導性を有する血液及び他の電解液の量に依存するので、この技術は効果的である。(他方、胸部の容量性のインピーダンスは、主として細胞内部の流動体の体積に依存する。)胸部のインピーダンスの測定における複雑な影響は、呼吸周期での肺の中の空気量の変化である。空気は非常に高い抵抗性を有するからである。この影響を補償するために、さまざまな方法が開発されてきた。例えば、米国特許第5,788,643号、第5,749,369号、及び第5,746,214号を参照されたい。これらの開示内容は参照により本明細書にここに組み込まれる。
【0006】
これらのインピーダンス測定において、電流は、しばしば、電極の一セットをつけた胸部を通過する。また、異なる電極のセットが、電圧測定をするために使用される。この「4つのワイヤ」の方法が、本質的に、通電回路中の胸部と直列にいかなるインピーダンスを通して流れる電流と関係がある電圧降下を除外する。例えば、通電電極及び皮膚との間の接触不良による(可能性として、予測できないほどの変化するもの)、あるいは電流を供給する電源内のものである。これらの電圧降下は、胸部のインピーダンス測定の利益にならず、別の電圧測定回路では起こらない。高いインピーダンスを有し、その中を非常に少ない電流しか流れないからである。
【0007】
フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)は、皮膚、例えば、指、あるいは耳たぶの表面からの赤あるいは赤外線の反射率を用いて血流及び血液量をモニタするのに使用される別の技術である。例えば、John G.Webster編集「医療器具の使用、応用及び設計」(Wiley、1997)における、J.Webster、「血流及び血液量の測定」を参照されたい。これらの開示内容は参照により本明細書にここに組み込まれる。
【0008】
磁気的に、頭部を含む体の中に電界を生起することは、いくつかの既存の医療処置、主に、末梢神経系あるいは中枢神経系を刺激するのに使用される。例えば、PCT公開第WO96/16692号である。その開示内容は参照により本明細書にここに組み込まれる。末梢神経刺激は、また、磁気共鳴画像化に使用される時間変動磁場のよく知られた好ましくない副作用である。
【特許文献1】米国特許第5,788,643号
【特許文献2】米国特許第5,746,214号
【特許文献3】PCT公開第WO96/16692号
【非特許文献1】J.Webster、「血流及び血液量の測定」、John G.Webster編集「医療器具の使用、応用及び設計」(Wiley、1997)
【発明の開示】
【0009】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、脳への血流を推定するためのインピーダンス測定の使用に関する。いくつかのアプリケーションでは、絶対的なインピーダンスを正確に測定することは必要ではない。血流を推定し、及び/又は、心周期中のインピーダンスの変化(血液量の変化による)を観測することにより、重大な血流の存在が確知されるからである。いくつかのアプリケーションでは、絶対的な血流率でさえも、正確に測定することが必要ではなく、血流率の時間的な変化を検出すれば十分である。動作のアーチファクトを低減するのと同様に、インピーダンス測定を、脳のインピーダンスにより敏感にして、頭蓋骨のずっと大きいインピーダンスにあまり敏感でないようにするのに、種々の方法が使用される。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態において、頭部のインピーダンスは、頭部に電流を通し、電極により関連した電圧測定することにより、測定される。頭蓋骨の高い相対的なインピーダンスと関係がある測定のエラーを低減するために、1つ以上の通電電極の組を用いて、電流を頭部に流す。また、別の高インピーダンス回路上で、別の電圧測定電極の組が、頭部にかかる電圧を測定するのに使用される。任意選択的に、頭蓋骨インピーダンスへの感度は、電圧測定電極を耳に、挿入することにより、さらに低減する。上記に代えて又は上記に加えて、鼻あるいは他の開口部あるいは頭蓋骨の薄い骨領域が使用される。開口部の例は、頭蓋骨開口部、例えば、眼窩、あるいは大後頭孔である。薄い骨領域の例は、こめかみである。
【0011】
任意選択的に、電流を頭部の内部を通るように焦点を合わせ、頭皮に多くが通らないようにするために、大領域の電極が使用される。あるいはたとえ全部の電極の領域自体がそれほど大きくなくても、1つ以上の電極が、大領域に広がっている(例えば、輪状電極を用いて)。任意選択的に、大電圧感知領域、例えば、大領域に広がり、互いにショートしている複数の電圧測定電極、あるいは、長いうねった形状の、あるいは大領域に広がっている多くのアームを有する単一の電圧測定電極が、通電電極あるいは大領域に同様に広がる電極の中に散在している。任意選択的に、異なる電極あるいは電極の異なるアーム間の距離が、頭皮及び頭蓋骨の厚さに匹敵するあるいはもっと大きいときには、あるいは、ちょうど頭皮の厚さのときでさえ、電圧測定電極により測定された電圧は、頭皮及び頭蓋骨にわたる電圧降下に対して、比較的に敏感でない傾向にある。そして、脳にわたる電圧降下に対して比較的により敏感である。例えば、個々の電極あるいは電極のアームは、少なくとも1mm幅、あるいは少なくとも2mm幅、あるいは少なくとも5mm幅、あるいは少なくとも1cm幅、であり、電極は、同様の距離に分離されている。頭部の両側の電極の広がりの全体は、例えば、少なくとも1cm、あるいは少なくとも2cm、あるいは少なくとも5cmである。
【0012】
上で述べたような、より小さい部分の中で、幅あるいは間隔を有する電極は、未熟児を含む新生児に使用するのに適合することができる。例えば、個々の電極あるいは電極のアーム、または、電極間の分離が、1mm、及び2mm、あるいは、それよりいくらか小さい、あるいは大きい距離である場合には、距離は、新生児の頭皮の厚さに匹敵する。一般的に、1mm及び2mmの間である。個々の電極あるいは電極のアーム、または、電極間の分離が、2mm、及び5mm、あるいは、それよりいくらか小さい、あるいは大きい距離である場合には、距離は新生児の頭皮プラス頭蓋骨の厚さに匹敵する。一般的に、2mm及び5mmの間である。新生児の脳内の血流をモニタすることは、特に、未熟児に重要である。脳の血流に対する自己調節メカニズムが、十分に発達しておらず、突然の変化が、すぐさま検出されず、治療されなければ、重大な脳損傷あるいは死に至る可能性があるからである。脳の血流のインピーダンス測定は、単独であるいは、フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)と組み合わせて、十分安価かつ単純であり、新生児あるいはどんな他の患者の連続的モニタに使用するのにも実用的である。これは、特別な高価な設備及び/又は結果を解読する特殊なトレーニングを要求する脳の血流を測定するいくつかの他の方法と対照的である。
【0013】
本発明の典型的な実施形態において、モニタは、それらの治療、活動、及び/又は、特定の乳児に対し血流のスパイクを引き起こす時間を記録することを含む。任意選択的に、そのような治療は、スパイクを低減するために修正され、及び/又は、薬物治療がときどき提供され、及び/又は、スパイクを低減する活動が提供される。他のスパイクを減少する方法が、同様に使用される。スパイクを引き起こし得る典型的な治療あるいは活動は、血液採取、カテーテル法、負荷ノイズ、照明変化、摂食及び/又は移動を含む。
【0014】
本発明の典型的な実施形態において、未熟児は、体重が2Kgより少ない、1.5Kgより少ない、1Kgより少ない、750gより少ない、あるいは、その中間、あるいは、より低い値である。新生児は、例えば、体重が3.5Kgあるいはそれより少ない、例えば3Kgあるいは2.5Kgあるいはそれより少ない、という可能性がる。
【0015】
本発明の典型的な実施形態において、新生児の患者の測定は、頭蓋骨の開口部で行われる。例えば、頭蓋骨板が整合していないところである。
【0016】
任意選択的に、頭部のインピーダンスは、経時的に測定される。例えば、脈動周期でのインピーダンスの変化は、脈動周期中の血液量の変化、従って、血流率の測定である。たとえ、このように、血流率測定に不正確さがあったとしても、技術は、手術中に起こる脳への血流のかなりの降下を検出するのに、適当である。あるいは、心肺蘇生法(CPR)が効果的に行われるか否かについて判断するのに適当である。
【0017】
本発明いくつかの実施形態において、帰納的測定が、頭部のインピーダンス、従って、血液量及び脳への血流率、を推定するのに使用される。頭部に隣接する、交流が流れる1つ以上のコイルが、頭部内側に、変化する磁場を生成し、従って、脳に渦電流を駆動する電界を生起するために使用される。これらの渦電流の大きさは、脳のインピーダンス、従って、脳の血液量に依存する。脳の渦電流は、磁場の変化、従って駆動コイルに生起される電圧の変化により測定される。あるいは、頭部の周囲に駆動コイルにおおよそに平行に配置された1つ以上の別々の測定コイルに生起される電圧の変化により測定される。
【0018】
任意選択的に、脳中の渦電流を測定するための駆動コイルあるいは測定コイルの代わりに、あるいは、それらに加えて、皮膚上の電圧測定電極が生起された電界を測定するのに使用される。上記に代えて又は上記に加えて、例えばホールセンサなどの磁場センサー、磁束磁力計、あるいは、超電導量子干渉素子(SQUID)が、磁場を測定するのに使用される。生起された電界及び磁場の両方が、脳のインピーダンスに依存する。脳の渦電流が、磁場に影響するからである。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、単独での、あるいはインピーダンス測定連動しての、脳への血流率を推定するフォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)の使用に関する。任意選択的に、フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)は、耳の内側で行われる。これは、周辺的な血流に依存する耳たぶでの測定とは対照的に、頭部の重要な内部血流に敏感にする。耳の内側のフォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)のプローブは、任意選択的に、インピーダンス測定のための耳の内側で使用される、電圧測定プローブと結合している。
【0020】
したがって、本発明の実施形態による、a)頭部の内側に電界を生成することにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳の中の血流を推定する方法が、提供される。
【0021】
本発明の実施形態において、電界及電流の測定を用いることは、頭部のインピーダンスを、少なくとも2つの異なる時間に、計算することを含む。
【0022】
本発明の実施形態において、頭部の内側に電界を生成することは、少なくとも2つの通電電極を頭部に配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることを含む。
【0023】
任意選択的に、同一の電圧の2つ以上の通電電極が存在する。
【0024】
任意選択的に、通電電極は、かなりの量の電流が頭蓋骨内部を通して流れ、頭皮を通しては流れないように、領域的に十分に大きい。
【0025】
上記に代えて又は上記に加えて、電極は、かなりの量の電流が頭蓋骨内部を通して流れ、頭皮を通しては流れないように、領域的に十分に広がっている。
【0026】
本発明の実施形態において、電界を測定することは、通電電極とは別の回路上に、少なくとも2つの電圧測定電極を頭部に配置すること及び電圧キャリー電極間の電圧の違いを測定することを含む。
【0027】
任意選択的に、電圧測定電極を頭部に配置することは、それらを耳の内側に配置することを含む。
【0028】
任意選択的に、通電電極を頭部に配置することは、少なくとも3つの通電電極を頭部に配置することを含む。また、通電電極に異なる電圧を加えることは、所望の電流分散が頭部に生成されるように、少なくとも3つの異なる電圧を通電電極に加えることを含む。
【0029】
任意選択的に、所望の電流分散が、脳の所望の領域に集中する。また、脳の血流を推定することは、脳の所望の領域での血流を推定することを含む。
【0030】
本発明の実施形態において、頭部内側に電界を生成することは、
a)少なくとも1つのインダクション・コイルを頭部に隣接して配置することと、
b)時間変動する電流を前記少なくとも1つの1つのインダクション・コイル通して流すこと、それによって、頭部内側に電界を生起することと、
を含み、それによって頭部内側に電流が流れるようにすることは、渦電流を頭部内側に流れるようにすることを含む。
【0031】
任意選択的に、少なくとも1つのインダクション・コイルを通して流れる時間変動する電流の周波数分散は、頭部を流れる渦電流が、頭部のいかなる点でも、磁場を、3分の1を越えて低減しないようなものである。
【0032】
本発明の実施形態において、頭部の内側の電流を測定することは、渦電流により生成する磁場を測定することを含む。
【0033】
任意選択的に、渦電流により生成する磁場を測定することは、
a)2つの電圧測定電極を頭部に配置すること、
b)電圧測定電極間の電圧の違いを測定することにより、生起した電界を測定すること、
c)少なくとも1つのインダクション・コイルを流れる電流により生成された磁場によって生起した電界の部分を減じること、それによって、渦電流により生成された磁場によって生起した電界の部分を見つけること、
を含む。
【0034】
本発明の実施形態において、方法は、フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)を頭部内側の組織に用いることをも含む。
【0035】
任意選択的に、組織は、耳の内側である。
【0036】
上記に代えて又は上記に加えて、組織は、鼻の内側である。
【0037】
本発明の実施形態において、方法は、手術中に患者の脳の血流をモニタするのに使用される。
【0038】
あるいは、方法は、心肺蘇生法(CPR)中に、患者の脳の血流をモニタし、心肺蘇生法が効果的実施されていることを検証するのに使用される。
【0039】
あるいは、方法は、脳への血流の損失となりそうである医学的な状態にある患者の脳内の血流をモニタするのに使用される。
【0040】
したがって、本発明の実施形態による、
a)電源と、
b)安全振幅及び周波数で頭部に電界を生成し、それによって頭部に電流を生成するために電源を用いる電界供給源と、
c)頭部のインピーダンスの変化を少なくとも推定するのに十分な精度を有する、少なくとも頭部の電界の変化および少なくとも頭部の電流の変化を判断する電気素子と、
d)少なくともユーザに、いつ頭部のインピーダンスの変化が、血流率の重大な変化を示すかを告げる情報を表示するモニタと、
を備える、脳への血流を推定するための装置もまた提供される。
【0041】
本発明の実施形態において、電界供給源は、頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続した少なくとも2つの通電電極を備える。また、電気素子は、
a)電源の出力電圧及び出力電流の1つ、あるいは出力電圧及び出力電流を組み合わせたものを制御する電源中の制御装置と、
b)制御装置により制御されない頭部にかかる電圧、頭部を流れる電流の1つ、あるいは頭部にかかる電圧と頭部を流れる電流とを組み合わせたものを測定するメータと、を備える。
【0042】
任意選択的に、電源中の制御装置は、出力電流を制御する。また、メータは、電圧計であり、電圧計に接続した2つの電圧測定電極が存在する。この電圧測定電極は、頭部への良好な電気接続を形成するのに、適合している。
【0043】
任意選択的に、通電電極は、少なくとも3つの通電電極を備え、通電電極のうち少なくとも2つが、同一の電圧に並列に接続している。
【0044】
任意選択的に、通電電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量を流すように、集合的にかつ十分に領域内に広がっている。
【0045】
上記に代えて又は上記に加えて、通電電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量を流すように、集合的にかつ十分に領域内に広がっている。
【0046】
本発明の実施形態において、電圧測定電極が、頭部の開口部内側に配置するのに適合している。
【0047】
任意選択的に、電圧測定電極が、耳の内側に配置するのに適合している。
【0048】
任意選択的に、電圧測定電極が円錐状でパッド付きであり、それによって、鼓膜を損傷することなく、良好な電気的接触を得るために、それらを耳の中へ十分に強く押し付けることを許容する。
【0049】
任意選択的に、フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)で、プローブが電圧測定電極に接続した耳の中の血流を測定するのに適合したプローブもまた存在する。
【0050】
本発明の実施形態において、少なくとも2つの通電電極が、少なくとも3つの通電電極を備え、電源が、少なくとも3つの異なる電圧を前記通電電極に同時に加える能力があり、それによって、所望の電流分散が、頭部の内側に生ずる。
【0051】
任意選択的に、通電電極が、所望の電流分散が、脳の所望の領域に集中するように、頭部上の位置に配置するのに適合する。
【0052】
本発明の実施形態において、
a)電源が、時間変動電源電流を生成する。
b)頭部に電界を生成する手段は、電源に接続した少なくとも1つのインダクション・コイルを備える。それは、頭部に時間変動する磁場を生成することにより、頭部に電界を生起し、頭部の電流がそれによって渦電流となる。
c)頭部の電界の変化を判断する手段は、電源内の制御装置を備える。それは、電源電流の変化率を判断し、それによって、頭部の磁場及び頭部に生起した電界の変化率を判断する。
d)少なくとも頭部の電流の変化を判断する手段は、頭部の電流により生成された磁場を感知するセンサーを備える。
【0053】
任意選択的に、電源は、10kHzないし100kHzの範囲の少なくとも一部上で動作する能力がある。
【0054】
上記に代えて又は上記に加えて、電源は、100kHzないし1MHzの範囲の少なくとも一部上で動作する能力がある。
【0055】
上記に代えて又は上記に加えて、電源は、1MHzないし10MHzの範囲の少なくとも一部上で動作する能力がある。
【0056】
上記に代えて又は上記に加えて、電源は、10MHzないし100MHzの範囲の少なくとも一部上で動作する能力がある。
【0057】
本発明の実施形態において、センサーは、前記少なくとも1つのインダクション・コイルのうちの少なくとも1つを備える。
【0058】
上記に代えて又は上記に加えて、センサーは、それを通過する磁束の変化により生起された電圧を測定する別々の感知コイルを備える。
【0059】
上記に代えて又は上記に加えて、センサーは、半導体磁場センサーを備える。
【0060】
上記に代えて又は上記に加えて、センサーは、少なくとも1つのインダクション・コイルにより生成された時間変動する磁場により生起された電界を測定する電圧測定電極を備える。
【0061】
本発明の実施形態において、耳の中に配置するサイズ・形状のフォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)の血流測定用プローブもまた存在する。
【0062】
任意選択的に、プローブは、その基部において十分に幅広であり、耳中に挿入する際に鼓膜を損傷する恐れがない。
【0063】
任意選択的に、プローブは、保持要素により取り囲まれている。耳中に挿入する際に、同一の位置での反復する光学的測定を許容する位置及び向きにプローブを保持する。
【0064】
本発明の実施形態において、装置は、持ち運び可能で、緊急医療技術者により現場で使用することができる。本発明の実施形態において、
a)頭部運動センサー、
b)血流の推定において、運動アーチファクトを低減するために、頭部運動センサーからのデータを用いる制御装置、
もまた存在する。
【0065】
本発明の典型的な実施形態における、
(a)少なくとも1つの電極を含み、少なくとも1つのインピーダンス測定を行う、インピーダンス測定システムと、
(b)脳への血流における変化を、前記少なくとも1つの測定に基づいて判断するモニタと、
を備える脳への血流を推定する装置であって、
前記少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量、少なくとも1%の量を流すように構成される、装置もまた、提供される。任意選択的に、前記量が、少なくとも10%である。任意選択的に、前記量が、少なくとも30%である。
【0066】
本発明の典型的な実施形態において、同一極性のすべての電流電極を含む前記頭部の表面上の最小の凸領域が、少なくとも1cmの幅を持つ。
【0067】
本発明の典型的な実施形態において、装置は、
i)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
ii)頭部への良好な電気接続を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
iii)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備え、前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する。また、前記モニタは、少なくともユーザに、いつ頭部のインピーダンスの変化が、血流率の重大な変化を示すかを告げる情報を表示する。上記に代えて又は上記に加えて、前記領域が、少なくとも2cmの幅を持つ。任意選択的に、前記領域が、少なくとも5cmの幅を持つ。任意選択的に、前記領域が、少なくとも10cmの幅を持つ。
【0068】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する、あるいは、少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する、あるいは、その両方である。本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する、あるいは、少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する、あるいは、その両方である。
【0069】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する。
【0070】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する。本発明の典型的な実施形態において、前記電極の少なくとも1つが、前記電極あるいは前記輪状電極が隣接する電極の部分を取り囲む輪状電極を備える。
【0071】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも電圧測定電極の部分及び通電電極が絡み合った螺旋を形成する。
【0072】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電極が、頭部の開口部内側で、頭蓋骨の開口部の近く、あるいは、頭蓋骨の薄い領域の近くに配置するのに適合する。
【0073】
本発明の典型的な実施形態において、装置は、
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、を備え、前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する。
【0074】
本発明の実施形態において、電圧測定電極が、頭部の開口部内側に配置するのに適合している。任意選択的に、電圧測定電極が、耳の内側に配置するのに適合している。任意選択的に、電圧測定電極が円錐状でパッド付きであり、それによって、鼓膜を損傷することなく、良好な電気的接触を得るために、それらを耳の中へ十分に強く押し付けることを許容する。上記に代えて又は上記に加えて、装置は、フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)で、プローブが電圧測定電極に接続した耳の中の血流を測定するのに適合したプローブを含む。
【0075】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の開口部近くに配置されるためにそのサイズ及び形状において適合する。任意選択的に、前記開口部が、眼窩であり、前記電極が閉じたまぶたの上にフィットする形状である。
【0076】
本発明の典型的な実施形態において、前記開口部が、大後頭孔であり、前記電極が、頭蓋骨の近くにフィットする形状である。
【0077】
本発明の典型的な実施形態において、前記開口部が耳であり、前記電極が、外耳道に配置するようなサイズ及び形状である。
【0078】
本発明の典型的な実施形態において、前記開口部が耳であり、前記電極が、耳の後ろに配置するようなサイズ及び形状である。
【0079】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の薄い領域の近くに配置されるように、そのサイズ及び形状において適合する。任意選択的に、前記薄い領域が、こめかみである。
【0080】
本発明の典型的な実施形態において、装置は、
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備える。前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する。また、前記通電電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量、少なくとも1%の量を流すように、集合的にかつ十分に領域内に広がり、少なくとも2つの通電電極が、少なくとも3つの通電電極を備え、電源が、少なくとも3つの異なる電圧を前記通電電極に同時に加える能力がある。それによって、所望の電流分散が、頭部の内側に生ずる。
【0081】
任意選択的に、通電電極が、所望の電流分散が、脳の所望の領域に集中するように、頭部上の位置に配置するのに適合する。
【0082】
本発明の典型的な実施形態における、
(a)少なくとも1つの電極を含み、少なくとも1つのインピーダンス測定を行う、インピーダンス測定システムと、
(b)脳への血流における変化を、前記少なくとも1つの測定に基づいて判断するモニタと、
を備える脳への血流を推定する装置であって、
少なくとも1つの電極が、子供に使用するためにサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである、装置もまた、提供される。
【0083】
任意選択的に、前記システムは、
i)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
ii)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
iii)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備え、前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する。また、前記モニタは、少なくともユーザに、いつ頭部のインピーダンスの変化が、血流率の重大な変化を示すかを告げる情報を表示する。
【0084】
本発明の典型的な実施形態において、前記電極が、新生児に使用するためにサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである。
【0085】
本発明の典型的な実施形態において、前記電極が、未熟児に使用するためにサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである。
【0086】
本発明の典型的な実施形態において、前記少なくとも1つの電極の2つの異なる電極の間の距離、あるいは1つの電極の異なるアーム間の距離が、1mmないし2mmであり、それによって、頭皮が1mmないし2mmの厚さである患者に使用するように、装置を適応させる。
【0087】
本発明の典型的な実施形態において、前記少なくとも1つの電極の2つの異なる電極の間の距離、あるいは1つの電極の異なるアーム間の距離が、2mmないし5mmであり、それによって、頭皮が2mmないし5mmの厚さである患者に使用するように、装置を適応させる。
【0088】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電極が、頭皮が1mmないし2mmの厚さの患者に使用するのに適合する。
【0089】
本発明の典型的な実施形態において、少なくとも1つの電極が、頭皮が2mmないし5mmの厚さの患者に使用するのに適合する。
【0090】
本発明の典型的な実施形態における、
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
d)少なくとも1つの通電電極及び少なくとも1つの電圧測定用電極が、機械的に接続している、少なくとも1つの電極構造と、
e)前記測定に基づき、血流率の重大な変化を示す信号を生成するモニタと、
を備える脳への血流を推定する装置であって、
前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する、装置もまた、提供される。
【0091】
任意選択的に、前記接続が非弾性である。代替的に、前記接続が堅いものである。
【0092】
本発明の典型的な実施形態における、
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、患者の脳内の血流を推定する方法であって、
患者の頭皮が、1ないし2mm厚である、あるいは、患者の頭皮と頭蓋骨の全体の厚さが2ないし5mmである、方法もまた提供される。
【0093】
本発明の典型的な実施形態における、
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に、それらの少なくとも1つが頭蓋骨の開口部あるいは薄い領域に隣接して配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳内の血流を推定する方法もまた提供される。任意選択的に、少なくとも1つの電極が開口部に配置される。
【0094】
本発明の典型的な実施形態における、
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳内の血流を推定する方法であって、
同一極性のすべての電流電極を含む前記頭部の表面上の最小の凸領域が、少なくとも2cmの幅を持つ、方法もまた提供される。
【0095】
本発明の典型的な実施形態は、次の節において、図面を参照して記載される。図面は、一般に、正確な縮尺ではなく、同一あるいは類似した参照番号が、図面上の同一あるいは関連した特徴に対して使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0096】
図1は、耳と関係がある2つの開口部104をもつ頭蓋骨102、及び脳を含む内部領域106を含む、上から見た頭部100の断面を示す。頭蓋骨のずっと大きいインピーダンスに支配される測定をすることなく、内部領域106の電気的インピーダンスにおける変化を測定することが望まれる。2つの陽極の通電極108が、頭部の右側で皮膚に接触しているところが示される。1つは耳の前、1つは耳の後ろである。同様に、2つの陰極の通電電極が、頭部の左側で皮膚に接触しているところが示される。これは、変化させることができる。例えば、唯一の電極がそれぞれの側に存在するように、あるいは、2つより多くの電極が、それぞれの側に存在するように。あるいは、電極が、耳の上、あるいは、下にあるように、である。また、陽極の電極の数が、陰極の電極の数に等しい必要はない。頭部の表面の例えば2%あるいは5%あるいは10%あるいはより多くの、頭蓋の大きな領域が、電極によってカバーされることは、かなりの量の電流を、頭部内部を通して流し続けることになる。また、頭皮を通して流れることにより、頭部の内部を迂回する電流の量を減少させる。これは、1つ以上の電極をそれぞれの側に有することにより、あるいは、頭部の曲率に沿う、あるいは、沿うようにすることができる大電極を有することにより、容易になる。任意選択的に、1つの大電極を頭部のそれぞれの側に有する代わりに、あるいは、それぞれの側に同一の電圧の全部で大領域を覆ういくつかの小電極を有する代わりに、頭部の少なくとも1つの側に、それが全部で小領域の薄い環であったとしても、大きな直径の輪状の電極が存在する。任意選択的に、輪状の電極の中心に、同一の電圧をもつ必ずしも大きいものである必要がない、電極もまた存在する。また、任意選択的に、環は、1つ以上の割れ目を有する。上記に代えて又は上記に加えて、たとえ電極そのものの合計が小さいものであっても、同一の電圧を有する、大領域にわたって広がる複数の電極が存在する。領域全体が、輪状の電極の内側にあるかのように、あるいは、広がった電極の分散にカバーされた領域全体が、1つの大電極であるかのように、電流は、頭皮を通してよりむしろ、頭部の内部を集中して流れる傾向がある。これらのオプションの全てが、頭部側面のどちらの1つあるいは両方に使用可能である。
【0097】
任意選択的に、電極構成は、電流の少なくとも90%が、頭部の内部を通して流れるようにする。代替的に、電流の少なくとも50%が、頭部の内部を通して流れる。あるいは少なくとも20%、あるいは少なくとも10%、あるいは少なくとも1%、である。かなりの量の電流を頭部の内部を通して流れるようにすることは、インピーダンス測定が、十分に、血流を測定するのに使用できる血液量に依存するように、頭部の内部を通して流れる十分な電流があることを意味する。
【0098】
任意選択的に、電極108及び110は、伝導性ゲル、例えば、心電図測定に使用されるものにより、皮膚との良好な電気的接触を保つようにされる。
【0099】
一定電流は、電極108から電極110へ、電源112により駆動される。代替的に、電源112は、一定電圧、あるいは、一定電圧のいくつかの組み合わせ、及び一定電流を生成する。しかし、電流が測定される。任意選択的に、頭部を通して流れる電流の所望の分散を生成するために、異なる電極は、頭部の同一の側でさえも、異なる電圧を電源によってそれらに印加する。例えば、電流は、その領域の血流を測定するために脳の1つの領域に集中させることが可能である。また、電流は、大域的な血流を測定するために、均一に分散させることができる。任意選択的に、電流密度は、脳の1つの領域では、他の領域での2倍を越える大きさである。代替的に、電流密度は、脳の1つの領域では、他の領域での50%大きい、あるいは20%大きい、あるいは10%大きい。異なる形状、サイズ、位置及び電極の電圧により生成された脳内の電流分散は、任意選択的に、有限要素解析ソフトウェアを用いて、あるいは従来技術で既知のどんな他の数値的又は分析的な方法を用いて、評価される。
【0100】
上の記載及び電源112の中に示した矢印は、DC直流電流が頭部に印加されることを、示唆しているのではあるが、実際には、安全上の理由で、交流が一般的に印加される。任意選択的に、20ないし100kHzの周波数の交流である。図1の「陽極」及び「陰極」の電極108及び110は、実際には、電源による交流電圧の180度離れた2つの異なる位相を表している。任意選択的に、交流電圧3つ以上の異なる位相が印加される、3つ以上の電極が存在する。安全上の理由により、及び、神経刺激を回避するために、電流は、任意選択的に、ある程度、電極の領域、位置に依存して、限定される。例えば、0.5ミリアンペアまで、あるいは1ミリアンペアまで、などである。これは、一定電圧電源よりむしろ一定電流を用いることの電圧優位性である。任意選択的に、電流は、これより低すぎない。例えば、0.1ミリアンペア以上である。インピーダンス測定は、より低い電流では、正確性がより少ないからである。任意選択的に、電流が20ないし40kHzの周波数で適用される。これは、最大電流を安全に流すのに、十分に高いが、電流が、大部分は血液及び他の細胞外液に限定されるのに、まだ十分に低い。また、細胞膜の高い抵抗によって、細胞内部から排除される。これは、測定されたインピーダンスを、血液量に対して最大限に敏感にしている。
【0101】
任意選択的に、電流は、20ないし40kHzの代わりに、あるいは、それに加えて、70ないし100kHzで流れる。より高い周波数範囲では、細胞膜は、既に、有限の電気容量のためにショート始める可能性がある。そして、かなりの量の電流が、血液及び細胞外液の中と同様に、細胞内へ流れる可能性がある。インピーダンスは、より高い水準の周波数範囲では、いくらか血液量の変化に敏感でない可能性があるが、電流の空間的分散は、脳全体の血液及び細胞外液の不均一な分散のために、より低い周波数と異なることができる。高い周波数におけるインピーダンスデータを取得することは、特に、それが、より低い周波数で取得したデータを補足する場合には、脳内の血流の分散について、あるいは例えば、脳の出血からの血液プールの分散について、追加のデータをもたらすことができる。任意選択的に、電流は、また、中間の周波数40ないし70kHzにおいても流れる。これは、血液分散の追加のデータをもたらす。あるいは、中間の周波数においてのみ流れる。
【0102】
典型的な実施形態において、電圧測定電極114が、耳の中に開口部104を通して挿入されて、頭蓋骨内部と比較的に良好に電気的接続する位置に到達し、通電電極108及び110の間を流れる電流と関係する頭部内部にかかる電圧を測定する。任意選択的に、電極114は、伝導性ゲルに浸ったスポンジのパッドが付いた円錐状のAg/AgCl電極である。この円錐状の形状は、良好な電気接触にするために、外耳道に電極を押し込む際に、鼓膜に電極が押圧され、可能性として損傷することを防止する。代替的に、電極114は、補聴器と同様に外耳道のような形状である。あるいは、外耳道の形状に沿うように十分に柔らかいものである。しかし、電極を比較的堅くすることは、皮膚とより良く接触して留まることができるという、潜在的優位性を有する。任意選択的に、電極114と鼓膜の間の外耳道は、完全にあるいは部分的に、伝導性ゲルで、又は別の伝導する液状材料で充填される。任意選択的に、耳のちょうど後方に配置された電圧測定電極もまた存在する。大きい全電極領域をもたらすために、また、電極領域をさらに広げるために、これらは、外耳道に配置された電圧測定電極にショートする。電極114は、高インピーダンス記録デバイス116に取り付けられる。したがって、非常に小さな電流が、電極114を通して流れる。これは、記録デバイス116により測定された電圧が、主に、電源112により生成された頭部内部にかかる電圧の電圧降下に依存すること、及び、頭蓋骨のインピーダンスあるいは、電極114と頭部の間の接触、電極108あるいは110と頭部の間の接触と関係するインピーダンスには、それほど依存しないことを意味する。代わりに、電極108と110との間の電圧が測定されたとした場合には、電圧は、頭蓋骨あるいはby接触間の電極と皮膚との間の接触により支配されることとなる。代替的に、電極114は、耳の内側に配置されず、頭部の表面に配置される。この場合においてさえも、電極108、110及び114の寸法及び配置、及び頭蓋骨の厚さ次第では、記録デバイス116により測定された電圧は、頭蓋骨にかかる電圧の電圧降下には、敏感ではない。あるいは、少なくとも、電極108と110との間の電圧が測定される場合より、頭蓋骨にかかる電圧の電圧降下に敏感ではない。また、記録デバイス116により測定される電圧は、頭部内部のインピーダンスに十分に敏感であるので、血液量の変化が検出できる。具体的には、通電電極の直径及び通電電極から電圧測定電極への距離が、頭蓋骨の厚さの少なくとも数倍大きい場合には、電圧測定電極の電位は、実質的に、頭部側面上の通電電極の電位よりも、脳表面の電位に近くなる傾向となる。いくつかの実施形態において、電極114は、こめかみに配置される。そこは、頭蓋骨が、頭部の他のほとんどの部分より薄いところである。記録デバイス116で電圧を測定するのに、頭蓋骨インピーダンスの従属性をより少なくし、頭部内部のインピーダンスにより敏感であるようにするためである。他の典型的な実施形態では、電圧測定電極114、あるいは通電電極108及び110、あるいはそれらの両方が、こめかみ上、あるいは眼窩を覆って、配置される。例えば、眼を閉じている場合にまぶたを覆って、あるいは、大後頭孔近くの頭蓋底に、あるいは、これらの位置の任意の組み合わせに配置される。
【0103】
本発明の典型的な実施形態において、図1Bで示すように、頭部の1つの側の通電電極及び電圧測定電極は、例えば、平面ディスクの形状をした、単一の電極構造117の部分である。一例を挙げれば、輪状通電電極118は、輪状の絶縁領域により、それから分離された中央の電圧測定電極120を取り囲む。図1Bは、皮膚と接触している電極構造117の面を示す。通電電極の比較的広い拡散は、より電流が頭蓋骨の高いインピーダンスを通って、脳の低抵抗へ流れるようにすることを許容する。一方、より少ない電流が頭皮の低インピーダンスの血管新生化する層を通って流れる。頭蓋骨及び脳を迂回する可能性がある。通電電極の直径が、頭皮及び頭蓋骨の厚さに匹敵する、あるいは、少なくとも頭皮の厚さに匹敵する範囲で、電圧測定電極は、高抵抗の表皮及び頭蓋骨にかかる電圧の大きな電圧降下に対して、比較的に敏感でない傾向となる。また、脳にかかる電圧の電圧降下には、比較的より敏感である傾向となる。例えば、電極構造117は、直径1cm、あるいは直径2cm、あるいは直径5cmである。電圧測定及び通電電極は、図1Bで示したものと同様に、比例した寸法を有する。または、代替的に、異なる寸法を持つ。
【0104】
本発明の典型的な実施形態において、ディスクの他の側は、それぞれ通電電極及び電圧測定電極に接続する、別々の接触点を有する。それらは、電気リードに取り付けるのに適しており、電源112と記録デバイス116に、交代で接続している。代替的に、一体型リードワイヤが、提供される。任意選択的に、図1Bで示したような電極構造が、頭部の両側面で使用される。代替の実施形態において、電極構造117の代わりに、図1Cで示す電極構造122が使用される。電極構造117にあるのと同様の、輪状の(任意選択的に、すき間があるリングの)通電電極118及び中央の電圧測定電極120が存在する。しかし、第2の電圧測定電極124が、通電電極118の外側に存在する。また、任意選択的に、中央の電圧測定電極120に電気的にショートする。電極構造122は、例えば、直径1cm、あるいは2cm、あるいは5cm、あるいはより小さいあるいはより大きい直径を有する。電極の比率は、図1Cで示す典型的な割合と同一である必要はない。電極構造117に比較して、電圧測定電極のより広い拡散は、電圧測定を、表皮及び頭蓋骨にかかる電圧の電圧降下に対して、より敏感でないようにすることができる。その上に、一定電位にある電圧測定電極の広い拡散は、頭皮における放射状の電界及び放射状の電流を低減する傾向となりえる。電流の大きな部分を、広く拡散した通電電極の効果と同様に、頭部内部を通すような傾向となりえる。
【0105】
代替の実施形態において、図1Dで示す電極構造126が使用される。この構造は、らせん形状の電圧測定電極130と絡み合った螺旋形状の通電電極128を有する。形状の詳細次第で、電極構造126は、潜在的に、通電電極に、電極構造117あるいは122よりも大きい表面領域をもたらす。それによって、頭部内部を流れるより焦点が合った電流のパターンを提供し、利用可能表面領域をより有効に使用する。電圧測定電極130に対するより大きい表面領域は、同様の利益をもたらすことができる。電極の異なるアームの幅及びそれらの間隔が、少なくとも頭皮及び/又は頭蓋骨の厚さに匹敵するものである限りは、電圧測定電極は、いずれの通電電極及び皮膚の間の電圧降下と同様に、接触不良による、頭皮及び/又は頭蓋骨での電圧降下に対して、比較的敏感でない傾向となる。また、脳にかかる電圧の電圧降下に対し比較的により敏感となる。例えば、図1Dにおける螺旋の隣接する曲がりは、1mm離れた間隔、あるいは2mm、あるいは5mmであり、電極構造126は、1cmの直径、あるいは2cm、あるいは5cmの直径を有する。これらの基準に合致する、多様な幾何学的な構成をもつ電極構造は、1つ以上の電極構造117、122及び126により提供されるものに似た利益をもたらすことができる。
【0106】
任意選択的に、電極構造117、122及び126のいかなる組み合わせも、例えば、図1Aに示すような、別々の通電電極及び電圧測定電極と同様に、使用される。任意選択的に、2つより多い電極構造が、頭部に配置される。しかし、任意選択的に、電流を生成し、電圧を測定するときには、それらの2つのみが使用される。これらの2つの電極構造、あるいは電極の別々のセットは、頭部の反対側面に対称的に配置することを必要としない。しかし、例えば、1つを、眼窩を覆って配置し、1つを耳の近くに配置するということができる。電極構造を異なる位置に配置することは、頭部の異なる領域におけるインピーダンスについて情報を与えることができる。電極が眼窩を覆って配置された場合には、眼は、なるべく閉じる。例えば、患者の意識が無く、電極をまぶたのうえに配置したりするからである。
【0107】
任意選択的に、図1B、1C、及び1Dで示したもののような電極構造、あるいは例えば、図1Aで示したもののような別々の電極は、開口部又は、頭蓋骨の薄い領域を覆ってあるいは近くに、配置される。例えば、耳、眼窩、こめかみ及び大後頭孔である。任意選択的に、電極構造あるいは別々の電極は、堅い平面ディスクではないが、それらの領域の頭部の形状のフィットするような形になるように十分に柔軟である。あるいは、比較的堅いが、任意選択的に、個々人の少しずつ異なる頭部形状に調整することができるある柔軟性を有し、小さなすき間を充填するために使用する伝導性ゲルで、それらの領域の頭部の形状のフィットするような形になる。電極構造剛性、及び皮膚に取り付けるやり方は、任意選択的に、どこに取り付けるかに依存する。例えば、あまり圧力を及ぼさない柔らかい電極構造は、こめかみに使用するよりは、眼への不快感や損傷を回避するために、閉じたまぶたに使用することができる。任意選択的に、伝導性ゲルは、電極構造の全部の面を覆わない。しかし、電極そのものの上及び近傍のみに適用される。あるいは、通電電極が隣接する電圧測定電極にショートしないように、通電電極の上及び近傍のみに適用される。
【0108】
任意選択的に、電極は、異なる人、例えば成人や子供の使用に対して、異なるサイズ及び/又は形状で供給される。任意選択的に、異なる人々は、同一のサイズ及び形状の電極の使用することができる。しかし、電極の異なる部品は、異なる人々の皮膚との良好な接触を得ることができる。
【0109】
記録デバイス116で、測定された電圧を、電源112により生成された電流により分割することは、脳の血液量に関する内部領域106の電気インピーダンスの測定を可能とする。任意選択的に、電源112により生成された電圧は、記録デバイス116により測定された電圧に加えて、あるいはその代わりに、インピーダンスの計算に、使用される。可能性として、記録デバイス116により測定された電圧の合理性のチェックとして、である。しかし、しばしば、電源112により生成された電圧は、記録デバイス116により測定された電圧よりも、頭蓋骨インピーダンスに、もっと影響され、頭部内部のインピーダンスには、あまり影響されない。AC電流が使用される場合には、もちろん、電流及び電圧は、それぞれ、振幅及び位相を表す複素数で表現される。例えば100kHzを越える非常に高い周波数では、細胞膜の電気容量は、ショート回路のようになり始め、電流が、ほとんど、細胞を取り囲む血液や他の流動液を流れるのと同じように、容易に流れるようになる。これらの高い周波数では、頭部のインピーダンスは、より低い周波数でよりも、血液量にあまり敏感でなくなる。血液及び細胞外液の量だけでなく細胞を含む脳の全体積に依存することになるからである。任意選択的に、この理由により、約100kHzより低い周波数が、頭部のインピーダンス測定をするために使用される。任意選択的に、記録デバイス116あるいは電源112により測定された電圧の相対位相の測定、及び電源112により生成された電流は、特により高い周波数例えば100kHzにおいて、頭部のインピーダンスの測定に使用される。そのような位相測定は、100kHzに匹敵する周波数において潜在的に有用である。そこでは、頭部のインピーダンスが、細胞膜による実質的に容量性要素を有する。インピーダンスの容量性部分が血液量に敏感でない、あるいは、血液量に対して頭部の抵抗性インピーダンスとは異なる依存関係を有する場合には特にそうである。たとえ測定されたインピーダンスが、頭蓋骨インピーダンスや細胞膜の電気容量などの望まない効果により大きく影響されても、測定されたインピーダンスは、それがなお著しく血液量に依存する場合には、血液量の測定にまだ有用である。
【0110】
任意選択的に、インピーダンスは、決して実際に計算されない。しかし、血液量は電圧データから直接判断される。電源112により生成された電流が常に同一の場合には、特にそうである。あるいは、電源へのフィードバックは、記録デバイス116により測定された電圧を一定(すなわち、一定の振幅及び位相)に保持するのに使用される。また、電源112により生成された電流は、血液量を直接判断するのに使用される。これらの方法の変形、例えば、電圧及び電流のある線形組み合わせを同一に保つことは、当業者には明白なものである。
【0111】
図2Aは、いくつかの脈動周期をカバーするある期間にわたって、図1に記載されたように測定された抵抗性インピーダンス対時間の、プロット200を示す。垂直の軸202は、インピーダンスあるいは抵抗を表し、水平の軸204は、時間を表す。平均抵抗Rは、時間とともに、垂直の軸上のレベル206により与えられる値を有する。また、抵抗ΔRの変化量は、間隔208で示す脈動周期と関係がある。抵抗は、脈動の心臓収縮フェーズ中、脳の血液量Vが、より高いときに減少する。また、心臓拡張フェーズ中、血液量Vがより低いときに増加する。脈動期間にわたる血液量の相対的変化ΔV/Vは、ΔR/Rに匹敵する。必要なら、ΔV/V及びΔR/R間の正確な関係は、所電極の定の構成に対して、ΔR/Rの測定値を従来技術で知られている他の手段で行った血流の測定と、比較することにより、較正することができる。脳への血流は、ΔV/Vに、全脳血液量V(例えば、既知の人間の平均値から推定)及び脈動率を乗ずることにより、見出される。
【0112】
たとえ較正が行われなくても、あるいは、たとえ較正した患者とは異なる患者に適用されて較正が正確でなくても、この技術で得られた血流の見積もり値は、いくつかの関心あるアプリケーションに対してまだ適正である。例えば、心肺蘇生法(CPR)がいったい機能するのかの判断や、手術中の脳への血流の突然の減少を検出することである。心肺蘇生法(CPR)が、適切に施されない場合には、あるいは、脳への血流が、脳卒中あるいは手術中に起こる別の突然の出来事により低減する場合には、脳への血流は、本質的にゼロあるいは正常より非常に低くなり得る。また、たとえ、技術が血流絶対値を非常に正確に測定しなくても、これは検出することができる。
【0113】
図2Bは、外耳道104に挿入された電圧測定電極114のクローズアップの図を示す。電極114は、電圧データを分析し、頭部インピーダンス及び血流ついての情報を表示する記録デバイス116に接続している。電極114は、電気的伝導性ゲルに浸ったスポンジ218に取り囲まれている。電極114は、円錐状の形状で、耳に挿入されたときに、鼓膜に到達するには、基部において幅が広すぎるものである。任意選択的に、電極114と結合した、耳の血流の光学的測定を行うためのシステムが存在する。例えば赤あるいは赤外線のレーザーあるいはレーザーダイオードの光源220は、光を光ファイバー222通して送出する。光線224は、耳内側の表面226で反射する。例えば、鼓膜、あるいはその色が血流及び/又は血液の酸化に影響される別の表面である。スポンジ218は、光ファイバー222を、測定が反復された場合に、光線224が常に実質的に同一の場所から反射するように、十分堅固に所定位置に保持する。それで、反射率のいかなる変化も、ファイバー222の位置あるいは向きが変化したためよりむしろ、血流あるいは酸化による変化となる。反射した光は、別の光ファイバー228に到達する。それは、光を分析器230へと運ぶ。ファイバー228は、また、スポンジ218により、堅固に所定位置に保持される。分析器230は、血流率、及び/又は血液の酸化の程度の測定あるいは推定するために、表面226反射率についての情報を用い、任意選択的に、方法を表示する。分析器230及び光源220は、任意選択的に、当業者に既知のフォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)のいかなる既存のシステムに基づいている。任意選択的に、光ファイバー222及び/又は光ファイバー228の代わりに、複数の光ファイバーを備えるファイバー光学部品ケーブルが使用される。任意選択的に、ファイバー222及び228は、電極114を記録デバイス116に接続するワイヤと共に束ねられる。任意選択的に、分析器230は、記録デバイス116と共にパッケージされる。任意選択的に、分析器230からのデータは、記録デバイス116からのデータと結合し、その結合したデータに基づいて、単一の血流の推定が表示される。任意選択的に、ファイバー222及び228、及びスポンジ218、あるいはプローブを所定位置に保持するための同様の要素を備えプローブは、たとえ電圧測定電極114が、耳の中に配置されなくても、耳内の光学的測定に使用される。
【0114】
脳内に電流を生起し、電圧を測定する異なる方法が、図3A、3B、及び3Cに図解されている。脳内に電流を生起するために、頭部の周りに、異なる向きで配置されたコイルを示す。異なるコイル構成あるいは回転又は振動する永久磁石の使用、あるいは頭部に時間変動する磁場を生成する電磁石の使用を含む、他の磁気誘導の方法は、同様に、使用することができる。生起された電流を測定することは、生起された磁気及び電界へのその効果を測定することにより、脳のインピーダンス、従って、脳の血液量についての情報を与える。図3Aにおいて、コイル302、頭部の各側面のものは、その中に、電源304に駆動されたAC電流を有し、頭部の内側にAC磁場を生成する。変化する磁束は、頭部に電界を生起する。それは、コイル302中で電流に平行であるが、反対方向である。AC磁場は、任意選択的に、十分大きく、生起された電界は、下に論ずるように、測定可能な効果を生成するのに十分大きい。しかし、周辺的な末梢神経系あるいは中枢神経刺激を生成しないためには、十分に小さい。任意選択的に、神経刺激のしきい値は、より高いAC磁場が使用できるようにするために、連続した短い脈動あるいは従来技術で知られている他の方法を用いることにより増加する。生起された電界は、脳のインピーダンスに依存する振幅の渦電流が脳内を流れるようにする。渦電流は、順次、それ自身の磁場及び関連した生起された電界を生成し、脳の内側の磁束を低減する。コイル306は、コイル302により生成されたAC磁束と関係がある電圧を測定する。そして、この電圧は、記録デバイス308により、記録される。脳内を流れる渦電流に起因する磁束の減少は、記録デバイス308により、検出することができる。生起された電圧がより低い、すなわち、コイル302及びコイル306間の相互インダクタンスが、低減するからである。渦電流は、また、相互インダクタンスに、虚数部分(消散部分)を与える。これは、相互のインダクタンスの実数部分における減少よりも、容易に検出できるものである。脳の絶対インピーダンスの推定は、どのようにコイル302及び306の相互のインダクタンスが、AC電流の周波数とともに変化するかを観測することにより、行うことができる。そのような脳のインピーダンスの絶対値の推定することなしでも、脳のインピーダンスの時間とともにする変化は、脈動周期中に、脈動周期中の相互のインダクタンス変化を観測することにより、検出することができる。
【0115】
任意選択的に、コイル302により生起された電界は、図1A及び2Bで示す電圧測定電極と同様に、頭部上あるいは頭部内に配置された電極により測定される。電極は、例えば、耳の中あるいは鼻の中に配置される、あるいは、電気的伝導性ゲルと一緒に、こめかみ又は頭部上のほかの場所に配置される、形状及び大きさである。生起された電界は、脳のインピーダンスに依存する。それが、脳のインピーダンスに依存する渦電流により修正されるからである。
【0116】
ここで、コイル302中のAC電流の周波数を選択するためにいくつかの考慮がなされる。体組織に典型的な2オームの脳抵抗性に対して、脳のインピーダンスに依存する渦電流により生成された磁場は、脳のスキンデプスが、その半径約10cmに匹敵するときに、インダクション・コイルにより生成された磁場に匹敵することになる。これは、約50MHzの周波数で起こる。しかしながら、100kHzよりかなり上の周波数では、細胞膜のインピーダンスは、電流が、細胞の外側と同様に内側を自由に流れるように効果的にショートすることができる。したがって、脳の抵抗性は、いくらかより低く、渦電流が、約30MHzにおいて重要となる。脳のインピーダンスは、そのような高い周波数においては、細胞内側を通る伝導経路のため、100kHzより低い周波数のときより、血液量にあまり敏感ではない。しかし、インピーダンスは、まだいくらか血液量に敏感である。血液量が増加するときには、脳の、細胞の内側及び外側の流動体の全体積が、まだ増加するからである。任意選択的に、約10MHzの周波数、あるいは数10MHz、あるいは、約100MHzでさえも、使用される。血液量が、この周波数範囲の渦電流に対して、最も大きな効果を有することができるからである。30MHzよりかなり上の周波数では、渦電流は、磁束を脳の内部から大部分排除することができる。また、コイルの相互インダクタンスは、血液量にあまり敏感でないようにできる。任意選択的に、使用される周波数は、渦電流が磁場を頭部内側のどの点でも、1.5分の1を越えて低減しないように、十分低い。代替的に、渦電流が、磁場を、3分の1より、あるいは6分の1より低減しない。30MHzよりかなり下の周波数では、相互インダクタンスの実数部分の小さな変化は、検出することが困難であろうが、消散部分での変化は、30MHzよりかなり下の周波数に比例するものであり、100kHzより下であっても、それが、支配的な消散項であれば、検出するのが比較的に容易である。任意選択的に、数10kHzの間の周波数、約100kHz、あるいは数100kHzが、使用される。それらは、数10MHzの周波数より、容易に機能し、血液量に対する十分な感度をまだもたらすことができるからである。代替的に、数100kHzの周波数、約1MHz、あるいは数MHzが、使用される。それらは、感度と使用の容易さとの最良のトレードオフをもたらすことができるからである。異なる周波数での渦電流は、脳の異なる空間的分散を有することができる。皮膚効果(主に1MHzより上の周波数で異なる)、及び細胞膜の有限電気容量(主として1MHzより下の周波数で異なる)の両方のためである。
【0117】
渦電流は、また、頭部に配置された電極により生成される電流と、脳内に異なる分散を有することができる。電流の異なる分散は、頭部の血液の分散について異なるデータをもたらすことができる。例えば、局所的に1つ以上の位置に、血液プールをつくる脳の出血がある患者である。任意選択的に、さらに脳内の血液の分散についてデータを取得するために、渦電流は、1つ以上の周波数で生起される、あるいは、脳内に電流を生起するためにコイル及び電極の両方が使用される。
【0118】
任意選択的に、インダクション・コイル302中の電流は、末梢神経系あるいは中枢神経刺激を引き起こさないような、有害な健康への効果や脳又は他の体組織を熱することからの不快感を引き起こさないような、十分小さい大きさである。電流の周波数及び持続時間に依存する最大安全電流は、例えば、磁気共鳴画像化の分野の当業者にはよく知られている。任意選択的に、最大安全電流より少ない電流は、わずかのパーセントしか最大安全電流より少ない電流でも、時々しか使用されない。あるいは、何倍も少ない電流はさらに使用されない。測定の精度を犠牲にしないためである。
【0119】
任意選択的に、生起された電圧を検出するのに、別々のコイル306を用いる代わりに、コイル302が、起された電圧を検出するのに使用される。すなわち、コイル302及び306の間の相互インダクタンスの代わりに、コイル302の自己インダクタンスが使用される。しかしながら、自己インダクタンスではなく相互インダクタンス用いることの可能な優位性は、記録デバイス308が高インピーダンスを有する場合に、コイル306中の電圧が、コイル302の抵抗あるいはコイル306の抵抗に敏感とならないことである。具体的には、相互インダクタンスの消散部分は、記録デバイス308により測定された電圧の支配的な消散項であり得え、測定を容易にする。他方、コイル302の自己インダクタンスが使用される場合には、インダクタンスの消散部分は、コイルの抵抗に比較すれば小さいもので、測定するのが困難となる。
【0120】
上記に代えて又は上記に加えて、コイル電流により及び渦電流により脳内に生成された磁場は、例えばホールセンサ、磁束磁力計あるいは超電導量子干渉素子(SQUID)などの磁気のセンサーにより、測定される。そのような磁気のセンサーは、頭部を取り巻く大コイルよりさらに局所的な磁場測定を与えることになる。また、データに血流の局所的変化への重みを与え、可能性として、大コイルからのさらに大域的なデータを補完する。大域的なデータは、また、任意選択的に、取得される。
【0121】
図3Aは、頭部の側面上の2つのコイル302及び頭部の中央平面近傍の、しかし首の反対の側面をまわっている2つのコイル306を示す。しかしながら、コイルは、図に示したように対称的に配列される必要はない。任意選択的に、唯一のコイル302、あるいは唯一のコイル306が存在する。任意選択的に、コイル302は、頭部の中央平面に近く、コイル306は、頭部側面に配置される。コイルの最適の構成は、任意選択的に、磁気有限要素法、あるいは従来技術で既知のどんな他の数値的又は分析的な方法を用いることにより、見出すことができる。
【0122】
図3B及び3Cは、頭部に関して他の方向に方向付けされたコイル302及び306を示す。コイル間の適正な相互インダクタンス及び相互のインダクタンスの脳のインピーダンスへの適正な依存関係を取得するのに加えて、コイルの向きを選択する際の別の考慮は、コイル位置を頭部に対して頑固に保持する能力である。コイルの位置における変化は、それらの相互インダクタンス及び自己インダクタンスに影響することになり、脳のインピーダンスの計算において、偽の変化として現れ得る。
【0123】
図4は、図3Bに示すのと同じく、部の前部及び背部に配列されたコイル402を示す。コイル406は、コイル402により生起された磁束を測定するために、頭部の頂点からあごの下へとまわっている。脳410が、頭部の内側に示される。コイル402中の電流412が1つの方向に流れるときに、生起された渦電流414は、脳内を反対方向に流れる。しかし、2つの電流は、180°の位相のずれより少ない。(同様に、脳内に生起された渦電流は、また、図3Aあるいは3Cで示すように、コイル構成とともに見える。しかし、電流は、異なる方向に、一般にはコイル中の電流の流れと反対に、流れることとなる。)電流414は、脳の内側の磁束を低減し、コイル402及び406を通過する全磁束を低減する。電流414もまた、コイル402及び406を通過する磁束の位相を、コイル402中の電流412の位相に対して、変化させる。磁束の振幅及び位相における、この変化は、コイル406により、電流412の振幅及び位相に対するコイル406の電圧の振幅及び位相における変化として検出される。したがってコイル406の電圧の振幅及び位相は、脳410のインピーダンスについて情報をもたらす。
【0124】
任意選択的に、図面に図示していないが、高い磁気透過性のC−形状素子が、図3A、3B、3Cのいずれも、コイル302中の所定の電流に対して、脳に生起された磁場を増加するために、2つのコイル302の間を伸びている。これは、要求された電源のサイズ及びコストを低減し、コイルのオーム加熱を低減して、所定の磁場及び脳に生起された電界を生成する。そのようなC−形状素子は、しかしながら、渦電流及び磁気材料の履歴現象によるエネルギー損失の追加的供給源を導くという潜在的な不利点を有する。これは、コイル302により脳内に導かれた渦電流を検出することをより困難にする可能性がある。また、多くの高透過性の合金は、高い周波数、特に1MHzより上では、より低い透過性を有する。任意選択的に、渦電流を低減し、効率的な透過性を増加するために、C−形状素子は、ラミネートされる。任意選択的に、C−形状素子は、バナジウムパーメンジュールあるいは、低磁気異方性を有する類似の合金で作られる。その透過性が、高い周波数では、他の高透過性材料ほど降下しないからである。
【0125】
図5A及び5Bは、例えば病院設備で手術中に使用するのに適した本発明の持ち運び不可能な実施形態と対照的に、潜在的に現場で使用するのに適した持ち運び可能な本発明の実施形態を図解する。アセンブリ502は、図5Aのようにこめかみに、あるいは、図5Bのように、耳に、及び電圧測定電極を、任意選択的に、耳に挿入して、配置された、通電電極及び電圧測定電極の両方を含む。任意選択的に、頭部の各側面のアセンブリ502は、耳覆いに似ており、耳の外側の通電電極と耳の内側の電圧測定電極とで、耳をカバーする。任意選択的に、1つ以上の通電電極が、それぞれの側に存在する。任意選択的に、いくつかの電極が、こめかみ上あるいは頭部のほかの場所に配置される。また、それらのいくつかは、耳の上または中に配置される。
【0126】
上記に代えて又は上記に加えて、アセンブリ502は、渦電流を脳内に生起するコイル及び渦電流を検出するコイルあるいは他の磁気のセンサーを含む。任意選択的に、アセンブリアセンブリ502がコイルを含む場合には、それらは、アセンブリ近くに集中させるよりむしろ、脳内により均一に磁場を生成するために、そしてまた、所定の磁場が生成されたときに、コイルにより生成されたオーム電力を低減するために、実質的に図5A及び5Bに示すよりも大きい。あるいは、コイルは、小さく、耳に挿入される。特に、耳の近くのインピーダンスの局所的測定をするためである。
【0127】
モニタ504は、任意選択的に、インピーダンス測定から判断した血液量あるいは血流率を、時間の関数として表示する。上記に代えて又は上記に加えて、モニタ504は、警告の光を有する。例えば、脳への血流率が満足できるものであるときに点灯する緑の光、及び血流率が低すぎる、あるいは突然変化したときに、点灯する赤い光、及び/又は音を鳴らすブザーである。任意選択的に、モニタ504は、救急医療技術者がモニタを見ているときに取捨選択しなければならない情報を最小にするために、5つあるいはそれより少ない警告光を有する。
【0128】
任意選択的に、電源は、モニタ504と共にパッケージされる。代替的に、図5A及び5Bに図示されていないが、別々の電源が存在する。
【0129】
図6は、本発明の同様の実施形態を示す。しかし、モニタ504が患者の前に搭載されている。代替的に、2つのモニタが存在する。1つは、患者の前額部に搭載され例えば、わずかの警告光しか有さず、1つは、患者には搭載されず、より多くの情報を表示する。
【0130】
任意選択的に、図1A及び2Bの記録デバイス116、図1Aの電源112、図2Bの分析器230、図3A、3B、及び3Cの電源304、図3A、3B及び3Cの記録デバイス308、及び図5A、5B及び6のモニタ504、のいずれも、通電電極あるいはコイルに送られる電流を制御し、データを分析する制御装置を備える。任意選択的に、制御装置は、CPU、パワー・エレクトロニクス、AC/DC変換器、及びソフトウェア及びデータを蓄える非揮発性記憶、のいずれをも含む。任意選択的に、例えば、電源及び記録デバイスなど、制御装置の異なる要素が、異なる場所に配置される。及び/又は、制御装置あるいは制御装置の部品分は、別々にパッケージされる。
【0131】
これらの可搬性のあるバージョンは、例えば、心肺蘇生法(CPR)実行中に救急医療技術者により、心肺蘇生法が効果的に行われているかをモニタするために使用することができる。研究(例えば、S.Braunfels、K.Meinhard、B.Zieher、K.P.Koetter、W.H.Maleck、及びG.A.Petroianu、「救急車におけるランダム化され制御された胸骨圧迫法の有効性の試行」、Prehosp.Emerg.Care1997年7月−9月号(3)128−31ページ、など)は、フィードバックがない場合、心肺蘇生法(CPR)は、しばしば非高率的に行われていることを示している。これらの参考文献の開示は、ここに参照により組み込まれる。
【0132】
上で言及した本発明の実施形態のいずれにおいても、電極、コイル、あるいはセンサーに相対する頭部の運きは、測定された血液量の偽の変化、従って、偽の計算された血流を生成することができる。そのような動きのアーチファクトを低減するために、種々の方法が、任意選択的に使用される。例えば、脈動周期と相互関連するいかなる動きの効果も、任意選択的に、時間平均により低減する。そのような平均化は、脈動と相互関連する動きによる血流の計算において、動きのアーチファクトを削除することになる。例えば、心肺蘇生法(CPR)の実施と関係がある動きである。動作のアーチファクトもまた、任意選択的に、頭部を固定して保つことにより、また、電極、コイル、及びセンサーをしっかりと、頭部に対し所定位置に保つことにより、低減される。任意選択的に、動きのアーチファクトは、頭部の動きを検出する加速度計を用い、動きのアーチファクトのモデリングをすることよって、あるいは、単に、頭部がそれほど動いていないときに、採取されたデータを用いて、補償される。追加的に、又は、代替的に、首で検出された脈動が、たとえ首の脈動が、直接血流を測定するための使用に適したものでないとしても、動きのアーチファクトを脳内の血流の真の効果から区別するのに、使用される。
【0133】
脳内の血流測定のこれらの技術の電圧応用は、デバイスをそれぞれの応用に適応させることにより、最も役立つ可能性がある。下に例をあげる。
【0134】
1)例えば、不整脈、心筋梗塞、心臓の停止、あるいは外傷性出血性ショックといった、緊急医療の状況に対して、デバイスは、任意選択的に、内蔵型電源を有したぶんバッテリー動作する持ち運び可能になり、及び/又は限定された情報のみが表示されるモニタを有する。
【0135】
2)外傷性脳損傷の患者の追跡治療として、デバイスは、任意選択的に、家庭での使用に、十分に持ち運び可能であり、十分に頑丈なであり、バッテリーあるいは壁のコンセントからの交流電源を用いる。及び/又は、患者あるいは家族が少しのトレーニングで、使用するのに、十分に単純なモニタを有する。また、任意選択的に、例えば、訪問看護師に使用される追加の情報もまた表示する。
【0136】
3)脳への血流をモニタするために、外科手術処置に先立って及び手術中に、特に頚動脈血管内膜切除術の手術では、装置は、持ち運び可能であるあるいは、カートに載せて移動させてまわる必要はない。また、任意選択的に、外科手術の処置中に実時間で、例えば血流の減少に応じて変更が可能になるように、手術室で、外科医あるいは他の医療人員に関心があるデータを表示する。
【0137】
4)例えば脳卒中、失神、及び鎌状赤血球性貧血などの脳の血流の障害がしばしば起こる病気に苦しむ患者をモニタするために、装置は、任意選択的に、脳の異なる領域における局所の血流を測定する。また、任意選択的に、異なるバージョンで供給される。1つは、病院で使用向け、例えば集中治療室での使用向けであり、1つは、家庭での長期間モニタ用である。
【0138】
5)新生児の集中治療室での使用に対して、装置は、持ち運び可能であることは必要ではない。しかし電極あるいはコイル及びセンサーは、任意選択的に、新生児及び未熟児の使用に適合したサイズ、形状及び/又は取り付け方法である。モニタは、任意選択的に、他のバイタルサインのモニタと一体化される。また、脳の血流に重大な変化が検出された場合に、例えば、ナースステーションに警報を鳴らすように構成される。任意選択的に、モニタは、また、血流に悪影響する活動、時間及び/又は治療を記録する。
【0139】
6)心肺蘇生法(CPR)に対して、それが効果的に機能していることを検証するために、装置は、任意選択的に、数回の胸骨圧迫毎に、脳内の血流を積分する。例えば、肺が拡張する毎に、である。また、心肺蘇生法(CPR)を行っている人が、胸骨圧迫が脆弱すぎるか、あるいは、強すぎるかが、すぐさま分かるように、あるいは、遅すぎるか、あるいは速すぎるかがすぐさま分かるように、または、心臓が自分で鼓動を始めたかがすぐさま分かるように、大きなダイヤル上に、あるいは光の配列で、結果を顕著に表示する。装置の可搬性のあるバージョンは、任意選択的に、現場であるいは救急車での救急医療技術者により、使用される。例えば、カートに載った可搬性がより少ないバージョンは、任意選択的に、病院の救急病棟で使用される。
【0140】
これらの応用に対して、脳への血流の正確な測定は、必ずしも必要ではない。しかし、血流の大きな変化、あるいは、血流の存在又は血流が無いことを検出することは重要である。システムの低コストの可能性、及びそれが、比較的少ないトレーニングをした人により使用できるという事実は、これらの応用、特に心肺蘇生法(CPR)に重要である。例えばTCDなど脳の血流を測定する既存の方法に対する、この技術の他の潜在的優位性は、それが血流を実時間で連続的に測定するという事実、それが、唯一の機能が装置を動かすことであるオペレータを必要とせず、自動的に動作するという事実、それが、局所的よりむしろ大域的な血流測定するという事実、及び本発明のいくつかの実施形態での装置の小さいサイズ及び可搬性を含む。
【0141】
ここで用いたように、「同一の電極の2つの部分」は、2つの別々の電極が、電気的にショートして一緒になっている場合を含む。
【0142】
本発明は、実施のための最良の態様の文脈で記載されてきた。図面で示された、あるいは関連した文章に記載された全ての特徴が、本発明いくつかの実施形態による実際のデバイスに存在していなくてもよいことを理解すべきである。その上、示された方法及び装置上の変形は、本発明の範囲に含まれるが、それらは、当業者によって、すぐに明白となるものであり、すぐに達成されるものである。本発明は、請求項によってのみ限定される。また、1つの実施形態の特徴は、本発明の異なる実施形態の特徴と結びついて提供される可能性がある。「備える」、「含む」の単語及び、それらの活用形は、ここでは、「含むが、必ずしも限られるものではない」を意味するものとして使用される。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1A】図1Aは、本発明の典型的な実施形態による電極を付けた頭部の概略断面図である。
【図1B】図1Bは、電極構造の表面の図面である。本発明の3つの他の典型的な実施形態によれば、表面は、皮膚に向かって配置される。
【図1C】図1Cは、電極構造の表面の図面である。本発明の3つの他の典型的な実施形態によれば、表面は、皮膚に向かって配置される。
【図1D】図1Dは、電極構造の表面の図面である。本発明の3つの他の典型的な実施形態によれば、表面は、皮膚に向かって配置される。
【図2A】図2Aは、本発明の、図1A〜1Dに示すものと同一あるいは異なる典型的な実施形態による、典型的インピーダンスデータの概略プロットである。
【図2B】図2Bは、電極及び耳に挿入された光学的プローブを示す概略断面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の3つの他の典型的な実施形態のうちの1つによる、インダクション・コイルを付けた頭部の概略斜視図である。
【図3B】図3Bは、本発明の3つの他の典型的な実施形態のうちの1つによる、インダクション・コイルを付けた頭部の概略斜視図である。
【図3C】図3Cは、本発明の3つの他の典型的な実施形態のうちの1つによる、インダクション・コイルを付けた頭部の概略斜視図である。
【図4】図4は、図3Bと同一の本発明の実施形態による、脳及びインダクション・コイルを示す頭部の概略図である。
【図5A】図5Aは、本発明の3つの異なる典型的な実施形態による電極を付けた頭部及びモニタの斜視図である。
【図5B】図5Bは、本発明の3つの異なる典型的な実施形態による電極を付けた頭部及びモニタの斜視図である。
【図6】図6は、本発明の3つの異なる典型的な実施形態による電極を付けた頭部及びモニタの斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの電極を含み、少なくとも1つのインピーダンス測定を行う、インピーダンス測定システムと、
(b)脳への血流における変化を、前記少なくとも1つの測定に基づいて判断するモニタと、
を備える、脳への血流を推定するための装置であって、
前記少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量、少なくとも1%の量を流すように構成される、装置。
【請求項2】
前記量が、少なくとも10%である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記量が、少なくとも30%である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
同一極性のすべての電流電極を含む前記頭部の表面上の最小の凸領域が、少なくとも1cmの幅を持つ、請求項1ないし3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
i)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
ii)頭部への良好な電気接続を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
iii)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の装置において、
前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有し、
前記モニタは、少なくともユーザに、いつ頭部のインピーダンスの変化が、血流率の重大な変化を示すかを告げる情報を表示する、装置。
【請求項6】
前記領域が、少なくとも2cmの幅を持つ、請求項4あるいは請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記領域が、少なくとも5cmの幅を持つ、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記領域が、少なくとも10cmの幅を持つ、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する、あるいは、少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する、あるいは、その両方である、請求項5ないし8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する、あるいは、少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する、あるいは、その両方である、請求項5ないし9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する、請求項5ないし10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する、請求項5ないし11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記電極の少なくとも1つが、前記電極あるいは前記輪状電極が隣接する電極の部分を取り囲む輪状電極を備える、請求項5ないし12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
少なくとも電圧測定電極の部分及び通電電極が絡み合った螺旋を形成する、請求項5ないし12のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの電極が、頭部の開口部内側で、頭蓋骨の開口部の近く、あるいは、頭蓋骨の薄い領域の近くに配置するのに適合した、請求項1ないし4のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備える、請求項15に記載の装置であって、
前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する、装置。
【請求項17】
前記電圧測定電極が、頭部の開口部内側に配置するのに適合した、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記電圧測定電極が、耳の内側に配置するのに適合した、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
電圧測定電極が円錐状でパッド付きであり、それによって、鼓膜を損傷することなく、良好な電気的接触を得るために、それらを耳の中へ十分に強く押し付けることを許容する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)で、プローブが電圧測定電極に接続した耳の中の血流を測定するのに適合したプローブを含む、請求項18あるいは請求項19に記載の装置。
【請求項21】
少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の開口部近くに配置されるためにそのサイズ及び形状において適合した、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記開口部が、眼窩であり、前記電極が閉じたまぶたの上にフィットする形状である、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記開口部が、大後頭孔であり、前記電極が、頭蓋骨の近くにフィットする形状である、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記開口部が耳であり、前記電極が、外耳道に配置するようなサイズ及び形状である、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
前記開口部が耳であり、前記電極が、耳の後ろに配置するようなサイズ及び形状である、請求項21に記載の装置。
【請求項26】
少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の薄い領域の近くに配置されるように、そのサイズ及び形状において適合した、請求項15に記載の装置。
【請求項27】
前記薄い領域が、こめかみである、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の装置であって、
前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有し、
前記通電電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量、少なくとも1%の量を流すように、集合的にかつ十分に領域内に広がり、
前記少なくとも2つの通電電極が、少なくとも3つの通電電極を備え、電源が、少なくとも3つの異なる電圧を前記通電電極に同時に加える能力があり、それによって、所望の電流分散が頭部の内側に生ずる、装置
【請求項29】
前記通電電極が、所望の電流分散が、脳の所望の領域に集中するように、頭部上の位置に配置するのに適合した、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
(a)少なくとも1つの電極を含み、少なくとも1つのインピーダンス測定を行う、インピーダンス測定システムと、
(b)脳への血流における変化を、前記少なくとも1つの測定に基づいて判断するモニタと、
を備える、脳への血流を推定するための装置であって、
前記電極が、子供の頭部の表面の曲率に合うサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである、装置。
【請求項31】
前記システムが、
i)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
ii)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
iii)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備える、請求項30に記載の装置であって、
前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有し、
前記モニタは、少なくともユーザに、いつ頭部のインピーダンスの変化が、血流率の重大な変化を示すかを告げる情報を表示する、装置。
【請求項32】
前記電極が、新生児に使用するためにサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである、請求項30あるいは請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記電極が、未熟児に使用するためにサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つの電極の2つの異なる電極の間の距離、あるいは1つの電極の異なるアーム間の距離が、1mmないし2mmであり、それによって、頭皮が1mmないし2mmの厚さである患者に使用するように、装置を適応させる、請求項30ないし33のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つの電極の2つの異なる電極の間の距離、あるいは1つの電極の異なるアーム間の距離が、2mmないし5mmであり、それによって、頭皮が2mmないし5mmの厚さである患者に使用するように、装置を適応させる、請求項30ないし33のいずれかに記載の装置。
【請求項36】
少なくとも1つの電極が、頭皮が1mmないし2mmの厚さの患者に使用するのに適合した、請求項30ないし33のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
少なくとも1つの電極が、頭皮が2mmないし5mmの厚さの患者に使用するのに適合した、請求項30ないし33のいずれかに記載の装置。
【請求項38】
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
d)少なくとも1つの通電電極及び少なくとも1つの電圧測定用電極が、機械的に接続している、少なくとも1つの電極構造と、
e)前記測定に基づき、血流率の重大な変化を示す信号を生成するモニタと、
を備える、脳への血流を推定するための装置。
【請求項39】
前記接続が非弾性である、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記接続が堅いものである、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳への血流を推定する方法であって、
患者の頭皮が、1ないし2mm厚である、あるいは、患者の頭皮と頭蓋骨の全体の厚さが2ないし5mmである、方法。
【請求項42】
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に、それらの少なくとも1つが頭蓋骨の開口部あるいは薄い領域に隣接して配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳の中の血流を推定する方法。
【請求項43】
少なくとも1つの電極が開口部に配置される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳の中の血流を推定する方法であって、
同一極性のすべての電流電極を含む前記頭部の表面上の最小の凸領域が、少なくとも2cmの幅を持つ、方法。
【請求項1】
(a)少なくとも1つの電極を含み、少なくとも1つのインピーダンス測定を行う、インピーダンス測定システムと、
(b)脳への血流における変化を、前記少なくとも1つの測定に基づいて判断するモニタと、
を備える、脳への血流を推定するための装置であって、
前記少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量、少なくとも1%の量を流すように構成される、装置。
【請求項2】
前記量が、少なくとも10%である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記量が、少なくとも30%である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
同一極性のすべての電流電極を含む前記頭部の表面上の最小の凸領域が、少なくとも1cmの幅を持つ、請求項1ないし3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
i)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
ii)頭部への良好な電気接続を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
iii)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の装置において、
前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有し、
前記モニタは、少なくともユーザに、いつ頭部のインピーダンスの変化が、血流率の重大な変化を示すかを告げる情報を表示する、装置。
【請求項6】
前記領域が、少なくとも2cmの幅を持つ、請求項4あるいは請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記領域が、少なくとも5cmの幅を持つ、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記領域が、少なくとも10cmの幅を持つ、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する、あるいは、少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する、あるいは、その両方である、請求項5ないし8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する、あるいは、少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する、あるいは、その両方である、請求項5ないし9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの通電電極の部分が、2つの反対側で同一の電圧測定電極の2つの部分に隣接する、請求項5ないし10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの電圧測定電極の部分が、2つの反対側面で同一の通電電極の2つの部分に隣接する、請求項5ないし11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記電極の少なくとも1つが、前記電極あるいは前記輪状電極が隣接する電極の部分を取り囲む輪状電極を備える、請求項5ないし12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
少なくとも電圧測定電極の部分及び通電電極が絡み合った螺旋を形成する、請求項5ないし12のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの電極が、頭部の開口部内側で、頭蓋骨の開口部の近く、あるいは、頭蓋骨の薄い領域の近くに配置するのに適合した、請求項1ないし4のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備える、請求項15に記載の装置であって、
前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有する、装置。
【請求項17】
前記電圧測定電極が、頭部の開口部内側に配置するのに適合した、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記電圧測定電極が、耳の内側に配置するのに適合した、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
電圧測定電極が円錐状でパッド付きであり、それによって、鼓膜を損傷することなく、良好な電気的接触を得るために、それらを耳の中へ十分に強く押し付けることを許容する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
フォトプレチスモグラフィ(光電式容積脈波記録法)で、プローブが電圧測定電極に接続した耳の中の血流を測定するのに適合したプローブを含む、請求項18あるいは請求項19に記載の装置。
【請求項21】
少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の開口部近くに配置されるためにそのサイズ及び形状において適合した、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記開口部が、眼窩であり、前記電極が閉じたまぶたの上にフィットする形状である、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記開口部が、大後頭孔であり、前記電極が、頭蓋骨の近くにフィットする形状である、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記開口部が耳であり、前記電極が、外耳道に配置するようなサイズ及び形状である、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
前記開口部が耳であり、前記電極が、耳の後ろに配置するようなサイズ及び形状である、請求項21に記載の装置。
【請求項26】
少なくとも1つの電極が、頭蓋骨の薄い領域の近くに配置されるように、そのサイズ及び形状において適合した、請求項15に記載の装置。
【請求項27】
前記薄い領域が、こめかみである、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の装置であって、
前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有し、
前記通電電極が、頭蓋骨の内部を通し、頭皮を通さない前記測定システムの出力電流のかなりの量、少なくとも1%の量を流すように、集合的にかつ十分に領域内に広がり、
前記少なくとも2つの通電電極が、少なくとも3つの通電電極を備え、電源が、少なくとも3つの異なる電圧を前記通電電極に同時に加える能力があり、それによって、所望の電流分散が頭部の内側に生ずる、装置
【請求項29】
前記通電電極が、所望の電流分散が、脳の所望の領域に集中するように、頭部上の位置に配置するのに適合した、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
(a)少なくとも1つの電極を含み、少なくとも1つのインピーダンス測定を行う、インピーダンス測定システムと、
(b)脳への血流における変化を、前記少なくとも1つの測定に基づいて判断するモニタと、
を備える、脳への血流を推定するための装置であって、
前記電極が、子供の頭部の表面の曲率に合うサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである、装置。
【請求項31】
前記システムが、
i)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
ii)頭部への良好な電気接続結合を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
iii)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
を備える、請求項30に記載の装置であって、
前記電圧測定電極は、頭部に良好な電気接続を形成するのに適合し、それによって、電圧計が、少なくとも頭部内の電界における変化を判断することを許容し、少なくとも頭部のインピーダンスの変化を推定するために十分な精度を有し、
前記モニタは、少なくともユーザに、いつ頭部のインピーダンスの変化が、血流率の重大な変化を示すかを告げる情報を表示する、装置。
【請求項32】
前記電極が、新生児に使用するためにサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである、請求項30あるいは請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記電極が、未熟児に使用するためにサイズ、形状のどちらか又は両方で適合したものである、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つの電極の2つの異なる電極の間の距離、あるいは1つの電極の異なるアーム間の距離が、1mmないし2mmであり、それによって、頭皮が1mmないし2mmの厚さである患者に使用するように、装置を適応させる、請求項30ないし33のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つの電極の2つの異なる電極の間の距離、あるいは1つの電極の異なるアーム間の距離が、2mmないし5mmであり、それによって、頭皮が2mmないし5mmの厚さである患者に使用するように、装置を適応させる、請求項30ないし33のいずれかに記載の装置。
【請求項36】
少なくとも1つの電極が、頭皮が1mmないし2mmの厚さの患者に使用するのに適合した、請求項30ないし33のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
少なくとも1つの電極が、頭皮が2mmないし5mmの厚さの患者に使用するのに適合した、請求項30ないし33のいずれかに記載の装置。
【請求項38】
a)電源の出力電流を制御する制御装置を備える前記電源と、
b)頭部への良好な電気接続を形成するのに適合し、電源に接続し、電源を頭部に安全な振幅及び周波数で、電界を生成するために使用し、それによって、出力電流を頭部内に流す、少なくとも2つの通電電極と、
c)電圧計及び前記電圧計に接続する2つの電圧測定電極と、
d)少なくとも1つの通電電極及び少なくとも1つの電圧測定用電極が、機械的に接続している、少なくとも1つの電極構造と、
e)前記測定に基づき、血流率の重大な変化を示す信号を生成するモニタと、
を備える、脳への血流を推定するための装置。
【請求項39】
前記接続が非弾性である、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記接続が堅いものである、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳への血流を推定する方法であって、
患者の頭皮が、1ないし2mm厚である、あるいは、患者の頭皮と頭蓋骨の全体の厚さが2ないし5mmである、方法。
【請求項42】
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に、それらの少なくとも1つが頭蓋骨の開口部あるいは薄い領域に隣接して配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳の中の血流を推定する方法。
【請求項43】
少なくとも1つの電極が開口部に配置される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
a)少なくとも2つの通電電極を頭部に配置し、前記通電電極に少なくとも2つの異なる電圧を加えることにより、頭部の内側に電流を流れるようにすることと、それによって前記頭部の内側に電界を生成することと、
b)少なくとも、前記電界及び電流における変化を測定することと、
c)電界及び電流の測定を用いて、頭部の血液量の変化を推定することと、
を含む、脳の中の血流を推定する方法であって、
同一極性のすべての電流電極を含む前記頭部の表面上の最小の凸領域が、少なくとも2cmの幅を持つ、方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【公表番号】特表2008−506444(P2008−506444A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520968(P2007−520968)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000631
【国際公開番号】WO2006/006143
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(507013774)オーサン メディカル テクノロジーズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000631
【国際公開番号】WO2006/006143
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(507013774)オーサン メディカル テクノロジーズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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