説明

脳波誘導睡眠治療装置及び脳波誘導神経治療装置及び脳波誘導学習サブリミナルシステムとその作動方法。

【課題】脳波誘導装置、及び低周波治療装置は、単調で機械的なパターンやリズムが不快感や疲労感をもたらす場合があるため、長時間使用した場合には効果が得られなくなる。人間の知覚に周波数干渉する装置全般に言える問題であり、具体的には人間の脳波と干渉する0.4Hz-48Hzまでの周波数の影響を排除しきれていない。脳波誘導の実効率を高くするために、生体親和性を向上させる脳波誘導睡眠治療装置、及び脳波誘導神経治療装置、及び脳波誘導学習サブリミナルシステムとその作動方法を提供する。
【解決手段】脳波誘導装置において、脳波誘導の周波数の作動は、δ波、θ波、α波、β波、γ波、から少なくとも2つ以上の脳波帯域を推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべく成される手段、脳波誘導の実施時間の作動は呼吸周期を用いて反復時のβ波誘導に休止時間を加味するとともに前記脳波誘導の周波数と対応して推移する手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脳波誘導装置及び低周波治療装置の作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠障害、自律神経失調症、鬱病等に効果があるものとして、脳の周波数追随反応を利用した脳波誘導装置がある。光刺激、及びリラクゼーションによる様々な誘導方法があり、生体の緊張をある程度解きほぐすことで、安眠可能な状態へ誘導するシステムである。
また、所定の周波数の電気刺激を生体に与える低周波治療装置も、同様の効果や鎮痛効果、血行促進効果等があると言われている。
しかし、これらの装置を組み合わせても、睡眠中の自然誘発的なレム睡眠以後に対する脳波誘導は、正確性がなく生体親和性を著しく損うため、長時間の睡眠中の脳波を誘導することができなかった。
また、近代の精神病院では、これらの装置を有効利用している場合が少なく、神経系に作用する薬物治療が主流であり、一般的に刺激装置において電気ショック療法しか用いられていないため、先端科学の恩恵を精神医療にまで齎すことができなかった。
特に、睡眠障害の治療のような睡眠の質の改善は、精神病全般に対して有効であると言われている。
ところで、サブリミナル学習システムにおいては、様々な脳波への刺激によって学習意欲や集中力を高めるような工夫が必要であった。
この問題は、脳波誘導装置における睡眠治療でも同様である。

【特許文献1】特開2005-292215号公報 高速学習システム及び学習用記憶媒体
【特許文献2】特開2004-133362号公報 学習システム
【特許文献3】特開2003-135767号公報 遊技機
【特許文献4】特公H06-85804号公報 リフレッシュ装置
【特許文献5】特公H06-042908 脳波誘導装置
【特許文献6】特公H07-012376 脳波誘導装置
【特許文献7】特公H06-026593 低周波治療器
【特許文献8】特開H04-347171 脳波誘導装置
【特許文献9】特公H07-90019 睡眠ステージ監視装置
【特許文献10】特開2003-339674 睡眠段階推定装置及び睡眠段階推定装置から出力される信号を利用した装置
【特許文献11】特開H02-98368 睡眠誘導装置
【特許文献12】特公H05-056902 睡眠の状態変化検出装置および睡眠状態制御装置
【特許文献13】特開昭62-268567
【特許文献14】特開昭2002-336357
【特許文献15】特開昭2002-336358
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
脳波誘導装置、及び低周波治療装置は、いずれも単調で機械的なパターンやリズムが不快感や疲労感をもたらす場合があるため、長時間使用した場合には効果が得られなくなる場合がある。
【0004】
また、人間工学的に自然環境や人間のリズムに影響すると言われる1/fゆらぎ理論がある。これは規則的なリズムの中に微妙な変化やズレが生じていることにより、癒し効果があるとされている。
そこで、1/fゆらぎ理論を低周波治療装置及び脳波誘導装置に適用することにより、上記の問題を解決する必要があるが、一般的に未完成の理論であるためそのまま適用しても実際の期待した効果は得られなかった。
この問題は、人間の知覚に周波数干渉する装置全般に言える問題であり、具体的には人間の脳波と干渉する0.4Hz-48Hzまでの周波数の影響を排除しきれていないことが考えられる。
つまり、従来の方法からでは、低周波治療装置及び脳波誘導装置の生体親和性を向上させることができないので、そのため装置等に様々な工夫を施して、脳波誘導の実効率を高くしなければならなかった。
例えば、一部の脳波誘導装置では、脳波検出手段により、特定の周波数帯域をフィルタしてバイオフィードバックすることで生体親和性を向上させ、上記問題を解決しているが、このようなバイオフィードバックは、本来生体親和性を満たしていれば、必要ではないものである。
【0005】
したがって、本発明では脳波検出手段を用いなくても、脳波誘導装置及び低周波治療装置の生体親和性を向上させる脳波誘導睡眠治療装置及び脳波誘導神経治療装置及び脳波誘導学習サブリミナルシステムとその作動方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
脳波誘導装置において、
脳波誘導の周波数の作動は、δ波、θ波、α波、β波、γ波、から少なくともβ波とδ波を含む脳波帯域を推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべく成される手段、脳波誘導の実施時間の作動は、約0.5Hz、又は、その1/2の呼吸周期、を用いて反復時のβ波誘導に休止時間を加味するとともに、前記脳波誘導の周波数と対応して推移する手段、を備えたことを特徴とした脳波誘導睡眠治療装置、
【0007】
及び、全睡眠ステージの脳波を矯正する脳波誘導睡眠治療装置であって、脳波誘導の周波数の作動は、δ−γ波帯域のいずれかにおいて推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべくした前記脳波帯域の推移変化手段、脳波誘導の休止周期の作動は、δ波誘導時において使用者のレム睡眠自然誘発のためのタイムラグとして呼吸周期以下を含み、且つ、δ波誘導終了時の周波数に対して、β波誘導開始時の呼吸周期は、約0.5Hz又はその1/2の周波数を用いて近似するレム睡眠誘導開始手段、を備えたことを特徴とした脳波誘導睡眠治療装置、
【0008】
ならびに、低周波治療装置及び電気刺激手段を備えた脳波誘導装置において、脳波誘導の周波数と実施時間の推移変化によって神経を治療するための脳波誘導神経治療装置であって、脳波誘導の周波数の作動は、δ波、θ波、α波、β波、γ波、から少なくともβ波とγ波を含む脳波帯域を推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべく成される手段、脳波誘導の実施時間の作動は、前記脳波誘導の周波数と対応して推移し、且つ、1/3Hzから1/5Hz、又はその1/2の呼吸周期を用いて休止時間を加味する手段、を備えたことを特徴とした脳波誘導神経治療装置、
【0009】
ならびに、学習イメージを表示する手段と脳波誘導手段を備えたコンピューターを用いて、脳波誘導の周波数は、学習工程のa,b,c,dと対応してc>d>b>aの条件式を満たすとともに、δ波、θ波、α波、β波、γ波、から少なくともα波中域以上とα波中域以下の脳波帯域を推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべく成される手段、脳波誘導の実施時間は、学習工程a,bの連想元イメージの表示、及び、学習工程c、dの連想先イメージの表示、と、同期してa<b<c<dの時間式を満たすとともに1/3Hz以下の呼吸周期を用いて休止時間を加味する手段、を具備したことを特徴とした脳波誘導学習サブリミナルシステム、ならびに、その作動方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の作動方法を脳波誘導装置及び低周波治療装置に適用することで、生体親和性を長時間向上させ、これにより、従来では得られなかった特定の脳波誘導の周波数帯域を長時間刺激して賦活したり、生体の各部位の神経を睡眠状態にコントロールできるため、さまざまな治療装置として利用可能となる。
【0011】
第一に、睡眠のための長時間の脳波誘導が可能となり、ノンレム・レム睡眠時の脳波を矯正しながら誘導して、睡眠の質を改善することができる。
【0012】
第二に、上記脳波誘導装置に電気刺激手段を用いた場合及び上記低周波治療装置では、生体の任意の神経にも作用させて脳波誘導とすることができるので、症状・疾患に応じて神経治療装置として利用することができる。例えば、脊椎を通る各種臓器の神経付近から上記効果を期待した医学的アプローチも可能となる。
【0013】
第三に、映像等に上記脳波誘導装置を付加して、映像等と同期するサブリミナル効果の増幅を長時間且つ連続的に得られるため、学習時の集中力を向上する脳波誘導学習サブリミナルシステムとして利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、学習工程a-eを有する学習サブリミナルシステムの時間軸上の変化を示したものである。
各工程a-eと休止時間fにおいて、脳波を賦活させるために徐徐に間隔を広げており、これにより単調なリズムを繰り返すことなく1/fゆらぎ理論の類似効果として、人間とって馴染み易い間隔となる。
【0015】
そして、本発明では学習工程の時間軸上だけでなく、さまざまな場面に取り入れて拡張することにより、従来の単調な刺激と比べて、ストレスを軽減させて生体親和性を向上させている。
【0016】
脳波誘導装置では、上記学習工程間隔に相当する脳波誘導の実施間隔のほかに、脳波誘導の周波数の推移変化と推移経路の反復毎の相違変化を相乗することにより生体親和性は向上できる。
【0017】
つまり、学習工程の間隔は、図5のような脳波誘導の実施間隔となり、時間軸上の推移変化は脳波誘導の周波数にも拡張され、この推移経路も毎回相違変化して成される。この脳波誘導の周波数と対応して、実施間隔も同様に推移変化(図4)することになるのである。
【0018】
例えば、脳波誘導装置のα波帯域に誘導する場合では、通常10Hzのみを繰り返し用いるところを、8から13Hzまでの帯域内で推移変化させ、脳波誘導の実施間隔も同様に推移変化し、推移経路の反復毎にも相違変化する。
【0019】
脳波誘導の実施間隔とは、脳波誘導の実施作動と休止作動を交互に行う周波数間隔であり、これには脳波誘導の周波数に適した呼吸周期の近似値と対応させることが好ましく、睡眠時を除く平常時においては一般的に毎分の呼吸数が12から20であるので、1/5Hzから1/3Hzを用いる。
つまり、脳波誘導の周波数に、推移変化と呼吸周期に基づく実施間隔(実施時間及び休止時間)を加味することにより人体への親和性が保たれ、反復毎時にもその推移経路が相違変化することにより脳波誘導効果を長時間持続することができる。また、使用者の脳波を賦活して誘導させるので、神経治療装置、及び、睡眠治療装置、及び、学習サブリミナルシステムと合致した効果が得られる。
【0020】
また、脳波誘導の周波数については、上記実施間隔の周波数を用いて図2のように穏やかに作用する複合波として用いると良い。
【0021】
なお、脳波誘導の実施時間と休止時間のそれぞれに適用することを考慮して、この実施間隔の周波数はさらに1/2でも良い。
【0022】
つまり、脳波誘導の休止時間fと実施時間a−eは、脳波誘導の周波数と対応する呼吸周期の近似値及びその1/2の周波数を用いることができる。
【0023】
すなわち、脳波誘導装置において、その周波数と実施時間の各種作動を具体的に推移変化させることにより、生体親和性が保たれて脳波誘導効果を長時間持続させるだけでなく、万遍に脳波帯域を刺激して、結果的に脳と神経を賦活して誘導させるものである。
【0024】
したがって、上記作動方法を適用した脳波誘導装置は、映像等と同期する学習サブリミナルシステムに付加することで、長時間、連続的に脳波誘導の生体親和性は持続することとなり、具体的に学習工程a−eと休止時間fによるサブリミナル効果は増幅して学習時の集中力向上を期待することができる。そして、この脳波誘導学習サブリミナルシステムは、図6のように、脳波誘導効果とサブリミナル効果と1/fゆらぎ類似効果の3つの相乗効果を有したものとなる。
【0025】
また、この他にも、電気刺激手段を備えた脳波誘導装置及び低周波治療装置では、生体の任意の神経にも作用させて脳波誘導とすることができるので、症状・疾患に応じて脳波誘導神経治療装置として利用することができる。
【0026】
さらに、平常時の呼吸周期の他に、睡眠時の呼吸周期を採用することも可能であり、図3のようにノンレム・レム睡眠時の脳波を矯正しながら誘導して、睡眠の質を改善する脳波誘導睡眠治療装置として利用することができる。
【実施例1】
【0027】
本発明を脳波誘導学習サブリミナルシステムとして適用する場合の具体例を説明する。
図3と図4では、脳波誘導の周波数及び実施時間の推移経路が反復毎に推移変化していることが示されている。この推移経路は、低周波治療装置及び脳波誘導装置の作動としてそのまま適用可能なものである。
【0028】
そこで、図1に示した1件20秒程度の学習工程は、90分間連続で繰り返す場合においても同様に、反復毎の相違変化を有することが望ましい。例えば、20%の相違変化を引き出すものとして、最初が20秒であれば、90分後には16秒(連続で300件)というように、時間経過と比例して微妙に変化することで脳波を賦活するような効果が得られる。最も適切な効果の量としては、変化し過ぎず、かつ単調で飽きない程度の違和感のないものが条件となる。
【0029】
また、図1で示される学習工程a-eを、例えば英単語学習として構成する場合、a-bが翻訳文、cが英単語、dが用例であり、eはa-dまでに表示した全イメージの表示を行う。英単語が「speed」の場合、a,bは「速さ、速度、迅速」、cは「speed」、dは「speed up 速度が増す」、であり、eはこの全部になる。
【0030】
このとき、a-bは連想元イメージを表示する第1段階であり、c-dは連想先イメージとその付加情報を表示する第2段階であり、さらに工程b-dは、工程fを介して直前の工程a-cと同じ内容を表示することによりサブリミナル効果も兼ねている。また、工程eについては学習内容を確認するための工程であるので省略しても良い。
【0031】
本発明の脳波誘導学習サブリミナルシステムは、この学習工程a−dの各イメージの映像表示と同期する脳波誘導装置の具体的作動により、図6のように脳波誘導効果、サブリミナル効果、1/fゆらぎ類似効果の3つの相乗効果を有したものとなる。そして、ここで用いられる脳波誘導装置の構成は一般的なものであるが、映像の背景画面を脳波誘導周波数に基づいて光点滅させ、これを脳波誘導手段としても良い。
【0032】
イメージの形式は、表現可能なものであれば、文字列のほかに画像でも良いし、音声を加えることも可能であり、連想元イメージ、又は連想先イメージが1件の学習イメージについて複数の場合には、脳波誘導周波数と同調して連続表示すれば良い。
【0033】
脳波誘導の周波数は、学習工程a、bの連想元イメージ(認識)、学習工程c、dの連想先イメージ(学習)、学習工程b、dのサブリミナル効果、に対して、それぞれに適した脳波誘導の周波数帯域を用いる。
実際には、学習工程c、dは最も波長の高いα波中域以上であり、学習工程a,bはそれよりも低い波長に推移するものであれば良いので、各工程と脳波誘導の周波数の関係式はc>d>b>aとなる。これに対して、脳波誘導の実施時間の作動は、学習工程のa,b,c,dと対応してa<b<c<dの条件式を満たす。
【0034】
また、脳波誘導の周波数にθ波を用いると眠くなることがある。そのため、θ波の代替としてδ波又はα波低域を用いても良い。
【実施例2】
【0035】
以下は睡眠時における脳波誘導の作動について説明したものである。
まず、生理学的には、入眠時から起床時までの睡眠中の脳波の状態は、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠とに分けられる。この割合は、大体90分間に1:4の比率で構成され、これを一晩で5回前後反復して繰り返されている。また、反復時に現れるレム睡眠の段階では、一般的に体内活動が急激に上昇し、脳波とともに呼吸数も高くなることが知られている。
【0036】
また、精神疾患のある場合には、睡眠の質も悪いことが多く、そのために回復が遅れたり、あるいは悪化を続ける場合があり、このような睡眠障害が病因の一因となっている場合もある。
このような症状に対して、本発明の脳波誘導装置では、睡眠中の脳波の推移を正常な範囲内に矯正することにより治療効果を期待することができる。
【0037】
そこで、脳波誘導の実施間隔は、脳波誘導の周波数推移に応じた呼吸数の近似値の周波数を用いる。
【0038】
また、脳波誘導の実施時間は、脳波誘導の周波数が高くなるほど疲労しやすく、逆に低くなるほど実効率が低くなるため、生体活動の穏やかなノンレム睡眠時には呼吸数の近似値以下の周波数を用いても良い。また、睡眠中の呼吸数は、一般的にノンレム睡眠時には約0.2Hz、レム睡眠時には平均で約0.4Hzであるが、脳波誘導の実施時間と休止時間のそれぞれに適用することを考慮すれば、さらに1/2でも良い。
【0039】
また、一般的に、レム睡眠とノンレム睡眠の割合は約1:4であるが、レム睡眠においてはノンレム睡眠の最も深い眠りの状態から自然誘発によって突然始まるため、睡眠状態をシミュレートした脳波誘導睡眠治療装置においては、数十秒程度の誤差が生じて正確な脳波誘導ができない。
つまり、レム睡眠の自然誘発時間を考慮して、実際にはこのタイムラグを想定したものでなければならない。
これには、ノンレム睡眠の終わりにかけて、呼吸数の近似値以下の周波数を用いて脳波誘導の実施間隔を長めに取り、休止時間を長くしてこれをレム睡眠の自然誘発時間とすることが望ましい。
【0040】
また、レム睡眠が自然誘発された後の最初の脳波誘導開始時では、脳波誘導の周波数が高いためそのままでは無造作なタイミングから生体親和性を損ない、睡眠妨害を生じる可能性がある。そのため、ノンレム睡眠の終わりの脳波誘導の周波数を、レム睡眠後の最初の脳波誘導の実施間隔と近似させることにより、反復時でも違和感なく生体親和性を維持させることができる。
すなわち、レム睡眠直前の脳波誘導がδ波低域の約0.5Hzであるので、レム睡眠直後の実施間隔(実施時間と休止時間)の周波数は約0.5Hz、又は、その1/2の周波数を用いる。
なお、レム睡眠自然誘発後の脳波誘導の周波数は、表1及び表2及び図3に示すように、いずれも20Hz以上のβ波から開始される。
【0041】
よって、実際の脳波誘導におけるレム睡眠とノンレム睡眠の誘導構成比率は、上記タイムラグを考慮して1:7±2でも良い。
【0042】
また、睡眠時間の経過に伴い、覚醒レベルは徐々に高くなるので、脳波誘導周波数と呼吸周期の推移は、全体的に上昇している。
図3は、上段が脳波誘導の周波数の推移、下段が呼吸周期の推移であり、呼吸周期には脳波誘導の周波数と対応して約0.01-0.3Hzが用いられものとなっている。
【0043】
この睡眠治療装置は、毎日のように頻繁に使用することにより特有の疲労を伴う場合がある。これは音楽等でも同じであり、毎日同じ音楽を聴くと飽きるのと同じである。
そのため、このような効果の減衰を軽減する目的で、日によって微妙に違う変化を取り入れても良い。
次の表1と表2は、1日目と7日目のステージ反復毎時における各周波数の状態と、ノンレム・レム睡眠の誘導時間を示したものである。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【実施例3】
【0046】
脳波誘導装置は、本発明に記載された事項に基づいて作動方法を特定しなければならないが、その具体的構成は一般的なもので良く、電気刺激、光刺激、音波刺激のいずれかを採用するかは技術的設計事項となっている。
【0047】
例えば、脳波誘導睡眠治療装置において、人体のどの部位を、どの手段によって刺激するかという判断は、神経症状の内容や慢性疾患の有無に応じて各手段の有効範囲内で判断すべきであり、必ずしも光刺激や音波刺激が適しているものではない。医学的効果を期待するためには、主訴の内容に応じて、生体の最も適した部位周辺を選択的に決定しなければならないのである。
また、低周波治療装置は、ここで用いられる電気刺激の周波数を脳の周波数追随反応として利用すれば、実質的に電気刺激手段を備えた脳波誘導装置に相当するものである。
【0048】
そこで、本発明の脳波誘導神経治療装置は、従来脳の周波数追随反応を適用することが困難であった低周波治療装置に対して、生体親和性の損失を抑える具体的作動によりこれを達成したものであり、生体の任意の部位に脳波誘導効果と合致した効果を期待することができる。
【0049】
例えば、覚醒時の脳波には、α波、β波、γ波があるが、このうちα波はリラックスや集中している状態、β波は普通の生活状態や殺伐とした状態、γ波は興奮・イライラした状態であることが一般的に知られている。このうち、覚醒レベルが最も高いのはγ波であるから、起床時においては脳波帯域のγ波−α波までを万遍に刺激することで、結果的に脳と神経を賦活させることが可能である。図4と図5は、脳波が約47.8Hz-7.4Hz、呼吸数のための周波数が約0.4-0.1Hzで推移しており、推移経路も反復毎に相違変化している。
【0050】
勿論、この逆に、低い周波数の脳波帯域を万遍に刺激して、安静に導くこともでき、基本的にこの2つの状態を推移することにより、睡眠状態のような高度な脳波誘導まで可能となる。そして、神経症状の内容や慢性疾患の有無に適した生体の実施部位から、様々な医学的効果を期待できるのである。例えば、脊椎を通る各種臓器の神経付近からこの2つのいずれかの効果により医学的アプローチを行うことなどである。
【実施例4】
【0051】
脳波誘導の周波数推移をシミュレーション方法は、データ分析・算出を行うコンピューター上で人工知能のように構築可能であるが、実際には下記手順を踏むことによりコンピューターを用いなくても達成可能である。
【0052】
まず、時間経過における優勢脳波の推移変化Aを、一般的知識から推測可能な範囲で入力し、脳波誘導周波数の推移パターンのプロトタイプを作成する。
次に、プロトタイプに基づいて脳波誘導装置を作動させ、睡眠中のものであれば試行して得られた結果から、プロトタイプを修正していく。例えば試行の際に不快感や中途覚醒等の違和感があった時は、失敗情報として発生時刻1を記録するとともに、発生時刻1の時点の脳波誘導周波数を変更して一旦終了する。さらに、次回の試行による失敗情報2が発生した時は、発生時刻1より以前の時刻であれば発生時刻1を、以降であれば発生時刻2に対して脳波誘導周波数を適切に変更する。この方法を人工知能のように繰り返すことで、生体と合致した長時間の脳波誘導の周波数推移シミュレーションが導かれる。
【0053】
また、起床直後の脳波は、まだ眠っている状態であり、適切な覚醒状態を促すために、α波より高い波長レベルによる最終的な誘導段階を設けても良く、γ波、β波、α波が満遍に刺激されることが望ましい。
【0054】
脳波誘導の実施時間についても、脳波誘導の周波数推移シミュレーションと同様に、呼吸周期の近似値に基づいて脳波誘導の周波数と対応する形で得られる。 図3及び図4の下段は、脳波誘導の周波数推移と対応する脳波誘導の実施時間を導いたものである。
なお、図3の睡眠誘導のための推移では、レム睡眠直後に呼吸、心拍数ともに大きく変化することを考慮して、ノンレム睡眠のδ波底辺とレム睡眠直後の脳波誘導の実施時間は近似して成されている。
【0055】
以上の方法を用いて人工知能を構築する場合では、初期段階では複数の被験者から睡眠時の優勢脳波とその時刻を学習してプロトタイプを作成し、その次の段階では実際に脳波誘導装置を使って誘導を行いながら、被験者が不快に感じたり中途覚醒して違和感が生じた場合に、(脳波観測と脳波誘導における作用誤差であると考えられる)誘導失敗情報として押しボタン等のスイッチ入力を用いて脳波誘導の推移経路を補正しなければならない。また、シミュレーションに十分な学習が完了することによって、長時間の理想的な脳波誘導パターンとして1通り以上をシミュレーションすることが可能となる。
また、より誘導精度を高めるためには、例えば年齢別、平均睡眠時間、使用頻度などの被験者ごとの属性情報を学習要素に付加することで、予めある程度の個人差も含めて学習する方法がある。
【産業上の利用可能性】
【0056】
低周波治療装置及び脳波誘導装置に適用して、脳波誘導睡眠治療装置、脳波誘導神経治療装置、脳波誘導学習サブリミナルシステムとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】脳波誘導の実施時間の間隔を示す図である。
【図2】脳波誘導の周波数に呼吸周期の周波数を複合して穏やかに作用する波形図である。
【図3】睡眠時の脳波誘導の周波数推移(上段)と、この周波数推移と対応する実施間隔の推移(下段)である。
【図4】脳波を賦活させるための脳波誘導の周波数推移(上段)と実施間隔の推移(下段)を示す図である。
【図5】脳波を賦活させるための脳波誘導の実施間隔を示す図である。
【図6】脳波誘導学習サブリミナルシステムにおける相乗効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳波誘導装置において、
脳波誘導の周波数の作動は、δ波、θ波、α波、β波、γ波、から少なくともβ波とδ波を含む脳波帯域を推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべく成される手段、
脳波誘導の実施時間の作動は、約0.5Hz、又は、その1/2の呼吸周期、を用いて反復時のβ波誘導に休止時間を加味するとともに、前記脳波誘導の周波数と対応して推移する手段、
を備えたことを特徴とした脳波誘導睡眠治療装置。
【請求項2】
脳波誘導装置において、
脳波誘導の周波数の作動は、δ波、θ波、α波、β波、γ波、から少なくともβ波とδ波を含む脳波帯域を推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべく成されるステップ、
脳波誘導の実施時間の作動は、約0.5Hz、又は、その1/2の呼吸周期、を用いて反復時のβ波誘導に休止時間を加味するとともに、前記脳波誘導の周波数と対応して推移するステップ、
からなる特徴とした脳波誘導睡眠治療装置の作動方法。
【請求項3】
全睡眠ステージの脳波を矯正する脳波誘導睡眠治療装置であって、
脳波誘導の周波数の作動は、δ−γ波帯域のいずれかにおいて推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべくした前記脳波帯域の推移変化手段、
脳波誘導の休止周期の作動は、
δ波誘導時において使用者のレム睡眠自然誘発のためのタイムラグとして呼吸周期以下を含み、且つ、
δ波誘導終了時の周波数に対して、β波誘導開始時の呼吸周期は、約0.5Hz又はその1/2の周波数を用いて近似するレム睡眠誘導開始手段、
を備えたことを特徴とした脳波誘導睡眠治療装置。
【請求項4】
低周波治療装置及び電気刺激手段を備えた脳波誘導装置において、脳波誘導の周波数と実施時間の推移変化によって神経を治療するための脳波誘導神経治療装置であって、
脳波誘導の周波数の作動は、δ波、θ波、α波、β波、γ波、から少なくともβ波とγ波を含む脳波帯域を推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべく成される手段、
脳波誘導の実施時間の作動は、前記脳波誘導の周波数と対応して推移し、且つ、1/3Hzから1/5Hz、又はその1/2の呼吸周期を用いて休止時間を加味する手段、
を備えたことを特徴とした脳波誘導神経治療装置。
【請求項5】
低周波治療装置及び電気刺激手段を備えた脳波誘導装置において、
脳波誘導の周波数の作動は、δ波、θ波、α波、β波、γ波、から少なくともβ波とγ波を含む脳波帯域を推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべく成されるステップ、
脳波誘導の実施時間の作動は、前記脳波誘導の周波数と対応して推移し、且つ、1/3Hzから1/5Hz、又はその1/2の呼吸周期を用いて休止時間を加味するステップ、
からなることを特徴とした脳波誘導神経治療装置の作動方法。
【請求項6】
学習工程は、連想元イメージを表示する学習工程a,b、及び、連想先イメージを表示する学習工程c、d、からなり、それぞれ脳波誘導を行うステップ、
脳波誘導の周波数の作動は、学習工程のa,b,c,dと対応してc>d>b>aの条件式を満たすとともに、δ波、θ波、α波、β波、γ波、から少なくともα波中域以上とα波中域以下の脳波帯域を推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべく成されるステップ、
脳波誘導の実施時間の作動は、学習工程のa,b,c,dと対応してa<b<c<dの時間式を満たすとともに1/3Hz以下の呼吸周期を用いて休止時間を加味するステップ、
からなることを特徴とした脳波誘導学習サブリミナルシステムの作動方法。
【請求項7】
学習イメージを表示する手段と脳波誘導手段を備えたコンピューターを用いて、
脳波誘導の周波数は、学習工程のa,b,c,dと対応してc>d>b>aの条件式を満たすとともに、δ波、θ波、α波、β波、γ波、から少なくともα波中域以上とα波中域以下の脳波帯域を推移して反復し、且つ、推移経路を反復毎に相違すべく成される手段、
脳波誘導の実施時間は、学習工程a,bの連想元イメージの表示、及び、学習工程c、dの連想先イメージの表示、と、同期してa<b<c<dの時間式を満たすとともに1/3Hz以下の呼吸周期を用いて休止時間を加味する手段、
を具備したことを特徴とした脳波誘導学習サブリミナルシステム。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−104392(P2010−104392A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276253(P2008−276253)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(305049399)