説明

腕用クッション

【課題】仰向けの姿勢で、書籍等を保持する腕の疲労を軽減し、長時間楽な姿勢で視聴を行うことのできる腕用クッションを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の腕用クッション10は、ベースとなり、使用者100の上腕101または肘102を支持する枕本体20と、枕本体20の上部22の中心からオフセットした位置より渦巻状に突出し、使用者100の肘102の内側に挟み込むことで前腕103の角度を支持するアーム部30とを有し、枕本体20とアーム部30は一体に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仰向けの姿勢で書籍等の視聴対象物を手で掲げて保持する際に用いるのに適した腕用クッションに関する。
【背景技術】
【0002】
書籍、新聞、書類、写真、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯型情報端末、携帯型電話端末、携帯型ディスクプレーヤ等、様々な視聴対象物を仰向けの姿勢で視聴する場合、視聴対象物は、胸や顔の上方位置に手で掲げて保持する。
このため、視聴対象物を長時間掲げていると腕が疲れ、同じ姿勢を維持することができず、視聴をし続けることが困難となることがある。
【0003】
そこで、書籍等を支えたり載置する器具が、従来、多種提案されている。
また、腕を下ろした楽な姿勢で書籍を開いて保持し、仰向けになった身体の上方に配置された鏡によって、書籍の開かれたページを反射させて写す、という読書用補助器もある(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、枕本体に頭を載せ、子枕に肘を載せることにより、仰向けの状態で、書籍を保持した腕を支える構成の読書用クッションも提案されている(例えば、特許文献2)。肘の下に枕を置くことにより、肘の高さ、つまり、上腕を上げた体勢を楽に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−215525号公報
【特許文献2】実用新案登録第3000375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているような器具は、仰向けになった体の上方に書籍や鏡を配置させる必要があるため、器具が大がかりなものとなってしまう。そして、器具を使用しないときには、器具の保管に場所をとることもある。
【0007】
また、特許文献2では、枕により上腕を支えていたが、書籍を持つ前腕については、支えるには至っていなかったため、書籍を保持した前腕の角度維持が難しく、前腕が疲れ、安定した読書姿勢を保つことが難しいという問題がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、仰向けの姿勢で、書籍等を保持する腕の疲労を軽減し、長時間楽な姿勢で視聴を行うことのできる腕用クッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもとになされた本発明は、腕を支える腕用クッションであって、ベースとなる枕本体と、枕本体の上部の中心からオフセットした位置より突出する渦巻き状のアーム部とを有し、枕本体とアーム部が一体に形成されていることを特徴とする。この腕用クッションは、仰向けの姿勢で書籍等の視聴対象を掲げる際に用いるものであって、枕本体上に上腕または肘を載せ、アーム部を肘の内側に挟むことで、視聴対象物を掲げたときの肘の角度を維持する。これにより、仰向けの姿勢で視聴対象物を保持する上腕及び前腕を支え、腕の疲労を抑えることができる。
【0009】
枕本体は、底面を有し、底面は、枕本体上部の投影面積よりも面積が大きい。このような広い底面を有することにより、本発明使用時のぐらつきをなくすことができる。また、使用時以外でも、安定感のある本発明の腕用クッションは自立するため、インテリアとしての有益性を備えることができる。
【0010】
渦巻状のアーム部は、具体的にはいかなる形状としても良いが、枕本体からの立ち上がり部分から先端にいくに従い断面積が小さくなる先細り形状をしている。また、その断面形状は、略三角形状で、渦巻き状のアーム部の内側、つまり渦の中心に向かってアーム部断面の幅が漸次小さくなる。
断面を三角形状とするのは、曲げた肘内側の形状に合わせるためである。これにより、アーム部を肘の内側に挟んだときの自然な使用感を得ることができる。
またアーム部が先細り形状であるのは、アーム部の場所により、その太さを異ならせ、使用者の好みの太さに対応できるようにしたためである。
【0011】
アーム部は、カバーと、カバー内に充填された粒状の充填物とからなり、充填物は、アーム部カバー内で移動可能なようにゆとりを持たせて充填されている。または、アーム部だけでなく、枕本体もカバーと粒状の充填物とから構成することもでき、その場合、粒状の充填物が、アーム部と枕本体との間で行き来できるように充填されていても良い。アーム部カバー内、及び/またはアーム部と枕本体との間で充填物が移動することにより、アーム部の太さや、曲げやすさを使用者が好みにより調節することができる。
つまり充填物は、アーム部内だけで移動できるようにしても良いし、充填物が、アーム部と枕本体の内部を行き来できるようにしても良い。ここで充填物がアーム部と枕本体内部を行き来する場合は、アーム部の枕本体との接続部分は、アーム部の他の部分より太いほうが、内部で充填物のアーム部から枕本体への、枕本体からアーム部への移動が容易となる。そのため、アーム部は、枕本体からの立ち上がり部分を一番太くすることが好ましい。アーム部の先端にいくに従い先細る形状の目的は、前記したとおりである。
【0012】
アーム部は、枕本体より柔らかく形成するのが好ましい。柔らかいアーム部は、本発明の腕用クッション使用時に屈曲させるのが容易である。これには、充填物をアーム部から枕本体へ適量移動させる。枕本体内に充填物を詰めこむと、硬い枕本体を形成することができる。
また、アーム部や枕本体は、スポンジや発泡スチロール等を用いて形成することもできる。その場合は、アーム部と枕本体とで、スポンジや発泡スチロール等の硬度を異ならせるのが好ましい。
【0013】
以上より、本発明は、仰向けの姿勢で視聴対象物を掲げるときに腕を支える腕用クッションであって、上腕または肘を載せる枕本体と、肘の内側に挟むことにより前腕を支えるアーム部と、からなり、枕本体とアーム部は一体に形成されていることを特徴とする腕用クッション、とすることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、クッションで、上腕のみならず、前腕をも支えることにより、長時間仰向けの姿勢で視聴対象物を顔や胸の上方に掲げて保持することができる。また、本発明は、腕を支えることを目的としたクッションであるから、小ぶりで、使用時以外の保管に場所をとることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態における腕用クッションの構成斜視図である。
【図2】本発明の腕用クッションを使用し、視聴対象物を保持している状態を表した図であり、腕用クッションを図1のA−A断面で示した図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】本発明の腕用クッションの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における腕用クッションの構成を説明するための図である。
図1に示すように、腕用クッション10は、ベースとなる枕本体20と、枕本体20の上部22から上方に突出するアーム部30とを有する。
図2に示すように、枕本体20は、視聴対象物200を持つ腕の肘102または上腕101を載せるためのものである。使用者100が仰向けの姿勢で視聴対象物200を掲げ持つ際、使用者100の上腕101は、床面からわずかに浮かせたままの状態を維持しなければならない。本実施形態の腕用クッション10においては、枕本体20上に肘102または上腕101を置くことにより、上腕101を支え、姿勢を楽に保つことができる。また、枕本体20は肘102または上腕101を置くことから、安定性が必要となるため、底面21を有する。この枕本体20の底面21は、枕本体20の上部22の投影面積よりも面積が大きい。したがってこの底面21を有する腕用クッション10は座りが良くなる。
【0017】
アーム部30は、枕本体20と一体に形成されており、枕本体20の上部22の中心から一方の側面20a側にオフセットした位置より上方に突出する。図1、4に示すように、アーム部30は、渦巻き形状であるため、枕本体20の上部22から上方へ突出した後、他方の側面20b側に向けて弧を描くように延び、枕本体20の上部22上方で、先端に行くに従いその曲率半径が小さくなるように下向きに丸まり、枕本体20の上部22の投影面積内に位置する。使用時以外のアーム部30は、枕本体20の上部22上に丸まった状態で載っている。したがって、本実施形態の腕用クッション10は、自立する。これは、保管の際の利便性及び外観の良さを目的としている。
【0018】
アーム部30は、肘102の内側に挟まれることにより、使用者100が仰向けの姿勢で視聴対象物200を掲げ持つときの肘102の角度を維持する。つまり、肘102にアーム部30を挟むことにより、視聴対象物200を保持する前腕103を支えることができる。上述の通り、枕本体20により上腕101を、アーム部30により前腕103を支えることが、使用者100が仰向けの姿勢で視聴対象物200を保持する際の疲労を抑える上で、有効である。
このように本実施形態においては、上腕101及び前腕103の2つの部位を支えることが重要であるが、そのために部品点数が増えてしまっては、取り扱い上不便が生じるため、上腕101を支える枕本体20と、前腕103を支えるアーム部30は、一体的に形成されている。
【0019】
アーム部30はまた、その先端31にいくに従い断面積が小さくなる先細り形状をしている。また、そのアーム部30の断面形状は、図3に示すように渦巻き状のアーム部30の中心Cに向けて、幅が漸次小さくなる略三角形とされている。図2を参照すると、腕用クッション10の使用者100の肘102の内側全体を覆うようにアーム部30が挟まれるが、このときの肘102の内側、つまりアーム部30が嵌めこまれる場所は図に示すとおり三角形状をしていることから、断面三角形のアーム部30は、曲げた肘102の内側の形状に対応し、より自然な使用感を実現する。
さらに、曲げる肘102の角度は、使用者100によって好みがあるため、アーム部は、さまざまな太さのものを用意する必要があるが、本実施形態のアーム部30は、枕本体20からの立ち上がり部分32が最も太く、先端31にいくに従い、徐々に細くなっていく先細り形状であるから、使用者100は、アーム部30の好みの太さの場所を肘102の内側に挟んで使用することができる。つまり、アーム部30の枕本体20からの立ち上がり部分32から先端31まで、アーム部30は太さがさまざまであるため、使用者100の好みに、本実施形態の腕用クッション10、1つで対応することができる。
【0020】
アーム部30は、カバーとカバー内に充填される粒状の充填物とから構成されている。そして、当該カバー内において、粒状の充填物が移動可能とされている。これにより前述したアーム部30の太さに、さらなるバリエーションを持たせることが可能となる。アーム部30の肘102に挟む部分に充填物を寄せ集めることで太いアーム部30、反対に肘102に挟む部分を除けるように充填物を移動させると細いアーム部30となる。このため充填物は、アーム部30のカバー内において、容易に移動できるよう、粒状であり、さらに、カバー内に多少のゆとりを残すような量を充填されるのが好ましい。そうすることで、アーム部30は、太さの調節のみならず、使用時の曲げやすさもたやすく調節可能となる。
【0021】
また、例えば、前述のアーム部30同様、枕本体20もカバーと粒状の充填物とから構成した場合、充填物を、アーム部30と枕本体20とを行き来させることができる。これにより、アーム部30と枕本体20の硬さを変えることができる。
このように、アーム部30と枕本体20とで違う硬さや感触を求める場合、アーム部30の充填物が、アーム部30のカバー内だけで移動可能とした上、枕本体20の充填物は、アーム部30の充填物とは異なる素材としてもよい。本発明の腕用クッション10は、アーム部30の充填物が粒状であることが好ましく、それ以外のアーム部30及び枕本体20のカバー、枕本体20の充填物の素材については、なんら限定する意図はない。
【0022】
なお、上記実施の形態では、枕本体20をカバーと充填物から構成したが、これ以外の弾力性のある素材単体、たとえばスポンジ、発泡スチロール等を枕本体20とすることもできる。つまり、アーム部30と枕本体20が異なる素材とすることができる。ただ、いかなる場合においても、アーム部30は枕本体20から立ち上がる形状とする。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0023】
10…腕用クッション、20…枕本体、21…底面、22…上部、30…アーム部、31…先端、32…立ち上がり部分、100…使用者、101…上腕、102…肘、103…前腕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕を支える腕用クッションであって、
ベースとなる枕本体と、
前記枕本体の上部の中心からオフセットした位置より突出する渦巻き状のアーム部とを有し、
前記枕本体と前記アーム部は一体に形成されていることを特徴とする腕用クッション。
【請求項2】
仰向けの姿勢で視聴対象物を掲げる際に用いるものであって、
前記枕本体上に上腕または肘を載せ、前記アーム部を肘の内側に挟むことで、前記視聴対象物を掲げたときの肘の角度を維持することを特徴とする請求項1に記載の腕用クッション。
【請求項3】
前記枕本体は、底面を有し、
前記底面は、前記枕本体の上部の投影面積よりも面積が大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の腕用クッション。
【請求項4】
前記アーム部は、先端にいくに従い断面積が小さくなる先細り形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の腕用クッション。
【請求項5】
前記アーム部の断面形状が、渦巻き状の前記アーム部の中心に向けて、幅が漸次小さくなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の腕用クッション。
【請求項6】
前記アーム部は、カバーと、前記カバー内に充填された粒状の充填物とからなり、
前記充填物は、前記カバー内で移動可能なように充填されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の腕用クッション。
【請求項7】
前記腕用クッションは、カバーと、前記カバー内に充填された粒状の充填物とからなり、
前記充填物は、前記アーム部と前記枕本体との間を行き来できるように充填されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の腕用クッション。
【請求項8】
前記アーム部は、前記枕本体よりも柔らかく形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の腕用クッション。
【請求項9】
仰向けの姿勢で視聴対象物を掲げるときに腕を支える腕用クッションであって、
上腕または肘を載せる枕本体と、
肘の内側に挟むことにより前腕を支えるアーム部と、からなり、
前記枕本体と前記アーム部は一体に形成されていることを特徴とする腕用クッション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−110224(P2011−110224A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269525(P2009−269525)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(509326762)
【Fターム(参考)】