説明

腸管プロテアーゼとその利用方法

【課題】腸管、特に、大腸炎を早期に診断できるバイオマーカーを提供すること。
【解決手段】デキストラン硫酸ナトリウム誘発マウス大腸炎モデルを作成し、腸管プロテアーゼの性質を示した。炎症強度の異なる大腸から炎症強度に負の高い相関性を示す腸管プロテアーゼ、X‐フェニルアラニン‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミドのアルギニンC末端を加水分解するプロテアーゼ。ここでXはベンジルオキシカルボニルまたは L‐プロリンのいずれかを指す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定の腸管プロテアーゼとその利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病因が特定できない腸炎や下痢を伴う疾患としてクローン病や潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)などが知られている。これらの疾患は複雑な社会環境と食生活の多様化が進むにつれて増加した。これらの疾患はQuality of Life(QOL)の著しい低下と、癌ならびに腎および肝疾患などの合併症をもたらす。原因の特定が困難なこと、更に、近年、IBDからIBSに変換すると見られる症例もあり病状が複雑になっている。従って、治療は対処療法であり予防に至っては確定的な方法がないのが現状である。
【0003】
腸管がなんらかの原因で恒常性を失い、IBDやIBSに進展するものと考えられるが、この恒常性の診断指標として内視鏡による組織形態学的診断や糞便細菌叢(Micro flora)の分析などから推察することが知られている。しかし、これらの方法は設備、熟練した技能・技術を必要とすることや費用などの問題があり、更に、食事や時間的な制約なども伴い、決して容易に診断できるものではない。また、近年、炎症マーカーとして炎症性サイトカインやミエロパーオキシダーゼなどが注目されているが、いずれも起炎状態になって突然、発現上昇してくるもので治療指標としては有効であるが、警鐘的な指標とすることは困難である。
【0004】
以上のような現状から、腸管の恒常性の低下や破綻による異常を診断でき、予防と治療の両面に活用できる簡便な診断マーカーが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記現状を鑑み、腸管の恒常性を診断することはIBDや大腸炎型IBSなどの発症を未然に防ぐことから意義のあることである。そこで、腸管の恒常性を診断できる簡便な指標の探索を行った。検体として血液や尿などを用いることは一般的であるが、全身症状の影響を受けるため特定することが困難である。バイオプシーによる腸管粘膜や上皮組織を採集し、腸組織の一部を直接分析する方法を用いた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、潰瘍性大腸炎の動物モデルであるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)惹起大腸炎マウスを作成し、個体間に炎症や病状に差があることに着目し、その各々のマウスから腸管を摘出し、腸管抽出液から11種類のプロテアーゼ活性を測定した。また、代表的な炎症指標酵素である好中球由来のミエロパーオキシダーゼ(MPO)活性も測定した。その結果、腸管炎症や病状(肛門部の出血)に比例してMPO活性が上昇することが示された。
【0007】
分析したプロテアーゼの中で、X‐フェニルアラニン‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミドを基質とするプロテアーゼの活性が炎症強度に逆比例して低下することが認められた。(ここでXはベンジルオキシカルボニル基, L‐プロリンのいずれかを指す)。そして、MPO活性と負の相関性が得られた。軽微な炎症でも有意差をもって低下した。更に、正常マウスでは強く発現しており、活性値に個体間の誤差が小さいこと、摂餌(食物)の影響を受けないことなどの普遍性を有することが分かった。
【0008】
従って、本発明は
「(1)X‐フェニルアラニン‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミドのアルギニンC末端を加水分解する腸管プロテアーゼ。ここでXはベンジルオキシカルボニル基または L‐プロリンのいずれかを示す。(以下ベンジルオキシカルボニル‐フェニルアラニン‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミドのアルギニンC末端を加水分解する腸管プロテアーゼを3095‐vプロテアーゼ又は、L‐プロリン‐L‐フェニルアラニン‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミドのアルギニンC末端を加水分解する腸管プロテアーゼを3096‐vプロテアーゼとする)。尚、3095‐v及び3096‐vその他は株式会社ペプチド研究所の酵素基質(又は蛍光合成基質、合成基質)に対する関連ペプチドのコードである。
(2)請求項1記載の腸管プロテアーゼでその発現に於いて腸管ミエロパーオキシダーゼ活性と負の相関をもつプロテアーゼ。
(3)麹菌培養末を有効成分とする大腸炎予防または治療剤。
(4)腸管粘膜または腸管上皮組織中の、(1)項または(2)項記載の腸管プロテアーゼ活性を測定することにより、大腸炎を判定することを特徴とする検査方法。」
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の腸管プロテアーゼの活性は、正常な状態が維持されている腸管に於いて(個体によって絶対値が異なると考えられるが)大きな変化が無いと考えられる。腸管に障害を及ぼす異常な兆候が生じるとその活性の低下が認められる。病状が発症する前の兆候(病態予備群)を数値化することで予防策の必要性を早期に捉えることが期待できる。また、治療や治癒による腸管障害の回復も数値として診断できる可能性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の麹菌培養末の麹菌は特に限定されないが、アスペルギルス属の菌が挙げられ、好ましくはアスペルギルス・オリゼであり、特に好ましくはアスペルギルス・オリゼNK菌である。
本発明の麹菌培養末は特に制限が無いが、米または麦の胚芽培地に上記の麹菌を植え付け培養させた培養末を用いることができ、特に好ましいのはアスペルギルス・オリゼNK菌培養末である。このアスペルギルス・オリゼNK菌培養末はわかもと製薬株式会社の強力わかもと(登録商標)の主成分として容易に入手可能である。
【0011】
本発明の大腸炎予防または治療剤は、麹菌培養末を40〜70w/v%含有するのが好ましい。
本発明で用いられる麹菌培養末は、脱脂胚芽を蒸気加圧滅菌した後冷却し、麹菌の種麹を少量混じて適温の麹室で培養し、通風乾燥した後製粉することで製造できる。
また本発明の大腸炎予防または治療剤は必要に応じ薬学的に許容しうる賦形剤を含有してもよい。
本発明の大腸炎予防または治療剤はたとえば錠剤、糖衣剤、カプセル剤、丸剤または顆粒剤の形とすることができる。本発明の予防治療剤を経口投与する場合、好ましい1日の投与量は体重約50 kgあたり4 〜8.0gである。
本発明の予防又は治療剤は例えば上記の麹菌培養末に賦形剤を篩過し、均一に混合した後加水撹拌後、混合造粒装置を使用し打錠して製造できる。
また本発明の大腸炎予防または治療剤の大腸炎とは、特に制限が無いが、好ましくは炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)を示し、特に好ましくは潰瘍性大腸炎を示す。
【実施例】
【0012】
実施例1.正常マウスに精製飼料(NK菌培養末を不添加)と通常飼料(NK菌培養末を添加)で飼育した場合の大腸プロテアーゼ活性の変化.
大腸組織抽出液のプロテアーゼ活性測定
マウス(Balb/c ,3週齢,♀)に、精製飼料(AIN-93M)及び精製飼料に5%NK菌培養末を添加した飼料(通常飼料より栄養豊富と見て良いので通常飼料と解釈)を18日間自由摂取させた(各群n=5)。18日後、エーテル麻酔によりマウスを安楽死させ大腸を摘出した。また心臓より血液を採取し血清を得た。摘出した大腸を鋏で細かく切断し、組織 0.2gあたりPBSを1mLになるように加え、ホモジネートした。溶液を12,000 rpm×10 min遠心分離し、上清を大腸組織抽出液とした。プロテアーゼの合成基質として、次の8種類の合成基質を用いた。ベンジルオキシカルボニル‐L‐フェニルアラニル‐L‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード:3095‐v、ペプチド名:Z‐phe‐Arg‐MCA)、L‐プロリル‐L‐フェニル‐L‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード:3096‐v、ペプチド名:Pro‐Phe‐Arg‐MCA)、t‐ブチルオキシカルボニル‐L‐ロイシル‐L‐トレオニル‐L‐アルギニン‐4‐メチル‐7‐クマリル‐アミド(コード名:3106‐v、ペプチド名:Boc‐Leu‐Thr‐Arg‐MCA)、t‐ブチルオキシカルボニル‐L‐グルタミニル‐L‐アラニル‐L‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード名:3135‐v、ペプチド名:Boc‐Gln‐Ala‐Arg‐MCA) 、t‐ブチルオキシカルボニル‐β‐ベンジル‐L‐アスパルチル‐L‐プロリル‐L‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード名:3139‐v、ペプチド名:Boc‐Asp(OBzl)‐Pro‐Arg‐MCA) 、t‐ブチルオキシカルボニル‐L‐バリル‐L‐プロリル‐L‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード名:3093‐v、ペプチド名:Boc‐Val‐Pro‐Arg‐MCA) 、t‐ブチルオキシカルボニル‐L‐バリル‐L‐ロイシル‐L‐リジン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード名:3104‐vペプチド名:Boc‐Val‐Leu‐Lys‐MCA)、t‐ブチルオキシカルボニル‐L‐ロイシル‐L‐セリル‐L‐トレオニル‐L‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード名:3112‐v、ペプチド名:Boc‐Leu‐Ser‐Thr‐Arg‐MCA)。すべての合成基質は株式会社ペプチド研究所の製品である。
以下の方法により蛍光値から腸組織中の酵素活性(units/sec)を測定した。MICROTEST(登録商標) Tissue culture plate 96 well (Falcon(登録商標), Becton Dickinson)に1wellあたり大腸組織抽出液(適宜希釈液)10μLとPBS 140μLを入れ、5分間、30℃で加温後、蛍光合成基質(400μM;ペプチド研究所 ) 50μLを添加し(終濃度100μM)、プロテアーゼ活性によって加水分解して遊離した蛍光物質7‐アミノ‐4‐メチル‐クマリン(AMC)を蛍光光度計( 360 / 465 nm ;SPECTRA MAX , Molecular Devices)で測定し、1秒間にAMCが1μM遊離する単位をunit/secとした。活性表示は大腸抽出液のタンパクmg/mLあたりの単位とした。結果を表1に示す
【0013】
【表1】

【0014】
表1より、精製飼料と通常飼料の間でp値が1.0に近く、活性変化が最も少ないことが示されたのは合成基質3095‐vを加水分解するプロテアーゼであった。この合成基質はベンジルオキシカルボニル‐フェニルアラニン‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミドであった。
即ち、3095‐vプロテアーゼは食事の影響を受けることなく大腸で恒常的に生合成・分泌されているものと考えられる。
【0015】
実施例2.正常マウスにおいて通常飼料(穀類が含有)及び精製飼料(穀類を含まない)により飼育した場合の小腸プロテアーゼ活性の変化.
小腸組織抽出液のプロテアーゼ活性測定
マウス(Balb/c ,3週齢,♀)を上記同様に18日間飼育し、エーテル麻酔によりマウスを安楽死させ小腸を摘出した。摘出した小腸に於いて、胃の下8 cmの部分(主に空腸)を切り出し、PBSを組織 0.2gあたり1mLになるように加え、ホモジネートした。溶液を12,000 rpm×10 min遠心分離し、上清を小腸組織抽出液とした。各種プロテアーゼに対する合成基質は表1で用いたものの他に、t‐ブチルオキシカルボニル‐L‐フェニルアラニル‐L‐セリル‐L‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード名:3107‐v、ペプチド名:Boc‐Phe‐Ser‐Arg‐MCA)、サクシニル‐L‐アラニル‐L‐アラニル‐L‐プロリル‐L‐フェニルアラニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード名:3114‐v、ペプチド名:Suc‐Ala‐Ala‐Pro‐Phe‐MCA)、t‐ブチルオキシカルボニル‐L‐イソロイシル‐L‐グルタミル‐L‐グリシル‐L‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド (コード名:3094‐v、ペプチド名:Boc‐Ile‐Glu‐Gly‐Arg‐MCA)、サクシニル‐L‐ロイシル‐L‐ロイシル‐L‐バリル‐L‐チロシン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード名:3120‐v、ペプチド名:Suc‐Leu‐Leu‐Val‐Tyr‐MCA)及びt‐ブチルオキシカルボニル‐L‐グルタミニル‐グリシル‐L‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード名:3136‐v、ペプチド名:Boc‐Gln‐Gly‐Arg‐MCA)を用いて、以下の方法により蛍光値から腸組織中の酵素活性を測定した(units/sec)。合成基質は全て株式会社ペプチド研究室の製品である。MICROTEST(登録商標) Tissue culture plate 96 well (Falcon(登録商標), Becton Dickinson)に1wellあたり小腸組織抽出液(PBSで20倍釈液)5μLとPBS 145μLを入れ、5分間、30℃で加温後、蛍光合成基質(400μM;ペプチド研究所 ) 50μLを添加し(終濃度100μM)、プロテアーゼ活性によって加水分解して遊離した蛍光物質7‐アミノ‐4‐メチル‐クマリン(AMC)を蛍光光度計( 360 / 465 nm ;SPECTRA MAX , Molecular Devices)で測定し、1秒間にAMCが1μM遊離する単位をunit/secとした。活性表示は大腸抽出液のタンパクmg/mLあたりの単位とした。 結果を表2に示す
【0016】
【表2】

【0017】
表2により、合成基質3139‐vと3120‐vを分解するプロテアーゼが食事の影響を受けることなく定常的に生合成・分泌されているものと考えられる。
【0018】
実施例3.デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)惹起マウス大腸炎の大腸プロテアーゼ活性及びミエロプロテアーゼ活性の比較
3週齢の雌性Balb/cマウスに3%DSS(分子量 2.5 kDa)水を5日間自由摂水させ、大腸炎を惹起し(DSS群、n=12)た。また、大腸炎予防としてのアスペルギルス・オリゼーNK菌麹の混餌投与による群(n=13)は、大腸炎惹起2週間前から試験終了まで自由摂取させた(DSS/NK麹群, n=13)。両群にDSS投与5日後、麻酔死させ、先述の方法と同様に大腸、小腸の各抽出液を作成し、MPO活性と11種のプロテアーゼ群の変動を測定した。プロテアーゼ活性の測定には表1及び表2で示した合成基質のほかに、ベンジルオキシカルボニル‐L‐アルギニル‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード名:3123‐v、ペプチド名:Z‐Arg‐Arg‐MCA) 、ベンジルオキシカルボニル‐L‐ピログルタミル‐グリシル‐L‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド (コード名:3138‐v、ペプチド名:Z‐Pyr‐Gly‐Arg‐MCA) 、L‐メチオニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(コード名:3149‐v、ペプチド名:Met‐MCA)を用いた。合成基質は全て株式会社ペプチド研究室の製品である。
MPO活性はWallaceらの方法に準じて行った(Wallace J.L et al. Inhibition of leukotrien synthesis markedly accelerates healing in a rat model of inflammatory bowel disease. Gastroenterology,96,29-36,1989)。摘出した大腸はハサミで細かく切り刻んだ後、0.5w/v% 臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(Sigma)を含む50 mM リン酸緩衝液(pH 6.0、1 mL/100 mg 組織)中で破砕した。破砕後、遠心して得られた上清に0.167 mg/mL o‐ジアニシジン(Sigma)および0.0005% 過酸化水素水を添加し、0〜10分までの450 nmの吸光度変化を測定した。 結果を表3に示す。
【0019】
【表3】

【0020】
非予防群のMPO活性は予防群のMPO活性より高かった(p=0.0004)。よって、予防群では腸管炎症が抑制されていることが分かる。全ての予防群のプロテアーゼが非予防群のプロテアーゼに対して高い活性を示したが、有意差を示したのは3095‐vプロテアーゼ(p<0.00001)及び3149-vプロテアーゼ(p=0.007)の2種類である。MPO活性と高い負の相関を示したプロテアーゼは3095‐vプロテアーゼ (r=-0.809)及び3096‐vプロテア‐ゼ (r=-0.618)の2種類である。
個体間の活性のバラツキについて表3の相対標準偏差(%)を比較する。非予防群の相対標準偏差において、3095‐vプロテアーゼは12.23%であり、 3149‐vプロテアーゼは17.17%であった。予防群の相対標準偏差において、3095‐vプロテアーゼは19.23%であり、3149‐vプロテアーゼは16.11%であった。3095‐vプロテアーゼ及び3149‐vプロテアーゼはMPO活性(非予防群26.45%,予防群33.88%)に比較してバラツキが少なかった。3095‐vプロテアーゼのバラツキが少ないことは表1の相対標準偏差(%)でも同様に示されている。
腸管の異常やその兆候を捉える診断因子として炎症強度と負の相関性が高く、予防群と非予防群に有意差が生じ、かつ、個体間のバラツキが少ないプロテアーゼが望ましい。これまでの結果から、合成基質3095‐vと3096‐v (プロリン‐フェニルアラニン‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド)を加水分解するプロテアーゼが考えられる。特に、3095‐vプロテアーゼは可能性が非常に高いと言える。
【産業上の利用可能性】
【0021】
腸管の恒常性の低下や破綻による異常を診断でき、予防と治療の両面に活用できる簡便な診断マーカーが期待される。
本発明により、腸管、特に、大腸炎を早期に診断できるバイオマーカーに利用できる腸管プロテアーゼを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】[実施例3]に記載の個々のマウス大腸の3095‐vプロテアーゼ活性とMPO活性の相関図を図1に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X‐フェニルアラニル‐アルギニン‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミドのアルギニンC末端を加水分解する腸管プロテア‐ゼ。ここでXはベンジルオキシカルボニル基または L-プロリンのいずれかを指す。
【請求項2】
請求項1記載の腸管プロテアーゼでその発現に於いて腸管ミエロパーオキシダーゼ活性と負の相関をもつプロテアーゼ。
【請求項3】
麹菌培養末を有効成分とする大腸炎予防または治療剤。
【請求項4】
腸管粘膜または腸管上皮組織中の、請求項1または2記載の腸管プロテアーゼ活性を測定することにより、大腸炎を判定することを特徴とする検査方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−24143(P2010−24143A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183289(P2008−183289)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000100492)わかもと製薬株式会社 (22)
【Fターム(参考)】