説明

腹圧状態通報器。

【課題】 被検者の現在の太り具合を、腹圧により簡単且つ適確に判定し、生活習慣に留意し健康状態の維持継続を可能にする腹圧状態通報器の提供。
【解決手段】 腹圧許容上限値が設定された腹圧状態通報器2が内装されたベルト1を装着し、例えば朝食時の直立から着座への姿勢変換時の腹部筋肉の移動に伴う腹圧変化を、腹部腹圧センサ3で検出し、通報信号発生回路5が出力する通報信号に応じて、腹圧が腹圧許容上限値内では、振動通報ユニット7からの振動数f1の振動通報信号Fb1の振動刺激で平常通報を行い、腹圧が腹圧許容上限値を越えると、振動数4f1の通報信号Fb2の振動刺激で危険通報を行い、被検者は適確に自己の腹圧が平常か危険状態であるかを把握し、インターバル速歩など必要な生活習慣の実行、薬剤服用、理学整体処理或いは専門医との相談など、健康維持の方法を適切に選択することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の標準域データに対応して、被検者の現在の腹圧状態を通報する腹圧状態通報器に関する。
【背景技術】
【0002】
日頃の食生活、運動、休養、飲酒、喫煙などの生活習慣は、健康な生活を長く送れるか否かに深く関係があり、これらの生活習慣を適切に実行しないと、肥満、高脂血症、高血圧、高血糖などの生活習慣病を発症することがあり、さらには、複数の生活習慣病が重なったメタボリックシンドローム(内蔵脂肪症候群に進むおそれがある。
これらの生活習慣病の中で、我々に最も身近に感じられ管理し易いように思われるのが肥満である。日本内科学会など8学会の協力により、診断基準として発表された「肥満」の基準は、男性で臍周りのウエスト(腹囲)が85cm以上、女性で90cm以上となっている。一方、身長と体重との関係で肥満を定義するBMI基準式も提案されており、身長(m)の2乗で体重(kg)を割ったBMI基準式の値が、24.2〜26.4で過体重、26.4以上で肥満と定義されている。
【0003】
肥満に対しては蛋白質の摂取を維持したまま、糖質と脂質の摂取を減らして一日の摂取カロリーを通常の摂取カロリーの1/3に抑える超低カロリーダイエットが行なわれ、それなりの成果は上げているが退院後にリバウンドする率も多い。
従って、肥満を適切に管理し健康な生活を送るためには、カロリーを十分に配慮した食事を摂り、不足しがちな栄養成分をサプリメントで補いながら、適度な運動と休養を取ることが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に説明したように、肥満に適切に対応するためには、日頃から自らがどの程度の肥満度にあるのかを定量的に把握しておくことが必要である。
肥満度を定量的に把握するために、ウエスト周りを測定したり、BMI基準式で演算をして得られる数値はあくまでも一つの目安値であり、個人はそれぞれ自分に最適の太り具合の数値を健康診断などにより日頃から把握しておき、生活習慣に十分に気を付けることが必要である。
本発明は、前述した肥満度判定の現状に鑑みてなされたものであり、その目的は自らの現在の太り具合を、腹圧により簡単且つ適確に判定することにより、生活習慣や薬剤の摂取に注意を払って、健康状態を維持継続した生活を送ることを可能にする腹圧状態通報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、請求項1記載の第1の発明は、被検者の腹部に直接または衣服を介して対接配設され、前記腹部の筋肉移動に伴う腹圧変化を検出し、前記被検者の腹圧状態を通報する腹圧状態通報器であるが、前記腹圧変化を検出する腹圧センサと、前記被検者の標準腹圧域データを設定する標準域設定手段と、前記標準腹圧域データに対応する前記腹圧センサの検出信号に基づき、前記被検者の腹圧状態を通報する通報手段とを有することを特徴とする。
【0006】
第1の発明に係る腹圧状態通報器は、標準域設定手段によって、被検者の標準腹圧域データが事前に設定された状態で、被検者の腹部に直接または衣服を介して対接配設されて使用される。この使用状態で、腹圧センサによって被検者の腹部の筋肉移動に伴う腹圧変化が検出され、腹圧センサからは検出信号が出力される。そして、腹圧センサからの検出信号が標準域データに対応して判定され、通報手段によって被検者の腹圧状態の通報が行なわれる。
そこで被検者は、通報手段による通報に基づいて、自らの腹圧状態を日常生活の中で簡単且つ適確に知り、必要な生活習慣の実行、薬剤服用或いは専門医との相談など、健康維持の方法を適切に選択する。
【0007】
請求項2記載の第2の発明は、第1の発明において腹部の筋肉移動が、被検者の直立姿勢から着座姿勢への姿勢変換による移動であることを特徴とするものである。
【0008】
第2の発明では、第1の発明での作用に加えて、腹部の筋肉移動を、被検者の直立姿勢から着座姿勢への姿勢変換による移動とすることにより、被検者は自らの腹圧状態を、例えば朝食時の直立姿勢から着座姿勢への姿勢変換により、日常生活の中でに簡単且つ適確に把握し健康維持の方法を適切に選択する。
【0009】
請求項3記載の第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、腹圧状態通報器が、被検者の腰部に装着されるベルトに内装された状態で、前記被検者の腹部に対接配設されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の第3の発明では、腹圧状態通報器が、被検者の腰部に装着されるベルトに内装された状態で、前記被検者の腹部に対接配設されているので、第1の発明または第2の発明での作用に加えて、日常生活の中でより簡単且つ適確に自らの腹圧状態が把握される。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明に係る腹圧状態通報器によると、標準域設定手段によって、被検者の標準腹圧域データが事前に設定された状態で、被検者の腹部に直接または衣服を介して対接配設されて使用され、腹圧センサによって被検者の腹部の筋肉移動に伴う腹圧変化が検出される。
そして腹圧センサから出力される検出信号が、標準腹圧域データに対応して判定され、通報手段によって被検者の腹圧状態の通報が行なわれるので、被検者は、通報手段による通報に基づいて、自らの腹圧状態を日常生活の中で簡単且つ適確に把握することが可能になり、必要な生活習慣の実行、薬剤服用或いは専門医との相談など、健康維持の方法を適切に選択することが可能になる。
【0012】
第2の発明に係る腹圧状態通報器によると、第1の発明で得られる効果に加えて、腹部の筋肉移動を、被検者の直立姿勢から着座姿勢への姿勢変換による移動とすることにより、被検者は自らの腹圧状態を、例えば朝食時の直立姿勢から着座姿勢への姿勢変換により、に簡単且つ適確に把握することが可能になり、健康維持の方法を適切に選択することが可能になる。
【0013】
第3の発明に係る腹圧状態通報器によると、第1の発明または第2の発明で得られる効果に加えて、腹圧状態通報器が、被検者の腰部に装着されるベルトに内装された状態で、前記被検者の腹部に対接配設されているので、第1の発明または第2の発明で得られる効果に加えて、日常生活の中でより簡単且つ適確に自らの腹圧状態を把握することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】 同実施例のベルトへの取り付け状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の一実施例を、図1及び図2を参照して説明する。
【実施例】
【0016】
本発明の一実施例では、図2に示すように、腹圧状態通報器2が被検者の腹部に装着されるベルト1に内装され、被検者の腹部に衣服を介して対接配設されている。
このようにベルト1に内装される腹圧状態通報器2は、図1に示すように、被検者の腹圧Faを検出する腹圧センサ3が、例えばシリコンの薄片を用いた圧電抵抗素子により作成され、この腹圧センサ3は腹圧Faに応じた電気抵抗率を示し、腹圧Faに対応する腹圧検出信号faを出力するように構成されている。この腹圧センサ3の出力端子に通報信号fbを出力する通報信号発生回路5が接続され、通報信号発生回路5の出力端子には、被検者に振動通報信号Fbによって、現在の腹圧状態を通報する振動通報ユニット7が接続されている。
【0017】
一方、被検者の標準腹圧域データが設定される標準腹圧域データ設定ユニット6が設けられ、この標準腹圧域データ設定ユニット6には、被検者のBMI判定値、体脂肪率、腹囲、血圧、肺活量、画像診断データ、血液検査データなどに基づいて、予め専門医によって被検者の標準腹圧域データの設定が行なわれるような構成になっている。
このようにして、標準腹圧域データが設定されると、標準腹圧域データ設定ユニット6からは、腹圧センサ3に対してはセンサ調整信号fc1が、通報信号発生回路5に対しては発生回路調整信号fc2が入力され、それぞれの動作の調整設定が行なわれる。
本実施例はこのような動作の調整設定によって、腹圧センサ3は被検者の腹圧Faに対応する腹圧検出信号faを出力し、通報信号発生回路5は、腹圧検出信号faに対応する通報信号fbを出力するように構成されている。
そして、通報信号発生回路5の出力端子には振動通報ユニット7が接続され、振動通報ユニツト7からは、通報信号発生回路5から入力される通報信号fbに対応して振動通報信号Fbを出力し、この振動通報信号Fbによって、被検者に現在の腹圧状態の通報が行なわれるように構成されている。
【0018】
本実施例では専門医によって、ベルト1を日常的に使用する被検者のBMI判定値、体脂肪率、腹囲、血圧、肺活量、画像診断データ、血液検査データに基づいて被検者の標準腹圧域データが予め算出され、被検者の呼吸や日常的な立振舞による腹部の筋肉移動に基づく腹圧変化の許容上限値が演算される。
この場合、被検者の呼吸によって上面が肺に接している横隔膜が伸縮・弛緩するので、横隔膜の下面に接している胃、脾臓・肝臓と共に腹部の筋肉が移動し、被検者の日常的な立振舞によって腹部の筋肉が移動し、腹部の筋肉の移動に伴って被検者の腹圧が変化するが、実施例では専門医によって、日常的によく行なわれる被検者の直立姿勢から着座姿勢への姿勢変換による腹部の筋肉移動に伴う腹圧変化に基づいて許容上限値が演算される。
【0019】
そして、演算された許容上限値に基づいて、標準腹圧域データ設定ユニット6にデータが設定され、このデータ設定によって腹圧センサ3にはセンサ調整信号fc1が入力され、通報信号発声回路5には発生回路調整信号fc2が入力される。
センサ調整信号fc1の入力によって、シリコンの薄片を用いた圧電抵抗素子で構成される腹圧センサ3は、被検者の直立姿勢から着座姿勢への姿勢変換による腹圧変化により電気抵抗率が変化し、測定時の被検者の腹圧が許容上限値以内であると、対応して変化する電気抵抗率に基づき、腹圧センサ3は腹圧検出信号fa1を出力する。一方、測定時の被検者の腹圧が許容上限値を越えると、対応して変化する電気抵抗率に基づき、腹圧センサ3は腹圧検出信号fa2を出力する。
【0020】
また通報信号発生回路5は、腹圧センサ3から腹圧検出信号fa1が入力されると、通報信号fb1を出力し、腹圧センサ3から腹圧検出信号fa2が入力されると、通報信号fb2を出力する。そして、振動通報ユニット7は、通報信号発生回路5から通報信号fb1が入力されると、振動数f1の振動通報信号Fb1を出力し、通報信号発生回路5から通報信号fb2が入力されると、振動数4f1の高振動数の振動通報信号Fb2を出力する。
振動通報ユニット7からの振動通報信号Fb1、Fb2は、直接被検者の腹部に振動を伝達するので、腹圧状態通報器2が内装されたベルト1を装着した被検者が、直立姿勢から着座姿勢へと姿勢変換を行なうことにより、被検者の腹圧の変化が許容上限値以内であると、被検者は振動通報ユニット7からの振動通報信号Fb1により、振動数f1の振動刺激を受ける。
これに対して、被検者の直立姿勢から着座姿勢へと姿勢変換により、被検者の腹圧の変化が許容上限値を越えると、被検者は振動通報ユニット7からの振動通報信号Fb2により振動数4f1の高振動数の振動刺激を受け、自らの腹圧が危険領域にあるとの通報を受けることになり、インターバル速歩など必要な生活習慣の実行、薬剤服用、理学整体処理或いは専門医との相談など、健康維持の方法を適切に選択することになる。
【0021】
このように本実施例によると被検者は、自己の腹圧許容上限値が事前に設定された腹圧状態通報器2が内装されたベルト1を日常的に装着することにより、日常生活の中での姿勢変換動作、例えば朝食時の直立姿勢から着座姿勢への姿勢変換時の腹部筋肉の移動に伴う腹圧変化を、被検者の腹部に衣服を介して対接する腹圧状態通報器2の腹圧センサ3により検出する。そして、通報信号発生回路5から出力される通報信号に対応して、振動通報ユニット7から出力される振動通報信号により、自らの腹圧状態が腹圧許容上現値内にあるか否かを、腹部への振動刺激として受け取ることにより簡単且つ適確に把握することが可能になる。
この場合、被検者の腹圧が腹圧許容上限値内にあると、振動通報ユニット7からの振動通報信号Fb1は、振動数f1の振動刺激で被検者に平常通報を行い、被検者の腹圧が腹圧許容上限値を越えると、通報信号Fb2は振動数4f1の高振動数の振動刺激で被検者に危険通報を行なう。このために、正常通報時の4倍の振動数での振動刺激を受けた被検者は、簡単且つ適確に自己の腹圧が危険状態にあることを把握し、インターバル速歩など必要な生活習慣の実行、薬剤服用、理学整体処理或いは専門医との相談など、健康維持の方法を適切に選択することが可能になる。
また、本実施例では被検者の腹圧が許容上限値内にある場合でも、例えば朝食時の着座ごとに、腹部に振動数f1の振動刺激を受けるので、被検者は食事の際に摂取している薬剤やサプリメントの服用忘れをなくすことが可能になる。
【0022】
なお、実施例ではベルト1に腹圧状態通報器2を内装し、振動通報ユニット7により、被検者に振動刺激によって通報を行なう場合を説明したが、本発明は実施例に限定されるものではなく、例えば、腹圧状態通報器を腹巻に内装し、被検者に通報音による通報を行なう構成とすることも可能である。
また、実施例では腹圧センサ2として、シリコンの薄片を用いた圧電抵抗素子を構成要素とする場合を説明したが、本発明は実施例に限定されるものではなく、例えば圧縮力の異なる二種のスプリングを構成要素として腹圧センサを構成することも可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 ベルト
2 腹圧状態通報器
3 腹圧センサ
5 通報信号発生回路
6 標準腹圧域設定ユニット
7 振動通報ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の腹部に直接または衣服を介して対接配設され、前記腹部の筋肉移動に伴う腹圧変化を検出し、前記被検者の腹圧状態を通報する腹圧状態通報器であり、
前記腹圧変化を検出する腹圧センサと、前記被検者の標準腹圧域データを設定する標準域設定手段と、前記標準腹圧域データに対応する前記腹圧センサの検出信号に基づき、前記被検者の腹圧状態を通報する通報手段と
を有することを特徴とする腹圧状態通報器。
【請求項2】
腹部の筋肉移動が、被検者の直立姿勢から着座姿勢への姿勢変換による移動であることを特徴とする請求項1記載の腹圧状態通報器。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の腹圧状態通報器が、被検者の腰部に装着されるベルトに内装された状態で、前記被検者の腹部に対接配設されていることを特徴とする腹圧状態通報器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−50713(P2011−50713A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223387(P2009−223387)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(391064027)
【Fターム(参考)】