説明

膜電極接合体の製造方法

【課題】電解質膜、触媒層、ガス拡散層以外の別部材を用いずに、比較的簡易な構成で、膜電極接合体の製造時に電解質膜に加わるダメージによるアノードとカソードと間の短絡や、クロスリークを抑制することが可能な膜電極接合体の製造方法を提供する。
【解決手段】電解質膜10の両面に、触媒層12a,12cをそれぞれ形成する。次に、電解質膜10の触媒層12a側表面における領域10e1に、ガス拡散層基材14cを接着し、電解質膜10の触媒層12c側表面における領域10e2に、ガス拡散層基材14aを接着する。次に、電解質膜10の一部が2重に重なるとともに、ガス拡散層基材14cが、電解質膜10の触媒層12cと当接するように、電解質膜10を折り畳み、電解質膜10の一部が2重に重なるとともに、ガス拡散層基材14aが、電解質膜10の触媒層12aと当接するように、電解質膜10を折り畳む。そして、これらをホットプレス接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に用いられる膜電極接合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素との電気化学反応によって発電する燃料電池がエネルギ源として注目されている。この燃料電池は、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に、それぞれガス拡散電極(アノード、および、カソード)を接合してなる膜電極接合体を、セパレータによって挟持することによって構成される。そして、アノード、および、カソードは、それぞれ上記電気化学反応を促進するための触媒層と、燃料電池の外部から供給された反応ガス(燃料ガス、および、酸化剤ガス)を拡散させつつ、触媒層に供給するためのガス拡散層とを備える。
【0003】
図4は、従来の膜電極接合体の製造工程を示す説明図である。ここでは、膜電極接合体を側面から見た様子を示した。図4(a)に示したように、まず、ナフィオン(登録商標)等の固体高分子からなる電解質膜10を用意する。そして、図4(b)に示したように、電解質膜10の両面に、アノード側触媒層12aと、カソード側触媒層12cとをそれぞれ形成する。アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cは、例えば、触媒金属を担持したカーボンブラックや電解質等を溶媒に分散させたいわゆる触媒インクを、電解質膜10の両面にそれぞれ塗布して、乾燥させることによって形成される。なお、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cは、電解質膜10の表面における周縁部を除く一部に領域にそれぞれ形成される。そして、図3(c)に示したように、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cを形成した電解質膜10の両面に、アノード側ガス拡散層を構成するアノード側ガス拡散層基材14aと、カソード側ガス拡散層を構成するカソード側ガス拡散層基材14cとをそれぞれ配置し、ホットプレス接合する。アノード側ガス拡散層基材14a、および、カソード側ガス拡散層基材14cとしては、一般に、ガス拡散性、および、導電性を有するカーボンペーパや、カーボンクロスが用いられる。このとき、比較的高価な触媒を有効利用するために、つまり、電解質膜10上に形成されたアノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cのすべての領域を発電に利用するために、アノード側ガス拡散層基材14a、および、カソード側ガス拡散層基材14cは、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cが形成された領域よりも広い領域にそれぞれ接合される。
【0004】
したがって、上述した製造工程によって製造された膜電極接合体の周縁部(図4(c)中に破線で囲って示した領域10e)では、アノード側ガス拡散層基材14a、カソード側ガス拡散層基材14cが、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cを挟まずに、電解質膜10に接合される。そして、電解質膜10の領域10eでは、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cを挟んで、アノード側ガス拡散層基材14a、および、カソード側ガス拡散層基材14cが接合された電解質膜10の領域よりも、膜厚が薄いため、物理的強度が比較的弱い。また、ガス拡散層基材として用いられるカーボンペーパや、カーボンクロスの表面には、一般に、カーボン繊維の毛羽が存在する。このため、物理的強度が比較的弱い電解質膜10の領域10eには、膜電極接合体の製造時に、カーボン繊維の毛羽によるダメージが加わりやすく、この電解質膜10の領域10eでは、アノードとカソードと間の短絡や、いわゆるクロスリークが生じやすいという課題があった。このような課題は、発電効率の向上、すなわち、膜抵抗の低減のために、電解質膜を薄膜化した場合に、特に顕著である。
【0005】
そこで、近年では、膜電極接合体について、上述した課題を解決するための種々の技術が提案されている(下記特許文献1,2参照)。例えば、下記特許文献1には、電解質膜の周縁部を炭化フッ素系の樹脂で被覆することが記載されている。また、下記特許文献2には、電解質膜の周縁部に、ガスケットを配置することが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−308228号公報
【特許文献2】特許第3245161号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1,2に記載された技術では、電解質膜、触媒層、ガス拡散層以外に、別部材(炭化フッ素系の樹脂や、ガスケット)を用いて膜電極接合体を構成するため、膜電極接合体の製造工程の複雑化を招いていた。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、電解質膜、触媒層、ガス拡散層以外の別部材を用いずに、比較的簡易な構成で、膜電極接合体の製造時に電解質膜に加わるダメージによるアノードとカソードと間の短絡や、クロスリークを抑制することが可能な膜電極接合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、以下の構成を採用した。すなわち、本発明の製造方法は、燃料電池に用いられ、固体高分子からなる電解質膜の両面に、それぞれ触媒層とガス拡散層とを備える膜電極接合体の製造方法であって、前記電解質膜の表面における周縁部を除く一部の領域、および、前記ガス拡散層を構成するガス拡散層基材の前記電解質膜と対向する側の表面における周縁部を除く一部の領域のうちの少なくとも一方に、前記触媒層を形成する触媒層形成工程と、前記電解質膜の表面における周縁部の一部の領域に、複数の前記ガス拡散層基材を接着するガス拡散層基材接着工程と、前記ガス拡散層基材が接着された前記電解質膜の周縁部が多重に重なるとともに、前記電解質膜と前記ガス拡散層基材との間に前記触媒層が配置されるように、前記電解質膜の周縁部を折り曲げて、前記多重に重なるように折り曲げられた領域を含む前記電解質膜と前記触媒層と前記ガス拡散層基材とをホットプレス接合によって接合する接合工程と、を備えることを要旨とする。
【0010】
本発明では、電解質膜、触媒層、ガス拡散層基材以外に、別部材(先に説明した炭化フッ素系の樹脂や、ガスケット)を用いずに、比較的簡易な構成で、膜電極接合体を製造することができる。また、電解質膜と、触媒層と、ガス拡散層基材とをホットプレス接合するときに、電解質膜の周縁部において、電解質膜が多重に重なり、膜厚が厚くなるため、この部位における電解質膜の物理的強度を向上させることができる。したがって、電解質膜の周縁部におけるアノードとカソードと間の短絡や、クロスリークを抑制することができる。
【0011】
なお、本発明は、上述の膜電極接合体の製造方法としての構成の他、上述の膜電極接合体を備える燃料電池の製造方法の発明として構成することもできる。この燃料電池の製造方法は、上述の製造方法によって膜電極接合体を製造した後に、この膜電極接合体の両面に、それぞれセパレータを配置する工程を追加すればよい。また、上述の製造方法によって製造された膜電極接合体、および、燃料電池の発明として構成することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。
A.第1実施例:
図1は、本発明の第1実施例としての膜電極接合体の製造工程を示す説明図である。まず、図1(a)に示したように、矩形形状を有する電解質膜10の両面における周縁部を除く一部の矩形領域に、矩形形状を有するアノード側触媒層12a、および、矩形形状を有するカソード側触媒層12cをそれぞれ形成する。本実施例では、電解質膜10として、ナフィオン(登録商標)を用いるものとした。また、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cは、触媒金属を担持したカーボンブラックや、ナフィオン等の電解質等を溶媒に分散させたいわゆる触媒インクを、電解質膜10の両面にそれぞれ塗布して、乾燥させることによって形成される。
【0013】
次に、図1(b)に示したように、電解質膜10のアノード側触媒層12a側の表面における周縁部の一部の領域(図示した左側の領域10e1)に、矩形形状を有するカソード側ガス拡散層基材14cを接着する。また、電解質膜10のカソード側触媒層12c側の表面における周縁部の一部の領域(図示した右側の領域10e2)に、矩形形状を有するアノード側ガス拡散層基材14aを接着する。この接着工程は、接着剤を用いて接着するようにしてもよいし、ホットプレス接合によって接着するようにしてもよい。このときの図1(b)におけるA−A断面図を図1(c)に示した。なお、本実施例では、アノード側ガス拡散層基材14a、および、カソード側ガス拡散層基材14cとして、カーボンクロスを用いるものとした。また、アノード側ガス拡散層基材14a、および、カソード側ガス拡散層基材14cのサイズは、等しく、また、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cの表面積よりも大きいものとした。
【0014】
次に、図1(c)中に矢印で示したように、カソード側ガス拡散層基材14cが、電解質膜10のカソード側触媒層12cと当接するように、電解質膜10を折り畳むとともに、アノード側ガス拡散層基材14aが、電解質膜10のアノード側触媒層12aと当接するように、電解質膜10を折り畳む。先に説明したように、電解質膜10は、固体高分子からなるため、容易に折り曲げることができる。こうすることによって、電解質膜10の折り畳まれた領域では、電解質膜10が2重に重なり、この領域における膜厚が厚くなる。
【0015】
そして、図1(d)に示したように、これらをホットプレス接合することによって、膜電極接合体が完成する。なお、上述した膜電極接合体において、さらに、アノード側ガス拡散層基材14a、カソード側ガス拡散層基材14cからはみ出した電解質膜10を切断するようにしてもよい。
【0016】
以上説明した第1実施例の膜電極接合体の製造方法によれば、電解質膜10、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12c、アノード側ガス拡散層基材14a、および、カソード側ガス拡散層基材14c以外の別部材を用いずに、比較的簡易な構成で、膜電極接合体を製造することができる。また、電解質膜10、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12c、アノード側ガス拡散層基材14a、および、カソード側ガス拡散層基材14cをホットプレス接合するときに、電解質膜10の周縁部において、電解質膜10が2重に重なり、膜厚が厚くなるため、この部位における電解質膜10の物理的強度を向上させることができる。したがって、電解質膜10の周縁部におけるアノードとカソードと間の短絡や、クロスリークを抑制することができる。
【0017】
B.第2実施例:
上述した第1実施例では、膜電極接合体の製造工程において、電解質膜10の両面に、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cを、それぞれ形成するものとしたが、第2実施例では、アノード側ガス拡散層基材14a、および、カソード側ガス拡散層基材14cの表面に、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cを、それぞれ形成するものとした。なお、第2実施例においても、電解質膜10、アノード側触媒層12a、カソード側触媒層12c、アノード側ガス拡散層基材14a、カソード側ガス拡散層基材14cとして、第1実施例と同じ材料を用いるものとした。
【0018】
図2は、本発明の第2実施例としての膜電極接合体の製造工程を示す説明図である。まず、図2(a)に示したように、矩形形状を有する電解質膜10を用意する。
【0019】
次に、図2(b)に示したように、一方の表面における周縁部を除く一部の矩形領域に、カソード側触媒層12cを形成した矩形形状を有するカソード側ガス拡散層基材14cと、一方の表面における周縁部を除く一部の矩形領域に、アノード側触媒層12aを形成した矩形形状を有するアノード側ガス拡散層基材14aとを用意し、これらを、電解質膜10の周縁部の領域10e1、および、領域10e2に接着する。この接着工程は、第1実施例と同様に、接着剤を用いて接着するようにしてもよいし、ホットプレス接合によって接着するようにしてもよい。このときの図2(b)におけるA−A断面図を図2(c)に示した。なお、本実施例においても、第1実施例と同様に、アノード側ガス拡散層基材14a、および、カソード側ガス拡散層基材14cのサイズは、等しいものとした。
【0020】
次に、図2(c)に矢印で示したように、カソード側ガス拡散層基材14cに形成されたカソード側触媒層12cが、電解質膜10の一方の表面と当接するように、電解質膜10を折り畳むとともに、アノード側ガス拡散層基材14aに形成されたアノード側触媒層12aが、電解質膜10の他方の表面と当接するように、電解質膜10を折り畳む。こうすることによって、電解質膜10の折り畳まれた領域では、電解質膜10が2重に重なり、この領域における膜厚が厚くなる。
【0021】
そして、図2(d)に示したように、これらをホットプレス接合することによって、膜電極接合体が完成する。なお、上述した膜電極接合体において、さらに、アノード側ガス拡散層基材14a、カソード側ガス拡散層基材14cからはみ出した電解質膜10を切断するようにしてもよい。
【0022】
以上説明した第2実施例の膜電極接合体の製造方法によっても、電解質膜10、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12c、アノード側ガス拡散層基材14a、および、カソード側ガス拡散層基材14c以外の別部材を用いずに、比較的簡易な構成で、膜電極接合体を製造することができる。また、電解質膜10、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12c、アノード側ガス拡散層基材14a、および、カソード側ガス拡散層基材14cをホットプレス接合するときに、電解質膜10の周縁部において、電解質膜10が2重に重なり、膜厚が厚くなるため、この部位における電解質膜10の物理的強度を向上させることができる。したがって、電解質膜10の周縁部におけるアノードとカソードと間の短絡や、クロスリークを抑制することができる。なお、上述した膜電極接合体の両面に、それぞれセパレータを配置することによって、燃料電池を製造することができる。
【0023】
C.変形例:
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形が可能である。
【0024】
C1.変形例1:
上記第1実施例、および、第2実施例では、膜電極接合体の製造工程において、アノード側ガス拡散層、および、カソード側ガス拡散層を、1枚のアノード側ガス拡散層基材14a、および、1枚のカソード側ガス拡散層基材14cを用いて、それぞれ形成するものとしたが、本発明は、これに限られない。アノード側ガス拡散層、および、カソード側ガス拡散層を、複数のアノード側ガス拡散層基材、および、複数のカソード側ガス拡散層基材を用いて、それぞれ形成するものとしてもよい。
【0025】
図3は、変形例としての膜電極接合体の製造工程の概略を示す説明図である。図3(a)に示したように、本変形例では、十字型の形状を有する電解質膜10Aを用意し、この電解質膜10Aの両面における周縁部を除く一部の矩形領域に、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12cを、それぞれ形成する。そして、電解質膜10Aのカソード側触媒層12c側の表面における周縁部の一部の領域、すなわち、図示した領域10Ae1、および、領域10Ae2に、アノード側ガス拡散層基材14a1、および、アノード側ガス拡散層基材14a2をそれぞれ接着する。また、電解質膜10Aのアノード側触媒層12a側の表面における周縁部の一部の領域、すなわち、図示した領域10Ae3、および、領域10Ae4に、カソード側ガス拡散層基材14c1、および、カソード側ガス拡散層基材14c2をそれぞれ接着する。このときの図3(a)におけるA−A断面図を、図3(b)に示し、図3(a)におけるB−B断面図を、図3(c)に示した。なお、本変形例では、アノード側ガス拡散層基材14a1と、アノード側ガス拡散層基材14a2とは、同一の矩形形状を有しているものとした。また、カソード側ガス拡散層基材14c1と、カソード側ガス拡散層基材14c2とは、同一の矩形形状を有しているものとした。また、アノード側ガス拡散層基材14a1、および、アノード側ガス拡散層基材14a2の面積は、それぞれアノード側拡散層の面積の1/2であり、カソード側ガス拡散層基材14c1、および、カソード側ガス拡散層基材14c2の面積は、それぞれカソード側ガス拡散層の面積の1/2である。
【0026】
そして、図3(b)中に矢印で示したように、アノード側ガス拡散層基材14a1、および、アノード側ガス拡散層基材14a2が、電解質膜10Aのアノード側触媒層12aと当接するとともに、アノード側ガス拡散層基材14a1の端部と、アノード側ガス拡散層基材14a2の端部とが当接するように、電解質膜10Aを折り畳む。また、図3(c)中に矢印で示したように、カソード側ガス拡散層基材14c1、および、カソード側ガス拡散層基材14c2が、電解質膜10Aのカソード側触媒層12cと当接するとともに、カソード側ガス拡散層基材14c1の端部と、カソード側ガス拡散層基材14c2の端部とが当接するように、電解質膜10Aを折り畳む。そして、これらをホットプレス接合することによって、膜電極接合体が完成する。このときの図3(a)におけるA−A断面図を、図3(d)に示し、図3(a)におけるB−B断面図を、図3(e)に示した。
【0027】
以上説明した変形例の膜電極接合体の製造方法によっても、第1実施例、および、第2実施例と同様に、電解質膜10A、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12c、アノード側ガス拡散層基材14a1,14a2、および、カソード側ガス拡散層基材14c1,14c2以外の別部材を用いずに、比較的簡易な構成で、膜電極接合体を製造することができる。また、電解質膜10A、アノード側触媒層12a、および、カソード側触媒層12c、アノード側ガス拡散層基材14a1,14a2、および、カソード側ガス拡散層基材14c1,14c2をホットプレス接合するときに、電解質膜10Aの周縁部において、電解質膜10Aが2重に重なり、膜厚が厚くなるため、この部位における電解質膜10Aの物理的強度を向上させることができる。したがって、電解質膜10Aの周縁部におけるアノードとカソードと間の短絡や、クロスリークを抑制することができる。
【0028】
C2.変形例2:
上記実施例、および、変形例では、膜電極接合体の製造工程において、電解質膜10,10Aの周縁部が2重に重なるように折り畳むものとしたが、本発明は、これに限られない。電解質膜10の周縁部を、さらに多重に重なるように、折り畳むようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施例としての膜電極接合体の製造工程を示す説明図である。
【図2】本発明の第2実施例としての膜電極接合体の製造工程を示す説明図である。
【図3】変形例としての膜電極接合体の製造工程の概略を示す説明図である。
【図4】従来の膜電極接合体の製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
10,10A…電解質膜
12a…アノード側触媒層
12c…カソード側触媒層
14a,14a1,14a2…アノード側ガス拡散層基材
14c,14c1,14c2…カソード側ガス拡散層基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池に用いられ、固体高分子からなる電解質膜の両面に、それぞれ触媒層とガス拡散層とを備える膜電極接合体の製造方法であって、
前記電解質膜の表面における周縁部を除く一部の領域、および、前記ガス拡散層を構成するガス拡散層基材の前記電解質膜と対向する側の表面における周縁部を除く一部の領域のうちの少なくとも一方に、前記触媒層を形成する触媒層形成工程と、
前記電解質膜の表面における周縁部の一部の領域に、複数の前記ガス拡散層基材を接着するガス拡散層基材接着工程と、
前記ガス拡散層基材が接着された前記電解質膜の周縁部が多重に重なるとともに、前記電解質膜と前記ガス拡散層基材との間に前記触媒層が配置されるように、前記電解質膜の周縁部を折り曲げて、前記多重に重なるように折り曲げられた領域を含む前記電解質膜と前記触媒層と前記ガス拡散層基材とをホットプレス接合によって接合する接合工程と、
を備える製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−181784(P2008−181784A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14888(P2007−14888)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】