説明

膜電極接合体の製造方法

【課題】電極触媒層に含まれるアイオノマーのガス透過性の向上が可能な新たな膜電極接合体の製造手法を提供する。
【解決手段】アイオノマーと触媒担持済みの触媒担体とを含む触媒インクを用いて、電解質膜51の両膜面に電極触媒層であるアノード52とカソード53を形成し、MEAを作製する。そして、このMEAをガス透過性向上処置に処する(ステップS300)。このガス透過性向上処置は、電極触媒層のアイオノマーが結晶相を呈する故に密な密領域を減少させて、その分、非晶質相を呈する故に疎で高いガス透過性となる疎領域を増やす処置である。その一手法では、MEAの電極触媒層の層内部に水を含浸させて、この含浸した水を凍結させ、その後、水を解凍して乾燥除去する。凍結の際の水の膨張により結晶相における分子の配向を乱し、結晶相を非晶質相と同じような疎とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトン伝導性を有する電解質膜の膜面に電極触媒層を接合した膜電極接合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によって発電する燃料電池がエネルギー源として注目されている。この燃料電池には、電解質膜として固体高分子膜を用いた固体高分子型燃料電池がある。こうした固体高分子型燃料電池では、一般に、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に電極触媒層を接合した膜電極接合体(MEA:Membrane−Electrode Assembly)が用いられる。
【0003】
膜電極接合体は、一般に、電解質膜の両面にいわゆる触媒インクを塗工することによって製造される。触媒インクは、触媒を担持した導電性の触媒担体(例えば、カーボン粒子)と、プロトン伝導性を有するアイオノマーとを含み、これらを分散媒に分散させている。
【0004】
燃料電池のアノードとカソードに供給された燃料ガスと酸化剤ガスは、膜電極接合体の電極触媒層において、触媒の作用により電気化学反応に供される。この電気化学反応は、ガスの流路と、アイオノマーと、触媒担持済みの触媒担体とが接する、いわゆる三相界面で、触媒を介して起こる。このため、触媒を三相界面上に存在させて触媒へのガス接触機会を増やすべく、高分子有機化合物粒子の除去を経て電極触媒層に空隙を形成して触媒近傍でのアイオノマーの表面積を増大させることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−28978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、空隙形成のために配合される高分子有機化合物粒子は、その除去前においてアイオノマーに覆われ、その覆われた箇所を、除去後において空隙とする。このため、高分子有機化合物粒子の除去を経て電極触媒層に形成される空隙の大きさは、その化合物粒子の大きさに依存するので、空隙の微細化には限界がある。また、こうして形成された空隙は、電極触媒層全体としてのガス透過性には寄与するものの、触媒およびその担体を被覆するアイオノマーにおけるガス透過性についてはさほど影響しない。上記した特許文献では、こうしたアイオノマーにおけるガス透過性の向上についての配慮がないことから、アイオノマーのガス透過性の向上を図る手法が要請されるに到った。
【0007】
本発明は、上記した課題を踏まえ、電極触媒層に含まれるアイオノマーのガス透過性の向上が可能な新たな膜電極接合体の製造手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の適用例として実施することができる。
【0009】
[適用例1:膜電極接合体の製造方法]
プロトン伝導性を有する電解質膜の膜面に電極触媒層を接合した膜電極接合体の製造方法であって、
触媒を担持した導電性の触媒担体とプロトン伝導性を有するアイオノマーとを含む触媒インクを用いた前記電極触媒層を前記電解質膜の膜面に形成するに当たり、前記電極触媒層において前記アイオノマーの分子の配向が揃うことで前記アイオノマーが結晶相を呈し、密となる密領域を減少させる密減少工程を実行する
ことを要旨とする。
【0010】
触媒インクを用いて電解質膜の膜面に形成済みの電極触媒層に含まれるアイオノマーは、その高分子樹脂としての性質から、分子の配向が揃うことで結晶相を呈して密な密領域のアイオノマーと、配向があまり揃わずに非晶質相を呈して疎な疎領域のアイオノマーに分けられる。そして、結晶相を呈する故に密な密領域と非晶質相を呈する故に疎な疎領域の割合は、アイオノマーの分子鎖構造等に依存した分子配向の状況により定まるものの、密領域は形成済み電極触媒層のアイオノマーに必然的に含まれる。
【0011】
この適用例1の膜電極接合体の製造方法では、上記のように電極触媒層のアイオノマーの密領域を減少させるので、その分、非晶質相を呈する故に疎な疎領域が増える。結晶相と非晶質相とでは、非晶質相の方がガス透過性に優れるので、適用例1の膜電極接合体の製造方法によれば、電極触媒層に含まれるアイオノマーのガス透過性を高めることが可能となる。
【0012】
上記した適用例1の高圧ガスタンクの膜電極接合体は、次のような態様とすることができる。例えば、密減少工程を、前記触媒インクを用いて前記電解質膜の膜面に前記電極触媒層を形成済みの状況で実行することが簡便である。この際の一手法は、前記電解質膜の膜面に形成済みの前記電極触媒層の層内部に水を含浸させて、その含浸させた水を、凍結させた後に解凍して乾燥除去する。電極触媒層内部に含浸した水は、アイオノマーの結晶相の中或いはその周辺に行き渡り、当該箇所にて凍結する。この凍結の際、水は膨張を起こすので、凍結の過程で分子の配向を乱し、結晶相を非晶質相と同じような疎とする。そして、凍結した水の解凍・除去後には、結晶相を呈していた密領域において微細な空隙が残るので、アイオノマーのガス透過性が高まる。この場合、非晶質相においても上記した現象が起きることから、疎領域にあっても微細な空隙が形成されるので、高い実効性でアイオノマーのガス透過性を高めることができる。
【0013】
また、前記電解質膜の膜面に形成済みの前記電極触媒層を、前記アイオノマーの溶解を来す溶媒を含むガスに晒して、該ガスに含まれる前記溶媒を前記電極触媒層の層内部に導き、この導いた溶媒を除去するようにすることもできる。電極触媒層内部に導かれた溶媒は、アイオノマーの結晶相の中或いその周辺に行き渡り、当該箇所のアイオノマーを溶解して分子の配向を乱し、結晶相を非晶質相と同じような疎とする。このため、溶媒の除去後にあっては、結晶相を呈していた故に密であった密領域は疎な状況となるので、アイオノマーのガス透過性が高まる。この場合、アイオノマーの溶解を来す溶媒を、アイオノマーの結晶質と親和性を有するものとすれば、アイオノマーの結晶相について、これを非晶質相と同じような疎とするようにできる。結晶質との親和性が少ない溶媒であれば、非晶質相においても上記した現象が起きることから、疎領域にあってもその疎な状況が増すので、高い実効性でアイオノマーのガス透過性を高めることができる。
【0014】
また、前記電解質膜の膜面に形成済みの前記電極触媒層の層内部に、前記アイオノマーの前記結晶相を解くイオンを含む溶液を含浸させ、その含浸した溶液を前記イオンと共に除去するようにすることもできる。電極触媒層内部に導かれた溶液に含まれるイオンは、アイオノマーの結晶相の中或いその周辺に行き渡り、当該箇所のアイオノマーの結晶相を解く。このため、溶液の除去後にあっては、結晶相を呈していた故に密であった密領域は疎な状況となるので、アイオノマーのガス透過性が高まる。
【0015】
本発明は、上記した膜電極接合体の製造方法の他、上記した膜電極接合体の製造方法で製造した膜電極接合体を備える燃料電池およびこの燃料電池の製造方法としても、適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例としての燃料電池40を断面視にて概略的に示す説明図である。
【図2】燃料電池40の製造工程の概略を示す説明図である。
【図3】アイオノマーを含む触媒インクを用いて得られた膜−電極接合体(MEA)の電極触媒層においてアイオノマーが呈する結晶相・非晶質相の様子を概念的に示す説明図である。
【図4】評価測定の一手法を示す説明図である。
【図5】ガス透過性向上処置に処した実施例(電極触媒層擬製薄葉片)とガス透過性向上処置が未実施の比較例(既存MEA/電極触媒層擬製薄葉片)とについての酸素還元電流値と電極電位との関係を示すグラフである。
【図6】第2実施例におけるガス透過性向上処置の様子を概略的に示す説明図である。
【図7】第2実施例のガス透過性向上処置に処した実施例の膜−電極−拡散層接合体(MEGA)とガス透過性向上処置が未実施の比較例MEGA(既存MEGA)とについてのX線照射角度とその反射強度との関係を示すグラフである。
【図8】第2実施例のガス透過性向上処置に処した実施例MEGAとガス透過性向上処置が未実施の比較例MEGA(既存MEGA)とについての電流とセル電圧およびセル抵抗の関係を示すグラフである。
【図9】第3実施例における化学式1で表されるフッ素系アイオノマー(パーフルオロスルホン酸樹脂)のフッ素を種々のイオンに置換した場合のガラス転移温度と誘電正接との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例としての燃料電池40を断面視にて概略的に示す説明図である。
【0018】
図示するように、燃料電池40は、水素と酸素との電気化学反応によって発電する電池セルユニットとして構成され、当該ユニットを図示しない一対のエンドプレートの間に複数積層させたスタック構造とされている。この場合、電池セルユニット積層数は、燃料電池40に要求される出力に応じて任意に設定可能である。
【0019】
燃料電池40は、発電単位となる電池セル50を対向するセパレーター41で挟持する。電池セル50は、図1に示すように、電解質膜51の両側にアノード52とカソード53の両電極を備える。電解質膜51は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。アノード52およびカソード53は、例えば白金、あるいは白金合金等の触媒を担持した導電性粒子、例えばカーボン粒子(以下、触媒担持カーボン粒子と称する)を、プロトン伝導性を有するアイオノマーで被覆して構成された電極触媒層であり、電解質膜51の両膜面に接合され電解質膜51と共に膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly/MEA)を形成する。通常、アイオノマーは、電解質膜51と同質の固体高分子材料である高分子電解質樹脂(例えばフッ素系樹脂)であり、その有するイオン交換基によりプロトン伝導性を有する。
【0020】
この他、電池セル50は、電極形成済みの電解質膜51をその両側からアノード側ガス拡散層54とカソード側ガス拡散層55にて挟持する。セパレーター41は、この両ガス拡散層の外側に位置し、ガス拡散層を含んで電池セル50を挟持する。アノード側ガス拡散層54とカソード側ガス拡散層55は、ガス透過性を有する導電性部材、例えば、カーボンペーパやカーボンクロスによって形成される。
【0021】
セパレーター41は、電池セル50ごとに反応ガス(水素ガスを含有する燃料ガス又は酸素を含有する酸化ガス)が流れるガス流路を形成する部材であって、水素透過性が低く導電性の良好な材料で形成される。例えば、樹脂に導電材料を混入して成形したプレート状の導電性複合材や金属鋼板などがセパレーター41の形成に用いられる。セパレーター41は、電池セル50の各電極へのガス給排を行うべく、その表裏面に、セル内水素ガス流路42とセル内エアー流路43とを備える。本実施例では、セル内水素ガス流路42とセル内エアー流路43とは、セル面内(電極面内)において直交配列された流路とされ、セル内水素ガス流路42は図において上下に延びる多列の直線状流路とされている。燃料電池40の電池セル50は、これらセル内流路を経てアノード52とカソード53に水素ガスと空気の供給を受け、水素と酸素の電気化学反応を起こして発電する。
【0022】
次に、上記した燃料電池40の製造工程について説明する。図2は燃料電池40の製造工程の概略を示す説明図である。
【0023】
図2に示すように、燃料電池40を製造するに当たり、本実施例では、MEAの製造、これを用いたMEGA(電池セル50)の製造と進んで燃料電池40を得るようにした。MEAの製造に際しては、まず、固体高分子電解質膜としての電解質膜51(図1参照、以下、同じ)を準備する(ステップS100)。この場合、電解質膜51については、製膜生成済みの電解質膜51を購入したり、膜形成材料の高分子電解質樹脂から製膜生成することができる。本実施例では、この電解質膜51をプロトン伝導性を有するナフィオン膜とした(ナフィオンは登録商標、以下同じ)。
【0024】
次に、電極触媒層であるアノード52およびカソード53の形成用の触媒インクを調合する(ステップS120)。このステップでは、白金合金を触媒とし、その触媒粒子を担持したカーボン粒子(触媒担持カーボン粒子/触媒担体)と、プロトン伝導性を有するアイオノマーと、これらの分散媒(純水、および、有機溶媒)とを、適宜な攪拌機器によって混合・攪拌することによって、触媒インクを調合する。カーボン粒子としては種々のものを選択可能であり、例えば、カーボンブラックやグラファイトの他、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー等を用いることができる。
【0025】
触媒担持に際しては、通常採用されている手法、例えば、含浸法や共沈法、あるいはイオン交換法を行えばよい。また、触媒担持済みのカーボン粒子として流通しているものを入手することもできる。触媒担持カーボン粒子の分散に際しては、超音波ホモジナイザーを用いた。なお、上記の分散媒における純水と有機溶媒の混合比は、適宜決定できる。
【0026】
アイオノマーとしては、例えば、下記の化学式1で表されるフッ素系アイオノマー(パーフルオロスルホン酸樹脂)を用いることとした。図3はアイオノマーを含む触媒インクを用いて得られた膜−電極接合体(MEA)の電極触媒層においてアイオノマーが呈する結晶相・非晶質相の様子を概念的に示す説明図である。
【0027】
【化1】

【0028】
このアイオノマーは、側鎖におけるスルホン酸基にてプロトン伝導性と親水性を呈し、含フッ素ビニル化合物に基づく繰り返し単位を主鎖構造とする。このため、触媒インク調合の上での上記した混合・攪拌および後述の製膜の過程で、主鎖分子の配向が揃った領域では結晶相を呈し、配向があまり揃わない領域では非晶質相を呈する。そして、アイオノマーは、結晶相を呈するが故に密な密領域と、非晶質相を呈するが故に疎な疎領域に分けられ、この図では、非晶質相のスルホン酸基が取り囲む領域で、水素イオンの透過移動によるプロトン伝導性と親水性を呈する様子が示されている。なお、図3では、触媒担持カーボン粒子が描かれていないが、図示する結晶質或いは非晶質相を呈するアイオノマーにて、触媒担持カーボン粒子が覆われている、もしくは隣り合うカーボン粒子がこのアイオノマーにてバインドされていることとなる。
【0029】
上記した触媒インクの調合に続いては、この触媒インクを用いて膜−電極接合体(MEA)を作製する(ステップS200)。つまり、調合済みの触媒インクを、ステップS100で得た電解質膜51の表裏面にドクターブレード法やスクリーン印刷手法等の膜形成手法により塗布することで、電解質膜51の両側に電極触媒層であるアノード52、カソード53を形成する。或いは、調合済みの触媒インクを用いて膜成形してシートを作製し、このシートを電解質膜51上にプレスすることによってアノード52、カソード53を電解質膜51に接合して形成しても良い。また、調合済みの触媒インクを剥離性を有するシート(例えば、テフロンシート:テフロンは登録商標)に塗布して乾燥させ、調合済みの触媒インクから電極転写シートを作製する。そして、この2枚のテフロンシートで、電極転写シートが電解質膜51の両側に接合するよう、電解質膜51を挟み、所定温度・圧力で熱プレスした後にテフロンシートを剥離させ、電極転写シートを電解質膜51の両側に転写して接合するようにすることもできる。こうして得られたMEAでは、その電極触媒層であるアノード52、カソード53において、図3に示すようにアイオノマーが触媒担持カーボン粒子を覆ったりバインドすることになる。
【0030】
MEAの作製に続いては、得られたMEAを電極触媒層のガス透過性向上処置に処する(ステップS300)。このガス透過性向上処置では、まず、得られたMEAを室温にて純水に浸漬し、MEAの電極触媒層であるアノード52、カソード53の層内部に水を含浸させる。次いで、含水済みMEAを−30℃の低温環境下に1時間に亘って置いて、含浸した水を凍結させる。その後、例えば、室温乾燥或いは温風乾燥等の乾燥処理にMEAを処して、水を解凍して乾燥除去する。
【0031】
続いて、アノード側ガス拡散層54とカソード側ガス拡散層55の両ガス拡散層を準備して(ステップS400)、この両ガス拡散層にてMEAを挟持するよう、
アノード52にアノード側ガス拡散層54を、カソード53にカソード側ガス拡散層55をそれぞれ接合させる(ステップS500)。これにより、MEAGAとしての電池セル50が得られる。ガス拡散層の接合は、適宜な接合手法、例えばホットプレスにより行なうことができる。このように、熱および圧力を加えることで、アノード52とカソード53を構成する触媒アイオノマーが熱により軟化し、軟化したアイオノマーがアノード・カソードのガス拡散層の多孔質な表面全体に馴染んで接触面積が増加しつつ、両者が圧着される。
【0032】
次に、得られたMEAGAとしての電池セル50の両側のガス拡散層にセパレーター41を接合させつつ(ステップS600)、これらを所定の順序で(図1のセルが繰り返し形成されるように)所定数積層してスタック構造を組み立て、積層方向に所定の押圧力を加えて全体構造を保持する(ステップS700)。これにより、燃料電池40が完成する。
【0033】
次に、ステップS300でのガス透過性向上処置で得られる効果について説明する。図4は評価測定の一手法を示す説明図である。評価測定に当たっては、既述したステップS120で調合した触媒インクにて、MEAの電極触媒層であるアノード52、カソード53の形成に用いる膜成形シートを作製する。その作製した膜成形シートについて、これを、既述したステップS300のガス透過性向上処置に処す前と、当該処置に処した後とにおいて、性能評価を行った。既述したステップS300のガス透過性向上処置に処す前の膜成形シートは、既存のMEAにおける電極触媒層を擬製した薄葉片となり、ステップS300のガス透過性向上処置に処した膜成形シートは、本実施例のMEAにおける電極触媒層(アノード52、カソード53)を擬製した薄葉片となる。
【0034】
まず、図4に示すように、電解質膜51を対極側と参照極側に間を隔てて配置した上で、各極の白金(Pt)電極に接合させる。電極触媒層擬製薄葉片については、ガス透過性向上処置に処す前の状態にて、これを隣り合う電解質膜51を跨ぐように配置して作用極のPt電極に接合させる。その上で、薄葉片裏面側には、隣り合う電解質膜51の間を塞ぐように乾燥濾紙を配置し、当該濾紙およびその左右の電解質膜51の裏面側に、80℃で相対湿度80%の酸素含有ガス(例えば空気)を吹き付け供給する。この酸素供給の間において、作用極のPt電極における酸素還元電流値を対極・参照極の電極電位ごとに計測する。同様の電流値計測を、ガス透過性向上処置に処した電極触媒層擬製薄葉片についても行い、これを対比した。図5はガス透過性向上処置に処した実施例(電極触媒層擬製薄葉片)とガス透過性向上処置が未実施の比較例(既存MEA/電極触媒層擬製薄葉片)とについての酸素還元電流値と電極電位との関係を示すグラフである。
【0035】
図5に示すように、実施例MEAを擬製した薄葉片では、既存MEAを擬製した薄葉片に比して、卑な低電極電位の領域において、酸素還元電流値が約1.5倍程度向上している。図4に示すように測定した酸素還元電流値は、電極触媒層擬製薄葉片を濾紙の側から作用極のPt電極まで透過する酸素が多いほど高まる。そうすると、実施例MEAを擬製した薄葉片では、既存MEAを擬製した薄葉片に比して、ガス透過性において優れていると言える。しかも、卑な電極電位の領域は、ガス供給が律速となる高発電領域と対応することから、実施例MEAを擬製した薄葉片では、既存MEAを擬製した薄葉片に比して、高発電領域においてもガス透過性において優れていると言える。
【0036】
ガス透過性が相違する実施例MEAを擬製した薄葉片と既存MEAを擬製した薄葉片とでは、ステップS300のガス透過性向上処置に処す・処さないでしか相違しない。よって、本実施例のガス透過性向上処置は、電極触媒層のガス透過性の向上をもたらす処置と言え、次のように説明できる。
【0037】
実施例MEAを擬製した薄葉片では、この薄葉片の内部、詳しくは電極触媒層擬製薄葉片の内部に含浸した水は、図3に示すアイオノマーの結晶相の中或いはその周辺に行き渡り、当該箇所にて凍結する。この凍結の際、水は膨張を起こすので、凍結の過程で結晶相における分子の配向を乱し、結晶相を非晶質相と同じような疎とする。そして、凍結した水の解凍・除去後には、結晶相を呈していた密領域において微細な空隙が残るので、アイオノマーのガス透過性が高まったと言える。つまり、アノード52およびカソード53の電極触媒層を構成するアイオノマーの密領域を減少させて、その分、非晶質相を呈する故に疎な疎領域の増大をもたらす。しかも、こうした現象は、非晶質相においても起きることから、非晶質相を呈する故に疎な疎領域にあっても微細な空隙が形成される。これらの結果、ステップS300のガス透過性向上処置に処された実施例MEAを有する燃料電池40では、アノード52およびカソード53の両電極触媒層に含まれるアイオノマー自体の高いガス透過性により、発電性能についてもこれを向上させることができる。そして、本実施例の製造プロセスによれば、高いガス透過性を有するMEA、延いては高い発電性能を有する燃料電池40を、MEA形成済みの状況でのステップS300のガス透過性向上処置により簡便に製造できる。
【0038】
次に、他の実施例について説明する。この第2実施例では、ステップS300のガス透過性向上処置において、MEAを構成するアノード52とカソード53の電極触媒層をアイオノマーの溶解を来す溶媒を含むガスに晒す点に特徴がある。図6は第2実施例におけるガス透過性向上処置の様子を概略的に示す説明図である。
【0039】
図示するように、ガス透過性向上処置の被処置対象となるMEAともう一つのMEA(次回以降の被処置対象)とを、カソード側ガス拡散層55とアノード側ガス拡散層54(図示略)を接合済みの電池セル50(MEGA)の状態で準備する。つまり、第2実施例では、図2の製造プロセスにおけるステップS300のガス透過性向上処置をステップS500のガス拡散層接合後に行うこととした。
【0040】
次いで、準備した被処置MEAと他のMEAとを、電源とスイッチとを含む回路60に接続する。この際、被処置MEAを含む被処置MEGAのカソード側ガス拡散層55(或いは、アノード側ガス拡散層54)をマイナス電極側に接続し、他のMEAを含むMEGAのガス拡散層については、これを対極側(プラス電極)に接続する。その上で、被処置MEGAのカソード側ガス拡散層55と対極側のMEGAのガス拡散層に、それぞれ以下のガスを80℃で相対湿度100%の状態で供給しつつ、両ガス拡散層に1.0Acm2以下の電流密度で10minに亘って通電する。この場合、被処置MEGAのカソード側ガス拡散層55には、アイオノマーの溶解を来す溶媒であるエタノールを総量で10mg/cm2含む水素ガスが250cc/minの流量で供給され、対極側のMEGAのガス拡散層には、水素ガス或いは不活性ガス(例えば、窒素ガス)が250cc/minの流量で供給される。
【0041】
こうしたガス供給下での通電を受け、被処置MEGAでは、そのカソード側ガス拡散層55を経てMEAの電極触媒層であるカソード53がエタノール含有の水素ガスに晒され、エタノールはカソード層内に導かれる。この現象は次のように説明できる。被処置MEGAでは、水素ガスに含まれるエタノールがカソード側ガス拡散層55を経由して電極触媒層であるカソード53のアイオノマーに導かれて層内に拡散するとはいえ、こうしたエタノールの拡散は電解質膜51の側まで進まないと予想される。ところが、回路60のスイッチが閉状態とされて電源からカソード側ガス拡散層55に電子が流れ込むと、この電子によりカソード側ガス拡散層55の側ではエタノールおよび水素の分解消費が起こり、エタノールの濃度に差が生じる。このように濃度差がある状況下でエタノール含有の水素ガスの供給が続くので、上記した通電の間においては、濃度差を解消するようカソード53におけるアイオノマーでのエタノールの拡散が起きることから、エタノールは電解質膜51の側まで拡散することになる。
【0042】
エタノールは、アイオノマーの結晶質と親和性を有するので、電極触媒層の層内に拡散したエタノールは、図3に示すアイオノマーの結晶相の中或いその周辺に行き渡る。このため、通電の期間と通電停止後の養生期間において、エタノールは、その行き渡った箇所のアイオノマーを溶解して分子の配向を乱し、結晶相を非晶質相と同じような疎とする。そして、養生期間経過の後に、被処置MEGAごとその電極触媒層を純水にて水洗して残留エタノールを除去し、乾燥させれば、結晶相を呈していた故に密であったアイオノマーの密領域は疎な状況となるので、カソード53におけるアイオノマーのガス透過性を高めることができる。つまり、エタノールによるアイオノマーの溶解を図る第2実施例にあっても、アノード52やカソード53の電極触媒層を構成するアイオノマーの密領域を減少させて、その分、非晶質相を呈する故に疎な疎領域の増大をもたらすことになる。しかも、こうした現象は、非晶質相においても起き得ることから、疎領域にあってもその疎な状況が増すので、高い実効性でアイオノマーのガス透過性を高めることができる。そして、こうしたガス透過性の向上は、エタノールによるアイオノマーの溶解とその溶解を起こしたエタノールの除去の結果であることから、エタノールが行き渡った箇所においては、アイオノマーの分子間に微小な隙間ができたことによるとも言える。
【0043】
この場合、カソード側ガス拡散層55を回路60に接続して上記したガス供給と通電および養生の後、同じ被処置MEGAにおけるアノード側ガス拡散層54を回路60に接続して上記したガス供給と通電および養生を行うことで、同じ被処置MEGAのアノード側とカソード側の両電極触媒層におけるアイオノマーのガス透過性を向上させることができる。また、エタノールによるアイオノマー溶解を介した上記したガス透過性向上処置を既に受けた被処置MEGAを回路60から取り除き、新たな被処置MEGAを回路60に接続して、上記したガス供給と通電を行えば、ガス透過性の向上した電極触媒層を有するMEGAを順次、作製できる。
【0044】
次に、上記した第2実施例のガス透過性向上処置で得られる効果について説明する。評価判定として、小角X線を照射してその反射強度から結晶構造を解析するX線解析を行った。このX線解析に当たっては、既述した図2のステップS120で調合した触媒インクにて形成した電極触媒層であるアノード52、カソード53を有するMEAを作製し(ステップS200)、このMEAからMEGA(電池セル50)を作製する(ステップS400〜500)。その作製したMEGAについて、これを、エタノールによるアイオノマー溶解を経た上記のガス透過性向上処置に処す前と、当該処置に処した後とにおいて、X線解析を行った。上記のガス透過性向上処置に処す前のMEGAは、既存のMEGAに相当し、上記のガス透過性向上処置に処したMEGAは、本実施例のMEGAとなる。図7は第2実施例のガス透過性向上処置に処した実施例の膜−電極−拡散層接合体(MEGA)とガス透過性向上処置が未実施の比較例MEGA(既存MEGA)とについてのX線照射角度とその反射強度との関係を示すグラフである。
【0045】
図7に示すように、ガス透過性向上処置が未実施の既存MEGAでは、アイオノマーの結晶相に対応した照射角度において顕著な反射強度が観察されるのに対し、実施例MEGAでは、上記の照射角度前後において、反射強度が大きく低下している。この図7のX線解析結果から、エタノールによるアイオノマー溶解を起こすガス透過性向上処置に処すことで、電極触媒層を構成するアイオノマーの結晶相を非晶質相と同じような疎として密領域を減少させることができると言える。
【0046】
次に、この第2実施例のMEGAとしての電池セル50の性能向上について説明する。図8は第2実施例のガス透過性向上処置に処した実施例MEGAとガス透過性向上処置が未実施の比較例MEGA(既存MEGA)とについての電流とセル電圧およびセル抵抗の関係を示すグラフである。セル電圧とセル抵抗の測定に当たっては、図1に示す電池セル50の構成とした上で、アノード52には272cc/minの流量で水素ガスを、カソード53には866cc/minの流量で空気を供給して発電を行い、その発電の際にセル電圧とセル抵抗を測定した。なお、ガス供給は、共に80℃で相対湿度100%の状態で行った。
【0047】
図8に示すように、エタノールによるアイオノマー溶解を起こすガス透過性向上処置に処した実施例MEGAでは、セル電圧およびセル抵抗が向上した。これは、既述したようにアノード52とカソード53の電極触媒層におけるガス透過性の向上により、電気化学反応が活性化したことによると言える。そして、エタノールによるアイオノマー溶解を起こす第2実施例のガス透過性向上処置によっても、既述した実施例と同様の効果を奏することができる。特に、この第2実施例では、エタノール含有の水素ガスにアノード52とカソード53の電極触媒層に晒すので、エタノール溶液にMEA或いはMEGAを浸漬させる手法に比べ、次の利点がある。エタノール溶液に浸漬させる手法では、電解質膜51を構成する電解質高分子樹脂についてまで、これをエタノールにより溶解させることが危惧されるが、エタノール含有の水素ガスに電極触媒層に晒す第2実施例の手法では、電解質膜51を構成する電解質高分子樹脂をエタノールにより溶解させてしまうことを防止できる。
【0048】
次に、第3実施例について説明する。この第3実施例では、ステップS300のガス透過性向上処置において、MEAを構成するアノード52とカソード53の電極触媒層をアイオノマーの結晶相をイオンにて解く点に特徴がある。図9は第3実施例における化学式1で表されるフッ素系アイオノマー(パーフルオロスルホン酸樹脂)のフッ素を種々のイオンに置換した場合のガラス転移温度と誘電正接との関係を示すグラフである。なお、図9は、Macromolecules 2000,33,6031に基づくグラフである。
【0049】
図示する種々のイオンを置換すると、そのイオンに基づく誘電正接のピーク値は、低温度に推移する。図9の横軸は、アイオノマーのガラス転移温度であることから、置換イオン種によりアイオノマーのガラス転移温度を低温側に推移させることができる。その一方、アイオノマーの結晶相が解かれて溶液状態となってアイオノマーが疎となれば、結晶相が低減することによりアイオノマーのガラス転移温度は低下する。よって、アイオノマーのガラス転移温度を低温側に推移させるイオンを、例えばイオン交換法にて置換すれば、アイオノマーの結晶相を置換済みイオンにて解いてアイオノマーの結晶相を疎とできる。この性質を利用して、第3実施例では、アイオノマーのガラス転移温度の低温化が可能なイオンを、MEAを構成する電極触媒層のアイオノマーに置換させる手法(イオン交換法)を採用した。
【0050】
この第3実施例では、図2のステップS300において、MEAを、例えばテトラブチルアンモニウムイオン(TBA+)を含む溶液に浸漬して、或いは当該溶液を噴霧等の手法でアノード52やカソード53の電極触媒層に付着させる。溶液に含まれるテトラブチルアンモニウムイオンは、アイオノマーの結晶質と親和性を有するので、アイオノマーの結晶相の中或いその周辺に行き渡り、アイオノマーのフッ素と置換する。こうしたイオン交換法にて置換されたテトラブチルアンモニウムイオンは、後述するようにその除去がなされるまでの間において、置換箇所であるアイオノマーの結晶相を解いて溶液状態として、その結晶相を非晶質相と同じような疎とし、アイオノマーのガラス転移温度を図9に示すように低下させる。そして、イオン置換後の養生期間の経過後に、塩酸等の酸溶液へのMEAの浸漬、純水によるMEAの洗浄、およびその後の乾燥を行う。これにより、テトラブチルアンモニウムイオンは、MEAの電極触媒層から除去される。
【0051】
こうしたテトラブチルアンモニウムイオンの置換を経たMEAでは、上記したようなテトラブチルアンモニウムイオンによりアイオノマーの結晶相が解かれたものとなるので、結晶相を呈していた故に密であった密領域は疎な状況となり、アイオノマーのガス透過性が高まる。つまり、テトラブチルアンモニウムイオンによりアイオノマーの結晶相を解いて溶液状態とする第3実施例にあっても、アノード52やカソード53の電極触媒層を構成するアイオノマーの密領域を減少させて、その分、非晶質相を呈する故に疎な疎領域の増大をもたらすことになる。そして、こうしたガス透過性の向上は、テトラブチルアンモニウムイオンがアイオノマーの結晶相を解いて溶液状態としたこととその溶液状態とした起こしたテトラブチルアンモニウムイオンの除去の結果であることから、テトラブチルアンモニウムイオンが置換された箇所においては、アイオノマーの分子が解かれて微小な隙間ができたことによるとも言える。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、上記の実施例では、アノード52とカソード53の両電極触媒層において、当該触媒層を構成するアイオノマーのガス透過性の向上を図ったが、いずれか一方の電極触媒層についてガス透過性向上処置を行うようにすることもできる。
【0053】
また、第2実施例におけるガス透過性向上処置では、水素ガスに含有させたエタノールにてアイオノマーの溶解を図ったが、エタノール以外の溶媒を用いることもできる。アイオノマーの結晶相との親和性が高くない溶媒を用いることもでき、その溶媒によれば、非晶質相についてもより疎としてガス透過性の向上が可能となる。この他、第2実施例では、MEAの状態でエタノールによるアイオノマーの溶解を図ることもできる。この場合には、図6に示す回路60の両側電極を、カソード側ガス拡散層55のようにガス透過性と導電性を有する平板状電極とし、当該電極にMEAを接合すればよい。
【0054】
また、MEA或いはMEGAをガス透過性向上処置に処するようにしたが、アイオノマーを触媒担持担体と共に含む触媒インクの調合の際に、アイオノマーの結晶相を解くような手法も可能である。
【符号の説明】
【0055】
40…燃料電池
41…セパレーター
42…セル内水素ガス流路
43…セル内エアー流路
50…電池セル(MEA)
51…電解質膜
52…アノード
53…カソード
54…アノード側ガス拡散層
55…カソード側ガス拡散層
60…回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトン伝導性を有する電解質膜の膜面に電極触媒層を接合した膜電極接合体の製造方法であって、
触媒を担持した導電性の触媒担体とプロトン伝導性を有するアイオノマーとを含む触媒インクを用いた前記電極触媒層を前記電解質膜の膜面に形成するに当たり、前記電極触媒層において前記アイオノマーの分子の配向が揃うことで前記アイオノマーが結晶相を呈し、密となる密領域を減少させる密減少工程を実行する
膜電極接合体の製造方法。
【請求項2】
前記密減少工程は、前記触媒インクを用いて前記電解質膜の膜面に前記電極触媒層を形成済みの状況で実行される請求項1に記載の膜電極接合体の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の膜電極接合体の製造方法であって、
前記密減少工程は、
前記電解質膜の膜面に形成済みの前記電極触媒層の層内部に水を含浸させる工程と、
該含浸した水を凍結させる工程と、
前記凍結した水を解凍して乾燥除去する工程とを含む膜電極接合体の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の膜電極接合体の製造方法であって、
前記密減少工程は、
前記電解質膜の膜面に形成済みの前記電極触媒層を、前記アイオノマーの溶解を来す溶媒を含むガスに晒して、該ガスに含まれる前記溶媒を前記電極触媒層の層内部に導く工程と、
前記導いた溶媒を除去する工程とを含む膜電極接合体の製造方法。
【請求項5】
請求項2に記載の膜電極接合体の製造方法であって、
前記密減少工程は、
前記電解質膜の膜面に形成済みの前記電極触媒層の層内部に、前記アイオノマーの前記結晶相を解くイオンを含む溶液を含浸させる工程と、
該含浸した溶液を前記イオンと共に除去する工程とを含む膜電極接合体の製造方法。
【請求項6】
プロトン伝導性を有する電解質膜の膜面に電極触媒層を接合した膜電極接合体を備える燃料電池の製造方法であって、
前記膜電極接合体を準備する工程と、
該準備した膜電極接合体を、ガス透過性と導電性を有するガス拡散部材で挟持する工程とを含み、
前記膜電極接合体は、
触媒を担持した導電性の触媒担体とプロトン伝導性を有するアイオノマーとを含む触媒インクを用いた前記電極触媒層を前記電解質膜の膜面に形成するに当たり、前記電極触媒層において前記アイオノマーの分子の配向が揃うことで前記アイオノマーが結晶相を呈し、密となる密領域を減少させる密減少工程を受けている
燃料電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−51047(P2013−51047A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186921(P2011−186921)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】