説明

膨張可能で剛性化可能なブーム

ブーム構造体は、構造体を所望の形状に膨張し、かつ外部影響を介して構造体を剛性化することによって展開される。構造体フレームは、ファイバ材料及び樹脂材料で作られた一連のフレーム部材を有する。このフレームは、一対の膜層の間に包まれる。内側膜は、フレームをその所望の形状に移すために膨張可能であり、外側膜は、構造体を折り畳むことを可能にする。内側層の膨張に続いて、外部影響が、樹脂材料を固化し、かつ構造グリッドにするために樹脂材料に作用する。外部影響は、構造体を潰しかつ折り畳むことを可能にするために、樹脂材料がすでに剛性にされているときに、それを軟化するために樹脂材料に作用することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙適用例並びに地上適用例に適する膨張可能で、剛性化可能で、かつ展開可能なトラス構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
トラス構造体は、宇宙におけるソーラ・アレイ、エンクロージャ、アンテナ、望遠鏡、ソーラ・セール、及び他の構造体、又は、海底或いは地上のいずれかの橋、橋脚、建築物、或いはアンテナのための支持体などの多くの適用例を有する。機械的な展開システムを有する金属及び剛性の複合構成部品は、宇宙適用例のための支持構造体を製造するために技術開発の初期段階で使用された。これらの構造体は、大きく重く、輸送のために効率的に詰め込みができない。例えば宇宙適用例において、これらの構造体のパッキング効率の欠如は、打ち上げビークル・サイズ及び質量を増大し、したがってより高いシステム発射価格に通じる。
【0003】
剛性要素の機械的に展開されるシステムの固有の欠点は、機械的に展開方式にも使用される超軽量材料から製造される構造体の開発を伴うことである。これらのシステムは、早期の剛性要素設計により著しい質量低減を達成したが、これらのシステムは、又展開システムの複雑性の欠点を有し、宇宙における多数の故障モード並びに低いパッケージング効率を被らせる。ひずみエネルギー展開システムは、展開のための超軽量材料のひずみエネルギーを使用して、機械的な展開システムの複雑性を取り除くために開発された。しかしながら、ひずみエネルギー展開システムは、折り畳みのために深刻な材料及び構造的損傷の欠点を有する。
【0004】
宇宙における軽量搭載条件を利用して、膨張可能な構造体は、それらの高いパッキング及び構造的な効率、並びに比較的簡単な展開プロセスのために、アンテナ、ソーラ・セール、望遠鏡、及びソーラ・アレイなどの構成部品の構造支持体に使用された。膨張可能な支持構造体の一例は、米国特許第5311706号(Sallee)に記載されている。しかしながら、これらの構造体における構成部品は、例えばポリマ・フィルム及びファブリックなどの、これら構成部品に使用される比較的高精度の製造プロセス及び材料を必要とし、時には構造体が高い熱膨張率を有する。これらのシステムは、又、宇宙用の構造体を支持するために必要な剛性を維持するために、膨張システムの連続する加圧及び調整に依拠する。この装置におけるさらなる固有の欠点は、制限された構造的剛性である。膨張可能なシステムは、又、軌道上の破片による穿孔、ガス保持層を介する膨張ガスの浸透、及びシーム又はジョイント・リークなどの製造欠陥によるガスの損失を被り、したがって、寿命が制限され、性能を連続して監視する必要がある。
【0005】
膨張可能な構造体に対する代替方法は、米国特許第5579609号(Sallee)に示されるなどの膨張可能でありかつ剛性化可能な構造体を使用することである。トラス設計は、ともに接続され、ブラッダが膨張されたとき、様々な形状を形成するために膨張可能なMYLAR及びKAPTONブラッダ上を覆う。一連の別個の部材からなる。加熱ワイヤ又はコアを囲む一連のKevlar又はガラス・ファイバ及びバインダが、各別個の部材内にある。ワイヤ又はコアの作動時に、部材を硬化するバインダを作動する熱が発せられる。しかしながら、そのような設計は、大きな電子システムが、コア及びワイヤを作動する必要があり、構造体の各部材を電気的に相互接続しなければならないという欠点を有する。さらに、構造体のための別個の部材の使用は、構造体のジョイントに応力を加えることによって構造体の強度を低減する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、膨張可能で剛性化可能な構造体を提供することによって、従来技術のトラス・デバイスの上述の欠点を解消することであり、膨張可能で剛性化可能な構造体は、構造上高い効率を有し、かつ膨張可能な構造体に比較して十分に小さい容量にパックすることができ、したがって、非常に高いパッキング効率を達成するが、一方その元の形状を回復するために指令に応じて展開することもできる。
【0007】
本発明のさらなる目的は、設計は簡単であり、展開に関して複雑な機械的なシステムを必要とせず、比較的低い膨張圧力だけを必要とし、高い温度、化学暴露、又は電磁スペクトルでの放射暴露などのいくつかの可能な剛性化技術の1つを介して宇宙で剛性化することができる構造体を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、高い効率の構造的配置を生み出す材料に、ほぼゼロの熱膨張率を組み込むことである。これは、これらの材料を、宇宙における過酷な環境条件での使用に適するようにする。又、一旦剛性化されると、これらのタイプのシステムは、もはや構造支持体のため膨張ガスに依拠せず、それによって、軌道上の残骸との衝突が、システムに悪影響を及ぼす機会を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載される本発明は、これらの目的並びに他の目的を実行し、剛性化可能なブームを提供することによって従来技術の欠点を解消し、剛性化可能なブームは、軽量で、膨張可能で、かつ剛性化可能なトラス構造体に組み込むことができ、長時間の間小さな空間につぶしておくことができ、所定の形状に膨張することができ、かつ構造体に対して外部の手段によって剛性にすることができる。
【0010】
好ましい実施例において、ブームは、フィルムの2つの層間に包まれたフレームの組合せを含む。フレームは、一般に、高いファイバ/樹脂係数の長手方向及びらせん状の部材を有する円筒状の形状であり、かなり長い時間の間、折り畳み、かつ格納することができ、必要なときに、熱エネルギーを提供することによって、膨張ガスの化学成分に暴露することによって、又は電磁放射の特定の波長に暴露することによって剛性化することができる。ファイバ/樹脂に形状記憶ポリマを使用して、部材は、必要に応じてブームの形状を変更するために、繰り返し加熱し、再形成し、かつ冷却することができる。剛性化手段は、ブームを製造するために使用される樹脂系に依存する。ブームは、製造で使用される樹脂系に応じて、極端な高温及び低温、並びに高湿度及び低湿度などの様々な環境条件で格納することができる。
【0011】
らせん状及び長手方向部材の配置は、円形グリッド構造体を形成するように構成される。長手方向部材のグループの両方は、ブームの長さによって延長し、例えば長手方向部材は、一方の端部から他方の端部へ直接延長し、一方らせん状部材は、構造体の周りで一方の端部から他方の端部へらせん状に延長する。部材は、剛性構造体を提供するためにクロスオーバ・ポイントで結合される。好ましい実施例において、部材の交差は、ブームの等方性性能特性を与える正三角形を作る。
【0012】
ブームの内側のフィルムは、展開時に膨張を容易にするためにガス保持層として作用し、一方外側層は、折り畳み及びパッキング手順の間に、等方グリッド・ブームが自体に接着されることを防ぐ。外側層は、必要なときにブームを悪い環境条件から保護するように、シールドを形成するために使用することもでき、又は薄いフィルムの膜アンテナ及び電気回路などの薄いフィルムの電子アセンブリを分散させるためのプラットフォームとすることができる。
【0013】
本明細書に記載される本発明の他の実施例、特徴、及び利点は、好ましい実施例の以下の記載及び添付の図面から当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0014】
本発明の好ましい実施例は、適度に小さい容積にパッケージすることができ、かつその元の形状に回復するために命令時に展開することができる構造体を担持する負荷の必要性から生じた。マトリクスは、パッケージングのために柔軟とすることができるので、ブームは、3より小さい曲げ比(材料厚みに対する折り畳み径)を達成するために損傷することなく、非常に小さい径を中心にして折り畳むことができる。材料選択、製造、及びパッキングの方法論によって達成される、パックされる容積に対する展開される容積比は、28以上であり高いパッケージ効率を示す。ブームは、準等方性特性を有する円筒形の等方グリッド構造体である。それは、かなり長い時間の間、折り畳まれかつ格納することができ、必要なときに、剛性構造体を形成するために単純な膨張システムを介して展開される、高いファイバ/樹脂係数を有する複合系である。ブームは、次に、熱エネルギーを提供することによって、膨張ガスの化学成分に暴露することによって、又は電磁放射の特定の波長に暴露することによって剛性化することができる。
【0015】
ブームの強度は、ブームのフレーム部材の念入りな配置によって作られる等方グリッド構造体から得られる。図1において、ブームの構造フレーム100が示されている。フレーム100は、Zの方向にフレームの径方向表面に沿って延長する一連の水平方向部材110を有するほぼ円筒状形状を有する。ある角度で交差する水平方向部材110は、水平方向部材に対して角度αに向けられた一連のらせん状部材120を有する。らせん状部材の第2のセット130は、第2の角度βで水平方向部材と交差する。各らせん状部材120及び130は、フレーム100の径方向表面に沿ってらせんを形成し、一方のらせん状部材は時計方向であり、他方のらせん状部材は反時計方向である。交差角度α及びβが60°であるとき、部材110、120、及び130の間に正三角形が作られる。そのように、フレームが当方グリッド・フレームに形成される。そのような配置が図2に示される。
【0016】
正三角形が、この好ましい実施例で開示されるが、部材110、120、及び130の間の様々な他の配置が可能である。例えば、他の三角形、矩形、平行四辺形、他の多角形なども、可能な配置である。そのような配置は、ブームの適用に必要な特定のパラメータを実行するために必要でありえる。さらに、ブームは、丸い円筒形である必要はなく、正方形形状のチューブ、八角形形状のチューブなどの他の形状を、それらの代わりに使用することができる。
【0017】
水平方向及びらせん状部材の材料は、高い張力、曲げ剛性、及び圧縮比を有する少なくともファイバ、並びに構造的形状を変更するために繰り返し加熱し、再形成し、かつ冷却することができる熱可塑性材料として働く形状記憶ポリマの組合せを含む複合物である。ファイバは、上述の特性を有する、グラファイト、カーボン・ファイバ、グラファイトが添加されたKevlar、液晶ポリマ、ガラス、又は他の高い強度材料を含むことができる。形状記憶ポリマは、ファイバ材料に点在させた、ナイロン、PEEK、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、又はエポキシとすることができる。そのような材料は、熱エネルギーを加えたとき、ガスの化学成分に暴露したとき、又は電磁放射の特定の波長に暴露したときに、材料は、可撓性状態であった後で剛性化するか、及び剛性状態であった後で可撓性状態に柔軟化する。好ましい実施例において、水平方向及びらせん状部材は、上述されたエネルギー源の1つの適用時に剛性化することができるグラファイト/エポキシ材料から作られる。上述の特性を有するブームは、使用するために剛性化することができ、引き続きフレーム構造体を潰すことを可能にする第2のエネルギーが適用されるフレーム構造を可能にする。
【0018】
水平方向及びらせん状部材を構成するファイバ及び樹脂の適切な選択は、フレームを広い温度範囲にわたって動作させることを可能にする。さらに、ファイバ自体は、埋め込まれたファイバ状のパワー生成及び蓄積源、電気信号搬送金属又は補強金属ファイバ、或いは分散された処理及びセンサ性能を有するファイバの使用による、複数機能であるように作ることができる。
【0019】
等方グリッド・フレームは、その開放構成のために非常に軽量であり、したがって地上試験及び実際の使用に関する、その繰り返される折り畳み、パッケージング、及び展開によるその構造安定性を維持するために、追加の補強材を必要とする。したがって、らせん状及び長手方向部材110、120、及び130は、ブーム・フレームの寸法及び構造安定性を維持するために結合クランプ300(図3に示される)によって、ノードと称されるそれら部材のクロスオーバ結合部で接続される。結合クランプ300は、ファイバ強化熱硬化接着剤(示される)、ホットメルト接着剤、又はノードを平面に保持するための機械的取り付け装置を使用することによりノードをサンドイッチすることを含む、多数の技術によって達成することができる。結合クランプ300は、らせん状及び長手方向部材110、120、及び130と同じ材料から作ることもできる。任意のそのような組成又は取り付け装置は、結合クランプをブーム・フレーム100の残りとともに折り畳むことを可能にする限り機能するはずである。さらに、図3における結合クランプ300は、円形でかつ特定の寸法であるように示されるが、任意のそのような寸法又は形状を使用することができ、ブーム・フレームの特定の使用及びパラメータに対応しなければならない。
【0020】
図4において、組み込まれたフレーム100を有するブーム1の断面が示される。内側層400及び外側層410の両方の層は、それぞれフレームの内側表面及びフレームの外側に適用される。各層400及び410は、フレーム100又は接着剤を介してフレームの外側に接続される。層は、ポリイミド・フィルムを含み、ポリイミド・フィルムは、広い温度範囲にわたって、特に高温で、物理的、化学的、及び電気的特性のバランスを示す。ポリイミドの構成は、パイロメリティック・ジアンハイドライドと4、4ジアミノジフェノール・エーテルとの間の重縮合反応の結果である。このポリイミドの一例は、登録商標KAPTONの下、Wilmington DelawareのE.I.DuPont De Nemours and Company,Inc.によって販売されている。ポリイミドは、本発明の好ましい実施例で使用されるが、同様の特性を示しそれらの適用において類似の結果をもたらす他の材料を使用することができる。
【0021】
フレームに接続される内側層400は、フレーム100の内側層に対応する直径である、約1mil(約0.03mm)の厚みを有する。内側層は、ブーム1の展開時に膨張を容易するためのガス保持層として働く。
【0022】
外側層410は、フレームを囲み、かつサンドイッチ構造を提供するために内側層400に取り付けられる。外側層は、約0.3mil(約0.008mm)の厚みを有する。外側層410は、ブームの折り畳み及びパッキングの間に、ブーム1が自身に接着することを防ぐ。さらに、外側層410は、構造を必要なときに悪影響条件から保護するシールドとして使用されることができ、又は薄いフィルム膜及び電気回路などの分散された薄いフィルムの電子アセンブリのためのプラットフォームとすることができる。
【0023】
ブームは、又、層400及び410と同様な材料で形成されるが、構造体に類似するファイバ/樹脂系から作ることもでき、ブーム自体より大きな面積密度を有する端部補強体300(図3)も、構造安定化のためにその両端部に含む。補強体300は、構造において開放され、かつ低い又は負の熱膨張率を有する材料から製造されるので、それらは、繰り返される折り畳み、パッケージング、及び展開による損傷に対する非常に低い感受性を示し、かつ優れた寸法安定性を有する。
【0024】
上述によるブーム1は、展開前及び展開後に容易な格納を可能にするために、小さな容積に折り畳まれる特性を有する。ブームは、好ましくは、それが格納される前に平らなシートに折り畳まれる。折り畳みは、図5に示されるように小さな直径500を中心に行われ、ブームのきついパッキングを可能にする。上述の概略のように使用される材料のために、損傷は、そのような折り畳みの間に発生しない。ブームが中心に折り畳まれる直径、及びブームが折り畳まれる回数は、パッキング容積及びシステム要件に依存することになる。図6は、折り畳まれた状態のブームの一例を示す。示される折り畳み方法は、各連続する折り畳みが、前の折り畳みと反対方向であるZ折り畳みである。他の折り畳み方法も可能である。そのような方法は、ブームが、比較的平坦でかつ狭い格納空間に折り畳むことを可能にする。これは、パックされる容積に対する展開される非常に高い比を生じ、ブームが宇宙で展開されるように設計されたならば、発射価格を低減する主な利点として働くことができる。
【0025】
上述のブームを使用する動作のシーケンスを概説する。宇宙で、地上で、又は海底のいずれかの展開シーケンスは、簡単な機構及びステップを介して行われる。ブームは、第1に、意図された位置に又はそれらの位置の近くに配置される。ブームがZ折り畳みであるなら、ブームの残りが膨張の間に適正な位置に移るにつれ、膨張端部だけが、所望の位置に配置される必要がある。内側層は、次にフレーム内に拡張を引き起こすガスで膨張される。フレームが拡張されると、この実施例に関して細長いブームである所望の形状を達成し始める。フレーム及び内側層の所望の膨張に達すると、ガスの導入は終了される。
【0026】
フレームにおける材料の硬化が、その後開始する。上述のように、らせん状及び水平方向部材は、放射を介して加熱するか、又は宇宙船に取り付けることができる、若しくは膨張後にブームの周りを移動する移動デバイスとすることができるエミッタ(図示せず)を介して、電磁スペクトルの適切な波長に暴露することができる。これらの影響に対する後続の暴露で、形状記憶ポリマは硬化を開始する。別法として、ブームの内側層に使用されるガスは、膨張の間及び膨張に続きマトリクス樹脂を硬化させる反応物質を有することもできる。剛性化の手段は、ブーム構造で使用される樹脂に応じる。らせん状及び水平方向部材が一旦硬化すると、フレームは、剛性化し始め、次にブームを剛性化する。
【0027】
剛性状態のブームは、宇宙におけるアンテナ、ソーラ・セール、望遠鏡、及びソーラ・アレイのための支持構造体として、並びに地上又は海底での橋、橋脚、建築物、或いはアンテナのための剛性化可能な支持体として使用することができる。当業者に明らかな他の適用も可能である。図7は、自体が折り畳み可能でありかつ膨張機構によって展開可能であるトラス構造体700に組み込まれた、3つのブーム1の適用を示す。トラス700は、ブーム1と一体化された7つの支持部材を備える。トラス700全体は、構造体を折り畳むことによって潰され、次にトラスを展開させるブームを膨張することによって復活することができる。そのように、トラス700を複数回展開させかつ折り畳むことを可能にする、ファイバ及び形状記憶ポリマの系を使用することが可能である。ブームは、同様により大きくかつより複雑なトラス及び他の構造体に組み込むこともできる。
【0028】
本発明は、詳細に記載しかつ例示したが、そのような説明は、図示及び例示のためだけのものであり、限定するためのものであると考えるべきでないことを明らかに理解されたい。本発明の範囲内にある上述の例の他の修正は、当業者なら行うことができる。例えば、円筒形ブーム形状を参照して例が記載されている。しかしながら、グラウンド・エンクロージャ、丸い構造体、又はドームなどの様々な他の構造体が、本発明を使用して可能である。
【0029】
さらに、本発明の他の適用例が可能である。例えば、本発明による多くのブームが、宇宙ステーションのための大きなフレームを形成するために、又は外部環境から密閉された地上の通路を作るために相互接続することができる。そのような適用例は、大きなブーム構造体を形成するために、フレーム、内側及び外側層をともに単に接続することによって可能である。他の実施例及び適用は、同様に当業者には可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の好ましい実施例のブーム・フレームの等方向性の斜視図である。
【図2】図1に示されるブーム・フレームの他の図である。
【図3】好ましい実施例によるブームの図である。
【図4】図3に示されるブームの断面図である。
【図5】軸の周りに折り畳められた図3に示されたブームの斜視図である。
【図6】平らに折り畳まれた図3に示されたブームの斜視図である。
【図7】トラス構造体に組み込まれたブームの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能でかつ剛性化可能な構造体であって、
それぞれ外部影響の適用時に硬化及び軟化するために作動されるマトリクスから作られる、フレームの長さを延長する複数のフレーム部材を備える所定形状を有する折り畳み可能なフレームと、
前記折り畳み可能なフレームを前記所定形状に移すために膨張する、前記フレーム内側に配置される膨張可能な内側膜とを備え、
膨張可能な膜の膨張に続いて前記外部影響の適用時に、前記構造体が剛性化される膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項2】
前記折り畳み可能なフレームを覆う外側膜をさらに備える請求項1に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項3】
前記内側及び外側膜が、薄いポリマ・フィルムから作られる請求項2に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項4】
前記薄いポリマ・フィルムがポリイミドである請求項3に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項5】
前記内側層の厚さは0.5〜2.0mil(約0.01mm〜0.05mm)であり、前記外側層の厚さは0.3〜1.0mil(約0.008mm〜0.03mm)である請求項3に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項6】
前記折り畳み可能なフレームが、前記内側膜と前記外側膜との間に包まれる請求項2に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項7】
前記構造体が、前記内側膜の膨張及び前記外部影響の適用を介して展開されたとき、前記構造体が、前記構造体の容積より小さい容積に折り畳まれる請求項1に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項8】
前記フレーム部材が、ファイバ材料及び樹脂材料を含む請求項1に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項9】
前記樹脂材料が、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、及びエポキシからなるグループから選択された1つ以上の材料の組合せからなる熱可塑性材料である請求項8に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項10】
前記ファイバ材料が、グラファイト、カーボン・ファイバ、複合プラスチック、液晶ポリマ、及びガラスのグループから選択された1つ以上の材料からなる請求項8に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項11】
前記樹脂材料が、熱硬化性樹脂、形状記憶樹脂、熱可塑性樹脂、UV硬化可能な樹脂、及び溶媒ベースの樹脂の1つである請求項8に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項12】
前記外部影響が、熱エネルギー、ガスの化学成分或いは膨張ガスに暴露すること、又は電磁放射の特定の波長に暴露することである請求項11に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項13】
前記複数のフレーム部材が、長手方向及びらせん状部材を備える請求項1に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項14】
前記膨張可能なフレームが、等しい数のらせん状部材及び長手方向部材を有する請求項13に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項15】
前記らせん状部材及び長手方向部材が、多角形グリッド・パターンを形成するように配置される請求項14に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項16】
前記らせん状部材及び長手方向部材が、正三角形グリッド・パターンを形成するように配置される請求項15に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項17】
前記らせん状部材及び水平方向部材が、ノード・コネクタを介してグリッド・パターンで、交差部でともに接続される請求項15に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項18】
各ノード・コネクタが、ファイバ強化熱硬化接着剤、ホットメルト接着剤、又は機械的な取り付け装置である請求項17に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項19】
前記構造体が、より大きなアセンブリに組み込まれる請求項1に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項20】
前記構造体が、構造体に搭載された、導電ファイバ、回路要素、集積回路、発光ダイオード、太陽電池、アンテナ、埋め込みコントローラ、及び人工筋肉ファイバからなるグループから選択された1つ以上の構成部品を有する請求項2に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項21】
前記構造体が、補強手段を有し、前記補強手段の端部で前記フレーム部材、並びに内側及び外側膜に接続する請求項2に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項22】
所定の形状を有する折り畳み可能なフレームを含む構造体を展開しかつ格納するための方法であって、前記構造体が、それぞれ外部影響の適用時に硬化及び軟化するために作動されるマトリクスから作られる、フレームの長さを延長する複数のフレーム部材と、前記折り畳み可能なフレームを前記所定形状に移すために膨張する、前記フレームの内側に配置される膨張可能な内側膜と、前記内側膜とともに前記折り畳み可能なフレームを包む外側膜とを備え、前記方法が、
(a)所定の位置に前記構造体の一部を配置するステップと、
(b)前記フレームが所定形状に移されるまで、前記膨張可能な膜がガスで膨張されるステップと、
(c)前記フレーム部材を剛性化するために、前記構造体に前記外部影響を適用するステップとを含む方法。
【請求項23】
(e)前記フレーム部材を軟化するために前記外部影響を再び適用するステップと、
(f)格納のために平らな形状に前記構造体を潰すステップとをさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記平らに形状形成された構造体を小さな直径の周りで折り畳み、前記構造体を自体に重ならせるステップをさらに含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記折り畳むステップが、代わりに少なくとも2回ほぼ前記小さな直径で平らに形状形成された構造体に折り畳むステップを含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
平らに形状形成された構造体は、ほぼZに形状形成された折り畳みパターンを有する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記外部影響を適用するステップ及び再適用するステップが、前記構造体の外部にデバイスを含み、前記構造体を加熱する、前記構造体に向けて電磁放射の特定の波長を伝播する、又はガスの化学成分に前記構造体を暴露する請求項23に記載の方法。
【請求項28】
膨張可能でかつ剛性化可能な構造体であって、
それぞれ外部影響の適用時に硬化及び軟化するために作動されるマトリクスから作られる、グリッド・パターンを形成するフレームの長さを延長する複数のフレーム部材を備える所定形状を有する折り畳み可能なフレームと、
前記折り畳み可能なフレームを前記所定形状に移すために拡張する、前記フレーム内側に配置される膨張可能な内側膜と、
前記内側膜とともに前記折り畳み可能なフレームを包む外側膜とを備え、
膨張可能な膜の膨張に続いて前記外部影響の適用時に、前記構造体が剛性化され、前記構造体が剛性化される間に前記外部影響の適用時に、前記構造体が、軟化され、前記構造体の折り畳みを可能とする膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項29】
前記外部影響が、熱エネルギー、ガスの化学成分或いは膨張ガスに暴露すること、又は電磁放射の特定の波長に暴露することである請求項28に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項30】
前記フレーム部材が、ファイバ材料及び樹脂材料を含む請求項29に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項31】
前記樹脂材料が、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、及びエポキシからなるグループから選択された1つ以上の材料の組合せからなる熱可塑性材料である請求項30に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項32】
前記ファイバ材料が、グラファイト、カーボン・ファイバ、複合プラスチック、液晶ポリマ、及びガラスのグループから選択された1つ以上の材料からなる請求項30に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項33】
前記グリッド・パターンが、正三角形を形成する請求項28に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項34】
前記構造体が、補強手段を有し、前記補強手段の端部で前記フレーム部材、並びに内側及び外側膜に接続する請求項28に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項35】
前記フレーム部材が、ノード・コネクタを介してグリッド・パターンで、交差部でともに接続される請求項28に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項36】
各ノード・コネクタが、ファイバ強化熱硬化接着剤、ホットメルト接着剤、又は機械的な取り付け装置である請求項35に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項37】
前記内側及び外側膜が、ポリマ樹脂で作られる請求項28に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。
【請求項38】
前記ポリマ樹脂がポリイミドである請求項37に記載の膨張可能でかつ剛性化可能な構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−516514(P2006−516514A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503214(P2006−503214)
【出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/002765
【国際公開番号】WO2004/072413
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(504442517)アイエルシー ドーヴァー、インコーポレイテッド (1)