説明

膨潤性粒子

【課題】膨潤性粒子の製造方法が提供される。
【解決手段】当該方法は、初期粒子、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の開始剤、および少なくとも1種の連鎖移動剤を混合することを含み、ここにおいて、前記混合は、前記モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件下で行われる。この方法により調製された膨潤性粒子も提供される。さらに、少なくとも1種の後続モノマーをこの膨潤性粒子と混合し、前記の後続モノマーを重合させることを含むポリマー樹脂粒子の製造方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
膨潤性の粒子を提供することが望まれることが度々ある。このような膨潤性粒子は比較的大きいことが望まれる場合があり、このような膨潤性粒子は、比較的少ない「微粉」(すなわち、集団の平均粒子サイズと比較して小さな直径を有する粒子)を有する集団において提供されることが望まれる場合もある。このような膨潤性粒子の一つの用法は、ポリマー粒子の製造においてであり、このポリマー粒子は1以上の様々な目的に有用である。このようなポリマー粒子のいくつかは、例えば、次の目的:光散乱および/または拡散物質、表面コーティング、表面艶消剤、表面光沢低下剤、表面テクスチャー修飾剤、プラスチック添加剤、液晶ディスプレースペーサー、標準サンプル、ミクロフィルター、制御放出剤、クロマトグラフィー固相の調製用中間体、吸着剤、固相合成樹脂、触媒酵素支持体、ミリングメディア、分散メディア、酵素固定化物質、アフィニティークロマトグラフィーのための樹脂、またはイオン交換物質の1以上のために有用であるように選択または設計することができる。
粒子を製造する一方法は、Frazzaらにより米国特許第5,147,937号に記載されており、これは、モノマー混合物を乳化重合されたポリマー粒子の水性分散物と、分散安定剤および油溶性開始剤の存在下で徐々に組み合わせることを開示しており、結果として得られる粒子は、Frazzaらによるとポリマー粒子であると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第5,147,937号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
膨潤性粒子を製造する方法を提供することが望まれる。比較的大きな平均粒子直径を有し、微粉が比較的少ない集団における膨潤性粒子を製造することも望まれる。さらに、ポリマー樹脂粒子の集団も、比較的大きな平均粒子直径および/または比較的少量の微粉を有するように、このような膨潤性粒子からポリマー樹脂粒子を製造することが望まれる。
さらに、実施に要する時間が比較的短いプロセスを用いて、ポリマー樹脂粒子のこのような集団を製造することが望まれる。独立して、一般的でない装置を必要とせずにポリマー樹脂粒子のこのような集団を製造することもまた望まれる。
【0004】
いくつかの場合において、ポリマー樹脂粒子は官能化される。このような場合において、官能化ポリマー樹脂粒子はタンパク質分子に対する比較的高い容量を有することが望まれる場合がある。独立して、官能化ポリマー樹脂粒子は、ペプチドおよび/またはオリゴヌクレオチドの固相合成に有用であることが望まれる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様において、膨潤性粒子を製造する方法が提供され、前記方法は、初期粒子、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の開始剤、および少なくとも1種の連鎖移動剤を混合することを含み、前記混合は、前記モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその組み合わせを形成できる条件下で行われる。
【0006】
本発明の第二の態様において、初期粒子、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の開始剤、および少なくとも1種の連鎖移動剤を混合することを含む方法であって、前記モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその組み合わせを形成できる条件下で前記混合が行われる方法により製造された膨潤性粒子が提供される。
【0007】
本発明の第三の態様において、少なくとも1種の後続モノマーを本発明の第二の態様において提供される膨潤性粒子と混合し、さらに前記の後続モノマーを重合させることを含む方法により製造されるポリマー樹脂粒子が提供される。
【0008】
本発明の第四の態様において、本発明の第三の態様において提供されるポリマー樹脂粒子を少なくとも1種の試薬と反応させて、1以上の官能基を前記ポリマー樹脂粒子と化学的に結合させるか、前記ポリマー樹脂粒子上の化学基を官能基に変換するか、またはその組み合わせを含む方法により製造される、官能化されたポリマー樹脂粒子が提供される。
【0009】
本発明の第五の態様において、膨潤性粒子を製造する方法が提供され、前記方法は、初期粒子、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の油溶性開始剤、および少なくとも1種の連鎖移動剤を混合することを含み、ここにおいて、前記混合は、前記モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその組み合わせを形成できる条件下で行われる。
【0010】
本発明の第六の態様において、2次膨潤性粒子を製造する方法が提供され、該方法は、
(a)膨潤性初期粒子、
(b)少なくとも1種のモノマー
(c)少なくとも1種の油溶性開始剤、および
(d)少なくとも1種の連鎖移動剤
を混合することを含み、
前記モノマー(b)がオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件下で、前記(a)、(b)、(c)および(d)の混合が行われ、かつ
ここにおいて前記膨潤性初期粒子は、
(d)初期粒子、
(e)少なくとも1種のモノマー、ここで当該モノマー(e)のいずれかまたはすべては前記モノマー(b)と同一であっても、前記モノマー(b)と異なっていても、またはその混合物であってもよい、
(f)少なくとも1種の開始剤、ここで当該開始剤(f)のいずれかまたはすべては前記開始剤(c)と同じであっても、前記開始剤(c)と異なっていても、またはその混合物であってもよい、
(g)少なくとも1種の連鎖移動剤、当該連鎖移動剤のいずれかまたはすべては前記連鎖移動剤(d)と同じであっても、前記連鎖移動剤(d)と異なっていても、またはその混合物であってもよい、
を混合することを含み、前記モノマー(e)がオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件下で、前記(d)、(e)、(f)、および(g)の前記混合が行われる方法により製造される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
「ポリマー」とは、本明細書において用いられるように、またFW Billmeyer,JR.により、Textbook of Polymer Science、第2版、1971年において定義されるように、より小さな化学的繰り返し単位の反応生成物から構成される比較的大きな分子である。ポリマーは、直線状、分岐、星形、ループ状、過剰分岐、架橋、またはその組み合わせである構造を有することができ;ポリマーは1種の繰り返し単位を有しうるか(ホモポリマー)、または2以上の種類の繰り返し単位を有することができる(コポリマー)。コポリマーは、ランダムに、連続して、ブロック形式で、他の配列で、またはその混合物または組み合わせで配列された様々な種類の繰り返し単位を有することができる。
【0012】
「重合」とは、本明細書において、オリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成するモノマーの反応を意味する。
【0013】
ポリマー分子量は、標準的方法、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーまたは固有粘度により測定することができる。一般に、ポリマーは、1000以上の数平均分子量(Mn)を有する。ポリマーは非常に高いMnを有することができ;あるポリマーは1000000を超えるMnを有し;典型的なポリマーは1000000以下のMnを有する。本明細書において用いられる場合、「低分子量ポリマー」とは、10000未満のMnを有するポリマーを意味し;「高分子量ポリマー」とは、10000以上のMnを有するポリマーを意味する。あるポリマーは架橋され、架橋ポリマーは無限の分子量を有すると考えられる。
【0014】
本明細書において用いられる「オリゴマー」は、オリゴマーの有する繰り返し単位がより少なく、分子量がより低い以外は、ポリマーと類似した構造である。通常、オリゴマーは2以上の繰り返し単位を有する。一般に、オリゴマーは400以上のMnおよび2000未満のMnを有する。
【0015】
互いに反応して、オリゴマーまたはポリマーの繰り返し単位を形成する分子は、本明細書において「モノマー」と呼ばれる。典型的なモノマーは400未満の分子量を有する。本発明において有用なモノマーは、例えば少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する分子である。このようなモノマーには、例えば、ビニルモノマーがあり、これは少なくとも1つのビニル基(すなわち、CH=CR−、ここにおいて、Rは水素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、または別の置換または非置換有機基である)を有する。いくつかの好適なビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、置換スチレン、ジエン、エチレン、エチレン誘導体、およびその混合物が挙げられる。エチレン誘導体としては、例えば、次のものの非置換または置換体が挙げられる:酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、塩化ビニル、ハロゲン化アルケン、およびその混合物。本明細書において用いられる場合、「(メタ)アクリル」とは、アクリルまたはメタクリルを意味し;「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し;「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。いくつかの具体例において、「置換」モノマーとしては、例えば、1より多い炭素−炭素二重結合を有するモノマー、ヒドロキシル基を有するモノマー、他の官能基を有するモノマー、および官能基の組み合わせを有するモノマーが挙げられる。
【0016】
いくつかの具体例において、使用されるモノマーは、塩化ビニルを含まない。いくつかの具体例において、使用されるモノマーは1気圧で10℃以上の沸点を有する全ての化合物である。
【0017】
ある物質は、本明細書においては、その物質中に溶解するポリマーの量が物質の重量基準で1重量%以下のポリマーであるならば、「ポリマーのための貧溶媒」と呼ばれる。関心のあるポリマーが架橋している場合において、試験ポリマーは、試験ポリマーが架橋を形成する官能基を有さない以外は関心のあるポリマーと同様に調製されることができ;ある物質がその試験ポリマーの貧溶媒であるならば、その物質は関心のあるポリマーの貧溶媒でもあると見なされる。場合によっては、物質中に溶解するポリマーの量が、物質の重量基準で、0.2重量%以下、または0.05重量%以下のポリマーである場合、あるポリマーのための貧溶媒である物質が使用される。
【0018】
粒子が本発明の実施において使用されることが意図される場合、粒子のサイズを特徴づけることが有用であることがある。粒子が球状または球状に近い場合、粒子の直径を特徴づけることによりサイズを特徴づけることが有用である。
【0019】
粒子の集団の直径が特徴づけられた場合、集団は直径の分布を有することが明らかであることが多い。このような分布の一つの特性は、平均粒子直径である。かかる分布のもう一つ別の特性は、粒子直径の均一性である。
【0020】
測定される粒子の種類および形態に応じて、興味のある粒子の直径を特徴づけるために適当な技術が選択される。例えば、関心のある粒子が透明媒体中に分散されるならば、直径を特徴づけるために、光散乱を使用することができるか、あるいは(粒子が十分大きい場合)、光学顕微鏡を用いることができる。もう一つ別の例としては、粒子が乾燥状態であるならば、これらを様々なサイズの一連の篩に通すか、あるいは電子顕微鏡または光学顕微鏡でそれらを調べることにより特徴づけることができる。分散された関心のある粒子が、かかる粒子のサンプルを乾燥し、次いで乾燥されたサンプルを乾燥粒子に適当な技術を用いて特徴づけることにより、特徴づけることができると考えられる。
【0021】
粒子の2つの分布(「第一」分布および「第二」分布)において微粉の量を比較する一つの方法は、次の通りである。粒子の第一分布を有する流体中の分散物を調製する。分散物を静置するか、あるいは、粒子の全部ではなく、一部が、容器の底部に、本明細書において「プラグ」と呼ばれる塊で集められるように、条件および期間を選択して、遠心分離器中に入れる。プラグは取出され、乾燥され、秤量される。分散物中に残存する粒子は最小粒子であることがわかっており、「微粉」と見なされる。「%プラグ」は、元の分散物中の全粒子の合計乾燥重量のパーセンテージとしてのプラグの乾燥重量である。「%微粉」は、100−「%プラグ」である。次に粒子の第二の分布を有する分散物を、同じ方法により評価することができる。第二の分布が第一分布よりも低い「%微粉」を有するならば、第二の分布は第一分布よりも少ない量の微粉を有することがわかる。この方法は、通常、25℃で行われる。
【0022】
粒子が流体中に分散される場合、流体は水性流体であっても、あるいは非水性流体であってもよい。粒子が分散されている流体は「分散媒体」と呼ばれる。水性流体は、本明細書において、流体の重量基準で50重量%〜100重量%水を含有する流体と定義される。ある水性流体は、流体の重量基準で、75重量%〜100重量%、または90重量%〜100重量%の量で水を含有する。非水性流体は、水性流体でない流体である。粒子が流体中に分散される場合、分散物(すなわち、分散された粒子と、これらが分散される流体の組み合わせ)は、例えば、懸濁液、エマルジョン、ミニエマルジョン、ミクロエマルジョン、ラテックス、またはその組み合わせでありうる。水性流体中に分散される粒子の分散物は、本明細書において、「水性分散物」と呼ばれる。
【0023】
本明細書において用いられる場合、「マイクロメートル」は1メートルの100万分の1である。当該分野において、接頭語「マイクロ」は、ギリシャ文字の「ミュー」を用いて略記されることがあり、また、マイクロメートルは「ミクロン」と呼ばれることがある。
【0024】
本明細書において用いられる場合、粒子により容易に吸収されて、粒子が化合物を吸収した後にさらに大きくなる化合物を見いだすことができるならば、粒子は「膨潤性」である。粒子の膨潤性を試験するならば、膨潤した粒子のサイズは、膨潤した粒子の種類に適当な任意の粒子サイズ試験により測定することができる。
【0025】
本発明は、膨潤性粒子を製造する方法を含み、この方法は、粒子(本明細書において「初期粒子」と呼ぶ)を少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の開始剤、および少なくとも1種の連鎖移動剤と混合することを含む。本明細書において、初期粒子、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の開始剤、および少なくとも1種の連鎖移動剤のこの混合物は、「膨潤性粒子形成混合物」(SPFM)と呼ばれる。いくつかの具体例において、膨潤性粒子形成混合物は任意に、初期粒子、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の開始剤、および少なくとも1種の連鎖移動剤に加えて、さらなる成分を含有してもよい。
【0026】
初期粒子は粒子状形態を有する任意の物質であってよい。いくつかの具体例において、初期粒子は流体中に分散されている。いくつかの具体例において、初期粒子は水性流体中に分散されている。
【0027】
初期粒子は任意の組成を有することができる。いくつかの具体例において、初期粒子は有機化合物である。いくつかの具体例において、初期粒子は、例えば、塊状重合、溶液重合、乳化重合、分散重合、または懸濁重合をはじめとする任意の方法、あるいはその変法またはその組み合わせにより製造することができるポリマーを含有する。いくつかの具体例において、初期粒子は、ポリマーを含有する粒子を製造する重合法(例えば、懸濁重合または溶液重合またはその変法またはその組み合わせ)により製造され;場合によっては、このような粒子は本発明の初期粒子としての使用に好適である。
【0028】
初期粒子が水性分散物の形態である具体例において、分散物は、例えば、懸濁液、エマルジョン、ミニエマルジョン、ミクロエマルジョン、ラテックス、またはその組み合わせであってよい。
【0029】
初期粒子は、様々な方法の任意のものにより製造することができる。初期粒子を製造する方法が重合を含むならば、この重合は比較的単純な一段操作でありうるか、または重合はより複雑で、おそらくは複数の重合を含んでもよい。複数の重合が用いられるならば、様々な重合のそれぞれは、他の重合の任意のものと同じモノマーを使用してもよいし;あるいは他の重合の任意のものと異なるモノマーを使用してもよいし;あるいは他の重合の任意のものと同じモノマーと他の重合の任意のものと異なるモノマーの組み合わせを使用してもよい。複数の重合が用いられるならば、これらはすべて同じ種類(例えば、乳化重合または懸濁重合または分散重合)であってもよいし;異なる種類(例えば、先行する1以上の乳化重合および/またはそれに続く1以上の懸濁重合)であってもよいし;あるいは同じ種類と異なる種類の重合の組み合わせを使用してもよい。
【0030】
いくつかの具体例において、初期粒子の一部または全部は、懸濁重合により製造された粒子を含有する。独立して、いくつかの具体例において、初期粒子の一部または全部は、分散重合により製造されたポリマーを含有する。独立して、いくつかの具体例において、初期粒子の一部または全部は高分子量ポリマーを含有する。
【0031】
独立して、いくつかの具体例において、初期粒子の一部または全部は、乳化重合を含む方法により製造されたポリマーまたはオリゴマーまたはその混合物を含有する。このような具体例のいくつかにおいて、初期粒子におけるポリマーの一部または全部は低分子量ポリマーである。独立して、このような具体例のいくつかにおいて、乳化重合は、1以上の連鎖移動剤の使用を含む。
【0032】
独立して、いくつかの具体例において、初期粒子の一部または全部は本発明の方法により製造される膨潤性粒子である。すなわち、いくつかの具体例において、本発明の方法は、本発明の膨潤性粒子を製造するための初期粒子の第一組(本明細書において「膨潤性初期粒子」と呼ぶ)に関して行われ、これは次いで、膨潤性粒子(本明細書において「2次膨潤性粒子」と呼ぶ)を製造するために本発明の方法のその後の実施において初期粒子として使用される。このような具体例において、2次膨潤性粒子を製造するために使用される、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の連鎖移動剤、および少なくとも1種の開始剤、のいずれかまたはすべては、膨潤性初期粒子を製造するために使用される少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の連鎖移動剤、および少なくとも1種の開始剤、のいずれかまたはすべてと同じであるか、または異なっているか、またはその混合物であってよいと考えられる。さらに、いくつかの具体例において、このプロセス(すなわち、膨潤性粒子を製造するための本発明の方法の実施において、初期粒子として膨潤性粒子を使用)は、望まれるだけ多くの回数繰り返すことができることが意図される。
【0033】
本発明のいくつかの具体例において、0.1マイクロメートル以上;または0.2マイクロメートル以上;または0.5マイクロメートル以上の平均粒子直径を有する初期粒子が使用される。独立して、本発明のいくつかの具体例において、50マイクロメートル以下;または25マイクロメートル以下;または12マイクロメートル以下の平均粒子直径を有する初期粒子が使用される。
【0034】
本発明の実施において、膨潤性粒子を製造する方法は、初期粒子を、少なくとも1種のモノマーを含む成分と混合することを含む。いくつかの具体例において、ラジカル重合可能な、少なくとも1種のモノマーが使用される。いくつかの具体例において、少なくとも1種のビニルモノマーが使用される。独立して、いくつかの具体例において、低い水中溶解度を有する少なくとも1種のモノマーが使用される。いくつかの具体例において、25℃での水中溶解度が、水の重量基準で1重量%以下;または0.5重量%以下;または0.2重量%以下;または0.1重量%以下である少なくとも1種のモノマーが使用される。いくつかの具体例において、膨潤性粒子の製造において使用される全てのモノマーは低い水中溶解度を有する。
【0035】
膨潤性粒子の製造に有用なモノマーは、例えば、ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレンおよび置換スチレンを包含する)、アルキル(メタ)アクリレート、置換アルキル(メタ)アクリレート、およびその混合物である。いくつかの好適なモノマーは、2個以上の炭素原子、または3個以上の炭素原子、または4個以上の炭素原子を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。独立して、いくつかの好適なモノマーは、25個以下の炭素原子、または12個以下の炭素原子、または8個以下の炭素原子を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。いくつかの具体例において、使用されるモノマーとしては、ビニル芳香族モノマー、アルキルアクリレート、およびその混合物が挙げられる。いくつかの具体例において、使用されるモノマーは、少なくとも1種のアルキルアクリレートを包含し、そのアルキル基は4〜8個の炭素原子を有する。いくつかの具体例において、使用されるモノマーはブチルアクリレートを包含する。独立して、いくつかの具体例において、使用されるモノマーは、スチレン、少なくとも1種の置換スチレン、またはその混合物を包含する。いくつかの具体例において、使用されるモノマーはスチレンを包含する。いくつかの具体例において、使用されるモノマーは、スチレンおよびブチルアクリレートの混合物を包含する。
【0036】
本発明の実施において、膨潤性粒子を製造する方法は、少なくとも1種の連鎖移動剤の使用を含む。連鎖移動剤は、モノマーのラジカル重合の間の連鎖移動反応に関与できる化合物である。いくつかの好適な連鎖移動剤は、例えば、ハロメタン、ジスルフィド、チオール(メルカプタンとも呼ぶ)、および金属錯体である。少なくとも1種の容易に除去可能な水素原子を有する様々な他の化合物も連鎖移動剤として好適である。好適な連鎖移動剤の混合物も好適である。好適なチオールとしては、例えば、アリールチオール、アルキルチオール、アルキルジチオール、メルカプトアルカノール、およびチオアルキルカルボン酸のアルキルエステルが挙げられる。いくつかの好適なチオールは、例えば、ベンゼンチオール、ドデシルメルカプタン、ヘキサンチオール、ブタンチオール、ブチル3−メルカプトプロピオネート、エチル3−メルカプトプロピオネート、ブチルメルカプトアセテート、1,6−ヘキサンジチオール、4−メルカプト−2−ブタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、および2−メルカプト−エタノールが挙げられる。好適なハロメタンは、例えば、クロロホルム、テトラブロモメタン、テトラクロロメタン、およびブロモトリクロロメタンを包含する。いくつかの好適なジスルフィドは、例えば、ジアルキルジスルフィド(例えば、ジエチルジスルフィド)、ジアルキルアリールジスルフィド(例えば、ジベンジルジスルフィド)、およびジアリールジスルフィド(例えば、ジフェニルジスルフィド)を包含する。
【0037】
好適な連鎖移動剤の混合物も好適である。
【0038】
膨潤性粒子を製造するための本発明のプロセスを実施する場合、いくつかの具体例において、連鎖移動剤の量は、膨潤性粒子を製造するための本発明のプロセスにおいて使用されるモノマーの合計重量基準で、2重量%以上;または5重量%以上;または10重量%以上である。いくつかの具体例において、連鎖移動剤の量は、モノマーの重量基準で、30重量%以下;または25重量%以下である。
【0039】
本発明の実施において、膨潤性粒子の製造方法は、少なくとも1種の開始剤の使用を含む。開始剤は、フリーラジカルがモノマーと相互作用できる条件下で、少なくとも1種のフリーラジカルを生成させることができる化合物である。いくつかの開始剤が少なくとも1種のフリーラジカルを生成させる条件は、例えば、高温、光子への暴露、電離放射線への暴露、ある化合物の反応(たとえば、化合物の酸化−還元対)、およびその組み合わせを包含する。
【0040】
本発明の膨潤性粒子の製造方法における使用に好適であるいくつかの開始剤は、水溶性である。本明細書において使用される場合、開始剤は、水の重量基準で1重量%より高い水中溶解度を有するならば、「水溶性」である。いくつかの好適な水溶性開始剤は、例えば、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウムをはじめとする過硫酸塩である。いくつかの過硫酸塩開始剤は、加熱されるか、または還元剤、例えば、イソアスコルビン酸、ナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド、または硫化水素ナトリウムと反応させるかのいずれかにより、ラジカルを生成する。
【0041】
本発明の膨潤性粒子の製造方法における使用に好適な他の開始剤は、油溶性である。本明細書において使用される場合、開始剤は、低い水中溶解度を有するならば、「油溶性」である。いくつかの好適な油溶性開始剤は、例えば、水の重量基準で1重量%以下;または0.1重量%以下;または0.01重量%以下の水中溶解度を有する。
【0042】
本発明の膨潤性粒子の製造方法における使用に好適ないくつかの開始剤は、例えば、油溶性過酸化物および油溶性アゾ化合物である。好適な油溶性過酸化物は、例えば、油溶性ペルオキシエステル(過カルボン酸エステルまたはペルオキシカルボン酸エステルという場合もある)、油溶性ペルオキシジカーボネート、油溶性過酸化物(例えば、油溶性ジアルキルペルオキシド、油溶性ジアシルペルオキシド、および油溶性ヒドロペルオキシド)、油溶性ペルオキシケタール、および油溶性ケトンペルオキシドを包含する。ペルオキシエステルは、化学構造:
【0043】
【化1】

【0044】
(式中、RおよびRは有機基であり、互いに同一であっても、互いに異なっていてもよい)を有する。RおよびRは、互いに独立して、直鎖、分岐鎖、環状、またはその組み合わせである。いくつかの具体例において、RおよびRは互いに独立して、アルキル基、アルケニル基、アリール基、その置換体、またはその組み合わせである。いくつかの具体例において、Rは4個以上の炭素原子を有するアルキル基、または6個以上の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの具体例において、Rは20個以下の炭素原子を有するアルキル基、または10個以下の炭素原子を有するアルキル基である。独立して、いくつかの具体例において、Rは1個以上の炭素原子を有するアルキル基、または3個以上の炭素原子を有するアルキル基である。独立して、いくつかの具体例において、Rは10個以下の炭素原子を有するアルキル基、または6個以下の炭素原子を有するアルキル基である。好適な開始剤は、例えば、過オクタン酸t−ブチルを包含する。好適な油溶性ジアシルペルオキシドには、例えば、芳香族ジアシルペルオキシド(例えば、ベンゾイルペルオキシド)および脂肪族ジアシルペルオキシド(例えば、ラウロイルペルオキシド)がある。
【0045】
油溶性開始剤として好適ないくつかのアゾ化合物は、例えば、構造R−N=N−R(式中、RおよびRは独立して、非置換または置換有機基であり、その少なくとも1つはニトリル基を含有する)を有するものである。かかるアゾ化合物のいくつかの例は、構造:
【0046】
【化2】

【0047】
(式中、R、R、R、およびRは、それぞれ互いに独立して、水素または有機基、例えば、メチル基、エチル基、3個以上の炭素原子を有するアルキル基、またはその置換体である)を有するものである。いくつかの具体例において、R、R、R、およびRは、互いに独立して、1〜3個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択される。いくつかの好適な開始剤は、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)を包含する。
【0048】
好適な開始剤の混合物も好適である。
【0049】
膨潤性粒子を製造するために本発明のプロセスを実施する場合、いくつかの具体例において、開始剤の量は、本発明の膨潤性粒子の製造方法において使用されるモノマーの合計重量基準で、0.1重量%以上、または0.2重量%以上、または0.5重量%以上である。いくつかの具体例において、開始剤の量は、本発明の膨潤性粒子の製造方法において使用されるモノマーの合計重量基準で、8重量%以下、または4重量%以下、または2重量%以下である。
【0050】
いくつかの具体例において、本発明の膨潤性粒子形成混合物は、任意に、1以上の安定剤をさらに含む。安定剤は、水溶性ポリマー、例えば、ポリ(ビニルアルコール)、セルロースエーテル、およびその混合物である。好適なセルロースエーテルとしては、例えば、エステル化に付されたセルロースであって、ヒドロキシル基のH原子の一部または全部がアルキル基、ヒドロキシルアルキル基、アルキルエーテル基、またはその混合物で置換されているものが挙げられる。本発明の膨潤性粒子の製造方法において1以上の安定剤が使用されるいくつかの具体例において、安定剤の量は、初期粒子の乾燥重量基準で、1重量%以上;または2重量%以上である。独立して、本発明の膨潤性粒子の製造方法において1以上の安定剤が使用されるいくつかの具体例において、安定剤の量は、初期粒子の乾燥重量基準で、15重量%以下;または7重量%以下である。いくつかの具体例において、本発明の膨潤性粒子の製造方法において安定剤は使用されない。
【0051】
本発明の膨潤性粒子の製造方法において、成分の混合は、この方法が、ある時点で、(任意に、他の成分のうち)初期粒子、モノマー、連鎖移動剤、および開始剤を含む混合物を含み、モノマーが重合できる条件下で存在する限り、任意の方法により、任意の順序で行うことができる。いくつかの具体例において、成分は連続流リアクターを通って流れる際に連続して混合することができると考えられる。いくつかの具体例において、成分の一部は容器中に入れられ、他の成分は容器に(一緒に、または個々に;徐々にまたは急に)添加することができると考えられる。
【0052】
本明細書において用いられる場合、「モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件」とは、重合が有用に、有効に迅速に進行できる条件を意味する。特定の条件の組が「モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件」であるかどうかを試験するために、任意の成分を添加または除去することなく条件を一定に保持することができ、存在するモノマーの量を測定することができる。「モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件」下で、条件が1時間一定に保持された後、5%以上のモノマー(重量%、1時間の期間の始めに存在するモノマーの重量基準)が反応して、オリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成する。いくつかの場合において、10%以上、または20%以上、または50%以上のモノマーが反応して、オリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成する。
【0053】
膨潤性粒子を製造するための本発明の方法の実施において、重合は、モノマーが反応して、少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成する条件を提供することにより行われる。いくつかの具体例において、ポリマーの形成において消費されるモノマーの量は、膨潤性粒子の製造方法において使用されるモノマーの合計重量基準で、90%以上;または95%以上;または99%以上である。
【0054】
いくつかの具体例において(本明細書において「水性初期粒子例に加えて」または「AAIP例」と呼ぶ)、初期粒子の一部または全部は、水性分散物の形態であり;これらの初期粒子は、容器中に入れられ;「SPFM残存成分」(すなわち、初期粒子以外の、膨潤性粒子形成混合物の全成分)が次に容器に添加される。AAIP例において、SPFM残存成分は、個々に初期粒子を含む容器に添加してもよいし;あるいはSPFM残存成分の一部または全部を、初期粒子を含む容器に混合物が添加される前に一緒に混合してもよいし;あるいは個々のSPFM残存成分のいくつかの組み合わせ、およびSPFM残存成分の混合物を、初期粒子を含む容器に添加してもよい。SPFM残存成分の全てが容器に添加される前に一緒に混合されるわけではないAAIP例のうち、いくつかの具体例において、一緒に混合されない任意のSPFM残存成分は、初期粒子を含む容器に、別々に、同時に添加することができることが意図される。
【0055】
独立して、いくつかのAAIP例において、1以上のSPFM残存成分は、初期粒子を含む容器に添加される前には水性分散物の形態である。このような水性分散物が形成される場合、任意の分散物を形成する方法を使用することができる。例えば、1以上のSPFM残存成分を水および1以上の界面活性剤と混合することができる。1以上のSPFM残存成分が液体であるならば、得られる分散物は通常エマルジョンと呼ばれる。このような水性分散物はしばしば、機械的撹拌の存在下で、1以上のSPFM残存成分と1以上の界面活性剤との混合物を混合することを含む方法により製造される。いくつかの具体例において、機械的撹拌は、「高剪断」を提供する(すなわち、成分に高剪断速度を付与する)。
【0056】
機械的撹拌を使用して水性分散物が形成される場合、機械的撹拌は、任意の方法により供給することができ、その結果、水性分散物が得られる。いくつかの好適な機械的撹拌方法は、例えば、混合物を振盪するか、混合物を撹拌するか、または混合物を静的混合エレメントに通すことを含む。好適な撹拌法は、例えば、混合物を回転装置、例えば、マグネティックバーまたはインペラと接触させることを含む。回転装置の好適な配置は、例えば、撹拌装置をパイプまたは他の導管に固定し、混合物を連続してこのパイプまたは他の導管を通し、回転装置を通過させることである。回転装置のもう一つ別の好適な配置は、例えば、一定体積の混合物および回転装置を容器中に入れ、回転装置を一定体積の混合物内で、分散物が形成されるまで回転させることである。
【0057】
いくつかの好適なインペラとしては、例えば、軸流インペラ(例えば、プロペラおよび傾斜ブレードタービンを包含する)、半径流インペラ(例えば、オープンフラットブレードインペラ、ディスクスタイルインペラ、後方に傾斜したオープンインペラ、および後方に傾斜したディスクインペラを包含する)、水中翼インペラ、高剪断インペラ(例えば、バータービン、鋸歯インペラ、およびローター/ステーターを包含する)、およびクローズ−クリアランスインペラ(例えば、アンカーインペラ、ヘリカルリボン、およびウォールスクレーパーを包含する)が挙げられる。時々、高剪断インペラを使用した分散物を形成するプロセスは、「均質化」と称される。
【0058】
初期粒子以外の少なくとも1種の成分が水性分散物の形態であるいくつかの具体例において、成分の分散物は、1以上の分散剤および界面活性剤またはその混合物で安定化させることができる。分散剤または界面活性剤が使用される場合、望ましくは、本発明の実施において使用される任意の他の水性分散物と適合性であるように選択される。好適な界面活性剤には、例えば、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、およびアニオン性界面活性剤が含まれる。好適な非イオン性界面活性剤には、例えば、アルキルエーテルポリマー(ブロックポリマーを包含する)およびアルキルフェノールポリアルキルオキシレート(例えば、アルキルフェノールポリエトキシレート)がある。好適なアニオン性界面活性剤には、例えば、カルボキシレート界面活性剤、スルホネート界面活性剤、スルフェート界面活性剤、およびホスフェート界面活性剤がある。いくつかの好適なアニオン性界面活性剤は、例えば、アルキルカルボキシレート、アルケニルカルボキシレート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルフェート、およびアルキルホスフェートである。いくつかの具体例において、アルキルベンゼンスルホネートまたはアルキルスルフェートまたはその混合物が使用される。いくつかの具体例において、アルキルベンゼンスルホネートが使用される。好適な界面活性剤の混合物も好適である。
【0059】
成分または成分の混合物が水性エマルジョンの形態である場合、いくつかの具体例において使用される界面活性剤の量は、エマルジョン中の成分の合計重量基準で、0.05重量%以上;または0.1重量%以上の界面活性剤である。独立して、いくつかの具体例において、使用される界面活性剤の量は、エマルジョン中の成分の合計重量基準で、10重量%以下;または5重量%以下の界面活性剤である。
【0060】
膨潤性粒子を製造するための本発明のプロセスにおいて、成分は、モノマーが重合できる条件下で混合される。いくつかの具体例において、このような条件は、フリーラジカルを形成するために開始剤に必要な条件が存在する場合に確立される。例えば、このような具体例において、温度が十分高い時にフリーラジカルを生じる開始剤が使用される場合、成分が十分高い温度で混合され、従って、開始剤が十分なフリーラジカルを生成し、従って、混合物中のモノマーが重合できると考えられる。さらに、混合が起こる条件は、重合が起こるために必要でありうる他の態様、例えば、確実に混合するための十分な撹拌、および他の例については、フリーラジカルとモノマー分子との反応を可能にする輸送条件も提供すると考えられる。
【0061】
本発明のいくつかの具体例において、膨潤性粒子形成混合物の形成前に、1以上の物質を初期粒子の一部または全部と混合してもよいし、混合しなくてもよい。例えば、初期粒子が分散物の形態で使用される具体例において、分散媒体よりも初期粒子と、より適合性であり、比較的低い分子量を有し、モノマーでない化合物である、本明細書において「膨潤剤」と呼ばれる物質を考慮することが有用である。いくつかの膨潤剤は、初期粒子の分散媒体中に、分散媒体の重量基準で、5重量%以下、または2重量%以下、または1重量%以下の溶解度を有する。独立して、いくつかの膨潤剤は、1000以下;または500以下の分子量を有する。一般的な膨潤剤は、例えば、可塑剤、溶媒、またはその混合物である。
【0062】
いくつかの具体例において、完全膨潤性粒子形成混合物の形成前に、初期粒子との任意の混合物中に存在する可塑剤の量は、初期粒子の合計乾燥重量基準で、10重量%以下;または3重量%以下;または1重量%以下;または0.3重量%佳;または0.1重量%以下;またはゼロである。独立して、いくつかの具体例において、完全膨潤性粒子形成混合物の形態の前に、初期粒子との混合物中に存在する溶媒の量は、初期粒子の合計乾燥重量基準で、10重量%以下;または3重量%以下;または1重量%以下;0.3重量%以下;または0.1重量%以下;またはゼロである。独立して、いくつかの具体例において、完全膨潤性粒子形成混合物の形成前に、初期粒子との任意の混合物中に存在する任意の膨潤剤の量は、初期粒子の合計乾燥重量基準で10重量%以下;または3重量%以下;または1重量%以下;または0.3重量%以下;または0.1重量%以下;またはゼロである。
【0063】
膨潤性粒子を形成するための本発明の方法の実施において、いくつかの具体例において、完全膨潤性粒子形成混合物の形成前に、あるモノマーを初期粒子の一部または全部と混合してもよいし、混合しなくてもよい。いくつかの具体例において、完全膨潤性粒子形成混合物の形成前に、初期粒子との任意の混合物中に存在するモノマーの量は、初期粒子の合計乾燥重量基準で、10重量%以下;3重量%以下;または1重量%以下;または0.3重量%以下;または0.1重量%以下;またはゼロである。
【0064】
膨潤性粒子の形成のための本発明の方法の実施において、いくつかの具体例において、完全膨潤性粒子形成混合物の形成前に、ある連鎖移動剤を初期粒子の一部または全部と混合してもよいし、混合しなくてもよい。いくつかの具体例において、完全膨潤性粒子形成混合物の形成前に、初期粒子との任意の混合物中に存在する連鎖移動剤の量は、初期粒子の合計乾燥重量基準で、10重量%以下;または3重量%以下;または1重量%以下;0.3重量%以下;または0.1重量%以下;またはゼロである。
【0065】
膨潤性粒子を形成するための本発明の方法の実施において、いくつかの具体例において、完全膨潤性粒子形成混合物の形成前に、初期粒子の一部または全部と開始剤を混合させることが可能である。他の具体例において、完全膨潤性粒子形成混合物の形成前に初期粒子と開始剤を混合しない。
【0066】
膨潤性粒子を形成するための本発明の方法の実施において、いくつかの具体例において、完全膨潤性粒子形成混合物の形成前に、あるモノマーを初期粒子の一部または全部と混合させることが可能である。他の具体例において、完全膨潤性粒子形成混合物の形成前に初期粒子とモノマーを混合しない。
【0067】
膨潤性粒子を形成するための本発明の方法の実施において様々な方法が考えられる。いくつかの具体例において、初期粒子の一部または全部は、あるモノマー、ある連鎖移動剤、およびある開始剤の1、2、または3つとも全てと、モノマーが重合できる条件が確立される前に混合される。このような具体例において、連鎖移動剤、モノマー、および開始剤のそれぞれの残存する部分(または全部)を、モノマーが重合できる条件下で初期粒子と混合することが考えられる。膨潤性粒子形成混合物がまず形成され、およびモノマーの第一部分、連鎖移動剤の第一部分、および開始剤の第一部分が全て同時に(任意に、別々に)初期粒子に添加される場合に、モノマーが重合できる条件がまず確立される例も考慮される。
【0068】
本発明の膨潤性粒子は、これらが製造された後に、膨潤剤を含んでも、含まなくてもよい。いくつかの具体例において、本発明の膨潤性粒子中に存在する膨潤剤の量は、膨潤性粒子の合計乾燥重量基準で10重量%以下;または3重量%以下;または1重量%以下;または0.3重量%以下;または0.1重量%以下;またはゼロである。
【0069】
本発明は特定のメカニズムに限定されないが、いくつかの具体例において、本発明の膨潤性粒子を製造する方法が行われる場合、初期粒子と混合される少なくとも1種のモノマーの一部または全部は次の工程を経る:このようなモノマーは、初期粒子上または粒子中に存在し、おそらくは初期粒子を膨潤させ;このようなモノマーは次いで、これも初期粒子上または粒子中に存在する1以上のフリーラジカル(おそらくは1以上の開始剤から形成される)と遭遇し;このようなモノマーは次いで、重合反応において他のかかるモノマーとともに関与する。例えば、いくつかのAAIP例において、少なくとも1種のモノマーおよび少なくとも1種の開始剤は、ゆっくりと、同時に添加され(単一混合物中で一緒に、または同時であるが、別々に)添加され;このようなAAIP例において、さらにモノマーがゆっくりと容器に添加される際に、あるモノマーは初期粒子中に侵入し、ここで重合する。かかるAAIP例のいくつかにおいて、少なくとも1種の油溶性開始剤が使用される。
【0070】
本発明のいくつかの具体例において、膨潤性粒子の平均粒子直径は、初期粒子の平均粒子直径よりも大きい。いくつかの具体例において、本発明の膨潤性粒子の平均粒子直径は、初期粒子の平均粒子直径よりも、1.5倍以上;または2倍以上;または4倍以上大きい。独立して、いくつかの具体例において、膨潤性粒子は、0.25マイクロメートル以上;または0.5マイクロメートル以上;または1マイクロメートル以上;または2マイクロメートル以上;または4マイクロメートル以上;または8マイクロメートル以上の平均粒子直径を有する。独立して、本発明のいくつかの具体例において、膨潤性粒子は、100マイクロメートル以下;または50マイクロメートル以下;または25マイクロメートル以下の平均粒子直径を有する。
【0071】
いくつかの具体例において、本発明の膨潤性粒子は、オリゴマーまたは低分子量ポリマーまたはその混合物を含有する。いくつかの具体例において、本発明の膨潤性粒子を製造するための方法の間に形成される物質は、オリゴマーまたは低分子量ポリマーまたはその混合物を含有する。
【0072】
本発明の膨潤性粒子を製造するための方法の一つの利点は、この方法は、適度な期間で行うことができることである。この方法の期間は、SPFMがまず形成される時間から、意図されるモノマーの全てが添加され、モノマーの重合が少なくとも90%完了するまでの期間である。「%完了」とは、本明細書においては、膨潤性粒子を製造するための方法の実施の間に添加される全モノマーの重量基準での未反応モノマー(すなわち、オリゴマーまたはポリマー分子中に組み入れられなかったモノマー)の重量を意味する。いくつかの具体例において、方法の期間の最後は、モノマーの重合が、少なくとも95%完了、または少なくとも99%完了する場合に示される。いくつかの具体例において、方法の期間は、24時間以下;または12時間以下;または8時間以下である。
【0073】
本発明の膨潤性粒子の一つの使用法は、ポリマー樹脂粒子の製造における成分としてである。本発明の膨潤性粒子がポリマー樹脂粒子の製造において使用される場合、かかるポリマー樹脂粒子の製造方法は、他の工程の中でも、本発明の膨潤性粒子を少なくとも1種のモノマー(本明細書において、膨潤性粒子の製造において使用されるモノマーと区別するために、「後続モノマー」と呼ぶ)と混合することを含む。後続モノマーのそれぞれは独立して、膨潤性粒子の製造において使用されるいずれかまたはすべてのモノマーと同一であっても、異なっていてもよい。かかるポリマー樹脂粒子の製造方法は、少なくとも1種の後続モノマーを重合させることをさらに含む。
【0074】
本発明のポリマー樹脂の製造方法の実施における重合は、後続モノマーが反応でき、および反応して、少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成する条件を提供することにより行われる。いくつかの具体例において、ポリマーの形成において消費されるモノマーの量は、ポリマー樹脂の製造方法において使用される後続モノマーの合計重量基準で、90%重量以上;または95重量%以上;または99%重量以上の消費されたモノマーである。後続モノマーは、重合の開始前、重合中、またはその組み合わせで、膨潤性粒子と混合することができる。いくつかの具体例において、膨潤性粒子を後続モノマーと混合するちょうど1工程、および後続モノマーを重合させるちょうど1工程が行われる。いくつかの具体例において、このような混合工程の1より多くを行うことができ、独立して、いくつかの具体例において、1より多くの重合工程を行うことができる。いくつかの具体例において、後続モノマーの第一部分が膨潤性粒子と混合され、重合した後、得られる組成物を後続モノマーの1以上のさらなる部分(そのそれぞれは独立して、後続モノマー中にあらかじめある部分中に含まれるモノマーと同一であってもよいし、あるいは異なっていてもよい)と混合することができ、これを次いで重合させる。
【0075】
いくつかの具体例において、ポリマー樹脂粒子は、高分子量ポリマーまたは架橋ポリマーまたはその混合物を含む。いくつかの具体例において、少なくとも1種の後続モノマーを重合させることにより製造されるポリマーは、高分子量ポリマーまたは架橋ポリマーまたはその混合物を含有する。架橋ポリマーの存在を観察する一つの有用な方法は、関心のあるポリマーの溶解度を試験することであり;架橋ポリマーは一般に任意の溶媒中に溶解しない。ポリマー樹脂粒子の多くのサンプルにおいて、架橋するポリマーの量は、可溶性でないポリマー樹脂粒子の部分により特徴づけられる。いくつかの具体例において、少なくとも1種の後続モノマーを重合させることにより製造されるポリマー樹脂粒子は、ポリマー樹脂粒子の乾燥重量基準で50重量%以上;または75重量%以上;または90重量%以上の可溶性でない物質を含有する。
【0076】
本発明の実施において後続モノマーとして好適なモノマーとしては、例えば、ビニルモノマーが挙げられる。好適なビニルモノマーとしては、一つのビニル基を有するもの、複数のビニル基を有するもの、およびその混合物が挙げられる。いくつかの好適なビニルモノマーとしては、カルボン酸ビニル、ビニルウレタンモノマー、ビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリレートエステル、置換(メタ)アクリレートエステル、およびその混合物が挙げられる。カルボン酸ビニルの一例は、酢酸ビニルである。ビニルウレタンモノマーの一例は、トリアリルイソシアヌレートである。好適なビニル芳香族モノマーの例としては、スチレン、ジビニルベンゼン、およびその置換体(例えば、アルファ−メチルスチレン)が挙げられる。ある好適な置換(メタ)アクリレートエステルとしては、例えば、多価アルコールの(メタ)アクリル酸とのエステル、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、およびその混合物が挙げられる。
【0077】
後続モノマーとして好適なビニルモノマーのさらなる例は、アルキル基が官能基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルである。数例において、かかる官能基は、後続モノマーの重合中または重合後のいずれかに、他の基(官能基と同一であっても、異なっていてもよい)と反応できる。このような場合において、官能基を他の基と反応させることにより、ポリマーの分岐点または架橋点が生じ、この結果、後続モノマーが重合する。このような官能基の一例はグリシジル基である。この種類のモノマーの一例はグリシジルメタクリレートである。
【0078】
後続モノマーとして好適なモノマーの混合物も、後続モノマーとして好適である。
【0079】
いくつかの具体例において、ポリマー樹脂粒子は、1マイクロメートル以上;または3マイクロメートル以上;または10マイクロメートル以上の平均粒子直径を有する。独立して、本発明のいくつかの具体例において、ポリマー樹脂粒子は、1000マイクロメートル以下;または600マイクロメートル以下;または250マイクロメートル以下;または100マイクロメートル以下の平均粒子直径を有する。
【0080】
本発明のポリマー樹脂粒子を製造する方法のいくつかの具体例において、膨潤性粒子の形成においてどのような連鎖移動剤が使用されようとも、それ以外の連鎖移動剤は使用されない。
【0081】
本発明の膨潤性粒子が水性分散物として存在する場合、本発明のポリマー樹脂粒子を製造する方法のいくつかの具体例は、後続モノマーを水性分散物と混合し、かくして形成された混合物中、後続モノマーを重合させることを含む。このような具体例は、本明細書において「DSP」例と称する。
【0082】
いくつかのDSP例において、後続モノマーの重合は、例えば、乳化重合、懸濁重合、分散重合、またはその組み合わせを使用して行うことができる。独立して、いくつかのDSP例において、1以上の後続モノマーは水性エマルジョンに形成され、これは次いで膨潤性粒子の水性分散物に添加される。
【0083】
いくつかのDSP例において、様々な任意の成分が膨潤性粒子の水性分散物および後続モノマーの混合物中に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。このよな任意の成分は、例えば、後続モノマーの重合を行うのを助けるために、または最終ポリマー樹脂粒子の性質に影響を及ぼすために、添加することができる。このような任意の成分は、膨潤性粒子の水性分散物の後続モノマーとの混合前、混合中、または混合後に添加することができる。任意の成分には、例えば、1以上の開始剤、安定剤、ポロゲン、他の化合物、およびその混合物が含まれる。
【0084】
1以上の開始剤がDSP例において使用される場合、本発明の膨潤性粒子の製造方法における使用に好適であると記載された開始剤と同じ開始剤が、後続モノマーの重合に好適である。1以上の開始剤がDSP例において使用される場合、使用される開始剤のそれぞれは、独立して、膨潤性粒子の製造において使用される開始剤と同じであってもよいし、あるいは異なっていてもよい。
【0085】
本発明のポリマー樹脂粒子の製造方法を実施する際、いくつかの具体例において、開始剤の量は、使用される後続モノマーの合計重量基準で、0.1重量%以上、または0.2重量%以上、または0.5重量%以上である。いくつかの具体例において、開始剤の量は、使用される後続モノマーの合計重量基準で8重量%以下、または4重量%以下、または2重量%以下である。
【0086】
あるDSP例は、1以上の安定剤の使用を含み、あるDSP例は安定剤の使用を含まない。本明細書において本発明の膨潤性粒子の製造方法における安定剤として好適であると記載されている化合物は、本発明のポリマー樹脂粒子の製造方法における安定剤としても好適である。1以上の安定剤を使用して製造される膨潤性粒子が、1以上の安定剤の使用を含む方法を用いて製造されるポリマー樹脂粒子の製造において使用されるこれらの具体例において、ポリマー樹脂粒子の製造において使用される安定剤は、膨潤性粒子の製造において使用された安定剤と独立して同じであるかまたは異なっていてもよい。1以上の安定剤がポリマー樹脂粒子の製造において使用される場合、いくつかの具体例において、安定剤の量は、膨潤性粒子の乾燥重量基準で、1重量%以上;または2重量%以上;または4重量%以上である。1以上の安定剤がポリマー樹脂粒子の製造において使用される場合、いくつかの具体例において、安定剤の量は、ポリマー樹脂粒子の乾燥重量基準で、50重量%以下;または30重量%以下である。
【0087】
あるDSP例は、1以上のポロゲンの使用を含む。ポロゲンはモノマーでなく;水中よりも1以上の後続モノマー中に可溶性であり;後続モノマーの重合により形成されるポリマーの貧溶媒である化合物である。ある好適なポロゲンは、例えば、炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、およびエステルである。好適なポロゲン分子の炭化水素部分は、直鎖、分岐鎖、環状、またはその組み合わせでありうる。好適な炭化水素ポロゲンは、脂肪族炭化水素、例えば、イソオクタンである。さらなる好適な炭化水素ポロゲンは、芳香族含有炭化水素、例えば、キシレンまたはトルエンである。好適なエステルポロゲンは、例えば、芳香族カルボン酸のエステル、例えば、ジアルキルフタレートである。さらなる好適なエステルポロゲンは、例えば、脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、酢酸ブチルである。好適なエーテルポロゲンは、例えば、アルキル基が3個以上の炭素原子を有するジアルキルエーテルポロゲン、例えば、ジブチルエーテルを包含する。好適なアルコールポロゲンは、例えば、5個以上の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖、または環状アルキルのアルコール、例えば、シクロヘキサノールまたは4−メチル−2−ペンタノールを包含する。好適なケトンポロゲンは、例えば、ジアルキルケトン、例えば、メチルイソブチルケトンである。好適なポロゲンの混合物も好適である。
【0088】
本発明のポリマー樹脂粒子の製造方法のいくつかの具体例において、ポロゲンの重量の、全ての後続モノマーの合計重量に対する比は、0.1以上;または0.25以上;または0.5以上である。本発明のポリマー樹脂粒子の製造方法のいくつかの具体例において、ポロゲンの重量の、全ての後続モノマーの合計重量に対する比は、10以下;または5以下;または2.5以下である。
【0089】
本発明のポリマー樹脂粒子の製造方法において、いくつかの具体例において、1以上の成分(1以上の後続モノマーまたは1以上の任意の成分またはその組み合わせのいずれか)は水性エマルジョンの形態において使用できる。
【0090】
本発明のポリマー樹脂粒子の製造方法における1以上の成分がエマルジョンの形態である場合、好適な分散剤および界面活性剤(およびその量)は、本発明の膨潤性粒子の製造方法において使用される成分のエマルジョンにおける使用に好適であると本明細書において記載されているものと同じである。本発明のポリマー樹脂粒子の製造方法において使用される分散剤または界面活性剤は、独立して、膨潤性粒子の製造において使用される分散剤または界面活性剤と同じであってもよいし、または異なっていてもよい。ポリマー樹脂粒子の製造における1より多い成分がエマルジョンの形態であるならば、成分は、単一のエマルジョン中で一緒に混合されてもよいし、あるいは異なるエマルジョン中にあってもよいし、あるいはその組み合わせであってもよい。成分の1より多いエマルジョンが本発明のポリマー樹脂粒子の製造方法において使用されるならば、エマルジョン中において分散剤または界面活性剤は同一であってもよいし、異なっていてもよいし、あるいはその組み合わせであってもよい。好適なアニオン性界面活性剤としては、例えば、スルホネート界面活性剤、例えば、ジアルキルスルホスクシネート界面活性剤が挙げられる。
【0091】
本発明のポリマー樹脂粒子は、官能化して、または官能化せずに使用することができる。「官能化」とは、本明細書において、ポリマー樹脂粒子が少なくとも1種の試薬と反応して、1以上の官能基(例えば、イオン)をポリマー樹脂粒子と化学的に結合するか、またはポリマー樹脂粒子上の化学基(例えば、エステル基)を官能基(例えば、カルボキシル基)に変換することを意味する。官能化されたポリマー樹脂粒子は、しばしば、イオン交換樹脂として有用である。本発明のポリマー樹脂粒子は、官能化させて、例えば、強カチオン交換樹脂、強アニオン交換樹脂、弱カチオン交換樹脂、弱アニオン交換樹脂、他の官能化樹脂、ならびにその組み合わせおよびその混合物を形成することができる。いくつかの具体例において、本発明のポリマー樹脂は、ポリマー樹脂粒子を1以上のスルホン化剤(例えば、ナトリウムジチオナイトまたは亜硫酸ナトリウム)と反応させることにより、強カチオン交換樹脂に形成される。いくつかの具体例において、本発明のポリマー樹脂粒子は、樹脂を1以上のアミン化合物、例えば、トリメチルアンモニウムクロリドと反応させることにより、強アニオン交換樹脂に形成される。いくつかの具体例において、本発明のポリマー樹脂粒子は、ポリマー樹脂粒子を1以上のアミン化合物、例えば、ジエチルアミン塩酸塩と反応させることにより、弱アニオン交換樹脂に形成される。いくつかの具体例において、本発明のポリマー樹脂粒子は、例えば、ポリマー樹脂粒子を水酸化ナトリウムと反応させて、ポリマー樹脂粒子上のエステル基を加水分解してカルボキシル基にすることにより、弱カチオン交換樹脂に形成される。
【0092】
官能化された本発明のポリマー樹脂粒子は、タンパク質に関して使用された場合、例えば、本明細書の実施例35に記載する方法を使用して測定すると、良好な容量および回収率を有する。独立して、本発明のある官能化された樹脂粒子は、塩化ナトリウムなどの塩が存在する場合、良好な性能を有する;すなわち、かかる樹脂粒子は、比較的高いレベルの塩の存在下でタンパク質と共に使用された場合、良好な容量および回収率を有する。塩の存在下での容量および回収率の測定の例は、本明細書において実施例35に記載する。
【0093】
独立して、本発明の官能化されたポリマー樹脂粒子は、例えば本明細書の実施例42に記載された方法により測定すると、良好な剛性を有する。
【0094】
本発明のポリマー樹脂粒子は、生体分子(例えば、タンパク質、酵素、および他の生体分子)を精製するために有用である。このような精製は、ポリマー樹脂粒子を混合生体分子の水性溶液と接触させることにより、例えば、ポリマー樹脂粒子を液体クロマトグラフィーカラム中に入れ、水性溶液をカラムに通すことにより行われる場合がある。
【0095】
本発明の官能化されたポリマー樹脂粒子は、生体分子(例えば、タンパク質、酵素、および他の生体分子)を精製するために有用である。このような精製は、官能化されたポリマー樹脂粒子を混合生体分子の水性溶液と接触させることにより、例えば、官能化されたポリマー樹脂粒子を液体クロマトグラフィーカラム中に入れ、水性溶液をカラムに通すことにより行われる場合がある。
【0096】
本発明の方法のいくつかの利点は、適度なレベルの生産性で行うことができることである。すなわち、いくつかの具体例において、本発明の方法は、商業的に有用な重合法(例えば、乳化重合、懸濁重合、および分散重合、ならびにその組み合わせ)を使用し、本発明の方法の実施者は、膨潤性粒子またはポリマー樹脂粒子あるいはどちらも、かかる商業的に有用な方法に関して通常の生産レベルで製造することができる。例えば、本発明の方法は、大規模で実施することができる。すなわち、比較的大規模の物質を製造するために比較的大きな容器を使用することができる。いくつかの具体例において、10リットル以上;または100リットル以上;または1000リットル以上の膨潤性粒子のバッチを製造することができると考えられる。独立して、いくつかの具体例において、10リットル以上;または100リットル以上;または1000リットル以上のポリマー樹脂粒子のバッチを製造することができると考えられる。独立して、いくつかの具体例において、乾燥重量で3kg以上;または30kg以上;または300kg以上の膨潤性粒子を有する膨潤性粒子のバッチを製造することができると考えられる。独立して、いくつかの具体例において、乾燥重量で、5kg以上;または50kg以上;または500kg以上の膨潤性粒子を有するポリマー樹脂粒子のバッチを製造することができると考えられる。
【0097】
独立して、本発明の方法の利点は、通常の商業的重合装置を用いて行うことができることである。いくつかの具体例において、本発明の方法は、例えばジェットまたはフリットなどの通常でない装置を使用せずに行うことができる。
【0098】
本発明のポリマー樹脂粒子の製造方法のいくつかの別の独立した利点は、これらの方法が適度な期間で行うことができることである。この方法の期間は、任意の後続モノマーが任意の膨潤性粒子と混合されてから、意図される後続モノマーの全てが添加され、このモノマーの重合が少なくとも90%完了するまでの時間である。「%完了」とは、本明細書において、本発明の膨潤性粒子の製造方法の実施の間に添加される全てのモノマーの重量基準での、未反応モノマー(すなわち、オリゴマーまたはポリマー分子中に組み入れられなかったモノマー)の重量を意味する。いくつかの具体例において、この方法の期間の最後は、後続モノマーの重合が少なくとも95%完了、または少なくとも99%完了した時にマークされる。いくつかの具体例において、ポリマー樹脂粒子の製造方法の期間は、48時間以下;または36時間以下;または24時間以下;または18時間以下である。
【0099】
本発明のポリマー樹脂粒子の製造方法のいくつかの具体例において、本発明の膨潤性粒子は、後続モノマーと混合され、期間(本明細書においては「膨潤時間」と称する)は、重合が起こるまで経過することを許容され、次に後続モノマーが重合する条件が確立される。このような具体例のいくつかにおいて、膨潤時間は12時間以下、または10時間以下、または8時間以下、または6時間以下、または2時間以下である。
【0100】
本発明のポリマー樹脂の製造方法のいくつかの利点は、膨潤時間が一般に、従来公知のポリマー樹脂粒子の製造方法の膨潤時間よりも本発明の方法において短いことである。この利点は、本発明の樹脂を類似のモノマーを使用して従来公知の方法により製造された樹脂と比較した場合、および従来公知の方法におけるシードと最終樹脂の比が、本発明の方法における膨潤性粒子と最終樹脂の比と類似している場合に特に観察される。
【実施例】
【0101】
以下の用語および略語を以下の実施例において使用する。「DI水」は脱イオン水である。「pbw」は重量部である。「BA」はn−ブチルアクリレートである。「SDBS」はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。「BI−90」は、Brookhaven InstrumentsによるBI−90型粒子サイズ分析装置である。「MPS」は平均粒子サイズである。「濃度」は、溶液の合計重量基準での溶液中の濃度(重量基準)である。「SDOSS]は、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである。SDOSS溶液は、Cytec Industriesから得られるSolusol(商標)75(SDOSSのエタノールおよび水の混合物中溶液(73〜75%濃度))から調製し;SDOSS「水性溶液」は、Solusol75を水で希釈して、本明細書に記載する「濃度」(溶液の合計重量基準でのSDOSSの濃度であった)を得ることにより調製した。「Triton(商標) X−405」は、Dow Chemical Companyから得られる非イオン性界面活性剤であり、70%濃度の水性溶液として供給され、使用される。「AMPN」は、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)である。「リアクター」は、スターラーおよび凝縮器を備えた容器であり;容器の内部の物質は、窒素ガスで覆われている。混合物は、Ingeniuburo CAT、M.Zipperer GMBLTから得られるX520型ホモジナイザーを用いて、強力ミキサー中でブレンドして、均質エマルジョンを形成することにより「乳化」される。「Metolose 400 90SH」安定剤は、ShinEtsu Chemical Co.Ltd.から入手可能な、セルロースヒドロキシル基中の水素原子の一部または全部がメチル基により置換されている非イオン性水溶性セルロースエーテルである。「GMA」はグリシジルメタクリレートである。「EGDMA」はエチレングリコールジメタクリレートである。「DVB」はジビニルベンゼンである。「固形分」とは、本明細書において、エマルジョン、懸濁液、または分散物の合計重量基準でのエマルジョン、懸濁液、または分散物中の固体物質の量(重量)を意味する。「TFA」はトリフルオロ酢酸である。「pI」は、タンパク質が中性であるpHである。
【0102】
実施例1
粒子の調製
リアクターに混合物A(140pbwのDI水;および0.4pbwの炭酸ナトリウム)を入れ、83℃に加熱した。リアクター内容物に10%の乳化した混合物B(99.8pbwのBA;0.2pbwのALMA;5.91pbwのSDBSの水性溶液(10.16%濃度);27.3pbwのDI水)および25%の混合物C(0.053pbwの過硫酸ナトリウム;および61.6pbwのDI水)を添加した。温度を83℃に維持し、混合物を60分間撹拌し、その後、残存する混合物Bおよび混合物Cをリアクターに撹拌しながら240分かけて添加した。撹拌を83℃で30分間続け、その後、リアクターの内容物を室温に冷却した。得られたMPSはBI−90により測定すると0.26マイクロメートルであった。
【0103】
実施例2
粒子の調製
リアクターに混合物A(151pbwのDI水;および0.40pbwの炭酸ナトリウム)を入れ、83℃に加熱した。リアクター内容物に10%の乳化した混合物B(100pbwのBA;4.98pbwのSDBSの水性溶液(10.05%濃度)、および27.6pbwのDI水)および25%の混合物C(0.053pbwの過硫酸ナトリウム;および49.9pbwのDI水)を添加した。温度を83℃に維持し、混合物を60分間撹拌し、その後、残存する混合物Bおよび混合物Cをリアクターに撹拌しながら180分かけて添加した。撹拌を83℃で30分間続け、その後、リアクター内容物を室温に冷却した。得られたMPSはBI−90により測定すると0.24マイクロメートルであった。
【0104】
実施例3
粒子の調製
成分(90pbwのスチレン;2.1pbwのAMPN;280pbwのエタノール;232pbwのメトキシエタノール;および10.5pbwのポリビニルピロリドン、重量平均分子量40000)をビーカー中で、溶液が透明になるまで撹拌した。溶液を次いで反応釜に移し、これを次に窒素で約30分間スパージし、40分にわたって70℃に加熱し、70℃で24時間保持した。室温に冷却した後、混合物を遠心分離し、デカントすることにより溶媒を除去した。粒子をラウリル硫酸ナトリウムの水性溶液(0.25%濃度)中に再分散させて、懸濁液の合計重量基準で20%固体重量のポリスチレンの懸濁液を形成した。得られた粒子は、Coulter Counterにより測定すると1.77マイクロメートルのMPSを有していた。
【0105】
実施例4
粒子の調製
成分(90pbwのスチレン;2.1pbwのAMPN;280pbwのエタノール;232pbwのメトキシエタノール;および10.5pbwのポリビニルピロリドン、重量平均分子量55000)を溶液が透明になるまでビーカー中で撹拌した。溶液を次いで反応釜に移し、これを次いで窒素で約30分間スパージし、40分にわたって70℃に加熱し、70℃で24時間保持した。室温に冷却した後、混合物を遠心分離し、デカントすることにより溶媒を除去した。粒子をラウリル硫酸ナトリウムの水性溶液(0.25%濃度)中に再分散させて、懸濁液の合計重量基準で20%固体重量のポリスチレンの懸濁液を形成した。得られた粒子は、Coulter Counterにより測定すると3.0マイクロメートルのMPSを有していた。
【0106】
実施例5
膨潤性粒子の調製
混合物A(0.08pbwの炭酸ナトリウム;0.01pbwのSDBSの水性溶液;および156pbwのDI水)をリアクターに添加し、撹拌しながら88℃に加熱した。リアクター中の空気を窒素で置換した。リアクター温度が88℃で安定したら、混合物B(30.85pbwの実施例1から得られる水性エマルジョン、32.4%固形分)をリアクター中に入れた。乳化した混合物C(81.8pbwのBA;18.2pbwのスチレン;4.53pbwのSDBSの水性溶液、9.76%濃度;および57.5pbwのDI水)およびD(18.8pbwの1−ヘキサンチオール;0.58pbwのSDBSの水性溶液、9.76%濃度;および15pbwのDI水)、および混合物E(0.11pbwの過硫酸ナトリウム;および47.4pbwのDI水)を次にリアクターに撹拌しながら330分かけて添加した。撹拌を88℃で30分間続け、その後、リアクターの内容物を室温に冷却した。得られたMPSはBI−90により測定すると0.63マイクロメートルであった。
【0107】
実施例6
膨潤性粒子の調製
混合物A(0.08pbwの炭酸ナトリウム;0.01pbwのSDBSの水性溶液、10.05%濃度;および156pbwのDI水)をリアクターに添加し、撹拌しながら88℃に加熱した。リアクター中の空気を窒素で置換した。リアクター温度が88℃で安定したら、混合物B(33.03pbwの実施例2から得られる水性エマルジョン、30.3%固形分)をリアクター中に入れた。乳化した混合物C(81.8pbwのBA;18.2pbwのスチレン;4.4pbwのSDBSの水性溶液、10.05%濃度;および57.5pbwのDI水)およびD(18.8pbwの1−ヘキサンチオール;0.56pbwのSDBSの水性溶液、10.05%濃度;および21.3pbwのDI水)、および混合物E(0.11pbwの過硫酸ナトリウム;および43.6pbwのDI水)を次にリアクターに撹拌しながら300分かけて添加した。撹拌を88℃で30分間続け、その後、リアクターの内容物を室温に冷却した。得られたMPSはBrookhaven Instruments粒子サイズ分析器BI−90により測定すると0.53マイクロメートルであった。
【0108】
実施例6R
実施例6の繰り返し
実施例4の手順を繰り返した。得られたエマルジョンは0.55マイクロメートルのMPSを有し、29.72%の固形分を有していた。
【0109】
実施例7
膨潤性粒子の調製
リアクターに混合物A(1pbwのTriton(商標) X−405;および108pbwのDI水)およびB(2.171pbwの実施例6Rにおいて製造された水性エマルジョン)を入れ、87℃に加熱した。混合物C(81.8pbwのBA、18.2pbwのスチレン、2.69pbwのSDBSの水性溶液、10.05%濃度;2.92pbwのp−ニトロソフェノール酸ナトリウムの水性溶液、12%濃度;および87pbwのDI水)、D(18.8pbwのエタノール、1.31pbwのSDBSの水性溶液、10.05%濃度;および40.7pbwのDI水)、およびE(0.9pbwの過オクタン酸t−ブチル;0.3pbwのSDBSの水性溶液、10.05%濃度;および40.7pbwのDI水)を個々に乳化させた。リアクター温度が87℃で安定したら、乳化した混合物B、C、およびDを次に別々にリアクター中に攪拌しながら300分かけて添加した。攪拌を87℃で60分間続け、その後、リアクター内容物を室温に冷却した。得られたエマルジョン粒子はBeckman Coulter粒子サイズ分析器Multisizer IIeにより測定すると3.2マイクロメートルの直径を有していた。
【0110】
実施例7R
実施例7Rの繰り返し
実施例5の手順を繰り返した。得られたエマルジョンは3.2マイクロメートルのMPSを有し、30.05重量%の固形分を有していた。
【0111】
比較例C8
比較粒子の調製
混合物A(1pbwのTriton X−405;および100pbwのDI水)およびB(2.171pbwの実施例6Rにおいて製造されたエマルジョン)をリアクターに添加し、攪拌しながら60℃に加熱した。混合物C(81.8pbwのBA、18.2pbwのスチレン、2.69pbwのSDBSの水性溶液、10.05%濃度;2.92pbwのp−ニトロソフェノール酸ナトリウムの水性溶液、12%濃度;および100pbwのDI水)を乳化させ、リアクターに添加した。攪拌を60℃で60分間続けた。混合物D(18.8pbwの1−ヘキサンチオール、1.31pbwのSDBSの水性溶液、10.05%濃度;および55pbwのDI水)を乳化させ、リアクターに添加した。撹拌を60℃で60分間続けた。混合物E(0.9pbwの過オクタン酸t−ブチル;0.3pbwのSDBSの水性溶液、10.05%濃度;および20pbwのDI水)を強力機械的ミキサーでブレンドして、均質エマルジョンを形成し、リアクターに添加した。撹拌を60℃で60分間続けた。ゆっくりとリアクターに熱を加えて、リアクター温度を87℃に徐々に上昇させた。撹拌を87℃で60分間続け、その後、リアクター内容物を室温に冷却した。得られたエマルジョン粒子は、Beckman Coulter粒子サイズ分析器Multisizer IIeにより測定すると、3.1マイクロメートルのMPSを有していた。
【0112】
実施例9
膨潤性粒子の調製
リアクターに、混合物A(2.29pbwのTriton X−405;および300pbwのDI水)およびB(17.5pbwの実施例7Rにおいて製造された水性エマルジョン)を入れ、87℃に加熱した。混合物C(130.9pbwのBA;29.07bwのスチレン;180pbwのSDBSの水性溶液、0.3%濃度;4.5pbwのp−ニトロソフェノール酸ナトリウムの水性溶液、12%濃度);D(30.08pbwの1−ヘキサンチオール;150pbwのSDBSの水性溶液、0.13%濃度);およびE(1.44pbwの過オクタン酸t−ブチル;および120pbwのSDBSの水性溶液、0.04%濃度)を個々に乳化させた。リアクター温度が87℃で安定したら、均質化した混合物B、C、およびDを次に別々にリアクター中に撹拌しながら300分かけて添加した。撹拌を87℃で60分間続け、その後、リアクター内容物を室温に冷却した。得られたエマルジョン粒子は、Coulter Counterにより測定すると10.2マイクロメートルのMPSを有していた。
【0113】
実施例10
膨潤性粒子の調製
スターラーおよび凝縮器を備え、窒素でブランケットされたリアクターに、混合物A(2.20pbwのTriton X−405;および220pbwのDI水)およびB(11pbwの実施例3により製造された懸濁液、20.0%固形分)を入れ、85℃に加熱した。混合物C(110pbwのBA;30pbwのスチレン;7.1pbwのSDBSの水性溶液、5.05%濃度;4pbwのp−ニトロソフェノール酸ナトリウムの水性溶液、12%濃度;120pbwのDI水;および1.44pbwの過オクタン酸t−ブチル)、およびD(24pbwの1−ヘキサンチオール;3.45pbwのSDBSの水性溶液、5.05%濃度;130pbwのDI水)を個々に乳化させた。リアクター温度が85℃で安定化したら、均質化した混合物CおよびDを次に、独立したポンプを使用してリアクター中に6時間かけて次の供給特性で別々に添加した。最初の1時間、5重量%の混合物Cおよび混合物Dのそれぞれを一定速度で添加し、続いて8%のそれぞれを2番目の1時間に添加し、12%のそれぞれを3番目の1時間で添加し;20%のそれぞれを4番目の1時間で添加し;25%のそれぞれを5番目の1時間で添加し;残り(すなわち30%)のそれぞれを6番目の1時間で添加した。
【0114】
供給後、温度を85℃でさらに2時間維持し、次いで室温に冷却した。得られた粒子は、Coulter Counterにより測定すると6.9マイクロメートルのMPSを有していた。
【0115】
実施例11
膨潤性粒子の調製
スターラーおよび凝縮器を備え、窒素でブランケットされたリアクターに、混合物A(2.2pbwのTriton X−405;140pbwのDI水;および40pbwのヒドロキシプロピルメチルセルロースの水性溶液、0.8%濃度)およびB(実施例10において製造された水性溶液)を入れ、30分かけて84℃に加熱した。混合物C(110pbwのBA;30pbwのスチレン;7.1pbwのSDBSの水性溶液、5.05%濃度;4pbwのp−ニトロソフェノール酸ナトリウムの水性溶液、12%濃度;130pbwのDI水;および1.5pbwの過オクタン酸t−ブチル)およびD(24pbwの1−ヘキサンチオール;3.45pbwのSDBSの水性溶液、5.05%濃度;145pbwのDI水)を個々に乳化させた。リアクター温度が84℃で安定化したら、均質化した混合物CおよびDを次に、実施例10において使用された同じ供給特性で6時間にわたってリアクター中に添加した。供給後、温度を84℃でさらに2時間維持し、リアクターを次いで室温に冷却した。得られた粒子の分散物は、Coulter Counterにより測定すると22マイクロメートルのMPSを有し、20%の固形分を有していた。
【0116】
実施例12
膨潤性粒子の調製
反応釜に、2.29gのTriton X−405、300gのDI水、および23.75gの実施例6において製造されたエマルジョンを入れた。反応釜を45分かけて87℃に加熱した。以下の調製手順を次に行った:第一のボトル中、29.07gのスチレン、130.93gのBA、および180gのSDBS水性溶液(0.3%濃度)の混合物を乳化することによりモノマーエマルジョンを調製した。第二のボトル中、150gのSDBSの水性溶液(0.13%濃度)中30.08gの1−ヘキサンチオールを12000回転/分(すなわち、12krpm)で3分間乳化させた。第三のボトル中、120gのSDBS水性溶液(0.04%濃度)中1.44gの過オクタン酸t−ブチルを3分間11krpmで乳化させた。3つのエマルジョンを次に別々かつ同時に前記反応釜中に300分かけて一定速度で供給した。供給後、反応釜を85℃で1時間保持した。
【0117】
得られた膨潤性粒子を以下に記載する実施例26において使用した。実施例26において使用される物質の量および実施例26において得られた粒子サイズに基づいて、標準法を用いて、実施例12において製造された粒子のMPSは1マイクロメートルであると計算された。
【0118】
実施例13
膨潤性粒子の調製
反応釜に、2.29gのTriton X−405、300gのDI水、および2.9gの実施例6において製造されたエマルジョンを入れた。実施例12において記載された調製手順を次に行った。得られた膨潤性粒子は、Coulter Counterにより測定すると2マイクロメートルのMPSを有していた。
【0119】
実施例14
膨潤性粒子の調製
反応釜に、2.29gのTriton X−405、300gのDI水、および1.48gの実施例5において製造されたエマルジョンを入れた。実施例SP1において記載された調製手順を次に行った。得られた膨潤性粒子は、Coulter Counterにより測定すると3マイクロメートルのMPSを有していた。
【0120】
実施例15
膨潤性粒子の調製
反応釜に、50gのMetolose(商標) 400 90SH水性溶液(0.5%濃度)、2.29gのTriton X−405、250gのDI水、および5.23gの実施例7において製造されたエマルジョンを入れた。実施例12において記載された調製手順を次に行った。得られた膨潤性粒子は、Coulter Counterにより測定すると20マイクロメートルのMPSを有していた。
【0121】
実施例16
膨潤性粒子の調製
リアクターに、混合物A(2.29pbwのTriton X−405;および300pbwのDI水)およびB(17.5pbwの実施例4において製造された水性エマルジョン)を入れ、87℃に加熱した。混合物C(130.9pbwのBA;29.07pbwのスチレン;180pbwのSDBSの水性溶液、0.3%濃度;4.5pbwのp−ニトロソフェノール酸ナトリウムの水性溶液、12%濃度)、D(30.08pbwの1−ヘキサンチチオール;150pbwのSDBSの水性溶液、0.13%濃度)、およびE(1.44pbwの過オクタン酸t−ブチル;および120pbwのSDBSの水性溶液、0.04%濃度)を個々に乳化させた。リアクター温度が87℃で安定したら、乳化した混合物C、D、およびEを次に別々にリアクター中に撹拌しながら300分かけて添加した。撹拌を87℃で60分間続け、その後、リアクター内容物を室温に冷却した。得られたエマルジョン粒子は、Coulter Counterにより測定すると12.1マイクロメートルのMPSを有していた。
【0122】
実施例17
ポリマー樹脂の調製
混合物A(9.244pbwの実施例7において製造された水性エマルジョン;0.19pbwnSDOSSの水性溶液、4.12%濃度;100pbwのポリ(ビニルアルコール)の水性溶液、5%濃度;および333pbwのDI水)を耐圧瓶中に添加した。混合物B(100pbwのDVB;19.22pbwのSDOSSの水性溶液、4.12%濃度;18.05pbwのメチルベータ−シクロデキストリンの水性溶液、50.8%濃度;および66.7pbwのDI水)を乳化させ、瓶に添加した。瓶中の空気を窒素で置換した後、瓶にキャップをし、60℃のシェーカー浴中に入れた。シェーカー速度を84ストローク/分に維持し、振盪を120分間続けた。混合物C(1pbwの過オクタン酸t−ブチル;0.58pbwのSDOSSの水性溶液、4.12%濃度;0.044pbwの亜硝酸ナトリウム;および16.7pbwのDI水)を乳化させ、瓶中に注入した。瓶を60℃のシェーカー浴中で60分間、次に88℃で120分間振盪し、その後、瓶の内容物を室温に冷却した。
【0123】
実施例18
ポリマー樹脂の調製
混合物A(4.687pbwの実施例7において製造された水性エマルジョン;0.19pbwのSDOSSの水性溶液、4.12%濃度;100pbwのポリ(ビニルアルコール)の水性溶液、5%濃度;および333pbwのDI水)を耐圧瓶に添加した。実施例17の成分および手順を用いて、混合物BおよびCを調製し、乳化させ、使用した。
【0124】
実施例19
ポリマー樹脂の調製
混合物A(2.684pbwの実施例7において製造された水性エマルジョン;0.19pbwのSDOSSの水性溶液、4.12%濃度;100pbwのポリ(ビニルアルコール)の水性溶液、5%濃度;および333pbwのDI水)を耐圧瓶に添加した。実施例17の成分および手順を用いて、混合物BおよびCを調製し、乳化させ、使用した。
【0125】
比較例C20
比較ポリマー樹脂の調製
混合物A(9.222pbwの比較例C8において製造された水性エマルジョン;0.19pbwのSDOSSの水性溶液、4.12%濃度;100pbwのポリ(ビニルアルコール)の水性溶液、5%濃度;および333pbwのDI水)を耐圧瓶に添加した。実施例17の成分および手順を用いて、混合物BおよびCを調製し、乳化させ、使用した。
【0126】
比較例C21
比較ポリマー樹脂の調製
混合物A(4.676pbwの比較例C8において製造された水性エマルジョン;0.19pbwのSDOSSの水性溶液、4.12%濃度;100pbwのポリ(ビニルアルコール)の水性溶液、5%濃度;および333pbwのDI水)を耐圧瓶に添加した。実施例17の成分および手順を用いて、混合物BおよびCを調製し、乳化させ、使用した。
【0127】
比較例C22
比較ポリマー樹脂の調製
混合物A(2.677pbwの比較例C8において製造された水性エマルジョン;0.19pbwのSDOSSの水性溶液、4.12%濃度;100pbwのポリ(ビニルアルコール)の水性溶液、5%濃度;および333pbwのDI水)を耐圧瓶に添加した。実施例17の成分および手順を用いて、混合物BおよびCを調製し、乳化させ、使用した。
【0128】
実施例23
ポリマー樹脂の調製
リアクターに、混合物A(60pbwのヒドロキシプロピルメチルセルロースの水性溶液、0.8%濃度;2pbwのTriton X−405;20pbwのDI水;20pbwの実施例11において製造された水性エマルジョン)を入れた。リアクターを15分にわたって60℃に加熱した。混合物B(69pbwのDVB;37.5pbwのキシレン;37.5pbwのメチルイソブチルカルビトール(MIBC);70pbwのSDOSSの水性溶液;1%濃度;20pbwのDI水)およびC(1pbwの過オクタン酸t−ブチル;2.5pbwのp−ニトロソフェノール酸ナトリウムの水性溶液;6pbwのSDOSSの水性溶液;1%濃度)を個々に乳化させた。混合物Bエマルジョンをリアクター中に入れ、リアクターを60℃で2時間保持した。混合物Cエマルジョンおよび混合物D(20pbwのヒドロキシプロピルメチルセルロースの水性溶液、0.8%濃度)をリアクター中に入れ、これを次に45分間60℃で保持した。リアクターを30分かけて70℃に加熱し、1時間保持した。リアクターを80℃に加熱し、12時間保持した。リアクターを室温に冷却した後、白色マイクロビーズを濾過により単離した。固体粒子を次に水、アセトンおよび水で洗浄し、オーブン中60℃で乾燥した。走査電子顕微鏡法(SEM)により測定して、70マイクロメートルのMPSを有する不透明マイクロビーズを得た。このマイクロビーズは多孔質であり;光学的に不透明であり、多孔性はSEMにより観察した。
【0129】
実施例24
ポリマー樹脂の調製
反応釜に、73gの水、6.3gの実施例10の膨潤性粒子の分散物(18%固形分)、7.7gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)、および25gのMetolose 400 90SH(1%濃度)の水性溶液を添加した。撹拌を60RPMで開始した。1gの過オクタン酸tert−ブチル、13gのTriton X−405の水性溶液(1%濃度)、および10.4gのジエチルフタレートを組み合わせ、この混合物を11krpmで1分間乳化させることにより開始剤エマルジョンを調製した。開始剤エマルジョンを反応釜に添加し、混合物を20分間平衡化させた。20分後、225gのMetolose 400 90SHの水性溶液(1%濃度)を添加した。33.6gのGMA、22.4gのEGDMA、93.6gのジエチルフタレート(ポロゲン)、および70gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)を組み合わせ、この混合物を11kprmで2分間乳化させることによりモノマーエマルジョンを調製した。モノマーエマルジョンを反応釜に添加し、混合ジャーを60gの水でリンスし、これを反応釜に添加した。反応釜を15分にわたって40℃に加熱し、この温度で2時間保持した。この時点で、反応釜を45分にわたって70℃に加熱し、1時間保持した。次に、反応釜を30分にわたって80℃に加熱し、この温度で12時間保持した。最後に、反応釜を室温に冷却した。樹脂を濾過により単離し、水、アセトン、メタノール、および再度水で洗浄することによりポロゲンを除去した。樹脂を20%水性エタノール溶液中で保存した。樹脂は光学顕微鏡法により測定すると32マイクロメートルの平均粒子サイズを有していた。
【0130】
実施例25
60マイクロメートルGMA/EGDMAポリマー樹脂の調製
反応釜に、73gの水、6.3gの実施例16の膨潤性粒子の分散物(18%固形分)、7.7gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)、および25gのMetolose 400 90SHの水性溶液(1%濃度)を添加した。実施例24の手順に従った。得られた樹脂は、光学顕微鏡法により測定すると57マイクロメートルの平均粒子サイズを有していた。
【0131】
実施例26
10マイクロメートルSTY/DVBポリマー樹脂の調製
反応釜に、88.3gの水、10.9gの実施例14において製造された膨潤性粒子の分散物(30%固形分)、5gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)、および25gのMetolose 400 90SHの水性溶液(1%濃度)を添加した。攪拌機を80RPMで起動した。0.8gの過オクタン酸tert−ブチル、10.9gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)、および5.2gの4−メチル−2−ペンタノールを組み合わせ、この混合物を11krpmで1分間乳化させることにより開始剤エマルジョンを調製した。開始剤エマルジョンを反応釜に添加し、混合物を20分間平衡化させた。20分後、225gのMetolose 400 90SHの水性溶液(1%濃度)を添加した。58.1gのスチレン、19.4gのDVB、46.5gの4−メチル−2−ペンタノール、および86.6gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)を組み合わせ、この混合物を11kprmで2分間乳化させることによりモノマーエマルジョンを調製した。モノマーエマルジョンを反応釜に添加し、混合ジャーを60gの水でリンスし、これを反応釜に添加した。反応釜を15分にわたって40℃に加熱し、この温度で2時間保持した。この時点で、反応釜を45分にわたって70℃に加熱し、12時間保持した。次に、反応釜を30分にわたって80℃に加熱し、この温度で4時間保持した。反応釜を室温に冷却した。12.5gのDeerland Cellulase4000(商標)酵素の52.3gの水中溶液を添加し、混合物を30分にわたって50℃に加熱し、この温度で5時間保持した。反応釜を次に室温に冷却した。樹脂を濾過により単離し、水、アセトン、メタノールで洗浄することによりポロゲンを除去した。樹脂を真空中で乾燥した。樹脂は光学顕微鏡法により測定すると10マイクロメートルのMPSを有していた。
【0132】
実施例27
ポリマー樹脂の調製
反応釜に、73gの水、6.3gの実施例10の膨潤性粒子(7μm)の分散物(18%固形分)、7.7gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)、および25gのMetolose 400 90SHの水性溶液(1%濃度)を添加した。攪拌機を60RPMで起動した。1gの過オクタン酸tert−ブチル、13gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)、および8gのシクロヘキサノールおよび乳化剤を組み合わせ、この混合物を11krpmで1分間乳化させることにより開始剤エマルジョンを調製した。開始剤エマルジョンを反応釜に添加し、混合物を20分間平衡化させた。20分後、225gのMetolose 400 90SHの水性溶液(1%濃度)を添加した。48gの酢酸ビニル、32gのトリアリルイソシアヌレート、72gのシクロヘキサノール、および70gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)を組み合わせ、この混合物を11kprmで2分間乳化させることによりモノマーエマルジョンを調製した。モノマーエマルジョンを反応釜に添加し、混合ジャーを60gの水でリンスし、これを反応釜に添加した。反応釜を15分にわたって40℃に加熱し、この温度で1時間保持した。この時点で、反応釜を45分にわたって70℃に加熱し、1時間保持した。次に、反応釜を30分にわたって80℃に加熱し、この温度で12時間保持した。最後に、反応釜を室温に冷却した。樹脂を濾過により単離し、水、アセトン、メタノール、および再度水で洗浄することによりポロゲンを除去した。樹脂を20%水性エタノール溶液中で保存した。樹脂は光学顕微鏡法により測定すると30マイクロメートルの平均粒子サイズを有していた。
【0133】
実施例28
3マイクロメートルGMA/EGDMAポリマー樹脂の調製
反応釜に、73gの水、8.7gの実施例5の膨潤性粒子(0.63μm)の分散物(30%固形分)、7.7gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)、および25gのMetolose 400 90SHの水性溶液(1%濃度)を添加した。攪拌機を60RPMで起動した。1.6gの過オクタン酸tert−ブチルおよび13gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)を組み合わせることにより開始剤エマルジョンを調製した。開始剤エマルジョンを反応釜に添加し、混合物を20分間平衡化させた。20分後、225gのMetolose 400 90SHの水性溶液(1%濃度)を添加した。96gのGMA、64gのEGDMA、および70gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)を組み合わせ、混合物を11krpmで2分間乳化させることにより、モノマーエマルジョンを調製した。モノマーエマルジョンを反応釜に添加し、混合ジャーを60gの水でリンスし、これを反応釜に添加した。反応釜を15分にわたって40℃に加熱し、この温度で2時間保持した。この時点で、反応釜を45分にわたって70℃に加熱し、1時間保持した。次に、反応釜を30分にわたって80℃に加熱し、この温度で12時間保持した。最後に、反応釜を室温に冷却した。樹脂を濾過により単離し、樹脂を水、アセトン、メタノール、および再度水で洗浄した。樹脂を20%水性エタノール溶液中で保存した。樹脂は光学顕微鏡法により測定すると3マイクロメートルの平均粒子サイズを有していた。
【0134】
実施例29
強カチオン交換樹脂の調製
実施例24のポリマー樹脂を真空乾燥した。反応釜に、100gの真空乾燥された樹脂、270gのナトリウムジチオナイト、および700gのDI水を添加した。混合物を撹拌しながら懸濁させ、混合物を16時間80℃に加熱した。反応釜を室温に冷却した。樹脂を濾過により単離し、水、メタノール、そして再度水で洗浄することにより、過剰の塩を除去した。樹脂を20%水性エタノール溶液中で保存した。
【0135】
動的インシュリン容量を次のようにして試験した。1.25gのインシュリンを250gの溶媒(溶媒の重量基準で、60重量%水、0.1重量%トリフルオロ酢酸、および40重量%エタノール)中に溶解させた。この実施例の官能化樹脂の粒子で充填されたカラムを使用して、約2ml/分で、UV検出器を280nmに設定された、HP1100高性能液体クロマトグラフィーシステムにインシュリン溶液を通した。破過曲線を作成し、標準的クロマトグラフィー技術により分析し、1%破過での容量を記録する。
【0136】
この物質の動的インシュリン容量は、1%破過で130mg/mLであることが示された。
【0137】
実施例30
強カチオン交換樹脂の調製
実施例24のポリマー樹脂を真空乾燥した。反応釜に、100gの真空乾燥された樹脂、160gの亜硫酸ナトリウム、および700gのDI水を添加した。混合物を撹拌しながら懸濁させ、混合物を16時間80℃に加熱した。反応釜を室温に冷却した。樹脂を濾過により単離し、水、メタノール、そして再度水で洗浄することにより、過剰の塩を除去した。樹脂を20%水性エタノール溶液中で保存した。この物質の動的インシュリン容量(実施例29と同じ方法により測定)は1%破過で140mg/mLであった。
【0138】
実施例31
強アニオン交換樹脂の調製
実施例24のポリマー樹脂を真空乾燥した。反応釜に、100gのこの真空乾燥された樹脂、250gのトリメチルアンモニウムクロリドおよび250gの水を添加した。混合物を撹拌しながら懸濁させ、混合物を16時間80℃に加熱した。反応釜を室温に冷却した。樹脂を濾過により単離し、水、メタノール、そして再度水で洗浄することにより、過剰の塩を除去した。樹脂を20%水性エタノール溶液中で保存した。この物質の動的ウシ血清アルブミン(BSA)容量(実施例29の方法を用い、インシュリンの代わりにウシ血清アルブミンを使用して測定)は、1%破過で90mg/mLであることが示された。
【0139】
実施例32
コポリマー樹脂の加水分解
実施例27のポリマー樹脂を真空乾燥した。反応釜に、47.6gのこの真空乾燥された樹脂および250gの3%(w/w)NaOH水性溶液を添加した。混合物を室温で20時間撹拌した。樹脂を濾過により単離し、洗浄液が中性pHになるまで水で洗浄することにより過剰の塩を除去した。樹脂を20%水性エタノール中で保存した。
【0140】
実施例33
弱アニオン交換樹脂の調製
実施例28のポリマー樹脂を真空乾燥した。反応釜に、100gのこの真空乾燥された樹脂、286.6gのジエチルアミン塩酸塩、および250gの水を添加した。混合物を撹拌しながら懸濁させ、混合物を16時間80℃に加熱した。反応釜を室温に冷却した。樹脂を濾過により単離し、水、メタノール、そして再度水で洗浄することにより、過剰の塩を除去した。樹脂を20%水性エタノール溶液中で保存した。
【0141】
実施例34
粒子サイズ分布の試験結果
約15グラムの実施例7〜12のそれぞれから得たエマルジョンサンプルをガラス試験管中に秤取した。エマルジョンサンプルを含有するガラス試験管を、2に設定されたInternational Equipment Company(IEC)臨床用遠心分離器で室温で10分間スピンさせた。上清中に懸濁されたままである小粒子を、沈降させた粒子の主集団から分離した。各サンプル中の小粒子の量を次に重量法により測定し、懸濁された粒子の重量の、ポリマー樹脂の合計乾燥重量に対する比(%)として記録した。結果は以下の表の通りである。
【0142】
【表1】

【0143】
実施例17では、匹敵するカウンターパート(比較例C20)よりも懸濁された(すなわち、小さいサイズの)粒子は少なかった。同様に、実施例18では、匹敵する比較例C21よりも懸濁された粒子は少なく;実施例19では、匹敵する比較例C12よりも懸濁された粒子は少なかった。実施例17、18、および19は、実施例7の膨潤性粒子を用いて調製されるが、カウンターパートは比較例C8の粒子を用いて調製されたので、実施例17、18および19は、その比較カウンターパートよりも小さいサイズの粒子は少ない。従って、実施例7も比較例C8よりも少ない小さなサイズの粒子を含有すると結論づけられる。
【0144】
実施例35
官能化樹脂の容量および回収率
4種の商業的に入手可能な樹脂:Source(商標) 30S(GE Healthcareから入手);Macroprep(商標) 25S(Bio−Radから入手);Toyopearl(商標) SP−650S(Tosoh Biosciencesから入手);およびPrepEx(商標) SP(Mitsubishiから入手)を試験した。1%容量および合計容量はどちらも、前記実施例29において記載された方法を用いて、3種の試験物質(インシュリン、リソザイム、およびヘモグロビン)について測定された。各容量測定後、カラムから試験物質を除去するために溶媒を変え、回収率(使用した試験物質の重量(%)として)を測定した。
【0145】
試験条件は次の通りであった。溶媒pHは必要に応じて、表示されたpHになるようにHClまたはNaOHで調節した。サンプルを低い塩レベルおよび高い塩レベルで試験した。低い塩レベル試験において、存在する塩は様々な成分により試験中に持ち込まれる比較的少ない量であった。高い塩レベル試験において、塩化ナトリウムの濃度は200mMであった。
【0146】
【表2】

【0147】
1%容量についての結果:
【0148】
【表3】

【0149】
合計容量についての結果:
【0150】
【表4】

【0151】
回収率結果
【0152】
【表5】

【0153】
実施例の樹脂の1%容量および合計容量は、商業的に入手可能な樹脂よりも優れている。実施例の樹脂の回収率は、有用であるために十分高く、各試験物質について、商業的に入手可能な樹脂の少なくとも1つの回収率と少なくとも同程度の高さである。
【0154】
実施例36
STY/DVBポリマー樹脂の調製
反応釜に、88.3gの水、6.0gの実施例14において製造された膨潤性粒子の分散物(30%固形分)、5gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)、および25gのMetolose 400 90SHの水性溶液(1%濃度)を添加した。攪拌機を80RPMで開始した。0.8gの過オクタン酸tert−ブチル、10.9gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)、および5.2gの4−メチル−2−ペンタノールを組み合わせ、この混合物を11kHzで1分間乳化させることにより、開始剤エマルジョンを調製した。開始剤エマルジョンを反応釜に添加し、混合物を20分間平衡化させた。20分後、225gのMetolose 400 90SHの水性溶液(1%濃度)を添加した。58.1gのスチレン、19.4gのDVB、46.5gの4−メチル−2−ペンタノール、および86.6gのSDOSSの水性溶液(1%濃度)を組み合わせ、この混合物を11kHzで2分間乳化させることにより、モノマーエマルジョンを調製した。モノマーエマルジョンを反応釜に添加し、混合ジャーを60gの水でリンスし、これを反応釜に添加した。反応釜を15分にわたって40℃に加熱し、この温度で2時間保持した。この時点で、反応釜を45分にわたって70℃に加熱し、12時間保持した。次に、反応釜を30分にわたって80℃に加熱し、この温度で4時間保持した。反応釜を室温に冷却した。12.5gのDeerland Cellulase4000(商標)酵素の52.3gの水中溶液を添加し、混合物を30分にわたって50℃に加熱し、この温度で5時間保持した。反応釜を次に室温に冷却した。樹脂を濾過により単離し、水、アセトン、メタノールで洗浄することによりポロゲンを除去した。樹脂を真空中で乾燥した。樹脂は光学顕微鏡法により測定すると12マイクロメートルのMPSを有していた。
【0155】
実施例37
カチオン交換樹脂の調製
次の手順を使用して、イオン交換樹脂を製造した:
実施例36のポリマー樹脂を真空乾燥した。反応釜に、1000gの96%硫酸および25gのこの乾燥樹脂を撹拌しながら添加した。混合物を4時間130℃に加熱した。混合物を60℃に冷却し、続いて希釈された酸溶液を添加し、その後、温度を110℃より低く維持しながら、残存する酸の合計量が5%未満になるまで希釈された酸溶液を除去した。樹脂を次に水で2回(各回、500mLの脱イオン水)で洗浄した。
【0156】
実施例38
疎水性相互作用クロマトグラフィー用樹脂の調製
次の手順を使用して、疎水性相互作用樹脂を調製できた:
実施例28のポリマー樹脂を真空乾燥する。反応釜に、この真空乾燥された樹脂、n−ブタン−1−オールおよび触媒酸を添加する。混合物を撹拌しながら懸濁させ、混合物を16時間80℃に加熱する。反応釜を室温に冷却する。樹脂を濾過により単離し、水、メタノール、そして再度水で洗浄することにより過剰のブタノールを除去する。樹脂を20%水性エタノール溶液中で保存する。
【0157】
実施例39
不動化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)樹脂の調製
次の手順を使用して、IMAC樹脂を調製できた:
実施例28のポリマー樹脂を真空乾燥する。反応釜に、この真空乾燥された樹脂、イミノ二酢酸ナトリウムおよび0.1N炭酸ナトリウムを添加する。混合物を撹拌しながら懸濁させ、混合物を16時間80℃に加熱する。反応釜を室温に冷却する。樹脂を濾過により単離し、水、メタノール、そして再度水で洗浄することにより過剰の塩を除去する。樹脂を20%水性エタノール溶液中で保存する。
【0158】
実施例40
タンパク質アフィニティー樹脂の調製
次の手順を使用して、タンパク質アフィニティー樹脂を調製できた:
実施例28のポリマー樹脂を真空乾燥する。反応釜に、この真空乾燥された樹脂、プロテインAおよび緩衝剤を添加する。混合物を撹拌しながら懸濁させ、混合物を室温で72時間インキュベートする。樹脂を濾過により単離し、緩衝剤および水で樹脂を洗浄する。樹脂を20%水性エタノール溶液中で保存する。
【0159】
実施例41
メルカプトエチルピリジン(MEP)アフィニティー樹脂の調製
次の手順を使用して、MEPアフィニティー樹脂を調製できた:
実施例28のポリマー樹脂を真空乾燥する。反応釜に、この真空乾燥された樹脂、メルカプトエチルピリジンおよび触媒酸または塩基を添加する。混合物を撹拌しながら懸濁させ、混合物を80℃に16時間加熱する。反応釜を室温に冷却する。樹脂を濾過により単離し、水、メタノール、そして再度水で洗浄することにより過剰のメルカプタンを除去する。樹脂を20%水性エタノール溶液中で保存する。
【0160】
実施例42
官能化樹脂の剛性
各樹脂をスラリーとしてカラムに添加した。カラムの内径(ID)は2.5cmまたは9cmであった。安定床が形成されるまで樹脂を沈殿させた。溶液を樹脂床を通してポンプで供給しつつ、カラムの入口から出口までの圧力降下を測定した。
【0161】
試験結果を、NV=LV*L*η/(4*dp)(式中、LVは線速度であり、Lは樹脂床高さであり、ηは粘度であり、dpは樹脂粒子直径である)として定義される標準化速度(NV)の関数としての圧力降下(ΔP)として記録する。
【0162】
第一の対照サンプル(C1)はToyopearl SP650Sであった(カラムIDは2.5cmであり、溶媒は水であり、Lは15cmであり、ηは1.0mPa*sであり、dpは35マイクロメートルであった)。第二の対照サンプル(C2)はSP Sepharose HP(GE Healthcareから入手)であった(カラム内径は2.5cmであり、溶媒は水であり、Lは15cmであり、ηは1.0Pa*sであり、dpは34マイクロメートルであった)。実施例30からの樹脂も試験した(カラムIDは9.0cmであり、溶媒は水であり、Lは8cmであり、ηは1.8mPa*sであり、dpは30マイクロメートルであった)。
【0163】
【表6】

【0164】
対照サンプルと異なり、実施例30は、ΔP値が1.5であり、標準化速度以下では1.1を超え、従って実施例30の剛性は優れていることが示された。
【0165】
実施例43
インシュリンの精製
長さ25cm×内径1.1cmの液体クロマトグラフィーカラムに、典型的な方法を用いて、実施例30の官能化ポリマー樹脂を充填した。カラムを液体クロマトグラフィーシステム中に配置し、1mLの官能化ポリマー樹脂あたり18mgの粗ヒトインシュリンの濃度を、0.83mL/分の流量で、50mM酢酸および0.1Mの塩化ナトリウム含有40%エタノールの水性混合物(pH3.7)を用いてロードした。初期緩衝液から50mM酢酸および0.42M塩化ナトリウム含有40%エタノール最終水性混合物(pH3.7)までの線形勾配を適用することにより、精製されたインシュリンを溶出させた。粗インシュリンの初期および最終純度は、HPLCにより測定すると、それぞれ66%および72%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨潤性粒子を製造する方法であって、初期粒子、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の油溶性開始剤、および少なくとも1種の連鎖移動剤を混合することを含み、前記モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件下で前記混合が行われ、前記初期粒子が有機化合物を含み、前記連鎖移動剤がハロメタン、ジスルフィド、チオール、金属錯体およびこれらの混合物からなる群から選択され、前記チオールがアリールチオール、アルキルチオール、アルキルジチオール、メルカプトアルカノール、チオアルキルカルボン酸のアルキルエステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される方法。
【請求項2】
前記初期粒子がポリマーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記膨潤性粒子の平均粒子直径が、前記初期粒子の平均粒子直径よりも、1.5倍以上大きい、請求項1記載の方法。
【請求項4】
膨潤性粒子を製造する方法であって、初期粒子、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の油溶性開始剤、および少なくとも1種の連鎖移動剤を混合することを含み、前記モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件下で前記混合が行われ、前記連鎖移動剤の量が、前記モノマーの合計重量基準で、2重量%以上である方法。
【請求項5】
膨潤性粒子を製造する方法であって、初期粒子、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の油溶性開始剤、および少なくとも1種の連鎖移動剤を混合することを含み、前記モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件下で前記混合が行われ、前記モノマーがビニル芳香族モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、置換アルキル(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される方法。
【請求項6】
前記モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件を確立する前に、前記連鎖移動剤が前記初期粒子と混合されない請求項1、請求項4又は請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件を確立する前に、前記開始剤が前記初期粒子と混合されない請求項1、請求項4又は請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記モノマーがオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件を確立する前に、前記モノマー、前記連鎖移動剤、および前記開始剤が前記初期粒子と混合されない請求項1、請求項4又は請求項5記載の方法。
【請求項9】
請求項1、請求項4又は請求項5記載の方法により得られる膨潤性粒子であって、オリゴマーもしくは10000未満の数平均分子量を有するポリマーまたはその混合物を含有する膨潤性粒子。
【請求項10】
2次膨潤性粒子を製造する方法であって、該方法は、
(a)膨潤性初期粒子、
(b)少なくとも1種のモノマー
(c)少なくとも1種の油溶性開始剤、および
(d)少なくとも1種の連鎖移動剤
を混合することを含み、
前記モノマー(b)がオリゴマーまたはポリマーまたはその混合物を形成できる条件下で、前記(a)、(b)、(c)および(d)の混合が行われ、かつ
ここにおいて前記膨潤性初期粒子は、請求項1、請求項4又は請求項5に記載される方法により製造される、2次膨潤性粒子を製造する方法。
【請求項11】
前記膨潤性初期粒子がオリゴマーもしくは10000未満の数平均分子量を有するポリマーまたはその混合物を含有する、請求項10記載の方法により得られる2次膨潤性粒子。
【請求項12】
ポリマー樹脂粒子を製造する方法であって、少なくとも1種の後続モノマーを膨潤性粒子と混合し、および前記後続モノマーを重合させることを含み、前記膨潤性粒子が、請求項1、請求項4又は請求項5に記載される方法により製造される方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法により製造されるポリマー樹脂粒子。
【請求項14】
ポリマー樹脂粒子を少なくとも1種の試薬と反応させて、1以上の官能基を前記ポリマー樹脂粒子と化学的に結合させるか、または前記ポリマー樹脂粒子上の化学基を官能基に変換するか、またはその組み合わせを含む方法により製造される官能化ポリマー樹脂粒子であって、前記ポリマー樹脂が、少なくとも1種の後続モノマーを膨潤性粒子と混合し、および前記後続モノマーを重合させることを含むプロセスによって製造され、前記膨潤性粒子が請求項1、請求項4又は請求項5に記載される方法よって製造される、官能化ポリマー樹脂粒子。
【請求項15】
混合された生体分子の水性溶液を精製する方法であって、前記水性溶液を請求項14記載のポリマー樹脂粒子と接触させることを含む方法。
【請求項16】
前記膨潤性粒子が0.5マイクロメートル以上の平均粒子直径を有する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記モノマーが、ビニル芳香族モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、置換アルキル(メタ)アクリレートおよびその混合物からなる群から選択されるモノマーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記連鎖移動剤が、ベンゼンチオール、ドデシルメルカプタン、ヘキサンチオール、ブタンチオール、ブチル3−メルカプトプロピオネート、エチル3−メルカプトプロピオネート、ブチルメルカプトアセテート、1,6−ヘキサンジチオール、4−メルカプト−2−ブタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、2−メルカプト−エタノール、クロロホルム、テトラブロモメタン、テトラクロロメタン、ブロモトリクロロメタン、ジエチルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の方法。

【公開番号】特開2011−190463(P2011−190463A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−138573(P2011−138573)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2006−250612(P2006−250612)の分割
【原出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】