説明

臨床判断サポートを可能にする方法、コンピュータプログラム製品およびシステム

複数の検査対象バイオマーカーに関する検査結果に基づく臨床判断サポートを可能にする方法。本方法は、データ削減モジュール(15)によって実行され、検査用機構(11)から検査結果を受け取るステップと、利用可能バイオマーカーが宿主に関連づけられた事前定義構造にアクセスするステップであって、少なくとも1つの宿主が複数のバイオマーカーに関連づけられたステップと、検査対象バイオマーカーを構造にマップすることによって宿主セットを識別するステップと、宿主にマップされた検査対象バイオマーカー(1つまたは複数)の検査結果に基づいて、前記宿主セット中の各宿主に宿主値を割り当てるステップと、宿主セットおよび割り当てられた宿主値を示す入力データを、臨床判断サポート(12)を生じるコンピュータベースの決定エンジン(13)への入力用に与えるステップとを含む。データ削減モジュール(15)は、システムに含まれ、PCやウェブサーバなどのデータ処理装置上で稼働するコンピュータ実行可能命令によって実装することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病気診断の分野に関し、詳細には、患者の中の複数のバイオマーカー、通常は血液中の免疫グロブリンレベルに関する複数の検査を用いる、アレルギーおよび/または自己免疫疾患の診断に関する。特に、本発明は、このような診断を向上させるコンピュータ化ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
病気の正確な診断は、常にヘルスケアにおける基本の1つである。診断を行うプロセスは、症状ベース、患者の病歴ベースおよび検査ベースの診断のような、多くの形をとり得る。検査ベースの診断では、体液中のバイオマーカーの測定レベル(たとえば、血液中のIgEはアレルギーを示し、尿中の糖は糖尿病を示す)が、患者の病気を指摘するのに使われる。さらに、医者は、基礎疾患を正確に述べるために、症状ベースおよび検査ベースの診断を組み合わせる傾向がある。
【0003】
近年では、分子バイオマーカーに関する検査の実行可能性がかなり増している。一群の検査が実施され、これらの結果が患者の病歴と組み合わされて、診断の基礎を形成することが、今や一般的である。検査の数がおよそ10未満である限り、平均的な医者にとっては、「自分の頭の中で」扱うことが許容可能である。しかし、医者が20〜100の個々の検査結果に基づいて決定を行わなければならない場合、誤解釈および混乱の危険性が甚だしく増す。
【0004】
医者によって行われる決定を向上させ、または行われる誤解釈および誤りの数を減らすために、臨床判断サポートシステム(CDSS)が開発され、診断または治療の療法プロセスに関する臨床判断実行を向上させるように設計されている。CDSSは、薬剤の選択(たとえば、Evansらによる「A computer−assisted management program for antibiotics and other antiinfective agents(抗生物質および他の抗感染剤用のコンピュータ支援管理プログラム)」N Engl J Med.1998;338:232〜238を参照)および潜伏結核感染に関するスクリーニング(たとえば、Steeleらによる「Using computerized clinical decision support for latent tuberculosis infection screening(潜伏結核感染スクリーニングのためのコンピュータ化された臨床判断サポートの利用)」Am J Prev Med.2005;28(3):281〜4を参照)など、多くの分野の活動に対処する。さらに、画像解釈のための異なるサポートツールがある(たとえば、Harpoleらによる「Automated evidence−based critiquing of orders for abdominal radiographs: impact on utilization and appropriateness(腹部X線命令の根拠に基づく自動批評:使用および適切性に対する影響)」J Am Med Inform Assoc.1997;4:511〜521、および米国特許出願公開第2005/0102315号を参照)。
【0005】
ほとんどのCDSSは、たとえば、参照によって本明細書に組み込まれている、Mendoncaによる「Clinical decision support systems:perspectives in dentistry(臨床判断サポートシステム:歯科学における視点)」J Dent Educ.2004 Jun;68(6):589〜97に記載されているように、ほぼ同じ構造をもつ。典型的なCDSSには、患者データを含む作業メモリ(しばしば、データベースと呼ばれる)、カテゴリ分類された知識ベース(たとえば、検査結果が与えられた場合の病気の確率を含む)を使う決定(または推論)エンジンがある。決定エンジンからの出力を、コンテキストをもつメッセージに変形する説明モジュールが利用可能であってもよい。
【0006】
ある診断状況における検査結果の解釈のためのあるCDSSが、WO2005/103300に開示されており、このCDSSでは、統計的パターン認識アルゴリズムが、自己免疫疾患に関する一群の検査結果に適用される。このアルゴリズムは、この一群の検査結果を、予め診断された患者に関する多数の基準データセットと比較し、各基準データセットは、特定の複数の自己抗体それぞれの値および診断された病気を含む。このアルゴリズムは、一群の検査結果および基準データセットにk近傍プロセスを適用して、一群の検査結果が、特定の病気のどれにも関連づけられていないか、それとも1つまたは複数に関連づけられているかを示す、統計的に導出された決定をもたらす。
【0007】
WO96/12187は、トレーニングされたニューラルネットワークを用いて、多変量研究室データからの複雑なパターン認識が可能な自動診断システムを開示している。
従来技術は、米国特許出願公開第2006/0013773号をさらに含み、この特許は、食物アレルギーおよび食物過敏症に血液型を相関させる技法を開示している。
【0008】
米国特許第5692220号は、血液病理学診断のための決定サポートシステムを開示しており、このシステムでは、検査結果が決定エンジンに入力され、決定エンジンは検査結果を、特定の患者条件に対応するパターンと比較する。合致パターンは、所定の規則に従って階層に配置される。
【0009】
従来技術によるCDSSを設計する際の共通の問題は、CDSSの決定エンジンの複雑さが、利用可能な検査結果の数に伴って急速に増すことである。これは明らかに、多数のバイオマーカー検査が利用可能であり、新規検査が絶えず開発されている分野において問題を引き起こす。このような分野の1つが、アレルギーおよび自己免疫疾患であり、この分野では、数千まではいかなくとも数百もの異なるバイオマーカー検査が利用可能である。
【0010】
さらに、決定エンジンによって与えられる診断の正確さを向上させるために、および適切な追跡検査を決定エンジンに提案させるために、検査結果を、人口統計および観察症状と組み合わせることが望ましい場合がある。これにより、決定エンジンの複雑さがより一層増す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上で識別した従来技術の制限の少なくともいくつかを克服し、または緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的および他の目的は、以下の説明から分かるであろうが、少なくとも部分的には、独立請求項による、臨床判断サポートを可能にする方法、臨床判断サポートを可能にするコンピュータプログラム製品およびシステムを用いて達成され、独立請求項の実施形態は、従属請求項によって定義される。
【0013】
本発明の第1の態様によると、複数の検査対象バイオマーカーに関する検査結果に基づく臨床判断サポートを可能にする方法が提供され、各検査結果は、第1の分解能の値で与えられる。この方法は、検査結果を受け取るステップと、利用可能バイオマーカーが宿主に関連づけられた事前定義構造にアクセスするステップであって、少なくとも1つの宿主が、複数のバイオマーカーに関連づけられたステップと、検査対象バイオマーカーを構造にマップすることによって、宿主セットを識別するステップと、宿主にマップされた検査対象バイオマーカー(1つまたは複数)の検査結果に基づいて、宿主セット中の各宿主に宿主値を割り当てるステップであって、宿主値が、第2の分解能の値で与えられるステップと、宿主セットおよび割り当てられた宿主値を示す入力データを、臨床判断サポートを生じるコンピュータベースの決定エンジンへの入力用に与えるステップとを含む。
【0014】
バイオマーカーと宿主との間の既知の関係を表すように、臨床経験および研究に基づいて適切に設計された事前定義構造の適正設計によって、決定エンジンへの入力データの量を削減することが可能である。したがって、こうすることにより、決定エンジンの複雑さが軽減されることが可能になる。さらに、第1の態様は、個々のバイオマーカーに関する検査結果ではなく宿主および宿主値を処理して、所望の臨床判断サポートを提供するように、決定エンジンが設計されることを可能にする。決定エンジンにおけるデータ処理は、適切には、事前定義構造にも基づく。こうすることにより、決定エンジンの複雑さを軽減することも可能になる。というのは、入力データは本質的に、臨床経験および研究を反映するからである。新規バイオマーカーに関する後発検査は、事前定義構造をアップデートすることによって、通常は新規バイオマーカーを1つもしくは複数の既存宿主に関連づけることによって、および/または1つもしくは複数の宿主を追加することによって容易に適応させることができる。
【0015】
一実施形態では、構造は、レベルからなる階層中にある宿主を含む。このような構造は、宿主/バイオマーカーの間のサブタイプ/スーパータイプ関係を定義するように、臨床経験および研究を反映するのに使うことができる。たとえば、構造中の異なるレベルは、異なる詳細度での宿主の分類を表し得る。階層構造の使用により、たとえば検査対象バイオマーカーのマッピングに関して、効率的処理を可能にし得る。さらに、バイオマーカーのマッピングは、生じた入力データの所望の詳細に依存して、1つまたは複数の選択構造レベルで行うことができる。
【0016】
決定エンジンの複雑さをさらに軽減するために、第2の分解能は第1の分解能より低くてよい。こうすることにより、所与の1組の検査結果に関する決定エンジンへの入力データの量を削減する。
【0017】
別の実施形態では、検査結果または宿主値は、検査結果に関する患者固有バックグラウンドデータに基づいてスケーリングされる。患者固有バックグラウンドデータは、人口統計データ、既往症、遺伝要因、応答パターン、患者の病歴および遺伝データの少なくとも1つを含み得る。こうすることにより、決定エンジンの複雑さが軽減され、たとえば、平均的な患者向けに設計することができる。
【0018】
検査結果は、異なるバイオマーカーの間で応答スケールを合致させるようにスケーリングすることもできる。こうすることにより、決定エンジンは、応答スケールの違いを無視することができ、そうすることによって、決定エンジンの設計を簡素化する。
【0019】
一実施形態では、検査対象バイオマーカーは、免疫グロブリン上科のメンバであり、血液中で検査される。たとえば、検査対象バイオマーカーは抗体でよい。
ある特定の実施形態では、臨床判断サポートは、アレルギーまたは自己免疫疾患の診断に関する。
【0020】
本発明の第2の態様によると、第1の態様の方法をコンピュータに実施させる命令を備えるコンピュータプログラム製品が提供される。
本発明の第3の態様によると、複数の検査対象バイオマーカーに関する検査結果に基づく臨床判断サポートを可能にするシステムが提供され、各検査結果は、第1の分解能の値で与えられる。このシステムは、検査結果を受け取る構成要素と、利用可能バイオマーカーが宿主に関連づけられた事前定義構造にアクセスする構成要素であって、少なくとも1つの宿主が、複数のバイオマーカーに関連づけられた構成要素と、検査対象バイオマーカーを構造にマップすることによって、宿主セットを識別する構成要素と、宿主にマップされた検査対象バイオマーカー(1つまたは複数)の検査結果に基づいて、宿主セット中の各宿主に宿主値を割り当てる構成要素であって、宿主値が、第2の分解能の値で与えられる構成要素と、宿主セットおよび割り当てられた宿主値を示す入力データを、臨床判断サポートを生じるコンピュータベースの決定エンジンへの入力用に与える構成要素とを備える。このような各構成要素は、ソフトウェア、ハードウェアまたはその組合せとして実施することができる。
【0021】
一実施形態では、コンピュータベースの決定エンジンは、システムに含まれる。
一実施形態では、全構成要素が単一の装置に統合され、この装置は、サーバ、パーソナルコンピュータ、分析機器、またはデータ処理能力をもつ他のどの装置でもよい。
【0022】
システムは、検査結果に関する患者固有バックグラウンドデータに基づいて、検査結果または宿主値をスケーリングする構成要素をさらに備え得る。
システムは、検査結果を生成する構成要素をさらに備え得る。一実施形態では、この構成要素は、検査結果を生成する構成要素が、好ましくは体外IgE抗体検出技術を用いて、バイオマーカーの事前定義サブセットを検査するように特に設計された分析機器を含む。
【0023】
第2および第3の態様によるコンピュータプログラム製品およびシステムは、第1の態様による方法と同じ効果および利点を可能にする。第1の態様に関係して記載する異なる実施形態、ならびに関連する利点および効果は、第2および第3の態様にも等しく該当し得ることも理解されたい。
【0024】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様および利点は、以下の詳細な説明、添付の従属請求項ならびに図面から分かるであろう。
次に、本発明の実施形態が、添付の概略図を参照してより詳しく説明されるが、図中で、同じ要素は同じ参照番号で指定される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態を含む、臨床診断サポートのためのシステムを示すブロック図である。
【図2】宿主の階層構造の例を示す図である。
【図3】アレルギー反応の確率を、異なる食物アレルゲンに関するIgEバイオマーカー値に関連させるグラフを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による、最上位レベル宿主「花粉」および「食物」に対する事前定義構造の一部を示す図である。
【図5】本発明の実施形態向けの実装環境を示す概略図である。
【図6】本発明の一実施形態による臨床判断サポートを可能にする方法を示すフローチャートである。
【図7】図6の方法を実装する例示システムを示すブロック図である。
【図8】アレルギー反応の確率を、異なる年齢の患者に対するミルクアレルゲン特異的IgE抗体値に関連させるグラフを示す図である。
【0026】
定義
以下での説明のため、および明確にするために、以下の定義を行う。
【0027】
患者は、疾患をもっている可能性も、もっていない可能性もある主体を指す。患者は通常、人間であるが、どの生物、具体的には哺乳類でもよい。
体液は、血液、尿、涙、唾液、リンパ液、精液、糞便などを含む(がそれに限定されない)、生物内の液体を指す。
【0028】
バイオマーカーは、分析機器を使って検出することも量子化することもできる体液中の成分である。バイオマーカーは、蛋白質および代謝産物を含むが、それに限定されない。
免疫グロブリンは、免疫グロブリン上科のメンバであるバイオマーカーのクラスを指す。この科は、抗体(たとえば、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM)、T細胞受容体鎖、クラスI MHC、クラスII MHC、ベータ−2ミクログロブリン、CD4、CD8、CD19、CD3−γ、−δおよび−ε鎖、CD79a、CD79b、CD28、CD80、CD86、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、CD2、CD48、CD22、CD83、CTX、JAM、BT−IgSF、CAR、VSIG、ESAM)、細胞間接着分子(ICAM)、血管細胞接着分子(たとえば、VCAM−1)、神経細胞接着分子(NCAM)、IL−1R−2、IL−1R−ベータ、CD121b抗原、PDGFR、IL−6R−アルファ、CD126抗原、CSF−1−R、CD115抗原、SCFR、c−kit、CD117抗原、FGFR−1、CEK1、PIGR、CD147、CD90、CD7、ブチロフィリン、およびその他多数を含むが、それに限定されない。
【0029】
アレルギーは、アレルギー症状を引き起こす異物に対する後天性の異常感度を指す。
アレルゲンは、アレルギーを起こす可能性のあるものを指す。
検査は、ある特定のアレルゲンに対する患者応答の測定を指す。
【0030】
宿主は、特定の1つまたは複数のアレルゲンを保有し、またはそれに関連づけられた対象/有機体を指す。
宿主のクラスは、宿主のグループまたは科を指す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の実施形態が用いられるデータ処理システム10のブロック図である。システム10は、検査用機構11から検査データを受け取り、機構11は、患者に対して、体液、通常は血液中のいくつかのバイオマーカーの量を測定する分析機器を含む。この測定は、体内でも体外でも実施することができる。その結果得られた検査データ、すなわち各検査対象バイオマーカーの測定値(検査結果)は通常、測定範囲内の高分解能を与えられる。たとえば、測定範囲内の測定ステップの数は、少なくとも10、通常は約50〜100以上でよい。検査データは、任意の数の検査結果、通常は約10より多くを含有し得る。
【0032】
システム10は、検査データを、それ以外の患者関連データと一緒に受け取り、処理して、医者が患者を正確に診断するのを助け得る患者固有診断報告12を最終的に生成する。診断報告12は、たとえば、提案診断、および適切な追跡検査の提案、ならびに検査結果の完全または短縮一覧を含み得る。
【0033】
図示した実施形態では、システム10は、特に、前処理された検査データに対して作用して診断報告を生成する決定または推論エンジン13を含む。決定エンジン13は、適切な知識をコンピュータ可読な形で格納する知識ベース14を使うように、従来技術によって構成すればよい。決定エンジン13は、1組の利用可能バイオマーカーに関連して、専門家および実証医学から引き出された規則集合を含み得る。この規則集合はしたがって、入力データに基づいて報告12に載せるための、知識ベース14から導出される患者固有コメントを定義することができる。
【0034】
決定エンジン13への入力データは、医者によって患者において観察された1つまたは複数の症状を示す患者固有症状データも含み得る。
決定エンジン13への入力データは、たとえば人口統計データ(年齢、人種、居住地など)、既往症、遺伝要因、応答パターン、遺伝データなど、患者固有バックグラウンドデータも含み得る。
【0035】
一実施形態では、決定エンジン13は、リップルダウンルール技術に基づく。このような決定エンジンは、Pacific Knowledge Systemsから入手できるLabWizard(登録商標)など、市販のソフトウェアを使って実装することができる。
【0036】
従来のやり方では、患者に対して異なる大量の検査結果および症状を扱い得る決定エンジンを開発するのは、非常に厄介な場合がある。たとえば、100通りのバイオマーカーに対して検査が利用可能であり、各検査結果が、0〜100の範囲内の任意の整数値を想定する可能性があり、扱われるべき7通りの症状がある場合、従来の決定エンジンは、101100*2=3.5*10202通りの組合せに対する規則を含む必要がある。
【0037】
所与の数の検査結果に対する決定エンジンの複雑さを軽減するために、図1のシステムは、データ削減モジュール15を含む。モジュール15は、決定エンジン13によって処理されるべきデータの量を削減するように構成される。この目的のために、モジュール15は、利用可能バイオマーカー、すなわち決定エンジン13によって扱われるバイオマーカーが、異なる宿主にその中で割り当てられた構造を使用する。各宿主は、1つまたは複数のバイオマーカーを含み、または表す。このような構造20の一般的例を図2に示すが、宿主は、いくつかのレベルL1〜L4に編成される。構造20は、バイオマーカーと宿主との間の既知の関係を表し、臨床経験および研究に基づいて設定される。
【0038】
モジュール15は、検査対象バイオマーカーを、事前定義構造20によって定義された宿主にマップし、こうして宿主セットを識別するが、ここで各宿主は、検査対象バイオマーカーの1つまたは複数を含む。モジュール15は、このような各宿主に、宿主に含まれるバイオマーカー(1つまたは複数)の検査結果(1つまたは複数)に基づいて値も割り当てる。この値は、宿主、このような最大、中央値、相加平均、幾何平均、調和平均など向けの検査結果に対して作用する適切などの統計関数によっても与ることができる。
【0039】
宿主、および割当て値のセットは、入力データとして決定エンジン13に供給される。入力データは、適切などの形式でも、たとえばテキストとして、もしくはどの進法(2進、16進など)の数としても、またはその組合せとして決定エンジンに提示することができる。
【0040】
たとえば、特定のアレルゲンの存在を示すバイオマーカーの場合、宿主は、1つまたは複数の特定のアレルゲンを保有する対象/有機体のクラスを指し得る。一例では、事前定義構造は、利用可能バイオマーカーを、5通りの主要グループまたは宿主、すなわち「食物」、「花粉」、「ダニ」、「カビ」および「動物」に分ける。図2に示すように、構造20は、異なるレベルL1〜L4にある宿主からなる階層に編成することができる。上述した主要グループは、ルートレベルL1上に編成することができ、1つまたは複数の下位レベルL2〜L4の下位グループ(宿主)を有する。一例では、主要グループ「花粉」は、(レベルL2にある)下位グループ「樹木」、「草」および「香草」を有し、下位グループ「樹木」は、(レベルL3にある)下位グループ「オーク」、「樺」および「楡」などを有し得る。下位グループの数に関わらず、決定エンジンの複雑さは、主要グループの数によって支配される。決定エンジンの複雑さは、大幅に軽減されることを理解されたい。
【0041】
データ削減モジュールによる、決定エンジン用の入力データに含まれるべき宿主の選択には、いくつかの変形形態が考えられる。ある変形形態では、検査対象バイオマーカーにマップすることができる事前定義構造20中の全宿主が、入力データに含まれ得る。たとえば、樺に関するバイオマーカーが検査済みである場合、モジュールは、入力データに宿主「樺」、「樹木」および「花粉」を含めることができる。
【0042】
別の変形形態では、データ削減モジュールは、検査データに含まれる検査値および/またはバイオマーカーに基づいて宿主の選択を制御する所定の規則集合を含み得る。たとえば、検査データが、3通りより多い樹木花粉に関する検査結果を(任意選択で、こうした検査結果が有意である追加条件とともに)含む場合、こうした検査結果は、落葉樹に対する宿主のグループに分ければよい。検査データが、樺の木に関係した花粉に関する検査結果のみを含む場合、こうした検査結果は、樺に対する宿主のグループに分ければよい。別の例では、ダニに関する全検査結果は、デフォルトで、対応する主要宿主のグループに分けられる。結果の数が非常に大きい場合、規則は、全検査結果が、主要宿主、または少なくともレベルL1またはL2にある宿主のグループに分けられるべきであると規定すればよい。
【0043】
さらに別の変形形態では、宿主の選択は、データ削減モジュールへの入力パラメータによって制御される。たとえば、入力パラメータは、診断報告を解釈する人の資質レベルを示すことができる。この人が専門医の場合、診断報告は、提案診断および検査結果についてさらに詳細を含むことが許容可能/望ましいので、入力データは、構造20の比較的低いレベル(L3、L4を参照)にある宿主を含むべきである。この人が一般開業医の場合、診断報告は簡潔、単刀直入であるべきであり、入力データは主に、構造20の比較的高いレベル(L1、L2を参照)にある宿主に基づくべきである。
【0044】
データ削減モジュール15は、決定エンジン13への入力変数の見かけ上の数を減らすのに使うことができる。この特徴は、決定エンジン13の複雑さを軽減し、かつ/または検査結果以外の情報を、決定エンジン13への入力変数として、その複雑さを過度に増すことなく使われるようにするのに利用され得る。図1に示すように、患者固有症状データは、このような入力変数として使うことができる。たとえば、決定エンジンは、所与の1組の症状を、それぞれ、症状がないことおよびあることを示す、0または1どちらかの値で扱うように構成することができる。同様に、患者固有バックグラウンドデータ(既往症、人口統計など)は、決定エンジンへの1つまたは複数の入力変数として使うことができる。
【0045】
決定エンジン13は、データ削減モジュール15によって与えられた入力データ、すなわち宿主および宿主値に基づいて診断サポートを提供するように設計されるべきであることを理解されたい。この目的のために、決定エンジン13は、データ削減モジュール15によって使われる、同様の事前定義構造に基づく規則集合を含み得る。
【0046】
上述したように、この事前定義構造は、臨床経験および研究に基づく、バイオマーカーと宿主との間の既知の関係を表す。したがって、決定エンジンは、入力データの疎なアレイに対して作用するとしても、臨床経験に基づく正確な診断を与えるように構築される。たとえば、交差反応性、アレルギーの人口統計および年齢依存性についての知識により、一群のアレルゲン検査において関係アレルゲンの特定のIgEが検査されていない、患者の、ある特定のアレルギーに関する高い危険性を確実に予測することが可能になる。したがって、決定エンジンは、わずかな入力変数に基づく正確な診断ガイドラインを提供することができるので、上述のシステムは、疎なバイオマーカー群の使用を可能にすることを理解されたい。
【0047】
さらに、宿主および宿主値への入力データの削減により、決定エンジンの出力を、短く簡潔な可読メッセージに凝縮することも可能になる。
決定エンジン13によって処理されるべき入力データの量をさらに削減するために、モジュール15は、検査値の分解能と比較して、割り当てられた宿主値の分解能を低下するように構成することができる。この構成は、上述したマッピングの前の検査値の量子化、または宿主セットに割り当てられた値の量子化によって達成することができる。値の量子化は、いくつかの値グループの1つへの値の割当てを伴い得る。たとえば、検査値は、「検出不能」、「非常に低い」、「低い」、「中程度」、「高い」、「非常に高い」という値グループの1つに割り当てることができる。こうした値グループは、たとえば、0〜5の値で表すことができる。
【0048】
したがって、結局、整数値0〜5をとり得る5つの宿主がある。7通りの症状がある場合は、6*2=995000通りの組合せが決定エンジンによって扱われることになり、これは、未処理の検査結果において扱われるべき3.5*10202通りの組合せより大幅に少ない。
【0049】
図1に戻ると、例示した実施形態は、検査結果の選択的コンテキストベース・スケーリングに影響を与えるスケーリングモジュール16も含む。モジュール16は、患者固有バックグラウンドデータに基づいて検査結果を調整するように実装することができる。こうすることにより、決定エンジン13は、平均集団の規則に基づくようになり、そうすることによって、決定エンジンの設計を簡素化する。たとえば、子供を検査するとき、応答スケールは、大人とは異なり得る。したがって、このモジュールは、少なくとも一定のバイオマーカーに対して検査結果をスケーリングする(通常は増大する)ように構成することができる。
【0050】
さらに、または代替的には、モジュール16は、異なるバイオマーカーの間で応答スケールを合致させるように、検査結果をスケーリングし直すように構成することができる。たとえば、異なるアレルゲンは、それぞれのアレルゲンの生得的アレルゲン活性に部分的に依存して、異なるカットオフレベルを有し得る。したがって、あるバイオマーカーに対する低い検査値は、別のバイオマーカーに対する高い検査値よりもアレルギーの確率が高いことになり得る。このことは、IgE抗体など、様々なアレルゲンに対するこうしたバイオマーカーが非常に類似している場合でも有効である。図3に示すように、アレルゲンc、dに対するIgEバイオマーカーの低い値(約1kUA/l)の確率は、アレルゲンaに対するIgEバイオマーカーの高い値(約10kU/l)の確率より高い。これは、反応の確率を合致させるように検査値の1つまたは複数をスケーリングすることによる、コンテキストベース・スケーリングによるものである。こうすることにより、決定エンジンは、応答スケールの違いを無視することができ、そうすることによって、決定エンジンの設計を簡素化する。
【0051】
代替実施形態(図示せず)では、スケーリングモジュール16は、検査用機構からの検査値ではなく、宿主セットに割り当てられた値に作用するように、データ削減モジュール15の下流に配置される。さらに別の実施形態では、スケーリング機能性の全部または一部は、決定エンジン13に組み込むことができる。
【0052】
以下では、決定エンジンの動作およびその規則使用がさらに例示される。例1〜6は、主要宿主「花粉」および「食物」に関する事前定義構造のごく一部を示す図4に関して挙げられる。以下の例は、理解しやすくするために簡略化されていることに留意されたい。こうした例では、変数および値は、斜体で示されている。
例1
症状:「湿疹」
宿主値:「低い」範囲にある「樺」
規則:(症状=「湿疹」)かつ(あらゆる「花粉」>「検出不能」)の場合
⇒解釈コメント:「「湿疹」は、おそらく「花粉」によるものではない」
例2
症状:「喘息」
宿主値:「高い」範囲にある「樺」
規則:(症状=「喘息」)かつ(あらゆる「花粉」が「高い」〜「非常に高い」範囲にある)場合
⇒解釈コメント:「「樺」に関して検出されたIgE抗体は、「喘息」の症状と関係する可能性がある」
例3
症状:「喘息」
宿主値:「高い」範囲にある「樺」、「中程度」範囲にある「オーク」、「低い」範囲にある「楡」
規則:(症状=「喘息」)かつ(あらゆる「花粉」が「高い」〜「非常に高い」範囲にある)場合
⇒解釈コメント:「「樹木花粉」に関して検出されたIgE抗体は、「喘息」の症状と関係する可能性がある」
例4
症状:「湿疹」
宿主値:「非常に高い」範囲にある「鱈」
規則:(症状=「湿疹」)かつ(あらゆる「食物」が「非常に高い」範囲にある)場合
⇒解釈コメント:「「湿疹」は、鱈による可能性がある」
例5
症状:「湿疹」
宿主値:「中程度」範囲にある「鱈」
規則:(症状=「湿疹」)かつ(あらゆる「食物」が「中程度」範囲にある)場合
⇒解釈コメント:「「湿疹」は「鱈」によるものであろう」
例6
症状:「湿疹」
宿主値:「非常に低い」範囲にある「鱈」
規則:(症状=「湿疹」)かつ(あらゆる「食物」が「非常に低い」範囲にある)場合
⇒解釈コメント:「「鱈」に対する非常に低いIgEレベルは、おそらく「湿疹」に関連しない」
例7
喘息および湿疹の症状のある患者が、IgE抗体に関する体外検査を受ける。以下の検査結果が得られる。
【0053】
猫=5lkU/l
ヨモギ=23kU/l
樺=3kU/l
犬=2.7kU/l
ブタクサ=0.7kU/l
オオアワガエリ=0.6kU/l
馬=0.45kU/l
ウサギ=0.41kU/l
Mite_d1=0.57kU/l
この簡略化された例では、データ削減モジュールは、「花粉」、「食物」、「動物」、「ダニ」および「カビ」という事前定義された主要宿主に検査結果を割り当てるように構成される。各主要宿主には、宿主に割り当てられた最大検査値によって与えられる宿主値が割り当てられる。さらに、データ削減モジュールは、「検出不能」:<0.1、「非常に低い」:[0.1〜0.5]、「低い」:[0.5〜2]、「中程度」:[2〜15]、「高い」:[15〜50]、および「非常に高い」:>50という事前定義IgE範囲(kU/lで与えられる)に従って、宿主値をグループに分けるように構成される。
【0054】
データ削減モジュールにおける前処理の後、決定エンジン用の以下の入力データが取得される。
動物=非常に高い
花粉=高い
ダニ=低い
前処理されたデータは、決定エンジンに送られ、決定エンジンは、以下の規則セットに従って解釈コメントを生成する。
規則:(症状=「喘息」または「鼻炎」)かつ(「動物」が「非常に高い」範囲にある)場合
⇒解釈コメント:「「動物」に対して観察されたIgE抗体は、「喘息」症状と関係がある可能性が高い」。
規則:(症状=「喘息」または「鼻炎」)かつ(「花粉」が「高い」範囲にある)場合
⇒解釈コメント:「「花粉」に対して観察されたIgE抗体は、「喘息」症状と関係する可能性がある」。
規則:(症状=「喘息」または「鼻炎」)かつ(「ダニ」が「低い」範囲にある)場合
⇒解釈コメント:「「ダニ」に対して観察されたIgE抗体は、「喘息」症状の原因であり得る」。
規則:(症状=「湿疹」)かつ(「花粉」が任意の範囲である)場合
⇒解釈コメント:「「花粉」に対して観察されたIgE抗体は、報告された「湿疹」に関連する可能性がない」。
規則:(症状=「湿疹」)かつ((「ダニ」または「動物」)が「低い」より上の任意の範囲にある)場合
⇒解釈コメント:「IgE媒介アレルギー性皮膚症状は一般に、食物アレルゲンに関するが、浮遊アレルゲンとの直接皮膚接触または吸入が、しばしば皮膚症状の原因となり得る」。
【0055】
IgEバイオマーカー値の解釈のある一般規則は、値が高いほど、IgE媒介アレルギー症状の危険性が大きくなるというものである。ただし、この一般規則には多くの例外があり、こうした例外は、決定エンジンの規則にもコンテキストベース・スケーリングにも組み込むことができる。以下の2つの例は、こうした例外がコンテキストベース・スケーリングにどのように組み込まれ得るかを示す。
例8
2人の患者A、Bが、卵に対する「低い」範囲のIgE応答を有し、一方の患者は1歳であり、他方は30歳である。スケーリングモジュールは、6歳齢未満の子供に対して、「低い」範囲の卵に関する検査結果を「中程度」範囲に増大するように構成される。これに従って処理された検査結果は、入力データとして決定エンジンに送られ、決定エンジンは、以下の規則セットに従って解釈コメントを生成する。
規則:(症状=「湿疹」)かつ(Eggが「中程度」範囲にある)場合
⇒患者Aに関する解釈コメント:「「湿疹」はおそらく「卵」によるものである」
規則:(症状=「湿疹」)かつ(「卵」が「低い」範囲にある)場合
⇒患者Bに関する解釈コメント:「「湿疹」は、「卵」によるものであり得る」。
例9
ある特定のアレルゲンに関する検査結果の有意性は、年齢に関わらず上昇させても低下させてもよい。臨床経験に基づいて、スケーリングモジュールはたとえば、小麦または大豆製品に関する「低い」範囲の検査結果(たとえば、1.8kU/1)を、「非常に低い」範囲に常に低下させるように構成することができる。これに従って処理された検査結果は、決定エンジンに入力され、決定エンジンは、以下の規則セットに従って解釈コメントを生成する。
規則:(症状=「湿疹」)かつ((「小麦」または「大豆製品」)が「非常に低い」範囲にある)場合
⇒解釈コメント:「「小麦」/「大豆製品」に関して、こうしたIgE抗体レベルによる「湿疹」の症状はまれである」。
規則:(症状=「湿疹」)かつ((「小麦」または「大豆製品」)が「低い」範囲にある)場合
⇒解釈コメント:「「湿疹」は、「小麦」/「大豆製品」によるものであり得る」。
【0056】
例8、9は、論理が、決定エンジンからスケーリングモジュールに移動されてよく、その結果決定エンジンの複雑さが軽減されることを示す。さらに、スケーリングモジュールを提供することにより、スケーリングパラメータが、たとえば一定のバイオマーカーのアレルゲン活性に関する新たな発見に順応するように、決定エンジンに依存せずに変えられる。
【0057】
以下の表1は、異なる1組の検査結果に基づいて、決定エンジンによって生成される診断報告の例である。この例では、診断報告は、観察された症状、この例では鼻炎を含む。この報告は、上述した範囲それぞれに収まる検査結果も含む。この例では、ダニに関する1つの検査結果が「高い」範囲内であり、植物花粉に関する1つの検査結果が「中程度」範囲内であるが、他の全検査結果は「検出不能」である。この例では、決定エンジンには、前処理された入力データだけでなく、オリジナルの検査結果が与えられた。ただし、診断報告は、前処理された入力データに基づいて生成された。検査結果は、この例では、表示のためだけに用いた。
【0058】
【表1】

【0059】
表1における実際の診断報告は、上述した規則に基づいて生成された。図示する例では、診断報告は、診断の「概要」、開業医にさらに助言を与える「検討事項」セクション、観察された症状に対する有意な検査結果の妥当性を論じる「ダニ」セクションおよび「花粉」セクション、「密接に関係したアレルゲン」の情報を提供する一セクション、ならびに基本情報を提供する一セクション(「参考情報」)を含む。
【0060】
診断報告への異なるセクションの包含、および各セクションの内容は、入力データに基づいて、前述の規則セットによって制御される。たとえば、「花粉」の下では、コメントは、「花粉の季節である場合は、{ModeratePollen as names}に対して観察されたIgE抗体は、{PollenSymptoms}の症状と関係する可能性がある」という規則に関連づけられている。変数{ModeratePollen as names}は、「中程度」範囲内の全花粉アレルゲン、または事前定義構造中で適切なレベルにある宿主で置き換えられ、変数{PollenSymtoms}は、鼻炎、喘息および喘鳴など、花粉アレルギーに関係した観察された全症状で置き換えられる。
【0061】
診断報告は、適度に複雑に生成されること、すなわちコメントの数が妥当な量に保たれることが重要であり得る。基本的に、報告の複雑さは、入力データによって与えられる詳細レベル、たとえば入力データによって示される、異なるレベルにある宿主の数に依存する。
【0062】
上述したように、データ削減モジュールは、入力データに関する適切な詳細を選択する論理を含み得る。代替的に、またはさらに、同様の論理は、決定エンジンに組み込むことができ、そうすることによって決定エンジンは、診断報告の生成に使われるべき入力データに含まれる宿主のサブセットを選択するように制御される。データ削減モジュールに関係して上でさらに説明した一変形形態では、宿主の選択は、入力データに含まれる宿主および/または宿主値に基づき得る。やはりデータ削減モジュールに関係して上で説明した別の変形形態では、選択は、たとえば診断報告を解釈する人の資質レベルを示す、決定エンジンへの入力パラメータによって制御される。
【0063】
上述の臨床判断サポートシステムは、異なる多くの環境で実装することができる。好ましくは、スケーリングモジュール、データ削減モジュールおよび決定エンジンは、コンピュータなどの電子データ処理装置上で稼働されるソフトウェアによって実装される。たとえば、図5に概略的に示すように、このシステムは、1つまたは複数のネットワーク接続サーバ60上で実装することができる。ユーザは、検査用機構11から発生した検査データを、公衆または私設通信ネットワーク62(たとえば、インターネット)に接続されたPC61上のウェブインタフェースを介してシステムに入れることができる。その結果得られる診断報告は、ウェブインタフェースを介して表示用にユーザに提供することができ、かつ/または近くのデジタルプリンタで印刷することができる。代替的には(図示せず)、検査データは、PC61を介して、または検査用機構に統合されたネットワークインタフェースを介して、検査用機構11からシステムに自動的に入れることができる。さらに別の代替形態では、スケーリングモジュール16および/またはデータ削減モジュール15は、サーバ60上の決定エンジン13に適切な入力データを与えるように、PC61または検査用機構11上に置くことができる。さらに別の代替形態では、システム全体が、PC61または検査用機構11上にローカルに存在する。
【0064】
図6は、図1のシステムなどの臨床判断サポートシステムにおいて、または図5のPC/ウェブサーバ/検査用機構において実行される方法の実施形態を示すフローチャートである。最初に、複数の検査対象バイオマーカーに関する検査結果が、システムによって受け取られる(ステップ70)。次いで、事前定義宿主構造(図2の構造20を参照)がアクセスされ(ステップ71)、その後、検査対象バイオマーカーを構造にマップすることによって、宿主セットが識別される(ステップ72)。マッピングは、検査対象バイオマーカーの1つまたは複数を含み、またはそうしたマーカーに関連づけられた宿主を識別する。上述したように、宿主セットは、検査対象バイオマーカーの1つまたは複数を含む全宿主を含む必要はないが、代わりに、このような宿主のサブセットからなり得る。次いで、識別された宿主セット中の各宿主に、宿主にマップされた検査対象バイオマーカーの検査結果に基づいて宿主値が割り当てられる(ステップ73)。最終的に、宿主セットおよび割り当てられた宿主値を示すデータが、臨床判断サポートを起こすために、コンピュータベースの決定エンジンへの入力用に与えられる(ステップ74)。
【0065】
図7は、図6の方法を実行するように構成されたシステムの概略ブロック図である。図示する例では、このシステムは、上述した検査結果を受け取る構成要素(または手段)80と、宿主構造にアクセスする構成要素(または手段)81と、マッピングによって宿主セットを識別する構成要素(または手段)82と、識別された宿主セット中の各宿主に宿主値を割り当てる構成要素(または手段)83と、結果として生じたデータを入力として決定エンジンに与える構成要素(または手段)84とを含む。上述したように、この例におけるシステムを定義する構成要素(手段)80〜84は、1つまたは複数の汎用または特殊目的コンピューティング装置上で稼働される特殊目的ソフトウェア(またはファームウェア)によって実装することができる。このようなコンピューティング装置は、1つもしくは複数の処理ユニット、たとえばCPU(「中央処理装置」)、DSP(「デジタル信号プロセッサ」)、ASIC(「特定用途向け集積回路」)、離散アナログおよび/もしくはデジタル構成要素、またはFPGA(「フィールドプログラム可能ゲートアレイ」)など、他の何らかのプログラム可能論理装置を含み得る。このコンテキストでは、このような機器の各「構成要素」または「手段」は、方法ステップの概念的等価物を指し、構成要素/手段と特定の1つのハードウェアまたはソフトウェアルーチンとの間には、常に1対1対応があるわけではないことを理解されたい。1つのハードウェアが、異なる構成要素/手段を備えるときがある。たとえば、処理ユニットは、1つの命令を実行する際、1つの構成要素/手段として働き得るが、別の命令を実行する際には別の構成要素/手段としてとして働き得る。さらに、1つの構成要素/手段が、いくつかのケースでは1つの命令によって実装され得るが、他のいくつかのケースでは複数の命令によって実装され得る。コンピューティング装置は、システムメモリと、システムメモリを含む様々なシステム構成要素を処理ユニットに結合するシステムバスとをさらに含み得る。システムバスは、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、および様々なバスアーキテクチャのいずれをも用いるローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造のいずれでもよい。システムメモリは、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびフラッシュメモリなど、揮発性および/または不揮発性メモリの形のコンピュータ記憶媒体を含み得る。特殊目的ソフトウェアは、システムメモリ内にも、たとえば磁気媒体、光学媒体、フラッシュメモリカード、デジタルテープ、固体状態RAM、固体状態ROMなど、コンピューティング装置に含まれ、またはアクセス可能な他の取外し可能/固定型揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体上にも格納することができる。コンピューティング装置は、たとえば直列インタフェース、並列インタフェース、USBインタフェース、無線インタフェース、ネットワークアダプタなど、1つまたは複数の通信インタフェースを含み得る。1つまたは複数のI/O装置は、たとえばキーボード、マウス、タッチスクリーン、ディスプレイ、プリンタ、ディスクドライブなどを含む通信インタフェースを介して、コンピューティング装置に接続することができる。特殊目的ソフトウェアは、記録媒体、読出し専用メモリ、または電気搬送波信号を含む適切などのコンピュータ可読媒体に載せても、コンピューティング装置に提供することができる。
【0066】
本発明の別の態様は、バイオマーカーおよび宿主パターンの階層構造の知識を用いて、効率的で費用効果が高い分析機器を構築することが可能なことである。このような機器は、非常に大きい数の異なるバイオマーカーを測定することが可能である代わりに、正確な診断に要求されるバイオマーカーの定義済みサブセットのみを測定することが可能であってもよい。さらに、分析機器は、階層的により上位の宿主を表す定義済みサブセットをもつ階層バイオマーカーおよび宿主パターンの概念を、任意選択でコンテキストベース・スケーリングと組み合わせて、オペレータから隠している場合もあり、そうすることによって、前記オペレータのトレーニングの必要を最小限にする。このような分析機器は、設計するのが比較的複雑でなく、比較的操作しやすく、したがってエンドユーザにとって比較的コストがかからないであろう。
【0067】
このことは、(不完全であり得る)1組の検査が患者(「平均的」患者ではない場合がある)から与えられた場合、任意の共通CDSSの構造を用いて、精密な診断が可能であることを意味する。患者から不完全な1組の検査を与えられた場合に診断を大幅に改善することになる補完検査を発見することによって、費用効果が高い追跡検討を提案することも可能である。
基底概念のさらなる動機づけ
上述の本発明の実施形態は、バイオマーカーと宿主との間の既知の関係を表す構造、および通常はこのような宿主の階層構造の提供に依拠している。以下に、このような構造の提供を動機づけるための考察を続ける。
【0068】
「アレルギー」疾患を非限定的例として用いて、アレルゲンへの応答に関して患者を検査することが可能である。宿主は、宿主に関連づけられた異なるいくつかのアレルゲンを有し得る。さらに、同じアレルゲンが、異なる宿主に見られ得る。したがって、仮定として下の表2に例示するように、宿主「猫」(1111)をいくつかの「猫」特異的アレルゲン(1001、1002)およびいくつかの「獣毛」アレルゲン(1011、1012、1015)に関連づけることが可能であろう。同様に、「犬」(1112)は、仮定としていくつかの「犬」特異的アレルゲン(1021、1022)、およびいくつかの「獣毛」アレルゲン(1011、1013)に関連づけられる可能性があり、こうしたアレルゲンのいくつかは、「猫」と共有され得る(1011)。宿主「馬」(1113)の場合、個々のアレルギー誘発成分は未知である場合がある。したがって、「馬」は、複数の未知の成分を含む抽出物によって表され、前記抽出物は、可能な「馬」アレルゲンの大多数をカバーすることが正確に分かっている。「馬」、「猫」および「犬」が合わさって、「獣毛をもつ哺乳類」(1100)という科を形成する。要するに、表2の例は、アレルゲンおよびその宿主の既知の関係に基づく事前定義階層構造を表す。
【0069】
【表2】

【0070】
全患者に対して個々の全アレルゲンに関する検査を要求するのは、コストおよび検査の実行可能性により、実際的でないであろう。したがって、各宿主および各科ごとに、宿主または科を表し得る、定義済みの検査サブセットが存在し得る。たとえば、ある「猫」特異的アレルゲン(1001、1002のいずれか)および宿主「猫」に存在する「獣毛」アレルゲンの1つ(1011、1012、1015のいずれか)が検査済みである場合、こうした2つの検査結果は、いくつかのアレルゲンが検査されていなくても、宿主「猫」を表すのに使うことができよう。このような、宿主を正確に表すことが可能なバイオマーカーのいくつかの定義済みサブセットが知られている可能性がある。同じように、「獣毛をもつ哺乳類」(1100)は、科のメンバの少なくとも2つ(すなわち、「猫」(1111)、「犬」(1112)および「馬」(1113)の任意の2つ)によって表すことができよう。定義済みサブセットの概念はしたがって、階層的により上位の宿主を一致して表し得る宿主に対して等しく有効である。
【0071】
以下の構築規則は、表2に示すアレルゲン/宿主構造に当てはまる。
・宿主は、関連づけられた1つまたは複数のアレルゲンをもつ
・アレルゲンは、異なる宿主に見ることができる
・宿主に対するアレルギーは、宿主に関連づけられたアレルゲンの定義済みサブセットに関する検査によって表すことができる
・宿主のクラスに対するアレルギーは、宿主のクラスに含まれる定義済み宿主サブセットに対するアレルギーによって表すことができる
【0072】
【表3】

【0073】
バイオマーカーのこのような階層組織が存在するという1つの証拠は、アレルギーデータベースの内容を見ることによって得ることができる。上の表3は、2つの主体グループに対する、小麦と、植物由来の食物に関するIgEバイオマーカーの範囲との間の相関を示す。グループAは、小麦および植物花粉に対するIgE値の増大が確認された主体からなる。グループBは、小麦に対するIgE値の増大が確認されたが植物花粉に対するIgE値の増大は確認されていない主体からなる。表3に見られるように、グループAおよびグループB両方に対して、小麦に関する高い値のIgEにより、ライ麦に関するIgE値が高くなる確率が高い。グループAのみに対して、高い小麦IgE値は、玉ねぎ、米およびオレンジを含む、いくつかの共通アレルゲンのIgE値と相関する。このことは、小麦および植物花粉に関するIgEバイオマーカー値の検出が、他の可能アレルギーを詳細に指示することを意味する。すなわち、小麦値のみが増大するケースでは、ライ麦値の増大が指示される。小麦および植物花粉の値が両方とも増大するケースでは、表3に列挙されるように、IgE値の増大が一定の範囲で指示される。このタイプの先験的情報は、階層構造の基礎を成す。
【0074】
上述の本発明の実施形態は、検査結果または宿主値のコンテキストベース・スケーリングにも依拠する。以下で、所与の検査結果および年齢でのミルクへの反応確率に関する、コンテキストベース・スケーリング関数についての例示的考察を続ける。以下の説明は概して、他のタイプのアレルギー、および他のタイプの患者固有バックグラウンドデータに該当し得ることが、アレルギーおよび自己免疫の当業者にはすぐに理解されよう。
【0075】
バイオマーカー「ミルクアレルゲン特異的IgE抗体」がミルクアレルギーにどのように関するかは、Komataらによる「The predictive relationship of food−specific serum IgE concentrations to challenge outcomes for egg and milk varies by patient age(卵およびミルクに対する攻撃誘発結果に対する食物特有血清IgE濃度の予測関係は、患者年齢によって変化する)」J. Allergy Clin.Immunol.2007 May;119(5):1272〜4(参照によって本明細書に組み込まれている)に記載されているように、予め分かっている。この関係を、図8に例示する。この情報を用いて、年齢に基づいて検査結果(この場合、IgE抗体濃度)をスケーリングすることによって、決定エンジンは、年齢プロパティを扱う必要がなくなり、したがってより簡素化され得る。
【0076】
実際には、図8の情報は、次のように使用されることになる。1歳の子供がミルクアレルゲン特異的IgE抗体に関して検査され、検査結果が1.3kU/Lの場合、検査結果は、年齢および図8の確率曲線に基づいて、より年長の子供にとってミルクに対するアレルギーを発生させる同じ確率を表す値にスケーリングされることになる。このスケーリング手順は、図8に細い線で示されている。この特定のケースでは、1歳の子供がミルクに対してアレルギーがある確率は0.25である。より年長の患者の場合、この確率は、3kU/Lという検査結果に関して得られる。したがって、1歳の子供の1.3kU/Lという検査結果は、3kU/Lに変換される。このようにして、子供の年齢に関わらず、1つの解釈が有効である。Komataらによる前述の報告では、子供のみが調査されたが、同じマッピングが、大人および年配者を含む、どの患者年齢グループに対しても実施され得ることが理解されよう。
【0077】
本発明を主として、いくつかの実施形態を参照して上述した。ただし、当業者には容易に理解されるであろうが、上で開示した以外の他の実施形態が、添付の請求項によってのみ定義され限定される本発明の範囲および精神内で等しく可能である。
【0078】
本発明は、アレルギー以外の病気の診断にも適用可能である。基本的に、本発明は概して、相関づけられ、すなわち相互に関連づけられ、したがってグループおよび下位グループに分けることができるいくつかのバイオマーカー(たとえば、バイオマーカーのマイクロアレイ群)が使われるとともに、任意選択で臨床症状に対する有意性がコンテキストにおいてスケーリングされる必要があるどの診断領域でも適用可能である。代替診断領域についての例は、自己免疫、癌、およびCNS(中枢神経系)関連の病気を含む。バイオマーカーは、グループ/下位グループに分けることができるので、少なくとも象徴的に宿主がバイオマーカーに関連づけられた事前定義構造が形成され得る。したがって、当業者は、上記説明を代替診断領域に容易に適用することができる。
【0079】
上の例では、全検査結果が、共通測定値範囲内で与えられるが、そうすることが必要なわけではない。そうではなく、異なる検査結果に対しては異なる測定値範囲が用いられ得る。同様に、異なる宿主に割り当てられた宿主値に対しては異なる測定値範囲が用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査対象バイオマーカー(tested biomarkers)に関する検査結果に基づく臨床判断(clinical decision)サポートを可能にする方法であって、各検査結果が、第1の分解能(resolution)の値で与えられ、
前記検査結果を受け取るステップと、
利用可能(available)バイオマーカーが宿主(hosts)に関連づけられた事前定義構造(predefined structure)(20)にアクセスするステップであって、少なくとも1つの宿主が、複数のバイオマーカーに関連づけられたステップと、
前記検査対象バイオマーカー(tested biomarkers)を前記構造(20)にマップすることによって、宿主セットを識別する(identifying)ステップと、
前記宿主にマップされた前記検査対象バイオマーカー(tested biomarkers)(1つまたは複数)の前記検査結果に基づいて、前記宿主セット(set of hosts)中の各宿主に宿主値(host value)を割り当てる(assigning)ステップであって、前記宿主値(host value)が、第2の分解能の値で与えられるステップと、
前記宿主セット(set of hosts)および前記割り当てられた宿主値(assigned host values)を示す(indicative of)入力データを、前記臨床判断サポートを生じるコンピュータベースの決定エンジン(13)への入力用に与えるステップとを含む方法。
【請求項2】
前記構造(20)が、レベル(L1〜L4)からなる階層(hierarchy of levels)中にある宿主を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記宿主セット(set of hosts)中の宿主の数が、利用可能バイオマーカーの数未満である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の分解能が前記第1の分解能より低い、前記請求項いずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記検査結果に関する患者固有(patient-specific)バックグラウンド(background)データに基づいて、前記検査結果または前記宿主値をスケーリングするステップをさらに含む、前記請求項いずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記患者固有バックグラウンドデータが、人口統計データ、既往症(amamnesis)、遺伝要因(heredity factors)、応答パターン、患者の病歴(history)および遺伝(genetic)データの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記入力データに、前記患者固有バックグラウンドデータの少なくとも一部を含めるステップをさらに含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの患者症状(symptom)を識別し、前記患者症状を示すデータを前記入力データに含めるステップをさらに含む、前記請求項いずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記検査対象バイオマーカーが、免疫グロブリン上科(Immunoglobulin super-family)のメンバであり、血液中で検査される、前記請求項いずれかに記載の方法。
【請求項10】
利用可能バイオマーカーの数が約10以上である、前記請求項いずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記検査対象バイオマーカーが抗体(antibodies)である、前記請求項いずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記臨床判断サポートが、アレルギーまたは自己免疫疾患(autoimmune diseases)の診断に関する、前記請求項いずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記事前定義構造(predefined structure)(20)が、前記バイオマーカーと宿主との間の既知の関係を表す、前記請求項いずれかに記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実施させる命令を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
複数の検査対象バイオマーカーに関する検査結果に基づく臨床判断サポートを可能にするシステムであって、各検査結果が、第1の分解能の値で与えられ、
前記検査結果を受け取る構成要素(80)と、
利用可能バイオマーカーが宿主に関連づけられた事前定義構造(20)にアクセスする構成要素(81)であって、少なくとも1つの宿主が、複数のバイオマーカーに関連づけられた構成要素と、
前記検査対象バイオマーカーを前記構造(20)にマップすることによって、宿主セットを識別する構成要素(82)と、
前記宿主にマップされた前記検査対象バイオマーカー(1つまたは複数)の前記検査結果に基づいて、前記宿主セット中の各宿主に宿主値を割り当てる構成要素(83)であって、前記宿主値が、第2の分解能の値で与えられる構成要素と、
前記宿主セットおよび前記割り当てられた宿主値を示す入力データを、前記臨床判断サポートを生じるコンピュータベースの決定エンジン(13)への入力用に与える構成要素(84)と
を備えるシステム。
【請求項16】
前記検査結果に関する患者固有バックグラウンドデータに基づいて、前記検査結果または前記宿主値をスケーリングする構成要素(16)をさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記コンピュータベースの決定エンジン(13)をさらに備える、請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
前記検査結果を生成する構成要素(11)をさらに備える、請求項15、16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記検査結果を生成する前記構成要素(11)が、好ましくは体外IgE抗体検出技術(vitro IgE ab detection technology)を用いて、バイオマーカーの事前定義サブセットを検査するように特に設計された(designed)分析機器(analytical instrument)を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記構成要素(11、80〜84)が単一装置(unitary device)に統合(integrated)される、請求項15から19のいずれか一項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−511297(P2011−511297A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545826(P2010−545826)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/SE2009/000073
【国際公開番号】WO2009/099379
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(506329801)ファディア・アクチボラグ (7)