説明

自動つめもみ器

【課題】医療福祉分野において自律神経の働きを整えるため爪の生え際に物理的刺激を効果的に自動的に与える簡単構造の自動つめもみ器を提供する
【解決手段】外リングとその内側に内リングを配置し、外リング内周部と内リングの外周部との間に指又は爪部を挿入して揉むものであって、内リング内に、その内周に沿って回転可能に装着し、外リングの中心部に軸芯を位置させた回転軸に対して、偏心し且つ傾倒して固定接続した偏心傾倒円板を設け、偏心傾倒円板に固定した回転軸を回転駆動ギヤードモータに装着したことを第一の特徴とする自動つめもみ器。
外リングの内周部と内リングの外周部に弾性材を配設し、外リングは、内リングとは連結部を持たないで単独に且つ、弾性的に浮動支持することを第二の特徴とする自動つめもみ器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動つめもみ器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近は、鍼、灸、マッサージなどの東洋医学が欧米でも注目されつつある。
本発明が対象とする爪の生えぎはのマッサージは、爪の生え際にある位置の(2箇所)ツボ(井穴)を刺激(爪 もみ 指圧)することで自律神経を整え体の免疫が高まり、身体の諸症状に著しい治療効果のあることが期待できると医学的にも注目され、又、健康を維持する為にも効果が期待できると言われている。
一般に、爪もみ指圧を手で実践する場合には、親指と人差し指で指圧する指の爪の生えぎはをつまんで行なうが、指では疲れるため効果的に指圧し難い。
そこで機械を利用した指先刺激法としてエクボ株式会社から近赤外線を爪の生え際に照射する指先刺激装置に関する発明が出願(特開2006-166959、特開2007-159684、特開2007-7449)され、世界初の爪揉みロボット「暖ぼ〜る」として商品化された。プライヤに類似した器具で指を挟み込むことで刺激を与える方式(特開2007-125335)や、やや複雑なリンク機構を応用した方式(特開2006-181178)もある。プライヤ方式は容易なため、東京女子医科大学付属研究所講師考案の「爪揉み太郎」として市販されている。
【特許文献1】特開2006−166959号公報
【特許文献2】特開2007−159684号公報
【特許文献3】特開2007−7449号公報
【特許文献4】特開2007−125335号公報
【特許文献5】特開2006−181178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、手技によるものは実施することが面倒であり、また複雑なリンク方式や簡単なプライヤ方式の市販品では自動的に爪揉みすることは困難である。
本発明は、前記のように医療福祉分野において自律神経の働きを整えるため、太さの異なる指でも適当な隙間を選択してそこに指を挿入するだけで爪の生え際に物理的刺激を効果的に自動的に与える簡単構造の自動つめもみ器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)、外リング100とその内側に内リング200を配置し、外リング100内周部と内リング200の外周部との間に指又は爪部を挿入して揉むものであって、
内リング内に、その内周に沿って回転可能に装着し、外リングの内側に軸心401を位置させた回転軸400に対して、偏心し且つ傾倒して固定接続した偏心傾倒円板300を設け、偏心傾倒円板300に固定した回転軸400を回転駆動ギヤードモータ500に装着したことを第一の特徴とする自動つめもみ器。
(2)、外リング100の内周部と内リング200の外周部に弾性材110、220を配設し、外リング100は、内リング200とは連結部を持たないで単独に設け、且つ、弾性的に浮動支持することを第二の特徴とする自動つめもみ器。
【発明の効果】
【0005】
即ち、本発明の自動つめもみ器は、上記構成により、浮動支持の外リング内で、内リングは、偏心傾倒円板の三次元的回転動作により回転させないで、複雑な三次元的動作を行わしめることが出来るため、回転することのない内リングと外リング間に爪や指をその太さ等に影響されず安全に簡単に挿入することができ、しかも挿入した爪や指に対して偏心傾倒円板の回転で内リングの三次元的な押圧揉み作動を自動的に行わせて、物理的刺激を効果的に与えることが出来るものである。
従って、急激に爪が動かされるようなことがないため、指等に過大な力が加わらず、指の筋や筋肉又は骨等を損傷させることがない。またモータに過大な負荷が加わらないので、本機器自体を損傷させるようなこともない。
更に、本発明の自動つめもみ器は、外リングの内径と内リングの外径との相対関係や偏心傾倒円板の回転中心位置を外リングの内側の任意の関係位置に設定することにより、弾性的に浮動する外リングの内周面と、内リングの外周面とが形成する間隙関係の変化パターンを所望のものに変化させることができる。また偏心傾倒円板の偏心の程度や傾倒の程度、更には回転軸の回転速度等を任意に調整することが出来る。これ等により前記した自動的な物理的刺激の強弱や速さを自在に変化させることが出来る柔軟さを有するものである。
更に本発明の自動つめもみ器は、簡単なコンパクトな前記構造であるため、製作が容易であり、携帯ができ何時でも何処でも誰にでも容易に爪揉み指圧が即効果的に実践できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の自動つめもみ器の最良の形態を以下の実施例1のより詳細に説明する。
【実施例1】
【0007】
図1〜図3に本発明の1実施例を紹介する。
本例の自動つめもみ器は、外リング100とその内側に内リング200を自由配置し、内リング200内に偏心傾倒円板300を装着し、偏心傾倒円板300に回転軸400を接続固定し、回転軸400を回転駆動ギヤードモータ500に装着したものである。
前記外リング100は、内リング200とは連結部を持たないで単独に設け、且つ、ベース600の上にゴムベルト700により弾性的に浮動可能に取り付け支持してある。
前記偏心傾倒円板300は、軸受け410で回転可能に支持した回転軸400に対して、偏心し且つ傾倒して固定接続してあり、内リング200内に、その内周に沿って外周面を位置し且つ回転可能に装着してある。
前記回転軸400は、外リング100の内側に軸芯401を位置させてある。
外リング100の内周部と内リング200の外周部には各々弾性材110、220を配設してある。
弾性材110は連続した波状突起、或いは不連続突起にして外リング100の内周面に沿って配列し、弾性材220は連続した波状突起、或いは不連続突起にして内リング200の外周面に沿って配列してあり、爪の生え際になる指部に局部的に強い押し圧を与えるようになっている。また弾性材110、220の突起は大きさや硬さが不揃いのものを配列し自由に選択可能にしてもよい。
静止した状態の外リング100の内周面と内リング200の外周面により形成する、間隙パターンが偏心傾倒円板300による内リング200の支持のため、図3に示す正面図のようにラジアル方向に斬増・斬減変化の変則的な間隙変化パターンになっているから、外リング100とその内側の内リング200間への指の挿入は、その太さに応じて、挿入可能な間隙部に挿入することが出来る。
挿入後の回転駆動ギヤードモータ500駆動による爪マッサージは、前記外リング100が、内リング200とは連結部を持たないで単独に設け、且つ、ベース600上にゴムベルト700により弾性的に浮動支持してあるから、爪部の指等に過大な力が加わらず、指の筋や筋肉又は骨等を損傷させることがなく、またモータに過大な負荷が加わらないので、本機器自体を損傷させるようなこともなく、極めて安全に行うことが出来る。更に内リング200が偏心傾倒円板300の回転により上下、左右、前後等の三次元的に複雑に動作をするので爪もみ指圧が即効果的に実践できるのである。
つまり、偏心傾倒円板300の回転中心軸は、偏心傾倒円板300の円心からオフセットしているだけでなく、回転軸400の軸芯401に対してやや傾けている。偏心傾倒円板300は回転軸400に止めねじ等で固定しているので回転軸400と一体に回転する。そのため回転軸400を回転させると偏心傾倒円板300の外周は複雑な触れ回りをおこない、偏心による指を圧迫する方向の運動(図2では鉛直方向Yの運動)と、傾斜して取り付けたことによる指の骨軸方向(図2では水平方向Xの運動)の運動を同時に行なうことができる。一方、偏心傾倒円板300に転がり軸受330で内リング200を取り付けることで、偏心傾倒円板300の複雑な運動の中から、偏心傾倒円板300の円周方向の回転方向速度成分(図2では紙面に垂直な速度)だけを取り除くことができる。そのため指を隙間に挿入しても、偏心傾倒円板300の回転方向に擦られることなく指先を効果的かつ滑らかに押圧刺激することができる。
回転駆動ギヤードモータ500は制御部800で回転始動・停止を行い、タイマ−801を組み込むことで押圧刺激時間は自由に設定可能であり、モ−タの回転始動・停止を組み合わせた運転パタ−ンを運転パターン設定器802に設定しておけば、押圧刺激したい指の数だけ繰返すことができる。利用者はモ−タ500の停止している時間にそれまで押圧刺激していた指を抜いて、次に押圧刺激したい指に入れ替えることで、すべての指を簡単に押圧刺激することができる。モーター500の回転速度も制御部800の速度設定器803で変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明の自動つめもみ器は、前述の優れた効果を有するため、医療機関や一般家庭などで簡易に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の自動つめもみ器の1実施例を示す側面説明図である。
【図2】図1の自動つめもみ器に爪マッサージをする指を挿入した際の要部を縦断面して示す説明図である。
【図3】図1の矢視A−Aからの正面説明図である。
【符号の説明】
【0010】
100 外リング
200 内リング
300 偏心傾倒円板
400 回転軸
500 回転駆動ギヤードモータ
401 軸芯
110、220 弾性材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外リング100とその内側に内リング200を配置し、外リング100内周部と内リング200の外周部との間に指又は爪部を挿入して揉むものであって、
内リング200内に、その内周に沿って回転可能に装着し、外リング100の内側に軸芯401を位置させた回転軸400に対して、偏心し且つ傾倒して固定接続した偏心傾倒円板300を設け、偏心傾倒円板300に固定した回転軸400を回転駆動ギヤードモータ500に装着したことを特徴とする自動つめもみ器。
【請求項2】
外リング100の内周部と内リング200の外周部に弾性材110、220を配設し、外リング100は、内リング200とは連結部を持たないで単独に設け、且つ、弾性的に浮動支持することを特徴とする請求項1に記載の自動つめもみ器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−213780(P2009−213780A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62961(P2008−62961)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)
【Fターム(参考)】