説明

自動イムノアッセイシステムを用いる使用のための発熱性試験

【課題】本発明は、自動イムノアッセイシステムにおける使用のための、改善された発熱性試験を提供すること。
【解決手段】ここでは、サンプルは、好ましくは、発熱物質を含まない抗サイトカイン抗体でコーティングされた表面を含有している、発熱物質を含まないアッセイシステムにおいて単球含有試薬とともにインキュベートされる。本発明はまた、これらの試験における使用のための、発熱物質を含まない抗体でコーティングされた、発熱物質を含まないアッセイシステムに関する。本発明はまた、白血球による炎症性の応答の内因性のメディエータ−の基底の産生を測定するための試験、および刺激に応答する白血球の能力を測定する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体において本明細書中で参考として援用されている、1999年12月3日に提出された、仮出願番号第60/168,972号による優先権を請求する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、自動イムノアッセイシステムにおける使用のための、改善された発熱性試験に関する。ここでは、サンプルは、好ましくは、発熱物質を含まない抗サイトカイン抗体でコーティングされた表面を含有している、発熱物質を含まないアッセイシステムにおいて単球含有試薬とともにインキュベートされる。本発明はまた、これらの試験における使用のための、発熱物質を含まない抗体でコーティングされた、発熱物質を含まないアッセイシステムに関する。本発明はまた、白血球による炎症性の応答の内因性のメディエーターの基底の産生を測定するための試験、および刺激に応答する白血球の能力を測定する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
特定の化学的または生物学的な化合物が、ヒトまたは他の哺乳動物の循環システムと接触させられる場合には、これらは、体温における上昇、すなわち、発熱によって特徴付けられる全身性の応答を生じる。このような材料は、「発熱物質」または「発熱性」の化合物と呼ばれる。発熱性の特定の危険性を有する化合物としては、吸入され得るか、注射され得るか、または注入され得る医学的な産物、および膜または移植される材料のような医学的なデバイスが挙げられる。栄養素もなお、発熱性の危険性を示し得る。産物自体またはその産物の副生成物の発熱性の性質に加えて、産物の細菌混入が、しばしば、発熱性を生じ得る。この問題は、産物が熱または化学的な方法によって「滅菌される」場合にもなお、維持される。なぜなら、細菌の主な発熱性成分である内毒素(または細胞壁リポポリサッカライド)は、細菌が死滅させられた後にも残り得るからである。
【0004】
通常は、発熱物質として作用する化合物は、組織、細胞、または体液との接触の後での単球中でのサイトカインの産生によってそのように作用する。これは、罹患した器官において発熱応答を生じる、これらの内因的に産生されるサイトカインである。最も重要な公知の発熱を生じるサイトカインは、タンパク質である、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−1ra(IL−1ra)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、および腫瘍壊死因子(TNF)、ならびに低分子量の脂質メディエーター(例えば、プロスタグランジンE2(PGE2))である。これらの化合物は、ELISAまたは酵素結合免疫吸着アッセイ(LI−1、LI−6、またはTNFについて)、およびEIA、または酵素イムノアッセイ(PGE2について)によって慣例的にアッセイされる。
【0005】
非経口的に投与される任意の薬物または薬学的産物の発熱反応を回避しそして安全性を確実にするために、発熱物質の混入は、細菌が混入している個体のロットを同定するためにモニターされなければならない。2つの薬理学的な方法である、Limulus変形細胞溶解物(LAL)試験およびウサギの発熱物質の試験が、大量生産された薬学的産物中への発熱物質の混入をモニターするために、現在日常的に使用されている。
【0006】
ウサギの試験は、インビボでの試験であり、これは、統計学的に有意な数のウサギに化合物を注射すること、および試験動物中で誘発される体温の平均的な上昇を観察することからなる。ウサギの試験は、広範なスペクトルの発熱性因子(細菌の内毒素を含む)に対して応答であるが、ウサギの試験は、他の発熱物質の試験(LAL試験については、pgの内毒素/ml)と比較して、比較的低い感受性(ngの内毒素/ml)を有する。さらに、化合物に応答する発熱性応答の種間での相関関係は、良くても粗い。例えば、発熱性応答を誘発する細菌の内毒素の用量が、種間で10,000倍程度変化することが報告されている。ウサギの試験はさらに、適切な投与のために1から2日を要するという欠点を有する。動物試験に関係している、高価な、比較的非感受性であり、そして倫理上の問題点によって、ウサギの試験が最近嫌われるようになっている。
【0007】
発熱を引き起こす化合物の中で、最も良く記載されるものの1つが内毒素(リポポリサッカライド、LPS)であり、これは、グラム陰性細菌の細菌壁に由来する(Moltzら、Neurosci.Biobehav.Rev.,1993,17、237−269;Tildersら、Psychoneuroendocrinology、1994、19、209−232;Rothwell、Crit.Rev.Neurobiol.,1994,8,1−10;ZeisbergerおよびRoth、Neuropsychobiology、1993、28、106−109)。従って、これは、内毒素についての直接的なLAL試験を用いて、高価でありそして時間のかかるウサギの実験を置き換えるために有用であると一般的に考えられている。このアプローチは、明らかな限界を有する。LAL試験は、非常に敏感なインビトロでの試験である;しかし、これは、グラム陰性細菌に由来する内毒素のみを検出し、そして発熱性のサイトカインを作成するように単球をなお刺激し得る特定の産物を用いた場合には、偽陰性の結果を生じる。LAL試験はまた、血液または血液成分中に存在している内毒素結合成分によっても変更される(Harrisら、J.Lab.Clin.Med.,1991、118、186−193;Emancipatorら、1992、Infect.Immun.,60、596−601;Readら、Eur.Heart J.,1993,14,125−129)。これらの内毒素結合成分のいくつかは、LPSに結合し、そしてそれが検出されることを妨げる。これらの成分はまた、単球との免疫反応(すなわち、最初の発熱反応)に影響を与え得る。この妨害は、問題がある。なぜなら、血液産物中の外因性の発熱物質についての試験は、臨床的なセッティングにおいてこれらの産物の安全な投与を確実にするために必須であるからである。一方、Limulus試験は、産物の量に無関係であるという不純物に起因して、これが容易に擬陽性の結果を生じる傾向にあるように、感受性である(Fujiwaraら、Yakugaku Zasshi、1990、110,332−340)。
【0008】
サイトカインが、エキソビボで内毒素が添加された場合に全血によって産生されることが、観察されている。全血のSal.minnesotaリポポリサッカライドとの6時間のインキュベーションの後で、IL−1βおよびTNF−αの増大が、ELISAによって培養物中で検出され得た(M.B.Finchら、「Cytokine Production In Whole Blood
ex vivo」、Agents & Actions 34:49−52(1991)、C.E.Deschら、「Production of Human Tumor Necrosis Factor from Whole Blood Ex Vivo」、Lymphokine Rsrch.,8:141−46(1989))。さらに、培養された単球細胞株もまた、E.coli内毒素とともにインキュベートされた場合に、LI−1βおよびIL−6を産生することが観察されており、そしてこのような細胞株が、有効な発熱物質の試験として使用され得ることが示唆されている(Taktakら、「Assay of Pyrogens by Interleukin−6 Release from Monocytic Cell Lines」、J.Pharm.Phamacol.143:578−582(1991))。
【0009】
米国特許第5,891,728号は、単球および他の白血球からのサイトカインの放出のために、可能性のある発熱性材料のサンプルとヒトの全血とを接触させる方法を記載している。この手順の利点は、完全な生物学的な試薬(全血)の使用によって、試験サンプル中の発熱性因子に対するヒトまたは他の哺乳動物の暴露の評価を可能にするという点である。白血球(例えば、LPSレセプター結合タンパク質−−LBP、可溶性のCD14など)との外因性の発熱性因子の相互作用を必要とする全血成分が存在する。試験容器中でのサンプルの全血とのインキュベーションの後、インキュベーション混合物は遠心分離され、明澄化され、そして別のイムノアッセイ工程において分泌されたサイトカインの存在についてアッセイされる。
【0010】
この試験方法は、LAL試験を上回る改善であり、そして内毒素以外の多数の種々の可能性のある外因性の発熱物質を検出するが、産業的な規模でのその使用を妨げるかまたは厳しく制限するいくつかの欠点を有する。試験材料とともに血液を培養する工程、およびサイトカインの産生について培養物をアッセイする工程の2つの工程が、別々の容器中で行われ、これによって、培養された材料がイムノアッセイのために新しい容器に移されることを必要とする。これらの別々の工程によって必要とされる材料の移動は、現在の質のコントロールアッセイの要件を利用しては容易には行われない。発熱物質の試験は、通常は(そして好ましくは)、発熱物質の混入について薬学的産物の多数のロットを試験することと同時に行われる。従って、単一のアッセイ容器システム中で行われ得、そして、発熱物質を検出する生物学的試薬とのサンプルのインキュベーションの工程と、生物学的な試薬によって産生されるサイトカイン(単数または複数)の捕捉とを組合せる、発熱性試験の必要性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
出願人らは、発熱応答を生じ得る任意の発熱物質(すなわち、グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌に由来する内毒素、ならびに非リポポリサッカライド材料)を非常に敏感に検出し、そして高価ではない、インビトロでの発熱物質の試験を開発した。一般的には、本発明は、以下の工程によって、サンプル中の発熱物質を検出する方法を記載する:サンプルを、発熱物質を含まない抗サイトカイン抗体でコーティングされた表面を含有している発熱物質を含まないアッセイシステムにおいて単球含有試薬とともにインキュベートする工程、およびコーティング抗体によって表面に結合させられたサイトカインの存在についてアッセイシステムを評価する工程。
【0012】
本発明の好ましい実施態様においては、単球含有試薬として、全血(例えば、ヒトの全血)が挙げられる。単球含有試薬としてさらに、抗凝固性物質または希釈剤、あるいはそれらの両方が挙げられる。
【0013】
本発明の発熱物質の試験の好ましい実施態様においては、このアッセイシステムにおいてアッセイされるサイトカインは、インターロイキン−1、インターロイキン−1ra、インターロイキン−6、インターロイキン−8、腫瘍壊死因子−α、またはプロスタグランジンE2である。
【0014】
本発明の発熱物質の試験の好ましい実施態様においては、アッセイシステムはマイクロタイターウェルであり、そして抗体でコーティングされるその表面は、マイクロタイターウェルの内部の部分である。
【0015】
本発明の発熱物質の試験の好ましい実施態様においては、発熱物質を含まないアッセイシステムが、アッセイシステムの表面上にコーティングされた抗サイトカイン抗体に結合したサイトカインについての、比色酵素結合免疫吸着アッセイによってアッセイされる。
【0016】
本発明はまた、発熱物質を含まない抗サイトカイン抗体でコーティングされた表面を含有している、発熱物質を含まないアッセイシステムを記載する。本発明の好ましい実施態様においては、アッセイシステムは、マイクロタイターウェルである。ここでは、サイトカインに対する発熱物質を含まない抗体が、マイクロタイターウェルの内部の部分をコーティングする。より好ましい実施態様においては、ウェルは、ウェルの並びが自動イムノアッセイプレート読み取り装置で読み取られ得るように配置された、同じようなウェルの平面の並びの一部である。本発明のアッセイシステムの好ましい実施態様においては、それに対して抗体が結合するサイトカインは、インターロイキン−1、インターロイキン−1ra、インターロイキン−6、インターロイキン−8、腫瘍壊死因子−α、またはプロスタグランジンE2である。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1) 以下の工程を包含する、サンプル中の発熱物質を検出する方法:
a)発熱物質を含まない単球含有試薬、および試験されるサンプルを、発熱物質を含まないアッセイシステム中で混合する工程であって、ここで、該アッセイシステムは、サイトカインに対する発熱物質を含まない抗体で処理された少なくとも1つの表面を含む、工程;ならびに
b)該表面上の抗体に結合したサイトカインの存在についてアッセイシステムをアッセイする工程であって、それによって該表面に結合したサイトカインの上昇したレベルが試験されるサンプル中の発熱物質の存在を示す、工程。
(項目2) 前記単球含有試薬が全血を含む、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記単球含有試薬が希釈剤をさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目4) 前記単球含有試薬が抗凝固剤をさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目5) 前記単球含有試薬が希釈剤をさらに含む、項目4に記載の方法。
(項目6) 前記希釈剤がRPMI培地である、項目3に記載の方法。
(項目7) 前記全血がヒトの全血である、項目2に記載の方法。
(項目8) 前記サイトカインが、インターロイキン−1、インターロイキン−1ra、インターロイキン−6、インターロイキン−8、腫瘍壊死因子−α、およびプロスタグランジンE2からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目9) 前記サイトカインがインターロイキン−6である、項目8に記載の方法。
(項目10) 前記アッセイシステムが、少なくとも1つのマイクロタイターウェルを含み、そして抗体がその上に適用される前記表面が、該マイクロタイターウェルの内部の部分である、項目1に記載の方法。
(項目11) 前記マイクロタイターウェルが、ポリスチレンまたはポリプロピレンから作成される、項目10に記載の方法。
(項目12) 前記アッセイシステムが、前記サイトカインについての比色酵素結合免疫吸着アッセイによってアッセイされる、項目1に記載の方法。
(項目13) 前記アッセイシステムが、前記サイトカインについての放射標識されたイムノアッセイによってアッセイされる、項目1に記載の方法。
(項目14) 前記アッセイシステムが、前記サイトカインについての蛍光標識イムノアッセイによってアッセイされる、項目1に記載の方法。
(項目15) 前記発熱物質を含まない抗体がポリクローナル抗体である、項目1に記載の方法。
(項目16) 前記発熱物質を含まない抗体がモノクローナル抗体である、項目1に記載の方法。
(項目17) 前記サンプルが、注射または注入のための医薬品である、項目1に記載の方法。
(項目18) 前記サンプルが血液産物である、項目1に記載の方法。
(項目19) サイトカインに対する発熱物質を含まない抗体でコーティングされた表面を含む、発熱物質を含まないアッセイシステム。
(項目20) 前記アッセイシステムがさらに、少なくとも1つのマイクロタイターウェルを含み、そして前記発熱物質を含まない抗体が提供される前記表面が、該マイクロタイターウェルの内部の部分である、項目19に記載の発熱物質を含まないアッセイシステム。
(項目21) 前記ウェルが、ポリスチレンまたはポリプロピレンから作成される、項目20に記載の発熱物質を含まないアッセイシステム。
(項目22) 前記ウェルが、ウェルの並びが自動読み取り装置で読み取られ得るように配置された、該同様のウェルの平面の並びの一部である、項目20に記載の発熱物質を含まないアッセイシステム。
(項目23) 前記サイトカインが、インターロイキン−1、インターロイキン−1ra、インターロイキン−6、インターロイキン−8、腫瘍壊死因子−α、およびプロスタグランジンE2からなる群より選択される、項目19に記載の発熱物質を含まないアッセイシステム。
(項目24) 前記サイトカインがインターロイキン−6である、項目19に記載の発熱物質を含まないアッセイシステム。
(項目25) 前記発熱物質を含まない抗体がポリクローナル抗体である、項目19に記載の発熱物質を含まないアッセイシステム。
(項目26) 前記発熱物質を含まない抗体がモノクローナル抗体である、項目19に記載の発熱物質を含まないアッセイシステム。
(項目27) 以下の工程を包含する、サンプル中の発熱物質を検出する方法:
a)発熱物質を含まない単球含有試薬、および試験されるサンプルを、発熱物質を含まないアッセイシステム中で混合する工程であって、ここで、該アッセイシステムは、炎症性の応答の内因性のメディエーターに対する発熱物質を含まない抗体で処理された少なくとも1つの表面を含む、工程;ならびに
b)該表面上の抗体に結合した該メディエーターの存在についてアッセイシステムをアッセイする工程であって、それによって該表面に結合したメディエーターの上昇したレベルが試験されるサンプル中の発熱物質の存在を示す、工程。
(項目28) 前記炎症性の応答の内因性のメディエーターが内毒素である、項目27に記載の方法。
(項目29) 以下の工程を包含する、刺激に対して反応する白血球の能力を測定する方法:
a)発熱物質を含まない白血球含有試薬、および刺激を、発熱物質を含まないアッセイシステム中で混合する工程であって、ここで、該アッセイシステムは、炎症性の応答の内因性のメディエーターに対する発熱物質を含まない抗体で処理された少なくとも1つの表面を含む、工程;ならびに
b)該表面上の抗体に結合した該メディエーターの存在についてアッセイシステムをアッセイする工程であって、それによって該表面に結合した該メディエーターの上昇したレベルが該刺激に対する白血球の応答を示す、工程。
(項目30) 前記刺激が、内毒素、感染性の因子、ワクチン、アジュバント、および薬物からなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目31) 前記白血球含有試薬がヒトの全血を含む、項目29に記載の方法。
(項目32) 前記炎症性の応答の内因性のメディエーターがサイトカインを含む、項目29に記載の方法。
(項目33) 以下の工程を包含する、白血球による該炎症性の応答の内因性のメディエーターの基底の産生を測定する、方法:
a)発熱物質を含まないアッセイシステムに、発熱物質を含まない白血球含有試薬を添加する工程であって、ここで、前記アッセイシステムが、該炎症性の応答の内因性のメディエーターに対する発熱物質を含まない抗体で処理された少なくとも1つの表面を含有している、工程;および
b)該表面上に結合した該メディエーターの存在について該アッセイシステムをアッセイする工程であって;それによって、該表面に結合したメディエーターの量によって白血球による該炎症性の応答の内因性のメディエーターの基底の産生を示す、工程。
(項目34) 前記白血球含有試薬がヒトの全血を含む、項目33に記載の方法。
(項目35) 前記炎症性の応答の内因性のメディエーターが、サイトカインを含む、項目33に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、ジアスピリンで架橋されたヘモグロビン(DCLHb)(登録商標)が試験サンプル中のヒトの血清アルブミンの代わりに使用されたことを除いて、実施例2に記載されているように、USP内毒素で刺激されたヒトの全血のエキソビボでのIL−6応答のチャートである。サンプルが一晩インキュベートされ、そして単一のドナーに由来する血液が使用された。このチャートは、試験感受性に対する最終血液濃度の影響を示す。非常に低い内毒素サンプルに対するより活発な応答が、50%の最終容量試験において見られるが、20%の最終容量での試験は、広範な範囲の内毒素濃度にわたって匹敵する応答を提供する。
【図2】図2は、実施例3に記載されているように、USP内毒素で刺激されたヒトの全血のエキソビボでのIL−6応答のチャートを示す。3人のドナーに由来する血液が、約20%の最終濃度に希釈され、そしてサンプルが、一晩インキュベートされた。このチャートは、本発明の試験方法に対するドナーの影響を示す。種々のドナーによるヒトの全血のインキュベーションによって作成されたIL−6の絶対的な量は、相当変化する(高い内毒素濃度で100%)が、用量応答曲線の形状は、全てのドナーについて非常に類似している。このチャートは、本発明の方法によって、または試薬としてヒトの全血を利用する任意の方法によって作成されたデータを解釈するために、公知の内毒素濃度から標準曲線を作成することの重要性を説明する。
【図3】図3は、実施例4に記載されているように、USP内毒素で刺激されたヒトの全血のエキソビボでのIL−6応答のチャートを示す。単一のドナーに由来する血液を、最終容量約20%で使用した。このチャートは、種々の内毒素濃度についての、IL−6の最終濃度に対するインキュベーション時間の影響を示す。約6時間後に、最少のさらなるIL−6が、全血溶液中で単球によって生成される。有意な量のIL−6が、4時間のインキュベーション時間の後で、全ての濃度で生成される。2時間のインキュベーション時間では、所望されるレベルのIL−6は生成されない。
【図4】図4は、実施例5に記載されるように、USP内毒素で刺激したヒトの全血のエキソビボでのIL−6応答のチャートを示す。単一のドナーに由来する血液が、約20%の最終濃度に希釈され、そして4時間のインキュベーション時間が使用された。このチャートは、米国特許第5,891,728号に記載される「2プレートアッセイ」、および本発明の「1プレートアッセイ」を用いて得られた結果を比較する。これらの結果から示されるように、1プレートアッセイは、同じ条件下で行われた場合には、2プレートアッセイよりも、はるかにより敏感である。
【図5】図5は、実施例6に記載されるように、USP内毒素で刺激されたヒトの全血のエキソビボでの、IL−6、TNFα、およびIL−1β応答のチャートを示す。単一のドナーに由来する血液が、約20%の最終濃度に希釈され、そして4時間のインキュベーション時間が使用された。このチャートは、米国特許第5,891,728号に記載される「2プレートアッセイ」において、4時間の間に放出されたサイトカインの量を比較する。
【図6】図6は、実施例7に記載されるように、LSPおよびLOS内毒素で刺激されたヒトの全血のエキソビボでの、IL−8応答のチャートを示す。2人のドナーに由来する血液が、約50%の最終濃度に希釈され、そしてサンプルが4時間インキュベートされた。このチャートは、本発明の試験方法に対するドナーの影響を示す。種々のドナーによるヒトの全血のインキュベーションによって作成されたIL−8の絶対的な量は、相当変化するが、用量応答曲線の形状は、両方のドナーについて非常に類似している。このチャートは、本発明の方法によって、または試薬としてヒトの全血を利用する任意の方法によって作成されたデータを解釈するために、公知の内毒素濃度から標準曲線を作成することの重要性を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(定義)
本明細書中で使用される場合には、用語「発熱物質を含まない」は、実質的に発熱物質の混入を含まないことを意味し、その結果、バックグラウンドのサイトカインの産生は、本発明の方法の特定の適用のために所望される検出感受性を可能にするように十分に減少させられる。従って、本発明のアッセイシステムにおいて許容される発熱物質の混入の量は、試験される特定の品目によって変化する。例えば、大きな容量の注射のための血液産物および溶液は、非常に低いレベルの発熱物質を有さなければならない(<0.25EU/ml)。従って、本発明の方法がこれらの産物を試験するために使用される場合には、アッセイシステムは、0.06EU/mlの混入容量よりも多くの発熱物質の混入は有さない。注射のための薬理学的材料をスクリーニングすることにおける一般的な使用のためには、好ましくは、発熱物質を含まないアッセイシステムは、0.25EU/mlの混入容量よりも多くの発熱物質の混入は有さず、より好ましくは、0.06EU/mlの混入容量よりも多くの発熱物質の混入は有さず、より好ましくは、0.03EU/mlの混入容量よりも多くの発熱物質の混入は有さず、そして最も好ましくは、0.0125EU/mlの混入容量よりも多くの発熱物質の混入は有さない。
【0019】
用語「単球含有試薬」は、免疫系の単球性白血球の任意の溶液を意味する。好ましくは、これらの細胞は、試験される産物がそれらに投与される生物体(すなわち、薬学的産物については、ヒト、獣医学的産物については、ネコ、イヌ、ウマなど)に由来する。単球含有試薬の一例は、ヒトの全血である。
【0020】
用語「白血球含有試薬」は、免疫系の白血球の任意の溶液を意味する。白血球含有試薬の一例は、ヒトの全血である。
【0021】
用語「アッセイシステム」は、イムノアッセイにおいて使用され得る、結合させられた抗体を有する任意の容器および表面を意味する。好ましくは、このような容器は、ウェル中の表面に結合された抗体を有するマイクロタイターウェルプレートである。ここでは、多数の比色酵素結合イムノアッセイが並行して行われ、そしてELISAプレート読み取り機械によって自動的に評価され得る。しかし、特に、そのコーティングされた表面が必ずしも容器の壁面の一部でないシステムが、特に想定される。例えば、抗体によってコーティングされたポリスチレンビーズまたは計量棒を含むより大きな試験チューブが、本発明において使用され得る。
【0022】
(発明の詳細な説明)
発熱物質は、血液の単球(ならびに他の白血球)およびマクロファージを刺激して、炎症性応答の多数の内因性の発熱性メディエーター(サイトカイン(例えば、TNF−α、LI−1β、およびIL−6)を含む)を産生しそして放出する。これらの発熱性のメディエーターの循環への放出は、罹患した個体中での発熱応答を導く事象のカスケードを誘発する。本発明のインビボでの発熱物質の試験は、発熱応答のためのマーカーとしてのこれらの内因性の発熱物質の測定による。本発明の好ましい発熱物質の試験においては、サンプルは、発熱物質を含まない抗サイトカイン抗体でコーティングされた表面を含有している発熱物質を含まないアッセイシステムにおいて、単球含有試薬とともにインキュベートされる。そしてこのアッセイシステムは、抗体をコーティングすることによって表面に結合したサイトカインの存在についてアッセイされる。
【0023】
本発明の発熱物質の試験は、先に記載されている「2プレート」アッセイよりも敏感であることが示されている。図4を参照のこと。LAL試験の検出限界である、0.03EU/mlでは、2プレート試験は、バックグラウンドを上回ってかろうじて検出可能である、IL−6の増大を生じる(0EU/ml)。しかし、本発明の発熱物質の試験は、0.03EU/mlで明らかに検出可能な増大を生じる。これらの結果は、補間法によって、0.01EU/mlが本発明の試験を使用してなお検出可能であることを示す。発熱物質の最少のレベルを検出する試験の能力は重要である。なぜなら、産物のサンプルは、しばしば、産物に転換すること、および試験による産物の妨害を妨げるために、試験のために希釈されるからである。試験が敏感になればなるほど、試験サンプルの「最大有効希釈」が大きくなる。さらに、本発明の試験は、血液産物中での内毒素の混入のより良好な検出を可能にする。HSAが多くの血液産物の主要な成分であるので、HSAサンプル中の発熱物質の混入を検出する試験の能力は、IL−6シグナルの「スパイク回収」によって示されるように、内毒素が添加される場合(図4を参照のこと)には、本発明の試験が、血液産物を試験することにおける使用に十分に適していることを示す。
【0024】
検出可能である単球含有試薬によって分泌される炎症性応答の任意の内因性のメディエーターが、本発明の発熱物質の試験の基準として使用され得る。しかし、好ましくは、サイトカインまたはエンドセリンマーカーが使用される。なぜなら、それらのサイズに起因して、これらは、本発明の方法によって検出することが容易であるからである。細菌の内毒素とともにインキュベートされた全血中の単球が、以下を含むがこれらに限定されない、いくつかのクラスのサイトカインを産生することが見出されている:プロ−炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−1、IL−6)、抗−炎症性サイトカイン(IL−4、IL−10、IL−13、IL−1ra、TGF)、Th1(IL−2、IFN、IL−12)、Th2(IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−13)、IL−1β、IL−1ra、IL−8、およびPGE2。本発明での使用に好ましいサイトカインマーカーとして、TNF−α、IL−1β、IL−1ra、IL−6、IL−8、およびRGE2が挙げられる。IL−6は、本発明のアッセイのための特に好ましいサイトカインマーカーである。IL−6は、内毒素が発熱性の因子である場合に、比較的短いインキュベーション期間内に検出可能な量で産生される(図2および図5を参照のこと)。免疫反応性のIL−6は、免疫反応性のIL−1βおよびTNFαとは異なり、大量に、細胞馴化培地/血液中にもっぱら分泌される。これによって、その完全な定量が可能である。対照的に、免疫反応性のTNFαおよびIL−1βは、大部分が細胞内に留まり、これによって試験調製物が細胞の透過性に影響を与える可能性が、読み出される場合に、(免疫反応性の)TNFαまたはIL−1βを用いる試験において、IL−6よりも、より容易に干渉することを生じる。それにもかかわらず、TNF−αまたはIL−1βはまた、本発明のサイトカインマーカーとしても使用され得る。TNF−αは、単球の発熱物質の応答においてIL−6よりも早く産生される。従って、TNF−αをアッセイする本発明の実施態様は、IL−6をアッセイする実施態様よりも短いインキュベーション時間(約1時間)を使用する。種々の発熱物質の混入が、細胞培養物中での種々のサイトカイン応答を誘発し得る。従って、本発明は、これらのサイトカインの分泌を生じる特定の発熱物質の混入が薬学的産物についてあり得る場合に、特定のサイトカインの形成を検出するように調整され得る。
【0025】
一旦、アッセイされるサイトカインが決定されると、サイトカインに対する発熱物質を含まない抗体が、本発明における使用のために作成されなければならない。実施例1において概説されるように、ストリンジェントな条件下で精製されたポリクローナル抗体は、発熱物質の試験において十分に働く。ポリクローナル抗体がそれから単離される動物の血液は、天然においては発熱物質を含まない(健康な動物から採取された場合には)ので、当業者は、発熱物質を含まない産物を得るための精製の間に、発熱物質を有さない原材料の混入を単純に防がなければならない。発熱物質を含まない緩衝液および固相は、実施例1に記載されているような発熱物質を含まないポリクローナル抗体を得るために、アフィニティークロマトグラフィーカラム中で使用される。あるいは、ハイブリドーマ培養物に由来するモノクローナル抗体が使用され得る。しかし、モノクローナル抗体を使用する場合には、当業者は、ハイブリドーマ細胞培養物中に存在し得る、任意の混入している発熱物質から抗体を単離することに特に注意しなければならない。
【0026】
本発明での使用のためには、サイトカインに対する発熱物質を含まない抗体が、発熱物質を含まないアッセイシステム中で表面に対して適用される。アッセイシステム(例えば、マイクロタイターウェル)中の表面上へ抗体を結合させるための、コーティングのような方法が、生化学の分野で周知である。多くのアッセイシステムが、商業的に利用可能であり、そして製造業者は通常は、システムの表面上へ抗体をコーティングするための材料および説明書を提供する。読み取りおよび必要とされる少ない容量のサンプルのそれらの容易さに起因して、ウェルの内表面の一部が抗体によってコーティングされるマイクロタイターウェルが、本発明の好ましい実施態様において使用される。本発明の利点を完全に活用するためには、マイクロタイターウェルが、ウェルの並びが自動イムノアッセイプレート読み取り装置で読み取られ得るように配置された、同じようなウェルの平面の並びであるマイクロタイタープレートの一部であることが好ましい(例えば、本明細書中で参考として援用されている、米国特許第5,281,540号を参照のこと)。ELISAプレートリーダー(例えば、Bio−Rad Laboratories、Inc.,から入手可能である、Ultramark Microplate Reader)のような自動化された装置は、アッセイの評価プロセスを自動化し、そして1回の試験あたりのコストを大きく減少させる。マイクロタイターウェルプレートは、発熱物質を含まず(そのようにすでに供給されていない場合には)、そして発熱物質を含まない緩衝液での十分な洗浄によって本発明での使用のために発熱物質を含まない抗体でコーティングされるために適切である。本発明の特に好ましい実施態様においては、発熱物質を含まない抗IL−6ポリクローナル抗体が、ELISAプレートのウェル上にコーティングされる。しかし、他の免疫診断試験形式(例えば、発熱物質を含まない抗体が、計量棒またはビーズ上にコーティングされる形式)が、本発明での使用に受容可能である。
【0027】
「捕捉」抗体に加えて、サイトカインをアッセイすることにおける使用のための他の発熱物質を含まない抗体および試薬が、本発明における使用のための発熱物質を含まないマイクロタイタープレートシステムを作成する場合に、適用され得る。例えば、発熱物質を含まない捕捉抗体がマイクロタイタープレートに適用された後、残存しているプレートの結合部位は、別のタンパク質で「ブロック」され得る。ブロッキング後、発熱物質を含まない標識された検出抗体(例えば、ビオチニル化された抗体)が、保護用のグレージング(glazing)化合物とともにマイクロタイタープレートに適用され得る。従って、以下に記載されるように、サンプルがマイクロタイターウェル中でインキュベートされる場合には、放出されたサイトカインは、ウェルに結合した発熱物質を含まない捕捉抗体によって捕捉され、そしてサンプルのインキュベーション時間の間に同時に抗体を検出することによって標識される。
【0028】
本発明の発熱物質の試験の第1の工程として、単球含有試薬および試験されるサンプルが、アッセイシステム中でインキュベートされる。単球含有試薬中の単球は、好ましくは、試験される産物がそれに対して投与される同じ種に由来する単球である(すなわち、薬学的産物については、ヒト、獣医学的産物については、ネコ、イヌ、ウマなど)。しかし、他の種に由来する所望される発熱物質反応性を有している単球もまた、使用され得る。インビトロでの発熱性物質の試験の好ましい実施態様は、単球含有試薬として全血を使用する。好ましくは、本発明での単球含有試薬としての使用のための血液は新しいもの、すなわち、24時間未満が経過したもの、そしてより好ましくは、4時間未満が経過したものである。全血から単離された単球の溶液は、本発明において生物学的な試薬として使用され得る。しかし、単離手順は、単球によるサイトカインの産生のために初回刺激し得る。これは、擬陽性の結果を導き得る。別のものとして、培養された単球細胞株の溶液が、本発明において使用され得る。しかし、これらの単球細胞株は、発熱物質の刺激に対して全血よりも活発には応答しない傾向にあり、そして数十代の世代の後に、それらのサイトカインの分泌の挙動を失わせ得る。従って、本発明での使用のための単球含有試薬として、ヒトまたは動物の全血を使用することが好ましい。全血が使用される場合には、単球は、それらの天然の環境にあるものであり、そして発熱物質に対するそれらの応答に影響し得る全ての血清成分が、溶液中に存在する。抗凝固剤が、血液の凝固を遅らせるかまたは妨げるために使用され得る。適切な抗凝固剤として、クエン酸(0.38%の最終濃度まで)、ヘパリン(ヘパリン酸ナトリウム)、またはフラグミン(低分子量のヘパリン)が挙げられる。抗凝固剤の添加は、試験サンプル中の発熱物質に対する単球の応答に影響を与えることなく使用され得る。
【0029】
好ましい実施態様においては、全血は、適切な発熱物質を含まない緩衝液または他の希釈剤(例えば、RPMI細胞培養培地または生理食塩水)を用いて稀釈される。全血は、好ましくは、インキュベーションのための最終容量の少なくとも50%まで、より好ましくは、約5%から約25%まで、そしてより好ましくは約20%まで稀釈される(図1を参照のこと)。全血を稀釈することによって、大部分のドナーのIL−6応答曲線が、発熱物質の混入濃度のより広い範囲を定量するために使用され得るコンパクトな範囲に入り得る(図3を参照のこと)。
【0030】
インキュベーション工程の間には、使用される任意の研究室用の設備または試薬は、発熱物質を含まないようでなければならない。試験手順のこの段階での任意の発熱物質の混入は、偽陽性の結果を導き得る。好ましくは、厳しい滅菌条件が、抗体がコーティングされた表面が結合したサイトカインについてアッセイされる前の手順の全ての時点で維持される。単球含有試薬(例えば、ヘパリン化された全血)との試験物質のインキュベーションが、発熱物質を含まないアッセイシステムにおいて直接行われる。本発明の発熱性物質の試験における使用のための最適なインキュベーション時間は、アッセイされるサイトカインに依存して変化する。IL−6については、最少のさらなるサイトカインが、6時間のインキュベーションの後で、単球含有試薬によって産生される(図2を参照のこと)。4時間のインキュベーションの後、発熱物質の混入の定量を可能にするのに十分な量のIL−6が、試薬によって分泌されている。従って、IL−6の産生をアッセイする本発明の実施態様については、約4時間のインキュベーション時間が好ましい。別のサイトカインがアッセイされる場合には、インキュベーション時間は、その特定のサイトカインの産生について最適化されるはずである。このような最適化は、当業者の能力の範囲内である。アッセイされるべきサイトカインが単球によっては放出されない場合には、界面活性剤が、細胞を溶解させるためのインキュベーション時間の終わりに添加され得る。一旦、インキュベーションが完了すると、アッセイシステムが、発熱物質を含まない抗サイトカイン抗体でコーティングされた表面上でのサイトカインの存在についてアッセイされる。捕捉抗体でコーティングされたELISAプレートが、本発明の実施態様として使用される場合には、プレートは洗浄され、そして酵素と結合した第2の抗サイトカイン抗体が、ELISAプレートに対して添加される(第2の標識された「検出」抗体が、グレージング(glazing)の前に、または組織培養の前に試験材料または標準的な内毒素とともに、プレートに最初に添加されない限りは)。ELISAプレートは再び洗浄され、そしてELISAプレートに対する基質の添加によって着色を生じる。短いインキュベーション時間の後、反応が停止させされ、そして溶液の光学密度が、ELISAプレートリーダー上で測定される。このプロセスは、実施例2にさらに記載される。あるいは、非酵素的なイムノアッセイ技術が使用され得る。例えば、イムノアッセイ「サンドイッチ」の第2の抗体が、蛍光部分または放射性同位元素で標識され得る。洗浄後、ウェル中に捕捉されたサイトカインの量が、ウェル中に存在している蛍光または放射線の量を検出することによって定量され得る。いくつかの酵素および非酵素ベースのアッセイシステムが、市販されており、そして当業者によって本発明での使用のために容易に改変され得る。
【0031】
本発明の発熱物質の試験において生成されたサイトカインの産生のデータを適切に解釈するためには、内毒素の標準曲線が、USP標準内毒素とともに単球含有試薬をインキュベートすることによって作成される。この目的は、既知の内毒素について観察される応答に関して試験サンプルについて測定されるサイトカインの産生の応答を定量することである。標準曲線は、標準的な最もよく適合するデータ分析ソフトウェアを利用することによって、標準的な内毒素の有意に変更された濃度を用いて生成される任意の統計学的に有意な数のデータ点から作成され得る。このような標準曲線を作成する方法は、当該分野で一般的に公知である。出願人らは、10、4、1、0.25、0.06、0.03、および0のEU/mlの内毒素のデータ点が標準曲線を作成するために適切であることを見出したが、同様の範囲にわたる任意の統計学的に有意な数の濃度が適切である。一旦、標準曲線が作成されると、同等の内毒素濃度が、標準曲線を使用してサイトカイン応答から補間され得る。全血ベースの単球含有試薬の応答が、それぞれのドナーについて有意に変化し得る(図3を参照のこと)ので、単球含有試薬の特定のロットを用いて行われたアッセイのそれぞれのセットについて標準曲線を作成することが、重要である。しかし、本発明の好ましいELISAプレートの実施態様が非常に少ない量のヒトの血液を利用する(約40μL/ウェル)ので、単一の単位の提供された血液が、数百の試験について使用され得る。USP内毒素を使用して作成された標準曲線が、内毒素の単位との関係に関してデータの正規化を補助する(EU、USP/FDAによって定義された。これは、WHOによって定義されるIU(国際単位)と同一である)。これは、発熱物質の混入を表すための産業上の標準である。
【0032】
本発明の手順は、内毒素に対して非常に敏感である。1mlあたりピコグラムの内毒素の量によって、単球含有試薬によるサイトカインの放出を達成することができる。しかし、内毒素以外の発熱物質もまた、本発明の試験を使用して検出される。例えば、グラム陽性細菌(例えば,Staphylococcus aureus)またはそれらの成分(例えば、ムロペプチド、リポテイコ酸、エンテロトキシン、ストレプトリジン)およびフィトヘマグルチニンまたはホルボールエステルのような免疫刺激因子が、検出される。この試験は、グラム陰性細菌の内毒素にのみ特異的な反応ではなく、多様な発熱物質に対する単球のサイトカイン応答を利用するので、広範なスペクトルの発熱性の因子が、本発明の試験を用いて検出され得る。
【0033】
本発明の1プレートアッセイ方法は、2プレートアッセイを利用する任意の適用において使用され得る。しかし、好ましい実施態様においては、この方法は、薬学的な使用のために種々の産物を試験するために使用される。この試験は、血液産物、および注射または注入のための他の薬学的産物(例えば、緩衝化生理食塩水)を試験するために、特に適切である。ワクチンのような注射のための他の医薬品もまた、本発明の方法を用いて試験するために適切である。
【0034】
本発明の試験方法はまた、白血球の機能を評価するため、および特定の免疫系媒介性疾患を診断するために利用され得る。1つの実施態様においては、白血球含有試薬が、研究中の炎症性応答の種々の内因性のメディエーターの基底の産生についてモニターされる。本明細書中で利用される場合には、「基底の産生」は、発熱性チャレンジには供されていない白血球による炎症性の応答の内因性のメディエーターの産生を意味する。白血球含有試薬(好ましくは、その白血球が評価されているドナーに由来する全血)が、発熱物質を含まない検出抗体とともに、発熱物質を含まないアッセイシステムにおいてインキュベートされる。ここでは、表面は、研究中の炎症性応答の内因性のメディエーターに対する発熱物質を含まない抗体でコーティングされる(上記にさらに詳細に示される)。次いで、発熱物質を含まないアッセイシステムは、発熱物質を含まない抗体に結合した炎症性の応答の内因性のメディエーターについてアッセイされ、そしてメディエーターの基底の産生が、当該分野で一般的に公知である任意の方法によってコントロールサンプルに対してその濃度を比較することによって決定される。
【0035】
炎症性の応答の内因性のメディエーターの基底の産生の検出は、多数の適用において使用され得る。好ましい適用においては、白血球含有試薬中でのIL−6の基底の産生が測定される。IL−6の濃度は、一般的には、ウイルスもしくは細菌感染に供されていないドナーに由来する血液よりも、ウイルスもしくは細菌感染に最近供されたかまたは現在供されているドナーに由来する血液中でより高い。結果として、本発明の方法によるIL−6の測定は、ドナーがウイルスまたは細菌感染によってチャレンジされているか、またはされたかどうかを迅速に決定するための手段を提供する。なお別の好ましい適用においては、白血球含有試薬中のTh1およびTh2サイトカインの基底の産生が、モニターされる。Th1サイトカインは、細胞ベースの免疫を媒介し、そしてTh2サイトカインは、抗体ベースの免疫を媒介する。Th1およびTh2サイトカインの平衡は、感染性の疾患に対する感受性およびその解析を決定し得、そして特定の感染性の因子が、「Th1/Th2スイッチング」として公知のプロセスである、宿主のTh1/Th2平衡を操作する能力を発展させる。多数の疾患(喘息、慢性関節リウマチ、歯周病、らい病、およびリーシュマイア症を含むがこれらに限定されない)は、Th1/Th2スイッチングに関係している。従って、本発明の方法によるTh1およびTh2サイトカインのレベルを迅速に定量する能力は、個体のTh1/Th2状態およびTh1/Th2スイッチングに関係する疾患の可能性のある結果について貴重な情報が得られること、を可能にする。
【0036】
なお別の実施態様においては、白血球含有試薬はまた、刺激でチャレンジされ得、次いで、炎症性応答の内因性のメディエーターの産生についてモニターされ得る。この実施態様においては、白血球含有試薬(好ましくは、その白血球が評価されるドナーに由来する全血)が、発熱物質を含有していない検出抗体とともに、発熱物質を含まないアッセイシステムにおいてインキュベートされる。ここでは、表面は、研究中の炎症性応答の内因性のメディエーターに対する発熱物質を含まない抗体でコーティングされる(上記にさらに詳細に示される)。刺激は、表面上に予めコーティングされるかまたは白血球含有試薬に対して添加され得るかのいずれかであり、そして次いで、表面上に適用され、そして刺激は、好ましくは、LPS、感染性の因子(例えば、生存しているか死亡した細菌、ウイルス、または寄生虫)、ワクチン/アジュバント、または薬物である。次いで、発熱物質を含まないアッセイシステムが、発熱物質を含まない抗体に対して結合した炎症性の応答の内因性のメディエーターについてアッセイされる。この方法は、任意の刺激に対するドナーの免疫応答をモニターするために使用され得るが、特定の刺激でチャレンジされた場合には、ドナーのサイトカイン応答を描く(profile)ために特に適切である。例えば、この方法は、ドナーのサイトカインプロフィールに基づく敗血症/内毒素のショックに対するドナーの感受性を推測するために使用され得る。なぜなら、LPSによる刺激がIL−1と比較して大量のTNF−α(約10:1)の放出を生じる場合には、これは、重篤な細菌感染の結果として敗血症性ショックをドナーが生じる可能性を示唆する。同様に、この方法はまた、ドナーのサイトカインプロフィールに基づくワクチン、アジュバント、または薬物の作用の機構を推測するためにも使用され得る。なぜなら、大量の免疫反応性のTh2サイトカインおよびわずかなTh1サイトカインの応答を刺激する、ワクチン、アジュバント、または薬物は、おそらく、反対の効果を有するもの以外のより良好な抗体応答を刺激するようであるからである。
【0037】
さらに、開示される試験方法はまた、化学的な刺激に対する細胞の応答の測定が所望される、他の使用のために改変され得る。多くのバイオアッセイにおいては、発熱物質での細胞培養物の混入が細胞を「活性化」し得、それによって細胞の反応および産物の多様のカスケードを開始し、マーカー分析物の検出を妨げる。本発明のこの実施態様においては、バイオアッセイ細胞培養物およびサンプルが、発熱物質を含まないアッセイシステムにおいてインキュベートされる。ここでは、表面は、非サイトカイン分析物に対する発熱物質を含まない抗体でコーティングされる。次いで、細胞は、(分析物が細胞によって放出されない場合には)溶解させられ、そして発熱物質を含まないアッセイシステムが、発熱物質を含まない抗体に結合した分析物についてアッセイされる。
【0038】
(実施例)
以下の実施例は本発明を説明する。本明細書中で使用した全ての試薬は、供給業者によって試験され、発熱物質を含まないことを保証されたか、または濾過滅菌された細胞培養物であった。使用した緩衝液は以下の通りであった:
【0039】
【表1】

(実施例1)
(発熱物質を含まない抗サイトカイン抗体でコーティングしたELISAプレートの産生)
ヤギを、本明細書中で参考として援用されている、Taktakら、「Assay of Pyrogens by Interleukin−6 Release from Monocytic Cell Lines」、J.Pharm.Phamacol.143:578−582(1991)の手順に従って、IL−6で免疫学的にチャレンジし、そして放血させた。ポリクローナルヤギ抗ヒトIL−6抗体を、発熱物質を含まない洗浄緩衝液および溶出緩衝液を使用して、リン酸緩衝化生理食塩水(0.1M、pH7.4、PBS)中の1mgのIL−6(360μg/mL)に対してカップリングされたAffi−Gel 15(BioRad)カラム(1mL)上でアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。精製手順の全ての時点で、可能な発熱物質の混入を最少にするために厳しい条件を維持した。画分を、発熱物質を含まない1Mの炭酸水素ナトリウムで中和した。抗体を、Gyrocent−L遠心分離濃縮器上で濃縮した。コーティング抗体の溶液を、LAL試験において内毒素の混入について試験した(<0.03EU/ml)。
【0040】
滅菌していない96ウェルマイクロタイタープレート(Dynez Tech,Inc.)を、発熱物質を含まないPBSで十分にリンスした。プレートを、抗ヒトIL−6抗体(発熱物質を含まないPBS中で1μg/ml、100μl/ウェル、+4℃、一晩)でコーティングした。プレートを、滅菌したPBS+0.1%のTween 20で2回洗浄し、次いで一回、滅菌したPBS(Tweenを含まない)で洗浄した。ブロッキング/グレージング溶液(発熱物質を含まないPBS中の、滅菌したトレハロース、2%+滅菌したHSA、1%、または滅菌したスクロース、5%+滅菌したHSA、1%のいずれかの、100μl/ウェル)を、室温で1時間で添加した。1時間後、ブロッキング/グレージング溶液を、注意深くデカントし、そしてプレートを少なくとも4時間(通常は、一晩)の間クラスII「滅菌」キャビネット中で風乾させ、そしてプラスチックバッグ内にシールし、そして4℃で保存した。滅菌条件下でのプレートの調製によって、発熱物質の可能な混入を最小限にした。この様式で調製したプレートは、発熱物質を含まなかった。
【0041】
(実施例2)
(内毒素でスパイクしたサンプル中の発熱物質の含有量のアッセイ:全血試薬濃度の比較)
単一の健常なドナーに由来するヒトの全血(最終的な試験容量中で約50%または20%の血液を生じるように、RPMIで稀釈した)を、IL−6を生じるように内毒素(LPS)で刺激した。最終的な試験容量は、200μL/ウェルであった。サンプルを、37℃で一晩インキュベートした。稀釈したヒトの全血を刺激するために使用した試験サンプルを、2.5および10 EU/mlの内毒素(ENDOTOXIN STD.USP,2000EU/ml)を用いて発熱物質を含まないジアスピリン架橋ヘモグロビン(DCLHb(登録商標))をスパイクし、次いで、試験のために0.25および1.0 EU/mlの「最終」濃度を生じるように1/10に稀釈することによって調製した。標準曲線のために、HSAを伴わない内毒素を使用した。
【0042】
インキュベーションの最後に、プレートを、血液培養物を除去するために吸引し、そして洗浄/稀釈緩衝液(WDB)を用いて3回洗浄した。100μl/ウェルのビオチン化ヤギ抗IL−6抗体(1%の正常なヤギ血清を含有しているWDB中で1:1000に稀釈した)を添加し、そして穏やかに攪拌しながら室温で1時間インキュベートした。100μl/ウェルのアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(WDB中で製造業者に説明書に従って稀釈した)を、室温で15分間で添加した。100μl/ウェルのOPD,Sigma(50mlの基質緩衝液中に溶解させた200μMの錠剤、使用の直前に添加した20μlの30% H22)を、10〜20分間で添加した(十分に発色するまで)。1MのH2SO4(100μl/ウェル)を、反応を停止させるために添加した。光学密度を、490nmで読み取った。
【0043】
結果を、図1に示す。非常に低い内毒素サンプルに対するより厳しい応答が、50%の最終容量での試験において見られるが、20%の最終容量での試験は、広い範囲の内毒素の濃度にわたって匹敵する応答を提供する。従って、試薬として使用する全血の量を節約するために、全血が、本発明における使用のためには、約20%の試験容量に稀釈されることが好ましい。10%の試験容量への稀釈が、本発明において十分に機能することもまた見出されている。
【0044】
(実施例3)
(内毒素でスパイクしたサンプル中の発熱物質の含有量のアッセイ:全血試薬のドナーの比較)
試験を、最終的な全血の濃度が試験容量中の約20%であったこと、RPMI中の内毒素を試験サンプルとして使用したこと、および3人の健常なドナーに由来する血液を使用したこと除いて、実施例2と同様に行った。
【0045】
結果を、図2に示す。異なるドナーからヒトの全血のインキュベーションによって作成されるIL−6の絶対量はかなり変化する(高い内毒素濃度で100%)が、容量応答曲線の形状は、全てのドナーについて非常に似ている。このチャートは、本発明の方法によって、または試薬としてヒトの全血を利用する任意の方法によって作成されるデータを解釈するために、既知の内毒素濃度から標準曲線を作成することの重要性を説明する。本発明の好ましいELISAプレートの実施態様は非常に少量のヒトの血液(約40μL/ウェル)を利用するが、単一の単位の提供された血液が、必要とされる標準曲線のデータに加えて、数百の試験のために使用され得る。全ての3人のドナーに由来する全血が、内毒素と共にインキュベートされた場合に、測定可能なIL−6応答を生じたことが注目され、このことは、ドナーの血液の大部分が、本発明における試薬としての使用のために適切であるはずであることを示す。
【0046】
(実施例4)
(内毒素でスパイクしたサンプル中の発熱物質の含有量のアッセイ:インキュベーション時間の比較)
試験を、最終的な全血の濃度が試験容量中の約20%であったこと、RPMI中の内毒素を試験サンプルとして使用したこと、ならびに、2、4、6、8、20、および24時間のインキュベーション時間を使用したこと除いて、実施例2と同様に行った。
【0047】
結果を、図3に示す。約6時間後に、最少のさらなるIL−6が、全血溶液中の単球によって生成される。有意な量のIL−6が、4時間のインキュベーション時間の後に、全ての濃度で生成される。2時間のインキュベーション時間は、検出可能なレベルのIL−6を生成するためには不十分である。従って、4時間のインキュベーション期間が、有用な範囲の内毒素濃度中で検出可能なレベルのIL−6を産生するために十分である。
【0048】
(実施例5)
(米国特許第5,891,728号の2プレートアッセイおよび本発明の1プレートアッセイの比較)
「1プレート」試験を、最終的な全血の濃度が試験容量中の約20%であったこと、およびヒト血清アルブミン(HSA)をDCLHb(登録商標)の代わりに「試験サンプル」中で使用したこと、および4時間のインキュベーション時間を使用したこと除いて、実施例2と同様に行った。
【0049】
比較のために、米国特許第5,891,728号に記載される「2プレート」試験を、緩衝液標準、および同量の内毒素でスパイクしたHSAサンプルについて、以下のように行った:
ヒトの全血(RPMIで20%に稀釈した)を、4時間の間、内毒素(USP、2000EU/ml)で刺激した。試験サンプルは、2.5および10 EU/mlの内毒素を用いてスパイクされた発熱物質を含まないヒト血清アルブミン(HSA,4.5%、「スパイクしていない」)であり、次いでこれを、試験のために0.25および1.0 EU/mlの「最終」濃度を生じるように1/10に稀釈した。
【0050】
インキュベーション容量は、以下のとおりであった:STD曲線について:250μlのRPMI+200μlの血液+100μlの内毒素用量+450μlのRPMI=1mlの全容量/ウェル。サンプルについて:250μlのRPMI+200μlの血液+スパイクしていない/内毒素でスパイクした100μlのHSA+450μlのRPMI=1mlの全容量/ウェル。
【0051】
標準およびサンプルを、48ウェルプレートに3連または4連で添加し、そして37℃で4時間の間、空気中5%のCO2の環境下で、20%の血液と共に培養した。インキュベーションの最後に、培養液のアリコート(細胞馴化培地)を、IL−6のELISAのために採取した(Taktakら、1991を参照のこと)。
【0052】
1プレートおよび2プレートアッセイのIL−6感受性を比較した結果を、図4に示す。これらの結果によって示されるように、同様の条件下で行った場合には、1プレートアッセイは、2プレートアッセイよりもはるかにより敏感である。さらに、HSAサンプル中の内毒素シグナルの「スパイク回収」、またはHSAサンプル中で維持されているIL−6の産生の量は、等量の内毒素を伴うRPMIサンプルと比較した場合には、以前に開示された2プレートアッセイよりも本発明の1プレートアッセイにおいてより良好である。
【0053】
(実施例6)
(米国特許第5,891,728号の2プレートアッセイにおける全血中でのサイトカインの産生の比較)
2プレートアッセイを、TNFαおよびIL−1βをもまた、IL−6に加えて定量したこと除いて、実施例5と同様に行った。TNFαを、Meagerら、「Preparation and characterization of monoclonal antibodies directed against antigenic determinats of recombinant human tumor necrosis factor(rTNF)」、Hybridoma、6:305−311(1987)に記載されているようにアッセイした。そしてIL−1βを、R&D Systemからのモノクローナル抗IL−1β抗体の適合した組、またはDPC Biermannによって提供されるIL−1β ELISAキットを使用してアッセイした。これらの両方は、広範囲で同様の結果を生じた。実験の結果を図5に示す。これらの結果から見られるように、IL−6は、比較的大量に産生され、そしてこれは、4時間のインキュベーション時間で容易に検出可能である。対照的に、TNFαおよびIL−1βは、内毒素とともにインキュベートされた場合には、全血培養物によってより少ない量で放出される。
【0054】
添加された内毒素の非存在下での4時間の血液培養物は、それらを検出するために使用されるELISAの検出限界で、またはそれ未満で、免疫反応性のTNFαおよびIL−1βの濃度を含んだ。対照的に、免疫反応性のIL−6の濃度は、これらの培養物中で検出可能であった。健常なドナーにおいては、免疫反応性のIL−6の濃度は、200pg/ml未満(通常は、100pg/ml未満)であったが、主要ではないウイルス感染(例えば、一般的な感冒)または(歯肉または腸の4)細菌感染から最近回復したドナーにおいては、IL−6の基底の(すなわち、未刺激の)濃度はしばしば、200pg/mlを超え、そして添加された内毒素に対する応答は、健常なドナーの血液よりも少ない。結果として、測定される変数としてのIL−6の選択によって、インビトロでの発熱物質の試験のための血液のドナーとして役立つために十分に健康であると感じ得るとしても、完全には健康ではないドナーの同定および「スクリーニングアウト」が可能である。測定される基底レベルの免疫反応性のIL−6は、TNFαまたはIL−1βよりもむしろ、測定される変数としてIL−6を使用して、試験の感受性を減少させなかった。なぜなら、IL−6の選択によって、最も敏感な試験システムを生じたからである(図5を参照のこと)。従って、IL−6が、本発明において試験するために選択された。しかし、TNFαまたはIL−1βもまた、本発明の定量されるサイトカインとしての使用に適切である。
【0055】
(実施例7)
(内毒素(LPSおよびLOS)でスパイクされたサンプル中の発熱物質の含有量のアッセイ:全血試薬のドナーの比較)
2人の健常なドナーに由来するヒトの全血(最終的な試験容量の約50%の血液を生じるように、RPMIで稀釈した)を、IL−8を産生するように内毒素(示されるように、LPSまたはLOSのいずれか)で刺激した。この実験で利用したLOS(発熱性のリポオリゴ糖)は、Neisseria meningtidisに由来するものであり、そしてその高度に分岐した基本的なオリゴ糖構造および反復するO−抗原サブユニットが存在しないことによって、LPSとは区別される。血液を、約4時間の間、内毒素とともにインキュベートし、そしてIL−8の産生を、ELISAによって測定した。他の局面においては、試験を、実施例3に示すように行った。
【0056】
結果を図6に示す。異なるドナーに由来するヒトの全血のインキュベーションによって生成された絶対量のIL−8は、かなり変化するが、用量応答曲線の形状は、両方のドナーについて非常に類似している。両方のドナーに由来する全血が、いずれの内毒素とともにインキュベートした場合にも、測定可能なIL−8応答を生じた。しかし、LOSでの刺激によって、LPSでの刺激に応答するIL−8の産生と比較して、より低い内毒素濃度に応答するより高い濃度のIL−8の産生を生じたことが注目される。これらの結果は、サイトカインIL−8が本発明の方法に従ってサンプル中の発熱物質を検出するために使用され得ることを、明らかに示す。
【0057】
本発明はこのように記載され、同じものが種々の方法において改変され得ることが明らかである。このようなバリエーションは、本発明の精神および範囲からの逸脱とは認められず、そして当業者に明らかであるこのような改変および等価物は全て、前記の特許請求の範囲なしで含まれるように意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−158486(P2011−158486A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−109920(P2011−109920)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【分割の表示】特願2001−549078(P2001−549078)の分割
【原出願日】平成12年12月1日(2000.12.1)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(302069619)