説明

自動ティーアップ装置

【課題】利用者はボールを打つことに専念でき、その結果、利用者回転率を高めることができる自動ティーアップ装置を提供する。
【解決手段】カードリーダライタ2、制御装置7、クラブ情報リーダ4、表示部17、及び手動スイッチ15を備えた装置本体1と、自動ティーアップ装置50のティー11の高低を変化させるティーアップ調整装置8と、ティー11上にゴルフボール10を供給するボール供給手段19と、利用者13の立ち位置マット9に利用者の最適な立ち位置を表示する立ち位置表示部9と、を備え、ティーアップ調整装置8とボール供給手段19は床下に設置され、ティー11は床に明けた穴から上下する構造である。また、マット12に穴をあけて、そこからティーにセットされたボールが上下するように構成され、立ち位置表示部9は、利用者が立つ位置に透明のマット18を設置して、その下から立ち位置表示部9の表示内容を透過させる構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ティーアップ装置に関し、さらに詳しくは、利用者の身体的特徴、及び使用ゴルフクラブに関する情報に基づいて、ティーの高低を自動設定する自動ティーアップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフ練習場の設備は、利用者に負担をかけないように自動化が進んでいる。例えば、ゴルフボールは、従来であればプリペイドカード或いは現金で必要個数分だけ自動球貸し機から貸し出されて使用していたが、最近では、ボールの供給は自動的に行われ、且つボールを自動的にティーアップする設備を備えた練習場が一般的となっている。また、利用者の管理を自動化するために、利用者ごとにICカードを作成して、コンピュータによる一元管理を行うことが常識となってきている。しかし、このような自動ティーアップ装置では、ボールを自動的にティーアップすることにより利用者の負担は軽減されるが、使用するゴルフクラブによりティーの高さを変更する際は、手作業で行わなければならず、操作が煩わしかった。
例えば、自動ティーアップ装置に関する従来技術として特許文献1には、ゴルフボールをショットマットのティー穴上に誘導することにより、光センサーでこのボールを検知してティーを上昇させ、ボールをティーアップする自動ティーアップ装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−57101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、ボールをティー穴まで移動しなければならず、且つティーの高さを変更する場合は、スイッチ板を押して調整する必要があり、依然として操作が煩わしかった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、自動ティーアップ装置のティーの高さを、使用者の身体的特徴及び使用ゴルフクラブごとに最適なティーの高さに自動的に決定することにより、使用者はボールを打つことに専念でき、その結果、練習場の顧客回転率を高めることができる自動ティーアップ装置を提供することを目的とする。
また、他の目的は、使用者の身体的特徴及び使用ゴルフクラブに基づいて最適な立ち位置を指示して練習効果を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、打席の床面に昇降自在に配置されたティーと、該ティーを昇降させるティー昇降手段と、該ティー上にゴルフボールを供給するボール供給手段と、前記打席の利用者毎のID、残球数、及び身体的特徴について記録した利用者情報記録媒体と、前記利用者が前記打席にエントリーした時に該利用者情報記録媒体の記録情報を読取る利用者情報リーダと、前記利用者が前記打席で使用するゴルフクラブの適所に取り付けられて該ゴルフクラブの種類、長さを含んだ情報を記録した非接触記録媒体と、該非接触記録媒体の記録情報を読取るクラブ情報リーダと、前記利用者情報リーダ、及び前記クラブ情報リーダからの各情報に基づいて前記ティー昇降手段を制御してティーの高さを利用者、及び使用するゴルフクラブに最適な値に調整する制御装置と、を備えたことを特徴とする。
本発明では、練習場を使用するために、予め利用者ごとに利用者情報記録媒体を作成しておき、練習を始めるときは、利用者情報記録媒体を利用者情報リーダにセットする。それにより、利用者情報記録媒体に記録された全ての情報が制御装置に一旦記憶される。また、利用者は、ゴルフボールを打つためのゴルフクラブをクラブ情報リーダに近接すると、ゴルフクラブに取り付けられた非接触記録媒体の情報が読み取られる。この状態で、利用者の全ての情報が揃ったことになり、使用するクラブに対する最適なティーの高さを計算してティーアップする。これにより、利用者は利用者情報記録媒体を利用者情報リーダにセットするだけで、最適条件によりゴルフ練習に専念することができる。
【0006】
請求項2は、前記利用者情報記録媒体には、会員番号、会員名、性別、身長、及び残球数を少なくとも記録していることを特徴とする。
本発明の特徴は、利用者の身体的特徴と所持するゴルフクラブの種類並びに長さに関する情報に基づいて、利用者に対する最適なティーの高さを計算する点である。身体的特徴として性別と身長に関する情報が重要である。即ち、男性と女性では、ヘッドスピードが異なるため、男性は女性に比べてティーの高さを高く設定する。また、身長により腕の長さが異なるため、身長の高い人ほどティーを高く設定する。また、使用ゴルフクラブの長さが長いほどティーの高さは高く設定する。例えば、ドライバーの場合の最適なティーの高さは、ドライバーを地面にソールしたときにヘッド上部がティーアップしたボールの中心にくるのが良いとされている。これにより、利用者が使用するゴルフクラブの情報から即座に最適なティーの高さを計算することができる。
【0007】
請求項3は、前記制御装置は、前記クラブ情報リーダによりゴルフクラブの種類、長さを含んだ情報が読取られたときは、前記利用者情報記録媒体により読取った前記身体的特徴に基づいて最適なティーの高さを決定して前記ティー昇降手段を制御することを特徴とする。
利用者情報記録媒体には各利用者の身体的特徴が記録されており、その情報はメモリに一旦記憶される。また、各ゴルフクラブには、会員番号とゴルフクラブの種類(ドライバー、5番アイアン等)、及び長さが記録された非接触記録媒体が取り付けられている。従って、ゴルフクラブをクラブ情報リーダに近接すると非接触記録媒体の情報が読取られて、どのゴルフクラブを使用するのかを認識することができる。そして、そこに記録されたゴルフクラブの長さを読み取り、その長さと利用者の身体的特徴に基づいてティーの高さを決定して、ティー昇降手段を制御する。これにより、ティーの高さを各ゴルフクラブに最適な高さに設定され、利用者は練習に専念することができる。
【0008】
請求項4は、前記打席内における前記利用者の立ち位置マットに該利用者の最適な立ち位置を表示する立ち位置表示部を備え、前記制御装置は、前記クラブ情報リーダによりゴルフクラブの種類、長さを含んだ情報が読取られたときは、前記利用者情報記録媒体により読取った前記身体的特徴に基づいて最適なティーの高さを決定して前記ティー昇降手段を制御すると共に、前記利用者の立ち位置を演算し、該演算結果に基づいて前記立ち位置表示部に最適な立ち位置を表示することを特徴とする。
本発明は、利用者の立ち位置マットに利用者の最適な立ち位置を表示する立ち位置表示部を更に備える。即ち、使用するゴルフクラブにより、ボールと利用者の立ち位置、特に左右の足の位置が微妙に異なってくる。例えば、使用ゴルフクラブがドライバーの場合は、左足の踵線上にボールをティーアップするのが最適とされている。また、短いウエッジアイアンの場合は、両足の略中間にボールをティーアップするのが最適といわれている。この場合の立ち位置も性別や身体的特徴が異なれば微妙に異なってくる。そこで本発明では、利用者の身体的特徴と使用するゴルフクラブにより最適な立ち位置を計算して表示し、より練習効果を高めるようにしたものである。これにより、本人のフォームの矯正に役立ち、練習効果を高めることができる。
【0009】
請求項5は、前記利用者情報リーダは、リーダライタの機能を有し、前記制御装置は、前記ティーにボールがティーアップされた後に、該ボールがティー上に存在しない場合、前記利用者情報記録媒体に記録された前記残球数から1を減算して該情報を前記利用者情報リーダを介して前記利用者情報記録媒体に記録することを特徴とする。
ティー上にボールを設置するタイミングは、ティーアップ後にティー上のボールがないことを確認した後である。その結果、ボールが打たれたと見做して残球数から1を減算する。これにより、自動的に残球数のカウントとティーアップのタイミングを正確に設定することができる。
【0010】
請求項6は、前記ティー昇降手段の制御及び前記立ち位置表示部への表示を無効とする手動スイッチを備えたことを特徴とする。
利用者の中には、全て自動的に設定せずに、自分の好みのティーの高さ、或いは立ち位置で練習をしたいときがある。そのような場合は、手動スイッチをONすることにより、ティーアップ調整装置の制御及び立ち位置表示部への表示を無効とすることができる。これにより、利用者の好みの練習を実現できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、練習場を使用するために、予め利用者ごとに利用者情報記録媒体を作成しておき、練習を始めるときは、利用者情報記録媒体を利用者情報リーダにセットし、利用者は、ゴルフボールを打つためのゴルフクラブをクラブ情報リーダに近接すると、ゴルフクラブに取り付けられたクラブ情報が読み取られるので、利用者は利用者情報記録媒体を利用者情報リーダにセットするだけで、最適条件によりゴルフ練習に専念することができる。
また、利用者の身体的特徴と所持するゴルフクラブの種類並びに長さに関する情報に基づいて、利用者に対する最適なティーの高さを計算するので、利用者が使用するゴルフクラブの情報から即座に最適なティーの高さを計算することができる。
また、記録されたゴルフクラブの長さを読み取り、その長さと利用者の身体的特徴に基づいてティーの高さを決定して、ティー昇降手段を制御するので、ティーの高さを各ゴルフクラブごとに最適な高さに設定され、利用者は練習に専念することができる。
また、利用者の身体的特徴と使用するゴルフクラブにより最適な立ち位置を表示して、より練習効果を高めるようにしたので、本人のフォームの矯正に役立ち、練習効果を高めることができる。
また、ティーアップ後にティー上のボールがないことを確認して残球数から1を減算するので、自動的に残球数のカウントとティーアップのタイミングを正確に設定することができる。
また、手動スイッチをONすることにより、ティー昇降手段の制御及び立ち位置表示部への表示を無効とすることができるので、利用者の好みの練習を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の自動ティーアップ装置を使用して利用者が練習している様子を示す図である。
【図2】本発明の自動ティーアップ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)はICカードに記録された情報の一例を示す図であり、(b)はクラブ情報タグに記録された情報の一例を示す図である。
【図4】本発明の自動ティーアップ装置の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0014】
図1は本発明の自動ティーアップ装置を使用して利用者が練習している様子を示す図である。本発明の自動ティーアップ装置50は、カードリーダライタ(利用者情報リーダ)2、制御装置7、クラブ情報リーダ4、表示部17、及び手動スイッチ15を備えた装置本体1と、自動ティーアップ装置50のティー11の高低を変化させるティーアップ調整装置(ティー昇降手段)8と、ティー11上にゴルフボール10を供給するボール供給手段19と、利用者13の立ち位置マット9に利用者13の最適な立ち位置を表示する立ち位置表示部9と、を備え、ティーアップ調整装置8とボール供給手段19は床下に設置され、ティー11は床に明けた穴から上下する構造である。また、マット12に穴をあけて、そこからティーにセットされたボールが上下するように構成され、立ち位置表示部9は、利用者13が立つ位置に透明のマット18を設置して、その下から立ち位置表示部9の表示内容を透過させる構成である。
【0015】
次に本発明の自動ティーアップ装置の概略動作について説明する。まず、利用者13は本練習場の会員となるために、ICカード3に会員番号、会員名、性別、身長といった身体的特徴となる情報を登録する。また、例えば、ボールの数が100球、200球、500球といった数量の中から選んで残球数をプリペイドする。また、クラブ情報タグ(ICタグ)6に、会員番号、ゴルフクラブの種類、及び長さを登録しておき、各ゴルフクラブに取り付ける。尚、クラブ情報タグ6はゴルフクラブのボールが直接当たらないところであれば、何処でも構わない。
上記の手続により会員となった利用者13は、ICカード3をカードリーダライタ2にセットする。このとき、ICカード3は練習が終了するまでカードリーダライタ2にセットしておく。制御装置7は、ICカード3に記録されている全ての情報を読み込む。そして正規の会員で、且つ残ボール数がある場合に、本自動ティーアップ装置50を稼動させる。次に、利用者13は練習するゴルフクラブを取出し、マット12にセットすると、クラブ情報リーダ4がゴルフクラブ5に取り付けたクラブ情報タグ6の内容を読取る。その結果、ゴルフクラブ5が、例えばドライバーであり、その長さが読み込まれる。そしてICカード3から読み込んだ身長、性別に基づいて最適なティーの高さを計算して、ティーアップ調整装置8を駆動して、ティー11にボール10をセットして、且つ計算された高さにセットする。また、利用者13の立ち位置を演算し、この演算結果に基づいて立ち位置表示部9に最適な立ち位置を表示する。
【0016】
利用者13は、立ち位置表示部9に表示された最適な立ち位置に自分の足を合わせて、ティーアップされたボール10をゴルフクラブ5で打つと、ティー上にボール10がなくなったことが検知されて、ICカード3に記録されている残球数から1つ減じてICカード3の残球数を更新する。そして再度同じ動作を繰り返す。尚、ゴルフクラブを変更した場合は、その情報をクラブ情報リーダ4が読み取って、ティー11の高さを自動的に変更すると共に立ち位置も変更する。また、手動スイッチ15をONにすると、自動ティーアップと立ち位置の表示が無効となり、一定のティーの高さでボールがティーアップされる。
利用者13は練習を終了させるために、カードリーダライタ2からICカード3を取り去ると、制御装置7は練習が終了したと認識してセンター14に連絡する。これにより、自動ティーアップ装置50の一連の動作が終了する。
【0017】
即ち、本実施形態では、練習場を使用するために、予め利用者13ごとにICカード3を作成しておき、練習を始めるときは、ICカード3をカードリーダライタ2にセットする。それにより、ICカード3に記録された全ての情報が制御装置7に一旦記憶される。また、利用者13は、ゴルフボール10を打つためのゴルフクラブ5をクラブ情報リーダ4に近接すると、ゴルフクラブ5に取り付けられたクラブ情報タグ6の情報が読み取られる。この状態で、利用者13の全ての情報が揃ったことになり、使用するクラブ5に最適なティーの高さを計算してティーアップする。これにより、利用者13はICカード3をカードリーダライタ2にセットするだけで、ゴルフ練習に専念することができる。
【0018】
また、利用者の立ち位置マット18に利用者の最適な立ち位置を表示する立ち位置表示部9を更に備えた。即ち、使用するゴルフクラブにより、ボールと利用者13の立ち位置、特に左右の足の位置が微妙に異なってくる。例えば、使用ゴルフクラブがドライバーの場合は、左足の踵線上にボールをティーアップするのが最適とされている。また、短いウエッジアイアンの場合は、両足の略中間にボールをティーアップするのが最適といわれている。この場合の立ち位置も性別や身体的特徴が異なれば微妙に異なってくる。そこで本実施形態では、利用者13の身体的特徴と使用するゴルフクラブにより最適な立ち位置を表示して、より練習効果を高めるようにしたものである。これにより、本人のフォームの矯正に役立ち、練習効果を高めることができる。
また、利用者の中には、全て自動的に設定せずに、自分の好みのティーの高さ或いは立ち位置で練習をしたいときがある。そのような場合は、手動スイッチ15をONすることにより、ティーアップ調整装置8の制御及び立ち位置表示部9への表示を無効とすることができる。これにより、利用者の好みの練習を実現できる。
【0019】
図2は本発明の自動ティーアップ装置の構成を示すブロック図である。
本発明の自動ティーアップ装置50は、打席の床面に昇降自在に配置されたティー11と、ティー11を昇降させるティーアップ調整装置8と、ティー11上にゴルフボール10を供給するボール供給手段19と、打席の利用者毎のID、残球数、及び身体的特徴について記録したICカード3と、利用者13が打席にエントリーした時にICカード3の記録情報を読取るカードリーダライタ2と、利用者13が打席で使用するゴルフクラブ5の適所に取り付けられてゴルフクラブ5の種類、長さを含んだ情報を記録したクラブ情報タグ6と、クラブ情報タグ6の記録情報を読取るクラブ情報リーダ4と、利用者13の立ち位置マット9に利用者13の最適な立ち位置を表示する立ち位置表示部9と、ティーアップ調整装置8の制御及び立ち位置表示部9への表示を無効とする手動スイッチ15と、残球数やエラー内容を表示する表示部17と、カードリーダライタ2、及びクラブ情報リーダ4からの各情報に基づいてティーアップ調整装置8及び立ち位置表示部9を制御してティーの高さを利用者13、及び使用するゴルフクラブ5に最適な値に調整すると共に、利用者の立ち位置を演算し、この演算結果に基づいて立ち位置表示部9に最適な立ち位置を表示する制御装置7と、を備えて構成されている。尚、自動ティーアップ装置50はゴルフ練習場に複数設置され、各自動ティーアップ装置50は練習場のセンター14内に設置された図示しないPCに接続されて一括管理される。
【0020】
図3(a)はICカードに記録された情報の一例を示す図であり、図3(b)はクラブ情報タグに記録された情報の一例を示す図である。例えば、ICカード3には、会員番号「1234」、会員名「△△××」、性別「男」、身長「175cm」、残球数「150」等の情報が記録されている。また、クラブ情報タグ6には各ゴルフクラブごとに会員番号、ゴルフクラブの種類、及びゴルフクラブの長さが記録されている。例えば、ゴルフクラブがドライバーの場合は、会員番号「1234」、種類「ドライバー」、長さ「45インチ」と記録され、クラブ情報リーダ4によりこの情報が読取られると、ICカードに記録されている会員番号「1234」を検索して、身長175cmの男性が45インチのドライバーを使用する場合のティーの高さと、立ち位置を計算する。
即ち、本実施形態の特徴は、利用者13の身体的特徴と所持するゴルフクラブの種類並びに長さに関する情報に基づいて、利用者13に対する最適なティーの高さを計算する点である。身体的特徴として特に性別と身長に関する情報が重要である。即ち、男性と女性とでは、ヘッドスピードが異なるため、男性は女性に比べてティーの高さを高く設定する。また、身長により腕の長さが異なるため、身長の高い人ほどティーを高く設定する。また、使用ゴルフクラブの長さが長いほどティーの高さは高く設定する。例えば、ドライバーの場合の最適なティーの高さは、ドライバーを地面にソールしたときにヘッド上部がティーアップしたボールの中心にくるのが良いとされている。これにより、利用者13が使用するゴルフクラブの情報から即座に最適なティーの高さを計算することができる。
【0021】
図4は本発明の自動ティーアップ装置の動作について説明するフローチャートである。会員となった利用者13は、ICカード3をカードリーダライタ2にセットする(S1でY)。このとき、ICカード3は練習が終了するまでカードリーダライタ2にセットしておく。制御装置7は、ICカード3に記録されている会員が正規の会員であるか否かをチェックして(S2)、正規の会員でない場合は(S2でN)、会員でない旨を表示部17に表示して(S12)終了する。
ステップS2で正規の会員であれば(S2でY)、ICカード3に記録されている全ての情報を読み込む(S3)。そして正規の会員で、且つ残ボール数がある場合に(S4でY)、本自動ティーアップ装置50を稼動させる。ステップS4で残球数がない場合は(S4でN)、残球数がゼロである旨を表示部17に表示して(S14)終了する。次に、手動スイッチ15がONであるか否かをチェックして(S5)、手動操作でなければ(S5でN)、利用者13は練習するゴルフクラブを取出し、マット12にセットすると、クラブ情報リーダ4がゴルフクラブ5に取り付けたクラブ情報タグ6の内容を読取る(S6)。その結果、ゴルフクラブ5が例えばドライバーで、長さが45インチであることを認識すると、ICカード3に登録された身長、性別に基づいて最適なティーの高さを計算して、ティーアップ調整装置8を駆動して、ティーにボールをセットして、且つ計算された高さにセットする(S7)。また、利用者13の立ち位置を演算し(S8)、この演算結果に基づいて立ち位置表示部9に最適な立ち位置を表示する(S9)。
【0022】
利用者13は、立ち位置表示部9に表示された最適な立ち位置に自分の足を合わせて、ティーアップされたボール10をゴルフクラブ5で打つと、ティー上にボール10がなくなったことを検知して(S10でN)、ICカード3に記録されている残球数から1つ減じて(S13)ICカード3の残球数を更新する。そして再度同じ動作を繰り返す。尚、ゴルフクラブを変更した場合は、その情報をクラブ情報リーダ4が読み取って、ティー11の高さを自動的に変更すると共に立ち位置も変更する。尚、ステップS5で手動スイッチ15をONにすると、ティーアップの高さ調整と立ち位置の表示が無効となり、一定のティーの高さでボールがティーアップされる。
利用者13は練習を終了させるために(S11でY)、カードリーダライタ2からICカード3を取り去ると(S12)、制御装置7は練習が終了したと認識してセンター14に連絡する(S13)。これにより、自動ティーアップ装置50の一連の動作が終了する。
【0023】
即ち、ICカード3には各利用者の身体的特徴が記録されており、その情報はメモリに一旦記憶される。また、各ゴルフクラブには、会員番号とゴルフクラブの種類(ドライバー、5番アイアン等)、及び長さが記録されたクラブ情報タグ6が取り付けられている。従って、ゴルフクラブ5をクラブ情報リーダ4に近接するとクラブ情報タグ6の情報が読取られて、どのゴルフクラブを使用するのかを認識することができる。そして、そこに記録されたゴルフクラブの長さを読み取り、その長さと利用者の身体的特徴に基づいてティーの高さを決定して、ティーアップ調整装置8を制御する。これにより、ティーの高さを各ゴルフクラブに最適な高さに設定され、利用者は練習に専念することができる。また、ゴルフクラブを練習場に忘れた場合も、クラブ情報タグ6に記録された会員番号から所有者を即座に確認することができる。
【0024】
また、ティー上にボールを設置するタイミングは、ティーアップ後にティー上のボールがないことを確認した後である。その結果、ボールが打たれたと見做して残球数から1を減算する。これにより、自動的に残球数のカウントとティーアップのタイミングを正確に設定することができる。尚、ティー上のボールの有無を検知する手段としては、空芯円筒状のティーの底部から光センサーにより検知する方法が一般的である。
【符号の説明】
【0025】
1 装置本体、2 カードリーダライタ、3 ICカード、4 クラブ情報リーダ、5 ゴルフクラブ、6 クラブ情報タグ、7 制御装置、8 ティーアップ調整装置、9 立ち位置表示部、10 ボール、11 ティー、12 マット、13 利用者、14 センター、15 手動スイッチ、16 足、17 表示部、18 立ち位置マット、50 自動ティーアップ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打席の床面に昇降自在に配置されたティーと、
該ティーを昇降させるティー昇降手段と、
該ティー上にゴルフボールを供給するボール供給手段と、
前記打席の利用者毎のID、残球数、及び身体的特徴について記録した利用者情報記録媒体と、
前記利用者が前記打席にエントリーした時に該利用者情報記録媒体の記録情報を読取る利用者情報リーダと、
前記利用者が前記打席で使用するゴルフクラブの適所に取り付けられて該ゴルフクラブの種類、長さを含んだ情報を記録した非接触記録媒体と、
該非接触記録媒体の記録情報を読取るクラブ情報リーダと、
前記利用者情報リーダ、及び前記クラブ情報リーダからの各情報に基づいて前記ティー昇降手段を制御してティーの高さを利用者、及び使用するゴルフクラブに最適な値に調整する制御装置と、を備えたことを特徴とする自動ティーアップ装置。
【請求項2】
前記利用者情報記録媒体には、会員番号、会員名、性別、身長、及び残球数を少なくとも記録していることを特徴とする請求項1に記載の自動ティーアップ装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記クラブ情報リーダによりゴルフクラブの種類、長さを含んだ情報が読取られたときは、前記利用者情報記録媒体により読取った前記身体的特徴に基づいて最適なティーの高さを決定して前記ティー昇降手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動ティーアップ装置。
【請求項4】
前記打席内における前記利用者の立ち位置マットに該利用者の最適な立ち位置を表示する立ち位置表示部を備え、
前記制御装置は、前記クラブ情報リーダによりゴルフクラブの種類、長さを含んだ情報が読取られたときは、前記利用者情報記録媒体により読取った前記身体的特徴に基づいて最適なティーの高さを決定して前記ティー昇降手段を制御すると共に、前記利用者の立ち位置を演算し、該演算結果に基づいて前記立ち位置表示部に最適な立ち位置を表示することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の自動ティーアップ装置。
【請求項5】
前記利用者情報リーダは、リーダライタの機能を有し、前記制御装置は、前記ティーにボールがティーアップされた後に、該ボールがティー上に存在しない場合、前記利用者情報記録媒体に記録された前記残球数から1を減算して該情報を前記利用者情報リーダを介して前記利用者情報記録媒体に記録することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の自動ティーアップ装置。
【請求項6】
前記ティー昇降手段の制御及び前記立ち位置表示部への表示を無効とする手動スイッチを備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の自動ティーアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−95904(P2012−95904A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247342(P2010−247342)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)